以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカッティングプロッタの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
まず、図1乃至図2を参照しながら、本発明によるカッティングプロッタの第1の形態について説明する。
図1には、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタが示されており、また、図2には、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタの要部の構成を示すブロック構成説明図が示されている。
即ち、本発明によるカッティングプロッタ10は、ペーパームーブタイプのカッティングプロッタであり、入力されたカッティングデータに基づいて、ベースシート上に粘着剤で表面シートが密着した2層構造のシート22を所定の方向に搬送するとともに、シート22の搬送方向と直交する方向にキャリッジ24を移動させて、キャリッジ24に取り付けられたカッター26によりシート22を所望の形状に切断するようになされている。
具体的には、シート22は、プラテン12の両側に設けられた駆動ローラー14、16と、その上方側に配設されたピンチローラー18、20とで挟持した状態で、駆動ローラー14、16が駆動することにより、XYZ直交座標系のY軸方向に移動する。
そして、シート22をY軸方向で移動させながら、キャリッジ24をX軸方向に移動させることにより、キャリッジ24に取り付けられたカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)でシート22の表面シートを任意の形状に切断するようになされている。
また、カッティングプロッタ10は、CPU30に接続されたインターフェース32において、シリアルケーブルなどを介して、外部のホストコンピューター(図示せず。)のインターフェースと接続可能となっている。
CPU30には、バスを介して全体の動作や種々の処理をするための所定のプログラムを格納したROM(リードオンリメモリ)34と、CPU30によるプログラム実行時に必要な各種レジスタなどが設定されたワーキングエリアとしてのRAM(ランダムアクセスメモリ)36と、Xモータードライバー38と、Yモータードライバー40とが接続されている。
Xモータードライバー38には、カッター26が取り付けられたキャリッジ24をX軸方向に移動させるXモーター42が接続されている。
Yモータードライバー40には、駆動ローラー14、16を介してシート22をY軸方向に移動させるYモーター44が接続されている。
そして、CPU30は、Xモーター42およびYモーター44の励磁のオン・オフならびにオン時における駆動を制御する。
次に、図3を参照しながら、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10について、詳細に説明することとする。
図3には、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10の機能的構成を表すブロック構成説明図が示されている。
本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10は、カッティングデータ、分割線の間隔、分割線の方向などの情報を記憶する記憶部50と、カッティングデータに基づいて、カッティング形状を作成するカッティング形状作成部52と、分割線の間隔および分割線の方向を示す情報から、シート22上において分割線を形成する位置たる分割線形成位置を取得する分割線形成位置取得部54と、作成されたカッティング形状のアウトラインと、取得した分割線形成位置との交点を取得する交点取得部56と、取得した交点位置に基づいて余白部分の分割線を決定し、決定した分割線に基づいて余白部分に分割線を作成する第1の分割線作成部58とを有して構成されている。
より詳細には、分割線発生位置取得部54は、記憶部50に記憶された分割線の間隔および分割線の方向を示す情報に基づいて、カッティング形状が作成されていないシート22上において、分割線が発生する位置を取得する。
なお、この記憶部50に記憶された分割線の間隔および分割線の方向を示す情報については、事前に記憶部50に記憶されているものとする。
また、交点取得部56は、カッティング形状作成部52において作成されたカッティング形状のアウトラインと、分割線発生位置取得部54において取得した分割線発生位置との交点を取得する。
第1の分割線作成部58は、分割線形成位置上の始端、終端および交点取得部56において取得された交点に基づいて、余白部分に分割線を形成する。
このとき、分割線は、分割線形成位置上の異なる2点間(始端、終端、交点取得部56で取得した交点のうちの2点である。)を結ぶ切り込み線となるが、分割線を形成する際には、第1の分割線形成部58において、当該2点間の所定の点を切り込みを開始する点として設定する。
なお、この所定の点は上記2点との距離が、少なくともカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となるように設定される。
このカッター刃のオフセット量とは、カッター刃の先端とカッター刃の中心との距離に相当するものである(図14を参照する。)。
以上の構成において、カッティングプロッタ10によりカッティングデータに基づいてカッティング形状の作成を開始する指示がなされると、カッティング処理が開始され、このカッティング処理においては、まず、分割線形成位置取得部54において、カッティング形状を形成していないシート22上での分割線を形成する位置たる分割線形成位置を取得する(ステップS402)。
なお、この分割線形成位置は、記憶部50に予め記憶されている分割線の間隔および分割線の方向を示す情報に基づいて取得されるものである。
具体的には、例えば、分割線の間隔が「p」、分割線の方向が「シート22のx座標の始端0から終端Xm」の場合には、ステップS402の処理においては、図5(a)に示すような分割線形成位置が取得される。
即ち、図5(a)においては、シート22上に左方側から右方側にY1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6の分割線形成位置を取得する。
次に、カッティング形状作成部52において、カッティングデータに基づいてシート22にカッティング形状を形成する(ステップS404)とともに、交点取得部56において、形成したカッティング形状のアウトラインとステップS402の処理で取得した分割線形成位置との交点を取得する(ステップS406)。
即ち、このステップS404の処理においては、カッティング形状作成部52において、例えば、文字「D」の外形を表すカッティングデータに基づいて、図5(b)に示すように、シート22に「D」の文字をカッティング形状として形成する。
そして、ステップS406においては、ステップS404の処理でカッティング形状を形成する際に、カッティング形状のアウトラインがステップS402の処理で取得した分割線形成位置上に存在するか否かを判断し、当該アウトラインが当該分割線形成位置上に存在する点を、カッティング形状のアウトラインと分割線形成位置の交点として取得する。
具体的には、シート22に「D」の文字をカッティング形状として作成する際には、図5(b)に示すように、カッティングデータに基づいて形成した文字「D」において、アウトラインのY座標が分割線形成位置Y1〜Y6のY座標と一致するか否かを判断し、a1〜a16の交点が抽出され、抽出された順に分割線形成位置Y1〜Y6上に存在する交点のX座標を記憶した交点テーブルを作成する。その後、こうして作成した交点テーブルは、分割線の方向に対して出現順に並び替えられる。
なお、上記したステップS402〜406の処理については、上記した特許文献1に開示された技術を用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
その後、この交点に基づいて、第1の分割線作成部58において、切り込み開始点を1点設定して分割線を形成し(ステップS408)、カッティング処理を終了する。
即ち、このステップS408の処理においては、分割線形成位置上のA点からB点まで分割線を形成する場合には、分割線形成位置のA点からB点までの間に位置するC点を分割線を形成する際の切り込み開始点とし、このC点からA点に向かって分割線の切り込みを行う。
その後、カッター26をC点まで戻し、C点からB点まで分割線の切り込みを行う。
このとき、点Cは、点Aおよび点Bとの距離が、カッター26のオフセット量より大きい値となっている。
具体的には、分割線形成位置Y3に着目すると(図5(b)を参照する。)、この分割線形成位置Y3においては、始端Q点から交点a3までの分割線l1と、交点a12から交点a15までの分割線l2と、交点a8から終端R点までの分割線l3とが形成される(図6(a)を参照する。)。
分割線l1を形成する際には、分割線形成位置上の始端Q点から交点a3までの間に位置するC1点を分割線l1を形成する際の切り込み開始点とする(図6(b)を参照する。)。
このとき、C1点は、始端Q点からC1点までの距離およびC1点から交点a3までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、例えば、始端Q点と交点a3との中点に設けられる。
そして、このC1点から始端Q点までカッター26により切り込みを行い(図6(c)を参照する。)、カッター26をC1点まで戻すとともに、C1点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転した後、C1点から交点a3まで切り込みを入れることにより(図6(d)を参照する。)、始端Q点から交点a3までの分割線l1を形成する。
つまり、分割線l1を形成する際には、カッター26によりC1点を始点、始端Q点を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をC1点に戻し、カッター26によりC1点を始点、交点a3を終点として切り込みを形成することとなる。
また、分割線l2を形成する際には、分割線形成位置上の交点a12から交点a15までの間に位置するC2点を分割線l2を形成する際の切り込み開始点とする(図6(b)を参照する。)。
このとき、C2点は、交点a12からC2点までの距離およびC2点から交点a15までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、例えば、交点a12と交点a15との中点に設けられる。
そして、このC2点から交点a12までカッター26により切り込みを行い(図6(c)を参照する。)、カッター26をこの点C2まで戻すとともに、C2点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転した後、C2点から交点a15まで切り込みを入れることにより(図6(d)を参照する。)、交点a12から交点a15までの分割線l2を形成する。
つまり、分割線l2を形成する際には、カッター26によりC2を始点、交点a12を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をC2点に戻し、カッター26によりC2点を始点、交点a15を終点として切り込みを形成することとなる。
さらに、分割線l3を形成する際には、分割線形成位置上の交点a8から終端R点までの間に位置するC3点を分割線l3を形成する際の切り込み開始点とする(図6(b)を参照する。)。
このとき、C3点は、交点a8からC3点までの距離およびC3点から終端R点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、例えば、交点a8と終端R点との中点に設けられる。
そして、このC3点から交点a8までカッター26により切り込みを行い(図6(c)を参照する。)、カッター26をこの点C3点まで戻すとともに、C3点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転した後に、C3点から終端R点まで切り込みを入れることにより(図6(d)を参照する。)、交点a8から終端R点までの分割線l3を形成する。
つまり、分割線l3を形成する際には、カッター26によりC3点を始点、交点a8を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をC3点に戻し、カッター26によりC3点を始点、終端R点を終点として切り込みを形成することとなる。
さらにまた、分割線形成位置Y6に着目すると、この分割線形成位置Y6においては、始端Q点から終端R点までの分割線が形成され、この分割線は、上記した分割線l1〜l3を形成する場合と同様にして、始端Q点から終端R点の間に位置するC点を設定し、このC点を切り込み開始点として、C点から始端Q点へ切り込みを入れるとともに、C点から終端R点へ切り込みを入れるようにして分割線を形成することとなる。
次に、図7を参照しながら、本発明によるカッティングプロッタの第2の実施の形態について説明する。
なお、上記した本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10と同一または相当する構成については、カッティングプロッタ10と同一の符号で示すことにより、その詳細な説明は省略する。
図7には、本発明の第2の実施の形態によるカッティングプロッタの機能的構成を表すブロック構成説明図が示されている。
なお、本発明の第2の実施の形態によるカッティングプロッタ60の要部の構成は、上記した本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10と同様に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
この図7に示す本発明の第2の実施の形態によるカッティングプロッタ60は、第1の分割線作成部58に変えて、第2の分割線作成部68を有する点において、上記したカッティングプロッタ10と異なっている。
この第2の分割線作成部68は、分割線形成位置上の始端、終端および交点取得部56において取得された交点に基づいて、余白部分に分割線を形成する。
このとき、分割線は、分割線形成位置上の異なる2点(始端、終端、交点取得部56で取得した交点のうちの2点である。)を結ぶ線となるが、分割線を形成する際には、第2の分割線形成部68において、分割線形成位置上の2点間において、所定の間隔g1を空けて2点を設定し、この所定の間隔g1を空けて設けられた2点それぞれを切り込み開始点とする。
なお、この切り込み開始点として設けられた2点はそれぞれ、分割線形成位置上の2点(始端、終端および交点取得部56で取得した交点である。)のうちの近傍に位置する1点のとの距離が、少なくともカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となるように設定される。
また、切り込み開始点として設けられた2点の間隔たる所定の間隔g1としては、例えば、0mm<g1≦5mmとする。
以上の構成において、カッティングプロッタ60によりカッティングデータに基づいてカッティング形状の作成を開始する指示がなされると、カッティング処理が開始され、このカッティング処理においては、まず、分割線形成位置取得部54において、カッティング形状を形成していないシート22上で分割線を形成する位置たる分割線形成位置を取得する(ステップS802)。
次に、カッティング形状作成部52において、カッティングデータに基づいてシート22にカッティング形状を形成する(ステップS804)とともに、交点取得部56において、形成したカッティング形状のアウトラインとステップS802の処理で取得した分割線形成位置との交点を取得する(ステップS806)。
なお、ステップS802〜ステップS806の処理については、上記したS402〜S406の処理と同様の処理となるため、その詳細な説明は省略する。
その後、この交点に基づいて、第2の分割線作成部68において、分割線形成位置上に切り込み開始点を2点設定して分割線を形成し(ステップS808)、カッティング処理を終了する。
即ち、このステップS808の処理においては、分割線形成位置上のD点からE点まで分割線を形成する場合には、分割線形成位置上のD点からE点までの間に、互いに所定の間隔を開けて設けられたF点、G点をそれぞれ分割線を形成する際の切り込み開始点と設定する。
なお、このとき、分割線形成位置上には、所定の方向にD点、F点、G点、E点の順で並ぶこととなる。
また、F点とD点との距離およびG点とE点との距離はそれぞれ、カッター26のオフセット量より大きい値となる。また、F点とG点との間隔g1としては、例えば、0mm<g1≦5mmとする。
その後、F点からD点に向かって分割線の切り込みを行い、カッター26をG点まで移動し、G点からE点に向かって分割線の切り込みを行う。
従って、このステップS808の処理においては、分割線を形成すべき分割線形成位置上のD点からE点までの間において、D点からF点までは切り込みが入り、F点からG点までは切り込みが入らず、G点からE点までは切り込みが入るという分割線が形成される。
以下、図5(b)における分割線形成位置Y3に着目して、ステップS808の処理により分割線を形成する場合について、具体的に説明することとする。
この分割線形成位置Y3においては、始端Q点から交点a3までの分割線l4と、交点a12から交点a15までの分割線l5と、交点a8から終端R点までの分割線l6とが形成される(図9(a)を参照する。)。
分割線l4を形成する場合には、分割線形成位置上の始端Q点から交点a3までの間に、互いに所定の間隔g1を空けてF1点とG1点とを設定し、このF1点およびG1点を分割線l4を形成する際の切り込み開始点とする(図9(b)を参照する。)。
このとき、F1点は、始端Q点からF1点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、G1点は、G1点から交点a3までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、F1点から始端Q点までカッター26により切り込みを行い(図9(c)を参照する。)、その後、カッター26をG1点まで移動するとともに、G1点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、G1点から交点a3まで切り込みを入れることにより(図9(d)を参照する。)、始端Q点から交点a3までの分割線l4を形成する。
つまり、分割線l4は、カッター26によりF1点を始点、始端Q点を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をG1点に移動し、カッター26によりG1点を始点、交点a3を終点として切り込みを形成することによって形成される。
このため、分割線l4は、F1点とG1点との間には切り込みが形成されていない、つまり、F1点とG1点との間がつながった状態となっている。
分割線l5を形成する場合には、分割線形成位置上の交点a12から交点a15までの間に、互いに所定の間隔g1を空けてF2点とG2点とを設定し、このF2点およびG2点を分割線l5を形成する際の切り込み開始点とする(図9(b)を参照する。)。
このとき、F2点は、交点a12からF2点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、G2点は、G2点から交点a15までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、F2点から交点a12までカッター26により切り込みを行い(図9(c)を参照する。)、その後、カッター26をG2点まで移動するとともに、G2点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、G2点から交点a15まで切り込みを入れることにより(図9(d)を参照する。)、交点a12から交点a15までの分割線l5を形成する。
つまり、分割線l5は、カッター26によりF2点を始点、交点a12を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をG2点に移動し、カッター26によりG2点を始点、交点a15を終点として切り込みを形成することとなる。
このため、分割線l5は、F2点とG2点との間には切り込みが形成されていない、つまり、F2点とG2点との間がつながった状態となっている。
分割線l6を形成する場合には、分割線形成位置上の交点a8から終端R点までの間に、互いに所定の間隔g1を開けてF3点とG3点とを設定し、このF3点およびG3点を分割線l6を形成する際の切り込み開始点とする(図9(b)を参照する。)。
このとき、F3点は、交点a8からF3点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、G3点は、G3点から終端R点までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、F3点から交点a8までカッター26により切り込みを行い(図9(c)を参照する。)、その後、カッター26をG3点まで移動するとともに、G3点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、G3点から終端R点まで切り込みを入れることにより(図9(d)を参照する。)、交点a8から終端R点まで分割線l6を形成する。
つまり、分割線l6は、カッター26によりF3点を始点、交点a8を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をG3点に移動し、カッター26によりG3点を始点、終端R点を終点として切り込みを形成することとなる。
このため、分割線l6は、F3点とG3点との間には切り込みが形成されていない、つまり、F3点とG3点との間がつながった状態となっている。
さらにまた、分割線形成位置Y6に着目すると、この分割線形成位置Y6においては、始端Q点から終端R点までの分割線が形成され、この分割線は、上記した分割線l4〜l6を形成する場合と同様にして、始端Q点から終端R点の間に位置するF点およびG点を設定し、このF点およびG点を切り込み開始点として、F点から始端Q点へ切り込みを入れるとともに、G点から終端R点へ切り込みを入れるようにして分割線を形成することとなる。
次に、図10を参照しながら、本発明によるカッティングプロッタの第3の実施の形態について説明する。
なお、上記した本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10と同一または相当する構成については、カッティングプロッタ10と同一の符号で示すことにより、その詳細な説明は省略する。
図10には、本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタの機能的構成を表すブロック構成説明図が示されている。
なお、本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタ70の要部な構成は、上記した本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10と同様に構成できるので、その詳細な説明は省略する。
この図10に示す本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタ70は、第1の分割線作成部56に変えて、第3の分割線作成部78を有する点において、上記したカッティングプロッタ10と異なっている。
この第3の分割線作成部78は、分割線作成位置上の始端、終端および交点取得部56に置いて取得された交点に基づいて、余白部分に分割線を形成する。
このとき、分割線は、分割線形成位置上の異なる2点(始端、終端、交点取得部56で取得した交点のうちの2点である。)を結ぶ線となるが、分割線を形成する際には、第3の分割線形成部78において、分割線形成位置上の所定の点を設定し、当該所定の点を中心として、所定の範囲内に所定の間隔g2を空けて設けられた2点をそれぞれ切り込み開始点とする。
なお、この切り込み開始点として設けられた2点はそれぞれ、分割線形成位置上の2点との距離が、少なくともカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となるように設定される。
また、所定の点を中心として所定の範囲とは、例えば、所定の点を中心として半径rが0mm<r≦2.5mmとなる範囲であり、これにより、所定の範囲内に設けられる2点間の所定の間隔g2は、0mm<g2≦5mmとなる。
以上の構成において、カッティングプロッタ70によりカッティングデータに基づいてカッティング形状の作成を開始する指示がなされると、カッティング処理が開始され、このカッティング処理においては、まず、分割線形成位置取得部54において、カッティング形状を形成していないシート22上で分割線を形成する位置たる分割線形成位置を取得する(ステップS1102)。
次に、カッティング形状作成部52において、カッティングデータに基づいてシート22にカッティング形状を形成する(ステップS1104)とともに、交点取得部56において、形成したカッティング形状のアウトラインとステップS1102の処理で取得した分割線形成位置との交点を取得する(ステップS1106)。
なお、ステップS1102〜ステップS1106の処理については、上記したS402〜S406の処理と同様の処理となるため、その詳細な説明は省略する。
その後、この交点に基づいて、第3の分割線作成部78において、分割線作成位置上に所定の点を設定し、当該所定の点を中心とした所定の範囲内に切り込み開始点を2点設定して分割線を形成し(ステップS1108)、カッティング処理を終了する。
即ち、この1108の処理においては、分割線形成位置上のH点からI点まで分割線を形成する場合には、分割線形成位置上のH点からI点までの間に、所定の点を設け、この所定の点を中心とした所定の範囲内において互いに所定の間隔g2を空けて設けられたJ点、K点を設ける。
こうして設けられたJ点およびK点をそれぞれ分割線を形成する際の切り込み開始点と設定する。
なお、H点とJ点あるいはK点との距離、あるいは、I点とJ点あるいはK点との距離はそれぞれ、カッター26のオフセット量より大きい値となる。
また、所定の点を中心とした所定の範囲とは、所定の点を中心とした円O内であり、円Oの半径rとしては、例えば、0mm<r≦2.5mmとし、J点とK点との間隔たる所定の間隔g2としては、例えば、0mm<g2≦5mmとする。
その後、J点からH点に向かって分割線の切り込みを行い、カッター26をK点まで移動して、K点からI点に向かって分割線の切り込みを行う。
従って、このステップS1108の処理においては、H点からJ点まで切り込みが入り、J点からK点までは切り込みが入らず、K点からI点までは切り込みが入るという分割線が作成される。なお、このときには、H点からJ点まで入れられた切り込みおよびK点からI点まで入れられた切り込みについては、分割線形成位置上あるいは分割線形成位置近傍に形成されることとなる。
以下、図5(b)における分割線形成位置Y3に着目して、ステップS1108の処理により分割線を形成する場合について、具体的に説明することとする。
この分割線形成位置Y3においては、始端Q点から交点a3までの分割線l7と、交点a12から交点a15までの分割線l8と、交点Aa8から終端R点までの分割線l9とが形成される(図12(a)を参照する。)。
分割線l7を形成する場合には、分割線形成位置上の始端Q点から交点a3までの間に、L1点を設定し、このL1点を中心とした半径rの円Oを形成し、この円O内において所定の間隔g2を空けてJ1点とK1点を設定し、このJ1点およびK1点を分割線l7を形成する際の切り込み開始点とする(図12(b)を参照する。)。なお、この図12(b)においては、J1点およびK1点を円Oの円周上に設定している。
このとき、J1は、始端Q点からJ1点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、K1点は、K1点から交点a3までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、J1点から始端Q点までカッター26により切り込みを行い(図12(c)を参照する。)、その後、カッター26をK1点まで移動するとともに、K1点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、K1点から交点a3まで切り込みを入れることにより(図9(d)を参照する。)、始端Qから交点a3までの分割線l7を形成する。
つまり、分割線l7は、カッター26によりJ1点を始点、始端Q点を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をK1点に移動し、カッター26によりK1点を始点、交点a3を終点として切り込みを形成することによって形成される。
このため、分割線l7は、J1点とK1点との間には切り込みが形成されていない、つまり、J1点とK1点とはつながった状態となっている。また、始端Q点からJ1点までの切り込みおよびK1点から交点a3までの切り込みはそれぞれ、分割線形成位置上になく分割線形成位置の近傍に位置した状態となっている。
また、分割線l8を形成する場合には、分割線形成位置上の交点a12から交点a15までの間に、L2点を設定し、このL2点を中心とした半径rの円Oを形成し、この円O内において所定の間隔g2を空けてJ2点とK2点とを設定し、このJ2点およびK2点を分割線l8を形成する際の切り込み開始点とする(図12(b)を参照する。)。なお、この図12(b)においては、J2点およびK2点を円Oの円周上に設定している。
このとき、J2点は、交点a12からJ2点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、K2点は、K2点から交点a15までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、J2点から始端Qまでカッター26により切り込みを行い(図12(c)を参照する。)、その後、カッター26をK2点まで移動するとともに、K2点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、K2点から交点a15まで切り込みを入れることにより(図12(d)を参照する。)、交点a12から交点a15までの分割線l8を形成する。
つまり、分割線l8は、カッター26によりJ2点を始点、交点a12を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をK2点に移動し、カッター26によりK2点を始点、交点a15を終点として切り込みを形成することによって形成される。
このため、分割線l8は、J2点とK2点との間は切り込みが形成されていない、つまり、J2点とK2点とはつながった状態となっている。また、交点a12からJ2点までの切り込みおよびK2点から交点a15までの切り込みはそれぞれ、分割線形成位置上になく分割線形成位置の近傍に位置した状態となっている。
さらに、分割線l9を形成する場合には、分割線形成位置上の交点a8から終端R点までの間に、L3点を設定し、このL3点を中心とした半径rの円Oを形成し、この円O内において所定の間隔g2を空けてJ3点とK3点とを設定し、このJ3点およびK3点を分割線l9を形成する際の切り込み開始点とする(図12(b)を参照する。)。なお、この図12(b)においては、J3点およびK3点を円Oの円周上に設定している。
このとき、J3点は、交点a8からJ3点までの距離がカッター26に設けられたカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設けられ、K3点は、K3点から終端R点までの距離が当該カッター刃のオフセット量より大きい値となる位置に設けられる。
そして、J3点から交点a8までカッター26により切り込みを行い(図12(c)を参照する。)、その後、カッター26をK3点まで移動するとともに、K3点においてカッター26のカッター刃(図示せず。)を回転して、K3点から終端R点まで切り込みを入れることにより(図12(d)を参照する。)、交点a8から終端R点までの分割線l9を形成する。
つまり、分割線l9は、カッター26によりJ3点を始点、交点a8を終点として切り込みを形成した後に、カッター26をK3点に移動し、カッター26によりK3点を始点、終端R点を終点として切り込みを形成することによって形成される。
このため、分割線l9は、J3点とK3点との間は切り込みが形成されていない、つまり、J3点とK3点とはつながった状態となっている。また、交点a8からJ3点までの切り込みおよびK3点から終端R点までの切り込みはそれぞれ、分割線形成位置上になく分割線形成位置の近傍に位置した状態となっている。
さらにまた、分割線形成位置Y6に着目すると、この分割線形成位置Y6においては、始端Q点から終端R点までの分割線が形成され、この分割線は、上記した分割線l7〜l9を形成する場合と同様にして、始端Q点から終端R点の間に位置するJ点およびK点を設定し、このJ点およびK点を切り込み開始点として、J点から始端Q点へ切り込みを入れるとともに、K点から終端R点へ切り込みを入れるようにして分割線を形成することとなる。
以上において説明したように、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10は、分割線形成位置上のA点からB点まで分割線を形成する際に、分割線形成位置上のA点とB点との間にC点を設定し、このC点を切り込み開始点として、C点からA点へ切り込みを入れるとともに、C点からB点へ切り込みを入れるようにした。
また、本発明の第2の実施の形態によるカッティングプロッタ60は、分割線形成位置上のD点からE点まで分割線を形成する際に、分割線形成位置上のD点とE点との間に、互いに所定の間隔を空けてF点とG点とを設定し、このF点よG点とを切り込み開始点として、F点からD点へ切り込みを入れるとともに、G点からE点へ切り込みを入れるようにした。
さらに、本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタ70は、分割線形成位置上のH点からI点まで分割線を形成する際に、分割線形成位置上にL点を設定し、このL点を中心とした円O内において、互いに所定の間隔を空けてJ点とK点とを設定する。そして、このJ点およびK点を切り込み開始点として、J点からH点へ切り込みを入れるとともに、K点からI点へ切り込みを入れるようにした。
これにより本発明によるカッティングプロッタ10、60、70においては、カッター刃が回転する可能性のある切り込み開始点が、カッティング形状のアウトライン状に位置しなくなるため、切り込み開始点におけるカッター刃の回転により生じるカッティング形状のアウトライン部分の損傷を生じることがなくなる。
また、本発明によるカッティングプロッタ10、60、70においては、分割線の終点がカッティング形状のアウトラインと分割線形成位置の交点となっているので、分割線と当該アウトラインとが接しており、分割線が形成された余白部分を容易に取り除くことができる。
さらに、本発明によるカッティングプロッタ60、70においては、2つの切り込み開始点の間に切り込みが入れられていないため、複数の分割線が形成された余白部分においては、特定のライン状の模様を形成することができる。
これにより、本発明によるカッティングプロッタ60、70においては、カッティング形状部分と、余白部分との識別が容易になる。
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(11)に示すように変形するようにしてもよい。
(1)上記した実施の形態においては、分割線の間隔を事前に記憶部50に記憶するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、第1〜3の分割線作成部において、カッティング形状の大きさに合わせて決定するようにしてもよい。
(2)上記した実施の形態においては、分割線の方向を事前に記憶部50に記憶するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、第1〜3の分割線作成部において、カッティング形状に応じて決定するようにしてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、本発明の第1の実施の形態によるカッティングプロッタ10において、C点(C1点、C2点、C3点)を各分割線の中点に設定するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、C点を分割線の始点あるいは終点のいずれか一方の近い位置に設定するようにしてもよい。なお、このときには、C点は、始点および終点との距離がカッター刃(図示せず。)のオフセット量より大きい値となる位置に設定される。
(4)上記した実施の形態においては、本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタ70において、分割線を形成する際にJ点(J1点、J2点、J3点)と、K点(K1点、K2点、K3点)とを円Oの円周上に設定するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
即ち、J点およびK点は円O内に位置するとともに、J点とK点とが所定の間隔g2を空けるようにすればよく、例えば、J点を円Oの円周上に設定し、K点を円Oの中心(つまり、L点である。)に設定するようにしてもよい(図13(a)を参照する。)。
さらに、J点およびK点を円Oの円周上であって、かつ、分割線形成位置上に位置するように設定してもよい(図13(b)を参照する。)。
(5)上記した実施の形態においては、本発明の第3の実施の形態によるカッティングプロッタ70において、各分割線において、切り込み開始点(J1点、J2点、J3点、K1点、K2点、K3点である。)から分割線形成位置上の異なる2点(つまり、始端、終端および交点取得部56で取得した交点である。)まで切り込みを入れるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、切り込み開始点から分割線形成位置上の点まで切り込みを入れるのではなく、切り込み開始点から分割線形成位置と平行にカッティング形状のアウトラインまで切り込みを入れるようにしてもよい(図13(c)を参照する。)。
(6)上記した実施の形態においては、本発明の第2の実施の形態によるカッティングプロッタ60において、F点(F1点、F2点、F3点)とG点(G1点、G2点、G3点)とを所定の間隔g1を空けて設定するようにし、この所定の間隔g1としては、0mm<g1≦5mmとしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、余白部分を取り除く際に、余白部分の分割線により区切られた領域同士が容易に離れる(ちぎる)ことが可能であれば、所定の間隔g1を5mmより大きい値としてもよい。
なお、こうした所定の間隔g1は、シート22の表面シートの材質ごとに、実験的に求めるようにすればよい。
(7)上記した実施の形態においては、ペーパームーブタイプのカッティングプロッタにおいて、分割線を形成する2点間に切り込み開始点を設定して、この切り込み開始点から当該2点のそれぞれの点へ切り込みを入れることにより分割線を形成するようにしたが、こうした分割線を形成するカッティングプロッタとしては、これに限られるものではないことは勿論であり、フラットベッドタイプのカッティングプロッタを用いるようにしてもよい。
(8)上記した実施の形態においては、分割線の方向として、「シート22のx座標の始端0から終端Xm」とし、分割線をX軸方向に平行となるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、分割線の方向としては、「シート22のy座標の始端0から終端Ym」とし、分割線をY軸方向に平行となるようにしてもよい。さらに、「シート22のx座標の始端0からXm」および「シート22のy座標の始端0から終端Ym」とし、分割線をX軸方向に平行な線とY軸方向に平行な線との2つの方向となるようにしてもよい。
(9)分割線を形成する際に、カッティング形状の輪郭たるアウトラインが曲線を持つ場合には、分割線はその曲線の法線としてもよい。
(10)分割線を形成する際に、分割線の始点または終点がシート22の始端または終端の場合に、カッター26によるカッティングの開始点をシート22の始端または終端としてもよい。
例えば、図6(b)(c)(d)を参照しながら説明すると、カッター26によるカッティングの開始点を始端Q点としてC1点までカットし、引き続きC1点からカッティングの終了点であるa3点までカットする。または、カッター26によるカッティングの開始点を終端R点としてC3点までカットし、引き続きC3点からカッティングの終了点であるa8点までカットする。
このようにすることで、カッター26のカッター刃の向きを変えることなく分割線を形成することができるので、カッター刃の向きを変える工程や、最初のカット後にカッター26の復帰移動時間、例えば、始点C1点から始端Q点を終点として切り込みを形成した後に、C1点からカッティングの終了点であるa3点までカッティングするために、カッター26が始端Q点からC1点まで復帰移動する時間を省略することができる。その結果、分割線を形成する時間を短縮することができる。
(11)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(10)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。