JP6078447B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法、及び、親水性樹脂の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の製造方法、及び、親水性樹脂の製造方法 Download PDF

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本発明は、3−ヒドロキシカルボン酸、又は、その重合物を含む原料組成物を原料とする、(メタ)アクリル酸の製造方法、及び、親水性樹脂の製造方法に関する。
(メタ)アクリル酸は、アクリル樹脂や親水性樹脂の原料として工業的に広く利用されている。(メタ)アクリル酸の製法としては、固定床多管式連続反応器を用い酸化物触媒の存在下、化石資源由来の原料であるプロピレンやイソブチレンを、接触気相酸化によりアクロレインやメタクロレインとし、これを更に接触気相酸化する二段酸化方法が一般的である。しかしながら、化石資源からではなく、再生可能資源から(メタ)アクリル酸を製造することが望まれている。
再生可能資源であるバイオマス等を利用して、(メタ)アクリル酸を商業的規模で経済的に製造する試みが行われている。バイオマスからの(メタ)アクリル酸の生成方法としては、農作物等の天然物から、又は、セルロース等を分解して糖類を得、糖類を更に発酵させて3−ヒドロキシプロピオン酸(以下、3HPとも称す。)や3−ヒドロキシイソ酪酸等の3−ヒドロキシカルボン酸を得、この3−ヒドロキシカルボン酸を脱水する方法が挙げられる。
従来の(メタ)アクリル酸の生成方法として、下記特許文献1、2では、オリゴマーやダイマー等を経由する反応を1つの反応経路として含んでアクリル酸を製造することが開示されている。下記特許文献3には、アクリル酸及び/又はそのエステル及びその重合体の製法が開示され、下記特許文献4には、3HPからアクリル酸を製造する方法が開示されている。下記特許文献5〜7には、ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAとも称す。)というポリマーを原料としてアクリル酸を製造する方法が開示されている。
国際公開第2005/095320号 国際公開第2007/106100号 国際公開第2012/091114号 米国特許第2469701号明細書 米国特許第7166743号明細書 米国特許第6897338号明細書 国際公開第2011/100608号
上記のように、従来より(メタ)アクリル酸を製造する方法として種々の方法が報告されているが、いずれも高純度の(メタ)アクリル酸を得たり、生産性を高めたり、製造工程をより簡便なものにしたりする点において工夫の余地があった。
本発明の課題は、高純度の(メタ)アクリル酸をより簡便な方法で、かつ、高い生産性で安定して製造することができる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することである。また、本製法で得られた(メタ)アクリル酸を使用して、親水性樹脂の好適な製造方法を提供することである。
本発明者は、高純度の(メタ)アクリル酸をより簡便な方法で、かつ、高い生産性で安定して製造することができる製造方法について種々検討したところ、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物とした後、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を原料として(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行い、該液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸となるようにする製造方法を見出した。本発明者は、そのような製造方法で(メタ)アクリル酸を製造すれば、これまでよりも少ない工程で、かつ、高い生産性で安定してより高純度の(メタ)アクリル酸を製造することができることを見いだし、更に、このようにして得られた(メタ)アクリル酸を使用する親水性樹脂の好適な製造方法も見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、3−ヒドロキシカルボン酸を原料として(メタ)アクリル酸を製造する方法であって、上記製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程と、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程とを含み、上記液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸である(メタ)アクリル酸の製造方法である。
本発明はまた、3−ヒドロキシカルボン酸を原料として親水性樹脂を製造する方法であって、上記製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる第1重合工程と、上記3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程と、上記(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂を生成させる第2重合工程とを含み、上記液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸である親水性樹脂の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程と、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程とを含む限り、その他の工程を含んでもよいが、上記液相反応を行う工程における主生成物が(メタ)アクリル酸であること、つまり上記液相反応工程において(メタ)アクリル酸を高い収率で得られることは本発明の製造方法の大きな特徴の1つである。さらに(メタ)アクリル酸を生成させる工程が実質的に液相反応のみ(1段での反応)であることが好ましい。ここで実質的に液相反応のみというのは、本発明において反応で生成する(メタ)アクリル酸の大半が生成されるのは上記液相反応工程においてであることを意味する。3−ヒドロキシカルボン酸又はその重合物から(メタ)アクリル酸を合成するための反応工程が、実質的に液相反応工程のみであることは、簡便な製造工程により(メタ)アクリル酸を製造する点から好ましい。本製造方法で生成する(メタ)アクリル酸のうち、上記液相反応工程で生成する(メタ)アクリル酸の割合は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が一層好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法が含むその他の工程としては、後述する精製工程等が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、重合工程により3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させた後、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる。
3−ヒドロキシカルボン酸から脱水反応によって直接(メタ)アクリル酸を生成させることは知られているが、3−ヒドロキシカルボン酸はオリゴマー化(重合)しやすいため、モノマーの状態で存在させるには、非常に薄い溶液で存在させる必要がある。その場合、反応において、反応器が大きくなる、加熱のための熱量が大きくなる等の問題がある。また反応が気相反応等の蒸発を伴う反応の場合、必要な熱量は莫大なものとなる。
また3−ヒドロキシカルボン酸の脱水反応(分子内脱水反応)は、一般的には高温条件が必要で、触媒を用いても、活性の劣化があることが知られている。一方、3−ヒドロキシカルボン酸の重合は、反応機構や生成物は異なるものの、脱水反応(分子間脱水反応)の一種であり、3−ヒドロキシカルボン酸の水酸基を減少させる点では同じである。この反応は比較的低温で起こり、3−ヒドロキシカルボン酸が高濃度であれば、室温でも容易に進行し、また無触媒でも進行する。生成した重合物から(メタ)アクリル酸を得るには、さらに重合物の分解が必要であるが、3−ヒドロキシカルボン酸から(メタ)アクリル酸を得るには、脱水反応は必須である。
穏やかな条件で実施できる重合反応(オリゴマー化反応)で、脱水反応を進行させ、3−ヒドロキシカルボン酸の水酸基を減少させておくことで、続く液相反応である(メタ)アクリル酸生成工程で容易に(メタ)アクリル酸を生成させることができる。(メタ)アクリル酸生成工程で、残存している水酸基をさらに分子内脱水反応させることで(メタ)アクリル酸を生成させる場合でも、予め実施している重合反応(オリゴマー化反応)による水酸基の減少により、分子内脱水反応の負荷が小さくなり、より効率的に(メタ)アクリル酸を生成させることができる。
以下においては、まず、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程、及び、該重合工程で生成される3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物について記載する。
<重合工程、及び、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物>
上記3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程は、3−ヒドロキシカルボン酸の精製・濃縮操作(工程)であることが好ましい。例えば、3−ヒドロキシカルボン酸の発酵液を精製・濃縮する操作であることが好ましい。3−ヒドロキシカルボン酸の発酵液は、3−ヒドロキシカルボン酸の濃度がそれほど高くなく、また各種の不純物を含んでいるため、そのまま(メタ)アクリル酸生成工程で使用すると、(メタ)アクリル酸収率の低下、得られる(メタ)アクリル酸の純度の低下、反応装置内の汚れによる洗浄の必要が生じる、加熱に要する熱量が非常に大きくなる等、種々の問題が生じる可能性があり、発酵液を精製・濃縮することが好ましい。なお、精製・濃縮操作(工程)は、操作によっては精製と濃縮とを別々に行う場合と、精製と濃縮とが同時に行われる場合とがあるが、いずれの場合であってもよい。
また、精製・濃縮操作(工程)で得られた3−ヒドロキシカルボン酸を所定の条件で保管し、その間に重合を進行させることもできる。
上記重合工程における精製・濃縮操作(工程)は、3−ヒドロキシカルボン酸の溶液を、膜分離、蒸留・蒸発、電気透析、晶析及び抽出からなる群より選択される少なくとも1つの操作を含む工程により行うものであることが好ましい。またその際、40℃以上で操作される工程を有していることが好ましい。より好ましくは50℃以上で操作される工程を有することであり、一層好ましくは60℃以上で操作される工程を有することである。これにより、重合反応(オリゴマー化)がより速く進む。
本発明で用いる3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物は、3−ヒドロキシカルボン酸重合物を含み、該3−ヒドロキシカルボン酸重合物のうち3量体以上(後述する式(1)においてaが2以上)のものの合計が、3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物の合計100質量%に対して、3質量%以上であることが好ましい。
3−ヒドロキシカルボン酸のモノマー溶液は経時的にオリゴマー化が進行し、組成が安定せず、(メタ)アクリル酸を得るための反応が安定せず、収率が振れたり、その結果精製工程においても組成が安定せず、品質に振れが生じたりするおそれがある。しかし、3−ヒドロキシカルボン酸のオリゴマー化を充分に進行させ、3−ヒドロキシカルボン酸重合物のうち3量体以上のものの合計が、3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物の合計100質量%に対して、3質量%以上となるようにすることで、原料組成物の組成が比較的安定になり(平衡状態に近い)、後の液相反応工程が安定し、工業的に好適なものとなるとともに、反応を安定化させるための操作、設備が不要となり、コストを削減することができる。
(メタ)アクリル酸の収率向上等の観点から、3−ヒドロキシカルボン酸重合物のうち3量体以上のものの合計は、より好ましくは、3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物の合計100質量%に対して、5質量%以上であり、更に好ましくは、7質量%以上である。より更に好ましくは10質量%以上であり、一層好ましくは15質量%以上であり、特に好ましくは、20質量%以上であり、最も好ましくは25質量%以上である。また、原料組成物の調製にかかるコストや設備の点から、該濃度は、95質量%以下が好ましい。より好ましくは、90質量%以下である。
また(メタ)アクリル酸の収率向上等の観点からは、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物は、3−ヒドロキシカルボン酸重合物を含み、該3−ヒドロキシカルボン酸重合物のうち3量体(後述する式(1)においてa=2)〜20量体(後述する式(1)においてa=19)の合計が、3−ヒドロキシカルボン酸と3−ヒドロキシカルボン酸重合物の合計100質量%に対して、3質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、更により好ましくは15質量%以上であり、一層好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上であり、最も好ましくは40質量%以上である。
なお、3−ヒドロキシカルボン酸や2量体〜20量体程度の成分は、液体クロマトグラフィーで、それ以上の成分はサイズ排除クロマトグラフィーで、分析することができる。
原料組成物中に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸単位は、液体クロマトグラフィーやサイズ排除クロマトグラフィーの分析値から求めることができる。また、3−ヒドロキシカルボン酸重合物を含む原料組成物を、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液中で加熱し、加水分解させ、液体クロマトグラフィーで、生成した3−ヒドロキシカルボン酸を定量することにより求めることもできる。
なお、3−ヒドロキシカルボン酸単位とは、−CH−CHR−COO−(Rは水素又はメチル基)を意味する。また、3−ヒドロキシカルボン酸1モルは、3−ヒドロキシカルボン酸単位1モル;3−ヒドロキシカルボン酸2量体1モルは、3−ヒドロキシカルボン酸単位2モル;3−ヒドロキシカルボン酸3量体1モルは、3−ヒドロキシカルボン酸単位3モル;・・・というようにカウントする。
ここで、本明細書において、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物とは、3−ヒドロキシカルボン酸が分子間エステル結合にて連なった多量体を意味する。
3−ヒドロキシカルボン酸の重合物としては、例えば3HPの重合物を例に挙げると、下式(1)に示すように、3HPの水酸基とカルボキシル基が分子間エステル結合したポリエステルが挙げられる。
式中、aは1以上の任意の値を取り得るが、本発明においては、以下のように、特定の範囲のaの値を有する重合物が、特定の割合で原料組成物中に含まれていることにより、生産性を向上し、かつ(メタ)アクリル酸を低コストで安定して製造することができる。式(1)において、aが1の場合は3HPの2量体、aが2の場合は3HPの3量体である。ちなみにaが0の場合は3HPの単量体(モノマー)である。本発明における3−ヒドロキシカルボン酸の重合物は、aが1以上のものが複数種含まれた混合物になる場合がほとんどであり、特定の範囲のaの値を有する重合物が、特定の割合で原料組成物中に含まれていることが特徴である。
Figure 0006078447
3−ヒドロキシカルボン酸は、分子間脱水反応によりエステル結合で連なったオリゴマーやポリマーを形成しやすい。この反応は、濃度、温度や共存化合物等の条件によっては非常に進行しやすい場合があり、室温での保管中でもオリゴマーが生成し、いずれは平衡組成に達する。更に後述するように、3−ヒドロキシカルボン酸を微生物を用いた発酵工程から得る場合、発酵液からの精製や濃縮工程等で加熱されると、より一層オリゴマー生成速度は速くなる。また、オリゴマー化反応は、水が副生する平衡反応であるため、その平衡組成は水の濃度に依存し、水濃度が高いと低分子量オリゴマーが多くなり、水濃度が低いと高分子量オリゴマーが多くなる。
一方、高分子量の3−ヒドロキシカルボン酸の重合物は、3−ヒドロキシカルボン酸から水を除去しながら調製することができる。例えば、加熱によりオリゴマーを形成し、更に減圧下、触媒存在下で、水を除去しながら反応させることで取得できる。この場合も、水の除去程度によって、平均分子量や3量体以上のオリゴマーの含有量は変化する。また、3−ヒドロキシカルボン酸を微生物を用いた発酵工程から得る場合、微生物中で高分子量の3−ヒドロキシカルボン酸重合物を形成させることもできる。
上記3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物の総量の濃度は、該組成物100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、一層好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。また、該濃度は、95質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、93質量%以下であり、更に好ましくは、90質量%以下である。
なお、溶質の濃度を高め(例えば、15質量%以上)、水の濃度を低下させる場合は、これにより(メタ)アクリル酸の生成工程等での加熱や蒸発にかかるコストをも削減することができる。一方、95質量%以下とすることで、高濃度化に必要な過度な加熱や設備が不要となり、コスト的に有利である。
また原料組成物に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸の重合物の濃度は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは15〜93質量%、更に好ましくは20〜90質量%、特に好ましくは30〜90質量%、最も好ましくは40〜90質量%である。
3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物には溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物を溶解できるものであれば、特に限定されないが、例えば、水、アルコール、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アミン、アミド等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上でも用いることができる。溶媒の沸点は、気化が容易になるため3−ヒドロキシカルボン酸の沸点よりも低い方が好ましい。例えば、水が好ましい。
原料組成物中に溶媒を含有させる場合、原料組成物100質量%における溶媒の濃度は、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは7〜85質量%、更に好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは10〜70質量%、最も好ましくは10〜60質量%である。溶媒の濃度が5質量%以上であれば、粘度の低下により原料組成物の取り扱いが容易になり、また(メタ)アクリル酸生成工程で原料組成物や生成物の蒸発を伴う場合は、3−ヒドロキシカルボン酸、その重合物、アクリル酸やその重合物の蒸発が促進される効果が期待できる。一方、90質量%以下とすることにより、加熱や蒸発にかかる熱量を抑制し、用役費の低減に寄与できる。
原料組成物中に水を含有させる場合、上述のように水が3−ヒドロキシカルボン酸の重合物の組成分布に影響を与えるため、水の濃度を適切に調整することが好ましい。水の濃度は、上述した溶媒の濃度と同様であることが好ましい。
3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物には、3−ヒドロキシカルボン酸やその重合物以外の成分、例えば、3−ヒドロキシカルボン酸を発酵等により合成する際の副生物等が含まれていてもよい。当該副生物としては、具体的には、発酵において3−ヒドロキシカルボン酸と共に副生される可能性のある、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、フマル酸、ピルビン酸、グリコール酸、乳酸、エタノール、アミノ酸類、1,3−プロパンジオール、グリセリン、ヒドロキシプロピオンアルデヒド、アラニン等が例示される。
次に、上記重合工程で生成された3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う液相反応工程について記載する。
<液相反応工程>
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、上記のようにして重合工程で得られた3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から液相反応により(メタ)アクリル酸を生成させる。
液相反応工程では、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を、例えば加熱したり、触媒と接触させる等の方法で反応させることで、(メタ)アクリル酸を生成させることができる。特に加熱することにより反応させることが好ましい。反応時には、重合物のエステル基が分解することで、3−ヒドロキシカルボン酸、重合度が低下した3−ヒドロキシカルボン酸の重合物、アクリル酸やアクリル酸の重合物が生成する反応や、3−ヒドロキシカルボン酸や3−ヒドロキシカルボン酸の重合物の水酸基が脱水することで、アクリル酸やアクリル酸の重合物が生成する反応が起こる。これらの反応が複合的に進行することで、(メタ)アクリル酸を効果的に生成することができる。
上記液相反応工程では、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物は加熱されることが好ましい。加熱は、触媒の存在下、非存在下のいずれにおいても行うことができる。
触媒の非存在下で加熱を実施する場合、加熱温度は、130〜500℃が好ましく、140〜450℃がより好ましく、150〜400℃が更に好ましい。130℃未満では、加熱が不十分で、(メタ)アクリル酸収率の低下や、未反応の重合物が加熱器内に蓄積し、内部の閉塞、熱伝導度の低下による加熱効率の低下の虞がある。また、500℃を超えると、加熱による副生物の生成が多くなり、(メタ)アクリル酸収率の低下や、得られた(メタ)アクリル酸の純度の低下、後述する(メタ)アクリル酸精製工程の煩雑化等の懸念がある。
触媒の存在下で加熱を実施する場合、加熱温度は、100〜500℃が好ましく、130〜450℃がより好ましい。
上記加熱で触媒を用いる場合、用いる触媒は特に限定されず、例えば下記のような酸触媒や塩基触媒が挙げられ、特に固体酸触媒や固体塩基触媒が好ましい。
例えばゼオライト等の結晶性メタロシリケート;結晶性メタロシリケートに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等を、イオン交換等の方法によって担持したもの;カオリナイト、ベントナイト、モンモリロナイト等の天然又は合成粘土化合物;硫酸、ヘテロポリ酸、リン酸又はリン酸塩(リン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、リン酸マンガン、リン酸ジルコニウム等)、アルカリ金属、アルカリ土類金属を、アルミナやシリカ等の担体に担持させた触媒;Al、SiO、TiO、ZrO、SnO、V、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−ZrO、TiO−WO、TiO−ZrO等の無機酸化物又は無機複合酸化物;MgSO、Al(SO、KSO、AlPO、Zr(SO等の金属の硫酸塩、リン酸塩等の固体酸性物質;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の固体塩基性物質;等が挙げられる。好適には、Al、SiO、SiO−Al、TiO、ゼオライト、ゼオライトにアルカリ金属やアルカリ土類金属を担持したもの、リン酸やリン酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属をシリカ等の担体に担持した触媒である。
触媒は使用してもしなくてもよいが、より簡便に無触媒で加熱により(メタ)アクリル酸生成工程を実施することも好適な実施形態である。
上記液相反応工程を行う反応容器内の圧力は特に限定されないが、反応液を反応器から液体で抜き出す場合、生成した(メタ)アクリル酸を反応器から気体で抜きだす場合等、反応形式に応じて設定することができる。特に生成した(メタ)アクリル酸を気体で抜き出す場合は、圧力によって反応液温度や組成を制御することができる。反応器内の圧力としては、好ましくは10kPa〜1000kPaであり、より好ましくは30kPa〜900kPaであり、更に好ましくは50kPa〜800kPaである。
上記液相反応工程に用いる反応器は、加熱ができればよく、複雑な装置を必要としない。このように、比較的簡易な装置を用いて行うことができる点も本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法の有利な効果の1つである。
上記反応器は、液体で供給する原料組成物に効率的に熱を伝える構造を有していることが好ましい。例えば、水平管型や垂直管型の自然循環式加熱器、強制循環式加熱器、多管式熱交換器、薄膜式熱交換器等が挙げられる。また反応器の外側のジャケットや、反応器内部にコイルを設置し、加熱する方式を併用しても良い。
本発明の製造方法における液相反応工程は、一定量の液相を加熱器内保持し、そこに原料組成物を液体で供給しながら(メタ)アクリル酸を生成する反応を液相で行い、生成した(メタ)アクリル酸類を蒸発させて反応器内から留去する方法により行うことが好ましい。軽沸点成分である(メタ)アクリル酸類をガス状で抜き出すことで、分解が不十分な未反応オリゴマー類は反応液中に残存し、(メタ)アクリル酸の収率を向上させることができる。
(メタ)アクリル酸の生成に必要な滞留時間は、温度、圧力、加熱量、原料組成物の供給速度や反応器内に存在する液相の量によって制御することができる。また3−ヒドロキシカルボン酸や、低重合度の3−ヒドロキシカルボン酸の重合物や(メタ)アクリル酸の重合物の留出を抑制するために、反応器に蒸留塔を設置し還流をかけてもよい。
また本発明の製造方法における液相反応工程では、加熱生成物の蒸発を容易にするために、不活性気体の存在下に加熱工程を実施することが好ましい。不活性気体としては、水蒸気、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。好ましくは、水蒸気、窒素である。
不活性気体の供給量としては、原料組成物に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸単位のモル数の0.05モル倍〜100モル倍が好ましく、0.1モル倍〜50モル倍がより好ましい。原料組成物中に水が含まれる場合は、その水が加熱工程で蒸発して生成した水蒸気も、上記不活性気体に含める。
上記のような、好ましい条件で液相反応工程を行うことで、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物が反応して低分子化(分解)し、より効率よく(メタ)アクリル酸を生成させることができる。また原料組成物に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸や、重合物の分解により生成した3−ヒドロキシカルボン酸が脱水することで、更に(メタ)アクリル酸を生成させることができる。これらにより、(メタ)アクリル酸の収率をより高めることができる。
また上記のような原料組成物を用いた液相反応を行うことによって、酢酸、プロピオン酸や2−メチルプロピオン酸といった、(メタ)アクリル酸との分離が難しい副生物の生成量を大きく低減させることが可能となる。そのため、(メタ)アクリル酸の精製工程が簡便となったり、より高純度の(メタ)アクリル酸を得ることができる。
上記液相反応工程は、生成した(メタ)アクリル酸やそれらの重合物の二重結合部分が重合するラジカル重合を抑制するために、重合禁止剤の存在下で行っても良い。重合禁止剤としては、メトキノン、酢酸マンガン、ニトロソフェノール、クペロン、N−オキシル化合物、ジブチルチオカルバミン酸銅、フェノチアジン、ハイドロキノン等が例示できる。また、必要に応じて酸素含有ガスを供給してもよい。
上記重合禁止剤を用いる場合、液相反応工程に用いられる(メタ)アクリル酸の重合物に対して、1〜5000ppmとなる量を用いることが好ましい。より好ましくは、10〜3000ppmとなる量を用いることであり、更に好ましくは、30〜1000ppmとなる量を用いることである。
上記液相反応工程において、液相反応工程を行う反応容器出口から得られる反応生成物を冷却して(メタ)アクリル酸を含む組成物を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応生成物が液体の場合は、熱交換器で冷却する、反応生成物が気体の場合は、反応生成ガスを熱交換器に導入し、反応生成ガスの露点以下の温度で凝縮して得る方法や、反応生成ガスを溶剤等の捕集剤に接触させて吸収する方法等により冷却して(冷却工程)、(メタ)アクリル酸を含む組成物を得ることができる。
上記液相反応工程で得られる生成物中の主生成物は(メタ)アクリル酸である。ここで、主生成物であるとは、生成物全体100モル%に対する(メタ)アクリル酸の割合が50モル%以上であることを意味する。これは、使用した反応原料に対する(メタ)アクリル酸の収率が50モル%以上であると言い換えることもできる。
液相反応工程における(メタ)アクリル酸の収率は、60モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、70モル%以上であり、更に好ましくは、80モル%以上であり、特に好ましくは、90モル%以上である。
このように液相反応工程において、高収率で(メタ)アクリル酸を生成させることができるため、液相反応工程で得られた反応液は、引き続く反応工程等のさらに収率を向上させる工程を経ることなく、精製工程へ移送することが好ましい。つまり、液相反応工程で得られた反応液を、液相反応工程後、直接、精製工程を設けて移送することにより、精製工程で3−ヒドロキシカルボン酸、重合度が低下した3−ヒドロキシカルボン酸の重合物や(メタ)アクリル酸の重合物を精製工程で分離し、効率よくリサイクルすることができるため好ましい。
<精製工程>
上記液相反応工程で得られる生成物を含む反応溶液には、主な反応生成物である(メタ)アクリル酸が含まれており、その他に副生物や原料組成物中の溶媒や不純物が含まれる場合がある。溶媒が水の場合は、(メタ)アクリル酸の水溶液の状態で重合物製造の原料とすることができる。また、精製工程を加えることにより、高純度の(メタ)アクリル酸にすることができる。
精製工程は、膜分離、蒸留、抽出、晶析等の公知の技術により実施でき、それらを組み合わせて実施してもよい。これらの中でも、精製工程は、晶析により(メタ)アクリル酸を精製する工程であることが好ましい。
上記のガス状の反応生成物を、冷却凝縮や溶剤捕集等により液化し、必要に応じて、この液化物に含まれる水や捕集溶剤を従来公知の方法(例えば、蒸留)により除去したものを、晶析方法によって高純度の(メタ)アクリル酸を得る方法を以下に示す。
ここで、粗(メタ)アクリル酸とは、冷却工程で得られた(メタ)アクリル酸を含む組成物を指し、特に(メタ)アクリル酸の水溶液が好適に用いられる。
晶析工程は、粗(メタ)アクリル酸からプロピオン酸を分離することができる従来公知の方法、例えば、特開平9−227445号公報や特表2002−519402号公報に記載された方法等を用いて行うことができる。
上記液相反応で得られた反応生成物の捕集や精製工程は、重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。重合禁止剤としては、メトキノン、酢酸マンガン、ニトロソフェノール、クペロン、N−オキシル化合物、ジブチルチオカルバミン酸銅、フェノチアジン、ハイドロキノン等が例示できる。また、必要に応じて酸素含有ガスを供給してもよい。
(メタ)アクリル酸生成工程にて得られた生成物から、例えば上記のような精製工程で(メタ)アクリル酸を分離した後、残った不純物は、リサイクルして再利用することができる。例えば3−ヒドロキシカルボン酸、重合度が低下した3−ヒドロキシカルボン酸の重合物や(メタ)アクリル酸の重合物を重合工程や液相反応工程の原料として再利用することで(メタ)アクリル酸の収率を向上させることができる。
次に、リサイクル工程について記載する。
<リサイクル工程>
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、上記のような精製工程で(メタ)アクリル酸を分離した後に残った不純物を再利用する工程(リサイクル工程)を行うことが好ましい。ここで不純物とは、反応生成物に含まれるもののうち、(メタ)アクリル酸の原料となりうるもの、すなわち3−ヒドロキシカルボン酸、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物、(メタ)アクリル酸の重合物を指す。例えば、反応終了後に残存した3−ヒドロキシカルボン酸や上記オリゴマーを上述した各工程の原料として再利用することが好ましい。
本発明の液相反応工程では、酢酸、プロピオン酸あるいはその他の副生物の生成が少なく、反応生成物に含まれる(メタ)アクリル酸以外の成分の大部分は、上記の3−ヒドロキシカルボン酸、3−ヒドロキシカルボン酸の重合物、(メタ)アクリル酸の重合物といった(メタ)アクリル酸の原料となりうるものであり、リサイクル工程を非常に簡便に実施することができる。例えば精製工程で蒸留を実施する場合は蒸留ボトムを、晶析を実施する場合は晶析母液をそのままリサイクルすることができ、非常に効率的である。
以下に、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法に係る反応式を例示する図と、該反応式に更にリサイクル工程を適用した図とを示す。
図1は、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法に係る3HPを原料とする反応式を例示する図である。図1で示した反応式は、重合工程及びアクリル酸生成工程を含む。本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法では、上述したとおり、アクリル酸生成工程を液相反応工程のみで行うことが好ましい。
図2は、図1から更に、不純物を再利用する工程を示す図である。本発明に係る反応工程においては、主生成物としてアクリル酸を生成するとともに、3HPや、(原料より)低分子化されたオリゴマー等の不純物が残存する場合がある。図2で示した反応式は、アクリル酸生成工程後に残存した不純物を重合工程やアクリル酸生成工程の原料として再利用する。このように不純物を、上記各工程の原料として再利用することが好ましい。
<3−ヒドロキシカルボン酸、及び、その生成方法>
本発明における3−ヒドロキシカルボン酸としては、3HP、3−ヒドロキシイソ酪酸等が挙げられる。好ましくは、3HPである。また、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。好ましくは、アクリル酸である。
上記3−ヒドロキシカルボン酸は、1種でも2種以上でも用いることができる。また、(メタ)アクリル酸は、使用した3−ヒドロキシカルボン酸の種類に応じて得られる。
本発明で用いられる3−ヒドロキシカルボン酸は、種々の源から得ることができるが、地球温暖化の抑制及び環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来資源から得ることが好ましい。具体的には、農作物等から得られる糖類やセルロース等を分解して得られる糖類から、更に発酵により調製されたものを用いることができる。
本発明においては、原料組成物中に含まれる3−ヒドロキシカルボン酸の少なくとも一部又は全部が、発酵により得られる3−ヒドロキシカルボン酸であることが好ましい。
すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、発酵工程を含み、該発酵工程により、原料としての3−ヒドロキシカルボン酸を生成させる製造方法であることが好ましい。
また3−ヒドロキシカルボン酸の原料として、バイオマス等の生物由来資源であることが好ましい。
生物由来資源から3−ヒドロキシカルボン酸を得る方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、国際公開第2008/027742号に記載されている、Streptomyces griseus ATCC21897由来beta−alanine aminotransferase遺伝子導入大腸菌を用いた、グルコースを炭素源とした発酵により得る方法を用いることができる。また、国際公開第2001/016346号に記載されている、Klebsiella pneumoniae由来グリセリン脱水酵素及び大腸菌由来アルデヒド酸化酵素導入大腸菌を用いた、グリセリンを炭素源とした発酵によっても得る方法も用いることができる。
3−ヒドロキシカルボン酸の入手方法の例として上記公知文献を記載したが、発酵に用いる微生物又は遺伝子組換え微生物は特に限定されず、3−ヒドロキシカルボン酸生成能を有する生物を用いた発酵により入手した3−ヒドロキシカルボン酸であれば、本発明の製法で利用可能である。また、発酵以外にも、原料とする糖類と生物とを接触させることにより生成した3−ヒドロキシカルボン酸でも、本発明の製法で(メタ)アクリル酸へ変換することができる。
本発明に用いる3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む原料組成物は、発酵工程を経て得られたものであって、より不純物が少ない原料組成物であることが好ましい。発酵工程を経て得られる原料組成物中の不純物としては、例えば、発酵液に通常含まれる、菌体、タンパク質、アミノ酸、グルコース、塩類等や上述した発酵副生物が挙げられる。
不純物が少ない原料組成物を得る方法としては、発酵液からの精製工程を経た3−ヒドロキシカルボン酸を用いて、原料組成物を調製する方法が挙げられる。発酵液からの精製工程には、公知の方法が利用可能である。具体的には、発酵により得られた粗製3−ヒドロキシカルボン酸を、カルシウム塩を用いて沈殿させて、3−ヒドロキシカルボン酸のカルシウム塩として回収した後、硫酸等の酸と反応させて、3−ヒドロキシカルボン酸を精製する方法;発酵により得たアンモニウム型の3−ヒドロキシカルボン酸を、電気透析又は陽イオン交換法によって3−ヒドロキシカルボン酸に化学変換させて精製する方法;等が利用できる。
さらに一般的な濾布やMF膜(精密濾過膜)やUF膜(限外濾過膜)を用いた不純物の除去や、RO膜(逆浸透膜)を用いた3−ヒドロキシカルボン酸の濃縮等、膜分離操作を利用することもできる。
また、発酵により得られた3−ヒドロキシカルボン酸やそのアンモニウム塩の水溶液に、水に不混和性のアミン溶媒を添加し必要に応じて加熱することにより、3−ヒドロキシカルボン酸のアミン溶液を抽出にて得ることができる。そこに水を加えて加熱することにより逆抽出して、3−ヒドロキシカルボン酸の水溶液を得ることができる。
また、3−ヒドロキシカルボン酸の蒸気圧を利用して、蒸発や蒸留にて精製することもできる。しかし、3−ヒドロキシカルボン酸の蒸気圧は小さいため、高減圧下での操作が好ましい。
更に、3−ヒドロキシカルボン酸をアルコールによってエステル化し、得られた3−ヒドロキシカルボン酸エステルを蒸留にて精製・濃縮した後、3−ヒドロキシカルボン酸エステルを加水分解することで、精製した3−ヒドロキシカルボン酸を得ることもできる。
また、3−ヒドロキシカルボン酸水溶液から、蒸発や蒸留操作によって、水を除去し、濃縮することができる。例えば多重効用缶を使用する方法は好適な例である。
3−ヒドロキシカルボン酸の重合工程の中で、上記のような操作を単独で行ったり、組み合わせて行ったりすることで、3−ヒドロキシカルボン酸を精製・濃縮しつつ、3−ヒドロキシカルボン酸重合物を含む原料組成物を得ることができる。
以上の方法により、(メタ)アクリル酸を製造することができる。かくして製造された(メタ)アクリル酸は、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等の親水性樹脂;等の合成原料として有用である。従って、本発明による(メタ)アクリル酸の製造方法は、(メタ)アクリル酸誘導体や親水性樹脂の製造方法に取り入れることが当然可能であり、そのような親水性樹脂の製造方法もまた、本発明の1つである。
すなわち、3−ヒドロキシカルボン酸を原料として親水性樹脂を製造する方法であって、該製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる第1重合工程と、該3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程と、該(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂を生成させる第2重合工程とを含み、該液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸である親水性樹脂の製造方法もまた、本発明の1つである。
以下に、本発明の親水性樹脂の製造方法について説明する。
<親水性樹脂の製造方法>
本発明の親水性樹脂の製造方法は、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法を製造工程の一部として含む。すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸は、吸水性樹脂や水溶性樹脂等の親水性樹脂の原料として用いることができる。本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸を、吸水性樹脂や水溶性樹脂等の親水性樹脂を製造するための原料として用いた場合、重合反応を制御しやすく、得られた親水性樹脂の品質が安定し、吸水性能、無機材料の分散性能等の各種性能が改善される。
なお、本明細書中、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程を第1重合工程と言い、本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂を生成させる重合工程を第2重合工程と言うことがある。
本発明の親水性樹脂の製造方法は、第1重合工程、液相反応工程、第2重合工程を含むものである限り、その他の工程を含むものであってもよい。
本発明の親水性樹脂の製造方法で製造される親水性樹脂は、吸水性樹脂であることが好ましい。
本発明の親水性樹脂の製造方法で吸水性樹脂を製造する場合には、例えば、本発明の製造方法と同じ工程により得られた(メタ)アクリル酸、及び/又は、その塩((メタ)アクリル酸を部分中和して得た塩)を単量体成分の主成分(好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上)とし、さらに0.001〜5モル%((メタ)アクリル酸に対する値)程度の架橋剤、0.001〜2モル%(単量体成分に対する値)程度のラジカル重合開始剤を用いて、架橋重合させた後、乾燥・粉砕することにより、吸水性樹脂を得ることができる。
ここで、吸水性樹脂とは、架橋構造を有する水膨潤性水不溶性のポリ(メタ)アクリル酸であって、自重の3倍以上、好ましくは10〜1000倍の純水又は生理食塩水を吸水することにより、水溶性成分(水可溶分)が好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である水不溶性ヒドロゲルを生成するポリ(メタ)アクリル酸を意味する。
このような吸水性樹脂の具体例や物性測定法は、例えば、米国特許第6,107,358号、米国特許第6,174,978号、米国特許第6,241,928号等に記載されている。
また、(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂を生成させる、上記第2重合工程について、生産性向上の観点から好ましい製造方法は、例えば、米国特許第6,867,269号、米国特許第6,906,159号、米国特許第7,091,253号、国際公開第2001/038402号、国際公開第2006/034806号等に記載されている。
上記第2重合工程、すなわち、(メタ)アクリル酸を出発原料として、中和、重合、乾燥等により、吸水性樹脂を製造する一連の工程は、例えば以下の通りである。
本発明の親水性樹脂の製造方法の第1重合工程と液相反応工程とを行うことで得られる(メタ)アクリル酸の一部は、ラインを介して、吸水性樹脂の製造プロセスに供給される。吸収性樹脂の製造プロセスにおいては、(メタ)アクリル酸を中和工程、重合工程、乾燥工程に導入して、所望の処理を施すことにより、吸水性樹脂を製造する。各種物性の改善を目的として所望の処理を施してもよく、例えば、重合中又は重合後に架橋工程を介在させてもよい。
中和工程は、任意の工程であり、例えば、所定量の塩基性物質の粉末又は水溶液と、(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸(塩)とを混合する方法が例示されるが、従来公知の方法を採用すればよく、特に限定されるものではない。なお、中和工程は、重合前又は重合後のいずれで行なってもよく、また、重合前後の両方で行なってもよい。
(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸(塩)の中和に用いられる塩基性物質としては、例えば、炭酸(水素)塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等、従来公知の塩基性物質を適宜用いればよい。
また、ポリ(メタ)アクリル酸の中和率は、特に限定されるものではなく、任意の中和率(例えば、30〜100モル%の範囲内における任意の値)となるように調整すればよい。
上記(メタ)アクリル酸を重合する工程における重合方法は、特に限定されるものではなく、ラジカル重合開始剤による重合、放射線重合、電子線や活性エネルギー線の照射による重合、光増感剤による紫外線重合等、従来公知の重合方法を用いればよい。また、重合開始剤、重合条件等の各種条件については、任意に選択することができる。もちろん、必要に応じて、架橋剤や他の単量体、さらには水溶性連鎖移動剤や親水性高分子等、従来公知の添加剤を添加してもよい。
上記(メタ)アクリル酸を重合する工程を行った後の(メタ)アクリル酸塩系ポリマー(すなわち、吸水性樹脂)は、乾燥工程に付される。乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、熱風乾燥機、流動層乾燥機、ナウター式乾燥機等、従来公知の乾燥手段を用いて、所望の乾燥温度、好ましくは70〜230℃で、適宜乾燥させればよい。乾燥工程を経て得られた吸水性樹脂は、そのまま用いてもよく、さらに所望の形状に造粒・粉砕、表面架橋をしてから用いてもよく、還元剤、香料、バインダー等の従来公知の添加剤を添加する等、用途に応じた後処理を施してから用いてもよい。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、上述の構成よりなり、(メタ)アクリル酸を製造するための反応工程として、液相反応のみの1段反応で、高い収率で(メタ)アクリル酸を得ることができ、(メタ)アクリル酸を簡便な方法で、かつ、高い生産性で安定して製造することができる製造方法である。
図1は、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法に係る3HPを原料とする反応式を例示する図である。 図2は、図1に、更に不純物を再利用する工程を追加した図である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下ことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。また、表1中、「2量体」〜「16量体」は、それぞれ、3HPの「2量体」〜「16量体」を示す。
また、下記調製例、実施例、比較例における液体クロマトグラフィー分析等は、以下の条件により行った。
(液体クロマトグラフィーの分析条件)
使用カラム:Inertsil ODS−4(ジーエルサイエンス株式会社製) 2本
溶離液:アセトニトリル/水/リン酸/リン酸二水素カリウム=35/64/0.7/0.3(重量比)
検出器:UV 205nm
カラム温度:50℃
下記実施例中のアクリル酸の収率は、次の定義に従って求めた。
アクリル酸の収率(モル%)=100×(生成したアクリル酸のモル数)/(供給した3
−ヒドロキシカルボン酸単位のモル数)
3−ヒドロキシカルボン酸単位のモル数=(3−ヒドロキシカルボン酸のモル数+2量体のモル数×2+3量体のモル数×3+4量体のモル数×4+5量体のモル数×5+6量体のモル数×6+7量体のモル数×7+8量体のモル数×8+9量体のモル数×9+10量体のモル数×10+11量体のモル数×11+12量体のモル数×12+13量体のモル数×13+14量体のモル数×14+15量体のモル数×15+16量体のモル数×16)
実施例1
(原料3HP重合物の調製)
3HPの発酵による製造を、特開2012−085635号公報の実施例1の方法に従って行った。得られた発酵液から濾過にて菌体を分離し、得られた濾液700gに、n−ドデカノール100gを添加し、エバポレーターで水を留去した。最終的に50℃、2.7kPaで留出がなくなるまで行った。
得られた残液を、80℃、10Paの薄膜蒸発器にかけ、3HPとn−ドデカノールの混合物を留分として取得した。得られた留分に等量の水を添加し、混合して水相に3HPを抽出した。油水分離した油相に再度等量の水を添加し、3HPの抽出を行った。油水分離した水相を合わせて濾過を行い、3HP水溶液を得た。3HPの濃度は16質量%であった。
上記で得られた3HP水溶液を、1.3kPaの減圧下、100℃のオイルバスを備えたロータリーエバポレーターを用いて濃縮を行い、得られた濃縮液を70℃で3週間保管し3HP重合物を得、これを原料とした。その組成を表1に示す。
Figure 0006078447
(3HP重合物からのアクリル酸の合成)
原料及びガスの供給管と、生成した蒸気成分と供給したガスの抜き出し管を備えたステンレス製の反応器に、上記3HP重合物を5gとメトキノン100質量ppm相当を仕込み、オイルバスにつけて内温を180℃に昇温した。上記3HP重合物を毎時0.41gの速度で反応器内の液中に供給し、また酸素7容量%と窒素93容量%の混合ガスを毎時6Lの速度で反応器内の気相部に供給した。また同時に、生成した蒸気成分と混合ガスを反応器からガスの抜き出し管を通じて抜き出した。抜き出した蒸気成分は捕集器にて、メトキノンを含んだ水で冷却捕集し反応液を取得した。反応器中に一定量の液が存在し、原料と生成物の収支が安定になるまで連続して反応を行った。安定時に得られた反応液を分析したところ、アクリル酸収率は95モル%であった。また酢酸の収率は0.00035モル%、プロピオン酸の収率は0.00034モル%であった。アクリル酸に対する酢酸の重量比は3ppm、プロピオン酸の重量比は4ppmであった。
実施例2
実施例1の3HP重合物からのアクリル酸の合成において、反応温度を200℃に変更し、3HP重合物の供給速度を毎時1.8gに変更した以外は同様に反応を行った。アクリル酸の収率は91モル%であった。
実施例3
実施例1の3HP重合物からのアクリル酸の合成において、反応温度を228℃に変更し、3HP重合物の供給速度を毎時8.3gに変更した以外は同様に反応を行った。アクリル酸の収率は77モル%であった。
実施例4
実施例1の3HP重合物からのアクリル酸の合成において、反応温度を247℃に変更し、3HP重合物の供給速度を毎時25.6gに変更した以外は同様に反応を行った。アクリル酸の収率は61モル%であった。また酢酸の収率は0.00076モル%、プロピオン酸の収率は0.00105モル%であった。アクリル酸に対する酢酸の重量比は10ppm、プロピオン酸の重量比は18ppmであった。
実施例5
実施例3の反応液をロータリーエバポレーターで水とアクリル酸を留去した。残存物中には、3HP、3HP2量体、アクリル酸、アクリル酸2量体、アクリル酸3量体、アクリル酸4量体が含まれていた。この残存物20gを、上記原料の3HPの重合物80gに加え、リサイクル原料とした。その組成を表2に示す。
Figure 0006078447
上記リサイクル原料を用いて、実施例3と同じ条件で反応を行った。リサイクル原料の内、1回目の反応の残存物を除いた3−ヒドロキシカルボン酸単位に対するアクリル酸収率は96モル%であった。従って、反応液中に含まれる3HP、3HPの重合物、アクリル酸の重合物をリサイクルすることで、アクリル酸の収率向上効果があることが分かる。
実施例6
実施例4において、捕集器の後ろに背圧弁を設置し、反応圧力を103kPa(ゲージ圧)とした以外は、同様に反応を行った。アクリル酸収率は72モル%であった。
実施例7
実施例1の原料3HP重合物の調製で得られた、3HPの16質量%水溶液を、1.3kPaの減圧下、90℃のウォーターバスを備えたロータリーエバポレーターを用いて、5時間かけて濃縮を行い、得られた濃縮液を原料とした。その組成を表3に示す。
Figure 0006078447
実施例1の3HP重合物からのアクリル酸の合成において、上記原料を用い、上記原料の供給速度を毎時0.39gに変更した以外は同様に反応を行った。アクリル酸の収率は94モル%であった。
比較例
内径10mmのステンレス管に、ステンレス製の1.5mmディクソンパッキンを充填して蒸発層とし、その下に脱水触媒としてチタニア(サンゴバン社製)を充填し、電気炉内に設置し脱水反応器とし、温度を300℃に設定した。また実施例1の原料調製において得られた16質量%の3HP水溶液に水を加え、12質量%に調製し原料とした。この原料を毎時16.7gの速度で脱水反応器の上部に供給した。同時に窒素ガスを毎時3Lの速度で供給した。脱水反応器の出口ガスを冷却捕集し、得られた反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、アクリル酸の収率は94モル%であった。また酢酸の収率は0.082モル%、プロピオン酸の収率は0.222モル%であった。アクリル酸に対する酢酸の重量比は733ppm、プロピオン酸の重量比は2445ppmであった。
実施例8
(アクリル酸の晶析精製)
実施例2で得られたアクリル酸の水溶液を蒸留し、塔底より、アクリル酸89.7質量%を含む粗製アクリル酸を得た。この粗製アクリル酸を、母液として、室温(約20℃)〜−5.7℃の温度範囲まで冷却して結晶を析出させ、同温度で保持した後、吸引濾過により結晶を液体から分離する晶析操作を行った。分離した結晶を融解させてから、一部をサンプリングして分析し、残りを母液として室温(約20℃)〜5.0℃の温度範囲まで冷却して結晶を析出させ、同温度で保持した後、吸引濾過により結晶を液体から分離する晶析操作を行った。合計2回の晶析操作により、精製アクリル酸を得た。アクリル酸純度は99.9質量%以上であった。
(吸水性樹脂の製造)
上記で得られた精製アクリル酸に重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを60質量ppm添加した。別途、鉄を0.2質量ppm含有する苛性ソーダから得られたNaOH水溶液に対して、上記の重合禁止剤を添加したアクリル酸を、冷却下(液温35℃)で添加することにより、75モル%中和を行った。得られた、中和率75モル%、濃度35質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート0.05モル%(アクリル酸ナトリウム水溶液に対する値)を溶解させることにより、単量体成分を得た。この単量体成分300gを容積1Lの円筒容器に入れ、2L/minの割合で窒素ガスを吹き込んで、30分間脱気した。次いで、過硫酸ナトリウム0.10g/モル(単量体成分に対する値)およびL−アスコルビン酸0.004g/モル(単量体成分に対する値)の水溶液をスターラー攪拌下で添加して、重合を開始させた。重合開始後に攪拌を停止し、静置水溶液重合を行った。単量体成分の温度が約15分後(重合ピーク時間)にピーク重合温度108℃を示した。その後、30分間重合を進行させた。その後、重合物を円筒容器から取り出し、含水ゲル状架橋重合体を得た。得られた含水ゲル状架橋重合体は、45℃でミートチョッパー(孔径:8mm)により細分化した後、170℃の熱風乾燥機で20分間加熱乾燥させた。更に、乾燥重合体(固形分:約95%)をロールミルで粉砕し、JIS標準篩で粒径600〜300μmに分級することにより、ポリアクリル酸系吸水性樹脂(中和率:75%)を得た。
本発明によるアクリル酸の製造方法により得られたアクリル酸の重合性は、プロピレンを原料とするアクリル酸の製造方法により得られたアクリル酸の重合性と同等であり、得られた吸水性樹脂は、臭気がなく、物性も同等であった。

Claims (4)

  1. 3−ヒドロキシカルボン酸を原料として(メタ)アクリル酸を製造する方法であって、
    該製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる重合工程と、
    3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程とを含み、
    該液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸である
    ことを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 前記重合工程で得られる3−ヒドロキシカルボン酸の重合物のうち3量体以上のものの合計が、3−ヒドロキシカルボン酸及びその重合物の合計100質量%に対して、3質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3. 前記(メタ)アクリル酸の製造方法は、発酵工程を含み、
    該発酵工程により、前記原料としての3−ヒドロキシカルボン酸を生成させることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 3−ヒドロキシカルボン酸を原料として親水性樹脂を製造する方法であって、
    該製造方法は、3−ヒドロキシカルボン酸を重合して3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物を生成させる第1重合工程と、
    該3−ヒドロキシカルボン酸の重合物を含む組成物から(メタ)アクリル酸を生成させる液相反応を行う工程と、
    該(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合して親水性樹脂を生成させる第2重合工程とを含み、
    該液相反応工程で得られる生成物中の主生成物が(メタ)アクリル酸であることを特徴とする親水性樹脂の製造方法。
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