JP6086542B2 - 手巻き式ゴンドラ - Google Patents
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Description
地震による被害者の中には、建物の倒壊など地震そのものに起因して生命をおとす被害者も多いが、海岸近くにおいては、東日本大震災の例に見られるように、地震により発生した津波にのまれて生命を失う被害者が多い。
しかしながら、津波の進行速度は非常に速いため、避難施設が海岸から遠く離れている場合には、海岸近くの住民の避難が間に合わないおそれがあるという大きな問題がある。ところが、それにも拘らず、我が国においては、海岸近くに津波専用の避難所は殆ど存在していないのが実情である。
しかしながら、特許文献1に開示された建造物は、避難者が津波によってさらわれることがないように、屋内部分が地表面から高い位置に設けられているにも拘らず、地表面から高床の屋内部分へと上るための手段が階段に限られているため、迅速な避難が困難であり、避難中に津波にまきこまれてしまう危険性が高いという問題があった。
特に、高齢者、女性、子供など足腰が弱い者の場合には、長い階段を上って高い位置にある屋内部分へと避難するのは非常に大変であり、避難中に津波にまきこまれてしまう危険性が大きかった。
特許文献2の開示技術は、地中に打ち込まれた支柱と、支柱により地上の所定高さに支持された避難台と、地表面と避難台との行き来を可能とする昇降手段とからなる津波避難所において、昇降手段が階段及びゴンドラからなるものである。
この特許文献2に開示された津波避難所によれば、地表面と避難台との行き来を可能とする昇降手段としてゴンドラを備えているため、高所にある避難台への階段による迅速な避難が困難である高齢者や子供等であってもゴンドラによって避難台上へと容易且つ迅速に避難することが可能となる。
このような問題点を解決するための方法として、ゴンドラを手巻き式とすることも考えられる。しかし、多くの人が乗った重いゴンドラを人力で巻き上げることは容易ではなく、多くの人を迅速に避難させることができない。
この手巻き式ゴンドラは、上記問題点を全て解消することができる非常に優れたものであるが、クラッチ機構によるギアの切り換えを手動で行う必要があるため、操作を行う者が操作に不慣れな場合には切り換えが良好に行えないおそれがあった。
また、アシスト駆動装置の外部の回転駆動源にバッテリーを有した電動の回転駆動源を用いれば、災害による停電時にもゴンドラを容易に巻き上げることが可能となる。
本発明に係る手巻き式ゴンドラは、図1〜図4に示すように、人が乗るゴンドラ籠(1)と、ゴンドラ籠(1)と重量バランスをとるためのカウンターウェイト(2)と、ゴンドラ籠(1)が吊り下げられた第1ワイヤー(9)とカウンターウェイト(2)が吊り下げられた第2ワイヤー(11)とが巻回された巻き上げドラム(3)と、巻き上げドラム(3)を回転させる回転トルク発生装置(5)とを備えている。
回転トルク発生装置(5)は、巻き上げドラム(3)と連結し、巻き上げドラム(3)と連動して回転する回転軸体(7)と、回転軸体(7)と連結して該回転軸体(7)を駆動させる、主駆動装置(6a)及びアシスト駆動装置(6b)とを備えている(図4参照)。
主駆動装置(6a)は、回転軸体(7)と連結して該回転軸体(7)の回転と連動して回転するハンドル(4)を有している。
アシスト駆動装置(6b)は外部の回転駆動源と回転軸体(7)とを連結する駆動軸体(8)を有し、駆動軸体(8)は外部の回転駆動源と嵌合する先端を有する。
ゴンドラ籠(1)は、巻き上げドラム(3)の両端寄り部分に巻回された2本の第1ワイヤー(9)により、巻き上げドラム(3)の下方に吊り下げられている(図1乃至図3参照)。
図1及び図3において、ゴンドラ籠(1)の最下降位置を実線で示し、最上昇位置を二点鎖線で示している。また、図1及び図2中の符号(10)は巻き上げドラム(3)等の点検用の足場である。
カウンターウェイト(2)の重量は、ゴンドラ籠(1)自体の重量にゴンドラ籠(1)の最大積載重量の約半分の重量を加えた重量に設定することが好ましい。例えば、ゴンドラ籠(1)自体の重量が100kgで、ゴンドラ籠(1)の最大積載重量が350kgの場合は、カウンターウェイト(2)の重量は275kgに設定される。
図1及び図3において、カウンターウェイト(2)の最上昇位置を実線で示し、最下降位置を二点鎖線で示している。
巻き上げドラム(3)の右端近傍には、スプロケット(14)が取り付けられている。スプロケット(14)は、後述するハンドル(4)により回転されるスプロケット(15)と、チェーン(16)によって連結されている(図2参照)。これにより、後述するように、ハンドル(4)によりスプロケット(15)が回転されると、その回転駆動力がチェーン(16)を介してスプロケット(14)に伝達され、巻き上げドラム(3)が回転する(図2、図4参照)。
スプロケット(14)の歯数は、スプロケット(15)の歯数よりも多く(例えば4〜5倍程度)となるように設定することが好ましい。
ギアボックス(17)は、ハンドル(4)の回転方向を90°切り換えて回転軸体(7)へと伝達する公知の傘歯車機構を収容しており、ハンドル(4)の回転が回転軸体(7)に伝達されるとき、回転数が小さくなる(減速される)。
回転軸体(7)は、図4に一点鎖線で示す回転軸(7a)を中心として回転する。
回転軸体(7)の長さ方向中央付近にはブレーキローター(21a)が取り付けられている。主駆動装置(6a)が載置固定されている架台(19)には、ブレーキキャリバー(21b)が固定されており(図4参照)、このブレーキキャリバー(21b)を手動で操作することより、ブレーキローター(21a)を両側から挟み込んで回転を止めることができる。ブレーキローター(21a)の回転が止まると、回転軸体(7)も止まり、更に回転軸体(7)とチェーン(16)を介して連結されている巻き上げドラム(3)の回転も止まる。これにより、非常時においては、ゴンドラ籠(1)を人力で停止させることができる。
具体的には、アシスト駆動装置(6b)は、副回転軸体(22)の上方で、副回転軸体(22)に平行に設けられた第1駆動軸体(8a)と、副回転軸体(22)の下方で、副回転軸体(22)に平行に設けられた第2駆動軸体(8b)とを有している。
第1駆動軸体(8a)には第1スプロケット(25a)が設けられ、第1スプロケット(25a)は第2駆動軸体(8b)に設けられた第2スプロケット(25b)とチェーン(26)により連結されている。なお、図7(b)において、第2スプロケット(25b)とチェーン(26)とを一点鎖線で示している。
また、第2駆動軸体(8b)には第3スプロケット(25c)が設けられ、第3スプロケット(25c)は副回転軸体(22)に設けられたスプロケット(23)とチェーン(24)により連結されている。そして第1駆動軸体(8a)の先端は外部の回転駆動源と嵌合し、前記先端は正六角柱状の突起形状である。
なお、図4には外部の回転駆動源としての電動ドライバー(D)を記載している。また、図7(b)において、スプロケット(23)とチェーン(24)とを一点鎖線で示している。
このような構成なので、外部の回転駆動源によって第1駆動軸体(8a)を回転させることにより、外部の回転駆動源の回転駆動力が、第1駆動軸体(8a)、第2駆動軸体(8b)、副回転軸体(22)を介して回転軸体(7)に伝達される。
また、アシスト駆動装置(6b)の外部の回転駆動源にバッテリーを有した電動の回転駆動源を用いれば、災害による停電時にもゴンドラを容易に巻き上げることが可能となる。
駆動源回転数比率は、外部の回転駆動源の回転駆動力の大きさに応じて設定すればよく、特に制限はない。しかしながら、駆動源回転数比率を1より大きくすることにより、外部の回転駆動源の回転駆動力が小さくてもゴンドラを容易に巻き上げることが可能となる。
例えば、図1〜図3に示すような、地面(G)に立設された支柱(31)と、この支柱(31)により地上の所定高さ(津波の想定高さより高い)に支持された避難台(32)と、手摺(33)を備えた津波避難施設において、避難台(32)への昇降手段として本発明に係る手巻き式ゴンドラを取り付けることができる。
また、本実施形態では、ゴンドラ籠(1)を垂直方向に昇降させたが、例えば傾斜面にレールを設け、ゴンドラ籠(1)に取り付けた車輪によって傾斜方向に昇降させてもよい。
2 カウンターウェイト
3 巻き上げドラム
4 ハンドル
5 回転トルク発生装置
6a 主駆動装置
6b アシスト駆動装置
7 回転軸体
8 駆動軸体
9 第1ワイヤー
11 第2ワイヤー
18 カップリング
25 スプロケット
26 チェーン
Claims (5)
- 人が乗るゴンドラ籠と、
前記ゴンドラ籠と重量バランスをとるためのカウンターウェイトと、
前記ゴンドラ籠が吊り下げられた第1ワイヤーと前記カウンターウェイトが吊り下げられた第2ワイヤーとが巻回された巻き上げドラムと、
前記巻き上げドラムを回転させる回転トルク発生装置とを備え、
前記回転トルク発生装置が、前記巻き上げドラムと連結し、前記巻き上げドラムと連動して回転する回転軸体と、
前記回転軸体と連結して該回転軸体を駆動させる、主駆動装置及びアシスト駆動装置とを備え、
前記主駆動装置が、前記回転軸体と連結して該回転軸体の回転と連動して回転するハンドルを有し、
前記アシスト駆動装置が、外部の回転駆動源と前記回転軸体とを連結する駆動軸体を有し、
前記駆動軸体が、前記回転駆動源と嵌合する先端を有し、
前記外部の回転駆動源が電動工具であることを特徴とする手巻き式ゴンドラ。 - 前記主駆動装置及びアシスト駆動装置と前記回転軸体とが、嵌脱自在なカップリングを介して連結していることを特徴とする請求項1記載の手巻き式ゴンドラ。
- 前記回転軸体の回転数に対する前記外部の回転駆動源の回転数の比率が1より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の手巻き式ゴンドラ。
- 前記アシスト駆動装置が、複数の前記駆動軸体と、それぞれの前記駆動軸体に設けられたスプロケットと、前記スプロケットを連結するチェーンとを有し、
複数の前記駆動軸体が前記スプロケットと前記チェーンとによって順に連結されていることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の手巻き式ゴンドラ。 - 前記回転駆動源と嵌合する前記先端が正六角柱状の突起形状であることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の手巻き式ゴンドラ。
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