JP6092675B2 - 気泡含有樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂成形体内に気泡を含有する気泡含有樹脂成形体の製造方法、該製造方法により得られる気泡含有樹脂成形体、および該製造方法に用いられる海島型複合繊維に関する。
内部に気泡を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムやシートなどは、その気泡に由来する断熱性、軽量性、緩衝性、吸音性などの特性から、例えば、建材や自動車部材、衝撃吸収材など様々の分野で用いられている。
熱可塑性樹脂内に気泡を発生させる方法として、従来、無機系添加剤や有機系添加剤を用いて化学的に気泡を発生させる方法や、高圧ガスを用いたり、水を圧入する物理的方法により気泡を形成したりする方法が用いられてきた。
無機系添加剤を用いる方法としては、例えば、ポリエステル樹脂の中に無機系微粒子を含有させておき、樹脂の延伸製膜時に無機微粒子などと樹脂界面とが剥離することにより、フィルム内に空洞を形成させることが知られている(特許文献1)。
有機系添加剤を用いる方法としては、例えば、アゾジカルボンアミド、塩素フッ素化炭化水素(HCFC)、フッ素化炭化水素(HFC)、ハロゲン化炭化水素やその他プロパン、ブタン等の炭化水素を押出機内に添加することで発泡させる方法が用いられてきた(特許文献2)。
一方、物理的に気泡を形成させる方法として、高圧下にて気体をポリマー中に溶解させた後、圧力を開放することにより気泡を形成させる方法が提案されている(特許文献3)。
また、水を発泡剤として利用する方法が検討されており、特許文献4では、押出機内の溶融樹脂中に水を圧入し、水の蒸発により樹脂を発泡させる方法が開示されている。また、特許文献5では、水をケイ酸マグネシウムや親水性樹脂などの吸水媒体に担持させ、樹脂内に吸水媒体を分散させた後に水を発泡させる方法が開示されている。
特許第3067557号 特開平10−95036 特許第4905893号 特開昭58−176226号公報 WO99/54390号
無機系添加剤を用いる方法では、微細な粒子の分散化のために装置を必要とし、また、凝集を抑制するために添加剤を用いたり、微粒子の前処理を行ったりする必要が生じるので、製造工程が複雑になり、コストがかかるという問題がある。
有機系添加剤を用いる方法では、有機系添加剤によるオゾン層の破壊、地球温暖化、化学物質による大気、水質への影響などのよる環境に及ぼす悪影響が問題視されている。
高圧ガスを用いる方法では、ポリマー中にガスを含浸させるためにポリマー全体を高圧下で処理するための装置が必要になり、また、取り扱うガスの量も莫大になるため、作業面や安全面においてもコストが高いという問題を有している。
そこで、環境への負荷も少なく、複雑な設備も必要としない方法として、水を発泡させる方法が注目されているが、特許文献4に記載の方法では、水をミクロな状態で分散させる手段が施されていないため、気泡の大きさが制御できないという問題を有している。
特許文献5の方法では、樹脂内に吸水媒体を分散させて水を発泡させる技術を開示しているが、媒体自身が発泡核となり、比較的大きな発泡しか得られず、微小な気泡を分散させることが困難であるという問題や、熱可塑性樹脂が流動性を発現する温度ですでに水が発泡するため、熱可塑性樹脂内部に微細な気泡を分散させることができないという問題を有している。
本発明者らは、上記の従来技術の有する問題点を改良するために、(1)製造工程が複雑でなく、(2)環境に影響を与えるガスを発生させることなく、(3)微細な気泡が均一に分散した、(4)気泡のサイズを任意に変えることのできる気泡含有樹脂成形体の製造方法を得ることを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、複合繊維中に水分を含有させて、熱可塑性樹脂と混合して加熱し、水分の蒸発による気泡を発生させながら成形することにより、微細な気泡を含有する成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、吸水性のA成分(島)と、非吸水性で、かつ、A成分よりも低融点のB成分(海)とからなる海島型複合繊維に水分を含有させて、熱可塑性樹脂と混合し、
100℃以上の温度に加熱して、前記樹脂を溶融させるとともに、水分の蒸発による気泡を発生させながら成形を行うことを特徴とする、気泡含有樹脂成形体の製造方法である。
本発明において、「吸水性」とは、標準状態(20℃、65%RH)における平衡吸湿量が0.5%(重量)以上であることを意味している。また、本発明において、「非吸水性」とは、上記の吸水性の定義において、平衡吸湿率が0.5%(重量)未満であることを意味している。
上記の製造方法において、A成分が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体であることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、通常、約5%の平衡吸湿率(相対湿度100%雰囲気下)を有する。
上記の製造方法において、B成分が、ポリオレフィン系ポリマーであることが好ましい。
本発明によれば、吸水性のA成分(島)と、非吸水性で、かつ、A成分よりも低融点のB成分(海)とからなる海島型複合繊維に水分を含有させて、熱可塑性樹脂と混合し、熱可塑性樹脂を溶融成形する過程で水分の蒸発により微細な気泡を含有する成形体を得ることができるので、複雑な工程を要する問題や、環境に負荷を掛けるガスが発生する問題がない。
また、本発明の製造方法によれば、複合繊維の断面方向に吸水性のA成分が島状に分布し、このような複合繊維が均一に熱可塑性樹脂内に分散されており、かつ、A成分よりもB成分の方が低融点であるために加熱により先に溶融してA成分を分散させるために、微細な気泡が均一に分散した熱可塑性樹脂成形体を得ることができるので、得られた成形体は、断熱性、軽量性、緩衝性、吸音性などの特性に優れており、これらの特性が要求される用途に用いることができる。
本発明の気泡含有樹脂成形体の製造方法は、
(a)吸水性のA成分(島)と、非吸水性で、かつ、A成分よりも低融点のB成分(海)とからなる海島型複合繊維を準備する工程、
(b)前記海島型複合繊維に水分を含有させる工程、
(c)水分を含有させた海島型複合繊維を熱可塑性樹脂と混合し、100℃以上に加熱して、前記樹脂を溶融させるとともに、水分の蒸発による気泡を発生させながら、成形を行う工程とから構成される。
(海島型複合繊維)
本発明において用いられる海島型複合繊維における、吸水性のA成分(島)としては、吸水性であり、熱可塑性であるポリマーであれば特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましく用いられる。なかでも、エチレン含有量が25〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(融点:120〜190℃)が好ましい。
本発明において用いられる海島型複合繊維における、非吸水性であり、かつ、A成分よりも低融点であるB成分(海)としては、非吸水性であり、A成分よりも低融点であれば特に限定されないが、ポリエチレン(低密度、直鎖低密度、中密度または高密度)、低融点ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
低融点ポリプロピレンとしては、上記のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の融点よりも低い、例えば、融解ピーク温度が115〜153℃の範囲であるプロピレン重合体(例えば、プロピレンとプロピレン以外のαオレフィンとの共重合体である、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体)が挙げられる。
(A成分とB成分の割合)
本発明において用いられる海島型複合繊維を構成するA成分とB成分との比率(重量比)は、(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲内にあるのが好ましく、(A)/(B)=30/70〜90/10の範囲内にあるのがより好ましく、(A)/(B)=50/50〜80/20の範囲内にあるのがさらに好ましい。成分(A)の比率が10%未満であると、複合比率のバランスが良くないため、紡糸ノズルから放出された糸条が屈曲しやすく、紡糸性が不十分となる上、得られた複合繊維中の吸水性を与える部位の割合が少ないため水分含有量が少なくなり、このため気泡の量も少なくなり好ましくない。また、一方、成分(A)の比率が90%を超えると同様に紡糸性が困難になるだけでなく、吸水した段階で複合繊維が成形のために用いられる熱可塑性樹脂と均一な混合が行いにくくなるので好ましくない。
(複合繊維への添加物)
本発明に用いられる複合繊維には、本発明に効果を損なわない範囲内において、必要に応じて、酸化チタン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤を含有させてよい。
(海島型複合繊維の製造)
上記の(A)成分および(B)成分からなる海島型複合繊維の製造は、すでに公知の紡糸・延伸装置を用いて、公知の方法により行うことができる。(A)成分のポリマーおよび(B)成分のポリマーのペレットを別々の溶融押出機に供給して溶融し、複合口金内で合流させ、上記の(A成分)/(B成分)の比率で、ノズルから吐出させ、通常、500〜4000m/分で引き取ることにより、糸条を得ることができる。島数は、口金を選択することにより変更可能であり、島数1〜1000個、好ましくは、4〜200個の複合繊維であってよい。引取り後の繊維は、必要に応じてさらに延伸(乾熱延伸、湿熱延伸)を行ってもよい。
(複合繊維の断面形状)
複合繊維の断面形状はどのようなものであってもよく、通常は、円形断面であるが、必要に応じて異形断面(扁平、楕円、三角形、T字型、多葉形、中空状など)とすることができる。
(単繊維の直径)
本発明において用いられる複合繊維の単繊維の直径は、必要に応じて適宜設定可能であるが、通常、1〜300μm、好ましくは、5〜200μm、さらに好ましくは、10〜100μmの範囲にある。また、島成分の1本当たりの直径は、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは、2.0〜10μmの範囲にある。単繊維の直径が細すぎると熱可塑性樹脂中への分散が不十分となり、直径が大きすぎると、微細気泡の発生という点から好ましくない。
(繊維長)
上記の複合繊維は、熱可塑性樹脂に混合配合されて用いられることから、短繊維で使用されることが好ましく、繊維長0.5〜30mm程度に切断されて使用されるのが好ましい。繊維長が長すぎると熱可塑性樹脂中への分散が難しくなり、繊維長が短すぎると切断することが技術的に困難になり、また、コストもかかることになる。
(複合繊維の水分調整)
本発明においては、上記の海島複合繊維に水分を含有させて、熱可塑性樹脂と混合して溶融成形して、成形時に気泡を発生させることが特徴である。含有させる水分量(JIS L1015に準拠)としては、2〜30重量%(対繊維重量)の範囲内であることが好ましく、2%未満であると、気泡の発生が少なく、溶融成形時に繊維塊が発生する場合があり、また、30%を超えると、気泡の発生量が大きくなりすぎて、微細な気泡が均一に分散した成形物を得にくくなるおそれがある。
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いられる気泡含有樹脂成形体を形成するために用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(低密度、高密度、直鎖状低密度)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム共重合体、プロピレン−4メチルペンテン1ランダム共重合体、ポリブテン、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリウレタンエラストマ−、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルゴムなどが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、100℃以上、好ましくは150〜200℃の成形温度で成形される。水の蒸発による気泡生成のため、成形温度は100℃以上であることを必要であるが、成形温度が150℃以下では気泡の形成に時間を要し、また、一方、200℃を超えると複合繊維の島成分であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体がメルトしてゲル化が起こり、気泡が均一に分散しにくくなる傾向がある。
(成形体の製造)
上記したように、0.5〜30mmに切断され、水分調整された複合繊維は、上記の熱可塑性樹脂を粒子状にして、または熱可塑性樹脂を軟化させながら混合され、常法により押出成形、射出成形などの成形法による成形により所望の成形品に成形することができる。
水分調整された複合繊維は、所定温度、好ましくは150〜200℃に加熱されながら熱可塑性樹脂と混合される過程において、複合繊維中の吸水性A成分の溶融に伴う、複合繊維内部に含まれる結晶水、自由水に由来する水分が蒸発して気泡となり、気泡含有の熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。複合繊維は0.5〜3.0mmと短繊維に切断されて熱可塑性樹脂中に配合されることにより、発生した気泡が均一に分散した熱可塑性樹脂成形体を得ることができる。
本発明においては、複合繊維が、吸水性のA成分(島)を、非吸水性で、かつ、A成分よりも低融点のB成分(海)で覆った海島型複合繊維となっているため、A成分が島状に分散しつつ、気泡を発生させる。このため、A成分のサイズに応じた微細な気泡を均一に形成することができる。すなわち、第1段階では、未溶融の繊維が樹脂中に均一に分散され、第2段階で少なくとも100℃以上に加熱されることにより、まず、B成分の溶融が起こり、これによりA成分が分散しつつ気泡を発生させ、熱可塑性樹脂成形体内に微細な気泡が均一に分散した成形体を得ることができる。
得られる成形体内の気泡のサイズとしては、1〜500μm、好ましくは3〜400μm、さらに好ましくは5〜300μmの範囲にある。繊維状のA成分に含有した水分に蒸発により気泡が形成されるので、気泡の形状は円筒形状となる傾向にある。
また、得られる成形体の気泡の容積率(=気泡部面積/観察面積×100)は、1〜99%、好ましくは、2〜80%、より好ましくは、5〜50%の範囲にある。1%未満では、気泡含有による効果(軽量、断熱性、吸音性など)が不十分であり、気泡の含有率が99%を超えると、成形品がもろくなる、成形性が不良になるなどの成形品としての性能が不十分となる傾向にある。
(樹脂に対する複合繊維の添加量)
樹脂に対する複合繊維の添加量は、0.1〜20重量%、好ましくは、0.2〜10重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%の範囲内にあるのが好ましく、添加量が少なすぎると、気泡含有による効果(軽量性、断熱性、吸音性など)が十分でなく、添加量が多すぎると、もろくなる、成形性が不良になるなどの成形品としての性能が不十分となる傾向にある。
(用途)
得られた気泡含有熱可塑性樹脂成形体は、気泡含有により断熱性、軽量性、緩衝性、吸音性などの特性が向上するので、これらの特性が要求される用途に好適に適用される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
<実施例1〜13>
(1)海島型複合繊維の作製
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、エチレン含有量44モル%、けん化度99%、融点:165℃)(EVOH)とポリエチレン(融点:125℃)(PE)とをそれぞれの溶融押出機に供給し、EVOHを230℃、PEを260℃で溶融して、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が島成分、ポリエチレンが海成分となるように海島型複合紡糸ノズル(紡糸ノズルの単孔断面の形状:円形)から吐出して紡糸し(紡糸温度270℃)、表1に示すような、海島比率、島数、島繊維径、繊維径(複合繊維)を有する海島型複合繊維を作製した。
(2)含水複合繊維の調整
得られた複合繊維(フィラメントヤーン)を束ねて、カッターで表1に示す繊維長(mm)に切断し、切断した繊維の集合体をかき混ぜながらスプレーにより水分を供給して、複合繊維の水分含有率を表1に示すように調整した。
(3)熱可塑性樹脂成形体の作製
水分を含有した前記複合繊維を表1に示す添加量(水分を含まない繊維の樹脂に対する
重量比)で熱可塑性樹脂(IPA変性ポリエステル、融点100℃)と混合し、成形温度190℃で成形体(幅:10cm、長さ:10cm、厚み:5mm)を成形した。
(4)成形体の評価
得られた成形品の気泡状況、繊維の分散状況を観察により判定し、判定結果および気泡率(気泡容積率)、気泡径の測定結果を表1に示した。
<比較例1>
島成分としてポリプロピレン(融点:170℃)、海成分として実施例1と同じポリエチレンを用いて、表1に示す条件で実施例1と同様の海島型複合繊維を得た。この複合繊維に実施例1と同様の水分供給処理を行った後(繊維の水分率:0%)、熱可塑性樹脂に混合して成形体を得た。
<比較例2>
島成分としてナイロン6(融点:230℃)、海成分として実施例1と同じポリエチレンを用いて、表1に示す条件で実施例1と同様の海島型複合繊維を得て、この複合繊維に実施例1と同様の水分供給処理を行った後(繊維の水分率:8%)、熱可塑性樹脂に混合して成形体を得た。
<比較例3>
島成分として、実施例1と同じエチレン−ビニルアルコール系共重合体、海成分として、ポリプロピレン(融点:170℃)を用いて、表1に示す条件で、実施例1と同様に複合繊維を作製し、実施例1と同様に水分供給を行った後(繊維の水分率:8%)、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂成形体を得た。
(4)成形体の評価
得られた成形品の気泡状況、繊維の分散状況を観察により判定し、判定結果および気泡率(気泡容積率)、気泡径の測定結果を表1に示した。
Figure 0006092675
いずれの実施例でも微細な気泡を含有した熱可塑性樹脂成形体を得ることが出来た。
実施例2では、複合繊維の繊維径が小さい(10μm)ために成形体の気泡径は小さく(7.6μm)、一方、実施例3では、複合繊維の繊維径が大きい(300μm)ために成形体の気泡径が大きく(232μm)、繊維径により気泡のサイズが変えられることがわかる。
また、実施例8では、島繊維径が大きい(28μm)複合繊維が用いられているが、この場合の気泡径は大きく(112μm)、実施例9は、島数が大きく(1000)、島繊維径が小さい(0.9μm)複合繊維が用いられているが、この場合の気泡径は小さい(3.6μm)。実施例10では、複合繊維の水分率を低く(2%)しており、実施例11では逆に水分率を高く(30%)しているが、水分率が低いと気泡率が低く(2.7%)、水分率が高くなると気泡率が高く(29.0%)なっている。実施例12では、複合繊維の添加量が少なく(0.2%)、このため得られた成形体の気泡率が低く(2.1%)なっているが、実施例13では、添加量が多く(20%)、このため成形体の気泡率の高い(68.6%)の成形体が得られている。
一方、比較例1では、複合繊維を、島成分をポリプロピレン、海成分をポリエチレンにより形成したために水分の吸収がなく、気泡含有成形体を得ることができなかった。比較例2では、島成分をナイロン(ナイロン6)、海成分をポリエチレンにより形成したので、ナイロンは吸水したが、成形温度190℃では、ナイロンが溶融しないために、気泡発生が充分でなかった。比較例3では、島成分をエチレン−ビニルアルコール系共重合体(融点:165℃)、海成分を高融点ポリプロピレン(融点:170℃)により形成したので、エチレン−ビニルアルコールが水分を吸収したが、海成分のポリプロピレンの融点がエチレン−ビニルアルコール系共重合体よりも高いために、成形時にポリプロピレンの分散が不十分で、このため成形体に気泡が均一に分散していなかった。
本発明によれば、微細な気泡が均一に含有する熱可塑性樹脂成形体が得られるので、得られた成形体は、気泡の存在による断熱性、軽量性、緩衝性、吸音性などの特性を要求される用途に適用可能であるので、産業上の利用可能性を有する。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置換ができることが理解可能であろう。

Claims (5)

  1. 吸水性のA成分(島)と、非吸水性で、かつ、A成分よりも低融点のB成分(海)とからなる海島型複合繊維に水分を含有させて、熱可塑性樹脂と混合し、
    100℃以上の温度に加熱して、前記樹脂を溶融させるとともに、水分の蒸発による気泡を発生させながら成形を行うことを特徴とする、気泡含有樹脂成形体の製造方法。
  2. A成分が、エチレン−ビニルアルコール系ポリマーである、請求項1記載の製造方法。
  3. B成分が、ポリオレフィン系ポリマーである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により成形された気泡含有樹脂成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法に使用される海島型複合繊維であって、短繊維である海島型複合繊維
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