JP6088778B2 - 新規な絶縁膜用樹脂組成物及びその利用 - Google Patents

新規な絶縁膜用樹脂組成物及びその利用 Download PDF

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Description

この発明は、乾燥後のタック性に優れ、得られる絶縁膜が難燃性、繰り返し折り曲げに耐えうる柔軟性、電気絶縁信頼性に優れる絶縁膜用樹脂組成物、絶縁膜用樹脂フィルム、絶縁膜、絶縁膜付きプリント配線板に関するものである。
ポリイミド樹脂は、耐熱性、電気絶縁信頼性や耐薬品性、機械特性に優れることから電気・電子用途に広く使用されている。例えば、半導体デバイス上への絶縁フィルムや保護コーティング剤、フレキシブル回路基板や集積回路等の基材材料や表面保護材料、更には、微細な回路の層間絶縁膜や保護膜を形成させる場合に用いられる。
特に、フレキシブル回路基板用の表面保護材料として用いる場合には、ポリイミドフィルム等の成形体に接着剤を塗布して得られるカバーレイフィルムが用いられてきた。このカバーレイフィルムをフレキシブル回路基板上に接着する場合、回路の端子部や部品との接合部に予めパンチングなどの方法により開口部を設け、位置合わせをした後に熱プレス等で熱圧着する方法が一般的である。
しかし、薄いカバーレイフィルムに高精度な開口部を設けることは困難であり、また、張り合わせ時の位置合わせは手作業で行われる場合が多いため、位置精度が悪く、張り合わせの作業性も悪く、コスト高となっていた。
一方、回路基板用の表面保護材料としては、ソルダーレジストと呼ばれる絶縁機能を有する樹脂組成物を直接回路基板に塗布し、硬化させることにより絶縁膜を形成する手法を取られる場合がある。しかし、このソルダーレジストは、難燃性、柔軟性、電気絶縁信頼性などの絶縁膜特性と樹脂組成物を回路基板に塗布し塗膜を乾燥させた後に発生する塗膜のべたつき(タック性)などの加工特性の両立を図ることは難しく、適用範囲が限られる場合があった。
このソルダーレジストとして、難燃性、柔軟性や電気絶縁信頼性を維持しつつ、タック性を改善する種々の提案がされている。
例えば、印刷性、タック性、つや消し性、電気絶縁特性および被塗物との密着性などのバランスに優れた熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、基材との密着性、低反り性、可とう性、耐めっき性、はんだ耐熱性、長期信頼性とともに難燃性をも同時に達成する硬化物を形成し得る熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
国際公開第2007/125806号 特開2007−270137号公報
上記特許文献では、ソルダーレジストの課題を解決する種々の方法が提案されている。しかし、特許文献1に記載されている熱硬化性樹脂組成物は、塗膜を乾燥し、更に熱硬化した後のべたつきは優れるものの、依然として塗膜を乾燥した後のべたつきは問題がある。また、特許文献2に記載されている熱硬化性樹脂組成物は、難燃性、長期信頼性、反り性には優れるものの、繰り返し折り曲げに耐えうる柔軟性には問題がある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、少なくとも(A)バインダーポリマー、(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子を含有することを特徴とする絶縁膜用樹脂組成物から、乾燥後のタック性に優れ、得られる絶縁膜が難燃性、繰り返し折り曲げに耐えうる柔軟性、電気絶縁信頼性に優れる絶縁膜用樹脂組成物、絶縁膜用樹脂フィルム、絶縁膜、絶縁膜付きプリント配線板が得られる知見を得、これらの知見に基づいて、本発明に達したものである。本願発明は以下の新規な構成の絶縁膜用樹脂組成物により上記課題を解決しうる。
すなわち、本願発明は、少なくとも(A)バインダーポリマー、(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子
を含有することを特徴とする絶縁膜用樹脂組成物である。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、前記(B)架橋ポリマー粒子が、分子内にウレタン結合を有することが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、前記水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤が、(b1)ホスフィン酸塩、(b2)金属水酸化物、(b3)メラミン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、更に(C)熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、前記(A)バインダーポリマーが、(a1)ウレタン結合、(a2)カルボキシル基、(a3)イミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、前記(B)架橋ポリマー粒子の平均粒子径が、1〜20μmであることが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂組成物では、前記(B)架橋ポリマー粒子の配合量が、(A)バインダーポリマー100重量部に対して30〜100重量部であることが好ましい。
また、本願発明にかかる絶縁膜用樹脂フィルムは、上記絶縁膜用樹脂組成物を基材表面に塗布した後、乾燥して得られるものである。
また、本願発明にかかる絶縁膜は、上記絶縁膜用樹脂フィルムを硬化させて得られるものである。
また、本願発明にかかる絶縁膜付きプリント配線板は、上記絶縁膜がプリント配線板に被覆されてなるものである。
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物は、以上のように、少なくとも(A)バインダーポリマー、(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子を含有する構成を備えているので、乾燥後のタック性に優れ、得られる絶縁膜が難燃性、繰り返し折り曲げに耐えうる柔軟性、電気絶縁信頼性に優れる。従って、本願発明の絶縁膜用樹脂組成物は、種々の回路基板の保護膜等に使用でき、優れた効果を奏するものである。
フィルムの反り量を測定している模式図である。
以下本願発明について、(I)絶縁膜用樹脂組成物、(II)絶縁膜用樹脂組成物の使用方法の順に詳細に説明する。
(I)絶縁膜用樹脂組成物
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物とは、少なくとも(A)バインダーポリマー、(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子を含有し、絶縁膜を形成するために用いられる樹脂組成物である。
ここで、本願発明の絶縁膜用樹脂組成物は、各種特性に優れる事を、本発明者らは見出したが、これは、以下の理由によるのではないかと推測している。つまり、(B)架橋ポリマー粒子は、絶縁膜表面に凹凸を設ける役割を果たすため、(B)成分を含有する絶縁膜用樹脂組成物を基材に塗布し乾燥した後のべたつきを抑制する効果が得られタック性に優れる。また、水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しないフィラータイプの難燃剤を架橋ポリマー粒子の内部に包含させた形で用いることにより、温度や圧力などの外部刺激により難燃剤が架橋ポリマー粒子の外部に排出されないため、電気絶縁信頼性の低下やブリードアウトによる工程汚染を防ぐことができる。更に、驚くべきことに、一般的には水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しないフィラータイプの難燃剤を用いると、難燃剤とマトリックスを構成する樹脂の密着性が劣るためクラック発生の起点となり、繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性が低下するが、水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を架橋ポリマー粒子に包含させる形で用いることにより、難燃性に優れるだけではなく絶縁膜が非常に柔らかく耐折れ性に優れるものになる。これは、(B)成分に絶縁膜のマトリクスを構成する(A)成分が内部に染み込むため、(A)成分と(B)成分との界面で強固な接着性が得られるためではないかと推測している。
以下(A)バインダーポリマー、(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子、(C)熱硬化性樹脂、その他の成分、及び、絶縁膜用樹脂組成物の混合方法について説明する。
<(A)バインダーポリマー>
本願発明の(A)バインダーポリマーとは、有機溶媒に対して可溶性であり、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
上記有機溶媒とは、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールものエチルエーテル等のエーテル類の溶剤が挙げられる。
有機溶媒に対して可溶性となる指標である有機溶媒溶解性は、有機溶媒100重量部に対して溶解するベースポリマーの重量部として測定することが可能であり、有機溶媒100重量部に対して溶解するベースポリマーの重量部が5重量部以上であれば有機溶媒に対して可溶性とすることができる。有機溶媒溶解性測定方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶媒100重量部に対してベースポリマーを5重量部添加し、40℃で1時間攪拌後、室温まで冷却して24時間以上放置し、不溶解物や析出物の発生なく均一な溶液であることを確認する方法で測定することができる。
本願発明の(A)成分の重量平均分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(重量平均分子量測定)
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
上記範囲内に重量平均分子量を制御することにより、得られる絶縁膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が1,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が1,000,000以上の場合は絶縁膜用樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明の(A)成分は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。中でも分子内に(a1)ウレタン結合を含有する樹脂である場合、絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜の柔軟性、耐折れ性が向上し、反りが小さくなるため好ましい。また、(a2)カルボキシル基を含有する樹脂である場合、絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜と基材との密着性が向上するため好ましい。また、(a3)イミド基を含有する樹脂である場合、絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜の耐熱性、難燃性、電気絶縁信頼性が向上するため好ましい。更に、上記(a1)ウレタン結合を含有する樹脂、(a2)カルボキシル基を含有する樹脂、及び(a3)イミド基を含有する樹脂のうち2種、あるいは3種を含有する場合、それらの相乗効果により各種特性に優れた絶縁膜が得られるため好ましい。
<(a1)ウレタン結合を含有する樹脂>
本願発明の(a1)ウレタン結合を含有する樹脂とは、分子内に少なくとも1つのウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明の(a1)ウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、下記一般式(1)
Figure 0006088778
(式中、Rは2価の有機基を示す)
で示されるジオール化合物と、下記一般式(2)
Figure 0006088778
(式中、Xは2価の有機基を示す)
で示されるジイソシアネート化合物を反応させることにより、下記一般式(3)
Figure 0006088778
(式中、R及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す)
で示されるウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有する構造として得られる。
本願発明のジオール化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のアルキレンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等のポリオキシアルキレンジオール、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオール、カーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等の長鎖ジオールを用いた場合、絶縁膜の弾性率を低下させ、屈曲性、低反りに優れる点で好ましい。
本願発明のジイソシアネート化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジエチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメトキシジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4′−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、脂環族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネート化合物を用いた場合、絶縁膜の柔軟性に優れる点で好ましい。
本願発明のウレタン結合を含有する樹脂の合成方法は、ジオール化合物とジイソシアネート化合物との配合量を、水酸基数とイソシアネート基数との比率が、イソシアネート基/水酸基=0.5以上2.0以下になるように配合し、無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることで得られる。
また、2種類以上のジオール化合物を用いる場合、ジイソシアネート化合物との反応は、2種類以上のジオール化合物を混合した後に行ってもよいし、それぞれのジオール化合物とジイソシアネート化合物とを別個に反応させてもよい。また、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させた後に、得られた末端イソシアネート化合物をさらに他のジオール化合物と反応させ、さらにこれをジイソシアネート化合物と反応させてもよい。また、2種類以上のジイソシアネート化合物を用いる場合も同様である。このようにして、所望の分子内にウレタン結合を含有する樹脂を製造することができる。
ジオール化合物とジイソシアネート化合物との反応温度は、40〜160℃とすることが好ましく、60〜150℃とすることがより好ましい。40℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、160℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。
上記反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、有機溶媒系で反応させることが望ましい。ここで用いられる有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、上記例示されたものを用いることができる。
反応の際に用いられる有機溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが望ましい。反応溶液中の溶質重量濃度は、更に好ましくは、10重量%以上80重量%以下となることが望ましい。溶液濃度が5%以下の場合には、重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合がある。
本願発明の(a1)ウレタン結合を含有する樹脂は、更にカルボキシル基及び/又はイミド基を含有していてもよい。カルボキシル基を含有する場合は絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜と基材との密着性が向上するため好ましい。また、イミド基を含有する場合は絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜の耐熱性や高温高湿条件下での電気絶縁信頼性が向上するため、プリント配線板の被覆材として用いた場合、信頼性に優れるプリント配線板が得られる。
カルボキシル基を含有する(a1)ウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(4)
Figure 0006088778
(式中、Rは3価の有機基を示す)
で示される2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
本願発明の2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシメプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、イミド基を含有する(a1)ウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(5)
Figure 0006088778
(式中、Yは4価の有機基を示す)
で示されるテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより得られる。
本願発明のテトラカルボン酸二無水物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、3,3’,4,4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’―オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
<(a2)カルボキシル基を含有する樹脂>
本願発明の(a2)カルボキシル基を含有する樹脂とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明の(a2)カルボキシル基を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記カルボキシル基を含有する(a1)ウレタン結合を含有する樹脂を得る方法と同様の方法により得られる。
また、上記方法以外にも、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル誘導体を反応させることにより得る方法も挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のことであり、(メタ)アクリル酸エステル誘導体とは、アクリル酸エステル誘導体及び/又はメタクリル酸エステル誘導体のことである。
本願発明の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルの反応は、任意の方法により行うことが可能であるが、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体を溶媒中、ラジカル重合開始剤存在下で反応させることにより得られる。
本願発明の(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、特に限定はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これら(メタ)アクリル酸エステル誘導体の中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、絶縁膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
上記、ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、ラジカル重合開始剤の使用量は、使用するモノマー100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましく、0.01〜1重量部とすることがより好ましい。0.001重量部より少ない場合では反応が進行しにくく、5重量部より多い場合では分子量が低下する場合がある。
上記反応の際に用いられる溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
上記反応温度は、20〜120℃とすることが好ましく、50〜100℃とすることがより好ましい。20℃より低い温度の場合では反応時間が長くなり過ぎ、120℃を超えると急激な反応の進行や副反応に伴う三次元架橋によるゲル化を招く恐れがある。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
他にも、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基等の官能基含有樹脂に多価カルボン酸化合物を反応させる方法も挙げられる。
<(a3)イミド基を含有する樹脂>
本願発明の(a3)イミド基を含有する樹脂とは、分子内に少なくとも1つのイミド基を含有する繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明の(a3)イミド基を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記一般式(5)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(6)
Figure 0006088778
(式中、Zは2価の有機基を示す)
で示されるジアミノ化合物を反応させることにより得られる。
本願発明のテトラカルボン酸二無水物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、3,3’,4,4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’―オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のジアミノ化合物は、上記構造であれば特に限定されないが、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルフィド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] −1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)、トリメチレン―ビス(4−アミノベンゾエート)、p-フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、m−フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、ビスフェノールA−ビス(4−アミノベンゾエート)、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、[ビス(4-アミノ-2-カルボキシ)フェニル]メタン、 [ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)フェニル]メタン、[ビス(3-アミノ-4-カルボキシ)フェニル]メタン、 [ビス(3-アミノ-5-カルボキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン等のジヒドロキシジフェニルメタン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン等のビス[ヒドロキシフェニル]プロパン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン等のビス[ヒヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン等のジヒドロキシジフェニルスルフォン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジフェニルスルフィド類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジフェニルスルホキシド類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、テトラカルボン酸無水物とジアミノ化合物との反応は、任意の方法により行うことが可能であるが、例えば、下記方法により行うことができる。
方法1:テトラカルボン酸二無水物を有機溶剤中に分散もしくは溶解させた溶液中に、ジアミノ化合物を添加して反応させてポリアミド酸溶液を作製する。この時のジアミノ化合物の総添加量はテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、0.50〜1.50モルの比率になるように添加する。テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物の反応が終了した後、得られたポリアミド酸溶液を100℃以上300℃以下、より好ましくは、150℃以上250℃以下に加熱してイミド化を行う。
方法2:上記方法1と同様の方法でポリアミド酸溶液を作製する。このポリアミド酸溶液中にイミド化の触媒(好ましくは3級アミンであるピリジン、ピコリン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が用いられる)及び脱水剤(無水酢酸等)を添加して60℃以上180℃以下に加熱して、イミド化を行う。
方法3:上記方法1と同様の方法でポリアミド酸溶液を作製する。このポリアミド酸溶液を100℃以上250℃以下に加熱した真空オーブン中に入れて加熱・乾燥を行いながら真空に引くことでイミド化を行う。
<(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子>
本願発明の(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子とは、少なくとも1つの水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含し、分子内に少なくとも1つの架橋構造を有している、平均粒子径が1〜100μmのポリマー粒子である。
本願発明の水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤とは、水及び/又は有機溶媒と混合した場合に実質的に溶解せず固体として存在し、有機物と混合した場合に有機物の燃焼を抑制する効果を有する室温で固体の化合物である。ここで、水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しないとは、水及び/又は有機溶媒に全く溶解しなくてもよいし、本願発明の効果の発現を損なわない範囲であれば溶解していてもよい。本願発明の効果の発現を損なわない範囲とは、室温で水及び/又は有機溶媒100重量部に対して溶解する難燃剤の重量が1重量部未満である。上記有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、上記バインダーポリマーの説明で例示されたものを用いることができる。上記室温で水及び/又は有機溶媒100重量部に対して溶解する難燃剤の重量部測定方法は、特に限定されないが、例えば、水及び/又は有機溶媒100重量部に対して難燃剤を10重量部添加し、40℃で1時間攪拌後、室温まで冷却して24時間以上放置し、孔径0.45μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて減圧濾過を行い、更に用いた水及び/又は有機溶媒で3回フィルターの洗浄を行い、フィルターを60℃、減圧下で8時間乾燥を行い、フィルターの重量変化を計量することにより測定することができる。
本願発明の水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤は、特に限定されないが、例えば、(b1)ホスフィン酸塩、(b2)金属水酸化物、(b3)メラミン系化合からなる群から選ばれる少なくとも1種の場合、絶縁膜用樹脂組成物から得られる硬化膜の難燃性が向上し、電気絶縁信頼性に優れ、硬化膜の反りが小さくなるため好ましい。
本願発明の(b1)ホスフィン酸塩とは、下記一般式(7)で示される化合物である。
Figure 0006088778
(式中、R及びRは、それぞれ独立に直鎖状または枝分かれした炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を示し、Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na及びKからなる群の少なくとも1種より選択される金属類を示し、tは1〜4の整数である。)
本願発明のホスフィン酸塩は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも特にトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムを用いた場合、高い難燃性が得られるため好ましい。
本願発明の(b2)金属水酸化物は、有機溶媒に実質的に溶解せず、結晶水を含有する金属化合物であれば特に限定はされないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、六水酸化スズ亜鉛、ホウ酸亜鉛3.5水和物、カルシウムアルミネート水和物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の(b3)メラミン系化合物は、水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解せず、メラミン構造を含有すれば特に限定はされないが、例えば、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート、ニトリロトリスメチレンホスフォン酸メラミン付加物、メラミンオリゴマー縮合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤(いわゆるフィラータイプの難燃剤)を内部に包含するとは、架橋ポリマー粒子の内部に水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤(いわゆるフィラータイプの難燃剤)の少なくとも一部が包含されている状態であり、難燃剤全体が包含されていても難燃剤の一部のみが包含されていてもよい。ここで、一般的にフィラータイプ以外の難燃剤がポリマー粒子の内部に包含された状態としては、中空微粒子の内孔に浸漬処理、減圧・加圧浸漬処理などの手段により包含された状態、熱可塑性樹脂を重合する際、包含する物質をモノマーと共に懸濁・乳化させ重合して微粒子を形成することにより包含された状態、包含する物質を熱可塑性樹脂と共に溶融混合し微粉砕することにより包含された状態などが考えられるが、何れの場合も熱、圧力など外部刺激により包含された難燃剤がポリマー粒子の外部に排出される。このため、絶縁膜用樹脂組成物に用いた場合、ブリードアウトによる工程汚染や柔軟性、電気絶縁信頼性といった物性低下が引き起こされる場合がある。本願発明の水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する状態は、ポリマー粒子が架橋構造を有するため非熱可塑性であり、包含されている難燃剤が水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しないフィラータイプの難燃剤であるため、上記とは異なる状態でポリマー粒子に難燃剤が包含されており外部刺激により外部に排出されない。よって、絶縁膜用樹脂組成物に用いた場合、ブリードアウトの発生がなく、難燃性、柔軟性、電気絶縁信頼性に優れる。
本願発明の架橋ポリマー粒子は特に限定されないが、例えば、架橋ポリマー粒子が分子内にウレタン結合を有する場合、柔軟性が向上するため好ましい。
本願発明の(B)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば、難燃剤成分、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分を水中に投入し、各成分を粒子状に分散して反応させ、水中に難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子が分散した懸濁液を調整し、次いで得られた懸濁液から液体を分離し、乾燥固化することによりポリマー粒子を得る方法が挙げられる。ここで、(B)成分を架橋構造とするためには、少なくとも1つの3官能以上のポリオール及び/又はポリイソシアネートを用いる必要がある。
上記難燃剤成分の添加量は、好ましくはポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計100重量部に対して10〜500重量部、より好ましくは20〜200重量部とすることにより、絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜の難燃性が向上する。難燃剤成分が10重量部より少ない場合は難燃性に劣る場合があり、500重量部より多い場合は難燃剤成分が架橋ポリマー粒子内部に包含され難くなり、繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性に劣る場合がある。
本願発明のポリオール成分としては、特に限定はされないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のアルキレンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等のポリオキシアルキレンジオール、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオール、カーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3官能ポリオール、ペンタエリスリトール等の4官能ポリオール、ジペンタエリスリトール等の6官能ポリオール等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のポリイソシアネート成分としては、ポリオール成分としてジオールのみを用いた場合には、架橋構造とするためには3官能以上のポリイソシアネートを用いる必要がある。3官能以上のポリイソシアネートは、特に限定されないが、例えば、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型のポリイソシアネートを用いることができ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。上記イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名デュラネートTPA−100、THA−100が挙げられ、ビウレット型多官能ポリイソシアネートは、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名デュラネート24A−100、22A−75PXが挙げられ、アダクト型多官能ポリイソシアネートは、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名デュラネートP−301−75E、E−402−90Tが挙げられる。又、ポリイソシアネート以外にも上記(a1)ウレタン結合を含有する樹脂で挙げられたジイソシアネート化合物を組み合わせて使用できる。
本願発明の(B)成分の含有量は、好ましくは(A)成分100重量部に対して30〜100重量部、より好ましくは40〜80重量部とすることにより、得られる絶縁膜表面に効果的に凹凸を形成することが可能となりタック性に優れ、(B)成分による充填効果が得られるため硬化膜の反りが低下し、応力緩和効果や破壊靱性の向上により繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性が向上する。(B)成分が30重量部より少ない場合はタックフリー性や繰り返し折り曲げに耐え得る柔軟性に劣る場合があり、100重量部より多い場合は絶縁膜用樹脂組成物溶液を塗工する際の塗工性が悪化し、塗工時の塗膜の発泡やレベリング不足による外観不良が発生する場合がある。
本願発明の(B)成分の平均粒子径は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜20μmとすることにより、絶縁膜用樹脂組成物の塗工性や絶縁膜の平滑性、電気絶縁信頼性が優れるため好ましい。
本願発明の(B)成分の平均粒子径は、例えば、以下の方法で体積基準のメジアン径(積算分布値50%に対する粒子径)として測定することができる。
(平均粒子径測定)
使用装置:株式会社堀場製作所製LA−950V2相当品
測定方式:レーザー回折/散乱式
本願発明の水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤が架橋ポリマー粒子の内部に内包されていることは、例えば、以下の方法で走査型電子顕微鏡にて得られたポリマー微粒子を観察することにより確認することができる。
(走査型電子顕微鏡)
使用装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S−3000N相当品
観察条件:加速電圧 15kV
倍率:1000倍
<(C)熱硬化性樹脂>
本願発明の(C)熱硬化性樹脂とは、分子内に少なくとも1つの熱硬化性の有機基を含有する化合物である。(C)成分を用いることにより硬化膜に対して耐熱性を付与できるため好ましい。
本願発明の(C)成分は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂等)、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネート樹脂(例えばシアネートエステル樹脂等)、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、アニリン樹脂、ポリウレア樹脂、チオウレタン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン−チオール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、これらの共重合体樹脂、これら樹脂を変性させた変性樹脂、又はこれらの樹脂同士もしくは他の樹脂類との混合物等が挙げられる。
本願発明の(C)成分は、上記熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ樹脂を用いた場合、絶縁膜に対して耐熱性を付与できると共に、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性を付与することができるため好ましい。
上記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を含有する化合物であり、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828、jER1001、jER1002、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4300E、日本化薬株式会社製の商品名RE−310S、RE−410S、DIC株式会社製の商品名エピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン1050、エピクロン7050、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER806、jER807、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4930、アデカレジンEP−4950、日本化薬株式会社製の商品名RE−303S、RE−304S、RE−403S,RE−404S、DIC株式会社製の商品名エピクロン830、エピクロン835、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−1514、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX8000、jERYX8034,jERYL7170、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4080E、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−7015、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−3000、エポトートYD−4000D、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677、日本化薬株式会社製の商品名NC−3000、NC−3000H、フェノキシ型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER1256、jER4250、jER4275、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4200、日本化薬株式会社製の商品名NC−7000L、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER152、jER154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201−L、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−740、エピクロンN−770、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDPN−638、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−660、エピクロンN−670、エピクロンN−680、エピクロンN−695、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名XD−1000、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−7200、アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER604、jER630、東都化成株式会社の商品名エポトートYH−434、エポトートYH−434L、三菱ガス化学株式会社製の商品名TETRAD−X、TERRAD−C、可とう性エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER871、jER872、jERYL7175、jERYL7217、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−4850、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPU−6、アデカレジンEPU−73、アデカレジンEPU−78−11、ゴム変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPR−4023、アデカレジンEPR−4026、アデカレジンEPR−1309、キレート変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−49−10、アデカレジンEP−49−20、複素環含有エポキシ樹脂としては、日産化学株式会社製の商品名TEPIC等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物には、上記熱硬化性樹脂の硬化剤として、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、アミノ樹脂、ユリア樹脂、メラミン、ジシアンジアミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;3級アミン系、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン等のアミン系化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のボレート系化合物等、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等のアジン系イミダゾール類等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
<その他成分>
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物には、さらに必要に応じて充填剤、接着助剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、重合禁止剤等の各種添加剤を加えることができる。
上記充填剤としては、シリカ、マイカ、タルク、硫酸バリウム、ワラストナイト、炭酸カルシウムなどの微細な無機充填剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物、ブタジエン系化合物等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、カーボンブラック等が挙げられる。
上記接着助剤(密着性付与剤ともいう。)としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。
<絶縁膜用樹脂組成物の混合方法>
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分及びその他成分を粉砕・分散させて混合し、得られることができる。粉砕・分散方法としては、特に限定されるものではないが、例えばビーズミル、ボールミル、3本ロール等の一般的な混練装置を用いて行われる。この中でも、特にビーズミルを用いて粉砕・分散させて混同した場合、(B)成分が均一に分散できるため好ましい。
ビーズミルで粉砕・分散する例を挙げると、上記(A)〜(C)成分及びその他成分、必要に応じて溶媒を混合し、ビーズと混合して、所定の装置で攪拌することで、煎断をかけることで微粒子を粉砕・分散させて混合することができる。ビーズの種類はジルコニア、ジルコン、ガラス、チタニアなどを使用し、目標とする粒径や用途に適したビーズを使用すればよい。また、ビーズの粒径は、目標とする粒子径に適したものを使用すればよく、特に限定されるものではない。攪拌速度(周速)は、装置によって異なるが、100〜3000rpmの範囲で攪拌すればよく、高速になれば、温度が上昇するので、適宜、冷却水又は冷媒を流すことで、温度上昇を抑えればよい。所望の粒子径が得られれば、ビーズを濾別し、本願発明の絶縁膜用樹脂組成物を得ることができる。微粒子の粒子径はJIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
(II)絶縁膜用樹脂組成物の使用方法
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物を直接に用いて、又は、絶縁膜用樹脂組成物溶液を調製した後に、以下のようにして絶縁膜を形成することができる。先ず、上記絶縁膜用樹脂組成物、又は、絶縁膜用樹脂組成物溶液を基板に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去する。基板への塗布はスクリ−ン印刷、カ−テンロ−ル、リバ−スロ−ル、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm、特に10〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。
次いで、上記得られた塗膜の加熱処理を行う。加熱処理を行って、分子構造中に残存する反応性基を反応させることにより、耐熱性に富む絶縁膜を得ることができる。絶縁膜の厚みは、配線厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終硬化温度は配線等の酸化を防ぎ、配線と基材との密着性を低下させないことを目的として低温で加熱して硬化できることが望まれている。
この時の硬化温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると配線の酸化劣化が進むので望ましくない。
本願発明の絶縁膜用樹脂組成物から形成した絶縁膜は、難燃性、柔軟性、電気絶縁信頼性に優れ、硬化後の基板の反りが小さい。
また、例えば、絶縁膜用樹脂組成物から得られる絶縁膜は、好適には厚さ2〜50μm程度の膜厚で、フレキシブル基板の絶縁材料として特に適しているのである。また更には、各種配線被覆保護剤、耐熱性接着剤、電線・ケーブル絶縁被膜等に用いられる。
尚、本願発明は上記絶縁膜用樹脂組成物、又は、絶縁膜用樹脂組成物溶液を基材表面に塗布し乾燥して得られた樹脂フィルムを用いても同様の絶縁材料を提供することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(合成例1)
<(A)バインダーポリマー1>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)30.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート10.31g(0.050モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸3.70g(0.025モル)をメチルトリグライム30.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を5時間80℃で加熱攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合及びカルボキシル基を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は52%、重量平均分子量は5,600、固形分の酸価は22mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は170℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
下記条件で測定を行った。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って測定を行った。
(合成例2)
<(A)バインダーポリマー2>
攪拌機、温度計、滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.00gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、メタクリル酸12.00g(0.14モル)、メタクリル酸ベンジル28.00g(0.16モル)、メタクリル酸ブチル60.00g(0.42モル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリ0.50gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にカルボキシル基を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は50%、重量平均分子量は48,000、固形分の酸価は78mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は合成例1と同様の方法で測定した。
(合成例3)
<(A)バインダーポリマー3>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)130.60gを仕込み、これに、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物31.02g(0.100モル)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン12.92g(0.030モル)、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)86.66g(0.070モル)を仕込み、窒素気流下で30分攪拌してポリアミド酸溶液を得た。次いで、この溶液を190℃に加温して2時間反応させた。上記反応を行うことで分子内にイミド基を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は49%、重量平均分子量は28,000であった。尚、固形分濃度、重量平均分子量は合成例1と同様の方法で測定した。
(合成例4)
<(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子1>
攪拌機、温度計、滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた2Lセパラブルフラスコにイオン交換水600.00g、水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤としてホスフィン酸塩150.00g(クラリアントジャパン株式会社製、製品名Exolit OP−935)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら60℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、ポリカーボネートジオール94.00g(旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)、ヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレート型ポリイソシアネート56.00g(旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名デュラネートTPA−100、NCO含有量:23.1wt%)、溶媒としてメチルエチルケトン50.00g、及び重合触媒としてジブチルスズジラウリレート0.0015gの混合溶液を60℃に保温した状態で2時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら60℃で4時間攪拌を行い反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、固体を分離した後、イオン交換水で3回洗浄し、70℃で20時間乾燥して架橋ポリマー粒子を得た。得られた架橋ポリマー粒子の平均粒子径は6μmであった。また、ホスフィン酸塩が架橋ポリマー粒子の内部に内包されていることは、得られたポリマー微粒子を走査型電子顕微鏡で観察することにより確認した。尚、走査型電子顕微鏡、平均粒子径は下記方法で測定した。
<走査型電子顕微鏡>
使用装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S−3000N相当品
観察条件:加速電圧 15kV
倍率:1000倍
<平均粒子径>
使用装置:株式会社堀場製作所製LA−950V2
測定方式:レーザー回折/散乱式
(合成例5)
<(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子2>
合成例4で用いたホスフィン酸塩に代えて、金属水酸化物(ナバルテック社製、ベーマイト型水酸化アルミニウム、製品名APYRAL AOH60)を用いて合成例5と同様の方法で合成を行った。得られた架橋ポリマー粒子の平均粒子径は6μmであった。また、金属水酸化物が架橋ポリマー粒子の内部に内包されていることは、得られたポリマー微粒子を走査型電子顕微鏡で観察することにより確認した。尚、走査型電子顕微鏡、平均粒子径は合成例4と同様の方法で測定した。
(合成例6)
<(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子3>
合成例4で用いたホスフィン酸塩に代えて、メラミン系化合物(BASFジャパン株式会社製、メラミンシアヌレート、製品名MELAPUR MC)を用いて合成例5と同様の方法で合成を行った。得られた架橋ポリマー粒子の平均粒子径は6μmであった。また、メラミン系化合物が架橋ポリマー粒子の内部に内包されていることは、得られたポリマー微粒子を走査型電子顕微鏡で観察することにより確認した。尚、走査型電子顕微鏡、平均粒子径は合成例4と同様の方法で測定した。
(実施例1〜7及び比較例1)
<絶縁膜用樹脂組成物の調製>
合成例1〜3で得られた(A)バインダーポリマー、合成例4〜6で得られた(B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解しない難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子、(C)熱硬化性樹脂、その他成分、及び有機溶媒を添加して絶縁膜用樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。なお、表中の溶媒である1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタンは上記合成した樹脂溶液に含まれる溶剤も含めた全溶剤量である。絶縁膜用樹脂組成物ははじめに一般的な攪拌翼のついた攪拌装置で混合し、その後3本ロールミルで2回パスし均一な溶液とした。グラインドメーターにて粒子径を測定したところ、いずれも10μm以下であった。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
Figure 0006088778
<1>日産化学株式会社製 エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)の製品名TEPIC−SP
<2>日産化学株式会社製 メラミンの製品名
<3>共栄社化学株式会社製 ブタジエン系消泡剤の製品名
<4>クラリアントジャパン株式会社製 ホスフィン酸塩の製品名
<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
上記絶縁膜用樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名25NPI)に最終乾燥厚みが20μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した後、150℃のオーブン中で30分加熱硬化させてポリイミドフィルム上に絶縁膜を作製した。
<絶縁膜の評価>
得られた絶縁膜について、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(i)タック性
上記絶縁膜用樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名25NPI)に最終乾燥厚みが20μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥して溶媒乾燥後の塗膜を作製した。塗膜のタック性の評価方法は、作製した溶媒乾燥後の塗膜付きフィルムを50mm×30mmの短冊に切り出して、塗膜を内側にして塗膜面同士を重ね合わせ、重ね合わせた部分に300gの荷重を3秒間のせた後、荷重を取り除き、塗膜面を引き剥がした時の状態を観察した。
○:塗膜同士の貼り付きがなく、塗膜に貼り付き跡も残っていない。
△:塗膜同士が少し貼り付き、塗膜に貼り付き跡が残っている。
×:塗膜同士が完全に貼り付いて引き剥がせない。
(ii)耐折れ性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの絶縁膜積層フィルムを作製した。絶縁膜積層フィルムの耐折れ性の評価方法は、絶縁膜積層フィルムを50mm×10mmの短冊に切り出して、絶縁膜を外側にして25mmのところで180°に折り曲げ、折り曲げ部に5kgの荷重を3秒間のせた後、荷重を取り除き、折り曲げ部の頂点を顕微鏡で観察した。顕微鏡観察後、折り曲げ部を開いて、再度5kgの荷重を3秒間乗せた後、荷重を取り除き完全に硬化膜積層フィルムを開いた。上記操作を繰り返し、折り曲げ部にクラックが発生する回数を折り曲げ回数とした。耐折れ性は5回以上であることが好ましい。
(iii)電気絶縁信頼性
フレキシブル銅貼り積層版(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、ポリイミド系接着剤で銅箔を接着している)上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmの櫛形パターンを作製し、10容量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した後、純水で洗浄し銅箔の表面処理を行った。その後、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で櫛形パターン上に20μm厚みの絶縁膜を作製し試験片の作成を行った。85℃、85%RHの環境試験機中で試験片の両端子部分に100Vの直流電流を印加し1000時間後の絶縁抵抗値を測定した。抵抗値は1×10以上であることが好ましい。また、1000時間後にマイグレーション、デンドライトなど外観変化の発生を目視にて観察した。
○:1000時間後、マイグレーション、デンドライトなどの外観変化の発生がないもの。
△:1000時間後、僅かにマイグレーション、デンドライトなどの外観変化の発生があるもの。
×:1000時間後、顕著にマイグレーション、デンドライトなどの外観変化の発生があるもの。
(iv)半田耐熱性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、75μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル75NPI)表面に20μm厚みの絶縁膜積層フィルムを作製した。得られた絶縁膜積層フィルムを260℃で完全に溶解してある半田浴に絶縁膜が塗工してある面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない。
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する。
(v)反り
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル25NPI)表面に20μm厚みの絶縁膜積層フィルムを作製した。得られた絶縁膜積層フィルムを50mm×50mmの面積に切り出して平滑な台の上に絶縁膜が上面になるように置き、フィルム端部の反り高さを測定した。測定部位の模式図を図1に示す。ポリイミドフィルム表面での反り量が少ない程、プリント配線板表面での応力が小さくなり、プリント配線板の反り量も低下することになる。反り量は5mm以下であることが好ましい。尚、筒状に丸まる場合は×とした。
(vi)難燃性
プラスチック材料の燃焼性試験規格UL94VTMに従い、以下のように燃焼性試験を行った。上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル25NPI)両面に20μm厚みの絶縁膜積層フィルムを作製した。 上記作製したサンプルを寸法:50mm幅×200mm長さ×75μm 厚み(ポリイミドフィルムの厚みを含む)に切り出し、125mmの部分に標線を入れ、直径約13mmの筒状に丸め、標線よりも上の重ね合わせ部分(75mmの箇所)、及び、上部に隙間がないようにPIテープを貼り、燃焼性試験用の筒を20本用意した。 そのうち10本は(1)23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は(2)70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を3秒間近づけて着火する。3秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定する。
○:各条件((1)、(2))につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で10秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火し、かつ、評線まで燃焼が達していないもの。
×:1本でも10秒以内に消火しないサンプルがあったり、炎が評線以上のところまで上昇して燃焼するもの。
Figure 0006088778
(比較例2)
合成例1で得られたバインダーポリマーである分子内にウレタン結合及びカルボキシル基を含有する樹脂60.0重量部、エポキシ樹脂22.5重量部(ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828)、メラミン2.5重量部(日産化学株式会社製の商品名微粉メラミン)、コアシェル多層構造をもつ有機微粒子12.0重量部(ガンツ化成株式会社製、商品名スタフィロイドAC−3816、平均粒子径0.5μm)を用いて実施例1と同様の方法で物性評価を行った。その結果を表2に記載する。
1 絶縁膜用樹脂組成物を積層したポリイミドフィルム
2 反り量
3 平滑な台

Claims (9)

  1. 少なくとも
    (A)バインダーポリマー
    (B)水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解せず固体として存在し、かつ、室温で固体の化合物である難燃剤を内部に包含する架橋ポリマー粒子(ただし、前記難燃剤以外の難燃剤が架橋ポリマー粒子の内部に包含されない)
    (C)熱硬化性樹脂
    を含有し、
    前記(A)バインダーポリマーは、ポリウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂及びポリエーテルエーテルケトン系樹脂からなる群より選択される1つ以上の樹脂であることを特徴とする絶縁膜用樹脂組成物。
  2. 前記(B)架橋ポリマー粒子が、分子内にウレタン結合を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜用樹脂組成物。
  3. 前記水及び/又は有機溶媒に実質的に溶解せず固体として存在し、かつ、室温で固体の化合物である難燃剤が、下記(b1)〜(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁膜用樹脂組成物。
    (b1)ホスフィン酸塩
    (b2)金属水酸化物
    (b3)メラミン系化合物
  4. 前記(A)バインダーポリマーが、下記(a1)〜(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁膜用樹脂組成物。
    (a1)ウレタン結合
    (a2)カルボキシル基
    (a3)イミド基
  5. 前記(B)架橋ポリマー粒子の平均粒子径が、1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁膜用樹脂組成物。
  6. 前記(B)架橋ポリマー粒子の配合量が、(A)バインダーポリマー100重量部に対して30〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁膜用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁膜用樹脂組成物を基材表面に塗布した後、乾燥して得られた絶縁膜用樹脂フィルム。
  8. 請求項に記載の絶縁膜用樹脂フィルムを硬化させて得られる絶縁膜。
  9. 請求項に記載の絶縁膜がプリント配線板に被覆された絶縁膜付きプリント配線板。
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