JP6089847B2 - 量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents
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Description
このような原子発振器は、一般に、アルカリ金属を緩衝ガスとともに封入したガスセルと、ガスセル内のアルカリ金属を励起する励起光を出射する光出射部と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出部とを備える。
例えば、特許文献1に係る原子発振器では、ガスセル、光源(光出射部)および光検出器(光検出部)を有し、これらがそれぞれ基板に固定されている。
しかし、特許文献1に係る原子発振器では、基板が変形することにより、光源の光軸が所望位置からずれてしまい、発振特性が低下するという問題があった。
また、近年、特に、量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器に比し、小型化が容易であることから、様々な機器への搭載が期待され、さらなる小型化(特に低背化)が求められている。
[適用例1]
本適用例の量子干渉装置は、金属原子が収納されているガスセルと、
前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、
前記金属原子を通過した前記光を検出する光検出部と、
前記ガスセル、前記光出射部および前記光検出部を保持する保持部材と、
前記保持部材から突出している複数の端子と、
前記保持部材が挿入されている貫通孔を有し、前記複数の端子が接合されていることにより、前記保持部材を支持するとともに、前記複数の端子に電気的に接続されている基板と、を備えることを特徴とする。
また、保持部材が基板の貫通孔に挿入されていることにより、装置全体の低背化を図ることができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記複数の端子は、前記基板の面に沿って並んでいることが好ましい。
これにより、複数の端子に生じる応力を低減しつつ、基板と複数の端子とを接合することができる。そのため、量子干渉装置の信頼性を高めることができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記光出射部を収納している光出射側パッケージと、
前記ガスセルおよび前記光検出部を収納している光検出側パッケージと、を備え、
前記保持部材は、前記光出射側パッケージおよび前記光検出側パッケージを互いに非接触で保持していることが好ましい。
これにより、光出射部およびガスセルが互いに非接触の別々のパッケージに収納されているので、光出射部とガスセルとの間の熱干渉を防止または抑制し、光出射部とガスセルとを独立して高精度に温度制御することができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記光出射側パッケージは、前記光出射部が設置される光出射側基体と、前記光出射部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光出射側蓋体とを有し、
前記光検出側パッケージは、前記ガスセルおよび前記光検出部が設置される光検出側基体と、前記ガスセルおよび前記光検出部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光検出側蓋体と、を有することが好ましい。
これにより、光出射部からガスセルを介して光検出部への光の光路を確保しつつ、光出射部およびガスセルを互いに非接触の別々のパッケージに収納することができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記複数の端子は、前記光出射側基体および前記光検出側基体の少なくとも一方から突出し、前記保持部材を貫通していることが好ましい。
これにより、複数の端子の電気的接続の信頼性を高めることができる。
[適用例6]
本適用例の原子発振器は、本適用例の量子干渉装置を備えることを特徴とする。
これにより、低背化を図るとともに、優れた発振特性を発揮することができる原子発振器を提供することができる。
本適用例の電子機器は、本適用例の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
[適用例8]
本適用例の移動体は、本適用例の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する移動体を提供することができる。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本発明の原子発振器(本発明の量子干渉装置を備える原子発振器)について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、原子発振器の他、例えば、磁気センサー、量子メモリー等にも適用可能である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す斜視図、図2は、図1に示す原子発振器の概略構成を示す模式図である。また、図3は、図1に示す原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図4は、図1に示す原子発振器に備えられた光出射部および光検出部について、光出射部からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。また、図5は、図1に示す原子発振器の縦断面図、図6(a)は、図1に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、図6(b)は、図1に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。
この原子発振器1は、図1に示すように、第1ユニット2(光出射側ユニット)と、第2ユニット3(光検出側ユニット)と、光学部品41、42、43と、これらを保持する保持部材5と、保持部材5を支持する配線基板6(基板)と、配線基板6に実装された制御部7とを備える。
また、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36(光検出側パッケージ)とを備える。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
原子発振器1では、ガスセル31内に、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(金属原子)が封入されている。
このようなガス状のアルカリ金属に対して周波数の異なる2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
光出射部21は、ガスセル31に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
(第1ユニット)
前述したように、第1ユニット2は、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22とを備える。
[光出射部]
光出射部21は、ガスセル31中のアルカリ金属原子を励起する励起光を出射する機能を有する。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル31中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起し得るものである。
また、このような光出射部21は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、後述するガスセル31とは異なる温度、例えば、30℃程度に温度調節される。
第1パッケージ22は、前述した光出射部21を収納する。
この第1パッケージ22は、図5に示すように、基体221(光出射側基体)と、蓋体222(光出射側蓋体)とを備える。
基体221は、光出射部21を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体221は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
この複数の端子223は、図5および図6(a)に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、一方向(本実施形態ではY軸方向)に並んでいる。
蓋体222は、一端部が開口した有底筒状をなしている。本実施形態では、蓋体222の筒状部は、円筒状をなす。
この蓋体222の一端部の開口は、前述した基体221により塞がれている。
この窓部23は、ガスセル31と光出射部21との間の光軸a上に設けられている。
そして、窓部23は、前述した励起光に対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部23は、レンズで構成されている。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル31へ照射することができる。
なお、窓部23は、励起光に対する透過性を有するものであれば、レンズに限定されず、例えば、レンズ以外の光学部品であってもよいし、単なる光透過性の板状部材であってもよい。また、前述したような機能を有するレンズは、後述する光学部品41、42、43と同様、第1パッケージ22および第2パッケージ36との間に設けられていてもよい。
ここで、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有する材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23と一体的に形成することができる。また、蓋体222の窓部23以外の部分が励起光に対して透過性を有しない材料で構成されている場合、蓋体222の窓部23以外の部分と窓部23とを別体で形成し、これらを公知の接合方法により接合すればよい。
また、基体221と蓋体222との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
また、第1パッケージ22内には、前述した光出射部21以外の部品が収納されていてもよい。
例えば、第1パッケージ22内には、光出射部21の温度を調節する温度調節素子や温度センサー等が収納されていてもよい。かかる温度調節素子としては、例えば、発熱抵抗体(ヒーター)、ペルチェ素子等が挙げられる。
また、第1パッケージ22は、基体221が第2パッケージ36とは反対側に配置されるように、後述する保持部材5に保持されている。
前述したように、第2ユニット3は、ガスセル31と、光検出部32と、ヒーター33と、温度センサー34と、コイル35と、これらを収納する第2パッケージ36とを備える。
[ガスセル]
ガスセル31内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。
ここで、ガスセル31の各窓部は、前述した光出射部21からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部は、ガスセル31内へ入射する励起光が透過するものであり、他方の窓部は、ガスセル31内から出射した励起光が透過するものである。
また、ガスセル31の本体部を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
ガスセル31の本体部と窓部との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、このようなガスセル31は、ヒーター33により、前述した光出射部21とは異なる温度、例えば、70℃程度に温度調節される。
光検出部32は、ガスセル31内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部32としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
ヒーター33は、前述したガスセル31(より具体的にはガスセル31中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル31中のアルカリ金属をガス状に維持することができる。
このヒーター33は、通電により発熱するものであり、例えば、ガスセル31の外表面上に設けられた発熱抵抗体で構成されている。このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成される。
このようなヒーター33は、後述する制御部7の温度制御部72に電気的に接続され、通電される。
温度センサー34は、ヒーター33またはガスセル31の温度を検出するものである。そして、この温度センサー34の検出結果に基づいて、前述したヒーター33の発熱量が制御される。これにより、ガスセル31内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
温度センサー34としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
このような温度センサー34は、図示しない配線を介して、後述する制御部7の温度制御部72に電気的に接続されている。
コイル35は、通電により、磁場を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル31中のアルカリ金属に磁場を印加することにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
このコイル35の設置位置は、特に限定されず、図示しないが、例えば、ソレノイド型を構成するようにガスセル31の外周に沿って巻回して設けられていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように1対のコイルをガスセル31を介して対向させてもよい。
このようなコイル35の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2パッケージ36は、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を収納する。
この第2パッケージ36は、前述した第1ユニット2の第1パッケージ22と同様に、構成されている。
基体361は、ガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35を直接的または間接的に支持する。本実施形態では、基体361は、板状をなし、平面視で円形をなしている。
このような基体361には、基体361上のガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35の少なくとも一部を覆う蓋体362が接合されている。
この蓋体362の一端部の開口は、前述した基体361により塞がれている。
そして、蓋体362の他端部、すなわち蓋体362の開口とは反対側の底部には、窓部37が設けられている。
そして、窓部37は、前述した励起光に対して透過性を有する。
本実施形態では、窓部37は、光透過性を有する板状部材で構成されている。
なお、窓部37は、励起光に対する透過性を有するものであれば、光透過性を有する板状部材に限定されず、例えば、レンズ、偏光板、λ/4波長板等の光学部品であってもよい。
このような蓋体362の窓部37以外の部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セラミックス、金属、樹脂等を用いることができる。
また、基体361と蓋体362との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
また、第2パッケージ36内には、少なくともガスセル31および光検出部32が収納されていればよく、また、前述したガスセル31、光検出部32、ヒーター33、温度センサー34およびコイル35以外の部品が収納されていてもよい。
また、第2パッケージ36は、基体361が第1パッケージ22とは反対側に配置されるように、後述する保持部材5に保持されている。
前述したような第1パッケージ22と第2パッケージ36との間には、複数の光学部品41、42、43が配置されている。この複数の光学部品41、42、43は、それぞれ、前述した第1パッケージ22内の光出射部21と、前述した第2パッケージ36内のガスセル31との間の光軸a上に設けられている。
光学部品41は、λ/4波長板である。これにより、例えば、光出射部21からの励起光が直線偏光である場合、その励起光を円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
このような光学部品41に対して第2ユニット3側には、光学部品42、43が配置されている。
なお、光学部品42、43の平面視形状は、これに限定されず、例えば、円形をなしていてもよい。光学部品42、43の平面視形状が円形である場合、後述するような保持部材5の溝512、513に係合した状態で光軸aに平行な軸線周りに光学部品42、43を回転させることができる。
また、光学部品42、43は、それぞれ、上側と下側とで連続的または段階的に減光率の異なる部分を有していてもよい。この場合、光学部品42、43を配線基板6に対して上下方向での位置を調整することにより、励起光の減光率を調整することができる。
なお、この光学部品42、43のうちのいずれか一方の光学部品を省略してもよい。また、光出射部21の出力が適度である場合、光学部品42、43の双方を省略することができる。
また、光学部品41、42、43は、前述した種類、配置順、数等に限定されない。例えば、光学部品41、42、43は、それぞれ、λ/4波長板または減光フィルターに限定されず、レンズ、偏光板等であってもよい。
保持部材5は、前述した第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43を保持する機能を有する。ここで、保持部材5は、第1パッケージ22を介して光出射部21を保持するとともに、第2パッケージ36を介してガスセル31および光検出部32等を保持する。
これにより、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を防止または抑制し、光出射部21とガスセル31とを独立して高精度に温度制御することができる。
そして、この凹部51には、第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43が設置されている。本実施形態では、第1パッケージ22、第2パッケージ36および複数の光学部品41、42、43の下部がそれぞれ凹部51内に位置している。
また、第1パッケージ22および第2パッケージ36は、筒状をなす蓋体222および蓋体362の軸線がそれぞれ凹部51の延在方向(X軸方向)に平行となるように配置されている。これにより、第1パッケージ22および第2パッケージ36は、蓋体222および蓋体362の軸線が互いに一致または平行となるように配置されている。
また、保持部材5の一端部側(図5中の左側)には、第1パッケージ22の基体221を支持する支持部52(第1支持部)が設けられ、保持部材5の他端部(図5中の右側)には、第2パッケージ36の基体361を支持する支持部53(第2支持部)が設けられている。
ここで、複数の貫通孔521は、複数の端子223に対応して設けられ、それぞれ、X軸方向に延びており、図6(b)に示すように、Y軸方向に並んでいる。したがって、複数の端子223の保持部材5から突出した部分も、Y軸方向に並んでいる。
複数の端子363は、複数の貫通孔531を貫通している。これにより、各端子363の先端部は、保持部材5から突出している。
以上のように、保持部材5は、第1パッケージ22および第2パッケージ36を保持する。
具体的に説明すると、保持部材5の凹部51の壁面には、光学部品41を保持する溝511と、光学部品42を保持する溝512と、光学部品43を保持する溝513とが形成されている。
ここで、前述したように光学部品41がλ/4波長板であるため、保持部材5に対する第1パッケージ22の姿勢によらず、光学部品41を回転により姿勢を調整することにより、光出射部21からの励起光を直線偏光から円偏光へ変換することができる。
また、光学部品41が円板状をなすため、横断面が矩形をなす凹部51の壁面に対し3か所で接触する。これにより、保持部材5に対する光学部品41の位置決めを行うことができる。
これにより、第1パッケージ22と第2パッケージ36との間の保持部材5を介した熱伝導を小さくすることができる。その結果、光出射部21とガスセル31との間の熱干渉を効果的に防止または抑制することができる。
配線基板6は、図示しない配線を有し、かかる配線を介して、配線基板6に搭載された制御部7等の電子部品と、第1パッケージ22の複数の端子223および第2パッケージの複数の端子363とを電気的に接続する機能を有する。
また、配線基板6は、複数の端子223および複数の端子363を介して、保持部材5を支持する機能をも有する。
この貫通孔61には、保持部材5が挿入されている。これにより、保持部材5を配線基板6の面上に搭載する場合に比し、装置全体の低背化を図ることができる。
本実施形態では、貫通孔61は、平面視で、保持部材5の外形と相似する形状、すなわち、四角形(より具体的には、X軸方向を長手方向とする長方形)をなしている。
したがって、貫通孔61に挿入された保持部材5は、配線基板6に対して離間している。これにより、保持部材5に保持されたガスセル31、光出射部21および光検出部32と配線基板6との間の熱の干渉を抑制することができる。
本実施形態では、複数の端子62は、貫通孔61の長手方向での一端部近傍に設けられ、一方、複数の端子63は、貫通孔61の長手方向での他端部近傍に設けられている。
複数の端子62は、前述した第1パッケージ22の複数の端子223に対応して設けられている。そして、複数の端子62には、それぞれ、対応する複数の端子223が接合されている。
これらの接合により、保持部材5が複数の端子223および複数の端子363を介して配線基板6に支持されるとともに、複数の端子223が複数の端子62にそれぞれ電気的に接続され、複数の端子363が複数の端子63にそれぞれ電気的に接続されている。
これにより、複数の端子223、363に生じる応力を低減しつつ、配線基板6と複数の端子223、363とを接合することができる。そのため、原子発振器1の信頼性を高めることができる。
このような配線基板6としては、各種プリント配線基板を用いることができるが、保持部材5を支持するのに必要な剛性を確保する観点から、リジット部を有する基板、例えば、リジット基板、リジットフレキシブル基板等を用いるのが好ましい。
また、配線基板6の一方の面には、制御部7が設置されている。なお、配線基板6には、制御部7以外の電子部品が搭載されていてもよい。
図2に示す制御部7は、ヒーター33、コイル35および光出射部21をそれぞれ制御する機能を有する。
本実施形態では、制御部7は、配線基板6に搭載されたIC(Integrated Circuit)チップで構成されている。
このような制御部7は、光出射部21の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部71と、ガスセル31中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部72と、ガスセル31に印加する磁場を制御する磁場制御部73とを有する。
また、磁場制御部73は、コイル35が発生する磁場が一定となるように、コイル35への通電を制御する。
また、保持部材5が配線基板6の貫通孔61に挿入されていることにより、装置全体の低背化を図ることができる。
以上より、低背化を図るとともに、優れた発振特性を発揮することができる原子発振器1を提供することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器の縦断面図、図8(a)は、図7に示す原子発振器の光出射側パッケージの基体を示す図、図8(b)は、図7に示す原子発振器の保持部材の光出射側パッケージ側の端部を示す図である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の原子発振器に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7および図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
ここで、図7、8に示すように、第1ユニット2Aは、光出射部21と、光出射部21を収納する第1パッケージ22A(光出射側パッケージ)とを備える。
第1パッケージ22Aは、図7に示すように、基体221A(光出射側基体)と、蓋体222(光出射側蓋体)とを備える。
この複数の端子223Aは、図7および図8(a)に示すように、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、X軸に平行な軸線周りに周方向に並んでいる。
第2パッケージ36Aは、前述した第1ユニット2Aの第1パッケージ22Aと同様に、構成されている。
具体的には、第2パッケージ36Aは、図7に示すように、基体361A(光検出側基体)と、蓋体362(光検出側蓋体)とを備える。
保持部材5Aは、上側に開口する凹部51を有する。
そして、この凹部51には、第1パッケージ22A、第2パッケージ36Aおよび複数の光学部品41、42、43が設置されている。
支持部52Aには、前述した第1パッケージ22Aの複数の端子223Aが挿通される複数の貫通孔521Aが形成されている。
また、支持部52Aの凹部51と反対側の面には、複数の端子223Aに対応して設けられた複数の端子522が−X軸方向に突出している。
同様に、支持部53Aには、前述した第2パッケージ36Aの複数の端子363Aが挿通される複数の貫通孔531Aが形成されている。
また、支持部53Aの凹部51と反対側の面には、複数の端子363Aに対応して設けられた複数の端子532が+X軸方向に突出している。
この複数の端子532は、それぞれ、X軸方向に延びており、互いに平行となるように、Y軸方向に並んでいる。そして、複数の端子532は、図示しない配線を介して、複数の端子363Aに電気的に接続されている。すなわち、支持部53Aは、配置の異なる複数の端子363Aと複数の端子532とを電気的に接続する機能を有する。
そして、配線基板6の複数の端子62には、それぞれ、対応する複数の端子522が接合されている。同様に、複数の端子63には、それぞれ、対応する複数の端子532が接合されている。
以上説明したような第2実施形態に係る原子発振器1Aによっても、小型化(特に低背化)を図りつつ、光出射部21の光軸ずれを防止するとともに、優れた温度特性を発揮することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る原子発振器の縦断面図である。
本実施形態にかかる原子発振器は、保持部材の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる原子発振器と同様である。
図9に示す原子発振器1Bは、第1ユニット2(光出射側ユニット)、第2ユニット3(光検出側ユニット)および光学部品41、42、43を保持する保持部材5Bを備える。
具体的に説明すると、保持部材5Bは、凹部51Bを有する本体50と、凹部51Bを封鎖する蓋体54とを有する。
また、本体50の一端部側(図9中の左側)には、第1パッケージ22の基体221を支持する支持部52(第1支持部)が設けられ、本体50の他端部(図9中の右側)には、第2パッケージ36の基体361を支持する支持部53(第2支持部)が設けられている。
このような本体50には、凹部51Bの開口を塞ぐ蓋体54が接合されている。
蓋体54は、平板状をなしている。
また、本体50と蓋体54との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう接、シーム溶接、エネルギー線溶接(レーザー溶接、電子線溶接等)等を用いることができる。
以上説明したような第3実施形態に係る原子発振器1Bによっても、小型化(特に低背化)を図りつつ、光出射部21の光軸ずれを防止するとともに、優れた温度特性を発揮することができる。
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図10は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合のシステム構成概要図である。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
図11に示すクロック伝送システム500は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
クロック供給装置501は、原子発振器1を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置501内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
クロック供給装置503は、原子発振器1を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置503内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
クロック供給装置505は、クロック供給装置501、503からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置506は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置507は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
また、前述したような本発明の原子発振器は、各種移動体に組み込むことができる。このような本発明の原子発振器を備える移動体は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の移動体の一例について説明する。
図12は、本発明の原子発振器を備える移動体(自動車)の構成を示す斜視図である。
また、本発明における各部の構成は、前述した実施形態の構成と同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。例えば、本発明の原子発振器(量子干渉装置)は、前述した実施形態において、X軸方向での一方側の構成が第1実施形態、他方側の構成が第2実施形態となるように構成されていてもよい。
Claims (8)
- 金属原子が収納されているガスセルと、
前記金属原子を励起する光を出射する光出射部と、
前記金属原子を通過した前記光を検出する光検出部と、
前記ガスセル、前記光出射部および前記光検出部を保持する保持部材と、
前記保持部材から突出している複数の端子と、
前記保持部材が挿入されている貫通孔を有し、前記複数の端子が接合されていることにより、前記保持部材を支持するとともに、前記複数の端子に電気的に接続されている基板と、を備えることを特徴とする量子干渉装置。 - 前記複数の端子は、前記基板の面に沿って並んでいる請求項1に記載の量子干渉装置。
- 前記光出射部を収納している光出射側パッケージと、
前記ガスセルおよび前記光検出部を収納している光検出側パッケージと、を備え、
前記保持部材は、前記光出射側パッケージおよび前記光検出側パッケージを互いに非接触で保持している請求項1または2に記載の量子干渉装置。 - 前記光出射側パッケージは、前記光出射部が設置される光出射側基体と、前記光出射部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光出射側蓋体とを有し、
前記光検出側パッケージは、前記ガスセルおよび前記光検出部が設置される光検出側基体と、前記ガスセルおよび前記光検出部の少なくとも一部を覆い、かつ、前記光に対する透過性を有する窓部が設けられた光検出側蓋体と、を有する請求項3に記載の量子干渉装置。 - 前記複数の端子は、前記光出射側基体および前記光検出側基体の少なくとも一方から突出し、前記保持部材を貫通している請求項4に記載の量子干渉装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
- 請求項6に記載の原子発振器を備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項6に記載の原子発振器を備えることを特徴とする移動体。
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