〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は第1の実施の形態に係る電子機器の一例を示す図である。なお、図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
電子機器2は、たとえばスマートフォン、携帯電話機などの携帯端末装置であり、検出装置12と、CPU(Central Processing Unit)14とを含んでいる。検出装置12は、検出パネル30のタッチを検出し、タッチを表すタッチ情報を制御信号線16を介してCPU14に送信する。タッチ情報は、たとえば検出パネル30のタッチ位置およびタッチ圧力の情報である。CPU14はこのタッチ位置およびタッチ圧力の情報を利用して電子機器2の各種情報処理に用いる。
検出装置12は、タッチ位置およびタッチ圧力を検出する手段の一例であり、タッチパネル22と、圧力検出板24と、接地板26と制御部28とを含んでいる。
タッチパネル22は、タッチ位置を検出する位置検出部の一例である。タッチパネル22はシート形状を有し、電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nを含んでいる。電極32−1、32−2、・・・32−nは、たとえばY軸方向(図2)のタッチ位置を検出する位置検出電極の一例である。各電極32−1、32−2、・・・32−nは、Y軸方向に離間して配置され、配置位置でタッチを検出する。電極32−1、32−2、・・・32−nを含んで電極群32が形成され、電極群32がY軸方向にわたり、タッチを検出する。電極34−1、34−2、・・・34−nは、X軸方向(図2)のタッチ位置を検出する位置検出電極の一例である。各電極34−1、34−2、・・・34−nは、X軸方向に離間して配置され、配置位置でタッチを検出する。電極34−1、34−2、・・・34−nを含んで電極群34が形成され、電極群34がX軸方向にわたり、タッチを検出する。電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nは、たとえば透明な導電性の膜を含んでいる。この導電性の膜は、導電性を有していればよく、たとえばインジウム錫酸化物膜が用いられる。
圧力検出板24は、タッチパネル22のタッチ位置にわたってタッチ圧力を検出する圧力検出部の一例である。圧力検出板24はシート形状を有し、ポリエチレンテレフタラートなどのプラスチックフィルムまたはガラス板などの透明基板を含んでいる。圧力検出板24はさらに複数の電極36−1、36−2、36−3を含んでいる。電極36−1、36−2、36−3は、たとえば容量検出用電極であって、たとえば既述の透明な導電性の膜を含み、接地板26を伴って蓄電層62(図3)を形成し、電荷を蓄積することが可能である。蓄電層62の静電容量Czは、タッチ圧力に関連し、タッチ圧力に置き換えられる。つまり、電極36−1、36−2、36−3は静電容量を検出することで、タッチ圧力を検出している。
タッチ圧力は、タッチ位置の検出範囲において検出される。タッチ圧力およびタッチ位置の検出範囲は電極36−1、36−2、36−3により複数の容量検出領域に分割される。電極36−1、36−2、36−3は、たとえば電極36をスリット38−1、38−2により分割して形成される。この場合、この検出範囲は電極36の分割により複数の容量検出領域に分割される。電極36−1、36−2、36−3により、複数の容量検出領域ごとにタッチ圧力の検出が可能である。電極36−1、36−2、36−3はたとえば既述の透明基板の同一平面上に形成される。各電極36−1、36−2、36−3の表面積は、スリット38−1、38−2を設けない電極36に比べて小さくなる。
接地板26は、蓄電層62の対向電極の一例であり、電極36−1、36−2、36−3に対向して配置される。接地板26は、電子機器の接地に接続し、基礎接地(base ground)を形成する。接地板26は、電極36−1、36−2、36−3にわたって配置される。
検出パネル30は、既述のタッチパネル22、圧力検出板24および接地板26を含む。タッチパネル22、圧力検出板24および接地板26はこの順に積層されている。検出パネル30は、たとえば静電容量式のタッチパネルを形成し、静電容量を利用して位置および圧力を検出する。
制御部28は、タッチ位置およびタッチ圧力の検出を制御する手段の一例である。制御部28は、たとえばAFE(Analog Front End)およびCPUを含む。制御部28は、Y軸方向の位置検出、X軸方向の位置検出および圧力検出の何れを行うかを判断し、この判断に応じて、タッチ位置またはタッチ圧力の検出を行う。
制御部28は、複数の接続線42によりタッチパネル22の各電極32−1、32−2、・・・32−nに接続している。接続線42は、Y軸方向のタッチ情報を送信する。制御部28は、複数の接続線44によりタッチパネル22の各電極34−1、34−2、・・・34−nに接続している。接続線44は、X軸方向のタッチ情報を送信する。これらのタッチ情報はタッチパネル22へのタッチ位置を表す情報を含んでいる。
制御部28は、接続線46により圧力検出板24の電極36−1、36−2、36−3に接続している。接続線46は受圧情報を送信する。受圧情報は、蓄電層62の容量情報を含み、タッチパネル22が受けた圧力の大きさを表している。
制御部28は、タッチ情報に基づきタッチ位置の座標を計算し、受圧情報に基づきタッチ圧力の大きさを計算する。制御部28は、タッチ位置の座標を表す座標情報と、タッチ圧力の大きさを表す圧力情報をCPU14に通知する。
(タッチ位置と圧力検出板24との対応)
次に、タッチ位置と圧力検出板の対応について図2を参照して説明する。図2は、タッチ位置と容量検出電極の対応の一例を示している。
タッチパネル22には、図2に示すようにY座標およびX座標が設定される。HmaxはX座標の最大値であり、VmaxはY座標の最大値である。タッチパネル22および圧力検出板24が重なることで、電極36−1、36−2、36−3はタッチパネル22の座標に対応づけられる。タッチ位置およびタッチ圧力の検出範囲は、たとえばX座標の座標値xが0以上Hmax以下〔0≦x≦Hmax〕であり、Y座標の座標値yが0以上Vmax以下〔0≦y≦Vmax〕である。
タッチ位置およびタッチ圧力の検出範囲は、たとえばY軸方向に3分割され、3つの容量検出領域に区分される。電極36−1は、X座標の座標値xが0以上Hmax以下〔0≦x≦Hmax〕であり、Y座標の座標値yが0以上3分のVmax以下〔0≦y≦(Vmax/3)〕の容量検出領域に配置されている。電極36−2は、座標値xが0以上Hmax以下であり、座標値yが3分のVmaxより大きく3分の2Vmax以下〔(Vmax/3)<y≦(2×Vmax/3)〕の容量検出領域に配置されている。電極36−3は、座標値xが0以上Hmax以下であり、座標値yが3分の2Vmaxより大きくVmax以下〔(2×Vmax/3)<y≦Vmax〕の容量検出領域に配置されている。この分割により各電極36−1、36−2、36−3のY軸方向の幅は、ほぼ3分のVmaxとなる。
(検出パネル30の積層構造)
次に、検出パネル30の積層構造について図3を参照して説明する。図3は、検出パネルの積層構造の一例を示す図である。
タッチパネル22は、カバーパネル52と、位置検出板54、56を含んでいる。カバーパネル52および位置検出板54、56は光学のりなどの接着材により貼り付けられている。カバーパネル52は、たとえば既述の透明基板を含んでいる。カバーパネル52は、検出パネル30の外側層に配置される。カバーパネル52には、指64(図4、図5)やスタイラスペンなどの接触体が接触する。
位置検出板54は、既述の電極32−1、32−2、・・・32−nを含み、Y軸方向のタッチ位置を検出する電極基板を形成する。位置検出板56は、既述の電極34−1、34−2、・・・34−nを含み、X軸方向のタッチ位置を検出する電極基板を形成する。
タッチパネル22の下側には、既述の圧力検出板24が接着材により貼り付けられている。
タッチパネル22および圧力検出板24は、ばねやスポンジ材などの弾性体58−1、58−2を介して接地板26に接続されている。圧力検出板24と接地板26との間の距離Gは、弾性体58−1、58−2を介して初期状態において所定の距離に隔てられている。つまり、圧力検出板24と接地板26の間には、空間部60が配置される。この空間部60は、圧力検出板24と接地板26との間の空気間隙(エアーギャップ)を形成し、圧力検出板24と接地板26の間を絶縁する。蓄電層62は、圧力検出板24、接地板26および弾性体58−1、58−2を含んで形成される。
(検出パネル30のタッチ操作)
次に、検出パネルのタッチ操作について図4および図5を参照する。図4は検出パネルのタッチ操作の一例を示す図であり、図5は検出パネルのタッチ操作の一例を側面側から視た図である。図4のBにおいて、指64に付された矢印は、指64の押し込みを表し、圧力検出板24と接地板26との間に付された矢印は、圧力検出板24の移動を表している。
図4のAおよび図5のAは、指64がタッチパネル22の外側面に接触した場合を示している。指64がタッチパネル22に軽く接触している状態では、検出パネル30は形状の変化をおこさない。指64がタッチパネル22の外側面を下側に加圧し、タッチパネル22に外部圧力が加わると、図4のBに示すように、タッチパネル22および圧力検出板24が接地板26側に移動する。弾性体58−1、58−2は図5のBに示すように、外部圧力により圧縮され、距離Gが短くなる。また、タッチパネル22の厚さはたとえば1〔mm〕程度であり、圧力検出板24の厚さはたとえば0.2〔mm〕程度である。タッチパネル22および圧力検出板24は薄いので、タッチパネル22および圧力検出板24は、指64が押している位置を底として下側に湾曲する。つまり指64の加圧位置では、距離Gが周辺部に比べて短くなる。弾性体58−1、58−2が圧縮され、タッチパネル22および圧力検出板24が湾曲することにより、圧力検出板24と接地板26との間の静電容量Czが増加することになる。指64がタッチパネル22から離れると、弾性体58−1、58−2が圧縮される前の状態に戻り、距離Gが元の距離に戻る。また、タッチパネル22および圧力検出板24は湾曲前の状態に戻る。検出パネル30は、圧力に対して可逆性を有するので、検出装置12は圧力を繰り返し検出することができる。
次にタッチ位置の検出および計算、ならびにタッチ圧力の検出および計算について説明する。
(タッチ位置の検出および計算)
タッチ位置の検出には、たとえば静電容量の変化が用いられる。指64がタッチパネル22に近づくと、指64と電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nの間に静電容量が発生する。静電容量は、指64と電極との間の距離が近づくにつれて増大し、接続線42、44の出力を変化させる。接続線42、44の出力がタッチ情報として制御部28に送信される。制御部28は、接続線42、44の出力に基づいてタッチ位置の座標を計算する。
1本の電極32−1、32−2、・・・32−nの静電容量が変化した場合、制御部28は、その変化した電極32−1、32−2、・・・32−nの配置位置を、タッチ位置のY座標値に決定する。複数本の電極32−1、32−2、・・・32−nの静電容量が変化した場合、制御部28は、変化を示した電極32−1、32−2、・・・32−nの静電容量の変化量に応じてタッチ位置のY座標を計算する。静電容量の変化量に応じてY座標を計算すると、電極32−1、32−2、・・・32−n間がタッチされた場合に、そのタッチ位置を算出することができる。同様に、1本の電極34−1、34−2、・・・34−nの静電容量が変化した場合、制御部28は、その変化した電極34−1、34−2、・・・34−nの配置位置を、タッチ位置のX座標に決定する。複数本の電極34−1、34−2、・・・34−nの静電容量が変化した場合、制御部28は、変化を示した電極34−1、34−2、・・・34−nの静電容量の変化量に応じてタッチ位置のX座標を計算する。静電容量の変化量に応じてX座標を計算すると、電極34−1、34−2、・・・34−n間がタッチされた場合に、そのタッチ位置を算出することができる。
(タッチ圧力の検出および計算)
タッチ圧力の検出および計算には、電極36−1と接地板26との間の静電容量Cz1、電極36−2と接地板26との間の静電容量Cz2、または電極36−3と接地板26との間の静電容量Cz3が用いられる。
静電容量Czは、以下の式(1)のように表される。
Cz=ε×S÷d ・・・(1)
Cz:静電容量であって、静電容量Cz1、Cz2、Cz3が対応する。
ε:誘電率
S:電極の対向面の面積であり、電極36−1、36−2、36−3の接地板26に対向する面の面積が対応する。
d:電極間の距離であり、距離Gが対応する。
つまり、外部圧力が大きくなるにつれて、距離Gが短くなり、静電容量Cz1、Cz2、Cz3は大きくなる。よって、外部圧力の大きさと静電容量Cz1、Cz2、Cz3との値の関係を予め設定することで、外部圧力の大きさは静電容量Cz1、Cz2、Cz3から計算により算出できる。
静電容量Cz1、Cz2、Cz3は、たとえば電極36−1、36−2、36−3に直流電圧Vを印加して求める。
図6は、時間に対する電極の電圧変化の一例を示している。なお、以下の例では、電極36−1の容量測定の一例を示すが、電極36−2、36−3の容量測定も同様に測定することができる。
容量測定を開始する前において、電極36−1は放電状態にされている。つまり、電極36−1の電圧は0[V]である。電極36−1に直流電圧Vを印加すると、過渡現象により、以下の式(2)、式(3)に沿って電極36−1の電圧vcが変化する。
vc=V(1−ε^(−t/RCz)) ・・・(2)
t1=−RCz×In(1−Vth/V) ・・・(3)
V:印加電圧
R:回路中の抵抗値
Cz:回路に配置されたコンデンサの静電容量であり、静電容量Cz1を表す。
時間t1は、電圧vcが0[V]などの基準電圧から所定の閾値電圧Vthに達する時間である。
時間t1を横軸とし、静電容量Czを縦軸とすると、時間t1と静電容量Czは、図7に示すように比例する。よって、時間t1を求めることで静電容量Czが求められる。
制御部28は、電極36−1の電圧値を受圧情報として受信し、電極36−1の電圧の時間変化を監視して、時間t1を認識する。制御部28は、時間t1に基づいて静電容量Cz1を計算する。静電容量Cz1が初期値、つまり外部圧力がない場合の静電容量Cz1、である場合、外部圧力は0であり、外部圧力が大きくなるにつれて、静電容量Cz1の変化量が大きくなる。制御部28は、たとえば静電容量Cz1またはその変化量から外部圧力に変換する変換値を保持し、その変換値に従って外部圧力を求める。
図7は、静電容量Czが小さくなると、時間t1が短くなることを示している。電極36−1、36−2、36−3は分割されることで、分割されていない場合に比べて静電容量が小さく、時間t1が短くなる。つまり、圧力検出の時間が短くなる。
(位置および圧力の検出方法)
次に位置および圧力の検出について図8を参照する。図8は、位置および圧力の検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
位置および圧力の検出処理手順は、本開示の検出方法の一例であり、位置検出工程72−1と、位置算出工程74−1と、圧力検出工程76−1と、通知工程78−1とを含んでいる。
位置検出工程72−1では、タッチ位置の検出が行われる。制御部28は、Y軸方向の電極32−1、32−2、・・・32−nの出力を測定し、X軸方向の電極34−1、34−2、・・・34−nの出力を測定する(ステップS1)。指64との間の静電容量の変化により電極の出力が変化する場合、制御部28は、指64を検知していると判定し(ステップS2のYes)、位置算出工程74−1に移行する。電極の出力が変化しない場合、制御部28は指64を検知していないと判定し(ステップS2のNo)、電極の出力測定を繰り返す。
位置算出工程74−1では、タッチ位置の座標が求められる。制御部28は、タッチ位置のX座標およびY座標を計算して(ステップS3)、これらを決定し(ステップS4)、圧力検出工程76−1に移行する。
圧力検出工程76−1では、タッチ圧力の大きさが求められる。制御部28は、タッチ位置のX座標およびY座標に基づいて、このX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3の充電を開始する(ステップS5)。つまり、直前の位置検出で計算された座標が属する容量検出領域の電極36−1、36−2、36−3が選択され、圧力の検出が実施される。充電が開始されると、制御部28は、X座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3の出力を測定し、圧力を計算する(ステップS6)。たとえば、電極36−1の配置領域上を指64がタッチした場合、制御部28は、電極36−1の充電を開始し、電極36−1の出力を測定し、圧力を計算する。制御部28は、X座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3の充電を停止し(ステップS7)、通知工程78−1に移行する。
通知工程78−1では、制御部28は、タッチ位置のX座標およびY座標ならびにタッチ圧力の情報をCPU14に通知し(ステップS8)、位置検出工程72−1に戻り、位置検出および圧力検出を繰り返す。
第1の実施の形態によれば、指64の接触を検知した場合、指64の押し付けによる圧力を検出するので、位置検出によるX軸およびY軸方向の検出の他、深さ方向、つまりZ軸方向の検出が可能になる。平面上の位置検出に比べ、圧力を利用したタッチ操作が可能になる。たとえば、圧力の程度によって、入力の内容を異ならせる操作が可能になる。また、所定の圧力以上の圧力が加わった場合に入力を受け付けるようにすることで、誤って触れた場合の誤作動を防止することができる。入力に所定の圧力が必要なように設定すれば、たとえば押下によって反応する物理キーと類似の操作感をタッチパネル22に付加することができる。また、所定の圧力以上の圧力が維持された状態で位置の移動が生じた場合、たとえばドラッグ・アンド・ドロップ操作が実行されるようにすることが可能である。このように操作のバリエーションが増やせる。
容量検出電極が位置検出範囲を複数の容量検出領域に分割し、容量検出領域ごとに容量を検出するので、静電容量が分割され、容量検出電極の充電時間が短縮され、短くなる。この充電時間を静電容量の検出および圧力の検出に用いるので、静電容量の検出時間が短く、圧力の検出時間が短い。
圧力検出の際、直前の位置検出で計算された座標に応じて電極36−1、36−2、36−3の何れかを選択して圧力の検出が行われる。つまり、タッチ位置が属する容量検出領域ごとに検出を行うので、圧力検出の応答速度が速い。
タッチパネル22および圧力検出板24の湾曲により、指64に直接押されている電極36−1、36−2、36−3とその周辺の電極36−1、36−2、36−3とでは静電容量に差が生じる。容量検出電極が複数の容量検出領域ごとに設置され、直接押されている電極36−1、36−2、36−3の静電容量を用いて圧力を検出することで圧力検出の精度が高まる。また、タッチパネル22および圧力検出板24の湾曲による影響が抑制される。
指64がタッチパネル22に接触していない場合、既述の位置および圧力の検出処理手順では、位置算出工程74−1には移行せず、位置検出工程72−1を繰り返す。よって、指64の接触を検出していない場合の圧力検出処理が省略され、位置検出処理の処理頻度が多くなり、タッチパネル22のタッチ位置に対する反応性が高められる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態について、図9および図10を参照して説明する。図9は、第2の実施の形態に係る電子機器の一例を示す図である。図10は検出パネルの積層構造の一例を示す図である。なお、図9および図10に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図1および図3と同一部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態では、接地板26を用いて静電容量Cz、Cz1、Cz2、Cz3が形成された。第2の実施の形態では、LCD(Liquid crystal display)125を用いて静電容量Cz、Cz1、Cz2、Cz3が形成される。電子機器102は、表示装置112と、CPU14とを含んでいる。電子機器102は、表示装置112のタッチスクリーン130により、画像表示を行うとともに電子機器102の使用者のタッチによる入力を受ける。表示装置112は、使用者のタッチによる入力に基づきタッチ位置およびタッチ圧力を検出する。このタッチ位置およびタッチ圧力の情報は、タッチパネルコントローラ128からCPU14に送信される。CPU14はこのタッチ位置およびタッチ圧力の情報を利用して電子機器102の各種情報処理に用いる。表示装置112は、CPU14から画像データを受け、この画像データに基づきLCD125に画像を表示する。
表示装置112は、検出装置12の一例であり、タッチスクリーン130とタッチパネルコントローラ128とを含んでいる。タッチスクリーン130は、タッチパネル22、圧力検出板24およびLCD125を含み、タッチパネル22、圧力検出板24およびLCD125はこの順に積層されている。タッチパネル22および圧力検出板24は第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
LCD125は、画像を表示する表示パネルの一例であり、CPU14から画像データを受け、画像データに基づいて画像を表示する。LCD125は、電極36−1、36−2、36−3に対向して配置されている。LCD125は図10に示すよう電極板126と、液晶が封入されている表示部127とを備えている。
電極板126は、接地板26の一例である。電極板126は、既述の導電性の膜を含み、電子機器102の接地に接続する。電極板126は、既述の蓄電層62の対向電極として用いられるとともにLCD125の電極として用いられる。蓄電層62は、圧力検出板24、LCD125および弾性体58−1、58−2を含んで形成される。
タッチパネルコントローラ128は制御部28の一例である。タッチパネルコントローラ128は接続線42、44、46を介して既述のタッチ情報および受圧情報を受ける。タッチパネルコントローラ128はタッチ情報に基づきタッチ位置の座標を計算し、受圧情報に基づきタッチ圧力の大きさを計算する。タッチパネルコントローラ128は、タッチ位置の座標を表す座標情報と、タッチ圧力の大きさを表す圧力情報をCPU14に通知する。
タッチパネルコントローラ128は、電極スイッチ142と、アナログフロントエンド(Analog Front End)144と、CPU146と、メモリ部148と、入出力(input/output)150とを含んでいる。
電極スイッチ142は、タッチスクリーン130とアナログフロントエンド144との間の接続を切替える接続切替部の一例である。
アナログフロントエンド144は、アナログ信号を処理する処理部の一例であり、たとえば、アナログ回路を含んで形成される。
CPU146は、メモリ部148に格納されているOS(Operating System)や位置および圧力検出プログラムなどの各種プログラムを実行するための処理部の一例である。
メモリ部148は、情報を記憶する手段の一例であって、フラッシュメモリ152およびRAM(Random Access Memory)154を含んでいる。フラッシュメモリ152はROM(Read Only Memory)の一例であり、不揮発性のメモリである。フラッシュメモリ152は、OS、および位置および圧力検出プログラムなどの各種プログラムを記憶する。また、フラッシュメモリ152は各種のデータの記憶に用いられる。フラッシュメモリ152は、たとえば圧力検出に用いる電極36−1、36−2、36−3を選択するための電極選択テーブル182および受圧情報からタッチ圧力の大きさを求めるための変換データを格納する。メモリ部148に配置する不揮発性のメモリは、たとえばEEP(Electrically Erasable and Programmable)ROMなどであってもよい。RAM154は、高速なアクセスが可能なメモリであって、たとえばデータの一時的記憶に用いられる。
入出力150は、情報を入力および出力をする手段の一例であり、制御信号線16によるCPU14との通信に用いられる。
次に、タッチパネルコントローラ128の機能について図11を参照する。図11はタッチパネルコントローラの機能の一例を示す図である。なお、図11に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
電極スイッチ142は、座標スキャン部162と圧力スキャン部164とを含んでいる。座標スキャン部162は、電極をスキャンする電極スキャン部の一例であり、静電容量検出部166の接続先を接続線42、接続線44のいずれかの線に切り替える。つまり、座標スキャン部162は、電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nを順番に静電容量検出部166に接続する。電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nが順番に座標のスキャンに用いられ、タッチ情報が静電容量検出部166に入力される。
圧力スキャン部164は、電極スキャン部の一例であり、静電容量検出部166の接続先を接続線46のいずれかの線に切り替える。つまり、圧力スキャン部164は、電極36−1、36−2、36−3のいずれかを静電容量検出部166に接続する。この接続により受圧情報が静電容量検出部166に入力される。
アナログフロントエンド144は、静電容量検出部166でタッチ情報および受圧情報を受ける。静電容量検出部166は、タッチ情報および受圧情報に含まれる静電容量の情報を検出する。静電容量検出部166は、静電容量の情報をディジタル変換が可能な様に信号調整を行う。信号の調整は、たとえば信号の増幅またはノイズの除去などである。静電容量の情報は、A/D(Analog/Digital)変換部168でアナログ信号からディジタル信号に変換される。アナログフロントエンド144は、ディジタル化されたタッチ情報および受圧情報をCPU146に送信する。
CPU146は、電極出力検出部172と座標計算部174とを含み、タッチ位置の検出および座標計算を行い、既述の座標情報を得る。座標情報は情報出力I/F部180に出力される。座標計算部174は更に座標情報から圧力検出に用いる電極36−1、36−2、36−3を判断する。座標計算部174は、圧力検出に用いる電極36−1、36−2、36−3を表す選択情報を圧力スキャン部164に出力する。選択情報の出力により、CPU146が電極36−1、36−2、36−3の切替えを制御する。
CPU146は、電極出力検出部176と圧力測定部178とを含み、圧力の検出および測定を行い、既述の圧力情報を得る。圧力情報は情報出力I/F部180に出力される。
CPU146は、情報出力I/F部180を含み、入出力150を制御するとともに座標情報および圧力情報を入出力150を介してCPU14に出力する。
(電極36−1、36−2、36−3の選択)
圧力検出に用いる電極36−1、36−2、36−3の選択には、たとえば図12に示す電極選択テーブル182が用いられる。電極選択テーブル182は、選択電極情報部184と、X座標情報部186と、Y座標情報部188とを含んでいる。選択電極情報部184には、選択電極情報としてたとえば電極1、電極2、または電極3がそれぞれ格納されている。電極1、2、3は、それぞれ電極36−1、36−2、36−3を表している。選択電極情報に対応して、X座標情報部186にはX座標情報が格納され、Y座標情報部188にはY座標情報が格納されている。
X座標情報はタッチ位置のX座標の範囲を表し、Y座標情報はタッチ位置のY座標の範囲を表している。電極選択テーブル182は、電極36−1、36−2、36−3をタッチ位置の座標系に関連付けている。CPU146の座標計算部174は、計算した位置座標と電極選択テーブル182を比較し、位置座標に応じた電極36−1、36−2、36−3を圧力検出に用いる電極として選択する。
図12に示す電極選択テーブル182では、電極36−1は、X座標の座標値xが0以上Hmax以下であり、Y座標の座標値yが0以上3分のVmax以下である場合に選択される。電極36−2は、X座標の座標値xが0以上Hmax以下であり、Y座標の座標値yが3分のVmaxより大きく3分の2Vmax以下である場合に選択される。電極36−3は、は、X座標の座標値xが0以上Hmax以下であり、Y座標の座標値yが3分の2Vmaxより大きくVmax以下である場合に圧力検出のための電極として選択される。
電極選択テーブル182に格納されるX座標情報およびY座標情報は、図2に示す電極36−1、36−2、36−3の配置領域を包含している。座標情報と配置領域とが対応関係を有することで、検出されたタッチ位置に重なる電極36−1、36−2、36−3が選択可能になる。
次に、圧力スキャン部164について図13を参照する。図13は圧力スキャン部の等価回路の一例を示す図である。図13では、タッチスクリーン130の構成に関し静電容量Cz1、Cz2、Cz3のみを示している。なお、切替スイッチ192と静電容量Cz1、Cz2、Cz3の接続は、切替スイッチ192と電極36−1、36−2、36−3の接続を表している。
圧力スキャン部164は切替スイッチ192と、回路抵抗194と、充電用スイッチ196とを含んでいる。回路抵抗194は切替スイッチ192に接続し、切替スイッチ192は静電容量Cz1、Cz2、Cz3に接続している。回路抵抗194、切替スイッチ192および静電容量Cz1、Cz2、Cz3は直列に接続されている。この直列に接続された回路の回路抵抗194側は、電圧V[V]の電源197に接続し、静電容量Cz1、Cz2、Cz3側は接地している。つまり、RC回路が形成され、圧力スキャン部164には既述の過渡現象が生じる。
切替スイッチ192は、静電容量Cz1、Cz2、Cz3のそれぞれに接続されるスイッチを含む。切替スイッチ192は、選択情報を受け、選択情報に基づき回路抵抗194および充電用スイッチ196の接続先を静電容量Cz1、Cz2、Cz3のいずれかに切替える。
充電用スイッチ196は、切替スイッチ192および静電容量Cz1、Cz2、Cz3に並列に接続している。充電用スイッチ196がONにされ、回路抵抗194をグランドに接続すると、既述のRC回路が短絡され、静電容量Cz1、Cz2、Cz3の電位差は0になる。
充電用スイッチ196がOFFにされ、回路抵抗194をグランドから接続すると、既述のRC回路が形成される。
接続線46は、切替スイッチ192と回路抵抗194の間に接続し、電源197に接続された静電容量Cz1、Cz2、Cz3の電圧を静電容量検出部166に送信する。つまり、電極36−1、36−2、36−3の受圧情報が送信される。
(位置および圧力の検出方法)
次に位置および圧力の検出について図14を参照する。図14は、位置および圧力の検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
位置および圧力の検出処理手順は、本開示の検出方法の一例であり、位置検出工程72−2と、位置算出工程74−2と、圧力検出工程76−2と、通知工程78−2とを含んでいる。
位置検出工程72−2では、タッチ位置の検出が行われる。CPU146は充電用スイッチ196をONし、切替スイッチ192をグランドに接続する(ステップS101)。CPU146は、指の検知状態を、指の非検知状態に設定する(ステップS102)。
CPU146は電極出力検出部172によりY軸方向の電極32−1、32−2、・・・32−nの出力を測定し、X軸方向の電極34−1、34−2、・・・34−nの出力を測定する(ステップS103)。静電容量の変化により電極の出力が変化する場合、CPU146は、指64を検知していると判定し(ステップS104のYes)、位置算出工程74−2に移行する。電極の出力が変化しない場合、CPU146は指64を検知していないと判定し(ステップS104のNo)、電極の出力測定を繰り返す。
位置算出工程74−2では、タッチ位置の座標が求められる。CPU146は、座標計算部174によりタッチ位置のX座標およびY座標を計算して(ステップS105)、これらを決定し(ステップS106)、圧力検出工程76−2に移行する。
圧力検出工程76−2では、タッチ圧力の大きさが求められる。CPU146は、座標計算部174により決定されたX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3を電源197に接続する(ステップS107)。
CPU146が充電用スイッチ196をOFFにして、充電を開始する(ステップS108)。CPU146は電源197に接続した電極36−1、36−2、36−3の出力を電極出力検出部176により検出し、圧力測定部178により圧力を計算する(ステップS109)。CPU146は充電用スイッチ196をONにして、充電を終了する(ステップS110)。そして、CPU146はX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3を電源197から切断する(ステップS111)。
通知工程78−2では、CPU146は、タッチ位置のX座標およびY座標ならびにタッチ圧力の情報をCPU14に通知し(ステップS112)、位置検出工程72−2に戻り、位置検出および圧力検出を繰り返す。
図15はスキャンの時間経過の一例を示している。座標スキャン部162が電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nを順番に静電容量検出部166に接続するので、X軸方向電極のスキャンとY軸方向の電極のスキャンが交互に繰り返される。
指64がタッチパネル22に接触していない場合、図15のAに示すように、位置の検出が繰り返される。1回のスキャンに要する時間ST1は、X軸方向の電極スキャンとY軸方向の電極スキャンを1回ずつ含む時間の長さとなり、圧力のスキャンは含まない。
指64がタッチパネル22に接触している場合、図15のBに示すように、位置の検出に続いて圧力検出が行われ、位置の検出と圧力検出とが繰り返される。1回のスキャンに要する時間ST2は、X軸方向の電極スキャン、Y軸方向の電極スキャンおよび圧力のスキャンを1回ずつ含む時間の長さになる。
指64が接触していない場合、圧力の検出が省略されるので、時間ST1は、時間ST2に比べて短くなる。指64が接触していない場合、位置検出処理の処理頻度が高められ、タッチパネル22のタッチ位置に対する反応性が高められる。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で既述した利点が得られる他、LEDなどの表示装置がタッチパネル22および圧力検出板24に重ねられるので、画像の表示と組み合わせたタッチ操作が可能である。
指64が接触していない場合に、圧力の検出を省略するので、1スキャン時間ST1は、1スキャン時間ST2に比べて短くなる。指64が接触していない場合、位置検出処理の処理頻度が高められ、タッチパネル22のタッチ位置に対する反応性が高められる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態について、図16および図17を参照して説明する。図16は、第3の実施の形態に係る電子機器の一例を示す図である。図17はタッチパネルコントローラの機能の一例を示す図である。なお、図16および図17に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図9および図11と同一部分には同一符号を付してある。
第3の実施の形態では、タッチ位置を検出する際、接地板26をグランドに接続して設置し、接地板26をタッチパネル22のシールド層として機能させる。電子機器202の表示装置212は、シールド層制御部252を備えている。表示装置212のCPU246は、第2の実施の形態で既述したCPU146の機能を含む他、圧力検出板24を接地するためスキャン情報をシールド層制御部252に出力する。接地板26をシールド層として機能させることで、LCD125の電磁波ノイズを遮蔽し、タッチパネル22への影響を軽減できる。
CPU246は、スキャン情報出力部272を含んでいる。スキャン情報出力部272は、スキャン情報をシールド層制御部252に出力する。スキャン情報は、電極32−1、32−2、・・・32−nまたは電極34−1、34−2、・・・34−nのスキャンを表す情報である。スキャン情報にはたとえばHiレベル信号とLowレベル信号とが組み合わされたディジタル信号が用いられる。このディジタル信号では、信号ラインに電圧を印加することでHiレベル信号が生成される。このHiレベル信号はたとえばONを表す。信号ラインに電圧を印加しない場合、Lowレベル信号が生成される。このLowレベル信号はたとえばOFFを表す。スキャンを行っている検出電極のスキャン情報は、Hiレベル信号にされ、スキャンを行っていない検出電極のスキャン情報は、Lowレベル信号にされる。
シールド層制御部252は演算回路254および切替スイッチ256を含んでいる。演算回路254はスキャン情報を受け、スキャン情報を演算処理して切替スイッチ256に出力する。切替スイッチ256は、グランドおよび接続線46に接続している。切替スイッチ256は、演算回路254の演算結果を受け、グランドと接続線46の間の接続を切替える。
図18は、シールド層制御部252の回路構成の一例を示している。図18では、タッチパネル22が4つのY軸方向の電極32−1、32−2、32−3、32−4を含み、4つのX軸方向の電極34−1、34−2、34−3、34−4を含む場合の例を示している。なお、電極36−1、36−2、36−3の分割数が3つの場合の例である。
演算回路254には電極32−1、32−2、32−3、32−4のスキャン情報および電極34−1、34−2、34−3、34−4のスキャン情報が別々に入力される。これらの8つのスキャン情報は、OR回路258−1、258−2、258−3、258−4による1次処理により4つの出力に半減される。4つの出力は、OR回路258−5、258−6による2次処理により2つの出力に半減される。2つの出力は、OR回路258−7による3次処理により1つの出力に半減される。演算回路254は、複数のスキャン信号を1つの出力に集約する集約回路の一例である。演算回路254は、スキャン情報のうち少なくとも1つの信号がHiレベルである場合に出力信号をHiレベルにする。つまり、演算回路254は、電極32−1、32−2、32−3、32−4、34−1、34−2、34−3、34−4がスキャンされている場合にHiレベル信号を出力し、スキャンされていない場合にLowレベル信号を出力する。
切替スイッチ256は3つのトランジスタ260−1、260−2、260−3を含んでいる。トランジスタ260−1、260−2、260−3のゲート端子には、演算回路254の出力信号が入力される。トランジスタ260−1のドレイン端子は電極36−1が接続され、ソース端子はグランドに接地される。トランジスタ260−2のドレイン端子は電極36−2が接続され、ソース端子は接地される。トランジスタ260−3のドレイン端子は電極36−3が接続され、ソース端子は接地される。
Hiレベル信号がドレイン端子にかかる場合、電極36−1、36−2、36−3がグランドに接地される。つまり、電極36−1、36−2、36−3がシールド層として機能する。
Lowレベル信号がドレイン端子にかかる場合、電極36−1、36−2、36−3がグランドから切断される。この場合、別個のトランジスタ260−1、260−2、260−3に接続されることにより、電極36−1、36−2、36−3は電気的に独立する。つまり、電極36−1、36−2、36−3が個別に容量を検出するための電極として使用可能になる。
電子機器202はシールド層制御部252を含み、電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続する。よって、圧力スキャン部264は図19に示すように、切替スイッチ192と、回路抵抗194とを含むようにし、充電用スイッチ196を省略する。
その他の構成は第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
(位置および圧力の検出方法)
次に位置および圧力の検出について図20を参照する。図20は、位置および圧力の検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
位置および圧力の検出処理手順は、本開示の検出方法の一例であり、位置検出工程72−3と、位置算出工程74−2と、圧力検出工程76−3と、通知工程78−2とを含んでいる。位置算出工程74−2および通知工程78−2は第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
位置検出工程72−3では、タッチ位置の検出が行われる。CPU246は、指の検知状態を、指の非検知状態に設定する(ステップS201)。CPU246はタッチ位置の検出中、検出中の電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nのスキャン情報をONにして、電極36−1、36−2、36−3を全てグランドに接続する(ステップS202)。CPU246は電極出力検出部172によりY軸方向の電極32−1、32−2、・・・32−nの出力を測定し、X軸方向の電極34−1、34−2、・・・34−nの出力を測定する(ステップS203)。静電容量の変化により電極の出力が変化する場合、CPU246は、指64を検知していると判定し(ステップS204のYes)、位置算出工程74−2に移行する。電極の出力が変化しない場合、CPU246は指64を検知していないと判定し(ステップS204のNo)、電極の出力測定を繰り返す。
圧力検出工程76−3では、タッチ圧力の大きさが求められる。CPU246は電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nのスキャン情報をすべてOFFにする。CPU246は切替スイッチ256により電極36−1、36−2、36−3をグランドから切断する(ステップS207)。CPU246は、座標計算部174により決定されたX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3を電源197に接続し(ステップS208)、充電を開始する。
CPU246は、電源197に接続した電極36−1、36−2、36−3の出力を電極出力検出部176により検出し、圧力測定部178により圧力を計算する(ステップS209)。CPU246は、X座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3を電源197から切断する(ステップS210)。CPU246はタッチ位置の検出に移行するので、電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続する(ステップS211)。
図21はスキャンの時間経過の一例を示している。X軸方向またはY軸方向の電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nがスキャンされている間、図21のAおよび図21のBに示すように、電極36−1、36−2、36−3はグランドにされ、LCD125の電磁波ノイズを遮蔽する。
指64がタッチパネル22に接触している場合、図21のBに示すように、電極36−1、36−2、36−3は、位置検出の場合と圧力検出の場合に分割される。電極36−1、36−2、36−3は、1スキャン毎にシールド層または電極として時分割に制御される。
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態で記載した利点が得られる他、タッチ位置検出時に電極36−1、36−2、36−3がシールド層として機能するので、LCD125からのノイズが電極36−1、36−2、36−3により減衰され、位置検出の検出精度の劣化が抑制される。
電極36−1、36−2、36−3は、時分割制御によりシールド層および電極として兼用されるので、シールド層を有する静電容量式タッチパネルと同じ積層構成でディスプレイ上のタッチによる圧力検出が可能である。つまり、圧力検出機能を含む場合であってもタッチスクリーン130の積層の厚みを変更する必要がない。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態について、図22を参照して説明する。図22は、第4の実施の形態に係る携帯端末装置の一例を示す図である。なお、図22に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図9、図16と同一部分には同一符号を付してある。
携帯端末装置302は、既述の電子機器102、202の一例であり、筐体304および既述のタッチスクリーン130を含んでいる。タッチスクリーン130は携帯端末装置302の前面側に設置されている。筐体304内には、既述のタッチパネルコントローラ128、228が設置され、既述のCPU14が設置されている。
タッチスクリーン130は、CPU14から画像データを受けて画像を表示し、タッチ操作を受け付ける。画像表示により、情報の出力が行われ、タッチ操作により、情報の入力が行われる。
第4の実施の形態によれば、上記の実施の形態で既述した効果のほか、携帯端末装置302のタッチ操作の応答速度が速い。
〔比較例〕
次に比較例に関し、図23を参照する。比較例では、電極536が静電容量の検出に用いられる。
比較例では、タッチスクリーン530が用いられる。タッチスクリーン530では、図23のAに示すように、タッチパネル22と圧力検出板524と接地板26とが重ねられる。圧力検出板524には、1つの電極536が形成されている。指64がタッチパネル22の外側面を押し、タッチパネル22に外部圧力が加わると、図23のBに示すように、タッチパネル22および圧力検出板524がLCD125側に移動し、圧力検出板524とLCD125との間の静電容量Czcが増加する。
電極536は圧力検出板524の前面にわたり配置されているので、静電容量Czcの静電容量は、電極536を分割している場合に比べて大きくなる。電極536を分割していない場合、静電容量Czcの電圧vcと充電時間との関係がたとえば図24のAに示すようになる。電圧vcが0[V]などの基準電圧から所定の閾値電圧Vthに到達するまでの時間は、時間t2になる。上記した実施の形態では、電極36−1、36−2、36−3の分割により、図24のBに示すように、閾値電圧Vthに到達するまでの時間t1が時間t2に比べて短くなる。
図25は、比較例に係るスキャンの時間経過の一例を示している。図25のAは第2の実施の形態に係るスキャンの時間経過と同様である。
指64がタッチパネル22に接触している場合、図25のBに示すように、圧力の電極536がスキャンされる。圧力のスキャンに時間Tp’がかかるので、1回のスキャンに要する時間は時間ST2’になる。
たとえば、第2の実施の形態に係る圧力スキャンの時間Tpは、図26のAおよび図26のBに示すように比較例に係る圧力スキャンの時間Tp’より短くなる。電極を分割することで圧力スキャンの時間および1スキャンの時間を短くすることができる。
上記した比較例では、電極536を圧力の検出に用いる場合について既述したが、電極536が位置検出の場合と圧力検出の場合に分割して、時分割に制御される場合も同様である。
以上説明した実施の形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、スマートフォン、携帯電話機を例示したが、本開示の電子機器は、パネルを用いて位置情報を入力する電子機器であればよい。たとえばパーソナルコンピュータ、カメラ、テレビ受像機、カーナビゲーションシステム、携帯ゲーム機、電子辞書などの電子機器であってもよい。また、電子機器は、工業用製品の製造装置またはこの製造装置に併設される制御装置であってもよい。
(2) 上記実施の形態では、電極36−1、36−2、36−3を3に分割したが、複数枚に分割され、電極の面積が小さくなれば良い。たとえば、図27に示すように、電極がY軸方向に3分割され、X軸方向に2分割され、6枚に分割されてもよい。電極の分割数は、たとえば圧力の検出にかかるスキャン時間が所定の範囲になるように決めることができる。また、電極36−1、36−2、36−3がシールド層として用いられる場合には、電極の分割数は、LCD等の表示部127が発生させる輻射ノイズに対するシールド性から決めることができる。分割は軸方向とは無関係に分割してもよい。
(3) 第3の実施の形態では、圧力検出の際にCPU246が切替スイッチ256により電極36−1、36−2、36−3をグランドから切断し(ステップS207)、電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続した(ステップS211)。切断または接続は、座標計算部174により決定されたX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3において行われればよく、座標に対応する電極36−1、36−2、36−3を含む一部の電極おいて切断また接続を行うようにしてもよい。たとえば図20に示すステップS207ではCPU246が座標計算部174により決定されたX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3をグランドから切断する。図20に示すステップS211ではCPU246が座標計算部174により決定されたX座標およびY座標に対応する電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続する。かかる構成であっても、接地板26をシールド層として機能させることで、LCD125の電磁波ノイズを遮蔽し、タッチパネル22への影響を軽減できる。
(4) 上記実施の形態では、静電容量の測定に関し、閾値Vthに到達するまでの時間を用いたが、静電容量を判断可能な方法であれば他の方法を用いてもよい。たとえば、図28に示すように電極が電圧Vになるまで充電を行い、放電時に電圧Vから閾値電圧Vthに達するまでの時間t4、t5を用いてもよい。電圧Vから閾値電圧Vthに達するまでの時間を用いる場合、比較例に係る圧力のスキャン時間は、図28のAに示すように、時間Tp’になる。一方、変形例に係るかかる圧力のスキャン時間は、図28のBに示すように、時間Tpになる。かかる場合であっても電極を分割することで、圧力のスキャン時間が短くなる。
(5) 上記実施の形態では、時分割制御に際し、CPU246がスキャン情報出力部272を含み、電極32−1、32−2、・・・32−n、34−1、34−2、・・・34−nのスキャン情報を出力した。電極36−1、36−2、36−3が時分割され、シールド層および電極の何れにも用いられれば、時分割制御は、他の制御を用いることができる。
図29に示すタッチパネルコントローラ628では、CPU646がスキャン情報出力部272に代えて、スキャン選択部672を含んでいる。スキャン選択部672は、X端子と、Y端子と、圧力端子とを含んでいる。
X軸方向のタッチ位置を検出する場合、スキャン選択部672はX端子からHiレベル信号を出力する。Hiレベル信号は、電極スキャン部642に入力され、電極スキャン部642によりX軸方向の位置検出が行われる。またHiレベル信号は、時分割制御部652のOR回路654に入力され、切替スイッチ256により電極36−1、36−2、36−3がグランドに接続される。
Y軸方向のタッチ位置を検出する場合、スキャン選択部672はY端子からHiレベル信号を出力する。Hiレベル信号は、電極スキャン部642に入力され、電極スキャン部642によりY軸方向の位置検出が行われる。またHiレベル信号は、時分割制御部652のOR回路654に入力され、切替スイッチ256により電極36−1、36−2、36−3がグランドに接続される。
タッチ圧力を検出する場合、スキャン選択部672は圧力端子からHiレベル信号を出力する。Hiレベル信号は、電極スキャン部642に入力され、電極スキャン部642により圧力の検出が行われる。またY端子およびX端子の出力はLowレベルであるので、切替スイッチ256により電極36−1、36−2、36−3がグランドから切断される。
斯かる変形例によれば、電極スキャン部642および時分割制御部652間で位置検出および圧力検出の情報が共有され、時分割制御の同期が図られる。
(6) 上記実施の形態では、時分割制御に際し、シールド層制御部252または時分割制御部652を接続線46に接続したが、電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続する構成であればよい。たとえば、図30に示すように切替スイッチ256を接続線46上に設置し、スキャン情報に基づき電極36−1、36−2、36−3をグランドに接続し、電極スイッチ142から切断するようにしてもよい。
(7) 第2の実施の形態から第4の実施の形態では、タッチパネル22とLCD125とが重ねられたタッチスクリーン130を用いる例を示したが、タッチパネル22とは分離して画像を表示するようにしてもよい。たとえば、LCD125の下側にタッチパネル22を配置し、タッチパネル22のタッチ操作によりLCD125に表示されるポインタを操作するようにしてもよい。また、LCD125を別の装置に設置し、有線または無線通信により操作するようにしてもよい。
(8) 上記実施の形態では、LCD125に画像を表示する例を示したが、有機ELディスプレイや、プラズマディスプレイなどの他の画像表示手段を用いてもよい。電極36−1、36−2、36−3をシールド層として用いる場合、他の画像表示手段からのノイズによる影響を抑えることができる。
以上説明したように、本開示の実施の形態等について説明したが、本開示は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。