JP6093197B2 - 内燃機関用排気ガス浄化触媒装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、耐久性を確保しつつ小型化及びコスト削減を図ることが可能な内燃機関用排気ガス浄化触媒装置を提供することを目的としている。
また、ハニカムコアの上流側を外筒にろう付けすることで、ハニカムコアの熱変形を抑えることができてハニカムコアに発生する熱応力を低くすることができ、更に、外筒より内側に配置されて高温となるハニカムコアの熱を外筒へ逃がすことができ、ハニカムコアの温度上昇を抑えることができる。従って、耐久性を向上させることができる。
また、平板及び波板の板厚をより薄くでき、更に、ろう付け長さをより短くしてろう量、接合工数を抑えることができ、小型化、コスト削減を図ることができる。
また、ハニカムコアのろう付け両端部を、ハニカムコアと外筒とのろう付け部にて補強することができ、ハニカムコアのろう付け両端部に発生する応力を低減することができ、耐久性をより向上させることができる。
また、上記構成において、前記ハニカムコア(91)、前記外筒(92)間のろう付け幅は、前記平板(101)、前記波板(102)間のろう付け幅以上で且つ20mm以内に設定されるようにしても良い。この構成によれば、ハニカムコア、外筒間のろう付け幅を、平板、波板間のろう付け幅以上で且つ20mm以内に設定することで、強度を確保することができ、耐久性を向上させることができる。
以上より、ろう付けされていない接合点の割合を40%未満にすることで、耐久性を確保しつつコストアップを抑えることができる。
また、上記構成において、前記外筒(92)は、前記ハニカムコア(91)の前記上流側端部(91a)及び前記下流側端部(91b)よりも前記外筒(92)の軸線(92a)が延びる方向にそれぞれ突出していても良い。
また、ハニカムコアの上流側を外筒にろう付けすることで、ハニカムコアの熱変形を抑えることができてハニカムコアに発生する熱応力を低くすることができ、更に、外筒より内側に配置されて高温となるハニカムコアの熱を外筒へ逃がすことができ、ハニカムコアの温度上昇を抑えることができる。従って、耐久性を向上させることができる。
また、平板及び波板の板厚をより薄くでき、更に、ろう付け長さをより短くしてろう量、接合工数を抑えることができ、小型化、コスト削減を図ることができる。
また、平板、波板間のろう付け幅は、2mm以上に設定されるので、ハニカムコア内の平板、波板間の一部のみをろう付けすることで、熱応力を緩和して強度を確保することができる。
また、ハニカムコア、外筒間のろう付け幅は、平板、波板間のろう付け幅以上で且つ20mm以内に設定されるので、強度を確保することができ、耐久性を向上させることができる。
また、ハニカムコアの平板と波板とが接触するろう付け可能な周方向の接触箇所に対して、ろう付けされていない接触箇所の割合は、30%未満であるので、安定した耐久性を確保することができる。
図1は、本発明の排気ガス浄化触媒装置の一実施形態を適用した自動二輪車を示す左側面図である。
自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11と、この車体フレーム11の前端部を構成するヘッドパイプ12に操舵可能に支持されたフロントフォーク13と、車体フレーム11の内側に支持されたパワーユニット14と、車体フレーム11の中央部下部に設けられた左右一対のセンタフレーム16,16(手前側のセンタフレーム16のみ図示)にピボット軸17を介して上下揺動可能に支持されたスイングアーム18と、車体フレーム11の上部を構成する左右一対のメインフレーム21,21(手前側のメインフレーム21のみ図示)で支持された燃料タンク25と、左右一対のシートレール22,22(手前側のシートレール22のみ図示)及び左右一対のリヤフレーム23,23(手前側のリヤフレーム23のみ図示)で支持されたシート26とを備える。
内燃機関35は、クランクケース41と、このクランクケース41の上部から上方斜め前方に立ち上げられたシリンダ部42とを備え、シリンダ部42に設けられたシリンダヘッド43の後部に吸気装置44が接続され、シリンダヘッド43の前部に排気装置46が接続されている。排気装置46は、シリンダヘッド43に接続された排気管51と、この排気管の後端部に接続されたマフラ52とからなる。
排気管51は、シリンダヘッド43(図1参照)に接続するためのフランジ71と、このフランジ71側から延びる排気管本体72と、この排気管本体72に接続された触媒収納部73とを備える。触媒収納部73には、内燃機関35(図1参照)から排出された排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒装置が収納されている。なお、符号75は触媒収納部73とマフラ52とを接続するとともに遮熱する遮熱カバー、76,77は排気装置46を車体フレーム11(図1参照)に取付けるための取付ステーである。
触媒収納部73は、排気管本体72を構成する前部排気管本体81の下流側端部に取付けられた外テーパ管82と、この外テーパ管82の下流側端部に取付けられた筒状の遮熱管83と、前部排気管本体81の下流側端部であって外テーパ管82よりも下流側に取付けられた上流側内テーパ管84と、この上流側内テーパ管84の下流側端部に取付けられた排気ガス浄化触媒装置86(以下、単に「触媒装置86」と記す。)と、この触媒装置86の下流側端部に上流側端部が取付けられるとともに排気管本体72を構成する後部排気管本体88の上流側端部に下流側端部が取付けられた下流側内テーパ管87とを備える。遮熱管83の下流側端部は遮熱カバー75(図2参照)の上流側端部に接続され、後部排気管本体88の下流側端部はマフラ52(図2参照)の前端部に接続されている。
触媒装置86では、触媒が排気ガスを浄化する際に熱が発生して高温になるため、触媒装置86と、触媒装置86の下流側に配置された下流側内テーパ管87及び後部排気管本体88との周囲を、遮熱管83と遮熱カバー75とで隙間を介して覆っている。
ハニカムコア91は、外径がD、長さがLのほぼ円柱状であり、長さLに対する外径の割合D/L=1/2又はこれ以下とする場合が多く、触媒装置86は自動二輪車10(図1参照)に搭載されるため、車体スペースや最低地上高を考慮してこのような細長い形状に形成されている。
図5は、触媒装置86(図4(A)参照)の上流側におけるハニカムコア91の要部の横断面図であり、図3に示した外筒92の軸線92aに直交する断面を示している。
図4(A)に示すように、触媒装置86のハニカムコア91は、ステンレス鋼製の平板101とステンレス鋼製の波板102とを重ねて複数回巻くことでハニカム構造に形成されたメタルハニカム担体103と、このメタルハニカム担体103に排気ガス浄化するために担持された触媒とから構成されている。上記ステンレス鋼としては、例えばAl含有フェライト系ステンレス鋼(20Cr−5Al等)が好適である。
ろう付け部106,107は、紙面の表裏方向にも延び、接合強度が確保されている。
この図6では、図5に示したハニカムコア91内のろう付け部106,107、即ち複数のろう付け部106及び複数のろう付け部107を、ろう付け部111とし、また、ハニカムコア91(詳しくは、ハニカムコア91の最外周部となる平板101)と外筒92とのろう付け部を、ろう付け部112としている。
ハニカムコア91のろう付け部111は、ハニカムコア91の上流側端部91aに寄せて設けられている。ろう付け部111は、上流側端部91aまで設けられていてもよい。ハニカムコア91の軸方向の中間部分及び下流側端部91b寄りの部分では、平板101(図5参照)と波板102(図5参照)とはろう付けされていない。
図5に示したように、平板101は、波板102の山部102a及び谷部102bとろう付けされてろう付け部106,107が出来るが、実際に生産する場合には、平板101と山部102a及び谷部102bとが接触してろう付け可能であってもろう付けされないことがある。この場合に、平板101と山部102a及び谷部102bとの接触箇所(接合点)の数に対して、ろう付けされていない接触箇所(接合点)の数の割合が、40%未満であれば、耐久性を確保することができる。
更に、ろう付け部112の軸線92aに沿ったろう付け長さ、即ち軸方向ろう付け長さはL2であり、軸方向ろう付け長さL2は、ろう付け部111の下流側端部よりも下流側に長い。
軸方向ろう付け長さL2の範囲で、ハニカムコア91と外筒92とのろう付けは、周方向の接触箇所の全体がろう付けされるのが理想的であるが、実際には、周方向全体をろう付けするのは難しく、周方向全体のうちで部分的にろう付けされることになる。この場合、ろう付け可能な周方向全体(ハニカムコア91の内周面又は外筒92の内周面の周長(又は角度360°))に対して、ろう付けされていない部分の周方向の長さの合計長さ(又は角度の合計角度)の割合が、30パーセント未満であれば、耐久性を確保することができる。
なお、上記では、ハニカムコア91と外筒92との間に隙間があっても、ろうを介して接触可能であり、接合可能であるため、「接触箇所」と表現する。
<実験例1>
図7は、ハニカムコア91内のろう付け位置とハニカムコア91−外筒92間のろう付け位置とをそれぞれ異ならせたサンプルを示す説明図である。図7(A)は触媒装置121(実施例1)を示す説明図、図7(B)は触媒装置151(比較例1)を示す説明図、図7(C)は触媒装置152(比較例2)を示す説明図、図7(D)は触媒装置153(比較例3)を示す説明図である。
各触媒装置の共通仕様としては、D=40mm、L=90mm、400セル/平方インチ、ハニカムコア91に対する外筒92の軸方向への突出量、即ち外筒オーバーハング量が入口(上流)側及び出口(下流)側共に10mmの形状で、ろう付け構造をさまざまに変更した下記サンプルを準備し、その影響を調べた。
図7(B)に示す比較例1では、ハニカムコア91内のろう付け部151aを上流側端部91a寄り、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部151bを下流側端部91b寄りに設けている。
図7(C)に示す比較例2では、ハニカムコア91内のろう付け部152a、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部152bを、共に上流側端部91aと下流側端部91bとの中間部に設けている。
図7(D)に示す比較例3では、ハニカムコア91内のろう付け部153aを上流側端部91a寄り、ハニカムコア91内のろう付け部153cを下流側端部91b寄り、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部153bを下流側端部91b寄りに設けている。
単体冷熱加振テストは、ハニカムコア91の入口側にステンレス鋼製のフランジを溶接し、45°の角度で加振装置に設置し、ハニカムコア91の入口側から熱風、冷風を交互に送り、ハニカムコア91を冷熱加振状態の環境に置き、その耐久性を評価するものである。代表的なテスト条件は、振動加速度30G、温度300〜900℃、2分/サイクルで2000サイクルである。
実車テストは、125ccの自動二輪車をシャーシダイナモメータ上に載せてエンジン運転させながら冷熱負荷を加え、また、加振シャーシダイナモメータにより振動負荷を加えて実使用条件を上回る負荷によって、耐久性テストを行った。
そして、単体テスト(単体冷熱加振テスト)及び耐久テストの終了品の総合判定は、コア抜け発生の有無、箔切れ発生の有無、コア変形によって行った。
上記の各触媒装置の耐久テストの結果を表1に示す。
比較例1は、単体テストでコア抜けが発生したため、実車テストは行わなかったので、総合判定は×(不合格)である。
比較例2は、実車テストの際、ハニカムコアの入口側でフレッティング(fretting:微動摩耗)による平板の箔切れが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例3は、単体テストにて、特にハニカムコア中央部でのセル変形が大きく発生したので、総合判定は×(不合格)である。
以上より、実施例1の優れていることが分かった。
図8は、ハニカムコア91内のろう付け位置をそれぞれ異ならせたサンプルを示す説明図である。図8(A)は触媒装置122(実施例2)を示す説明図、図8(B)は触媒装置123(実施例3)を示す説明図、図8(C)は触媒装置124(実施例4)を示す説明図、図8(D)は触媒装置154(比較例4)を示す説明図、図8(E)は触媒装置155(比較例5)を示す説明図である。
各触媒装置の共通仕様としては、D=40mm、L=120mm、300セル/平方インチ、外筒オーバーハング量は入口側及び出口側共に10mmの形状で、ハニカムコア91内のろう付け及びハニカムコア91−外筒92間のろう付け共にハニカムコア91の入口側のみとし、ハニカムコア91内のろう付け幅を3mmに固定し、ハニカムコア91−外筒92間のろう付けは、幅を15mmに設定するとともにハニカムコア91の上流側端部91aからろう付けを施した。
上記共通仕様に加えて、ハニカムコア91内のろう付け位置を変えた下記サンプルを準備し、その影響を調べた。
図中の符号LC1〜LC5はハニカムコア91内のろう付け位置であり、ハニカムコア91の上流側端部91aからろう付け幅の中央までの長さである。
図8(B)に示す実施例3では、ハニカムコア91内のろう付け部123aの位置をLC2=5mmに設定している。
図8(C)に示す実施例4では、ハニカムコア91内のろう付け部124aの位置をLC3=8.5mmに設定している。
図8(D)に示す比較例4では、ハニカムコア91内のろう付け部154aの位置をLC4=13.5mmに設定している。
図8(E)に示す比較例5では、ハニカムコア91内のろう付け部155aの位置をLC5=16.5mmに設定している。
上記の各触媒装置の耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
耐久テストの結果を表2に示す。
実施例3は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例4は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例4は、実車テストで箔切れが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例5は、単体テストでコア抜けが発生し、実車テストで箔切れが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
以上のように、ハニカムコア91内のろう付け位置が、ハニカムコア91の上流側端部91aから8.5mm+1.5mm=10mm以内であれば、耐久性を満足するが、10mmを超えると、排気ガスによるフレッティングにより平板に亀裂が入りやすくなる。そのため、ハニカムコア91内のろう付け位置を、上流側端部91aから10mm以内に設定する。
図9は、ハニカムコア91内のろう付け幅をそれぞれ異ならせたサンプルを示す説明図である。図9(A)は触媒装置156(比較例6)を示す説明図、図9(B)は触媒装置125(実施例5)を示す説明図、図9(C)は触媒装置126(実施例6)を示す説明図、図9(D)は触媒装置127(実施例7)を示す説明図、図9(E)は触媒装置157(比較例7)を示す説明図、図9(F)は触媒装置158(比較例8)を示す説明図である。
各触媒装置の共通仕様としては、D=51mm、L=75mm、400セル/平方インチ、外筒オーバーハング量が入口側及び出口側共に10mmの形状で、ハニカムコア91内のろう付け位置を上流側端部91aから5mmの位置がろう付け幅の中心になるようにし、ろう付け幅が広く、上流側端部91aを上流側に越えてしまうものについては、上流側端部91aをろう付け部の端部としてろう付け幅を設定し、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け幅を15mmとした。
上記の共通仕様に加えて、ハニカムコア91内のろう付け幅を変えた下記サンプルを準備し、その影響を調べた。
図9(B)に示す実施例5では、ハニカムコア91内のろう付け部125aのろう付け幅をLW2=2mmに設定している。
図9(C)に示す実施例6では、ハニカムコア91内のろう付け部126aのろう付け幅をLW3=5mmに設定している。
図9(D)に示す実施例7では、ハニカムコア91内のろう付け部127aのろう付け幅をLW4=10mmに設定している。
図9(E)に示す比較例7では、ハニカムコア91内のろう付け部157aのろう付け幅をLW5=15mmに設定している。
図9(F)に示す比較例8では、ハニカムコア91内のろう付け部158aのろう付け幅をLW6=20mmに設定している。
各触媒装置の耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
耐久テストの結果を表3に示す。
実施例5は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例6は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例7は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例7は、単体テストでコア抜け及びセル変形が発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例8は、単体テストでコア抜け及びセル変形が発生したので、総合判定は×(不合格)である。
以上の結果から、ハニカムコア91内のろう付け幅を、2mm以上且つ10mm以下に設定する。
なお、ここで言う「ろう付け幅」とは、ろうのたれ、染み出し、不完全接合等によるばらつきを考慮した実効的な幅を指し、概略全体の平均値となる。
平板又は波板の内側と外側でろう付けの位置を変えた(ずらした)場合であっても、波板と平板とのそれぞれのろう付け部の幅を意味し、また、ろう付け部を複数個所設けえた場合には、複数のろう付け部における最も上流側の端部から最も下流側の端部までの距離をろう付け幅とする。
図10は、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け幅をそれぞれ異ならせたサンプルを示す説明図である。図10(A)は触媒装置159(比較例9)を示す説明図、図10(B)は触媒装置128(実施例8)を示す説明図、図10(C)は触媒装置129(実施例9)を示す説明図、図10(D)は触媒装置130(実施例10)を示す説明図、図10(E)は触媒装置160(比較例10)を示す説明図、図10(F)は触媒装置131(実施例11)を示す説明図である。
各触媒装置の共通仕様としては、D=40mm、L=90mm、外筒オーバーハング量が入口側、出口側共に10mmの形状で、ハニカムコア91内のろう付け幅を5mmとし、その位置(ろう付け幅の中心)を上流側端部91aからLT=7.5mmに固定した。
上記共通仕様に加えて、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け幅を変えた下記サンプルを準備し、その影響を調べた。
図10(B)に示す実施例8では、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部128bのろう付け幅をLX2=5mmに設定している。
図10(C)に示す実施例9では、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部129bのろう付け幅をLX3=10mmに設定している。
図10(D)に示す実施例10では、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部130bのろう付け幅をLX4=20mmに設定している。
図10(E)に示す比較例10では、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部160bのろう付け幅をLX5=25mmに設定している。
図10(F)に示す実施例11では、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部131b,131dのろう付け幅をそれぞれLX6=3mmに設定している。
各触媒装置の耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
耐久テストの結果を表4に示す。
実施例8は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例9は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例10は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例10は、単体テストでコア抜け及びセル変形が発生したので、総合判定は×(不合格)である。
実施例11は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
ろう付け部を複数個所に設けた場合には、その合計のろう付け幅がハニカムコア91内のろう付け幅以上で且つ上流側端部91aより20mm以内に設定する。
図11は、ハニカムコア91内のろう付け位置をそれぞれ異ならせたサンプルを示す説明図である。図11(A)は触媒装置132(実施例12)を示す説明図、図11(B)は触媒装置133(実施例13)を示す説明図、図11(C)は触媒装置161(比較例11)を示す説明図、図11(D)は触媒装置162(比較例12)を示す説明図である。
各触媒装置の共通仕様としては、D=40mm、L=90mm、300セル/平方インチ、外筒オーバーハング量は入口側及び出口共に10mmの形状で、ハニカムコア91内のろう付け幅を10mm、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け幅を15mmとした。
この実験例5では、ハニカムコア91内のろう付け位置を変えるとともに、実験例2よりもハニカムコア91のろう付け幅を大きくすることで、ハニカムコア91のろう付け位置とハニカムコア91−外筒92間のろう付け位置との関係を大きく変化させる下記サンプルを準備し、耐久性の変化を調べた。
図中の符号LU1〜LU4はハニカムコア91内のろう付け位置であり、ハニカムコア91の上流側端部91aからろう付け幅の中央までの長さである。
図11(B)に示す実施例13では、ハニカムコア91内のろう付け部133aの位置をLU2=10mmに設定している。
図11(C)に示す比較例11では、ハニカムコア91内のろう付け部161aの位置をLU3=15mmに設定している。
図11(D)に示す比較例12では、ハニカムコア91内のろう付け部162aの位置をLU4=20mmに設定している。
各触媒装置の耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
耐久テストの結果を表5に示す。
実施例13は、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例11は、単体テストでコア抜けが発生し、実車テストで箔切れが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例12は、単体テストでコア抜け及びセル変形が発生したため、実車テストは行わなかったので、総合判定は×(不合格)である。
以上より、最大の応力は、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け部の終端部(下流側端部)で発生する。この応力を分散するために、ハニカムコア91内のろう付け部がハニカムコア91−外筒92間のろう付け部の終端部より下流で終了している場合、耐久性が低下することが分かった。
現実のろう付けでは、ハニカムコア91内の平板と波板との接合可能な接合点に対して100%の接合実現は困難であるので、ハニカムコア91内の接合点の一部にろうを設置しないことで、ハニカムコア91内の接合点の数に対して実際にろう付けされた接合点の数の割合である接合率を変化させたサンプルを準備し、その影響を調べた。
供試サンプルの共通仕様は、D=40mm、L=90mm、400セル/平方インチ、外筒オーバーハング量は入口側及び出口側共に10mmの形状とした。また、ハニカムコア91内のろう付け幅を3mmとし、ハニカムコア91の上流側端部91aから5mmをろう付け幅の中央とし、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け幅を10mmとし、ハニカムコア91の上流側端部91aからろう付けを行った。
耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
サンプルのろう付け接合範囲における接合率(単位は%)と耐久テストの結果を表6に示す。
実施例15は、接合率が80%であり、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例16は、接合率が70%であり、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例17は、接合率が60%であり、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例13は、接合率が50%であり、単体テストでコア抜けが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例14は、接合率が40%であり、単体テストでコア抜けが発生したため、実車テストは行わなかったので、総合判定は×(不合格)である。
以上より、ろう付け接合範囲の接合率が減少しても、接合範囲の内60%以上が接合されていれば、十分な耐久性を確保できることが分かった。
ハニカムコア91−外筒92間のろう付けにおいて、ろうの設置位置を部分的に行い、ろう付け可能な周方向全体(ハニカムコア91の外周面又は外筒92の内周面の周長(又は角度360°))に対して、ろう付けされた部分の周方向の長さの合計長さ(又は角度の合計角度)の割合である接合率を変化させたサンプルを準備し、その影響を調べた。
供試サンプルの共通仕様は、D=40mm、L=90mm、400セル/平方インチ、外筒オーバーハング量は入口側及び出口側共に10mmの形状とした。また、ハニカムコア91内のろう付け幅を3mmとし、ハニカムコア91の上流側端部91aからろう付けを行った。
耐久テストを、実験例1と同様な手法で行った。
サンプルのろう付け接合範囲(周方向(全周を100%とする。))における接合率と耐久テストの結果を表7に示す。
実施例19は、接合率が80%であり、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
実施例20は、接合率が70%であり、単体テストのコア抜け、セル変形、実車テストのコア抜け、箔切れ共に問題なく、総合判定は○(合格)である。
比較例15は、接合率が60%であり、単体テストでコア抜けが発生したので、総合判定は×(不合格)である。
比較例16は、接合率が50%であり、単体テストでコア抜けが発生したため、実車テストは行わなかったので、総合判定は×(不合格)である。
比較例17は、接合率が40%であり、単体テストでコア抜けが発生したため、実車テストは行わなかったので、総合判定は×(不合格)である。
以上のように、ハニカムコア91−外筒92間のろう付け接合率が減少しても、70%以上の接合率が確保されていれば、十分な耐久性を確保できることが分かった。
図12(A)は各実験例で合格した実施例のハニカムコア91の上流側端部91aを示す要部正面図であり、平板101及び波板102共に評価前の状態とほとんど変化していない。
図12(B)は各実験例の比較例の触媒装置を示す第1説明図であり、ハニカムコア91−外筒92間の接合部分が離れ、コア抜けが発生した状態を示している。
図12(C)は各実験例の比較例のハニカムコア91を示す第1説明図であり、ハニカムコア91の上流側端部91aおいて、平板101及び波板102に箔切れが発生した状態を示している。
図12(D)は各実験例の比較例のハニカムコア91を示す第2説明図であり、ハニカムコア91の上流側端部91aおいて、平板101及び波板102が変形し、平板101と波板102とで形成される複数のセルに変形(セル変形)が発生した状態を示している。
図13は、比較例の触媒装置170を示す断面図である。
触媒装置170は、図6に示した触媒装置86に対して、ハニカムコア91の平板101と波板102とのろう付け位置、及びハニカムコア91と外筒92とのろう付け位置が異なっている。即ち、平板101と波板102とのろう付け位置、及びハニカムコア91と外筒92とのろう付け位置が、共に触媒装置170の下流側端部に寄せて設けられている。
更に、外筒92に対して中心部側のハニカムコア91の温度は高くなるが、触媒装置170の下流側では、ハニカムコア91と外筒92とがろう付けされているため、ハニカムコア91から外筒92へ熱が伝わって逃げやすくなるが、上流側では、ハニカムコア91と外筒92とがろう付けされていないため、ハニカムコア91に熱がこもってより高温になるので、耐久性の点で不利となる。
平板101と波板102とをハニカムコア91の上流側でろう付けし、且つハニカムコア91と外筒92とを触媒装置86の上流側でろう付けすることで、上流側の平板101と波板102とが互いに拘束され、また外筒92に対してハニカムコア91の上流側が拘束される。従って、白抜き矢印で示すように、触媒装置86に排気ガスが流れてきたときに、平板101及び波板102の特に上流側端部91a及びその近傍部分における排気ガスの風圧・圧力波による変形や排気ガスの脈流による振動の発生を抑えることができる。
また、矢印A,Aで示すように、ハニカムコア91の中心部側から外周側への伝熱、及びハニカムコア91から外筒92への伝熱を促すことができ、ハニカムコア91の温度上昇を抑えることができる。これらのことから、ハニカムコア91のセル変形、箔切れ、コア抜けを防止することができ、耐久性を向上させることができる。従って、一定の耐久性を確保した場合には、平板101及び波板102の板厚をより薄くしたり、ろう付け長さをより短くすることができ、結果としてろう量、接合工数を減らすことができ、触媒装置86の小型化、コスト削減を図ることができる。
また、ハニカムコア91の上流側を外筒92にろう付けすることで、ハニカムコア91の上流側の熱変形を抑えることができてハニカムコア91に発生する熱応力を低くすることができ、更に、外筒92より内側に配置されて高温となるハニカムコア91の上流側の熱を外筒92へ逃がすことができ、ハニカムコア91の温度上昇を抑えることができる。従って、平板101及び波板102の板厚をより薄くでき、また、ろう付け長さをより短くしてろう量、接合工数を抑えることができ、触媒装置86、ひいては排気装置46(図1参照)の小型化、コスト削減を図ることができる。
また、図4(A),(B)、図6及び図9(B)〜(D)に示したように、平板(101)、波板102間のろう付け幅は、少なくとも2mmに設定されるので、ハニカムコア91内の平板101、波板102間の一部のみをろう付けすることで、ハニカムコア91の熱応力を緩和して強度を確保することができる。
また、図6、図10(B)〜(D)に示したように、ハニカムコア91、外筒92間のろう付け幅は、平板101、波板102間のろう付け幅以上で且つ20mm以内に設定されるので、ハニカムコア91の強度を確保することができ、耐久性を向上させることができる。
また、ハニカムコア91の平板101と波板102とが接触するろう付け可能な周方向の接触箇所に対して、ろう付けされていない接触箇所の割合は、30%未満であるので、安定した耐久性を確保することができる。
例えば、上記実施形態において、図6に示したように、複数のろう付け部106,107のろう付け長さをL1に揃えたが、これに限らず、ろう付け部106同士、ろう付け部107同士のろう付け長さをそれぞれ揃えても良いし、各ろう付け部106,107のろう付け長さを揃えなくても良い。
また、本発明は、小型車両に適用する場合に限らず、大型の自動二輪車10や四輪車両にも適用可能である。
35 内燃機関
86 排気ガス浄化触媒装置
91 触媒体(ハニカムコア)
92 外筒
93 矢印(識別マーク)
101 平板
102 波板
Claims (7)
- 金属箔状の平板(101)及び波板(102)が重ねて巻かれ、触媒が担持されて複数層からなるハニカムコア(91)が形成され、このハニカムコア(91)が金属製の外筒(92)に支持された内燃機関用排気ガス浄化触媒装置において、
前記ハニカムコア(91)の前記平板(101)と前記波板(102)との間、及び前記ハニカムコア(91)と前記外筒(92)との間は、共にろう付けにより接合され、
前記ハニカムコア(91)の前記平板(101)と前記波板(102)との内側接合部(111)は、前記ハニカムコア(91)の上流側端部(91a)に寄せて設けられ、
前記ハニカムコア(91)と前記外筒(92)との外側接合部(112)は、前記ハニカムコア(91)の前記上流側端部(91a)に寄せて設けられ、
前記内側接合部(111)の上流側端部は、前記外側接合部(112)の上流側端部より下流側に位置し、
前記外側接合部(112)の下流側端部は、前記内側接合部(111)の下流側端部よりも下流側に位置することを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。 - 前記平板(101)、前記波板(102)間のろう付けは、前記ハニカムコア(91)の上流側端部(91a)から下流側に10mmまでの範囲に施されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
- 前記平板(101)、前記波板(102)間のろう付け幅は、2mm以上に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
- 前記ハニカムコア(91)、前記外筒(92)間のろう付け幅は、前記平板(101)、前記波板(102)間のろう付け幅以上で且つ20mm以内に設定されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
- 前記内側接合部(111)では、前記ハニカムコア(91)の前記平板(101)と前記波板(102)の山部(102a)及び谷部(102b)との接触箇所の数に対して、ろう付けされていない接触箇所の数の割合は、40%未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
- 前記外側接合部(112)では、前記ハニカムコア(91)の外周面又は前記外筒(92)の内周面、の周長又は360°に対して、ろう付けされていない部分の周方向の合計長さ又は合計角度の割合は、30%未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
- 前記外筒(92)は、前記ハニカムコア(91)の前記上流側端部(91a)及び前記下流側端部(91b)よりも前記外筒(92)の軸線(92a)が延びる方向にそれぞれ突出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の内燃機関用排気ガス浄化触媒装置。
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