JP6084909B2 - リング光変調器 - Google Patents
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Description
シリコン(Si)は、光通信に用いられる1.3μm帯や1.55μm帯の光信号に対して透明な媒質であり、高度なプロセス技術を利用した低損失かつ小型のシリコン細線導波路を形成可能である。これまでに、このような技術をベースとした各種光素子が提案・実証され、例えば光通信システムやサーバ内の高速インターコネクトへの利用が考えられている。
また、リング光変調器には、その共振波長を制御するために、例えば、リング導波路コアの上方に絶縁膜を挟んで設けた金属薄膜をヒータとして用いるもの、あるいは、n型にドーピングしたドープシリコン層をヒータとして用いるものなどがある。
まず、リング導波路コアの外側の離れた位置に、独立して、ドープシリコン層を設けると、リング導波路コアからの距離が遠く、また、リング導波路コアとドープシリコン層との間に熱伝導率の低い部分(例えばSiO2)が介在してしまう。このため、ヒータとしてのドープシリコン層からリング導波路コアまで熱が効率的に伝わらず、共振波長の波長制御効率が良くない。
そこで、n型若しくはp型にドーピングしたドープシリコン層、又は、金属化合物にしたシリサイド層をヒータとして用いる場合に、変調効率を低下させずに、共振波長の波長制御効率を向上させたい。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかるリング光変調器について、図1〜図8を参照しながら説明する。
本実施形態にかかるリング光変調器は、リング光共振器を利用した光変調器であって、その共振波長を制御するために、n型若しくはp型にドーピングしたドープシリコン層、又は、金属化合物にしたシリサイド層をヒータとして用いる、波長制御機構付きリング光変調器である。このようなリング光変調器は、小型で低消費電力な光変調器であるため、シリコン光集積素子に集積するのに適している。なお、リング光変調器を、リング共振器型光変調器、又は、シリコン(Si)リング光変調器ともいう。
ここで、リング導波路1は、図2、図3に示すように、シリコン層7のリブ部7Aであってp型ドーピング領域7AX及びn型ドーピング領域7AYを有するリング導波路コア1A(光導波路コア;シリコン導波路コア)を含む。なお、リング導波路コア1Aは、円周状の導波路コアである。また、リング導波路1は、円周状の光導波路である。
なお、このようにリング導波路1に近接してバス導波路2を設けたものは、光共振器として機能するため、リング光共振器ともいう。
ここでは、リング導波路コア1Aは、電流注入又は電圧印加が可能なp型ドーピング領域7AX及びn型ドーピング領域7AYを有する。そして、リング導波路コア1Aの中間位置でp型ドーピング領域7AXとn型ドーピング領域7AYが接してpn接合部7AZが形成されており、このpn接合部7AZに変調電気信号を供給することで、リング導波路コア1Aの屈折率を変化させて、バス導波路2の一方の側から入力された光を変調してバス導波路2の他方の側から変調光信号として出力するようになっている。なお、図2、図3では、pn接合部7AZの近傍に形成される空乏層を模様を付して示している。
本実施形態では、内周電極線路3及び外周電極線路4のそれぞれの両端部3X,3Y,4X,4Yに接続された金属電極端子8(83X,83Y,84X,84Y)を備える。なお、金属電極端子8には変調駆動回路5及びヒータ駆動回路6が接続されるため、金属電極端子8を回路接続用の金属電極端子ともいう。また、変調駆動回路5及びヒータ駆動回路6は、金属電極端子8を介して、内周電極線路3及び外周電極線路4に接続されている。そして、変調駆動回路5は、外周電極線路4の一端4Xに正の変調電気信号を供給し、外周電極線路4の一端4Xの反対側の内周電極線路3の他端3Yに負の変調電気信号を供給するようになっている。また、ヒータ駆動回路6は、外周電極線路4の他端4Yに正のヒータ電圧を印加し、内周電極線路3の一端3Xに負のヒータ電圧を印加するようになっている。
例えば、逆バイアス電圧を印加すると、リング光導波路1のリング導波路コア1Aに備えられるpn接合部7AZでは空乏層幅が拡大し、リング導波路コア1A内のキャリア密度が減少して屈折率が増大するため、共振ピーク波長は長波長側へシフトする。逆に、順バイアス電圧を印加すると、pn接合部7AZに自由キャリアが注入され、リング導波路コア1A内の屈折率が低下するため、共振ピーク波長は短波長側へシフトする。
このため、リング光変調器では、高効率な光変調を実現するために、入力される信号光波長に対して共振ピーク波長を整合させるのが好ましい。
このため、リング光変調器に共振波長を制御するための波長制御機構を設けて、その共振波長が信号光波長に整合するように共振波長を制御することになる。
このため、リング光変調器の共振波長を制御するための波長制御機構としてヒータを設け、リング導波路コア1Aの温度を変化させることによって、リング光導波路1の等価屈折率を変化させ、リング光変調器の共振波長を制御することが可能である。
しかしながら、ヒータにドープシリコン層又はシリサイド層を用いる場合に、これらを、リング導波路コアの外側の離れた位置に独立して設けると、リング導波路コアからの距離が遠く、また、リング導波路コアとの間に熱伝導率の低い部分(例えばSiO2)が介在してしまう。このため、リング導波路コアに熱が効率的に伝わらず、共振波長の波長制御効率が良くない。
そこで、図2、3に示すように、本実施形態では、上述のように、リング導波路コア1Aを構成するシリコン層7のリブ部7Aに対して内側及び外側のスラブ部7B,7Cに設けられたドープシリコン領域7BX,7CX又はシリサイド領域7BY,7CYを、リング光変調器に適用する波長制御機構としてのヒータ(ヒータ線路;波長制御用ヒータ線路)として用いるとともに、リング光変調器のリング導波路コア1Aへ変調電気信号を供給するための変調電極として用いるようにしている。
具体的には、シリコン基板上に、埋め込み酸化膜(BOX;buried oxide)層(SiO2層)9、シリコン(SOI;silicon on insulator)層7が形成されたSOI基板11を用い、SOI層(シリコン層)7を部分的にn型又はp型にドーピングし、エッチングしてパターニングすることで、リング導波路コア1A、内周電極線路3及び外周電極線路4、及び、これらを接続するチャネル部12が形成される。なお、SOI層7をエッチングしてパターニングすることで、バス導波路コアも形成される。そして、これらの周囲がクラッドとして機能するSiO2膜10(シリコン酸化膜;酸化膜;オーバークラッド酸化膜)によって覆われている。
つまり、SOI層7をエッチングして、例えば幅約500nm,高さ約250nmのリング状のリブ部7Aと、例えば厚さ約50nmのスラブ部7B,7Cが形成される。
そして、リング状のリブ部7Aの全周にわたって、リブ部7Aの一側の領域(ここでは内側領域)にp型不純物を低濃度ドーピングしてp型ドーピング領域7AX(p−型ドーピング領域;p−−Si領域)が形成され、他側の領域(ここでは外側領域)にn型不純物を低濃度ドーピングしてn型ドーピング領域7AY(n−型ドーピング領域;n−−Si領域)が形成される。これにより、p型ドーピング領域7AXとn型ドーピング領域7AYとが接合されたpn接合部7AZを備えるリブ部7Aが形成され、これがリング導波路コア1Aとなる。つまり、シリコン層7のリブ部7Aであってp型ドーピング領域7AX及びn型ドーピング領域7AYを有するリング導波路コア1Aが形成される。
また、リブ部7Aとその外側のスラブ部7Cの端部領域との間の領域(例えば幅約250nm)に、n型不純物を低濃度ドーピングしてn型ドーピング領域(n−型ドーピング領域;n−−Si領域)が形成され、リング導波路コア1Aと外周電極線路4とを接続するチャネル部12(外側チャネル部12Y)となる。
上述のように、内周電極線路3及び外周電極線路4は、それぞれ、リング導波路コア1Aと同一のSOI層7に形成されたドープシリコン領域7BX,7CX又はシリサイド領域7BY,7CYである。つまり、リング導波路コア1Aはヒータとして作用するリング導波路コア1Aと同一のSOI層7に形成されたドープシリコン領域7BX,7CX又はシリサイド領域7BY,7CYと熱伝導率の高いSiからなるチャネル部12XYを介して熱的に接続されている。このため、内周電極線路3及び外周電極線路4で発生した熱(ジュール熱)がリング導波路コア1Aに効率よく伝わり、より少ないヒータ電力でリング導波路コア1Aの温度を上昇させることが可能である。
そして、内周電極線路3及び外周電極線路4は、それぞれ、その全長(全線路長)にわたって抵抗が均一になっているのが好ましい。つまり、内周電極線路3及び外周電極線路4は、それぞれ、リング導波路コア1Aの円周方向に沿って、単位回転角当たりの電気抵抗(ヒータ抵抗;線路抵抗)が均一になっているのが好ましい。このように、内周電極線路3及び外周電極線路4における線路抵抗をそれぞれ均一にすることで(但し、内周電極線路3と外周電極線路4で線路抵抗は異なっていても良い)、リング光変調器の全周にわたって均一なヒータ発熱が得られ、高い波長制御効率が得られることになる。なお、内周電極線路3及び外周電極線路4における線路抵抗に大きな分布があると、線路抵抗が高い部分で局所的な発熱と温度上昇が生じるおそれがあり、この結果、波長制御効率が劣化するとともに、リング光変調器の信頼性に悪影響が生じるおそれがあるため、このように構成するのが好ましい。
なお、図5では、内周電極線路3及び外周電極線路4の抵抗(単位回転角当たりの線路抵抗)は、単位回転角で規格化してRで表し、内周電極線路3及び外周電極線路4の抵抗を、それぞれ、Rin及びRoutとしている。また、図5では、リング導波路コア1Aに備えられるpn接合部7AZの容量(単位回転角当たりのpn接合容量)も、同様に、単位回転角で規格化してCで表し、リング導波路コア1Aの円周方向の各部分についてのpn接合部7AZの容量を、それぞれ、C1、C2、C3、C4、C5(C1=C2=C3=C4=C5)としている。
この場合、図5に示す等価回路におけるC1−C5、即ち、各pn接合部(キャパシタ)にかかるON−OFF間電位差Vc1−Vc5は全てVsで等しくなる(Vc1=Vc2=Vc3=Vc4=Vc5=Vs)。
また、内周電極線路3及び外周電極線路4には、ヒータ電圧Vhに応じて、周方向にヒータ電流が流れる。そして、内周電極線路3及び外周電極線路4の各線路抵抗Rでジュール熱が発生する。つまり、内周電極線路3の線路抵抗Rinで均一なジュール熱が発生し、外周電極線路4の線路抵抗Routでジュール熱が発生する。これにより、リング導波路コア1Aの円周方向の全体を均一に温度制御することができる。
なお、このヒータ電圧Vhの制御範囲では、各pn接合部C1−C5にかかる電位差は常にマイナスの値であり、各pn接合部C1−C5に対する逆バイアス動作は保持される。但し、変調バイアスはVhによって変動する。
ところで、上述のように構成されるリング光変調器を駆動するために、外部駆動回路として、図7に示すように、外周電極線路4の一端4X、内周電極線路3の他端3Yに、低出力インピーダンスのRF変調ドライバ5(例えば変調レート25Gbps、1Vpp出力)を接続し、外周電極線路4の他端4Y、内周電極線路3の一端3Xに、高出力インピーダンスのDC電流ドライバ6を接続すれば良い。このように、内周電極線路3と外周電極線路4で、RF変調ドライバ5及びDC電流ドライバ6を、互いに逆に接続すれば良い。そして、内周電極線路3及び外周電極線路4のそれぞれの両端部3X,3Y,4X,4YにRF変調ドライバ5及びDC電流ドライバ6から与えられる電位はそれぞれ正負逆の差動構成になるようにすれば良い。また、DC直流ドライバ6の出力インピーダンスはRF変調ドライバ5の出力インピーダンスよりも大きくすれば良い。なお、RF変調ドライバ5を、高周波変調ドライバ、変調器駆動用の高周波ドライバ回路、又は、変調駆動回路ともいう。また、DC電流ドライバ6を、直流ドライバ、制御電流供給用の直流ドライバ回路、又は、ヒータ駆動回路ともいう。
このような駆動構成を採用することで、RF変調ドライバ5から出力された高周波の変調電気信号(変調信号)は、内周電極線路3及び外周電極線路4の逆端に接続されたDC電流ドライバ6のインピーダンスが高いため、そちら側には伝搬せず、効率的に各pn接合部C1−C5への電荷の出し入れを行ない、信号エネルギーを注入することが可能となる。一方、DC電流ドライバ6から出力されたヒータ電流は、内周電極線路3及び外周電極線路4のそれぞれを伝搬してジュール熱を発生させた後、RF変調ドライバ5にて終端される。
図8(A)は温度分布計算結果を示しており、この図8(A)に示すように、内周電極線路3及び外周電極線路4で発生したジュール熱によってリング導波路コア1A(7A)及びスラブ部7B,7Cの温度が局所的に上昇していることがわかる。
したがって、本実施形態にかかるリング光変調器によれば、n型若しくはp型にドーピングしたドープシリコン層、又は、金属化合物にしたシリサイド層をヒータとして用いる場合に、変調効率を低下させずに、共振波長の波長制御効率を向上させることができるという利点がある。
具体的には、図9に示すように、内周電極線路3及び外周電極線路4を設ける領域は、シリコン層7のエッチングを行なわずに、リング導波路コア1Aを構成するリブ部7Aと同じ厚さとし(例えば約250nm)、シリサイド化して、例えば厚膜のNiSi層7D,7E(シリサイド層)とし、さらに、その上に厚膜のNiSi層7D,7Eと同じ幅で例えば厚さ500nmのAl層13X,13Y(配線層;電極層;金属層)を形成すれば良い。ここでは、Al層を用いているが、これに限られるものではなく、例えば、配線として使うことができる金属材料(例えばタングステンや銅など)を用いても良い。この場合、シリコン層7のスラブ部7B,7Cはチャネル部12(12X,12Y)のみとなる。ここでは、内側チャネル部12Xは、シリコン層7のスラブ部7Bにp型不純物を高濃度ドーピングしたp型ドーピング領域(p+型ドーピング領域;p+−Si領域)としている。また、外側チャネル部12Yは、シリコン層7のスラブ部7Cにn型不純物を高濃度ドーピングしたn型ドーピング領域(n+型ドーピング領域;n+−Si領域)としている。なお、上述の実施形態のように、内側チャネル部12Xは、シリコン層7のスラブ部7Bにp型不純物を低濃度ドーピングしたp型ドーピング領域(p−型ドーピング領域;p−−Si領域)とし、外側チャネル部12Yは、シリコン層7のスラブ部7Cにn型不純物を低濃度ドーピングしたn型ドーピング領域(n−型ドーピング領域;n−−Si領域)としても良い。また、シリコン層7のスラブ部7B,7Cをシリコン(Si)スラブ層ともいう。このように、低抵抗なAl層13X,13YをNiSi層7D,7Eと並列な構成で挿入することで、内周電極線路3及び外周電極線路4の線路抵抗を大幅に低減することが可能となる。つまり、単位回転角当たりの線路抵抗を大幅に低減することが可能となる。
具体的には、例えば図11に示すように、内周電極線路3及び外周電極線路4の互いに逆側にあたる端部4X,3Yに、変調駆動回路5からの差動の変調波形(+Vs⇔0、−Vs⇔0)と、ヒータ駆動回路6からの差動のヒータ電圧(+Vh,−Vh)をそれぞれバイアスティー16で合成して印加すれば良い。なお、これに限られるものではなく、変調駆動回路5及びヒータ駆動回路6から変調電気信号及びヒータ電圧が供給されるように構成すれば良い。これにより、外周電極線路4の一端4Xに+Vs+Vh⇔+Vh、内周電極線路3の他端3Yに−Vs−Vh⇔−Vhの電位が与えられる。一方、外周電極線路4の他端4Y、及び、内周電極線路3の一端3Xは、終端抵抗15を介して、GND電位に接続し、終端すれば良い。
また、内周電極線路3及び外周電極線路4には、ヒータ電圧Vhに応じて、周方向にヒータ電流が流れる。そして、内周電極線路3及び外周電極線路4の各線路抵抗Rでジュール熱が発生する。つまり、内周電極線路3の線路抵抗Rinで均一なジュール熱が発生し、外周電極線路4の線路抵抗Routでジュール熱が発生する。これにより、リング導波路コア1Aの円周方向の全体を均一に温度制御することができる。
しかしながら、本第3変形例の構成の場合、図12(A)に示すように、各pn接合部C1−C5にかかる電圧を見ると、最少発熱条件Vh=−Vs/2においては変調信号OFF時の電位差Voffとして+Vs/2が与えられてしまう。ここで、Vs=1.0Vとすると1.0/2=0.5Vの順方向電圧が各pn接合部C1−C5にかかり、pn接合のビルトイン電圧に近づくことになる。この結果、シリコン層7に形成されたpn接合部7AZに自由キャリアの注入が起こり、変調速度を制限してしまうおそれがある。なお、一般に、シリコン層7に形成されたpn接合部7AZで生じる屈折率変化の応答速度は、順方向電圧印加によるキャリア注入動作よりも、逆方向電圧印加によるキャリア引抜動作の方が高速である。このように、ヒータ駆動条件の下限付近でpn接合部7AZを順方向バイアスで動作させる領域があり、変調特性の劣化が生じるおそれがある。このような点を考慮すると、上述の実施形態のように構成するのが好ましい。
また、例えば、図13に示すように、外周電極線路4の一端4Xに正の変調電気信号(+Vs⇔0)が供給され、内周電極線路3の一端3Xに負の変調電気信号(−Vs⇔0)が供給され、外周電極線路4の他端4Yに正のヒータ電圧(+Vh)が印加され、内周電極線路3の他端3Yに負のヒータ電圧(−Vh)が印加されるようにしても良い。つまり、変調駆動回路5は、外周電極線路4の一端4Xに正の変調電気信号を供給し、外周電極線路4の一端4Xと同じ側の内周電極線路3の一端3Xに負の変調電気信号を供給し、ヒータ駆動回路6は、外周電極線路4の他端4Yに正のヒータ電圧を印加し、内周電極線路3の他端3Yに負のヒータ電圧を印加するようにしても良い。なお、これを第4変形例という。
ところで、各pn接合部C1−C5にかかるヒータ電圧は、変調時に各pn接合部C1−C5にかかるバイアス電圧として作用する。また、内周電極線路3及び外周電極線路4の端部に印加されたヒータ電圧は、各pn接合部C1−C5に到達するまでに内周電極線路3及び外周電極線路4の抵抗によって電圧降下が生じる。そして、本第4変形例の構成のように、内周電極線路3及び外周電極線路4の同じ側の端部にヒータ電圧を印加した場合、内周電極線路3及び外周電極線路4の抵抗による電圧降下が内周電極線路3と外周電極線路4でキャンセルアウトしないため、各pn接合部C1−C5にかかるヒータ電圧に分布が生じてしまう。
また、例えば、図15に示すように、外周電極線路4の一端4Xに正の変調電気信号(+Vs⇔0)が供給され、内周電極線路3の他端3Yが接地され、外周電極線路4の他端4Yに正のヒータ電圧(+Vh)が印加され、内周電極線路3の一端3Xに負のヒータ電圧(−Vh)が印加されるようにしても良い。つまり、変調駆動回路5は、外周電極線路4の一端4Xに正の変調電気信号を供給し、外周電極線路4の一端4Xの反対側の内周電極線路3の他端3Yを接地し、ヒータ駆動回路6は、外周電極線路4の他端4Yに正のヒータ電圧を印加し、内周電極線路3の一端3Xに負のヒータ電圧を印加するようにしても良い。なお、これを第5変形例という。
この場合でも、各pn接合部C1−C5において逆バイアス領域における均一なバイアス電圧での動作が可能である。また、内周電極線路3及び外周電極線路4において均一な発熱が得られ、上述の実施形態の場合と同等の波長制御性が得られる。
[第2実施形態]
まず、第2実施形態にかかるリング光変調器について、図16〜図18を参照しながら説明する。
つまり、リング光変調器は、上述の第1実施形態のように、モニタ導波路を備えないものとしても良いし、本実施形態のように、モニタ導波路20を備えるものとしても良い。また、リング光変調器は、上述の第1実施形態のように、内周電極線路3及び外周電極線路4をそれぞれ単一の電極線路としても良いし、本実施形態のように、内周電極線路3及び外周電極線路4をそれぞれ複数の電極線路30A,30B,40A,40B(セグメント)としても良い。
したがって、本実施形態にかかるリング光変調器によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、n型若しくはp型にドーピングしたドープシリコン層、又は、金属化合物にしたシリサイド層をヒータとして用いる場合に、変調効率を低下させずに、共振波長の波長制御効率を向上させることができるという利点がある。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び各変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
(付記1)
シリコン層のリブ部であってp型ドーピング領域及びn型ドーピング領域を有するリング導波路コアを含むリング導波路と、
前記リング導波路に光学的に接続されたバス導波路と、
前記リング導波路コアの内周に沿って設けられ、前記シリコン層の前記リブ部に対して内側のスラブ部に設けられた内側ドープシリコン領域又は内側シリサイド領域を含み、変調電極及びヒータ線路として機能する内周電極線路と、
前記リング導波路コアの外周に沿って設けられ、前記シリコン層の前記リブ部に対して外側のスラブ部に設けられた外側ドープシリコン領域又は外側シリサイド領域を含み、変調電極及びヒータ線路として機能する外周電極線路と、
変調電気信号を供給する変調駆動回路と、
共振波長を制御するためのヒータ電流を供給するヒータ駆動回路とを備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に接続されており、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に変調電気信号を供給するとともに周方向に沿ってヒータ電流を流すことを特徴とするリング光変調器。
前記内周電極線路及び前記外周電極線路のそれぞれの両端部に接続された金属電極端子を備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記金属電極端子を介して、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に接続されていることを特徴とする、付記1に記載のリング光変調器。
前記内周電極線路は、前記金属電極端子が接続される領域が前記内側シリサイド領域であり、前記金属電極端子が接続される領域以外の領域が前記内側ドープシリコン領域であり、
前記外周電極線路は、前記金属電極端子が接続される領域が前記外側シリサイド領域であり、前記金属電極端子が接続される領域以外の領域が前記外側ドープシリコン領域であることを特徴とする、付記2に記載のリング光変調器。
前記内周電極線路は、全長にわたって設けられた前記内側シリサイド領域、及び、前記内側シリサイド領域上に全長にわたって設けられた内側金属層であり、
前記外周電極線路は、全長にわたって設けられた前記外側シリサイド領域、及び、前記外側シリサイド領域上に全長にわたって設けられた外側金属層であることを特徴とする、付記2に記載のリング光変調器。
前記内周電極線路は、全長にわたって設けられた前記内側シリサイド領域であり、
前記外周電極線路は、全長にわたって設けられた前記外側シリサイド領域であり、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路上に、それぞれ、全長にわたって設けられた内周金属電極及び外周金属電極を備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周金属電極及び前記外周金属電極のそれぞれの両端部に接続されていることを特徴とする、付記1に記載のリング光変調器。
前記内周電極線路と前記外周電極線路は、同一中心角にわたって設けられており、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路は、それぞれ、その全長にわたって抵抗が均一であることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載のリング光変調器。
(付記7)
前記内周電極線路と前記外周電極線路は、抵抗が同一であることを特徴とする、付記6に記載のリング光変調器。
前記変調駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給し、前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部に負の変調電気信号を供給し、
前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第3端部に正のヒータ電圧を印加し、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第4端部に負のヒータ電圧を印加することを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給するとともに正のヒータ電圧を印加し、前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部に負の変調電気信号を供給するとともに負のヒータ電圧を印加し、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第3端部並びに前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第4端部にそれぞれ終端抵抗が接続されていることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。
前記変調駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給し、前記第1端部と同じ側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部に負の変調電気信号を供給し、
前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第3端部に正のヒータ電圧を印加し、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第4端部に負のヒータ電圧を印加することを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。
前記変調駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給し、
前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部が接地され、
前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第3端部に負のヒータ電圧を印加し、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第4端部に正のヒータ電圧を印加することを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。
前記リング導波路に光学的に接続されたモニタ導波路を備え、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路として、前記リング導波路コアの第1領域の内周及び外周のそれぞれに沿って設けられた第1内周電極線路及び第1外周電極線路と、前記リング導波路コアの第2領域の内周及び外周のそれぞれに沿って設けられた第2内周電極線路及び第2外周電極線路とを備えることを特徴とする、付記1〜11のいずれか1項に記載のリング光変調器。
1A リング導波路コア
2 バス導波路
3 内周電極線路
3X,3Y 内周電極線路の端部
4X,4Y 外周電極線路の端部
4 外周電極線路
5 変調駆動回路
6 ヒータ駆動回路
7 シリコン層(SOI層)
7A リブ部
7AX p型ドーピング領域
7AY n型ドーピング領域
7AZ pn接合部
7B スラブ部
7BX ドープシリコン領域
7BY シリサイド領域
7C スラブ部
7CX ドープシリコン領域
7CY シリサイド領域
7D 内側シリサイド領域
7E 外側シリサイド領域
8,83X,83Y,84X,84Y 金属電極端子
9 埋め込み酸化膜(BOX)層
10 SiO2膜
11 SOI基板
12 チャネル部
12X 内側チャネル部
12Y 外側チャネル部
13X 内側金属層
13Y 外側金属層
14X 内周金属電極
14Y 外周金属電極
15 終端抵抗
16 バイアスティー
20 モニタ導波路
30A 第1内周電極線路
30AX,30AY 第1内周電極線路の端部
30B 第2内周電極線路
30BX,30BY 第2内周電極線路の端部
40A 第1外周電極線路
40AX,40AY 第1外周電極線路の端部
40B 第2外周電極線路
40BX,40BY 第2外周電極線路の端部
830AX,830AY,840AX,840AY,830BX,830BY,840BX,840BY 金属電極端子
Claims (11)
- シリコン層のリブ部であってp型ドーピング領域及びn型ドーピング領域を有するリング導波路コアを含むリング導波路と、
前記リング導波路に光学的に接続されたバス導波路と、
前記リング導波路コアの内周に沿って設けられ、前記シリコン層の前記リブ部に対して内側のスラブ部に設けられた内側ドープシリコン領域又は内側シリサイド領域を含み、変調電極及びヒータ線路として機能する内周電極線路と、
前記リング導波路コアの外周に沿って設けられ、前記シリコン層の前記リブ部に対して外側のスラブ部に設けられた外側ドープシリコン領域又は外側シリサイド領域を含み、変調電極及びヒータ線路として機能する外周電極線路と、
変調電気信号を供給する変調駆動回路と、
共振波長を制御するためのヒータ電流を供給するヒータ駆動回路とを備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に接続されており、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に変調電気信号を供給するとともに周方向に沿ってヒータ電流を流すことを特徴とするリング光変調器。 - 前記内周電極線路及び前記外周電極線路のそれぞれの両端部に接続された金属電極端子を備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記金属電極端子を介して、前記内周電極線路及び前記外周電極線路に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のリング光変調器。 - 前記内周電極線路は、前記金属電極端子が接続される領域が前記内側シリサイド領域であり、前記金属電極端子が接続される領域以外の領域が前記内側ドープシリコン領域であり、
前記外周電極線路は、前記金属電極端子が接続される領域が前記外側シリサイド領域であり、前記金属電極端子が接続される領域以外の領域が前記外側ドープシリコン領域であることを特徴とする、請求項2に記載のリング光変調器。 - 前記内周電極線路は、全長にわたって設けられた前記内側シリサイド領域、及び、前記内側シリサイド領域上に全長にわたって設けられた内側金属層であり、
前記外周電極線路は、全長にわたって設けられた前記外側シリサイド領域、及び、前記外側シリサイド領域上に全長にわたって設けられた外側金属層であることを特徴とする、請求項2に記載のリング光変調器。 - 前記内周電極線路は、全長にわたって設けられた前記内側シリサイド領域であり、
前記外周電極線路は、全長にわたって設けられた前記外側シリサイド領域であり、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路上に、それぞれ、全長にわたって設けられた内周金属電極及び外周金属電極を備え、
前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周金属電極及び前記外周金属電極のそれぞれの両端部に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のリング光変調器。 - 前記内周電極線路と前記外周電極線路は、同一中心角にわたって設けられており、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路は、それぞれ、その全長にわたって抵抗が均一であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリング光変調器。 - 前記内周電極線路と前記外周電極線路は、抵抗が同一であることを特徴とする、請求項6に記載のリング光変調器。
- 前記変調駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給し、前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部に負の変調電気信号を供給し、
前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第3端部に正のヒータ電圧を印加し、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第4端部に負のヒータ電圧を印加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。 - 前記変調駆動回路及び前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給するとともに正のヒータ電圧を印加し、前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部に負の変調電気信号を供給するとともに負のヒータ電圧を印加し、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第3端部並びに前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第4端部にそれぞれ終端抵抗が接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。 - 前記変調駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の第1端部に正の変調電気信号を供給し、
前記第1端部の反対側の前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の第2端部が接地され、
前記ヒータ駆動回路は、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の他方の前記第2端部の反対側の第3端部に負のヒータ電圧を印加し、前記内周電極線路及び前記外周電極線路の一方の前記第1端部の反対側の第4端部に正のヒータ電圧を印加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリング光変調器。 - 前記リング導波路に光学的に接続されたモニタ導波路を備え、
前記内周電極線路及び前記外周電極線路として、前記リング導波路コアの第1領域の内周及び外周のそれぞれに沿って設けられた第1内周電極線路及び第1外周電極線路と、前記リング導波路コアの第2領域の内周及び外周のそれぞれに沿って設けられた第2内周電極線路及び第2外周電極線路とを備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリング光変調器。
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