JP6086787B2 - 光ファイバの樹脂被覆装置および樹脂被覆方法 - Google Patents
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Description
オープン方式の樹脂被覆装置20の一例を、図6に模式的に示す。
図6において、樹脂溜め室基体31の内側には、上面側が開放された樹脂溜め室33が形成され、樹脂溜め室基体31の下端部には、樹脂溜め室33に連通する樹脂流出口35が形成されている。さらに樹脂溜め室基体31の下面側にはダイス37が連結されている。ダイス37には、樹脂溜め室33の樹脂流出口35に対応する位置にダイス孔39が形成されている。
図8において、図6に示されるオープン方式の樹脂被覆装置と異なる点は、樹脂溜め室33が密閉されており、加圧樹脂供給口43から樹脂溜め室33内に溶融樹脂41が大気圧より高い圧力で供給される点である。なお光ファイバ裸線16は、上方から樹脂溜め室基体31の上部に設けられたニップル45のニップル孔47を経て上方から樹脂溜め室33内に引き込まれる。
しかしながら被覆すべき樹脂の種類や粘度特性によっては、加圧方式の樹脂被覆装置によって加圧しながら高速で押し出した場合、樹脂が光ファイバ裸線の表面に十分に濡れず、そのため光ファイバ裸線の表面と被覆樹脂との密着性が十分に得られなかったり、偏肉が生じたりするなど、樹脂被覆の安定性に欠けるという問題が生じることがある。例えばフッ素系樹脂の一部のものでは、高速のせん断によって粘性が低下する傾向を示すものがあるが、このような樹脂の場合、ダイス孔39内での樹脂に対する高速のせん断力によって樹脂の粘性が低下して、加圧方式による高速の樹脂被覆装置では、安定して被覆することが困難となる。具体的には、樹脂に加えられるせん断速度を速くしていったときに、樹脂の粘度が低下し始める時のせん断速度(以下臨界せん断速度という)が1000 s-1 以下であるような樹脂を使用する場合には、加圧方式による高速の樹脂被覆装置では、安定して被覆することができない。
そこで、このような樹脂を使用する場合は、オープン方式の樹脂被覆装置を用いて、比較的低速で樹脂被覆を行なうのが通常である。
オープン方式の場合、加圧方式と異なり、樹脂溜め室33で対流が生じる部分は、大気と接触しているため、対流49によって大気が樹脂中に引き込まれ、樹脂溜め室33の樹脂中に多数の気泡53が生じてしまうのが通常である。これらの気泡53も、対流49によって樹脂溜め室33内で樹脂とともに循環する。ここで、気泡53が光ファイバ裸線16に接触していない状態では被覆状態に影響しないが、気泡同士が凝集して大きな気泡となり、メニスカス51の箇所に溜まって光ファイバ裸線16に気泡が密着すれば、メニスカス51の形状が不安定となり、その結果、樹脂溜め室33内の樹脂の流れが乱れて、被覆偏心量の増大や被覆径の変動が発生し、光ファイバの品質を低下するなどの問題が生じる。なおまた、気泡が光ファイバ裸線16の表面に付着したままダイス孔39から引き出されてしまった場合には、その気泡の部分が被覆層の欠陥となってしまうという問題もある。
すなわち特許文献1では、樹脂溜め室の中心に沿って、樹脂液面上から液面下に向かって突入するニップルを設け、ニップル先端を、対流が発生しない位置(樹脂溜め室内の下部)まで突入させることが提案されている。この方法によれば、対流に起因する大気の引き込みによる気泡の発生を回避することが可能となると考えられる。
このような知見を見い出すに至った経緯について、次に説明する。
なお、前述のように区画部材55を設けておくことによって、対流領域を狭くすることができるが、光ファイバ裸線16の牽引方向(垂直方向)への対流領域の長さはさほど短くならず、そのため光ファイバ裸線16が樹脂中で下降する際の光ファイバ裸線周囲での樹脂の下降流はある程度確保することができ、そのため特許文献1のような問題が生じることは回避し得る。
そのため、長時間連続して紡糸・樹脂被覆する場合には、樹脂内に取り込まれた気泡が次第に成長し、内側領域のメニスカスに溜まることによって、メニスカス形状が次第に不安定化し、被覆の偏心や被覆径の変動を発生させてしまう可能性があることを知見した。
外側領域で樹脂中を浮上して大気中に放出されるが、内側領域と外側領域との間には区画部材が介在しているため、外側領域の樹脂中で浮上した気泡は、内側領域(対流領域)のメニスカスに溜まることが回避され、そのため内側領域(対流領域)のメニスカスにおいて気泡が成長してしまうことを防止でき、その結果、長時間連続して紡糸・樹脂被覆しても、安定した被覆が可能になることを見い出した。
なおここで、溶融樹脂の対流が実質的に生じない非対流域とは、光ファイバ裸線の走行に伴っての溶融樹脂の循環(対流)が直接的には生じない領域であることを意味する。言い換えれば、区画部材の空隙などを通じての内側領域(対流域)からの間接的な影響による樹脂の流れ(移動)、すなわち二次的な樹脂の流れは、非対流域である外側領域にも存在するのが通常である。
図1には本発明の一実施形態の樹脂被覆装置20を示す。なお図1において、図6に示した従来のオープン方式の樹脂被覆装置と同一の要素については図6と同一の符号を付し、その説明は省略する。
具体的な空隙59の形状としては、例えば図4A〜図4Eに示すような形状を適用することができる。
また図4Bの例では、全体として中空円筒状をなす区画部材57の壁部に、断面が方形状をなす空隙59を、中空円筒の軸線方向と平行な方向および周方向に間隔を置いて多数形成している。
さらに図4Cの例では、全体として中空円筒状をなす区画部材57の壁部に、中空円筒の軸線方向と平行な方向に延びるスリット状(長方形)の空隙59を、中空円筒の周方向に間隔を置いて多数形成している。
また図4Dの例では、区画部材57自体を、線材などによってコイル状とすることによって、その軸線を基準とする螺旋状の空隙59を有する構成としている。
さらに図4Eの例では、区画部材57の周壁部を網(メッシュ)で構成することによって、その網目を空隙59としている。
その他、種々の空隙形状を適用することができ、要は内側領域(対流領域)33Aの気泡を捉えて、外側領域33Bに逃がし得るような空隙形状であれば良い。
なお、図4A〜図4Eは、飽くまで空隙形状を説明するための模式図にすぎず、図4A〜図4Eにおける空隙の寸法、数は実際とは異なっている場合があることはもちろんである。
なお、前述のように区画部材57を設けることによって、対流領域を狭くすることができるが、光ファイバ裸線16の牽引方向(垂直方向)への対流領域の長さはさほど短くならず、そのため光ファイバ裸線16が樹脂中で下降する際の光ファイバ裸線周囲での樹脂の下降流はある程度確保することができ、そのため特許文献1のような問題が生じることを回避できることは、図9に示した場合と同様である。
また空隙形状が図4Bに示すように正方形の場合には、その一辺の長さが空隙59の寸法Sに相当するが、空隙形状が長方形の場合(例えば図4Cの場合など)には、その短片の長さが空隙59の寸法Sに相当する。
さらに、図4Dに示すように空隙59の形状が螺旋状である場合には、その螺旋状空隙の幅が空隙59の寸法Sに相当する。
また図4Eに示すように空隙59が網目である場合には、その網目の大きさが空隙59の寸法Sに相当する。
但し、紡糸・樹脂被覆の操業時においては、被覆の進行に伴って、樹脂溜め室33内の樹脂液面も下がって行き、それに伴って、内側領域33A内の実際の対流域も次第に降下することになる。したがって、実際の操業時における対流域の最下降位置を予測して、その最下降位置で対流域の下端までカバーし得るように、区画部材の下端位置を定めることが望ましい。その場合、区画部材59の下端が樹脂溜め室33の底部(樹脂流出口35の入口周囲部分)に接しても構わない。
図4Dに示すような螺旋状の空隙を有する真鍮製の区画部材を組み込んだ図1に示すオープン方式の樹脂被覆装置を用い、図5に示す光ファイバ製造装置により、線径125μmの石英系光ファイバ裸線を連続的に紡糸しながら、光ファイバ裸線をフッ素系樹脂によって連続的に被覆し、光ファイバ素線を製造する実験を行なった。この実施例1では、樹脂粘度は1.0Pa・s、線速は60m/minの条件とした。また区画部材の内径は5mm、空隙の寸法Sは0.5mm、空隙率は50%とした。
連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
区画部材として、内径が5mm、空隙の寸法Sが2.0mm、空隙率が70%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。なお区画部材の空隙形状も、実施例1と同様に螺旋状であり、以下の実施例3〜実施例17も同様である。
連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
区画部材として、内径が20mm、空隙の寸法Sが0.5mm、空隙率が30%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
区画部材として、内径が20mm、空隙の寸法Sが2.0mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
樹脂粘度1.0Pa・s、線速100m/minの条件とした点以外は、実施例4と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
樹脂粘度0.1Pa・s、線速100m/minの条件とした点以外は、実施例4と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内で気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
樹脂粘度5.0Pa・s、線速100m/minの条件とした点以外は、実施例4と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
樹脂粘度5.0Pa・s、線速5m/minの条件とした点以外は、実施例4と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
樹脂粘度0.1Pa・s、線速5m/minの条件とした点以外は、実施例4と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。連続して10kmの長さにわたって樹脂被覆を行なったが、区画部材の内側の対流領域内の気泡は成長せず、光ファイバ裸線へ気泡が付着することもなく、被覆径の変動も生じていないことが確認された。また、作製した光ファイバ素線の被覆偏心量にも変化は認められなかった。
区画部材を使用しない点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して1kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分は外観不良となっていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
図9に示すように、区画部材として空隙のない単純な円筒状のもの(内径5mm)を用いて、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
この場合は、連続被覆を開始して1kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分は外観不良となっていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
区画部材として、内径が5mm、空隙の寸法Sが0.4mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して7kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には、外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例10の場合、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が5mm、空隙の寸法Sが2.3mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して8kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜まり部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には、外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例11の場合、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が20mm、空隙の寸法Sが0.4mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して6kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例12の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が20mm、空隙の寸法Sが2.3mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して8kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例13の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が4mm、空隙の寸法Sが0.5mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して7kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例14の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が4mm、空隙の寸法Sが2.0mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して7kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例15の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が23mm、空隙の寸法Sが0.5mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して5kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例16の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
区画部材として、内径が23mm、空隙の寸法Sが2.0mm、空隙率が50%のものを用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、連続して紡糸・樹脂被覆を行なった。
連続被覆を開始して5kmが過ぎたところで、光ファイバ裸線に気泡が付着した影響と思われる被覆径変動が発生した。被覆径変動が発生している状態で樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、気泡が樹脂メニスカス部に付着し、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線の外観を確認したところ、被覆径変動が発生した部分には外観不良が生じていた。また被覆偏心量を測定したところ、被覆径変動が発生していなかった部分に比べ、偏心量が大きくなっていた。
なおこの実施例17の場合も、実施例1と比較すれば、気泡が樹脂メニスカス部に付着しやすいため、長尺紡糸を実施すると、外観不良が生じ、また被覆径変動、偏肉が生じたが、区画部材を用いなかった比較例1、および空隙のない区画部材を用いた比較例2と比べれば、外観不良などが発生するまでの紡糸長が長くなっており、その点で優れていることが明らかである。
樹脂粘度1.0Pa・s、線速150m/minの条件とした以外は、実施例4と同様にして紡糸・連続樹脂被覆を実施した。連続樹脂被覆を開始して、線速が150mm/minとなった段階でコート変動が定常的に発生しており、樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、メニスカス形状が不安定になっていた。紡糸した素線を観察したところ、樹脂被覆層内に泡の混入が認められた。
樹脂粘度10.0Pa・s、線速60m/minの条件とした以外は、実施例4と同様にして紡糸・連続樹脂被覆を実施した。連続樹脂被覆を開始して、1kmたったところで、樹脂被覆装置内の樹脂溜め部を確認したところ、対流領域内に多数の気泡が確認された。作製した光ファイバ素線の観察を実施したところ、樹脂被覆層内に泡の混入が認められた。
Claims (6)
- 下端にダイス孔が形成されかつ大気圧下に開放された樹脂溜め室に溶融樹脂を供給し、前記樹脂溜め室内に、溶融樹脂の液面の上方から前記ダイス孔に抜けるように光ファイバ裸線を通過させて、光ファイバ裸線に連続的に樹脂を被覆するようにした光ファイバの樹脂被覆装置において、
前記樹脂溜め室に、その室内を、光ファイバ裸線の通過位置を基準として光ファイバ裸線通過位置に近い内側領域と、光ファイバ裸線通過位置に遠い外側領域とに区分する全体として筒状をなす区画部材が、光ファイバ裸線通過方向に沿って配設され、かつ前記区画部材には、その内外を貫通する空隙が形成されており、
前記内側領域が、光ファイバ裸線の走行に伴って樹脂溜め室内に溶融樹脂の対流が生じる対流域とされ、前記外側領域が、溶融樹脂の対流が実質的に生じない非対流域とされ、前記空隙が、対流域内の樹脂中に混入した気泡を捕捉しかつその気泡を外側領域の非体流域に逃がすものである
ことを特徴とする光ファイバの樹脂被覆装置。 - 前記区画部材が、樹脂溜め室内の樹脂の液面より上方の位置から、少なくとも対流域の下端より下方の位置までカバーするように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの樹脂被覆装置。
- 請求項1に記載の光ファイバの樹脂被覆装置を用いて光ファイバ裸線に連続的に樹脂被覆を施す方法であって、
前記樹脂溜め室内の前記内側領域に溶融樹脂の対流を生じさせて、内側領域内で樹脂中に混入した気泡の少なくとも一部を、前記空隙によって捕捉しかつその気泡を外側領域に逃がしながら、樹脂被覆を行なうことを特徴とする光ファイバの樹脂被覆方法。 - 前記空隙の寸法は、0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバの樹脂被覆方法。
- 被覆時における樹脂の粘度を0.1〜5.0Pa・sの範囲内とすることを特徴とする請求項3、請求項4のいずれかの請求項に記載の光ファイバの樹脂被覆方法。
- 被覆時における光ファイバ裸線の走行速度を、5〜100m/minの範囲内とすることを特徴とする請求項3、請求項4、請求項5のいずれかの請求項に記載の光ファイバの樹脂被覆方法。
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