JP6092262B2 - 酸素低減化を改良したクロージャーライナー組成物 - Google Patents

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Description

[0001]本発明は、酸素低減化(oxygen reduction)を改良したクロージャーライナー組成物に関する。
[0002]食品、飲料、および医薬の容器において使用するためのクロージャー(すなわちキャップ)は通常、プラスチックまたは金属、あるいは金属とプラスチックの両方で造られている。このようなクロージャーは一般に、容器開口部に気密シールをもたらすために、内表面にライナー(すなわちガスケット)を含む。容器中に詰められる製品の多くは、酸素の存在によって悪影響を受けることがあるので、クロージャーライナーが酸素侵入を防止するように作製されれば、それが特に望ましい。種々の製品は酸素感受性であり、酸素侵入を受けないよう保護されなければならない。最も典型的なのがビールである。このような酸素感受性製品(特にビール)は通常、金属クロージャー(すなわち王冠)で蓋をした瓶中に詰められる。
[0003]酸素侵入を防ぐためのライナー組成物を作製するために種々の方法が使用されている。1つの方法では、例えば米国特許第5,075,362号と欧州特許第0328336号に記載のように、ライナー組成物は、クロージャーライナーの形態に成形できるベースポリマー組成物中にブレンドされた酸素スカベンジャー(例えば、アスコルビン酸塩や亜硫酸塩)を含む。このタイプのクロージャーライナーを使用すると、製品を詰め込んだときに、酸素スカベンジャーが、容器のヘッドスペース中の残留酸素の量を減少させるだけでなく、クロージャーを透過する外部酸素を消費する。酸素スカベンジャーは、水蒸気が存在すれば酸素と反応する(しかしながら、湿気がなければ実質的に不活性である)還元剤であるので、ベースポリマー組成物は、酸素と水蒸気が、ベースポリマー中に組み込まれている酸素スカベンジャーに達するのを可能にするよう、酸素と水蒸気の両方に対して幾らかの透過性を有していなければならない、と合理的に結論づけされている。
[0004]酸素侵入を防止するための別のアプローチは、酸素バリアであるライナー組成物を使用することである(すなわち、ライナーが酸素の侵入を防ぐ物理的バリアである)。このようなライナー組成物は、例えば米国特許第6,677,397号に開示されており、クロージャーライナーの形態に成形することができるベースポリマー組成物中に、ポリイソブチレンを酸素バリア材料として含む。このタイプのライナーは、外部酸素の容器中への侵入を減らすとはいえ、容器のヘッドスペース中の酸素の量は減らさない。
[0005]酸素侵入を防ぐためのさらなるアプローチは、酸素スカベンジャーと酸素バリアの両方を含むクロージャーライナーを使用することである。このようなアプローチは、例えば米国特許第6,194,042号に開示されている。しかしながら、該特許に記載のライナーは複数の層からなり、このとき1つの層が酸素掃去材料を含む発泡層であり、他の別個の層がガスバリア層として機能する。この発泡層により、酸素(および湿気)のフリーフローが酸素スカベンジャーと接触することができる。このような多層デバイスは、複数の異なる製造工程段階(例えば、多層ライナーシートを同時押出して、次いで個々のライナーに成形し、次いでキャップ中に入れ込む)を必要とするので、製造する上でコストがかかり且つ複雑である。
[0006]酸素低減化特性(oxygen reduction properties)を改良した、そしてこれにより保存寿命を改良したクロージャーライナー組成物を提供することが極めて望ましい。さらに、コスト効率が良くて、且つ単一の製造工程にて加工することができる(例えば、瓶王冠等のクロージャーに成形できる)クロージャーライナー組成物を提供することが極めて望ましい。さらに、他の望ましくないガスや溶剤〔例えばトリクロロアニソール(TCA)〕からの汚染を防止するクロージャーライナー組成物を提供することが望ましい。
米国特許第5,075,362号 欧州特許第0328336号 米国特許第6,677,397号 米国特許第6,194,042号
[0007]本発明は、熱可塑性ポリマーと酸素バリアポリマーと粒状の酸素掃去材料との混合物(またはブレンド)を含むクロージャーライナー組成物を包含する。酸素バリアポリマーはポリイソブチレンを含むのが好ましい。粒状酸素掃去材料は、亜硫酸のアルカリ金属塩、アスコルビン酸のアルカリ金属塩、イソアスコルビン酸のアルカリ金属塩、およびこれら材料の2種以上の混合物からなる群から選択するのが好ましい。言い換えると、酸素掃去材料は、亜硫酸アルカリ金属塩、アスコルビン酸アルカリ金属塩、またはイソアスコルビン酸アルカリ金属塩の1種以上であってよい。本発明のクロージャーライナー組成物は、優れた酸素低減化特性と改良された保存寿命をもたらす。
[0008]上記のクロージャーライナー組成物を使用してクロージャー用のライナーを製造することができる。ライナーは、単一層として製造するのが好ましい。ライナーが2層以上の層を含む場合は、少なくとも1層が上記のクロージャーライナー組成物を含まなければならない。
[0009]本発明はさらに、容器のためのクロージャーを含み、ここで該クロージャーが、上記クロージャーライナー組成物から製造されるクロージャーライナーを含む。本発明は特に、飲料容器用の金属製王冠に関し、このとき該金属製王冠が、上記クロージャーライナー組成物から製造されるクロージャーライナーを含む。本発明はさらに、製品を充填した容器を包含し、このとき該容器が、上記クロージャーライナー組成物から製造されるライナーを含むクロージャーによって蓋をされる。本発明は特に、飲料を充填した瓶を包含し、このとき該瓶が、上記クロージャーライナー組成物から製造されるライナーを含む金属製王冠によって蓋をされる。
[0010]図1は、酸素スカベンジャー材料(A)または酸素バリアポリマー(B)のどちらかを含むクロージャーライナーと比較したときの、酸素スカベンジャー材料と酸素バリアポリマーの両方を含む本発明のクロージャーライナー(C)の、時間経過に対する酸素低減化(すなわち吸収/遮断)特性を示すグラフである。 [0011]図2は、図1に含まれているデータのグラフであるが、グラフの拡大を可能にするために対照標準を入れていない。このグラフにより、クロージャーライナーAおよびBと比較したときの、本発明のクロージャーライナー(C)の時間経過に対する酸素低減化特性がより明確にわかる。
[0012]本発明のクロージャーライナー組成物は特に、組成物の総重量を基準として、40%〜80%の、好ましくは50%〜70%の熱可塑性ポリマー;5%〜80%の、好ましくは10%〜30%の酸素バリアポリマー;および1%〜30%の、好ましくは3%〜20%の、さらに好ましくは5%〜15%の粒状酸素掃去材料;を含むのが有利である。
[0013]酸素バリアポリマーはポリイソブチレンを含むのが好ましく、実質的にポリイソブチレンからなるのがさらに好ましい。ポリイソブチレンは通常、イソブチレンと少量(例えば約2重量%)のイソプレンとのコポリマーである。粒状酸素掃去材料は、亜硫酸アルカリ金属塩、アスコルビン酸アルカリ金属塩、イソアスコルビン酸アルカリ金属塩、およびこれら材料の2種以上の混合物からなる群から選択するのが好ましい。好ましいアルカリ金属はナトリウムまたはカリウムである。亜硫酸ナトリウムが酸素掃去材料として特に好ましい。粒状酸素掃去材料は、約0.1μm〜約50μmの範囲の平均粒径を有するのが好ましい。
[0014]熱可塑性ポリマーは一般に、酸素や水蒸気に対して透過性でなければならないか、あるいは少なくとも幾分かは透過性でなければならない。熱可塑性ポリマーは通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、スチレンブタジエンゴム、カルボキシル化スチレンブタジエン、ポリイソプレン、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン(メタ)アクリレートコポリマー(例えばエチレンブチルアクリレートコポリマー)、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニルホモポリマーもしくは塩化ビニルコポリマー、スチレンアクリルポリマー、ポリアミド、ビニルアセテートポリマー、およびこれらの1種以上のブレンドからなる群から選ばれる1種以上のポリマーを含む。特に好ましい熱可塑性ポリマーとしては、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン(特に高密度ポリエチレン)、およびこれらのブレンドがある。
[0015]本発明のクロージャーライナー組成物は、組成物の特質および所望する特性に応じて、充填剤、スリップ助剤、加工助剤、顔料、滑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、可塑剤、鉱油、粘着付与樹脂、および他の従来の添加剤等の他の任意の成分を従来の量にて含有してよい。このような添加剤の総量は、組成物の重量を基準として一般には20重量%未満であり、好ましくは10重量%未満である。
[0016]クロージャーライナー組成物のための上記成分を二軸スクリュー配合プロセス(例えば、約150℃〜220℃の段階溶融温度(step melt temperature)を使用する)にて処理してペレットを製造し、次いでこのペレットを、一般には高速常温成形法によりクロージャーライナーに成形することができる。上記クロージャーライナー組成物で製造されるクロージャーライナーは、70ショアーA〜100ショアーAのショアー硬度および0〜20g/分のメルトフローインデックス(MFI)(2.16kg,190℃)を有するのが好ましい。
[0017]クロージャーライナーは、予備成形しておいて、次いでクロージャー中に挿入することもできるし、あるいは好ましくは、クロージャーの内側部分に直接(すなわちその場で)成形することもできる(特に、クロージャーが、瓶に蓋をする際に使用するための金属製王冠である場合)。次いで、ライナーを含んだクロージャーを、製品を充填した容器(例えば、ビールを充填した瓶)に嵌めることができる。
[0018]クロージャーライナーは、下記の表1に示すクロージャーライナー組成物から製造される。組成物AとBは、比較のための先行技術による組成物であり、組成物Cが本発明の組成物である。組成物Aは酸素掃去材料(亜硫酸ナトリウム)を含むが、酸素バリアポリマーを含まない。組成物Bは、酸素バリアポリマー(ポリイソブチレン)を含むが、酸素掃去材料を含まない。組成物Cは、酸素掃去材料(亜硫酸ナトリウム)と酸素バリアポリマー(ポリイソブチレン)の両方を含む。
[0019]クロージャーライナーペレットの製造。組成物の全成分を、二軸スクリュー押出機にて150℃〜220℃の溶融温度でブレンドして、組成物A、B、およびC、ならびに対照標準(酸素バリアと酸素掃去材料を含まない)のそれぞれに対するペレットを得る。
[0020]ライニングされた王冠クロージャーの製造。上記の押出ペレットを溶融し、溶融物を王冠クロージャー中に置き、従来の王冠ライニング装置を使用して常温成形する。
クロージャーライナーは、王冠(クロージャー)殻の内表面によく接着する。
[0021]物理的バリア試験。ライニングされた王冠クロージャーを、物理的バリア性能〔すなわち、汚染物質である2,4,6−トリクロロアニソール(TCA)の透過を阻止する能力〕に関して試験する。5%エタノール溶液を収容する瓶を、試験王冠(上記ライナーA、B、およびC含む)で密閉する。次いで、瓶を、TCAを含有する制御された環境に置き、検出可能なレベルのTCAがサンプルと対照標準を透過するまで30日間保存する。サンプルを液体/液体抽出とGC/MS分析に付して、瓶中に透過したTCA汚染物質を測定する。結果を表2に示す。
[0022]上記のデータからわかるように、組成物Cは、TCAに対する優れた物理的バリア特性を有し、このことは、組成物Cがさらに、酸素に対する物理的バリアとしても機能するということを意味している。組成物Bのバリア性能と比較すると、組成物C中に酸素スカベンジャーが存在しても、物理的バリア性能に悪影響を及ぼさないということがわかる。
[0023]酸素低減化試験。ライニングされた王冠で、酸性化した炭酸水を充填した330mlのガラス瓶を閉じる。充填工程の前に、瓶の内側に酸素センサーを接着剤でつける。62℃で20分低温殺菌した後、瓶を約22℃で保存して酸素含量を測定する。酸素含量の測定は、瓶を振とうして非侵襲的方法(Oxysense(商標)101)を使用して行う。この方法は、時間の経過に対する容器中の酸素の量を測定するもので、したがって、容器内の酸素を掃去する上での、及び/又は、酸素が容器中に透過してくるのを阻止する上での、王冠ライナーの性能を評価するものである。
[0024]組成物A、B、およびCで製造されるクロージャーライナーを含む王冠が、対照標準と比較したときの、充填瓶中の酸素レベルを低減できる能力を図1に示す。図からわかるように、本発明の組成物Cで製造されるクロージャーライナーは、酸素の低減が最も大きく、低レベルの酸素が300日超にわたって保持される。これとは対照的に、組成物AとBで製造されるクロージャーライナーは、酸素レベルの低減の程度がはるかに小さく、期間が長くなるにつれて酸素レベルが増大する。組成物Aと組成物BおよびCとの性能差は、図2(図1に示すのと同じデータに基づいたグラフであるが、グラフを拡大するために対照標準を含んでいない)においてより明確に示されている。
[0025]組成物Cで製造されるクロージャーライナーの優れた性能は、2つの点で驚くべきである。第一に、酸素スカベンジャー材料は、活性化される上で湿気の存在を必要とする。バリアポリマーを含有するライナーは、バリアポリマーなしのライナーと比較して、水に対する透過性がより低いはずなので、湿気の透過を少なくすることによってより低い酸素スカベンジャー効率を有すると考えられる。第二に、バリアポリマーを含有するライナーは、バリアポリマーなしのライナーと比較して、酸素に対する透過性が低いので、酸素の透過を少なくすることによってより低い酸素スカベンジャー効率を有すると考えられる。言い換えると、バリアポリマーによって、湿気と酸素が酸素スカベンジャー材料と接触するのが阻止される、と考えられる。本実施例は、それが事実と異なるということを示している。ライナーの酸素スカベンジャー性能は、バリアポリマーによって悪影響を受けない。実際、図からわかるように、組成物Cで製造されるライナーは、組成物Aで製造されるライナーより速やかに反応する。

Claims (11)

  1. 熱可塑性ポリマーと酸素バリアポリマーと粒状酸素掃去材料とを含むクロージャーライナー組成物であって、
    組成物の重量を基準として、熱可塑性ポリマーを40〜80重量%、ポリイソブチレンを含む酸素バリアポリマーを5〜50重量%、ならびに亜硫酸アルカリ金属塩、アスコルビン酸アルカリ金属塩、イソアスコルビン酸アルカリ金属塩、およびこれら材料の2種以上の混合物からなる群から選ばれる粒状酸素掃去材料を1〜30重量%含む、組成物
  2. 粒状酸素掃去材料が亜硫酸アルカリ金属塩を含む、請求項1に記載のクロージャーライナー組成物。
  3. 粒状酸素掃去材料が亜硫酸アルカリ金属塩及びアスコルビン酸アルカリ金属塩である、請求項1または2に記載のクロージャーライナー組成物。
  4. 組成物の重量を基準として、熱可塑性ポリマーを50〜70重量%、ポリイソブチレンを含む酸素バリアポリマーを10〜30重量%、ならびに亜硫酸アルカリ金属塩、アスコルビン酸アルカリ金属塩、イソアスコルビン酸アルカリ金属塩、およびこれら材料の2種以上の混合物からなる群から選ばれる粒状酸素掃去材料を3〜20重量%含む、請求項1に記載のクロージャーライナー組成物。
  5. 熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、スチレンブタジエンゴム、カルボキシル化スチレンブタジエン、ポリイソプレン、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニルホモポリマーもしくは塩化ビニルコポリマー、スチレンアクリルポリマー、ポリアミド、ビニルアセテートポリマー、およびこれらの1種以上のブレンドからなる群から選ばれる1種以上のポリマーを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物。
  6. 粒状酸素掃去材料が亜硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物。
  7. クロージャーが、請求項1〜のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物から製造されるクロージャーライナーを含む、容器用のクロージャー。
  8. 金属製王冠が、請求項1〜のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物から製造されるクロージャーライナーを含む、飲料容器用の金属製王冠。
  9. 容器がクロージャーによって蓋をされ、このときクロージャーが、請求項1〜のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物から製造されるクロージャーライナーを含む、製品が充填された容器。
  10. 瓶が、請求項1〜のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物から製造されるライナーを含む金属製王冠によって蓋をされる、飲料が充填された瓶。
  11. 酸素バリアポリマーがポリイソブチレンであり、粒状酸素掃去材料が亜硫酸ナトリウムである、請求項1〜6のいずれかに記載のクロージャーライナー組成物。
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