JP6092631B2 - 床型枠用鋼製デッキプレート - Google Patents
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Description
当該底面型枠として使用されるデッキプレートとしては、所定の幅と所定の長さを有する個々のデッキプレートを複数種類用意しておき、現場の梁間の長さや幅に応じて、適切なデッキプレートを選択して使用するものであるが、当該デッキプレートの製造者側としては、当該デッキプレートに一般的に求められる強度と重量、並びにそれに見合う適切な製造コスト等が重要な課題となっている。
当該デッキプレートに於ける当該脚部の数は、特に特定されてはいないが,例えば2本の場合であっても良く、或いは3本の場合であっても良く、更には5本設ける場合であっても良い。
一方、特開2012−127100号公報(特許文献3)には、当該デッキプレートのスパン方向に沿って互いに平行する3本の脚部が形成されているデッキプレートであって、当該脚部の形状が、一部が平板状部で構成され、当該平板状部の下端部に、正三角形状の断面を有する膨出部が接合されている構造を有するデッキプレートが示されている。
又、別の観点からは、例えば、作業効率の観点から、一定の重量の鋼板から、そこそこの強度を維持しながら、最大の被覆面積、つまり当該デッキプレートの最大平面面積が得られるようにそのスペックやその形状を決定していくという検討も行われてきている。
その結果、従来では、当該デッキプレートのスパン方向と直交する幅としては、例えば、200〜700mm、スパン方向の長さが1000から6000mm、又、当該脚部の高さは、略75mmで、当該脚部の個数は2乃至5個、更に当該脚部間の間隔は、200から210mmの各範囲内で多種多様なデッキプレートが使用されてきている。
即ち、本発明に係る当該床型枠用鋼製デッキプレートは、所定の幅と所定のスパン長を有する鋼製板から一体的に形成された床型枠用鋼製デッキプレートであって、当該床型枠用鋼製デッキプレートは、スパン方向に平行で、且つ互いに平行となる様に配置された3本の脚部が、当該床型枠用鋼製デッキプレートの平面板部の裏面より下方に向けて垂下せしめられており、当該脚部の内の第1の脚部は、当該平面板部の当該スパン方向に沿った第1の端縁部近傍に配置せしめられていると共に、少なくとも、第2及び第3の当該各脚部が、当該第1の脚部と当該第2の脚部間の間隔と当該第2と第3の脚部間の間隔がいずれも等しくなる様に配置せしめられており、然も、当該各脚部のそれぞれは、当該平面板部の裏面から所定の距離だけ降下した部位までは、当該鋼製板が2枚張り合わされて形成された板壁状部分と、当該板壁状部分の下方端部に一体的に形成された、当該鋼製板が連続した状態で折り曲げられて形成された、底辺の長さよりも高さが大なる様に設定された三角形状の空間部を有する膨出部とが形成されており、且つ、当該各脚部間の間隔が、175mmであって、当該各脚部の垂下長さが100mmであり、又、当該三角形部分の底辺部の長さに対する高さの比が、1.5乃至2.8である事を特徴とする床型枠用鋼製デッキプレートである。
更に、本発明に係る当該床型枠用鋼製デッキプレート1の更なる具体的構成として、当該第3の脚部33と当該平面板部2の当該スパン方向Sに沿った第2の端縁部線9との間の間隔P3が、当該第1の脚部31と当該第2の脚部32間の間隔P1、若しくは当該第2と第3の脚部32、33間の間隔P2と等しい事を特徴と床型枠用鋼製デッキプレート1が示されている。
つまり、上記した通り、本発明の課題は、如何に、最も汎用性のある鋼製材料を使用して、最大の強度と最大の空間カバー面積を確保して、作業効率を最大化すると共に、コストの低減化を計れるかに於かれている。
一方、従来使用されている当該床型枠用鋼製デッキプレートは、個々の製造メーカーが独自の設計に基づいて、脚部の長さや脚部の間隔を決定して、製造販売しているが、上記課題の全てを理想的に満たす様な床型枠用鋼製デッキプレートは未だ完成されていない状態にある。
今回、発明者が行った実験に使用された鋼材は、一般的に当該床型枠用鋼製デッキプレートに使用される材質で、厚みが0.8mm、の鋼製板材を使用し、従来極一般的に使用されている、例えば、特開2012−127100号公報(特許文献3)等に開示されている様な、当該床型枠用鋼製デッキプレートのスパン方向と平行で、且つ当該デッキプレートの平面板部の裏面から下方に垂下している3本の脚部が形成されている構造のもので、当該スパン方向と直交する方向の幅が、作業効率を向上させると言う観点から、500mm以上となる床型枠用鋼製デッキプレートを使用した。
尚、本実験に於ける当該床型枠用鋼製デッキプレートの性能に関する判断基準としては、当該床型枠用鋼製デッキプレートの1m幅当たりの断面係数と展開幅(材料のロス量に関係する)とを採用している。
更に、上記各図に於けるグラフA1は、当該三角形の底辺の長さ(W)に対する当該床型枠用鋼製デッキプレートの1m幅当たりの断面係数との関係を示し、グラフA2は、当該三角形の底辺の長さ(W)に対する当該床型枠用鋼製デッキプレートの展開幅との関係を示すものである。
一方、上記各図に於けるグラフC1は、当該脚部の長さ(L)に対する当該床型枠用鋼製デッキプレートの1m幅当たりの断面係数との関係を示し、グラフC2は、当該脚部の長さ(L)に対する当該床型枠用鋼製デッキプレートの展開幅との関係を示すものである。
尚、上記各図に於ける判定基準線Dは、業界に於いて、必要最低限な当該床型枠用鋼製デッキプレートの1m幅当たりの断面係数として求められている値である29500mm3と、当該展開幅で材料のロス率が0に限りなく接近している値とに一致している条件に設定している。
上記各種の実験結果から判断する限り、当該脚部の長さ(L)に関しては、傾向として、グラフC1及びC2から明らかな通り、100mm近傍以下では、当該1m幅当たりの断面係数が低下して、床型枠用鋼製デッキプレートとしての性能が悪化することになり、又、展開幅に関しては、100mm近傍以上では、材料の幅が増大すると言う問題が発生すると同時に、図4及び図6に示す様に、上記各データ間にばらつきが存在する事がみられるが、図5に於いては、当該脚部の間隔(P1、P2、P3)が175mmに於いては、双方の実験データが当該理想的な判断基準と完全に一致する事が判明した。
一方、当該床型枠用鋼製デッキプレート1に於ける当該三角形部分4の構造に関しては、各図に於けるグラフA1及びA2から明らかな通り、当該三角形部分4の底辺の長さ(W)を30mm近傍に設定した場合では、当該長さ(W)を30mm近傍以下に設定すると、当該1m幅当たりの断面係数が低下して、床型枠用鋼製デッキプレートとしての性能が悪化することになり、又、展開幅に関しては、30mm近傍以上に設定すると、材料の幅が増大すると言う問題が発生すると同時に、図4及び図6に示す様に、上記各データ間にばらつきが存在する事がみられるが、図5に於いては、当該三角形部分の底辺の長さ(W)が30mm近傍に於いては、双方の実験データが当該理想的な判断基準と完全に一致する事が判明した。
更に、当該床型枠用鋼製デッキプレートに於ける当該三角形部分の構造に関しては、各図に於けるグラフB1及びB2から明らかな通り、当該三角形部分4の高さ(H)を60mm近傍に設定した場合には、当該脚部3の間隔(P1、P2、P3)を170mmに設定すると、当該高さ(H)を60mm近傍以上に設定した場合では、当該1m幅当たりの断面係数は良好な性能を示す一方、展開幅に関しては大幅なロス率を発生すると言う問題があり、一方、当該脚部3の間隔(P1、P2、P3)を180mmに設定し、当該高さ(H)を60mm近傍以下に設定した場合では、当該高さ(H)を60mm近傍以上に設定した場合では、当該1m幅当たりの断面係数は、悪化の方向を示す一方、展開幅に関してはロス率(材料の幅)が減少すると言う問題が明らかになり、前記実験データとは全く反対の結果が得られた。
従って、係る実験結果から、当該三角形部分4の高さ(H)は、当該脚部3の間隔(P1、P2、P3)が175mmに設定する場合には、図5から判断すると50mmから70mmに設定する事が望ましい事が判明した。
係る結果から、当該三角形部分の底辺の長さ(W)に対する高さ(H)の比率は、当該脚部3の間隔(P1、P2、P3)を175mmに設定する場合には、1.5から2.8の範囲に設定する事が望ましい構造である事が判明した。
(本発明に係る床型枠用鋼製デッキプレートの特性値)
即ち、上記した通り、本発明に於ける当該床型枠用鋼製デッキプレート1の特徴的構成の一つとして、当該脚部3の当該床型枠用鋼製デッキプレート1に於ける当該平面板2の裏面からの垂下長さを100mmとして、従来の類似の床型枠用鋼製デッキプレートに対して、かなり長い脚部を形成させたものであり、係る構造が、当該床型枠用鋼製デッキプレート1の強度の向上に大いに寄与していることが判明している。
係る構造に於いて、本発明に於いては、当該脚部3の長さを従来の床型枠用鋼製デッキプレートの脚部の長さよりもかなり長く形成するので、従来の床型枠用鋼製デッキプレート構造に於ける舟形部の構造では、その長さを効果的に吸収することが不可能であるのに対し、本発明に於いては、図9に示す様に、当該床型枠用鋼製デッキプレート1に於ける当該幅方向Tに形成された両端縁6及び7に於いて、部分的に当該鋼板を二重に折り重ね22、当該鋼板が全体として5層に積層された突起状部20を当該床型枠用鋼製デッキプレート1の平面板部2の表面に所定の高さを以て形成させる様にしたものである。
本発明では、係る構成を採用したことによって、当該床型枠用鋼製デッキプレート1の当該幅方向Tに形成された両端縁6及び7の強度を更に強化することが可能となったのである。
2…平面板部
3…脚部
4…三角形状の空間部を有する膨出部
6…幅方向に形成された端縁部
7…幅方向に形成された端縁部
8…第1の端縁部
9…第2の端縁部
10…板壁状部分
11…舟形の湾曲部
20…突起状部
22…二重に折り重ね部
31…第1の脚部
32…第2の脚部
33…第3の脚部
W…三角形部分の空間部の底辺部の長さ
H…三角形部分の空間部の高さ
P2…第2と第3の脚部間隔
P1…第1と第2の脚部間隔
P3…第3の脚部と第2の端縁部線との間の間隔
S…スパン方向
T…幅方向
L…脚部の高さ
Claims (2)
- 所定の幅と所定のスパン長を有する鋼製板から一体的に形成された床型枠用鋼製デッキプレートであって、当該床型枠用鋼製デッキプレートは、スパン方向に平行で、且つ当該スパン方向と直交する方向に、互いに平行となる様に配置された3本の脚部が、当該床型枠用鋼製デッキプレートの平面板部の裏面より下方に向けて垂下せしめられており、当該脚部の内の第1の脚部は、当該平面板部の当該スパン方向に沿った第1の端縁部近傍に配置せしめられていると共に、少なくとも、第2及び第3の当該各脚部が、当該第1の脚部と当該第2の脚部間の間隔と当該第2と第3の脚部間の間隔がいずれも等しくなる様に配置せしめられており、且つ、当該平面板部の当該スパン方向に沿った他方の端部である第2の端縁部には、当該脚部は配置されておらず、然も、当該各脚部のそれぞれは、当該平面板部の裏面から所定の距離だけ降下した部位までは、当該鋼製板が2枚張り合わされて形成された板壁状部分と、当該板壁状部分の下方端部に一体的に形成された、当該鋼製板が連続した状態で折り曲げられて形成された、底辺の長さよりも高さが大なる様に設定された三角形状の空間部を有する膨出部とが形成されており、且つ、当該各脚部間の間隔が、175mmであって、当該各脚部の垂下長さが100mmであり、又、当該三角形部分の底辺部の長さに対する高さの比が、1.5乃至2.8である事を特徴とする床型枠用鋼製デッキプレート。
- 当該平面板部の当該第1及び第2の端縁部に於ける、当該個々の脚部が個別に形成されている部位に於いて、当該個々の脚部が形成されている当該部位を中心として、当該スパン方向に沿った所定の長さを有し、且つ当該部位に於けるそれぞれの当該端縁部から当該スパン方向と直交する方向に所定の長さを有する所定の厚さを持った突起状部が形成されており、且つ当該突起状部は、当該平面板部を構成する当該鋼製板が、連続した状態で、部分的に二重に折り重ねられ、全体として5層に積層された構造体で形成されている事を特徴とする請求項1に記載の床型枠用鋼製デッキプレート。
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