JP6082892B2 - 複合材料製のガスタービンケーシングの製造のための含浸クランプマンドレル - Google Patents

Description

本発明はガスタービンケーシングの一般的な分野に関し、より具体的には航空エンジン用のガスタービンファンの保持ケーシングに関する。

ガスタービン航空エンジンにおいて、ファンケーシングは多くの機能を果たす。これはエンジンへの流入空気ストリームを定義し、ファンの羽根の先端に対して摩耗性材料を支持し、エンジンの音響インレット処理のための音波吸収用の任意の構造を支持し、保持シールドを組み込むかまたは支持する。これは、吸入物または遠心作用によって投げ出された損傷羽根の断片などの破片がケーシングを通過して航空機のその他の部品に到達するのを防止するために、これらを捕捉するためのトラップを含む。

複合材料で作られたファンを保持するためのケーシングの作成は、すでに提案されている。繊維状組織の重畳層による繊維強化材の形成、およびマトリクスによる繊維強化材の緻密化を含む、漸進的厚みの複合材料で作られたケーシングの製造を記載する、欧州特許第１９６１９２３号明細書が参照されてもよい。この発明によれば、繊維状組織は漸進的厚みを備える三次元織りによって作成され、製造されるケーシングのプロファイルに対応するプロファイルの中央壁と、ケーシングの外フランジのプロファイルに対応するプロファイルの２つの側方フランジとを有するマンドレル上に、いくつかの重畳層として巻き付けられる。結果的に得られる繊維プリフォームはマンドレル上に保持され、樹脂による含浸は重合に先立って真空下で完了する。この文献に記載されるような漸進的厚みの織り組織のマンドレル上の巻き付けは、可変厚を備える好適なプロファイルを有する管状プリフォームを直接提供する。

実際には、このプロセスの実行は、マンドレル上のその巻き付けの間に繊維プリフォームを保持する問題を生じる。この巻き付けの間、文字の効果的な圧縮を保証するために、繊維状組織の各層上に十分な牽引力が実際に印加されるべきである。これは特に、連続的な層が巻き付けられる前に、マンドレル上に巻き付けられた繊維状組織の第一層がこれに対して正確にまとめられることを、必要とする。

この目的のため、フランス特許第２９４５５７３号明細書は、繊維状組織の層を貫通する点が取り付けられた取り外し可能なプレートによって繊維状組織の第一層の係止が行われる含浸マンドレルを開示している。有効ではあるものの、このタイプの係止は、繊維プリフォームに強すぎる巻き張力が印加される場合に、プレートの点が繊維プリフォームを損傷するのを見ることになる危険性を有することがあり得る。

欧州特許第１９６１９２３号明細書 仏国特許出願公開第２９４５５７３号明細書

本発明の主要な目的は、繊維プリフォームを損傷する危険性を伴わずに強い巻き張力を印加する、繊維状組織の第一層の機械的保持を提供することによって、このような欠点を是正することである。

この目的は、材料複合体で作られたガスタービンケーシングを作成するための含浸マンドレルによって達成されるが、マンドレルは、その外面のプロファイルが作成されるケーシングの内面のプロファイルに対応する環状壁と、そのプロファイルが作成されるケーシングの外フランジのプロファイルに対応する２つの側方フランジとを含み、マンドレルはまた、本発明によれば、マンドレルに巻き付けられた繊維状組織の層の取り外し可能クランプ装置も含む。

マンドレルに巻き付けられた繊維状組織の層の自由端のクランピングは、これに印加される巻き張力にかかわらず、プリフォームの劣化のいかなる危険も回避する。また、このクランプ装置は、高温重合工程の間のプリフォームの劣化のいかなる危険も回避するために、樹脂含浸に先立って取り出されることが可能なように、取り外し可能である。最後に、マンドレル上の繊維状組織の第一層の保持は（化学的ではなく）機械的であり、これは樹脂含浸の前のプリフォームの総合的な安全性を保証する。

クランプ装置は有利なことに、マンドレルの壁を通じて作成された対応する陥凹内に配置されるように意図された取り外し可能プレートを含み、前記プレートは、そのプロファイルがマンドレルの外面のプロファイルを再構成することができる外面と、マンドレルの側方フランジの間の位置に延在して、マンドレル上に巻き付けられた繊維状組織の層の自由端を受けるように意図されているスロットと、を含む。

このようなクランプ装置は好ましくは、締め付けネジによってマンドレル上に巻き付けられた繊維状組織の層の自由端上にクランプ力を印加することが可能なパッドをさらに含む。締め付けネジは、マンドレルの内部から有利にアクセス可能である。

クランプ装置のプレートは、固定ネジによってマンドレルの環状壁上に固定されるように意図された固定フランジを、所定位置に含むことができる。

また、クランプ装置のプレートは、クランププレートが所定位置にあるときにマンドレルの内部からアクセス可能なグリップを含むことができる。

本発明の別の目的は、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機であって、これは三次元織りによって製造された繊維組織が保管されるようになっている巻き取りマンドレルであって、実質的に水平な回転軸を有する巻き取りマンドレルと、先に定義されたような、巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織が重畳層として巻き付けられるようになっている含浸マンドレルであって、巻き取りマンドレルの回転軸と平行な実質的に水平の回転軸を有する含浸マンドレルと、それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させるための電気モータと、マンドレルを回転駆動させる電気モータの制御装置と、を含む。

本発明の別の目的は、材料複合体で作られたガスタービンケーシングを作成するための繊維状組織の含浸方法であって、これは、先に定義されたような含浸マンドレル上に繊維状組織の第一層を巻き付けるステップと、クランプ装置によって含浸マンドレル上に繊維状組織の第一層の自由端を保持するステップと、含浸マンドレル上に繊維状組織のその他の層を巻き付けるステップと、クランプ装置の取り出しおよび封止プラグによるその置き換えのステップと、樹脂注入によってマンドレル上に巻き付けられた繊維状組織を含浸するステップと、を含む。

本発明のその他の特徴および利点は、いかなる限定的特徴も含まない実施形態を図解する以下の添付図面を参照して、以下の説明より明らかとなるだろう。

本発明による、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機の、概略図および側面図である。 図１の含浸マンドレルの斜視図である。 図２のＩＩＩ−ＩＩＩに沿った断面図である。 巻き取りの完了時の含浸マンドレルを示す、図３に対応する図である。

本発明はここで、ガスタービンを備える航空エンジン内のファンケーシングの製造への適用の範囲において、記載される。

このようなファンケーシングの製造プロセスの例は、参考文献である欧州特許第１９６１９２３号明細書に記載されている。

ケーシングは、マトリクスによって緻密化された繊維強化材を備える複合材料で作られている。強化材は、炭素、ガラス、アラミド、またはセラミックなどの繊維で作られ、マトリクスは例えばエポキシ化合物、ビスマレイミド、またはポリイミドなどのポリマーで作られる。

簡潔には、本明細書に記載される製造プロセスは、作成されるケーシングのプロファイルに応じて決定されるプロファイルを有するドラム上のチェーン巻取装置（以下、巻き取りマンドレルと称される）を用いて三次元織りによって繊維状組織を作成するステップからなる。

結果的に得られた繊維状組織はその後、その外部プロファイルが作成されるケーシングの内部プロファイルに対応する、樹脂注入金型のマンドレル（以下、含浸マンドレルと称される）に搬送される。

プリフォームが含浸マンドレル上に保持されている間、次に樹脂を用いて含浸が行われる。この目的のため、プリフォームにエンベロープが適用され、結果的に得られた金型内に樹脂が注入される。含浸は、プリフォームを収容する金型の外側と内側との間に設定されている圧力差によって、支援される。含浸の後、樹脂重合ステップが実行される。

本発明は、その機能が、図１に示されるように、巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織の樹脂注入金型の含浸マンドレルへの自動搬送である、いずれのタイプの巻上機にも適用される。

このような機械の構造および動作を詳細に記載した、フランス特許出願第１１５３２１２号明細書（未公開）が、参照されてもよい。

簡潔に、巻上機１０は、特に本発明による巻き取りマンドレル１４および含浸マンドレル１００を支持するフレーム１２を含む。これらのマンドレルは取り外し可能であり、すなわちこれらはフレームから分解されることが可能である。

巻き取りマンドレル１４は、例えば三次元織りによって製造された繊維組織１６を受け取る。これは、その一端が巻上機のフレーム１２上で回転するように実装され、他端が例えば交流電流の電気モータ減速機などの電気エンジン２０の出力シャフトに結合された、水平軸１８によって担持されている。

巻き取りマンドレル１４、その軸１８、およびその電気エンジン２０によって構成されるアセンブリは、巻き取りマンドレルの回転軸に沿ってフレームに対して並進することができる。巻き取りマンドレルの並進におけるこの自由度は、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻き取りに先立って、含浸マンドレル上のこのマンドレルのアライメントを形成する。

巻上機の含浸マンドレル１００は、巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織を、重畳層として受け取るように意図されている。それ自体周知の方式において、これはその外面のプロファイルが作成されるケーシングの内面のプロファイルに対応している中央環状壁１０２と、その他の要素に実装および連結できるようにするためにそのプロファイルが上流および下流末端においてケーシングの外フランジのプロファイルに対応している２つの側方フランジ１０４と、を有する。

含浸マンドレルは、巻き取りマンドレルの回転軸１８と平行であって、その一端は巻上機のフレーム１２上で回転するように実装され、他端は例えば交流電流の電気モータ減速機などの電気エンジン２４の出力シャフトに結合された、水平軸２２によって担持されている。

制御装置２６は、２つのマンドレルの電気モータ２０、２４に接続され、各マンドレルの回転速度を制御する。より一般的には、この制御装置は、巻上機の全ての運転パラメータ、および特にモータ駆動したときの巻き取りマンドレルの並進のずれを、制御する。

このような機械を用いて、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻き取りは、以下のように行われる：巻き取りマンドレルの繊維状組織の自由端が、以下に記載されるクランピングによって保持するための装置を用いて含浸マンドレル上にまず固定され、次にマンドレルを回転駆動するエンジンが始動されて、繊維状組織に適切な巻き張力を印加するように、制御装置によって制御される。

含浸マンドレル上の重畳層としての繊維状組織の巻き取りがその後開始されて、図１の矢印Ｆで示される回転方向に実行されることが可能である。一例として、作成されるケーシングの仕様に準拠する厚みを有する繊維強化材を製造するために、４と１／８回転を行う必要があるかも知れない。

本発明によれば、含浸マンドレル１００は、含浸マンドレル上に巻き付けられる繊維状組織の第一層１６ａの自由端２８をクランピングするための、取り外し可能装置を含む。

より正確には、図２に示されるように、この装置は特に、繊維状組織の第一層のこの自由端のクランピングを保証するプレート１０６を含む。

このプレート１０６は取り外し可能であり、マンドレルの環状壁１０２を通って対応する陥凹１０８内で巻き取りの開始点に位置決めされるように、意図されている。この目的のため、クランプ装置のプレートは、固定ネジ１１２によってマンドレルの環状壁に固定された２つの反対側の固定フランジ１１０と、マンドレルのフランジと環状壁との間に挿入されることも可能な封止ジョイント１１４と、を含む。

プレート１０６はまた、握持を容易にするグリップ１１６も含むことができる。このグリップおよび固定ネジ１１２が含浸マンドレルの内部からアクセス可能であることは、自明である。

クランプ装置のプレート１０６の外面１１８は、実装されたときに含浸マンドレルの環状壁１０２の外面のプロファイルを再構成するようなプロファイルになっている。

クランプ装置のプレート１０６はまた、マンドレルの２つの側方フランジ１０４の間で横方向に延在するスロット１２０も有し、このスロットは、クランピングによってこれを保持するためにマンドレル上に巻き付けられる繊維状組織の第一層１６ａの自由端２８を受け取るような寸法になっている。

また、パッド１２２がスロット１２０のレベルでプレートの内側に収容されており、このパッドは、マンドレルの内部からアクセス可能な締め付けネジ１２４によって、繊維状組織の第一層１６ａの自由端２８に対してきつく握持されることが可能である（図３）。このため、一旦繊維状組織の第一層の末端がプレートのスロット内に挿入されると、締め付けネジ１２４は、パッド１２２とプレート１０６の環状壁１０２との間で繊維状組織の層のこの末端のクランプ力を印加するように、ネジ留めされる。

作成されるケーシングの内面を再構成するように意図された繊維状組織の第一層１６ａの末端２８のこの部分２８ａのみが、含浸マンドレル上にクランピングによって保持されることは、自明である（作成されるケーシングの外フランジを再構成するように意図された繊維状組織の第一層のこの末端の部分は異なる）。実際、これの保持を提供する必要がないように、含浸マンドレル上の巻き付けの間、繊維状組織のその部分のレベルには巻き張力は印加されない。また、このソリューションは、保持装置を簡素化する利点を有する。

また、作成されるケーシングの内面を再構成するように意図された繊維状組織の第一層の末端２８の部分２８ａのみがプレート１０６のスロット１２０内に挿入されてクランピングによってそこに保持されるように、図１に示されるようなこの自由端２８を、特にケーシングの外フランジを再構成することになる部分２８ｂのレベルで切り抜くことが、第一に必要である。

繊維状組織の全ての層が一旦含浸マンドレル上に巻き付けられると、クランプ装置は樹脂含浸工程に先立って取り出される。この目的のため、ワッシャの締め付けネジ１２４、ならびにプレート１０６の固定ネジ１１２は、含浸マンドレル内のその陥凹１０８からプレートを解放するように外される。

プレート１０６が一旦取り出されると、マンドレルの内部に突起する繊維状組織の第一層１６ａの自由端は、例えばカッターの刃を使用して、切断されることが可能である。あるいは、この自由端は所定位置に残されてもよく、これは結果的に、この層に付された過剰な厚みを組み込むように、以下に記載される封止プラグの幾何形状を適合させることを必要とする。

図４に示されるもののような封止プラグ２００はその後、クランプ装置のプレート１０６の代わりに含浸マンドレルの陥凹１０８内に配置される。このようなプラグは、スロットまたはパッドを有していないことを除いて、クランププレートと全体的に同一である。具体的にはこれは、マンドレルの環状壁の外面のプロファイルを再構成する外面２０４を有し、固定フランジ２０８およびネジ２１０によってこれに固定されることが可能である（封止ジョイント２１２もまた挿入されることが可能である）。プラグはまた、マンドレルの内部からアクセス可能なグリップ２１４も含む。一旦プラグ２００が含浸マンドレル上に配置および固定されると、樹脂含浸工程が開始可能である。

Claims (8)

1. 複合材料で作られたガスタービンケーシングを作成するための含浸マンドレル（１００）であって、マンドレルは、その外面のプロファイルが作成されるケーシングの内面のプロファイルに対応する環状壁（１０２）と、そのプロファイルが作成されるケーシングの外フランジのプロファイルに対応する２つの側方フランジ（１０４）とを含み、取り外し可能クランプ装置の２つの面の間で、マンドレルに巻き付けられた繊維状組織の層をクランプする、取り外し可能クランプ装置をさらに含み、装置はマンドレルの壁を通じて作成された対応する陥凹（１０８）内に配置されるように意図された取り外し可能プレート（１０６）を含むことを特徴とする、マンドレル。
2. クランプ装置のプレート（１０６）が、そのプロファイルがマンドレルの外面のプロファイルを再構成することができる外面と、マンドレルの側方フランジの間の位置に延在して、マンドレル上に巻き付けられた繊維状組織の層の自由端（２８）を受けるように意図されているスロット（１２０）と、を含む、請求項１に記載のマンドレル。
3. クランプ装置が、締め付けネジ（１２４）によってマンドレル上に巻き付けられた繊維状組織の層の自由端上にクランプ力を印加することが可能なパッド（１２２）をさらに含む、請求項２に記載のマンドレル。
4. 締め付けネジ（１２４）がマンドレルの内部からアクセス可能である、請求項３に記載のマンドレル。
5. クランプ装置のプレート（１０６）が、所定位置にあるときに固定ネジ（１２２）によってマンドレルの環状壁上に固定されるように意図された固定フランジ（１１０）を含む、請求項２から４のいずれか一項に記載のマンドレル。
6. クランプ装置のプレート（１０６）が、クランププレートが所定位置にあるときにマンドレルの内部からアクセス可能なグリップ（１１６）を含む、請求項２から５のいずれか一項に記載のマンドレル。
7. 含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機（１０）であって、
   三次元織りによって製造された繊維組織（１６）が保管されるようになっている巻き取りマンドレル（１４）であって、実質的に水平な回転軸（１８）を有する巻き取りマンドレルと、
   巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織が重畳層として巻き付けられるようになっている、請求項１から６のいずれか一項に記載の含浸マンドレル（１００）であって、巻き取りマンドレルの回転軸と平行な実質的に水平の回転軸（２２）を有する含浸マンドレルと、
   それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させる電気モータ（２０、２４）と、
   マンドレルを回転駆動させる電気モータの制御装置（２６）と、を含む、巻上機。
8. 材料複合体で作られたガスタービンケーシングを作成するための繊維状組織の含浸方法であって、
   請求項１から６のいずれか一項に記載の含浸マンドレル上に繊維状組織の第一層（１６ａ）を巻き付けるステップと、
   クランプ装置によって含浸マンドレル上に繊維状組織の第一層の自由端（２８）を保持するステップと、
   含浸マンドレル上に繊維状組織のその他の層を巻き付けるステップと、
   クランプ装置の取り出しおよび封止プラグ（２００）によるその置き換えのステップと、
   樹脂注入によってマンドレル上に巻き付けられた繊維状組織を含浸するステップと、を含む含浸方法。

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