JP6086775B2 - 放熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放熱装置に関する。
コンピュータに使用されるCPU等の発熱体の冷却には、ヒートシンク等の放熱体が使用される。この発熱体と放熱体との間の密着性を高めて熱伝導を良好にするために、発熱体と放熱体との間に熱界面材料(TIM)が配されている。近年、TIMとしてグラファイトを用いることがしばしば提案されている。例えば、特許文献1には、グラファイトシートをTIMとして用いること、及び膨張黒鉛をTIMとして用いることが開示されている。
特開2006−286684号公報
TIMとしてグラファイトシートを用いる場合において、発熱体やヒートシンクの表面に存在する凹凸の故に、グラファイトシートと発熱体やヒートシンクとの密着性が悪く、発熱体とヒートシンクとの間の熱経路における熱抵抗が高くなり、冷却効率が低いという問題があった。また、特許文献1に記載されているように、TIMとして膨張黒鉛を用いた場合、発熱体及び放熱体とTIMとの密着性が多少は改善するものの、発熱体及び放熱体の表面の金属とTIMを構成しているグラファイト等の炭素材との接触性が悪いことにより熱抵抗が高くなってしまうという問題があった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、グラファイト等の炭素材からなるTIMと発熱体及び放熱体との間の密着性を向上させ、発熱体からの熱放散を良好にすることが可能である放熱装置を提供することを目的とする。
本発明の放熱装置は、放熱体と、当該放熱体上に配された熱界面材料と、からなる放熱装置であって、当該熱界面材料は、グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とするグラファイトシートであって、その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されている複数のフレア状の薄膜構造を有しているグラファイトシートからなるか、または、グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とする薄膜片であって、その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されているフレア状の薄膜構造を有している薄膜片、及び当該薄膜片を包含しているマトリックス材からなり、当該放熱体の当該熱界面材料と接する表面には炭素の同素体からなるコーティングが施されていることを特徴とする。
実施例1に係る放熱装置の断面図である。 実施例1の放熱装置に使用するTIMの斜視図である。 グラファイト結晶の分子構造を示す図である。 図2の4−4線に沿った断面図である。 図4の領域Aの部分拡大図である。 薄膜構造が形成されているグラファイトシートの上面のSEMによる拡大画像である。 実施例1の放熱装置に使用するTIMの製造方法を示す斜視図である。 実施例1の放熱装置に使用するTIMの製造方法を示す斜視図である。 実施例1の放熱装置に使用するTIMの製造方法を示す斜視図である。 実施例1の放熱装置に使用するTIMの製造方法を示す斜視図である。 実施例2の放熱装置に使用するTIMの製造方法を示す斜視図である。 分離した薄膜片の断面図である。 CPU装置の断面図である。 CPUジャンクション温度のグラフである。
[実施例1]
以下に、本発明の実施例に係る放熱装置10について説明する。図1は、放熱装置10の断面図である。放熱体としてのヒートシンク11は、例えば、アルミ合金からなり、縦68mm×横83mm×高さ37mmの外形を有している。ヒートシンク11は、放熱フィンが形成されている放熱面11a及び放熱を要する発熱体(図示せず)を取り付ける発熱体取り付け面11bを有している。ヒートシンク11は、発熱体取り付け面11bの表面に形成されたグラファイトからなる、例えば、厚さ10nmのコーティング13を有している。コーティング13は、例えば、カーボンコーターを用いて蒸着することによって行われる。これにより、発熱体取り付け面11bとコーティング13の界面で両素材が結合するようにコートされる。
コーティング13上には、グラファイトシートからなる熱界面材料(TIM)15が配されている。以下に、本発明の実施例1において用いられるTIM15について、図2乃至図6を参照しつつ説明する。図2はTIM15の斜視図であり、図3は、グラファイトの分子構造を示す図である。図4は図2の4−4線に沿った断面図である。図5は、図4の領域Aの部分拡大図である。図6は、TIM15表面の微分干渉顕微鏡像(約30倍)である。
TIM15は、厚さ0.3mmグラファイトシート22からなっている。このグラファイトシート22は、図3に示すグラファイト結晶のa軸及びb軸を包含する面を略主面としている。グラファイトシート22は、主面と平行な方向、すなわち図3に示すグラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な方向(面内方向)における熱伝導率が約140W/(m・K)、主面と垂直な方向すなわち結晶のc軸方向(厚み方向)の熱伝導率が約5W/(m・K)となっている。
図2及び図4に示すように、グラファイトシート22の主面に平行な上面及び下面上には、断面がカールしている(反り返っている)フレア状の構造体である薄膜構造23が形成されている。薄膜構造23は、グラファイトシート22の表面からグラファイト層が部分的に剥離されることによって形成され、図5に示すように、一次薄膜構造23a、二次薄膜構造23b及び三次薄膜構造23cからなっている。
一次薄膜構造23aは、グラファイトシート22の上面及び下面上に密に形成されており、端部がグラファイトシート22に繋がっている。一次薄膜構造23aは断面がカールしている薄膜のフレア状の構造体である。一次薄膜構造23aの1つの長辺Lの長さは0.5mmから1mm程度以下であり、幅は0.5mmから1mm程度である。一次薄膜構造23aの厚さは、最小で単分子層分の厚さであり、概ね数十μm以下である。図5に示すように、一次薄膜構造23aの表面には、一次薄膜構造23aの表面がさらに剥離することによって、一次薄膜構造23aの表面に密に配されているフレア状の二次薄膜構造23bが形成されている。さらに、二次薄膜構造23bの表面には、二次薄膜片の表面がさらに剥離することによって二次薄膜構造23bの表面に密に配されているフレア状の三次薄膜構造23cが形成されている。グラファイトシート22上に薄膜構造23が密に配されている様子は、図6に示す拡大画像からわかる。薄膜構造23は断面がカールしている薄膜のフレア状の構造である故に、僅かな外力により簡単に変形する。なお、若干の弾性を有する。
以下に、上記TIM15の製造方法について、図7A、図7B、図8A、及び図8Bを参照しつつ説明する。
まず、グラファイトシートとして、GrafTech International株式会社製、GRAFOIL(登録商標)Grade−GTA(厚さ0.635mm)を用意し、用途に応じて所定の大きさに裁断し、ロータリー式のグラインダーを用い、シートの片面を、グラファイトシートの厚みが0.3mmになるまで削りグラファイトシート22を得る。次に、図7Aに示すように、薄膜化したグラファイトシート22を厚さ1mmの柔らかいシリコーンシート(図示せず)上に載せ、表面に1mm間隔で細かな突起(円錐状突起)を有するローラー25を用いて、グラファイトシート22の表側と裏側から2〜3回ローラー掛けをしてグラファイトシート22の上面及び下面にディンプル状の窪み構造27を形成する。この際、グラファイトシート22が破断しない程度の押圧力でローラー掛けをする。次に、図7Bに示すように、平坦なガラス板(図示せず)の上にグラファイトシート22を載せ、表面が平坦なローラー29を用い、シートの表側と裏側から数回ローラー掛けをしてシート表面を平坦化処理する。
次に、図8Aに示すように、グラファイトシート22の上面に粘着シート31(例えば、セロファンテープ、ビニールテープ等)を貼り付ける。次に、図8Bに示すように、粘着シート31をグラファイトシート22から引き剥がす。
図3に示すように、グラファイトシート22を構成するグラファイト結晶は、層状の構造を有しており、層毎のa軸及びb軸に平行な面内においては強い共有結合で炭素同士が結合しているが、層と層の間(面間)において、すなわちc軸方向においては、炭素からなる層同士が弱いファンデルワールス力で結合している。それゆえに、表面においてc軸方向に引っ張りを受けると表面が層状に剥離する性質を有している。従って、図8Bに示すように、グラファイトシート22の表面から粘着シート31を引きはがす(引っ張り剥離)ことによって、断面がカールしたフレア状の薄膜構造23を形成できる。
その後、まだ薄膜構造23を形成していない表面領域についても、テープの貼り付け及び引きはがしを行い、グラファイトシート22の主面に平行な上面及び下面全体に、薄膜構造23を形成した後に、TIM15が完成する。以下、上記薄膜構造23を形成する加工を毛羽立て加工と称する。
実施例1の放熱装置10においては、グラファイトからなるコーティング13と、グラファイトシートからなるTIM15の表面に形成されている薄膜構造23との間の接触親和性(ファンデルワールス力)は、金属材料の表面である発熱体取り付け面11bと薄膜構造23との接触親和性よりも高い。よって、コーティング13を形成することによって、ヒートシンク11と薄膜構造23との間の接触親和性を良好にすることで、ヒートシンク11と薄膜構造23との間の接触面積を増大させて、放熱体とTIM15との間の接触熱抵抗を低下させることが可能である。
[実施例2]
以下に実施例2の放熱装置10について説明する。実施例2の放熱装置10は、実施例1の放熱装置10とTIMが異なる以外は、実施例1の放熱装置10と同一の構成を有している。実施例2の放熱装置に用いられるTIM15は、上記実施例1のTIM15のグラファイトシート22の表面に形成されている薄膜構造23をグラファイトシート22から分離することで形成された薄膜片が、マトリックス材としてのオイルに包含されているTIMである。実施例2のTIM15は、以下のようにして形成する。
まず、グラファイトシート43として、上記実施例1のTIM15の製造に用いたGrafTech International株式会社製、GRAFOIL(登録商標)Grade−GTA、厚さ0.635mmを用意する。
次に、上記実施例1のTIM15の製造方法において説明したのと同様の毛羽立て加工を行い、グラファイトシート43の主面に平行な上面及び下面全体に薄膜構造23を形成する。
次に図9に示すように、カッター等の薄手の刃を有する刃物45で薄膜構造23をグラファイトシート43の表面から刮ぎ落とすようにまたは剥ぎ取るように剥離して分離して個別の薄膜片フィラー47を形成する。図10に、薄膜片フィラー47の断面図を示す。図10に示すように、薄膜片フィラー47は一次薄膜構造23aの断面がカールした形状をそのまま保持しており、表面には毛羽立て加工時に形成された二次薄膜構造23b及び三次薄膜構造23cがそのまま残され、グラファイトシート43からの剥離によってさらに二次薄膜構造23b及び三次薄膜構造23cが形成されている。その後、分離した薄膜片フィラー47を網目が約1mm角のふるいにかけて、比較的大きな薄膜片フィラーを取り除き、水平投影面積(薄膜片フィラー47を主面に垂直な方向(グラファイト結晶のc軸方向)から見たときの面積)が約1mm2以下のサイズの薄膜片フィラー47を得る。薄膜片フィラー47は断面がカールしている薄膜のフレア状の構造である故に、僅かな外力により簡単に変形し、外力が取り除かれると形状が復元する。
その後、薄膜片フィラー47を、マトリックス材であるオイル(Solvay Solexis S.p.A社(イタリア)製のFOMBLIN YL−VAC25)と混ぜ合わせることでTIM15を生成する。この際、薄膜片フィラー47とオイルとを1(嵩高体積):1で混ぜ合わせることとする。なお、実施例1のTIM内に包含されている薄膜片フィラー47は、TIM中で薄膜片状の形態を保持していることが確認された。
上記製造方法によって形成されたTIM15は、グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とする薄膜片と、当該薄膜片を包含しているマトリクス材と、からなり、当該薄膜片の表面に、当該グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とするフレア状の薄膜構造が形成されているTIMとなっている。
上記実施例1と同様に、グラファイトからなるコーティング13と、TIM15内に包含されている薄膜片フィラー47との間の接触親和性(ファンデルワールス力)は、金属材料の表面である発熱体取り付け面11bと薄膜片フィラー47との接触親和性よりも高い。よって、コーティング13を形成することによって、ヒートシンク11と薄膜片フィラー47との間の接触親和性を良好にすることで、ヒートシンク11と薄膜片フィラー47との間の接触面積を増大させて、ヒートシンク11とTIM15との間の接触熱抵抗を低下させることが可能である。
[放熱装置の評価]
上記実施例1及び2に記載した放熱装置の性能を、図11に示すパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)の放熱装置10を用いたCPU装置51を用いて評価した。当該評価において、後述するCPU装置51からグラファイトからなるコーティングを取り除いた比較例1及び2と比較することでグラファイトからなるコーティングの効果を検証した。
CPU装置51は、発熱体としてのCPU53、CPU53上に配されている放熱装置10、及び放熱装置上に配されているクーリングファン55からなっている。CPU53の放熱装置10と対向している表面領域にはヒートスプレッダ53aが形成されており、ヒートスプレッダ53aの上面には、例えば、上記コーティング13と同様の方法で蒸着によって形成されている厚さ10nmのグラファイトからなるコーティング54が設けられている。
CPU53は、Intel(登録商標)社製Pentium(登録商標)4であり、CPUダイのサイズ112mm2、熱設計電力(TDP:Thermal Design Power)89Wである。CPUヒートスプレッダ53aはCuであり表面には、耐食メッキが施されており、ヒートスプレッダ53aのサイズは、縦31mm×横31mm×厚さが2mmである
クーリングファン55は、ファンの直径dが68mmである。なお、この評価において、ヒートシンク11とクーリングファン55は、上記CPU53に付属のIntel(登録商標)社製のリテールパッケージ品を用いた。このヒートシンク11は、上述と同様、アルミ合金からなり、縦68mm×横83mm×高さ37mmの外形を有している。このCPU装置51において、CPU53において発生した熱は、TIM15を介してヒートシンク11に伝導し、ヒートシンク11から大気中に放散される。
[比較例1]
比較例1は、上記CPU装置51において、実施例1の放熱装置10からコーティング13を取り除いたものを用い、さらに、ヒートスプレッダ53aの上面に形成されているコーティング54を取り除いたものである。
[比較例2]
比較例2は、上記CPU装置51において、実施例2の放熱装置10からコーティング13を取り除いたものを用い、さらに、ヒートスプレッダ53aの上面に形成されているコーティング54を取り除いたものである。
[TIM塗布または配置態様]
実施例1及び比較例1のTIM15の配置及びCPU53とヒートシンク11との組み付けは以下のように行った。まず、TIM15をCPU53のヒートスプレッダ53aの上面と同じ大きさに裁断した。その後、TIM15をヒートスプレッダ53a上に配置して、その上にヒートシンク11を配置し、一定の力で押さえつけることのできるバネでヒートシンク11とCPU53とを固定した。
実施例2及び比較例2のTIM15の塗りつけ及びCPU53とヒートシンク11との組み付けは以下のように行った。まず、薄膜片フィラー47は、TIM15のオイル中で沈殿しているので、TIM15を攪拌して薄膜片フィラー47とオイルを混ぜる。次に、TIM15のオイル中で再度薄膜片フィラー47が沈殿しないうちにTIMをスポイトで吸い取り、必要量をCPU53のヒートスプレッダ53aの表面に滴下塗布する。しばらく待って薄膜片フィラー47がヒートスプレッダ53aの表面に沈降したら、吸油布でヒートスプレッダ53aの全面を押さえて余分なオイルを除去する。次に、ヒートシンク11を、TIM15が塗布されているヒートスプレッダ23aの表面に一定の力で押さえつけることのできるバネで固定した。この際、TIM15の滴下量を調整することで、余分なオイル除去後のTIM15の厚みを0.1mm以下とした。
[評価結果]
当該評価における放熱装置の評価表を表1に示す。表1にはTIMのマトリックス、加工・処理、厚み、及び評価値として、CPU最大負荷時の発熱とヒートシンクの放熱がバランスした際の、CPUジャンクション温度(CPU Tj)及びヒートシンクの放熱面(CPUと接している面と反対側の面)温度(Tsink)を示している。さらに、CPUジャンクション温度とヒートシンク表面温度との差異(Tj−Tsink)、ヒートシンク表面温度と大気温度との差異(Tsink−Tair)、及びCPUが89Wで発熱した際のCPUジャンクションとヒートシンク表面間の熱抵抗(Rth(CPU−sink))、ヒートシンク表面と大気間の熱抵抗(Rth(sink−air))も示している。
上記評価値は、CPU装置51をパソコンに組み込んで測定した。また、評価する際のパソコンのOS(Operating system)は、Microsoft(登録商標)社のWindows(登録商標)XPをとし、評価値の測定には、CPUに負荷を掛けるためにベンチマークソフトとしてCrystal Mark 2004 R3(以下、CM2004と称する)を用い、CPUのジャンクション温度(CPU Tj)を測定するために、Open Hardware Monitor 0.54B(以下、OHMと称す)を用いた。評価値の測定時の大気温度Tairは、22℃で一定としている。また、評価値の測定時のクーリングファン55の回転数は、2400rpmで一定とした。
また、評価値の測定においては、まずCPU装置51を組み込んだパソコンのスイッチを入れ、OSを起動して10分間待機し、その後CM2004及びOHMを起動して5分間待機する。最後に、CM2004の全ベンチマーク値の一括計測を開始する。前記一括計測が終了した後に、OHMに保持された最大CPU温度をCPUジャンクション温度(CPU Tj)とした。
図12には、実施例及び比較例の各々のCPUジャンクション温度(CPU Tj)をプロットしたグラフを示している。CPUジャンクションとヒートシンクとの間にTIMが挿入されるので、上記評価値において重要なのは、CPUジャンクション温度(CPU Tj)、及びCPUジャンクションとヒートシンク表面間の熱抵抗(Rth(CPU−sink))となる。
実施例1の放熱装置10を用いた場合及び比較例1におけるCPU Tjは、それぞれ64.6℃と66.8℃であり、ヒートシンク11及びヒートスプレッダ53aにグラファイトからなるコーティング13及びコーティング54を施したことでCPU Tjが2.2℃下がった。CPUからヒートシンクの放熱面までの熱抵抗(Rth(CPU−sink))は0.025(℃/W)低下した。すなわち、グラファイトからなるコーティングによりヒートスプレッダ53とのTIM15の界面、TIM15とヒートシンク11との界面の接触熱抵抗が0.025(℃/W)低下したことになる。
同様に、実施例2の放熱装置10を用いた場合及び比較例2におけるCPU Tjは、それぞれ59.1℃と60.2℃であり、ヒートシンク11及びヒートスプレッダ53aにグラファイトからなるコーティング13及びコーティング54を施したことで、CPU Tjが1.1℃下がった。CPUからヒートシンク放熱面までの熱抵抗(Rth(CPU−sink))は0.012(℃/W)低下した。すなわち、グラファイトからなるコーティングによりヒートスプレッダ53aとのTIM15の界面、TIM15とヒートシンク11との界面の接触熱抵抗が0.012(℃/W)低下したことになる。
[評価結果についての考察]
以上のように、グラファイトからなるコーティングを施したヒートシンク11及びヒートスプレッダ53aを用いることで、表面にフレア状の薄膜構造を有するグラファイトシートからなるTIM及び表面にフレア状の薄膜構造を有するグラファイトの薄膜片フィラーを包含するマトリックス材からなるTIMとヒートシンク11及びヒートスプレッダ53aとの接触熱抵抗を低減する効果が得られる。この効果は、上記した様に、グラファイトからなるフレア状の薄膜構造及び薄膜片とグラファイトからなるコーティングとの接触親和性(ファンデルワールス結合)が高いことにより、これらの間の接触熱抵抗を減少する。
従って、本願の放熱装置によれば、グラファイトからなるTIMとヒートシンク11との接触熱抵抗を低減することにより、放熱装置に取り付けられる発熱体と放熱体との間の熱抵抗を低減することができ、効率的な熱放散を行うことが可能である。
なお、グラファイトからなるコーティングは、TIMとヒートシンクまたはヒートスプレッダとの界面の30%以上を被覆しているのが好ましく、60%以上を被覆しているのがさらに好ましく、90%以上を被覆しているのは最も好ましい。グラファイトからなるコーティングがTIMとヒートシンクまたはヒートスプレッダとの界面の90%以上を被覆している場合には、ヒートスプレッダやヒートシンクが銅やアルミなどの酸化する素材の場合、表面の金属酸化を防止するという効果も発生する。この酸化防止をすることにより、長期に亘り安定して低い熱抵抗を維持できる。
なお、上記実施例において、ヒートシンク及びヒートスプレッダのTIMに面した表面に施されるコーティングは、蒸着で形成することとしたが、放熱体とコーティング界面で素材同士の結合が十分行われる方法ならば良く、グラファイト溶射、またはCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成してもよい。
また、ヒートシンク及びヒートスプレッダのTIMに面した表面に施されるコーティングは、接触親和性の観点からはグラファイトで形成されているのが好ましいが、コーティング内に、針状黒鉛(カーボンナノチューブ)、球状黒鉛(フラーレン)、無定形黒鉛等が含まれていてもよく、少なくともコーティングが炭素の同素体からなっていればよい。
実施例2においては、TIM15のマトリックス材としてオイルを用いたが、他のマトリックス材を用いてもよい。例えば、TIMを厚く塗布したい場合には粘度の高いグリースを用いTIMパテ状にしてもよく、簡便に塗布するには中粘度の樹脂を用いてもよい。また、発熱体(CPU)と放熱体(ヒートシンク)を組み付け後に分離解体することがある場合は、マトリックスとしてチクソ性の樹脂を使用してもよく、発熱体(CPU)と放熱体(ヒートシンク)をしっかり固定したい場合は熱硬化性樹脂を使用してもよい。また、マトリックス材の変質を防止したい場合はフッ素系樹脂を用いることも可能である。
上記実施例においては、毛羽立て加工において、薄膜構造が三次薄膜構造まで形成されるとしたが、三次薄膜構造の表面に四次薄膜構造が形成されていてもよく。さらに高次の薄膜構造が形成されていてもよい。また、実施例1のTIMには、少なくとも一次薄膜構造が形成されていればよく、実施例2のTIMの薄膜片フィラー47には、少なくとも二次薄膜構造が形成されていればよい。
また、薄膜片フィラー47は、全体としてカールしている必要はなく、少なくとも薄膜片フィラー47の二次薄膜構造23a及び三次薄膜構造23cが、断面がカールしたフレア構造を有していればよい。また、発熱体側のTIMと接触させる部分にコーティングすれば。さらに、接触熱抵抗を減少でき、トータルの熱抵抗を低減できて放熱性は向上する。
また、TIMは上記実施例に示したものに限られず、未加工のグラファイトシート等、グラファイト結晶を含むものであればよい。グラファイト結晶を含むTIMであれば、上記グラファイト他の炭素同素体からなるコーティングとの接触親和性が高く、ヒートシンク及びヒートスプレッダの表面にコーティングを形成することによる接触熱抵抗の低下の効果が生ずる。
上述した実施例における種々の数値、寸法、材料等は、例示に過ぎず、用途に応じて、適宜選択することができる。
10 放熱装置
11 ヒートシンク
13、54 コーティング
15 TIM
22、43 グラファイトシート
23 薄膜構造
23a 一次薄膜構造
23b 二次薄膜構造
23c 三次薄膜構造
25 突起を有するローラー
27 窪み構造
29 平坦なローラー
31 粘着シート
45 刃物
47 薄膜片フィラー
51 CPU装置
53 CPU
53a ヒートスプレッダ
55 クーリングファン

Claims (3)

  1. 放熱体と、前記放熱体上に配された熱界面材料と、からなる放熱装置であって、
    前記熱界面材料は、
    グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とするグラファイトシートであって、 その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されている複数のフレア状の薄膜構造を有しているグラファイトシートからなるか、
    または、グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とする薄膜片であって、その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されているフレア状の薄膜構造を有している薄膜片、及び前記薄膜片を包含しているマトリックス材からなり、
    前記放熱体の前記熱界面材料と接する表面には炭素の同素体からなるコーティングが施されていることを特徴とする放熱装置。
  2. 放熱体と、前記放熱体上に配された熱界面材料と、からなる放熱装置であって、
    前記熱界面材料は、
    グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とするグラファイトシートであって、 その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されている複数のフレア状の薄膜構造を有しているグラファイトシートからなるか、
    または、グラファイト結晶のa軸及びb軸に平行な面を主面とする薄膜片であって、その表面から少なくとも一部が繋がる層状に剥離されているフレア状の薄膜構造を有している薄膜片、及び前記薄膜片を包含しているマトリックス材からなり、
    前記熱界面材料の前記放熱体と接する面と対抗する面は炭素の同素体からなるコーティングを介して発熱体と接続されることを特徴とする放熱装置。
  3. 前記コーティングはグラファイトからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の放熱装置。
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