JP6085215B2 - 光モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、光モジュールに関する。
光ファイバを用いた高速光通信の分野では、電気信号と光信号とを相互に変換する部品として光トランシーバが用いられている。光トランシーバを取り扱う業界団体で取り決められたMSA(Multi Source Agreement)により、プラガブル光トランシーバの仕様(形状・寸法・ピンアサインなど)が標準化されている。これらのプラガブル光トランシーバによれば、通信機器側(ホスト側)のメイン基板上にケージが設置され、光電変換素子や回路基板を内蔵した光モジュールがケージに着脱可能に挿入される。光モジュールがケージに挿入されると、ケージ内の電気インターフェースコネクタに対して光モジュール内の回路基板が電気的・機械的に接続される。これにより、光ファイバで送受される光信号と、通信機器側のメイン基板で処理される電気信号が、光モジュール内の光電変換素子や回路基板によって相互に変換可能になる。
特許文献1には、位置決め穴(符号11)の形成された基板(符号1)に位置決めピン(符号9)を挿入して光軸を位置合わせした光モジュールが記載されている。
特開2005−17684号公報
特許文献1では、位置決め穴は径が一定であり、位置決めピンも径が一定である。位置決め穴及び位置決めピンがこのような寸胴形状の場合、はめあい公差により、位置決め穴と位置決めピンとの間に隙間が必要になり、この隙間の分だけ位置決め誤差が生じてしまう。
一方、特許文献1の円錐形状の突起(符号4A、4B)のように位置決めピンを円錐形状にした場合、隙間無く位置決めピンを位置決め穴に接触させることができるが、位置決めピンのテーパ面が位置決め穴の角部と点接触し、この点接触部に応力が集中してしまう。特許文献1においても、円錐形状の突起(符号4A、4B)が凹み(符号5A、5B)の開口付近の角部によって塑性変形することが記載されている(特許文献1の段落0021、0027参照)。このように、位置決め穴と位置決めピンとの接触面積が小さくなると、位置決め穴及び位置決めピンの機械的強度が低下し、位置決め穴や位置決めピンが破損するおそれがある。
本発明は、位置決め穴や位置決めピンの破損を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、光を透過可能な透明基板と、前記透明基板に搭載され、前記透明基板に向かって光を発光し若しくは前記透明基板を透過した光を受光する光電変換素子と、光ファイバを支持し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間の光路を前記透明基板とともに形成する支持部材とを備え、前記支持部材には、テーパ面を有する位置決めピンが形成されており、前記透明基板には、前記位置決めピンの前記テーパ面と同じ角度のテーパ面を有する非貫通の位置決め穴が形成されており、前記位置決めピンの前記テーパ面と前記位置決め穴の前記テーパ面とが接触した状態で、前記透明基板の前記位置決め穴に前記支持部材の前記位置決めピンが挿入されており、前記支持部材には、前記位置決めピンの根元の周りに凹部が形成されていることを特徴とする光モジュールである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、位置決め穴や位置決めピンの破損を抑制できる。
図1は、プラガブル光トランシーバの説明図である。 図2Aは、光モジュール1のハウジング1A内の回路基板10等を斜め上から見た斜視図である。図2Bは、回路基板10等を斜め下から見た斜視図である。 図3は、ケージ2に挿入された光モジュール1の概略構成図である。 図4A〜図4Cは、ガラス基板20の位置決め穴23に光路変換器40の位置決めピン43を挿入し、ガラス基板20と光路変換器40とを位置決めする様子の概略説明図である。 図5A及び図5Bは、参考例の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。 図6A及び図6Bは、第1実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。 図7Aは、第1実施形態の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。図7Bは、参考例の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。 図8A及び図8Bは、第2実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。 図9A及び図9Bは、第3実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。 図10A及び図10Bは、第4実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
光を透過可能な透明基板と、前記透明基板に搭載され、前記透明基板に向かって光を発光し若しくは前記透明基板を透過した光を受光する光電変換素子と、光ファイバを支持し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間の光路を前記透明基板とともに形成する支持部材とを備え、前記支持部材には、テーパ面を有する位置決めピンが形成されており、前記透明基板には、前記位置決めピンの前記テーパ面と同じ角度のテーパ面を有する非貫通の位置決め穴が形成されており、前記位置決めピンの前記テーパ面と前記位置決め穴の前記テーパ面とが接触した状態で、前記透明基板の前記位置決め穴に前記支持部材の前記位置決めピンが挿入されていることを特徴とする光モジュールが明らかとなる。
このような光モジュールによれば、位置決め穴や位置決めピンの破損を抑制できる。
前記支持部材には、前記位置決めピンの根元の周りに凹部が形成されていることが望ましい。これにより、位置決めピンの製造時に位置決めピンの根元の角部が丸みを帯びてしまっても、角部の丸みの影響を受けずに高精度な位置決めが可能になる。
前記凹部の内側の側壁面は、前記位置決めピンの前記テーパ面の延長面になっている
ことが望ましい。これにより、テーパ面が支持部材の表面よりも内側まで形成されるので、位置決めピンの根元の丸みの影響を受けずに高精度な位置決めが可能になる。
前記位置決め穴の前記テーパ面は、前記位置決め穴の開口部に形成されていることが望ましい。若しくは、前記位置決め穴の前記テーパ面よりも開口側で面取り加工が施されていることが望ましい。
前記位置決めピンは、円錐台形状に形成されていることが望ましい。これにより、位置決めピンの側面の全てがテーパ面になり、位置決め穴と位置決めピンとの接触面積を大きくできる。
===第1実施形態===
<全体構成>
図1は、プラガブル光トランシーバの説明図である。なお、光送信器と光受信機の両方を備えるものを光トランシーバと呼ぶことがあるが、ここでは一方のみ備えるものも光トランシーバと呼ぶ。図中のプラガブル光トランシーバは、MSA(Multi Source Agreement)で規定されたQSFPタイプ(QSFP:Quad Small Form Factor Pluggable)のものである。プラガブル光トランシーバは、光モジュール1と、ケージ2とを有する。
図中には、2種類の光モジュール1が描かれている。図に示すように、光モジュール1には、光ファイバ(コードを含む)が固定されていても良いし、着脱可能でも良い。図中の2つのケージ2のうちの一方は、ヒートシンク3が取り外されるとともに、内部が見えるように一部破断されて、描かれている。
以下の説明では、図1に示すように、前後、上下及び左右を定義する。すなわち、光モジュール1を挿入するケージ2の挿入口側を「前」とし、逆側を「後」とする。光モジュール1においては、光ファイバ(コードを含む)が延び出る側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、ケージ2が設けられるメイン基板から見て、ケージ2が設けられる面の側を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向と上下方向と直交する方向を「左右」とする。
通信機器側(ホスト側)のメイン基板上にはケージ2が設置されている。ケージ2は、例えばデータセンター内のブレードサーバのメイン基板上に設けられる。
光モジュール1は、ケージ2に着脱可能に挿入される。光モジュール1は、ハウジング1A内に光電変換素子31や回路基板10を内蔵しており、光ファイバで送受される光信号と、通信機器側のメイン基板で処理される電気信号とを相互に変換する。
ケージ2は、光モジュール1を着脱可能に収容する。ケージ2は、光モジュール1を挿入するための挿入口を前側に備え、前後方向に長い断面矩形の箱形部材である。このケージ2は、前側を開放するように金属板を折り曲げ加工して形成される。金属板が断面矩形状に折り曲げ加工されることにより、光モジュール1を収容するための収容部がケージ2内に形成されている。ケージ2の内部の後側には、コネクタ2Aが設けられている。光モジュール1がケージ2に挿入されると、ケージ2内のコネクタ2Aに対して光モジュール1内の回路基板が電気的・機械的に接続される。これにより、光モジュール1とメイン基板との間で電気信号が伝送される。
ケージ2の上面には開口部があり、その開口部を塞ぐようにヒートシンク3が取り付けられている。ヒートシンク3は、ケージ2に挿入された光モジュール1の熱を外部に放熱するための多数の放熱フィン(放熱ピン)を備えている。
<光モジュール1の内部構成>
図2Aは、光モジュール1のハウジング1A内の回路基板10等を斜め上から見た斜視図である。図2Bは、回路基板10等を斜め下から見た斜視図である。図3は、ケージ2に挿入された光モジュール1の概略構成図である。図4A〜図4Cは、ガラス基板20の位置決め穴23に光路変換器40の位置決めピン43を挿入し、ガラス基板20と光路変換器40とを位置決めする様子の概略説明図である。
図に示すように、光モジュール1は、ハウジング1A内に、回路基板10と、ガラス基板20と、光路変換器40とを備えている。
回路基板10は、電子回路を構成する板状のプリント基板である。回路基板10の後側端部には、ケージ2内のコネクタ2A(コネクタソケット)と接続するための接続部11(カードエッジコネクタ)が形成されている。接続部11は回路基板10の上下両面に形成されており、多数の端子が左右方向に並んで形成されている。
回路基板10には、光路変換器40を収容するための収容窓12が形成されている。また、この収容窓12を囲むように、回路基板10の上面には回路基板側電極13が形成されている。回路基板10の上面には、収容窓12を塞ぐように、ガラス基板20が搭載されている。言い換えると、ガラス基板20の下側に回路基板10の収容窓12が位置しており、ガラス基板20の下面で回路基板10の収容窓12が塞がれている。ガラス基板20の下面にはガラス基板側電極22が形成されており、回路基板側電極13とガラス基板側電極22とを接続しつつ、回路基板10の収容窓12を塞ぐようにガラス基板20を回路基板10に搭載している。
収容窓12は、回路基板10に形成された貫通穴(開口)である。この収容窓12に光路変換器40の上部が挿入されている。光路変換器40の下部は収容窓12から下側に突出しており、この突出した部分から前側に光ファイバ50が延び出ている。但し、光路変換器40が回路基板10より薄い場合、光路変換器40の下部は収容窓12から下側に突出しない。この場合、反射部42が光を鈍角に反射するように構成されると、光路変換器40から光ファイバ50を引き出しやすくなる。
ガラス基板20は、光を透過可能な透明なガラス製基板である。ガラス基板20は、例えば石英ガラスやホウ珪酸ガラス等のガラス材料から構成され、ここではホウ珪酸ガラスが採用されている。ガラス基板20には、回路基板10の収容窓12の形状に沿って、複数の貫通ビア21が形成されている。
ガラス基板20の下面(発光部31を搭載する搭載面とは反対側の面)には、ガラス基板側電極22が形成されている。ガラス基板側電極22は、貫通ビア21の外側に形成されている。また、ガラス基板側電極22は、回路基板10の収容窓12の外側に沿うように、形成されている。ガラス基板側電極22は、回路基板10の上面の回路基板側電極13と電気的に接続されることになる。貫通ビア21は、ガラス基板側電極22と発光部31及び駆動素子32との間の配線に用いられている。
ガラス基板20の下面には、光路変換器40を位置決めするための2つの位置決め穴23が形成されている。この位置決め穴23は、ガラス基板20を貫通しておらず、非貫通穴となるように形成されている。位置決め穴23を非貫通穴にすることによって、位置決め穴23の上側に部品(例えば駆動素子32)を搭載したり、その部品への配線を配置したりすることが可能になり、ガラス基板20の上面における部品搭載や配線の自由度が高くなる。
なお、仮に位置決め穴23を貫通穴にすると、後述するように位置決め穴23にテーパ面23Aを形成した際に、ガラス基板20の上面に径の小さい開口部が形成されてしまい、その径の小さい開口部に応力が集中しやすくなり、ガラス基板20の機械的強度が低下してしまう。これに対し、位置決め穴23が非貫通穴であれば、位置決め穴23にテーパ面23Aを形成してもガラス基板20の上面に開口部(径の小さい開口部)が形成されないので、ガラス基板20の機械的強度を保つことができる。
ガラス基板20の上面には、発光部31が実装されている。また、発光部31を駆動するための駆動素子32も、ガラス基板20の上面(発光部31の搭載面)に実装されている。発光部31と駆動素子32は、貫通ビア21の内側に配置されている。言い換えると、発光部31と駆動素子32は、回路基板10の収容窓12の上側に位置するように、ガラス基板20の上面に実装されている。
発光部31は、光信号と電気信号とを変換する光電変換素子である。ここでは、発光部31として、基板に垂直な光を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザ)が採用されている。なお、光電変換素子として、光信号を電気信号に変換する受光部がガラス基板20に実装されても良い。また、発光部と受光部の両方がガラス基板20に実装されても良い。
発光部31の発光部側電極31Aと発光面31Bは、下面(ガラス基板20の側の面)に形成されている。発光部31は、ガラス基板20にフリップチップ実装されており、ガラス基板20に向かって光を照射する。発光部31の発光部側電極31Aと発光面31Bが同じ側(ガラス基板20の側となる下面)に位置しているため、発光部31をガラス基板20にフリップチップ実装すれば、発光面31Bがガラス基板20の側を向き、発光面31Bが外部に露出しないことになる。
なお、図3には発光部31の発光面31Bが1つ描かれているが、発光部31は、紙面と垂直な方向に並ぶ複数(例えば4つ)の発光面31Bを備えている。
光路変換器40は、発光部31から照射された光の光路を変換する光学部品である。また、光路変換器40は、光ファイバ50の一端を支持し、発光部31と光ファイバ50との間の光路を透明基板と共に形成する支持部材としても機能する。光路変換器40は、ガラス基板20に対して位置決めされて取り付けられる部材である。光路変換器40は、回路基板10の下側から収容窓12に挿入されている。
光路変換器40は、レンズ部41と、反射部42とを備えている。レンズ部41は、光路変換器40の上面に形成されている。反射部42は、光路変換器40の下面に形成されている。
レンズ部41は、光を集束させられるように凸レンズ状に形成された部位である。但し、レンズ部41は、光路変換器40の上面から突出しないように、上面から窪んだ凹部に形成されている。レンズ部41を光路変換器40の上面から窪ませて形成されているので、レンズ部41がガラス基板20の下面に接触してしまうことを回避している。レンズ部41は、発光部31の照射した光を集束させて反射部42に導き、光を光ファイバ50に入射させる。ガラス基板20に受光部が実装されている場合には、レンズ部41は、反射部42から反射された光を受光部に集束させることになる。レンズ部41は、ガラス基板20を挟んで発光部31の発光面31Bと対向している。
反射部42は、光を反射させるための部位である。発光部31から照射された光の光軸は上下方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に垂直な方向)であるが、反射部42で反射された光の光軸は前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)になる。反射部42で反射された光は、光路変換器40に取り付けられた光ファイバ50に入射する。ガラス基板20に受光部が実装されている場合には、反射部42は、光ファイバ50から出射した光を反射してレンズ部41に導き、受光部に集束させることになる。
なお、図中の反射部42は、反射光の光軸が前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)になるように描かれている。但し、反射部42は、90度に光を反射するものに限られない。反射部42が光を鈍角(例えば100度程度)に反射するように構成されていても良い。光軸が上下方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に垂直な方向)であった光が前後方向(回路基板10やガラス基板20などの基板に平行な方向)の成分を持つように反射されれば良い。例えば、光ファイバ50の根元が光路変換器40の比較的上部にある場合や、光路変換器40の厚さが回路基板10の厚さよりも薄い場合に、光路変換器40から光ファイバ50を引き出しやすくするため、反射部42が光を鈍角に反射するように構成すると良い。
光ファイバ50は、光路変換器40のレンズ部41及び反射部42に対して所定の位置関係になるように位置合わせされて取り付けられている。
図中の光路変換器40には、光が入射する部位だけにレンズ部41が設けられている。但し、光が出射する部位(光ファイバ50の端部と対向する部位)にもレンズ部を設け、光路変換器40が2つのレンズ部を備えても良い。そして、2つのレンズ部をコリメータレンズとすれば、光路変換器40の中で平行光を伝搬させることができる。
光路変換器40の上面には、ガラス基板20の位置決め穴23に挿入するための2つの位置決めピン43が突出して形成されている。光路変換器40の位置決めピン43がガラス基板20の位置決め穴23に嵌合することによって、光路変換器40のレンズ部41の光軸とガラス基板20に実装された発光部31の光軸との位置合わせが行われる。
光路変換器40は、樹脂により一体成形されている。つまり、光路変換器40のレンズ部41、反射部42及び位置決めピン43は、樹脂により一体的に形成されている。また、光路変換器40は、光を透過可能な樹脂により成型され、ここではポリエーテルイミド樹脂が用いられている。
なお、光路変換器40は、反射部42の面積を確保するため、また、光ファイバ50の端部を接続するための面積を確保するため、他と比べると厚い部品になっている。しかし、厚みのある光路変換器40の上部を収容窓12の中に配置させることによって、回路基板10、ガラス基板20及び光路変換器40を単に積み重ねて配置した場合(若しくは、中継基板を介してガラス基板20及び光路変換器40を回路基板10に取り付けた場合)と比べて、光モジュールの低背化が実現されている。
<位置決め穴23と位置決めピン43の形状について>
図5A及び図5Bは、参考例の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。この断面図は、位置決め穴23と位置決めピン43の中心軸を含む平面の断面を示している。図中のθ2は、位置決めピン43に接触する位置決め穴23の内面と、ガラス基板20の下面とのなす角度である。また、図中の角度θ4は、円錐台形状の位置決めピン43のテーパ面43Aの母線と、光路変換器40の上面とのなす角度である。
参考例では、角度θ2が角度θ4よりも大きい(θ2 > θ4)。この結果、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入すると、図5Bの点線で囲まれた領域に示されるように、位置決め穴23と位置決めピン43とが点接触し、この点接触部に応力が集中してしまう。このように位置決め穴23と位置決めピン43との接触面積が小さくなると、位置決め穴23と位置決めピン43の機械的強度が低下し、位置決め穴23や位置決めピン43が破損しやすくなってしまう。
図6A及び図6Bは、第1実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。この断面図も、位置決め穴23と位置決めピン43の中心軸を含む平面の断面を示している。前述の参考例と同様に、光路変換器40には、テーパ面43Aを有する円錐台形状の位置決めピン43が形成されている。図中のθ4は、位置決めピン43のテーパ面43Aの母線と、光路変換器40の上面とのなす角度である。
第1実施形態では、位置決め穴23の内面にテーパ面23Aが形成されている。第1実施形態では、位置決め穴23のテーパ面23Aは、位置決め穴23の開口部に形成されている。テーパ面23Aは、円錐形状(円錐台形状)の内面である。図中のθ2は、位置決め穴23のテーパ面23Aの母線とガラス基板20の下面とのなす角度である。
第1実施形態では、角度θ2が角度θ4と同じである(θ2 = θ4)。つまり、ガラス基板20の下面には、位置決めピン43のテーパ面43Aと同じ角度のテーパ面23Aを有する位置決め穴23が形成されている。この結果、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入すると、図6Bに示すように、位置決め穴23のテーパ面23Aと位置決めピン43のテーパ面43Aとが面接触する。このため、参考例と比べて、位置決め穴23と位置決めピン43との接触面積が大きくなる。これにより、応力が分散され、位置決め穴23や位置決めピン43の破損を抑制できる。
位置決め穴23は、ガラス基板20にサンドブラスト加工を施すことによって形成される。サンドブラスト加工によれば、位置決め穴23を非貫通に形成することも、位置決め穴23にテーパ面23Aを形成することも可能である。但し、サンドブラスト加工によって位置決め穴23を形成した後に、マイクロドリルを用いてテーパ面23Aを形成しても良い。また、加工工具を用いて位置決め穴23やテーパ面23Aを形成した後に、位置決め穴23の内面に対してエッチング等の表面処理を施しても良い。
位置決め穴23のテーパ面23Aの加工(サンドブラスト加工)に比べると、位置決めピン43のテーパ面43Aの加工(樹脂成型)の方が容易である。このため、位置決め穴23のテーパ面23Aの角度に合うように、位置決めピン43のテーパ面43Aを設計することが望ましい。例えば、サンドブラスト加工による位置決め穴23のテーパ面23Aの角度θ2が70度になる場合、樹脂で任意の形状に成型できる位置決めピン43のテーパ面43Aの角度を70度に設計すると良い。
なお、位置決め穴23のテーパ面23Aと位置決めピン43のテーパ面43Aの角度が同じである状態とは、テーパ面23Aとテーパ面43Aの全ての領域で角度が一致する状態を指すだけではなく、テーパ面23Aとテーパ面43Aの一部の領域で角度が一致している状態も含む。テーパ面23Aとテーパ面43Aの一部の領域で角度が一致していれば、テーパ面23Aとテーパ面43Aとの接触部において参考例よりも接触面積が大きくなるからである。
テーパ面23Aの角度θ2やテーパ面43Aの角度θ4に公差がある場合には、テーパ面23Aとテーパ面43Aの角度が同じである状態とは、角度θ2の範囲と角度θ4の範囲が重複する状態を含む。特に、サンドブラスト加工によるテーパ面23Aの角度θ2の公差は、樹脂成形によるテーパ面43Aの角度θ4の公差よりも大きくなるので、このような場合には、角度θ2の範囲が角度θ4の範囲を包含すると良い。これにより、テーパ面23Aとテーパ面43Aとの接触部において参考例よりも接触面積が大きくなる。
また、テーパ面23Aが粗面になり、テーパ面23Aの母線(中心軸を含む任意の平面とテーパ面との交線)が直線ではない場合には、母線を包含し間隔が最小となる一対の平行直線とガラス基板20の下面とのなす角度をθ2と定義する。同様に、テーパ面43Aの母線が直線ではない場合には、母線を包含し間隔が最小となる一対の平行直線と光路変換器40の上面とのなす角度をθ4と定義する。このような場合においても、角度θ2と角度θ4が同じであれば、テーパ面23Aとテーパ面43Aとの接触部において参考例よりも接触面積が大きくなる。
図7Aは、第1実施形態の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。図7Bは、参考例の位置決めピン43の根元近傍の拡大図である。
一般的に、樹脂を成型する際に樹脂が収縮するため、樹脂成型品の表面形状は、金型の内面の形状をそのまま反映するわけではない。例えば、成型品の角部が丸みを帯びることがある。既に説明したように、第1実施形態の光路変換器40は透明樹脂によって一体的に成形されており、位置決めピン43も光路変換器40の他の部位と一体的に成形されている。そして、図7Bに示す参考例のように、位置決めピン43の根元の角部(図中の矢印で示す部分)が丸みを帯びてしまうことがある。この丸みは、位置決めピン43の周囲に均等に形成されるわけではないため(位置決めピン43の根元の丸みは制御できないため)、この部分が位置決め穴23に接触すると、位置決め穴23や位置決めピン43の軸方向に垂直な方向の位置ずれの要因になり、ガラス基板20側の光軸(発光部31から照射される光の光軸と、光路変換器40側の光軸(レンズ部41の光軸)との位置ずれの要因になり得る。
そこで、図7Aに示すように、第1実施形態では、位置決めピン43の根元の周りを囲むように、光路変換器40の上面に環状の凹部43Bが形成されている。更に、凹部43Bの内側の側壁面は、円錐台形状の位置決めピン43のテーパ面43Aの延長面になっている。つまり、位置決めピン43のテーパ面43Aが光路変換器40の上面よりも内側(位置決めピン43の突出する側と反対側)まで形成されている。これにより、位置決めピン43の根元の角部が丸みを帯びても、その部分は光路変換器40の上面よりも下側に位置することになる。このようにして、位置決めピン43の根元の丸みを帯びた角部が位置決め穴23に接触することを防いでいる。
===第2実施形態===
前述の第1実施形態では、位置決め穴23のテーパ面23Aが位置決め穴23の開口部に形成されていた(図6A参照)。但し、位置決め穴23のテーパ面23Aは、開口部に形成される場合に限られない。
図8A及び図8Bは、第2実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。
第2実施形態では、テーパ面23Aよりも開口側で面取り加工が施されている。このため、第2実施形態の位置決め穴23のテーパ面23Aは、位置決め穴23の開口部よりも上側に形成されている。第2実施形態によれば、位置決め穴23の開口部に面取り加工が施されているため、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入する作業が容易になる。
第2実施形態においても、角度θ2が角度θ4と同じである(θ2 = θ4)。この結果、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入すると、図8Bに示すように、位置決め穴23のテーパ面23Aと位置決めピン43のテーパ面43Aとが面接触する。このため、図6Bの参考例と比べて、位置決め穴23と位置決めピン43との接触面積が大きくなる。これにより、応力が分散され、位置決め穴23や位置決めピン43の破損を抑制できる。
なお、第2実施形態においても、図7Aに示す第1実施形態の位置決めピン43と同様に、位置決めピン43の根元の周りを囲むように環状の凹部43Bを形成しても良い。この場合、凹部43Bの内側の側壁面が、円錐台形状の位置決めピン43のテーパ面43Aの延長面になっていると良い。
===第3実施形態===
前述の第1実施形態では、位置決めピン43が円錐台形状に形成されていた(図6A参照)。つまり、第1実施形態では、位置決めピン43の側面が全てテーパ面43Aになっていた。但し、位置決めピン43の形状は円錐台形状に限られるものではなく、位置決めピン43の側面が全てテーパ面43Aになっていなくても良い。
図9A及び図9Bは、第3実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。第3実施形態では、位置決めピン43の根元にテーパ面43Aが形成されているとともに、テーパ面43Aの上側(位置決めピン43の先端側)が曲面になっている。
第3実施形態においても、角度θ2が角度θ4と同じである(θ2 = θ4)。この結果、位置決め穴23に位置決めピン43を挿入すると、図9Bに示すように、位置決め穴23のテーパ面23Aと位置決めピン43のテーパ面43Aとが面接触する。このため、図6Bの参考例と比べて、位置決め穴23と位置決めピン43との接触面積が大きくなる。これにより、応力が分散され、位置決め穴23や位置決めピン43の破損を抑制できる。
なお、位置決めピン43の根元にテーパ面43Aを形成するのではなく、位置決めピン43の先端側にテーパ面43Aを形成し、テーパ面43Aの根元側が曲面になっていても良い。また、位置決めピン43のテーパ面43Aの根元側と先端側の両方に曲面を形成しても良い。
===第4実施形態===
前述の第1実施形態では、位置決め穴23がサンドブラスト加工によって奥の窄まった非貫通穴として形成されていた。但し、位置決め穴23は、奥の窄まった形状に限られるものではない。
図10A及び図10Bは、第4実施形態の位置決め穴23と位置決めピン43の断面図である。
第4実施形態の位置決め穴23は、径が一定に寸胴形状に形成された後、開口部に面取り加工が施されることによって、テーパ面23Aが形成されている。このような形状の場合においても、位置決め穴23のテーパ面23Aの角度θ2が角度θ4と同じであれば、位置決め穴23のテーパ面23Aと位置決めピン43のテーパ面43Aとが面接触する。このため、図6Bの参考例と比べて、位置決め穴23と位置決めピン43との接触面積が大きくなる。これにより、応力が分散され、位置決め穴23や位置決めピン43の破損を抑制できる。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる形態であっても、本発明に含まれる。
<位置決め穴と位置決めピン>
前述の位置決め穴23は、サンドブラスト加工により形成された奥の窄まった非貫通穴であったが、他の加工方法によって形成された位置決め穴でも良く、他の形状の位置決め穴でも良い。但し、位置決め穴23は、非貫通穴であることが望ましい。位置決め穴23を非貫通穴にすることによって、ガラス基板20の上面における部品搭載や配線の自由度が高くなる。また、位置決め穴23が非貫通穴であれば、位置決め穴23にテーパ面23Aを形成してもガラス基板20の上面に開口部(径の小さい開口部)が形成されないので、ガラス基板20の機械的強度を保つことができる。
<光路変換器について>
前述の実施形態では、光路変換器(光学部品)は樹脂製であった。但し、位置決めピンを有する光学部品は、樹脂製でなくても良い。
<光モジュールについて>
前述の実施形態では、QSFPタイプの光モジュールを用いて説明したが、このタイプに限定されるものではない。他のタイプ(例えばCXPタイプやSFPタイプなど)の光モジュールに適用することも可能である。
1 光モジュール、1A ハウジング、
2 ケージ、2A コネクタ、3 ヒートシンク、
10 回路基板、11 接続部、
12 収容窓、13 回路基板側電極、
20 ガラス基板(透明基板)、21 貫通ビア、
22 ガラス基板側電極、23 位置決め穴、23A テーパ面、
31 発光部、31A 発光部側電極、31B 発光面、32 駆動素子、
40 光路変換器(支持部材)、41 レンズ部、42 反射部、
43 位置決めピン、43A テーパ面、43B 凹部、
50 光ファイバ

Claims (5)

  1. 光を透過可能な透明基板と、
    前記透明基板に搭載され、前記透明基板に向かって光を発光し若しくは前記透明基板を透過した光を受光する光電変換素子と、
    光ファイバを支持し、前記光電変換素子と前記光ファイバとの間の光路を前記透明基板とともに形成する支持部材と
    を備え、
    前記支持部材には、テーパ面を有する位置決めピンが形成されており、
    前記透明基板には、前記位置決めピンの前記テーパ面と同じ角度のテーパ面を有する非貫通の位置決め穴が形成されており、
    前記位置決めピンの前記テーパ面と前記位置決め穴の前記テーパ面とが接触した状態で、前記透明基板の前記位置決め穴に前記支持部材の前記位置決めピンが挿入されており、
    前記支持部材には、前記位置決めピンの根元の周りに凹部が形成されている
    ことを特徴とする光モジュール。
  2. 請求項1に記載の光モジュールであって、
    前記凹部の内側の側壁面は、前記位置決めピンの前記テーパ面の延長面になっている
    ことを特徴とする光モジュール。
  3. 請求項1又は2に記載の光モジュールであって、
    前記位置決め穴の前記テーパ面は、前記位置決め穴の開口部に形成されている
    ことを特徴とする光モジュール。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光モジュールであって、
    前記位置決め穴の前記テーパ面よりも開口側で面取り加工が施されている
    ことを特徴とする光モジュール。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光モジュールであって、
    前記位置決めピンは、円錐台形状に形成されている
    ことを特徴とする光モジュール。
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