JP6083528B2 - イオン抽出装置及びイオン抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン抽出装置及びイオン抽出方法に係り、特に、複数の金属元素を含む液体(例えば海水など)から特定のイオン種を高純度で選別し、効率良く収集するイオン抽出装置及びイオン抽出方法に関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車などの急速な市場拡大に伴い、高エネルギー密度の二次電池の需要が高まっている。二次電池としては、特に、リチウムイオン二次電池やマグネシウムイオン二次電池などの開発が進められている。
このような二次電池を普及させていくためには、大量普及のために必要な二次電池材料を確保することが必要である。海水中には、リチウムやマグネシウムなどが含まれており、これらを効率的に収集する技術の開発が求められている。
一方、特許文献1には、真空蒸留精製法によって、原料マグネシウムから純マグネシウムを製造する方法が開示されている。この方法では、原料るつぼ内に原料マグネシウムとして市販金属マグネシウムを収容し、温度600℃以上、真空度1×10−2Torr以下で真空蒸留することにより、蒸発させたマグネシウムを原料るつぼに連接する回収鋳型に回収してインゴットとし、高純度の金属マグネシウムを得るようにしている。
特開平10−158753号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、多くの熱エネルギーを必要とするため回収効率が悪く、また、不純物を多く含むため回収物の品質もバラツキが多いという問題点がある。また、原料としてマグネシウム合金スクラップ材を用いることが前提であり、海水などの金属含有液体から特定のイオン種を選別し、多種類を同時に抽出することはできない。
また、特定の物質を抽出する方法として、熱還元法、電解法、真空昇華法なども知られているが、特許文献1に開示された方法と同様に、金属含有液体から複数のイオン種を同時に効率良く収集することは困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、金属含有液体(例えば海水など)から特定のイオン種を効率良く、かつ高純度で、多種類を同時に抽出することができるイオン抽出装置及びイオン抽出方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るイオン抽出装置は、内部圧力が大気圧よりも低い第1圧力に設定された第1真空槽と、内部圧力が第1圧力よりも低い第2圧力に設定された第2真空槽と、第1真空槽に設置され、複数の金属元素を含む液体を収容する蒸発用るつぼと、蒸発用るつぼ内に収容された液体を加熱して蒸気流を発生させる加熱手段と、第1真空槽と第2真空槽を互いに連通し、蒸気流を第2真空槽に向かって噴射するノズルと、第2真空槽に設置され、ノズルから噴射された蒸気流に対して光を照射して複数の金属元素を光イオン化させる光照射手段と、第2真空槽に設置され、ノズルから噴射された蒸気流の流れを挟むようにして互いに対向して配置された一対の電極からなり、両電極間に電圧が印加されることによって蒸気流の流れと交差する方向の電場を形成し、光照射手段によって光イオン化された複数のイオン種を互いに異なる方向に分散させる正電極及び負電極と、第2真空槽に設置され、電場によって互いに異なる方向に分散した複数のイオン種を析出させる析出部材と、を備える。
複数の金属元素を含む液体としては、リチウム、マグネシウム、及びマグネシウムの少なくともいずれかの金属元素を含む液体であることが好ましく、これらの金属元素をすべて含む海水であることがより好ましい。
また、本発明の一態様において、光照射手段は、蒸気流に対してEUV光又はエキシマレーザー光を照射することが好ましい。
また、本発明の一態様において、第1真空槽に接続され、第1真空槽内を真空排気する第1排気手段と、第2真空槽に接続され、第2真空槽内を真空排気する第2排気手段と、第1真空槽の内部圧力が第2真空槽の内部圧力よりも高くなるように第1排気手段及び第2排気手段を制御する圧力制御手段と、を更に備えることが好ましい。
また、本発明の一態様において、加熱手段による加熱温度を制御する加熱制御手段を更に備えることが好ましい。
また、本発明の一態様において、蒸発用るつぼ内に残留した残留物を排出する排出手段を更に備えることが好ましい。
また、本発明の一態様において、蒸発用るつぼの内部に収容された液体に振動を与える加振手段を更に備えることが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の他の態様に係るイオン抽出方法は、第1真空槽の内部圧力が大気圧よりも低い第1圧力に設定され、かつ第2真空槽の内部圧力が第1圧力よりも低い第2圧力に設定された状態において、第1真空槽に設置された蒸発用るつぼ内に収容された複数の金属元素を含む液体を加熱して蒸気流を発生させる工程と、第1真空槽と第2真空槽を互いに連通するノズルに蒸気流を導入して、ノズルから第2真空槽に向かって噴射する工程と、ノズルから噴射された蒸気流に対して光を照射して複数の金属元素を光イオン化させる工程と、ノズルから噴射された蒸気流の流れを挟むようにして互いに対向して配置された一対の電極からなる正電極及び負電極の間に電圧を印加することによって蒸気流の流れと交差する方向の電場を形成し、光イオン化された複数のイオン種を互いに異なる方向に分散させる工程と、電場によって互いに異なる方向に分散した複数のイオン種を析出部材に析出させる工程と、を備える。
本発明によれば、第1真空槽において蒸発用るつぼ内に収容された金属含有液体(複数の金属元素を含む液体)が気化した蒸気流は、ノズルによって高速に加速された状態で第2真空槽内に導入され、蒸気流に含まれる複数の金属元素は光イオン化される。そして、光イオン化された複数のイオン種は、正電極及び負電極の間に形成される電場によってイオン種毎に互いに異なる方向に分散され、析出部材に析出される。これにより、金属含有液体に含まれる特定のイオン種を効率良く、かつ高純度で、多種類を同時に抽出することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るイオン抽出装置を示す概略図 図1のイオン抽出装置の制御系を示すブロック図 陽イオンの到達位置を説明するための図
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るイオン抽出装置を示す概略図である。図1に示すように、イオン抽出装置10は、2つの真空槽として第1真空槽12及び第2真空槽14を備えており、第1真空槽12と第2真空槽14との間は仕切壁16で区画されている。
第1真空槽12は、その内部空間を真空状態で維持可能な処理容器であり、後述する蒸発用るつぼ18を設置するための内部空間を有する筒状体からなる。
第1真空槽12には、第1排気口20が設けられる。第1排気口20は排気パイプ22を介して第1排気装置24に接続される。第1排気装置24は、第1真空槽12内を真空排気する排気手段であり、第1真空槽12の内部空間を真空状態として所望の圧力(第1圧力)に減圧する真空ポンプを備える。真空ポンプとしては、ロータリーポンプ、スクロールポンプなど各種形式のポンプを採用することができる。また、第1排気装置24は、第1真空槽12を真空排気することにより、蒸発用るつぼ18内に収容される金属含有液体(複数の金属元素を含む液体)の加熱時に第1真空槽12の内壁面の焼き付きや酸化を防止する手段としても機能する。本実施形態では、第1排気装置24は、制御部60(図2参照)による制御に従って、第2真空槽14の内部圧力よりも第1真空槽12の内部圧力が高くなるように減圧を行う。例えば、第1真空槽12の内部空間は10−3Torr(約10−1Pa)程度の真空度に保持される。
第1真空槽12内には、上部が開放された上部開口部18aを有する蒸発用るつぼ18が設置される。蒸発用るつぼ18は、例えば海水などの金属含有液体を収容可能に構成された容器である。蒸発用るつぼ18の構成材料としては、例えばタンタル、チタンなどを採用することができる。
蒸発用るつぼ18には、本発明の加熱手段としてのヒータ26が設けられる。ヒータ26は、蒸発用るつぼ18の胴部に配置されており、蒸発用るつぼ18内に収容される金属含有液体を加熱して蒸気流を発生させる。また、ヒータ26は、蒸発用るつぼ18の上方に配置されたノズル28の加熱も行う。本実施形態では、制御部60(図2参照)によって、ヒータ26による加熱温度が600℃程度に保持・制御される。
蒸発用るつぼ18には、金属含有液体を供給するための液体管路としての供給管30の一端が接続される。供給管30の他端は、金属含有液体が貯留される液体タンク(不図示)に接続される。供給管30には、供給バルブ32及び供給ポンプ(不図示)が介装される。供給バルブ32は、供給管30を連通/遮断可能な開閉弁によって構成される。本実施形態では、供給バルブ32として、制御部60から出力される制御信号(電流値)に比例して流量を無段階に制御可能な流量制御弁(電磁比例弁)が好ましく採用される。供給バルブ32を流量制御弁で構成することにより、全開又は全閉のみ可能な開閉弁が用いられる場合に比べて、蒸発用るつぼ18に対する金属含有液体の供給量を高精度に制御することが可能となる。
また、蒸発用るつぼ18には、残留物を取り出すための排出管34の一端が接続される。排出管34は、本発明の排出手段を構成する要素の1つであり、その他端は排出タンク(不図示)に接続される。排出管34には、排出バルブ36及び排出ポンプ(不図示)が介装される。排出バルブ36は、排出管34を連通/遮断可能な開閉弁によって構成される。蒸発用るつぼ18に溜まった残留物を取り出す際には、排出バルブ36を開いた状態にして、排出ポンプによって蒸発用るつぼ18内の残留物を吸引することにより、排出管34を介して排出タンクに排出することができる。なお、蒸発用るつぼ18内の残留物を掻き出し手段(不図示)によって蒸発用るつぼ18内から取り除くようにしてもよい。掻き出し手段としては、例えば、蒸発用るつぼ18内にスクリューなどの回転部材を配置する構成などを採用することができる。
蒸発用るつぼ18は、その内部に収容された金属含有液体に振動を与える加振機構38を備えることが好ましい。加振機構38は、本発明の加振手段に相当するものであり、蒸発用るつぼ18の底部に好ましく設置される。加振機構38としては、蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体に含まれるカルシウムなどの付着・固化を防止する効果のあるものであればよく、例えば、超音波加振機構を好ましく採用することができる。超音波加振機構によれば、超音波を与えることにより、蒸発用るつぼ18内の金属含有液体を均一に分散させることができ、カルシウムなどの残留物の付着・固化を防ぐことが可能となる。
第2真空槽14は、その内部空間を真空状態で維持可能な処理容器であり、後述する一対の電極からなる正電極40及び負電極42を設置するための内部空間を有する筒状体からなる。
第2真空槽14には、第2排気口44が設けられる。第2排気口44は排気パイプ46を介して第2排気装置48に接続される。第2排気装置48は、第2真空槽14内を真空排気する排気手段であり、第2真空槽14の内部空間を真空状態として所望の圧力(第2圧力)に減圧する真空ポンプを備える。真空ポンプとしては、ロータリーポンプ、スクロールポンプなど各種形式のポンプを採用することができる。また、第2排気装置48は、第2真空槽14内において生じる不要な気体元素を外部に排気する手段として機能する。本実施形態では、第2排気装置48は、制御部60(図2参照)による制御に従って、第1真空槽12の内部圧力よりも第2真空槽14の内部圧力が低くなるように減圧を行う。例えば、第2真空槽14の内部空間は10−4Torr(約10−2Pa)程度の真空度に保持される。
ノズル28は、第1真空槽12と第2真空槽14の間に介在して配置される。ノズル28は、第1真空槽12の内部空間と第2真空槽14の内部空間とを相互に連通し、これら内部空間の間に生じる圧力差を利用して、第1真空槽12において蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体が気化した蒸気流を高速(数十m/sec)に加速した状態で第2真空槽14に導入する蒸気導入手段として機能する。
ノズル28は、第1真空槽12の内部空間と第2真空槽14の内部空間を相互に連通するノズル通路28cを備える。ノズル通路28cは、第1真空槽12から第2真空槽14に向かって通路断面積が次第に狭くなる先細り形状(テーパ状)に形成されており、第1真空槽12側に開口する導入口28aを有するとともに、第2真空槽14側に開口する噴射口28bを有する。
導入口28aは、蒸発用るつぼ18の上部開口部18aに対面する位置であって互いに近接する位置に設けられる。これにより、蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体が気化した蒸気流は導入口28aに効率的に導入される。
噴射口28bは、第2真空槽14の内部空間における底部中央部であって、正電極40及び負電極42の間の中間位置に設けられる。噴射口28bの開口径(直径)は1mm以下に好ましく構成される。このような微小な開口径を有する噴射口28bによれば、噴射口28bから放射状に拡散することなく一方向(すなわち、図1において鉛直方向)に向かって直線状に蒸気流を噴射することができる。これにより、蒸気流の流れを挟むようにして正電極40及び負電極42が互いに対向して配置されるので、後述するように、正電極40及び負電極42の間に形成される電場によって偏向されるイオン種の到達位置を高精度に制御することが可能となる。
第2真空槽14内には、EUV光(Extreme Ultraviolet:極端紫外光;波長:13〜20nm)を射出する照明光学系50が設置される。照明光学系50は、図2に示す光源62(EUV光源)で発生したEUV光をノズル28の噴射口28b付近に導くものであり、本発明の光照射手段に相当し、レンズや反射ミラーなどを含んで構成される。なお、光源62は、第2真空槽14内において任意の位置に設置される。噴射口28bから噴射した蒸気流に対してEUV光が照射されると、蒸気流に含まれる複数の金属元素(リチウムやマグネシウムなどの金属元素からなる中性粒子)は光イオン化される。なお、本実施形態では、EUV光を用いて蒸気流に含まれる複数の金属元素を光イオン化しているが、これに限らず、例えば、エキシマレーザー(波長100nm程度)を用いて蒸気流に含まれる複数の金属元素を光イオン化してもよい。この場合、EUV光源の代わりに、エキシマレーザー光源が設けられる。
照明光学系50は、噴射口28bから噴射した蒸気流に対して互いに波長が異なる複数の光を同時又は選択的に照射する構成としてもよい。この構成によれば、蒸気流に含まれる複数の金属元素を選択的に光イオン化することが可能となる。
正電極40及び負電極42は、第2真空槽14内において所定の間隔をあけて互いに平行となるように対向配置された一対の対向電極からなる。正電極40及び負電極42は、それぞれ、ノズル28の噴射口28bから噴射される蒸気流の噴射方向(図1において鉛直方向)に対して略平行な状態で配置された平板状の電極板により構成される。正電極40、負電極42は、電源52の正極側、負極側にそれぞれ接続され、正電極40と負電極42との間に電圧が印加される。これにより、正電極40と負電極42との間には、ノズル28の噴射口28bから噴射される蒸気流の噴射方向に交差する方向の電場(電界)が形成される。すなわち、正電極40と負電極42との間に挟まれた空間部は、EUV光によって光イオン化された複数のイオン種の進行方向を偏向させる(すなわち、イオン種の軌道を曲げる)偏向空間となる。
負電極42の表面(正電極40に対向する面)には、負電極42側に向かって偏向した複数のイオン種(陽イオン)を析出させるシート状の析出部材からなる抽出板(析出板)54が設けられる。抽出板54の構成材料としては、正電極40と負電極42との間に形成される電場に影響を与えない(電場を歪めない)ようにするために、ガラス材あるいはセラミック材が好ましく用いられる。
なお、図示は省略するが、抽出板54は、負電極42側だけでなく正電極40側にも設けられてもよい。この場合、負電極42側及び正電極40側にそれぞれ偏向したイオン種を抽出板54で抽出することが可能となる。
次に、イオン抽出装置10の制御系について説明する。図2は、本実施形態のイオン抽出装置の制御系を示すブロック図である。図2に示すように、イオン抽出装置10は、上述した各部の動作を制御するための制御手段としての制御部60を備えている。すなわち、制御部60には、ヒータ26、光源62、電源52、供給バルブ32、排出バルブ36、第1排気装置24、第2排気装置48が接続されており、ヒータ26の加熱温度の制御、各バルブ32、36の開閉制御、光源62や電源52のON/OFF制御、各排気装置24、48における真空ポンプの駆動制御などを行う。
また、制御部60には、記憶部64、操作部66、表示部68が接続されている。記憶部64は、種々の情報を記憶しておくためのものであり、イオン抽出装置10の各部の動作制御を行うためのプログラムが格納されたROMや、演算処理の作業領域となるRAMや、各種データを記憶する記憶手段としての不揮発性のデータメモリ(EEPROM)などを備えている。操作部66は、各種入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、各種ボタンなどで構成される。表示部68は、イオン抽出装置10の各部の動作状況や各種設定情報を表示するためのものであり、モニタ、表示ランプなどで構成される。
次に、本実施形態のイオン抽出装置10の作用について説明する。なお、特に断らない限り、各部の動作は制御部60によって制御されるものとする。
まず、第1排気装置24によって第1真空槽12の内部空間を真空状態にするとともに、第2排気装置48によって第2真空槽14の内部空間を真空状態にする。このとき、第1真空槽12の内部圧力よりも第2真空槽14の内部圧力が低くなるようにする。本例では、第1真空槽12の内部空間は10−3Torr(約10−1Pa)程度の真空度に保持され、かつ第2真空槽14の内部空間は10−4Torr(約10−2Pa)程度の真空度に保持される。
次に、蒸発用るつぼ18内に金属含有液体が収容された状態においてヒータ26による加熱を行う。このとき、ヒータ26の加熱温度は600℃程度であることが好ましい。カルシウムの融点は860℃程度であり、ヒータ26の加熱温度を600℃程度とすることによって蒸発るつぼ18内にカルシウムを残留させることが可能となる。これにより、抽出したい所望のイオン種(リチウムイオンやマグネシウムイオン等)と共にカルシウムイオンが同時に抽出されることを防ぐことができる。
また、蒸発用るつぼ18内に残留した粉末残留物(主にカルシウム)を取り除くために、定期的に供給バルブ32を閉じて、排出バルブ36を開いた状態にして、排出管34を介して排出タンクに排出することが好ましい。
また、蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体には、加振機構38によって常時振動を与えながら、ヒータ26で加熱を行うことが好ましい。これにより、蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体に含まれるカルシウムなどの付着・固化が効果的に防止される。
ヒータ26による加熱が行われると、蒸発用るつぼ18内に収容される金属含有液体が蒸発して気化する。このとき、第1真空槽12の内部圧力よりも第2真空槽14の内部圧力が低くなるように圧力差が設けられているので、金属含有液体が気化した蒸気流は、蒸発用るつぼ18の上部開口部18aに対面する位置に設けられるノズル28の導入口28aに向かって上昇する。そして、その蒸気流は、導入口28aからノズル通路28cを通って噴射口28bから第2真空槽14の内部空間に向かって高速(数十m/sec)で噴射される。
なお、ヒータ26による加熱温度は制御部60により制御可能に構成されるので、ヒータ26による加熱温度を適宜調整することにより、蒸気にする原子種(金属元素)を選択することが可能となる。真空下では、マグネシウムの沸点は1091℃から約428℃となり、リチウムの沸点は1342℃から約524℃となるので、例えば、ヒータ26による加熱温度を500℃とした場合にはマグネシウムのみが蒸気となり、600℃とした場合にはマグネシウム及びリチウムが蒸気となる。
また、ヒータ26による加熱が行われている間は、蒸発用るつぼ18内に収容される金属含有液体の液量が一定に維持されるように、供給バルブ32を常時又は間欠的に開いて蒸発用るつぼ18に金属含有液体を供給することが好ましい。
上記のようにしてノズル28の噴射口28bから高速で噴射された蒸気流には、照明光学系50によってEUV光が照射される。これにより、蒸気流に含まれる複数の金属元素(リチウムやマグネシウムなどの金属元素からなる中性粒子)は光イオン化される。
なお、蒸気流に対してEUV光を照射する際に、ノズル28の噴射口28bにEUV光が照射されると、多量の光電子が出てしまい、光イオン化されたイオン種に悪影響を与える可能性がある。そこで、このような悪影響を防止するため、EUV光の照射方向は、図1に示すように、蒸気流の進行方向に対して直交する方向(すなわち、図1において水平方向)であることが好ましい。また、より好ましいEUV光の照射方向としては、図示は省略するが、蒸気流の進行方向に対して直交する方向であって正電極40と負電極42が並設される方向に直交する方向(すなわち、図1において紙面前後方向)である。この照射方向によれば、ノズル28の噴射口28bだけでなく正電極40及び負電極42にもEUV光が照射されることがないので、多量の光電子の発生に伴う悪影響をより効果的に防止することができる。
また、ヒータ26による加熱が行われている間、すなわち、ノズル28の噴射口28bから蒸気流が噴射されるときには、電源52から印加される電圧によって正電極40及び負電極42の間には電場が形成されている。このため、EUV光によって光イオン化された複数のイオン種は、帯電の向きにより進行方向が正電極40側又は負電極42側に偏向される。なお、帯電の向きとは、選別イオン種がプラスに帯電するかマイナスに帯電するかを意味する。つまり、マイナスに帯電している陰イオンは正電極40側に偏向され、プラスに帯電している陽イオンは負電極42側に偏向される。
このとき、光イオン化された複数のイオン種が電場から受けるクーロン力はイオン種毎に異なるので、負電極42側に偏向された陽イオンはイオン種毎に異なる方向に分散させられる。そして、負電極42側に偏向した陽イオンは、負電極42側に設けられた抽出板54の表面(正電極40に対向する面)に対してイオン種毎に互いに異なる位置に到達する。
ここで、電場E[V/m]と陽イオンの到達位置(垂直方向の移動距離)X[m]との関係について図3を参照して説明する。図3に示すように、ノズル28の噴射口28bから噴射される蒸気流の流速(陽イオンの速度)をV[m/s]、陽イオンの電荷をQ[C]、質量をM[g]、陽イオンの偏向距離(水平方向の移動距離)をL[m]としたとき、次式の関係が成り立つ。
X=V×{2×M×L/(Q×E)}1/2 ・・・(1)
例えば、電場E=0.01[V/m]、流速V=10[m/s]、陽イオンの偏向距離L=50[mm]としたとき、マグネシウムイオン(Mg2+)の場合は到達位置X=16[mm]となる。また、ナトリウムイオン(Na)の場合は到達位置X=22[mm]となる。また、リチウムイオン(Li)の場合は到達位置X=12[mm]となる。
なお、陽イオンの到達位置Xは、ノズル28の噴射口28bを基準としたときの垂直方向の移動距離とする。また、陽イオンの偏向距離Lは、ノズル28の中心軸(噴射口28bの中心)を基準としたときの抽出板54の表面までの移動距離とする。
このように陽イオンの到達位置Xは、イオン種に応じて互いに異なる位置となるので、電場E及び蒸気流の流速Vを適宜調整することによって、負電極42側に設けられた抽出板54の表面に複数のイオン種(陽イオン)をイオン種毎に互いに異なる位置に析出させることができる。これにより、金属含有液体に含まれる特定のイオン種を効率良く、かつ高純度で、多種類を同時に抽出することが可能となる。
なお、正電極40側に偏向した陰イオン(Cl、OHなど)は、第2排気装置48によって外部に排気される。
また、第2真空槽14内において発生した水素(H)は第2排気装置48によって外部に排気されるので、これを回収することによって燃料電池用の水素も同時に収集することも可能となる。
以上のとおり、本実施形態によれば、第1真空槽12において蒸発用るつぼ18内に収容された金属含有液体が気化した蒸気流は、ノズル28によって高速に加速された状態で第2真空槽14内に導入され、蒸気流に含まれる複数の金属元素は光イオン化される。そして、光イオン化された複数のイオン種は、正電極40及び負電極42の間に印加される電場によってイオン種毎に互いに異なる方向に分散され、抽出板54に析出される。これにより、金属含有液体に含まれる特定のイオン種を効率良く、かつ高純度で、多種類を同時に抽出することができる。
したがって、リチウムイオンやマグネシウムイオンなどの二次電池材料となるイオン種を効率的に収集することが可能となる。
以上、本発明のイオン抽出装置及びイオン抽出方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…イオン抽出装置、12…第1真空槽、14…第2真空槽、18…蒸発用るつぼ、24…第1排気装置、26…ヒータ、28…ノズル、38…加振機構、40…正電極、42…負電極、48…第2排気装置、50…照明光学系、52…電源、54…抽出板、60…制御部、62…光源

Claims (7)

  1. 内部圧力が大気圧よりも低い第1圧力に設定された第1真空槽と、
    内部圧力が前記第1圧力よりも低い第2圧力に設定された第2真空槽と、
    前記第1真空槽に設置され、複数の金属元素を含む液体を収容する蒸発用るつぼと、
    前記蒸発用るつぼ内に収容された前記液体を加熱して蒸気流を発生させる加熱手段と、
    前記第1真空槽と前記第2真空槽を互いに連通し、前記蒸気流を前記第2真空槽に向かって噴射するノズルと、
    前記第2真空槽に設置され、前記ノズルから噴射された前記蒸気流に対して光を照射して前記複数の金属元素を光イオン化させる光照射手段と、
    前記第2真空槽に設置され、前記ノズルから噴射された前記蒸気流の流れを挟むようにして互いに対向して配置された一対の電極からなり、両電極間に電圧が印加されることによって前記蒸気流の流れと交差する方向の電場を形成し、前記光照射手段によって光イオン化された複数のイオン種を互いに異なる方向に分散させる正電極及び負電極と、
    前記第2真空槽に設置され、前記電場によって互いに異なる方向に分散した前記複数のイオン種を析出させる析出部材と、
    を備えるイオン抽出装置。
  2. 前記光照射手段は、前記蒸気流に対してEUV光又はエキシマレーザー光を照射する請求項1に記載のイオン抽出装置。
  3. 前記第1真空槽に接続され、前記第1真空槽内を真空排気する第1排気手段と、
    前記第2真空槽に接続され、前記第2真空槽内を真空排気する第2排気手段と、
    前記第1真空槽の内部圧力が前記第2真空槽の内部圧力よりも高くなるように前記第1排気手段及び前記第2排気手段を制御する圧力制御手段と、
    を更に備える請求項1又は2に記載のイオン抽出装置。
  4. 前記加熱手段による加熱温度を制御する加熱制御手段を更に備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン抽出装置。
  5. 前記蒸発用るつぼ内に残留した残留物を排出する排出手段を更に備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン抽出装置。
  6. 前記蒸発用るつぼの内部に収容された前記液体に振動を与える加振手段を更に備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオン抽出装置。
  7. 第1真空槽の内部圧力が大気圧よりも低い第1圧力に設定され、かつ第2真空槽の内部圧力が前記第1圧力よりも低い第2圧力に設定された状態において、前記第1真空槽に設置された蒸発用るつぼ内に収容された複数の金属元素を含む液体を加熱して蒸気流を発生させる工程と、
    前記第1真空槽と前記第2真空槽を互いに連通するノズルに前記蒸気流を導入して、前記ノズルから前記第2真空槽に向かって噴射する工程と、
    前記ノズルから噴射された前記蒸気流に対して光を照射して前記複数の金属元素を光イオン化させる工程と、
    前記ノズルから噴射された前記蒸気流の流れを挟むようにして互いに対向して配置された一対の電極からなる正電極及び負電極の間に電圧を印加することによって前記蒸気流の流れと交差する方向の電場を形成し、前記光イオン化された複数のイオン種を互いに異なる方向に分散させる工程と、
    前記電場によって互いに異なる方向に分散した前記複数のイオン種を析出部材に析出させる工程と、
    を備えるイオン抽出方法。
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