JP6093567B2 - ニッケル基超合金の劣化診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タービンエンジンのタービン翼等として用いられ、劣化診断の対象となるニッケル基超合金について、簡易な方法で劣化を的確に判断することができるニッケル基超合金の劣化診断方法に関する。
タービンエンジンやジェットエンジンのタービン翼は高温、高応力に晒されることから、劣化が早期に進行したり、寿命が予想以上に短くなったりする。このため、タービン翼の使用期間を考慮して適切な時期に劣化診断を行い、その結果に応じて部品の交換を行い、不測の事態を回避する手法が提案されている。
この種のガスタービン部品の寿命判定装置が特許文献1に開示されている。すなわち、この寿命判定装置は、実機に使用されたガスタービン部品の種別情報を取得する種別情報収得手段と、ひずみを計測するひずみ計測手段と、ガスタービン部品が再利用可能か否かを判定する再利用評価手段とを備えている。そして、再利用評価手段は、前記種別情報収得手段が収得したガスタービン部品の種別情報に基づいて、ひずみデータベースに格納された該ガスタービン部品に対応するデータを参照し、ひずみ計測手段で計測されたひずみに基づいてガスタービン部品が再利用できるか否かを判定する。
特開2009−115059号公報
しかしながら、前述した特許文献1に記載されている従来構成の寿命判定装置においては、種別情報収得手段で実機に使用されたプラント名称、ガスタービン部品名、使用材料等のほか、温度や圧力等の作動条件を入力する必要があり、入力情報が多いほど判定精度が上がる一方、データの蓄積が必要で、手間を要し、構成が煩雑である。
また、データベースには、少なくともひずみとクリープ破断時間との関係に係るデータが格納され、前記種別情報収得手段による種別情報に基づいて、前記データを参照し、ひずみ計測手段によるひずみによってガスタービン部品が再利用可能かどうか判定される。このため、実機による使用条件と、前記種別情報やデータとの一致性により判定精度が左右されるとともに、前記一致性を向上させるためには構成がさらに複雑になる。
加えて、ガスタービン部品として使用されるニッケル基超合金は、計測可能となる変形や、損傷の指標となるクリープボイド(微小空孔)等の劣化が表面化し難く、劣化の評価が妨げられるという特有の問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、劣化診断方法が簡易であるとともに、劣化診断を的確に行うことができるニッケル基超合金の劣化診断方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、ニッケル基超合金に対し、強制荷重としてクリープ荷重が、クリープひずみが3%に到るまで負荷された状態で、下記の式(1)で定められる加熱処理温度(T)と加熱処理時間(t)との関係を満たす条件下に加熱処理を行い、その後ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定することを特徴とする。
31.0<〔(T+273)(log10t+20)〕/1000<33.5 …(1)
請求項2に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、請求項1に係る発明において、前記加熱処理は、加熱処理温度が1200〜1350℃、加熱処理時間が4〜24時間の範囲で前記式(1)を満たす条件下に行われることを特徴とする。
請求項3に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記加熱処理は、式(1)を満たす条件下に複数回行われることを特徴とする。
請求項4に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定する方法は、走査電子顕微鏡及び解析装置に基づいて測定する方法であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記ニッケル基超合金は、タービン用ニッケル基超合金であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明のニッケル基超合金の劣化診断方法は、請求項5に係る発明において、前記タービン用ニッケル基超合金は、ガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のニッケル基超合金の劣化診断方法では、ニッケル基超合金に対して加熱処理を行った後、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定するものである。このため、再結晶による結晶の有無を測定するに際し、前処理として加熱処理という操作を行うことにより、ニッケル基超合金が使用限界に達している場合には、再結晶に導くことができる。
その場合、加熱処理は前記の式(1)で規定される加熱処理温度(T)と加熱処理時間(t)との関係を満たす条件下に行われる。従って、加熱処理温度と加熱処理時間とを前記式(1)の条件を満たすように設定して加熱処理を行えば良い。再結晶による結晶の有無の測定は、例えば走査電子顕微鏡と解析装置に基づいて行うことができる。
加えて、前記加熱処理の前には、ニッケル基超合金に対し、強制荷重としてクリープ荷重が、クリープひずみが3%に到るまで負荷された状態であることから、再結晶による結晶を明らかに生成させることができる。
よって、本発明のニッケル基超合金の劣化診断方法によれば、その劣化診断方法が簡易であるとともに、劣化診断を的確に行うことができるという効果を奏する。
本発明を具体化した実施形態におけるクリープひずみと再結晶による結晶の有無との関係を示すグラフ。 実施形態におけるクリープ寿命比とクリープひずみとの関係を示すグラフ。 実施例1において、加熱処理後にニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定したときの顕微鏡写真を示す説明図。 比較例1において、加熱処理後にニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定したときの顕微鏡写真を示す説明図。 実施例2において、加熱処理後にニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定したときの顕微鏡写真を示す説明図。 比較例2において、加熱処理後にニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定したときの顕微鏡写真を示す説明図。 比較例3において、加熱処理後にニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定したときの顕微鏡写真を示す説明図。
以下、本発明を具体化した実施形態に関し、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
この実施形態におけるニッケル基超合金の劣化診断方法は、ニッケル基超合金に対して加熱処理を行った後、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定するものである。上記加熱処理は、下記の式(1)で定められる加熱処理温度〔T(℃)〕と加熱処理時間〔t(h)〕との関係を満たす条件下に行われる。
31.0<〔(T+273)(log10t+20)〕/1000<33.5 …(1)
この式(1)の値が31.0以下の場合には、加熱処理温度T又は加熱処理時間tの条件設定が不十分であり、ニッケル基超合金の劣化が進行していても、加熱処理で再結晶による結晶が認められないおそれがある。その一方、式(1)の値が33.5以上の場合には、加熱処理温度Tと加熱処理時間tの少なくとも一方の条件設定が過剰であり、ニッケル基超合金の溶解が始まる可能性があって再結晶が得られなくなり、或いは低い加熱処理温度Tで加熱処理時間tを過剰に長くすることもできるが、現実的ではない。
前記ニッケル基超合金としては、タービン用ニッケル基超合金が好適に適用される。このタービン用ニッケル基超合金は、ガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金であることが好ましい。ガンマプライム相は、ニッケル、アルミニウム及びチタンを含む金属間化合物が析出した相である。このガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金として具体的には、Special Metals社のインコネルIN-738LC、GE社製のGTD111(DS)等が挙げられる。
前記インコネルIN-738LCの組成は、Cr16%、Co8.5%、C0.10%、Mo1.7%、W2.6%、Ti3.4%、Al3.4%、Ta1.7%、残りはNiである(%は質量%)。また、GTD111(DS)の組成は、Cr14%、Co9.5%、C0.10%、Mo1.5%、W3.8%、Ti4.9%、Al3.0%、Ta2.8%、残りはNiである(%は質量%)。
一般に、ニッケル基超合金は、使用時における温度が高いほど、又は使用時間が長いほど劣化が進行しやすい傾向を示す。このニッケル基超合金に強制荷重としてクリープ荷重を負荷した場合にはニッケル基超合金にひずみ(クリープひずみ)が生ずる。そのクリープひずみが生じたニッケル基超合金を加熱処理することにより、ニッケル基超合金中に再結晶による結晶が生成することが判明した。
そこで、ニッケル基超合金についてクリープ試験及び加熱処理を実施した。すなわち、ニッケル基超合金として前記GTD111の場合には980℃、147MPa及びインコネルIN-738LCの場合には850℃、294MPaの条件でニッケル基超合金にクリープひずみを与えた後加熱処理をし、得られたニッケル基超合金について走査電子顕微鏡及び解析装置に基づいて再結晶による結晶の有無を測定した。GTD111の場合の結果を図1の実線に示し、インコネルIN-738LCの結果を図1の二点鎖線に示した。
図1に示すように、クリープひずみが2%以上又は2%を超えると再結晶による結晶の生成が見られ、クリープひずみが3%に到ると明らかに再結晶による結晶が生成した。従って、この場合には、クリープひずみは2〜3%が再結晶による結晶の有無を判断する境界領域であると考えられる。
次に、ニッケル基超合金について、クリープひずみ(%)とクリープ寿命比(t/t)との関係を下記に示す(a)〜(e)の条件で求めた。なお、クリープ寿命比は、材料の寿命に到るまでの時間(t)に対し、現在までの時間(t)の割合を示す。そして、クリープ寿命比とクリープひずみとの関係を図2に示した。
(a)温度760℃、圧力490MPa(図2の□印)
(b)温度760℃、圧力415MPa(図2の△印)
(c)温度850℃、圧力294MPa(図2の×印)
(d)温度980℃、圧力113MPa(図2の◇印)
(e)温度980℃、圧力65MPa(図2の○印)
図2に示すように、いずれの場合にもニッケル基超合金がクリープ寿命に近づくと、クリープひずみが次第に大きくなるクリープ曲線を描く。そして、図2の二点鎖線に示すように、各クリープ曲線において、クリープひずみが2%のときのクリープ寿命比はほぼ0.5〜0.8の範囲である。すなわち、クリープひずみが2%のときには、ニッケル基超合金の寿命の50〜80%に達することが示された。
ここで、前記式(1)について説明する。
一般に、クリープ負荷と破断時間との関係を示すパラメータとして下記に示すラーソンミラーパラメータが知られている。
(logt+C)
但し、Tは絶対温度(K)、tは破断時間(h)、Cは材料定数である。
このラーソンミラーパラメータを用いることにより、高温、短時間のクリープ破断データからより低温、長時間のクリープ破断寿命を予測することができる。
前記式(1)は、このラーソンミラーパラメータに基づいており、Cは耐熱材料であるニッケル基超合金について20を採用したものである。
また、一般に、クリープ破壊強度、破壊時間、温度の関係について、応力依存型速度過程の起こる速度(ひずみ速度)rは、下記の式(2)で表される(アレイニウスの式)。
r=Aexp〔−Q(S)/RT〕 …(2)
但し、Aは常数、Qは活性化エネルギー、Sは外部からの応力、Rは気体定数、Tは絶対温度を表す。
クリープ破壊は、伸び(ε)が一定になったときに起こると考えると、ε=∫rdtで0〜tまでの積分値である。ひずみ速度rが時間に無関係に一定と考えられる場合には、破断までの時間tはt=ε/r=(ε/A)eQ(S)/RT0にて与えられる。
ひずみ速度rが時間とともに変化する場合には、その平均速度をravとすれば、t=ε/ravにて表される。
そして、前記式(2)を変形すると、下記の式(3)が得られる。
(log10+C)=〔Q(S)〕/2.3R …(3)
但し、C=log10(A/ε)である。
すなわち、T(log10+C)が外部からの応力例えばクリープ荷重の関数であることを示している。この場合、Cはニッケル基超合金等のときには、通常20が用いられる。なお、T(K)=T(℃)+273である。
上記式(3)の右辺は活性化エネルギーすなわち材料をひずませるために必要なエネルギーを示しているが、本実施形態の前記式(1)においては、そのエネルギーを再結晶のためのエネルギーと捉えたものである。つまり、式(1)は、その再結晶エネルギーを与える温度と時間との関係を表している。
前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値の下限値を決定する31.0及び上限値を決定する33.5は、各種ニッケル基超合金について、前記クリープひずみが境界領域以上にある場合、加熱処理温度Tと加熱処理時間tを変化させて加熱処理を行うことにより得られた臨界値である。すなわち、式(1)の下限値を決定する31.0に関しては、後述する実施例1では31.05で再結晶により結晶が見られ、比較例3では30.3で再結晶により結晶が見られないという事実に基づいている。一方、式(1)の上限値を決定する33.5に関しては、ニッケル基超合金の融点が約1350℃、加熱処理で材料内の温度が安定するまでの時間は約4時間であり、加熱処理温度Tが1350℃、加熱処理時間tが4時間のときの式(1)の値である33.5を、材料が溶解することなく、劣化を判断できる限度と判断したものである。
前記式(1)において、例えば、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが24時間の場合には、式(1)の値すなわち〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は31.49である。この値が式(1)の下限に近い値である。一方、加熱処理温度Tが1350℃、加熱処理時間tが4時間の場合には、〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は33.4である。この値が式(1)の上限に近い値である。よって、加熱処理は、加熱処理温度Tが1200〜1350℃、加熱処理時間tが4〜24時間の範囲で前記式(1)を満たす条件下に行われることが好ましい。
前記加熱処理は、式(1)を満たす条件下に複数回行うことが好ましい。加熱処理を複数回行うことにより、ニッケル基超合金中の再結晶化を促すことができ、ニッケル基超合金の劣化診断の精度を高めることができる。加熱処理を複数回行う方法としては、式(1)を満たす同一条件を繰り返す方法、式(1)を満たす複数の異なる条件を組合せる方法、式(1)を満たす同一条件を繰返し、かつ式(1)を満たし、前記とは異なる条件を組合せる方法等が挙げられる。
前述した加熱処理を行なった後に、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定する。その再結晶による結晶の有無を測定する方法としては、例えば走査電子顕微鏡(SEM)及び解析装置に基づいて測定する方法が採用される。この走査電子顕微鏡と解析装置を用いることにより、再結晶に基づく結晶の有無を容易に認識することができる。
次に、前記のように構成されたニッケル基超合金の劣化診断方法について作用を説明する。
さて、ニッケル基超合金の劣化を診断する場合には、ニッケル基超合金に対して予め加熱処理を施す。この加熱処理は前記の式(1)で規定される加熱処理温度Tと加熱処理時間tとの関係を満たす条件下に行われる。すなわち、加熱処理温度Tが高い場合には加熱処理時間tを短く設定し、加熱処理温度Tが低い場合には加熱処理時間tを長く設定して式(1)の条件を満たすように加熱処理を行う。例えば、1200℃で12時間、或いは1350℃で4時間という条件で加熱処理を行う。
その後、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を、例えば走査電子顕微鏡と解析装置によって測定する。そして、再結晶による結晶が見い出されたときには、ニッケル基超合金は劣化が進行していると判断することができる。
このように、ニッケル基超合金中における再結晶による結晶の有無を測定するに際し、前処理として式(1)の条件を満たす所定の加熱処理という操作を行うことにより、ニッケル基超合金に再結晶エネルギーを与え、ニッケル基超合金中に再結晶による結晶を生じさせることができる。その結果、ニッケル基超合金が使用限界に達しているか否かの判断ができ、再結晶による結晶が生じて使用限界に達している場合には、その部品と同履歴の部品を交換することができる。一方、再結晶による結晶の生成がなく、使用限界に達していない場合にはそのまま部品の使用を継続することができる。
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態のニッケル基超合金の劣化診断方法は、ニッケル基超合金に対して加熱処理を行った後、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定するものである。このため、再結晶による結晶の有無を測定するに際し、前処理として加熱処理という簡単な操作を行うことにより、ニッケル基超合金が使用限界に達している場合には、再結晶に導くことができ、劣化の判断をすることができる。
この場合、加熱処理は前記式(1)に規定される加熱処理温度(T)と加熱処理時間(t)との関係を満たす条件下に行われる。従って、加熱処理温度と加熱処理時間とを前記式(1)の条件を満足するように設定して加熱処理を行えば良い。また、再結晶による結晶の有無の測定は、例えば走査電子顕微鏡と解析装置により明瞭かつ速やかに行うことができる。
よって、本実施形態のニッケル基超合金の劣化診断方法によれば、その劣化診断方法が簡易であるとともに、劣化診断を迅速かつ的確に行うことができるという効果を奏する。その結果、使用中のニッケル基超合金の適切な時期に劣化診断を行うことにより、部品の取替えを可能にすることができる。
(2)前記加熱処理は、加熱処理温度Tが1200〜1350℃、加熱処理時間tが4〜24時間の範囲で前記式(1)を満足する条件下に行われる。この場合には、加熱処理条件の設定を容易に行うことができ、ニッケル基超合金の劣化診断を迅速に進めることができる。
(3)前記加熱処理は、式(1)を満たす条件下に複数回行うことが好ましい。この場合、ニッケル基超合金の再結晶を促進することができ、ニッケル基超合金の劣化診断を一層的確に行うことができる。
(4)前記ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定する方法は、走査電子顕微鏡及び解析装置に基づいて測定する方法である。そのため、ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を容易に認識することができ、ニッケル基超合金の劣化診断を速やかに行うことができる。
(5)前記ニッケル基超合金はタービン用ニッケル基超合金であり、そのタービン用ニッケル基超合金はガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金である。このため、タービン用のニッケル基超合金について、劣化診断を適切かつ効果的に行うことができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1及び比較例1)
ニッケル基超合金として前述したインコネルIN-738LCを使用し、強制劣化のためにクリープ荷重を負荷するクリープ試験を行った。クリープ試験の条件は、温度850℃、圧力294MPaに設定した。そして、ひずみゲージを内蔵し、炉外に設置されたひずみ計によって測定されたクリープひずみが2.0%に到るまでクリープ試験を継続した。
得られたニッケル基超合金について、実施例1では、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが12時間という条件で加熱処理を実施した。この場合、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は、31.05であった。一方、比較例1では、加熱処理を実施しなかった。
その後、得られたニッケル基超合金について、走査電子顕微鏡〔日本電子(株)製、FE-SEM(JSM-7001F) 〕及び解析装置〔TSL社製、EBSD測定・解析装置(OIM Ver.5)〕により再結晶による結晶の有無を測定した。
図3に示すように、実施例1ではニッケル基超合金の母材11中に再結晶による多くの結晶12を認めることができた。従って、クリープひずみが2.0%の場合には、式(1)に示す条件下に加熱処理を施すことにより、再結晶による結晶12を確認することができ、ニッケル基超合金が劣化していると判断することができた。
一方、図4に示すように、比較例1では、加熱処理を実施しなかったため、母材11中に再結晶による結晶12は見られなかった。
(実施例2及び比較例2)
実施例2では、ニッケル基超合金として前述したGTD111(DS)を使用し、クリープ荷重を負荷するクリープ試験を行った。クリープ試験の条件は、温度980℃、圧力147MPaに設定した。そして、ひずみゲージによるクリープひずみが3.0%に到るまでクリープ試験を継続した。
得られたニッケル基超合金について、実施例2では、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが24時間という条件で加熱処理を実施した。この場合、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は、31.49であった。
一方、比較例2では、ニッケル基超合金として実施例2と同一材料を使用し、クリープ試験を実施例2と同一の温度及び圧力にてクリープひずみが2.0%に到るまで行った。
得られたニッケル基超合金について、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが12時間という条件で加熱処理を2回実施した後、加熱処理温度Tが1250℃、加熱処理時間tが24時間という条件で加熱処理を実施した。なお、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが12時間の場合、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は、31.05であった。また、加熱処理温度Tが1250℃、加熱処理時間tが24時間の場合、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は、32.56であった。
その後、得られたニッケル基超合金について、実施例1と同じ走査電子顕微鏡及び解析装置により再結晶による結晶の有無を測定した。
図5に示すように、実施例2ではニッケル基超合金の母材11中に再結晶による多くの結晶12が認められた。従って、クリープひずみが3.0%の場合には、式(1)に示す条件下に加熱処理を施すことにより、再結晶を確認することができ、ニッケル基超合金が劣化していると判断することができた。
一方、図6に示すように、比較例2では、クリープひずみが2%であったため、前記式(1)を満足する加熱処理を複数回繰り返しても、母材11中に再結晶による結晶12は認められなかった。
(比較例3)
前記実施例2において、クリープひずみが3.4%に到るまでとした以外は、実施例2と同様にしてクリープ試験を行った。得られたニッケル基超合金について、加熱処理温度Tが1200℃、加熱処理時間tが4時間という条件で加熱処理を実施した。この場合、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値は、30.3であった。
その後、得られたニッケル基超合金について、実施例1と同じ走査電子顕微鏡及び解析装置により再結晶による結晶の有無を測定した。図7に示すように、この比較例3では、クリープひずみが3.4%であったにも拘らず、前記式(1)における〔(T+273)(log10t+20)〕/1000の値が30.3であったため、母材11中に再結晶による結晶12は認められなかった。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定する方法として、光学顕微鏡を用いる方法、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法、電子後方散乱解析像法(EBSP)等を採用してもよい。
・ 前記ニッケル基超合金として、一方向凝固材であるC-M社のCM-247LC、MGA1400、単結晶合金であるGE社のPWA1483、Rene´N5等を使用してもよい。
・ 前記式(1)における加熱処理温度Tと加熱処理時間tとを、加熱処理温度Tを決めてから式(1)の条件を満たすように加熱処理時間tを設定したり、加熱処理時間tを決めてから式(1)の条件を満たすように加熱処理温度Tを設定したりしてもよい。

Claims (6)

  1. ニッケル基超合金に対し、強制荷重としてクリープ荷重が、クリープひずみが3%に到るまで負荷された状態で、下記の式(1)で定められる加熱処理温度(T)と加熱処理時間(t)との関係を満たす条件下に加熱処理を行い、その後ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定することを特徴とするニッケル基超合金の劣化診断方法。
    31.0<〔(T+273)(log10t+20)〕/1000<33.5 …(1)
  2. 前記加熱処理は、加熱処理温度が1200〜1350℃、加熱処理時間が4〜24時間の範囲で前記式(1)を満たす条件下に行われることを特徴とする請求項1に記載のニッケル基超合金の劣化診断方法。
  3. 前記加熱処理は、式(1)を満たす条件下に複数回行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケル基超合金の劣化診断方法。
  4. 前記ニッケル基超合金中の再結晶による結晶の有無を測定する方法は、走査電子顕微鏡及び解析装置に基づいて測定する方法であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のニッケル基超合金の劣化診断方法。
  5. 前記ニッケル基超合金は、タービン用ニッケル基超合金であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のニッケル基超合金の劣化診断方法。
  6. 前記タービン用ニッケル基超合金は、ガンマプライム相を有するガンマプライム析出強化型ニッケル基超合金であることを特徴とする請求項5に記載のニッケル基超合金の劣化診断方法。
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