JP6089826B2 - 工具ソケット - Google Patents
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Description
上記挿入穴は、上記多角形の頭部又は上記多角形ナットにおける角部の数と同じ数の内壁面を有しており、
上記各内壁面において、隣り合う該内壁面間に形成され、径方向外側に膨らむ円弧形状の角凹部に対して周方向一方側に隣接する一方面部分は、上記角凹部に対して周方向他方側に隣接する他方面部分よりも、径方向外側に位置し、
上記一方面部分と上記他方面部分とが上記角凹部を挟んで対称形状に形成された場合の上記角凹部間を結び、上記工具ソケットの中心から上記角凹部間の周方向中心を通る仮想線上の点を中心とする円に沿って、上記角凹部よりも大きな曲率半径で径方向内側に膨らむ円弧形状の仮想曲面形状を想定したとき、
上記他方面部分は、上記仮想曲面形状の一部に倣った上記第1曲面形状によって形成されており、
上記一方面部分は、上記第1曲面形状に繋がるとともに該第1曲面形状よりも小さな曲率半径で径方向外側に膨らむ円弧形状の第2曲面形状と、上記第1曲面形状と上記第2曲面形状とを結び、上記第1曲面形状よりも小さな曲率半径で径方向内側に膨らむ円弧形状の第3曲面形状とによって形成されており、
上記多角形ボルト又は上記多角形ナットを締め付ける際に、上記工具ソケットの中心と上記他方面部分における締付け力の作用線とを結ぶ垂線の長さである締付けモーメントアームは、上記多角形ボルト又は上記多角形ナットを緩める際に、上記工具ソケットの中心と上記一方面部分における緩め力の作用線とを結ぶ垂線の長さである緩めモーメントアームよりも長く、
上記他方面部分における締付け力の作用線上の作用点は、上記第1曲面形状の上に位置し、上記一方面部分における緩め力の作用線上の作用点は、上記第3曲面形状の上に位置することを特徴とする工具ソケットにある(請求項1)。
そして、工具ソケットは、その各内壁面において、角凹部に対して周方向一方側に隣接する一方面部分が、周方向他方側に隣接する他方面部分よりも径方向外側に位置するように形成されている。これにより、専ら締め付けるときにトルクが必要となる場合には、多角形ボルトの頭部又は多角形ナットを締め付けるときに、これらに対して各内壁面における他方面部分が接触する。
このように、上記工具ソケットによれば、締付けトルク又は緩めトルクを確保して、角凹部に生ずる集中応力を低減することができ、寿命を延ばすことができる。
上記工具ソケットは、多角形ボルトとしての六角ボルト、又は多角形ナットとしての六角ナットに対して用いることができる。また、工具ソケットは、六角以外の多角形、例えば四角形、八角形等に対応することもできる。また、工具ソケットは、手動によるソケットレンチ、電動による電動工具等に取り付けて使用することができる。
工具ソケットの挿入穴における内壁面を第1曲面形状によって形成することにより、内壁面が、多角形ボルト又は多角形ナットに対して面接触する状態を容易に形成することができる。また、第2曲面形状によって一方面部分を形成することにより、挿入穴の各内壁面を最適な形状にして、工具ソケットの角凹部に生ずる集中応力の低減を図ることができる。
工具ソケットによって多角形ボルト又は多角形ナットを専ら締め付けるときにトルクが必要となる場合がある。締付けモーメントアームが緩めモーメントアームよりも長いことにより、工具ソケットに作用させる締付け力と緩め力とが同じであっても、締付けトルク(モーメント)を緩めトルク(モーメント)よりも大きく作用させることができる。そのため、締付けトルクを確保して、工具ソケットにおける角凹部に生ずる集中応力を低減することができる。
工具ソケットにおける内壁面の形状が適切であり、締付けトルクを確保して、工具ソケットにおける角凹部に生ずる集中応力を適切に低減することができる。
本例の工具ソケット1は、図1、図2に示すごとく、多角形ボルト3における多角形の頭部31を挿入するための挿入穴2を有している。挿入穴2は、多角形の頭部31における角部の数と同じ数の内壁面21を有している。各内壁面21において、内壁面21間に形成された角凹部22に対して周方向一方側に隣接する一方面部分23Aは、角凹部22に対して周方向他方側に隣接する他方面部分23Bよりも、径方向外側に位置する。
図1、図2に示すごとく、本例の工具ソケット1は、円筒状の軸部11の先端部12に、六角ボルトである多角形ボルト3の頭部31が挿入される六角形状の挿入穴2を設けて形成されている。工具ソケット1の先端部12の外周は、円形状に形成されている。また、工具ソケット1の挿入穴2よりも奥には、挿入穴2から連続して中心穴24が形成されている。
図2に示すごとく、本例の工具ソケット1は、専ら多角形ボルト3を締め付けるときに用いられ、この締付けを行う際に、各内壁面21における他方面部分23Bが多角形ボルト3の頭部31に接触する。
また、締付けを行うときに各内壁面21における他方面部分23Bが多角形ボルト3の頭部31に接触する点、及び緩めを行うときに各内壁面21が多角形ボルト3の頭部31に接触する点を、それぞれ締付け時の力の作用点P1、緩め時の力の作用点P2として示す。
そして、工具ソケット1は、多角形ボルト3を締め付けるときに、各内壁面21における他方面部分23Bの第1曲面形状R1の作用点P1が多角形ボルト3の頭部31に対して接触する。そのため、工具ソケット1を回転させるときに、締付けモーメントアームr1をできるだけ長くすることができる。これにより、必要とする締付けトルクF1・r1を出力するための締付け力F1を小さくすることができる。また、この締付けのときに、各内壁面21における一方面部分23Aが多角形ボルト3の頭部31に接触しない。この相乗効果により、締付けトルクF1・r1を確保して、各内壁面21の一方面部分23Aを介して角凹部22に生ずる集中応力を効果的に低減することができる。
なお、工具ソケット1を、多角形ボルト3を専ら緩めるときに用いる場合には、多角形ボルト3を緩めるときに、第2曲面形状R2が形成されていない他方面部分23Bが多角形ボルト3の頭部31に接触するようにする。この場合には、上記専ら締め付けるときに用いる場合と同様に、緩めトルクF2・r2を確保して、各内壁面21の一方面部分23Aを介して角凹部22に生ずる集中応力を効果的に低減することができる。
また、工具ソケット1は、多角形ボルト3としての六角ボルトに用いる以外にも、多角形ナットとしての六角ナットに用いることもできる。
本確認試験においては、各内壁面21における一方面部分23Aを他方面部分23Bよりも径方向外側に位置させた(一方面部分23Aに第2曲面形状R2を有する)実施例1の工具ソケット1と、各内壁面91における一方面部分93Aと他方面部分93Bとが対称形状に形成された(一方面部分93Aを第1曲面形状R1のみによって形成した)従来の工具ソケット9とに生ずる集中応力について、有限要素法によるコンピュータ解析を行った。
図4は、従来の工具ソケット9によって締付けを行う際の解析結果を示し、図5は、実施例の工具ソケット1によって締付けを行う際の解析結果を示す。各図には、各工具ソケット1,9における角凹部22,92に生ずる集中応力の大きさを、角凹部22,92を拡大してモノクロ表示によって示す。各図において、白色に近い色が集中すると集中応力が大きいことを主に示し、これとは逆に黒色に近い色が集中すると集中応力が小さいことを主に示す。
図6は、従来の工具ソケット9によって締付けを行う際の解析結果を示し、図7は、実施例の工具ソケット1によって締付けを行う際の解析結果を示す。各同図においては、各工具ソケット1,9の挿入穴21,91を軸方向から見た状態で示し、各工具ソケット1,9に生ずる変形を50倍に誇張して示す。
2 挿入穴
21 内壁面
22 角凹部
23A 一方面部分
23B 他方面部分
3 多角形ボルト
31 頭部
R1 第1曲面形状
R2 第2曲面形状
R3 第3曲面形状
Claims (1)
- 多角形ボルトにおける多角形の頭部又は多角形ナットを挿入するための挿入穴を有する工具ソケットであって、
上記挿入穴は、上記多角形の頭部又は上記多角形ナットにおける角部の数と同じ数の内壁面を有しており、
上記各内壁面において、隣り合う該内壁面間に形成され、径方向外側に膨らむ円弧形状の角凹部に対して周方向一方側に隣接する一方面部分は、上記角凹部に対して周方向他方側に隣接する他方面部分よりも、径方向外側に位置し、
上記一方面部分と上記他方面部分とが上記角凹部を挟んで対称形状に形成された場合の上記角凹部間を結び、上記工具ソケットの中心から上記角凹部間の周方向中心を通る仮想線上の点を中心とする円に沿って、上記角凹部よりも大きな曲率半径で径方向内側に膨らむ円弧形状の仮想曲面形状を想定したとき、
上記他方面部分は、上記仮想曲面形状の一部に倣った上記第1曲面形状によって形成されており、
上記一方面部分は、上記第1曲面形状に繋がるとともに該第1曲面形状よりも小さな曲率半径で径方向外側に膨らむ円弧形状の第2曲面形状と、上記第1曲面形状と上記第2曲面形状とを結び、上記第1曲面形状よりも小さな曲率半径で径方向内側に膨らむ円弧形状の第3曲面形状とによって形成されており、
上記多角形ボルト又は上記多角形ナットを締め付ける際に、上記工具ソケットの中心と上記他方面部分における締付け力の作用線とを結ぶ垂線の長さである締付けモーメントアームは、上記多角形ボルト又は上記多角形ナットを緩める際に、上記工具ソケットの中心と上記一方面部分における緩め力の作用線とを結ぶ垂線の長さである緩めモーメントアームよりも長く、
上記他方面部分における締付け力の作用線上の作用点は、上記第1曲面形状の上に位置し、上記一方面部分における緩め力の作用線上の作用点は、上記第3曲面形状の上に位置することを特徴とする工具ソケット。
Priority Applications (1)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013053948A JP6089826B2 (ja) | 2013-03-15 | 2013-03-15 | 工具ソケット |
Publications (2)
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JP2014176946A JP2014176946A (ja) | 2014-09-25 |
JP6089826B2 true JP6089826B2 (ja) | 2017-03-08 |
Family
ID=51697420
Family Applications (1)
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JP2013053948A Active JP6089826B2 (ja) | 2013-03-15 | 2013-03-15 | 工具ソケット |
Country Status (1)
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JP (1) | JP6089826B2 (ja) |
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- 2013-03-15 JP JP2013053948A patent/JP6089826B2/ja active Active
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