JP6089847B2 - 量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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本発明は、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような原子発振器は、一般に、アルカリ金属を緩衝ガスとともに封入したガスセルと、ガスセル内のアルカリ金属を励起する励起光を出射する光出射部と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出部とを備える。
例えば、特許文献1に係る原子発振器では、ガスセル、光源(光出射部)および光検出器(光検出部)を有し、これらがそれぞれ基板に固定されている。
しかし、特許文献1に係る原子発振器では、基板が変形することにより、光源の光軸が所望位置からずれてしまい、発振特性が低下するという問題があった。
また、特許文献1に係る原子発振器では、ガスセル、光源および光検出器と基板との接触面積が大きいため、ガスセル、光源および光検出器と基板との間の熱干渉が大きい。そのため、ガスセル、光源および光検出器が基板を介した外部からの熱の影響を受けやすく、外部の温度変化により、発振特性が低下するという問題もあった。
また、近年、特に、量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器に比し、小型化が容易であることから、様々な機器への搭載が期待され、さらなる小型化(特に低背化)が求められている。
特開2009−231688号公報
本発明の目的は、小型化(特に低背化)を図りつつ、光出射部の光軸ずれを防止するとともに、優れた温度特性を発揮することができる量子干渉装置および原子発振器を提供すること、また、この原子発振器を備える信頼性に優れた電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例の量子干渉装置は、金属原子が収納されているガスセルと、
前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、
前記金属原子を通過した前記光を検出する光検出部と、
前記ガスセル、前記光出射部および前記光検出部を保持する保持部材と、
前記保持部材から突出している複数の端子と、
前記保持部材が挿入されている貫通孔を有し、前記複数の端子が接合されていることにより、前記保持部材を支持するとともに、前記複数の端子に電気的に接続されている基板と、を備えることを特徴とする。
このような量子干渉装置によれば、基板に複数の端子が接合されていることにより、基板に対して保持部材を支持するとともに、基板と複数の端子との電気的な接続を行うことができる。そのため、保持部材と基板とを離間させることにより、保持部材に保持されたガスセル、光出射部および光検出部と基板との間の熱の干渉を抑制することができる。そのため、量子干渉装置の温度特性を優れたものとすることができる。
また、ガスセル、光出射部および光検出部が保持部材に保持されているので、基板に外力が加わっても、光出射部の光軸がガスセルおよび光検出部に対してずれるのを防止することができる。
また、保持部材が基板の貫通孔に挿入されていることにより、装置全体の低背化を図ることができる。
[適用例2]
本適用例の量子干渉装置では、前記複数の端子は、前記基板の面に沿って並んでいることが好ましい。
これにより、複数の端子に生じる応力を低減しつつ、基板と複数の端子とを接合することができる。そのため、量子干渉装置の信頼性を高めることができる。
[適用例3]
本適用例の量子干渉装置では、前記光出射部を収納している光出射側パッケージと、
前記ガスセルおよび前記光検出部を収納している光検出側パッケージと、を備え、
前記保持部材は、前記光出射側パッケージおよび前記光検出側パッケージを互いに非接触で保持していることが好ましい。
これにより、光出射部およびガスセルが互いに非接触の別々のパッケージに収納されているので、光出射部とガスセルとの間の熱干渉を防止または抑制し、光出射部とガスセルとを独立して高精度に温度制御することができる。
[適用例4]
本適用例の量子干渉装置では、前記光出射側パッケージは、前記光出射部が設置される光出射側基体と、前記光出射部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光出射側蓋体とを有し、
前記光検出側パッケージは、前記ガスセルおよび前記光検出部が設置される光検出側基体と、前記ガスセルおよび前記光検出部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光検出側蓋体と、を有することが好ましい。
これにより、光出射部からガスセルを介して光検出部への光の光路を確保しつつ、光出射部およびガスセルを互いに非接触の別々のパッケージに収納することができる。
[適用例5]
本適用例の量子干渉装置では、前記複数の端子は、前記光出射側基体および前記光検出側基体の少なくとも一方から突出し、前記保持部材を貫通していることが好ましい。
これにより、複数の端子の電気的接続の信頼性を高めることができる。
[適用例6]
本適用例の原子発振器は、本適用例の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、低背化を図るとともに、優れた発振特性を発揮することができる原子発振器を提供することができる。
[適用例7]
本適用例の電子機器は、本適用例の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例8]
本適用例の移動体は、本適用例の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す斜視図である。 図1に示す原子発振器の概略構成を示す模式図である。 図1に示す原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 図1に示す原子発振器に備えられた光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器の縦断面図である。 (a)は、図1に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、(b)は、図1に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器の縦断面図である。 (a)は、図7に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、(b)は、図7に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る原子発振器の縦断面図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合のシステム構成概要図である。 本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。 本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の原子発振器および電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す斜視図、図2は、図1に示す原子発振器の概略構成を示す模式図である。また、図3は、図1に示す原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図4は、図1に示す原子発振器に備えられた光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。また、図5は、図1に示す原子発振器の縦断面図、図6(a)は、図1に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、図6(b)は、図1に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。
なお、図1、5、6では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示された各矢印の先端側を「+(プラス)側」、基端側を「−(マイナス)側」とする。また、以下では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」といい、また、+Z方向側(図5の上側)を「上」、−Z方向側(図5の下側)を「下」という。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、図1に示すように、第1ユニット2(光出射側ユニット)と、第2ユニット3(光検出側ユニット)と、光学部品41、42、43と、これらを保持する保持部材5と、保持部材5を支持する配線基板6(基板)と、配線基板6に実装された制御部7とを備える。
ここで、図1、2に示すように、第1ユニット2は、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22(光出射側パッケージ)とを備える。
また、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36(光検出側パッケージ)とを備える。
そして、このような第1ユニット2および第2ユニット3は、配線基板6の配線(図示せず)を介して制御部7に電気的に接続され、制御部7により駆動制御される。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
原子発振器1では、ガスセル31内に、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(金属原子)が封入されている。
アルカリ金属は、図3に示すように、3準位系のエネルギー準位を有しており、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
このようなガス状のアルカリ金属に対して周波数の異なる2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
光出射部21は、ガスセル31に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
例えば、光出射部21が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部32の検出強度は、図4に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を基準として用いることにより、高精度な発振器を実現することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
(第1ユニット)
前述したように、第1ユニット2は、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22とを備える。
[光出射部]
光出射部21は、ガスセル31中のアルカリ金属原子を励起する励起光を出射する機能を有する。
より具体的には、光出射部21は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起し得るものである。
この光出射部21としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
また、このような光出射部21は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、後述するガスセル31とは異なる温度、例えば、30℃程度に温度調節される。
[第1パッケージ(光出射側パッケージ)]
第1パッケージ22は、前述した光出射部21を収納する。
この第1パッケージ22は、図5に示すように、基体221(光出射側基体)と、蓋体222(光出射側蓋体)とを備える。
基体221は、光出射部21を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体221は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
そして、この基体221の一方の面(実装面)には、光出射部21(実装部品)が設置(実装)される。また、基体221の他方の面には、図5に示すように、複数の端子223(リード)が−X軸方向に突出している。この複数の端子223は、図示しない配線を介して光出射部21に電気的に接続されている。
この複数の端子223は、図5および図6(a)に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、一方向(本実施形態ではY軸方向)に並んでいる。
このような基体221には、基体221上の光出射部21の少なくとも一部を覆う蓋体222が接合されている。
蓋体222は、一端部が開口した有底筒状をなしている。本実施形態では、蓋体222の筒状部は、円筒状をなす。
この蓋体222の一端部の開口は、前述した基体221により塞がれている。
そして、蓋体222の他端部、すなわち蓋体222の開口とは反対側の底部には、窓部23が設けられている。
この窓部23は、ガスセル31と光出射部21との間の光軸a上に設けられている。
そして、窓部23は、前述した励起光に対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部23は、レンズで構成されている。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル31へ照射することができる。
また、窓部23は、励起光LLを平行光とする機能を有する。これにより、励起光LLがガスセル31の内壁で反射するのを簡単かつ確実に防止することができる。そのため、ガスセル31内での励起光の共鳴を好適に生じさせ、その結果、原子発振器1の発振特性を高めることができる。
なお、窓部23は、励起光に対する透過性を有するものであれば、レンズに限定されず、例えば、レンズ以外の光学部品であってもよいし、単なる光透過性の板状部材であってもよい。また、前述したような機能を有するレンズは、後述する光学部品41、42、43と同様、第1パッケージ22および第2パッケージ36との間に設けられていてもよい。
このような蓋体222の窓部23以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
ここで、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有する材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23と一体的に形成することができる。また、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有しない材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、基体221と蓋体222とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、第1パッケージ22内が気密空間であることが好ましい。これにより、第1パッケージ22内を減圧状態(大気圧よりも減圧した状態)または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
また、基体221と蓋体222との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体221と蓋体222との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
また、第1パッケージ22内には、前述した光出射部21以外の部品が収納されていてもよい。
例えば、第1パッケージ22内には、光出射部21の温度を調節する温度調節素子や温度センサー等が収納されていてもよい。かかる温度調節素子としては、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)、ペルチェ素子等が挙げられる。
このような基体221および蓋体222を有して構成された第1パッケージ22によれば、光出射部21から第1パッケージ22外への励起光の出射を許容しつつ、光出射部21を第1パッケージ22内に収納することができる。
また、第1パッケージ22は、基体221が第2パッケージ36とは反対側に配置されるように、後述する保持部材5に保持されている。
(第2ユニット)
前述したように、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36とを備える。
[ガスセル]
ガスセル31内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。
例えば、ガスセル31は、図示しないが、柱状の貫通孔を有する本体部と、その貫通孔の両開口を封鎖する1対の窓部とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間が形成される。
ここで、ガスセル31の各窓部は、前述した光出射部21からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部は、ガスセル31内へ入射する励起光が透過するものであり、他方の窓部は、ガスセル31内から出射した励起光が透過するものである。
したがって、ガスセル31の窓部を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、ガスセル31の本体部を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
そして、各窓部は、本体部に対して気密的に接合されている。これにより、ガスセル31の内部空間を気密空間とすることができる。
ガスセル31の本体部と窓部との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、このようなガスセル31は、ヒーター33により、前述した光出射部21とは異なる温度、例えば、70℃程度に温度調節される。
[光検出部]
光検出部32は、ガスセル31内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部32としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター33は、前述したガスセル31(より具体的にはガスセル31中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル31中のアルカリ金属をガス状に維持することができる。
このヒーター33は、通電により発熱するものであり、例えば、ガスセル31の外表面上に設けられた発熱抵抗体で構成されている。このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成される。
ここで、かかる発熱抵抗体は、ガスセル31の励起光の入射部または出射部に設けられる場合、励起光に対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。
なお、ヒーター33は、ガスセル31を加熱することができるものであれば、特に限定されず、ガスセル31に対して非接触であってもよい。また、ヒーター33に代えて、または、ヒーター33と併用して、ペルチェ素子を用いて、ガスセル31を加熱してもよい。
このようなヒーター33は、後述する制御部7の温度制御部72に電気的に接続され、通電される。
[温度センサー]
温度センサー34は、ヒーター33またはガスセル31の温度を検出するものである。そして、この温度センサー34の検出結果に基づいて、前述したヒーター33の発熱量が制御される。これにより、ガスセル31内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー34の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター33上であってもよいし、ガスセル31の外表面上であってもよい。
温度センサー34としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
このような温度センサー34は、図示しない配線を介して、後述する制御部7の温度制御部72に電気的に接続されている。
[コイル]
コイル35は、通電により、磁場を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル31中のアルカリ金属に磁場を印加することにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
なお、コイル35が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
このコイル35の設置位置は、特に限定されず、図示しないが、例えば、ソレノイド型を構成するようにガスセル31の外周に沿って巻回して設けられていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように1対のコイルをガスセル31を介して対向させてもよい。
このコイル35は、図示しない配線を介して、後述する制御部7の磁場制御部73に電気的に接続されている。これにより、コイル35に通電を行うことができる。
このようなコイル35の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[第2パッケージ(光検出側パッケージ)]
第2パッケージ36は、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を収納する。
この第2パッケージ36は、前述した第1ユニット2の第1パッケージ22と同様に、構成されている。
具体的には、第2パッケージ36は、図5に示すように、基体361(光検出側基体)と、蓋体362(光検出側蓋体)とを備える。
基体361は、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体361は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
そして、この基体361の一方の面(実装面)には、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35(複数の実装部品)が設置(実装)される。また、基体361の他方の面には、図5に示すように、複数の端子363(リード)が+X軸方向に突出している。この複数の端子363は、図示しない配線を介して光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35に電気的に接続されている。
この複数の端子363は、図5に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、一方向(本実施形態ではY軸方向)に並んでいる。
このような基体361には、基体361上のガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35の少なくとも一部を覆う蓋体362が接合されている。
蓋体362は、一端部が開口した有底筒状をなしている。本実施形態では、蓋体362の筒状部は、円筒状をなす。
この蓋体362の一端部の開口は、前述した基体361により塞がれている。
そして、蓋体362の他端部、すなわち蓋体362の開口とは反対側の底部には、窓部37が設けられている。
この窓部37は、ガスセル31と光出射部21との間の光軸a上に設けられている。
そして、窓部37は、前述した励起光に対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部37は、光透過性を有する板状部材で構成されている。
なお、窓部37は、励起光に対する透過性を有するものであれば、光透過性を有する板状部材に限定されず、例えば、レンズ、偏光板、λ/4波長板等の光学部品であってもよい。
このような蓋体362の窓部37以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
ここで、蓋体362の窓部37以外の部分が励起光に対して透過性を有する材料で構成されている場合、蓋体362の窓部37以外の部分と窓部37と一体的に形成することができる。また、蓋体362の窓部37以外の部分が励起光に対して透過性を有しない材料で構成されている場合、蓋体362の窓部37以外の部分と窓部37とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、基体361と蓋体362とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、第2パッケージ36内が気密空間であることが好ましい。これにより、第2パッケージ36内を減圧状態(大気圧よりも減圧した状態)または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1の特性を向上させることができる。
また、基体361と蓋体362との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、基体361と蓋体362との間には、これらを接合するための接合部材が介在していてもよい。
また、第2パッケージ36内には、少なくともガスセル31および光検出部32が収納されていればよく、また、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35以外の部品が収納されていてもよい。
このような基体361および蓋体362を有して構成された第2パッケージ36によれば、光出射部21からの励起光の第2パッケージ36内への入射を許容しつつ、ガスセル31および光検出部32を第2パッケージ36内に収納することができる。したがって、前述したような第1パッケージ22と組み合わせて第2パッケージ36を用いることにより、光出射部21からガスセル31を介して光検出部32への励起光の光路を確保しつつ、光出射部21およびガスセル31を互いに非接触の別々のパッケージに収納することができる。
また、第2パッケージ36は、基体361が第1パッケージ22とは反対側に配置されるように、後述する保持部材5に保持されている。
(光学部品)
前述したような第1パッケージ22と第2パッケージ36との間には、複数の光学部品41、42、43が配置されている。この複数の光学部品41、42、43は、それぞれ、前述した第1パッケージ22内の光出射部21と、前述した第2パッケージ36内のガスセル31との間の光軸a上に設けられている。
また、本実施形態では、第1パッケージ22側から第2パッケージ36側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43の順に配置されている。
光学部品41は、λ/4波長板である。これにより、例えば、光出射部21からの励起光が直線偏光である場合、その励起光を円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
前述したようにコイル35の磁場によりガスセル31内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、前述したようにコイル35の磁場によりガスセル31内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
本実施形態では、光学部品41は、円板状をなしている。そのため、後述するような保持部材5の溝511(図5参照)に係合した状態で光軸aに平行な軸線周りに光学部品41を回転させることができる。なお、光学部品41の平面視形状は、これに限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形をなしていてもよい。
このような光学部品41に対して第2ユニット3側には、光学部品42、43が配置されている。
光学部品42、43は、それぞれ、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル31に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光出射部21の出力が大きい場合でも、ガスセル31に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品41により円偏光に変換された励起光の強度を光学部品42、43により調整する。
本実施形態では、光学部品42、43は、それぞれ、板状をなしている。また、光学部品42、43の平面視形状は、それぞれ、四角形をなしている。
なお、光学部品42、43の平面視形状は、これに限定されず、例えば、円形をなしていてもよい。光学部品42、43の平面視形状が円形である場合、後述するような保持部材5の溝512、513に係合した状態で光軸aに平行な軸線周りに光学部品42、43を回転させることができる。
また、光学部品42および光学部品43は、互いに減光率が等しくてもよいし異なっていてもよい。
また、光学部品42、43は、それぞれ、上側と下側とで連続的または段階的に減光率の異なる部分を有していてもよい。この場合、光学部品42、43を配線基板6に対して上下方向での位置を調整することにより、励起光の減光率を調整することができる。
また、光学部品42、43は、それぞれ、周方向で連続的または断続的に減光率が異なる部分を有していてもよい。この場合、光学部品42、43を回転させることにより、励起光の減光率を調整することができる。なお、この場合、光学部品42、43の回転中心が光軸aに対してずれていればよい。
なお、この光学部品42、43のうちのいずれか一方の光学部品を省略してもよい。また、光出射部21の出力が適度である場合、光学部品42、43の双方を省略することができる。
また、光学部品41、42、43は、前述した種類、配置順、数等に限定されない。例えば、光学部品41、42、43は、それぞれ、λ/4波長板または減光フィルターに限定されず、レンズ、偏光板等であってもよい。
(保持部材)
保持部材5は、前述した第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43を保持する機能を有する。ここで、保持部材5は、第1パッケージ22を介して光出射部21を保持するとともに、第2パッケージ36を介してガスセル31および光検出部32等を保持する。
この保持部材5は、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間に空間を介している状態で、且つ第1パッケージ22および第2パッケージ36が互いに非接触な状態でこれらを保持する。
これにより、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を防止または抑制し、光出射部21とガスセル31とを独立して高精度に温度制御することができる。
具体的に説明すると、図5に示すように、保持部材5は、上側に開口する凹部51を有する。本実施形態では、凹部51のY軸方向に並ぶ1対の側壁には、それぞれ、複数の貫通孔が設けられている。
そして、この凹部51には、第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43が設置されている。本実施形態では、第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43の下部がそれぞれ凹部51内に位置している。
また、この凹部51は、第1パッケージ22および第2パッケージ36の位置および姿勢を規制する形状をなす。これにより、第1パッケージ22および第2パッケージ36を保持部材5の凹部51に設置することにより、光出射部21および光検出部32を含む光学系の位置決めを行うことができる。そのため、保持部材5に対する第1パッケージ22および第2パッケージ36の設置を容易なものとすることができる。
ここで、凹部51は、X軸方向に延在し、その一端部側(図5中の左側)には、第1パッケージ22が配置され、他端部側(図5中の右側)には、第2パッケージ36が配置されている。
また、第1パッケージ22および第2パッケージ36は、筒状をなす蓋体222および蓋体362の軸線がそれぞれ凹部51の延在方向(X軸方向)に平行となるように配置されている。これにより、第1パッケージ22および第2パッケージ36は、蓋体222および蓋体362の軸線が互いに一致または平行となるように配置されている。
本実施形態では、凹部51の横断面が矩形をなしている。
また、保持部材5の一端部側(図5中の左側)には、第1パッケージ22の基体221を支持する支持部52(第1支持部)が設けられ、保持部材5の他端部(図5中の右側)には、第2パッケージ36の基体361を支持する支持部53(第2支持部)が設けられている。
このように、支持部52が基体221を支持するとともに、支持部52に対向する支持部53が基体361を支持することにより、第1パッケージ22と保持部材5との接触部と、第2パッケージ36と保持部材5との接触部との距離を大きくすることができる。そのため、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導をより効果的に抑えることができる。
また、蓋体222および蓋体362は、それぞれ、保持部材5に対して非接触である。これにより、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導をより効果的に抑えることができる。特に、凹部51の横断面が矩形をなすのに対し、蓋体222、362の筒状部がそれぞれ円筒状をなしているため、蓋体222、362の側面と保持部材5との間に比較的大きな隙間を形成することができる。その結果、蓋体222、362から保持部材5への熱の伝導を極めて小さく抑えることができる。また、仮に蓋体222、362の側面と保持部材5とが接触していたとしても、その接触面積を小さくすることができる。
ここで、支持部52は、Y軸およびZ軸に平行な設置面を有する。この設置面には、前述した第1パッケージ22の基体221の蓋体222とは反対側の面が接触または近接する。これにより、保持部材5に対する第1パッケージ22の位置および姿勢を規制することができる。なお、基体221は、例えば、支持部52に接着剤を用いて固定することができる。
また、支持部52には、前述した第1パッケージ22の複数の端子223が挿通される複数の貫通孔521が形成されている。すなわち、支持部52は、第1パッケージ22が装着されるソケットのような形態をなす。これによっても、保持部材5に対する第1パッケージ22の位置および姿勢を規制することができる。なお、複数の端子223は、例えば、半田により支持部52に固定することができる。
複数の端子223は、複数の貫通孔521を貫通している。これにより、各端子223の先端部は、保持部材5から突出している。
ここで、複数の貫通孔521は、複数の端子223に対応して設けられ、それぞれ、X軸方向に延びており、図6(b)に示すように、Y軸方向に並んでいる。したがって、複数の端子223の保持部材5から突出した部分も、Y軸方向に並んでいる。
同様に、支持部53は、Y軸およびZ軸に平行な設置面を有する。この設置面には、前述した第2パッケージ36の基体361の蓋体362とは反対側の面が接触または近接する。これにより、保持部材5に対する第2パッケージ36の位置および姿勢を規制することができる。なお、基体361は、例えば、支持部53に接着剤を用いて固定することができる。
また、支持部53には、前述した第2パッケージ36の複数の端子363が挿通される複数の貫通孔531が形成されている。すなわち、支持部53は、第2パッケージ36が装着されるソケットのような形態をなす。これによっても、保持部材5に対する第2パッケージ36の位置および姿勢を規制することができる。なお、複数の端子363は、例えば、半田により支持部53に固定することができる。
また、複数の端子363は、複数の貫通孔531に挿通されることにより、保持部材5の外表面の下面または側面に設けられた複数の端子(図示せず)に複数の配線(図示せず)を介して電気的に接続される。
複数の端子363は、複数の貫通孔531を貫通している。これにより、各端子363の先端部は、保持部材5から突出している。
ここで、複数の貫通孔531は、複数の端子363に対応して設けられ、それぞれ、X軸方向に延びており、Y軸方向に並んでいる。したがって、複数の端子363の保持部材5から突出した部分も、Y軸方向に並んでいる。
以上のように、保持部材5は、第1パッケージ22および第2パッケージ36を保持する。
また、前述したように、保持部材5は、光学部品41、42、43をそれぞれ保持する。これにより、原子発振器1の製造時に保持部材5に各部品を取り付ける際、第1パッケージ22および第2パッケージ36を保持部材5に保持させた状態で、光学部品41、42、43をその位置または姿勢を調整しながら保持部材5に設置することができる。
具体的に説明すると、保持部材5の凹部51の壁面には、光学部品41を保持する溝511と、光学部品42を保持する溝512と、光学部品43を保持する溝513とが形成されている。
本実施形態では、溝511、512、513は、光学部品41、42、43の板面が互いに平行となるように形成されている。また、溝511、512、513は、光学部品41、42、43の板面がそれぞれ光軸aに対して垂直となるように形成されている。なお、溝511、512、513は、光学部品41、42、43の板面が互いに非平行となるように形成されていてもよし、光学部品41、42、43の板面がそれぞれ光軸aに対して傾斜するように形成されていてもよい。
溝511は、第1パッケージ22と第2パッケージ36とを結ぶ線分に沿った軸線(例えば、光軸a)周りに光学部品41を回転可能に保持し得る。これにより、光学部品41を保持部材5の溝511に係合させて光軸aに平行な方向での位置決めした状態で、光学部品41の光軸a周りの姿勢を調整することができる。
ここで、前述したように光学部品41がλ/4波長板であるため、保持部材5に対する第1パッケージ22の姿勢によらず、光学部品41を回転により姿勢を調整することにより、光出射部21からの励起光を直線偏光から円偏光へ変換することができる。
また、光学部品41が円板状をなすため、横断面が矩形をなす凹部51の壁面に対し3か所で接触する。これにより、保持部材5に対する光学部品41の位置決めを行うことができる。
光学部品41、42、43を保持部材5に設置するに際しては、例えば、まず、保持部材5に第1ユニット2および第2ユニット3を設置・固定する。その後、光学部品41、42、43をそれぞれ対応する溝511、512、513に係合させた状態で、EIT信号等を確認しながら、各光学部品41、42、43の位置および姿勢のうちの少なくとも一方を変化させる。そして、所望のEIT信号を確認したとき、その状態で、各光学部品41、42、43を保持部材5に対して固定する。かかる固定は、特に限定されないが、例えば、光硬化性接着剤を用いるのが好適である。光硬化性接着剤は、硬化前であれば各溝511、512、513に供給しても各光学部品41、42、43の位置または姿勢を変化させることができ、そして、所望時に短時間で硬化させて固定を行える。
このような保持部材5の構成材料は、特に限定されないが、樹脂材料、セラミックス材料等の非金属であることが好ましい。
これにより、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導を小さくすることができる。その結果、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を効果的に防止または抑制することができる。
保持部材5を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
また、保持部材5を構成するセラミックス材料としては、特に限定されないが、例えば、各種ガラス、また、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、イットリア、リン酸カルシウム等の酸化物セラミックス、さらに、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン、窒化ボロン等の窒化物セラミックス、また、グラファイト、タングステンカーバイト等の炭化物系セラミックス、その他、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、PZT、PLZT、PLLZT等の強誘電体材料などが挙げられる。
また、保持部材5の熱電導率は、0.1W・m−1・K−1以上40W・m−1・K−1以下であることが好ましく、0.1W・m−1・K−1以上0.5W・m−1・K−1以下であることがより好ましい。これにより、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導をより効果的に抑えることができる。すなわち、保持部材5の断熱性を高め、第1パッケージ22と第2パッケージ36とを熱的に分離する効果を顕著なものとすることができる。
これに対し、かかる熱伝導率が低すぎる場合、保持部材5の形状、大きさ等によっては、保持部材5に必要な剛性を確保できる材料の選定が難しく、一方、かかる熱伝導率が高すぎる場合、第1パッケージ22と保持部材5との接触部と、第2パッケージ36と保持部材5との接触部との距離によっては、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導を抑えることが難しい。
(配線基板)
配線基板6は、図示しない配線を有し、かかる配線を介して、配線基板6に搭載された制御部7等の電子部品と、第1パッケージ22の複数の端子223および第2パッケージの複数の端子363とを電気的に接続する機能を有する。
また、配線基板6は、複数の端子223および複数の端子363を介して、保持部材5を支持する機能をも有する。
具体的に説明すると、配線基板6は、図5に示すように、その厚さ方向に貫通する貫通孔61が形成されている。
この貫通孔61には、保持部材5が挿入されている。これにより、保持部材5を配線基板6の面上に搭載する場合に比し、装置全体の低背化を図ることができる。
本実施形態では、貫通孔61は、平面視で、保持部材5の外形と相似する形状、すなわち、四角形(より具体的には、X軸方向を長手方向とする長方形)をなしている。
また、貫通孔61は、平面視で、保持部材5の外形よりも大きく形成されている。すなわち、貫通孔61は、平面視で、保持部材5のX軸方向での長さも大きい長さを有し、かつ、保持部材5のY軸方向での長さ(幅)よりも大きい幅を有する。
したがって、貫通孔61に挿入された保持部材5は、配線基板6に対して離間している。これにより、保持部材5に保持されたガスセル31、光出射部21および光検出部32と配線基板6との間の熱の干渉を抑制することができる。
このような貫通孔61の周囲において、配線基板6の一方の面には、複数の端子62および複数の端子63が設けられている。
本実施形態では、複数の端子62は、貫通孔61の長手方向での一端部近傍に設けられ、一方、複数の端子63は、貫通孔61の長手方向での他端部近傍に設けられている。
複数の端子62は、前述した第1パッケージ22の複数の端子223に対応して設けられている。そして、複数の端子62には、それぞれ、対応する複数の端子223が接合されている。
また、複数の端子63は、前述した第2パッケージ36の複数の端子363に対応して設けられている。そして、複数の端子63には、それぞれ、対応する複数の端子363が接合されている。
これらの接合により、保持部材5が複数の端子223および複数の端子363を介して配線基板6に支持されるとともに、複数の端子223が複数の端子62にそれぞれ電気的に接続され、複数の端子363が複数の端子63にそれぞれ電気的に接続されている。
ここで、配線基板6の面は、Y軸およびY軸に平行な面であり、前述したように、複数の端子223は、Y軸方向に並んでいる。したがって、複数の端子223は、配線基板6の面に沿って並んでいる。同様に、複数の端子363は、配線基板6の面に沿って並んでいる。
これにより、複数の端子223、363に生じる応力を低減しつつ、配線基板6と複数の端子223、363とを接合することができる。そのため、原子発振器1の信頼性を高めることができる。
また、このように、保持部材5を貫通した複数の端子223を介して、第1パッケージ22と配線基板6との電気的接続、および、配線基板6に対する保持部材5の支持を行うことにより、第1パッケージ22の複数の端子と保持部材5の複数の端子とを別体として構成する場合に比し、端子同士の接点の数が少なくなるため、複数の端子223の電気的接続の信頼性を高めることができる。
端子223と端子62との接合方法、および、端子363と端子63との接合方法としては、それぞれ、接合部の電気的導通を確保しながら接合し得るものであれば、特に限定されず、例えば、半田による接合方法、異方性導電接着剤による接合方法等が挙げられる。また、端子223および端子62が圧着端子のように構成されている場合、端子223および端子62を圧着により接合することもできる。同様に、端子363および端子63が圧着端子のように構成されている場合、端子363および端子63を圧着により接合することもできる。
このような複数の端子223、363は、それぞれ、図示しない配線を介して、制御部7に電気的に接続されている。
このような配線基板6としては、各種プリント配線基板を用いることができるが、保持部材5を支持するのに必要な剛性を確保する観点から、リジット部を有する基板、例えば、リジット基板、リジットフレキシブル基板等を用いるのが好ましい。
なお、配線基板6として、リジット部を有しない配線基板(例えば、フレキシブル基板)を用いた場合であっても、例えば、かかる配線基板に、剛性を向上させるための補強部材を接合することにより、保持部材5を支持するのに必要な剛性を確保することができる。
また、配線基板6の一方の面には、制御部7が設置されている。なお、配線基板6には、制御部7以外の電子部品が搭載されていてもよい。
[制御部]
図2に示す制御部7は、ヒーター33、コイル35および光出射部21をそれぞれ制御する機能を有する。
本実施形態では、制御部7は、配線基板6に搭載されたIC(Integrated Circuit)チップで構成されている。
このような制御部7は、光出射部21の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部71と、ガスセル31中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部72と、ガスセル31に印加する磁場を制御する磁場制御部73とを有する。
励起光制御部71は、前述した光検出部32の検出結果に基づいて、光出射部21から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部71は、前述した光検出部32によって検出された(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光出射部21から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。また、励起光制御部71は、光出射部21から出射される共鳴光1、2の中心周波数を制御する。
また、温度制御部72は、温度センサー34の検出結果に基づいて、ヒーター33への通電を制御する。これにより、ガスセル31を所望の温度範囲内に維持することができる。ここで、温度センサー34は、ガスセル31の温度を検知する温度検知手段を構成する。
また、磁場制御部73は、コイル35が発生する磁場が一定となるように、コイル35への通電を制御する。
以上説明したような本実施形態の原子発振器1によれば、配線基板6に複数の端子223、363が接合されていることにより、配線基板6に対して保持部材5を支持するとともに、配線基板6と複数の端子223、363との電気的な接続を行うことができる。そのため、保持部材5と配線基板6とを離間させることにより、保持部材5に保持されたガスセル31、光出射部21および光検出部32と配線基板6との間の熱の干渉を抑制することができる。そのため、原子発振器1の温度特性を優れたものとすることができる。
また、ガスセル31、光出射部21および光検出部32が保持部材5に保持されているので、配線基板6に外力が加わっても、光出射部21の光軸がガスセル31および光検出部32に対してずれるのを防止することができる。
また、保持部材5が配線基板6の貫通孔61に挿入されていることにより、装置全体の低背化を図ることができる。
以上より、低背化を図るとともに、優れた発振特性を発揮することができる原子発振器1を提供することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器の縦断面図、図8(a)は、図7に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、図8(b)は、図7に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。
本実施形態にかかる原子発振器は、光出射側パッケージおよび光検出側パッケージから突出する複数の端子の配置、および、保持部材から突出する複数の端子の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の原子発振器に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7および図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図7に示す原子発振器1Aは、第1ユニット2A(光出射側ユニット)と、第2ユニット3A(光検出側ユニット)と、光学部品41、42、43と、これらを保持する保持部材5Aと、保持部材5Aを支持する配線基板6(基板)と、配線基板6に実装された制御部7とを備える。
ここで、図7、8に示すように、第1ユニット2Aは、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22A(光出射側パッケージ)とを備える。
また、第2ユニット3Aは、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36A(光検出側パッケージ)とを備える。
第1パッケージ22Aは、図7に示すように、基体221A(光出射側基体)と、蓋体222(光出射側蓋体)とを備える。
基体221Aの一方の面(実装面)には、光出射部21(実装部品)が設置(実装)される。また、基体221Aの他方の面には、図7に示すように、複数の端子223A(リード)が−X軸方向に突出している。この複数の端子223Aは、図示しない配線を介して光出射部21に電気的に接続されている。
この複数の端子223Aは、図7および図8(a)に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、X軸に平行な軸線周りに周方向に並んでいる。
このような基体221Aには、基体221A上の光出射部21を覆う蓋体222が接合されている。
第2パッケージ36Aは、前述した第1ユニット2Aの第1パッケージ22Aと同様に、構成されている。
具体的には、第2パッケージ36Aは、図7に示すように、基体361A(光検出側基体)と、蓋体362(光検出側蓋体)とを備える。
基体361Aの一方の面(実装面)には、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35(複数の実装部品)が設置(実装)される。また、基体361Aの他方の面には、図7に示すように、複数の端子363A(リード)が+X軸方向に突出している。この複数の端子363Aは、図示しない配線を介して光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35に電気的に接続されている。
この複数の端子363Aは、図7に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、X軸に平行な軸線周りに周方向に並んでいる。
保持部材5Aは、上側に開口する凹部51を有する。
そして、この凹部51には、第1パッケージ22A、第2パッケージ36Aおよび複数の光学部品41、42、43が設置されている。
また、保持部材5Aの一端部側(図7中の左側)には、第1パッケージ22Aの基体221Aを支持する支持部52A(第1支持部)が設けられ、保持部材5Aの他端部(図7中の右側)には、第2パッケージ36Aの基体361Aを支持する支持部53A(第2支持部)が設けられている。
支持部52Aには、前述した第1パッケージ22Aの複数の端子223Aが挿通される複数の貫通孔521Aが形成されている。
ここで、複数の貫通孔521Aは、複数の端子223Aに対応して設けられ、それぞれ、X軸方向に延びており、図8(b)に示すように、X軸に平行な軸線周りに周方向に並んでいる。
また、支持部52Aの凹部51と反対側の面には、複数の端子223Aに対応して設けられた複数の端子522が−X軸方向に突出している。
この複数の端子522は、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、Y軸方向に並んでいる。そして、複数の端子522は、図示しない配線を介して、複数の端子223Aに電気的に接続されている。すなわち、支持部52Aは、配置の異なる複数の端子223Aと複数の端子522とを電気的に接続する機能を有する。
同様に、支持部53Aには、前述した第2パッケージ36Aの複数の端子363Aが挿通される複数の貫通孔531Aが形成されている。
ここで、複数の貫通孔531Aは、複数の端子363Aに対応して設けられ、それぞれ、X軸方向に延びており、X軸に平行な軸線周りに周方向に並んでいる。
また、支持部53Aの凹部51と反対側の面には、複数の端子363Aに対応して設けられた複数の端子532が+X軸方向に突出している。
この複数の端子532は、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、Y軸方向に並んでいる。そして、複数の端子532は、図示しない配線を介して、複数の端子363Aに電気的に接続されている。すなわち、支持部53Aは、配置の異なる複数の端子363Aと複数の端子532とを電気的に接続する機能を有する。
このような複数の端子522は、配線基板6の面に沿って並んでいる。同様に、複数の端子532は、配線基板6の面に沿って並んでいる。
そして、配線基板6の複数の端子62には、それぞれ、対応する複数の端子522が接合されている。同様に、複数の端子63には、それぞれ、対応する複数の端子532が接合されている。
これらの接合により、保持部材5Aが複数の端子522および複数の端子532を介して配線基板6に支持されるとともに、複数の端子522が複数の端子62にそれぞれ電気的に接続され、複数の端子532が複数の端子63にそれぞれ電気的に接続されている。
以上説明したような第2実施形態に係る原子発振器1Aによっても、小型化(特に低背化)を図りつつ、光出射部21の光軸ずれを防止するとともに、優れた温度特性を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器の縦断面図である。
本実施形態にかかる原子発振器は、保持部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の原子発振器に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図9に示す原子発振器1Bは、第1ユニット2(光出射側ユニット)、第2ユニット3(光検出側ユニット)および光学部品41、42、43を保持する保持部材5Bを備える。
保持部材5Aは、ガスセル31、光出射部21および光検出部32を収納し、封止されているパッケージを構成している。これにより、原子発振器1Bの信頼性を高めることができる。
具体的に説明すると、保持部材5Bは、凹部51Bを有する本体50と、凹部51Bを封鎖する蓋体54とを有する。
本体50の凹部51Bには、第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43が設置されている。
また、本体50の一端部側(図9中の左側)には、第1パッケージ22の基体221を支持する支持部52(第1支持部)が設けられ、本体50の他端部(図9中の右側)には、第2パッケージ36の基体361を支持する支持部53(第2支持部)が設けられている。
また、本体50の凹部51Bの壁面には、光学部品41を保持する溝511Bと、光学部品42を保持する溝512Bと、光学部品43を保持する溝513Bとが形成されている。
このような本体50には、凹部51Bの開口を塞ぐ蓋体54が接合されている。
蓋体54は、平板状をなしている。
また、本体50と蓋体54とは気密的に接合されているのが好ましい。すなわち、保持部材5B内が気密空間であることが好ましい。これにより、保持部材5B内を減圧状態(大気圧よりも減圧した状態)または不活性ガス封入状態とすることができ、その結果、原子発振器1Bの特性を向上させることができる。
また、本体50と蓋体54との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
なお、本実施形態では、光出射部21を第1パッケージ22内に収納するとともに、ガスセル31および光検出部32を第2パッケージ36内に収納しているが、保持部材5B内が気密空間とする場合、光出射部21、ガスセル31および光検出部32が保持部材5内に露出されていてもよい。例えば、第1パッケージ22の蓋体222および第2パッケージ36の蓋体362を省略してもよい。
以上説明したような第3実施形態に係る原子発振器1Bによっても、小型化(特に低背化)を図りつつ、光出射部21の光軸ずれを防止するとともに、優れた温度特性を発揮することができる。
2.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図10は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合のシステム構成概要図である。
図10に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
図11は、本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。
図11に示すクロック伝送システム500は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
このクロック伝送システム500は、A局(上位(N系))のクロック供給装置(CSM:Clock Supply Module)501およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置502と、B局(上位(E系))のクロック供給装置503およびSDH装置504と、C局(下位)のクロック供給装置505およびSDH装置506、507とを備える。
クロック供給装置501は、原子発振器1を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置501内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置502は、クロック供給装置501からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置503は、原子発振器1を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置503内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置504は、クロック供給装置503からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置505は、クロック供給装置501、503からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
ここで、クロック供給装置505は、通常、クロック供給装置501からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置505は、クロック供給装置503からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。
SDH装置506は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置507は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
3.移動体
また、前述したような本発明の原子発振器は、各種移動体に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える移動体は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図12は、本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
図12に示す移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。そして、原子発振器1からの発振信号に基づいて、例えば、図示しない制御部が動力源の駆動を制御する。
なお、本発明の電子機器または移動体は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明における各部の構成は、前述した実施形態の構成と同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。例えば、本発明の原子発振器(量子干渉装置)は、前述した実施形態において、X軸方向での一方側の構成が第1実施形態、他方側の構成が第2実施形態となるように構成されていてもよい。
1‥‥原子発振器 1A‥‥原子発振器 1B‥‥原子発振器 2‥‥第1ユニット 2A‥‥第1ユニット 3‥‥第2ユニット 3A‥‥第2ユニット 5‥‥保持部材 5A‥‥保持部材 5B‥‥保持部材 6‥‥配線基板 7‥‥制御部 21‥‥光出射部 22‥‥第1パッケージ(光出射側パッケージ) 22A‥‥第1パッケージ(光出射側パッケージ) 23‥‥窓部 31‥‥ガスセル 32‥‥光検出部 33‥‥ヒーター 34‥‥温度センサー 35‥‥コイル 36‥‥第2パッケージ(光検出側パッケージ) 36A‥‥第2パッケージ(光検出側パッケージ) 37‥‥窓部 41‥‥光学部品 42‥‥光学部品 43‥‥光学部品 50‥‥本体 51‥‥凹部 51B‥‥凹部 52‥‥支持部 52A‥‥支持部 53‥‥支持部 53A‥‥支持部 54‥‥蓋体 61‥‥貫通孔 62‥‥端子 63‥‥端子 71‥‥励起光制御部 72‥‥温度制御部 73‥‥磁場制御部 100‥‥測位システム 200‥‥衛星 221‥‥基体(光出射側基体) 221A‥‥基体(光出射側基体) 222‥‥蓋体(光出射側蓋体) 223‥‥端子 223A‥‥端子 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 361‥‥基体(光検出側基体) 361A‥‥基体(光検出側基体) 362‥‥蓋体(光検出側蓋体) 363‥‥端子 363A‥‥端子 400‥‥受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 500‥‥クロック伝送システム 501‥‥クロック供給装置 502‥‥SDH装置 503‥‥クロック供給装置 504‥‥SDH装置 505‥‥クロック供給装置 506‥‥SDH装置 507‥‥SDH装置 508‥‥マスタークロック 509‥‥マスタークロック 511‥‥溝 511B‥‥溝 512‥‥溝 512B‥‥溝 513‥‥溝 513B‥‥溝 521‥‥貫通孔 521A‥‥貫通孔 522‥‥端子 531‥‥貫通孔 531A‥‥貫通孔 532‥‥端子 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪

Claims (8)

  1. 金属原子が収納されているガスセルと、
    前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、
    前記金属原子を通過した前記光を検出する光検出部と、
    前記ガスセル、前記光出射部および前記光検出部を保持する保持部材と、
    前記保持部材から突出している複数の端子と、
    前記保持部材が挿入されている貫通孔を有し、前記複数の端子が接合されていることにより、前記保持部材を支持するとともに、前記複数の端子に電気的に接続されている基板と、を備えることを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記複数の端子は、前記基板の面に沿って並んでいる請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記光出射部を収納している光出射側パッケージと、
    前記ガスセルおよび前記光検出部を収納している光検出側パッケージと、を備え、
    前記保持部材は、前記光出射側パッケージおよび前記光検出側パッケージを互いに非接触で保持している請求項1または2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記光出射側パッケージは、前記光出射部が設置される光出射側基体と、前記光出射部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光出射側蓋体とを有し、
    前記光検出側パッケージは、前記ガスセルおよび前記光検出部が設置される光検出側基体と、前記ガスセルおよび前記光検出部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光検出側蓋体と、を有する請求項3に記載の量子干渉装置。
  5. 前記複数の端子は、前記光出射側基体および前記光検出側基体の少なくとも一方から突出し、前記保持部材を貫通している請求項4に記載の量子干渉装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  7. 請求項6に記載の原子発振器を備えることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項6に記載の原子発振器を備えることを特徴とする移動体。
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