JP6078387B2 - メタクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、メタクリル酸の製造方法に関する。
メタクリル酸を製造する方法の1つとして、触媒の存在下にメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化する方法が知られており、例えば、特許文献1には、メタクリル酸製造用触媒の触媒層を備えた反応器内に、メタクロレイン及び酸素を供給し、連続式でメタクロレインを酸化してメタクリル酸を製造するにあたり、触媒層の最低温度を290℃以上310℃以下にして初期運転を行う方法が記載されている。
特開2005−272313号公報
しかしながら、上述した方法では、触媒活性の持続性の点で必ずしも満足のいくものではなく、さらに長期間にわたり生産性良くメタクリル酸を製造しうる方法が望まれていた。
そこで、本発明の目的は、長期間にわたり生産性良くメタクリル酸を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1]メタクリル酸製造用触媒を含む触媒層を備えたメタクリル酸製造用反応器内に、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を供給し、連続式で前記メタクロレインを酸化してメタクリル酸を製造する方法であって、前記触媒層における最高温度が330℃以下であることを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
[2]前記イソブチレンの供給量を調整することにより、前記触媒層における最高温度を330℃以下にする前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記メタクロレインの少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるものであり、かつ前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるイソブチレンの少なくとも一部が、前記反応混合物に含まれる未反応のイソブチレンとは異なるイソブチレンである前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記メタクロレインの少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒を入れたメタクロレイン製造用反応器内で、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるものであり、該メタクロレイン製造用反応器の抜き出し口は、前記メタクリル酸製造用反応器の供給口に接続ラインによって接続され、該接続ラインには、イソブチレン供給ラインが接続され、該イソブチレン供給ラインにイソブチレンを供給しながら前記メタクリル酸製造用反応器内におけるメタクロレイン酸化を行う前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[5]前記メタクリル酸製造用反応器内におけるメタクロレイン酸化を、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含み、かつイソブチレンの含有量が50〜3000体積ppmである混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することにより行う前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記反応器が、固定床反応器である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記メタクリル酸製造用触媒が、リン及びモリブデンを含むヘテロポリ酸化合物からなる前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記ヘテロポリ酸化合物が、さらにバナジウムと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む前記[7]に記載の製造方法。
[9]前記メタクロレイン製造用触媒が、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する複合酸化物からなる前記[3]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法により製造されたメタクリル酸と、アルコールとを、エステル化触媒の存在下にエステル化反応させることを特徴とするメタクリル酸エステルの製造方法。
本発明によれば、長期間にわたり生産性良くメタクリル酸を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるメタクリル酸製造用触媒は、特に限定されないが、リン及びモリブデンを含むヘテロポリ酸化合物からなるものが好ましい。前記触媒を構成するヘテロポリ酸化合物は、遊離のヘテロポリ酸であってもよいし、ヘテロポリ酸の塩であってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩(部分中和塩)が好ましく、さらに好ましくはケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩がよい。
メタクリル酸製造用触媒には、リン及びモリブデン以外の元素として、バナジウムが含まれるのが望ましく、また、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、元素Xということがある)や、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、元素Yということがある)が含まれるのが望ましい。通常、モリブデン12原子に対して、リン、バナジウム、X元素及びY元素が、それぞれ3原子以下の割合で含まれる触媒が、好適に用いられる。
本発明において得ようとするメタクリル酸製造用触媒を構成するヘテロポリ酸化合物の好ましい組成は、下記式(i)の通りである。
Mo (i)
(式(i)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン及びバナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Xを示し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Yを示し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0≦d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である。尚、X及びYのそれぞれが、2種以上の元素である場合には、2種以上の元素の合計比率が、b=12としたとき、0<d≦3、0<e≦3となればよい。)
メタクリル酸製造用触媒を得るための原料としては、通常、前記ヘテロポリ酸化合物に含まれる各元素を含む化合物、例えば、各元素のオキソ酸、オキソ酸塩、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アンミン錯体等が、所望の原子比を満たすような割合で用いられる。例えば、リンを含む化合物としては、リン酸、リン酸塩等が用いられ、モリブデンを含む化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸塩、酸化モリブデン、塩化モリブデン等が用いられ、バナジウムを含む化合物としては、バナジン酸、バナジン酸アンモニウム(メタバナジン酸アンモニウム)等のバナジン酸塩(メタバナジン酸塩)、酸化バナジウム、塩化バナジウム等が用いられる。また、元素Xを含む化合物としては、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム等の酸化物;硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸タリウム等の硝酸塩;炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等の炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等の重炭酸塩;水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等の水酸化物;塩化カリウム、塩化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム等のハロゲン化物等が用いられる。Y元素を含む化合物としては、オキソ酸、オキソ酸塩、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等が用いられる。
メタクリル酸製造用触媒の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記の触媒原料から調製される触媒前駆体を、焼成に付す方法等が挙げられる。この触媒前駆体は、通常、触媒原料を水中で混合して水溶液又は水性スラリーを得、次いでこの水性混合液を乾燥することにより調製することができ、例えば、該乾燥物を成形したものであってもよいし、該乾燥物を熱処理(前焼成)した後、成形したものであってもよいし、該乾燥物を成形した後、熱処理したものであってもよい。ここで、水性混合液の乾燥方法は、特に制限されるものではなく、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法など、この分野で通常用いられる方法を採用することができるが、中でも、スプレードライヤー等を用いた噴霧乾燥法により行うのが好ましい。前記成形は、例えば、打錠成形や押出成形など、この分野で通常用いられる方法により行えばよく、その形状としては、リング状、ペレット状、球状、円柱状等が挙げられる。また、触媒成分をシリカ、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素等の担体に担持したものでもよい。成形に際しては、必要に応じて、前記乾燥物に、水、成形助剤、気孔剤等を加えることができる。成形助剤としては、例えば、セラミックファイバーやグラスファイバーのほか、硝酸アンモニウム等が挙げられる。特に、硝酸アンモニウムは、成形助剤としての機能を有するほか、気孔剤としての機能も有する。成形体の直径としては3〜10mmが好ましい。尚、ここでいう成形体の直径とは、球形粒状では球の直径、円柱状では円形断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。成形体は、以下に定義される落下強度が97%以上であるものが好ましい。
落下強度:目開き2.36mmのJIS標準網篩の上に、内径30mm、長さ5000mmのパイプを垂直に立て、パイプの上部から約30gの触媒を落下させた際の、落下させた触媒に対する、篩の上に残った触媒の割合(重量%)。
このような落下強度を有する触媒とすることにより、触媒の輸送や反応器充填の際の粉化や崩壊を抑制することができる。
触媒前駆体の調製方法としては、触媒原料としてアンモニウム化合物を用いたり、アンモニアやアンモニウム塩を添加したりして、アンモニウム根を含む水性混合液を得、これを乾燥した後、熱処理してから成形するか、成形してから熱処理するのが望ましい。これらの処方によれば、熱処理の際、ケギン型へテロポリ酸塩の構造を形成することができ、こうして得られるケギン型ケテロポリ酸塩からなる触媒前駆体は、後述の焼成に対し、特に好適な対象となる。
前記成形により得られる成形体には、引き続き、調温調湿処理を施すことが好ましい。調温調湿処理は、具体的には、40〜100℃、相対湿度10〜60%の雰囲気下に、成形体を0.5〜10時間程度曝すことにより行われる。該処理は、例えば、調温、調湿された槽内にて行ってもよいし、調温、調湿されたガスを成形体に吹き付けることにより行ってもよい。また、該処理を行う際の雰囲気ガスとしては、通常、空気が用いられるが、窒素等の不活性ガスを用いてもよい。
前記乾燥又は成形後の熱処理は、酸化性ガス又は非酸化性ガスの雰囲気下に、180〜300℃程度の温度で行うのが望ましい。
以上のようにして得られる触媒前駆体は、焼成に付される。焼成は、この分野で通常用いられる方法により行うことができ、特に制限はされない。例えば、酸素等の酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素等の非酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよく、焼成温度は好ましくは300℃以上で行われる。中でも、良好な触媒寿命を有するメタクリル酸製造用触媒が得られる点で、酸化性ガス又は非酸化性ガスの雰囲気下で多段焼成するのが好ましく、酸化性ガスの雰囲気下で第一段焼成を行い、次いで非酸化性ガスの雰囲気下で第二段焼成を行う、二段階の焼成方法を採用するのがより好ましい。
焼成に用いられる酸化性ガスは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスを用いる場合、その酸素濃度は、通常1〜30容量%程度とすればよく、酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。また、前記酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。酸化性ガスとしては、中でも、空気が好ましい。酸化性ガス雰囲気下で行う焼成は、通常、このような酸化性ガスの気流下で行われる。また、酸化性ガス雰囲気下で行う焼成の温度は、好ましくは360〜410℃であり、より好ましくは380〜400℃である。
焼成に用いられる非酸化性ガスは、実質的に酸素の如き酸化性物質を含有しないガスであり、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。また、前記非酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。非酸化性ガスとしては、中でも、窒素が好ましい。非酸化性ガス雰囲気下で行う焼成は、通常、このような非酸化性ガスの気流下で行われる。また、非酸化性ガス雰囲気下で行う焼成の温度は、好ましくは420〜500℃であり、より好ましくは420〜450℃である。
これら各焼成温度が所定値に満たないと、得られる触媒の活性が十分にならなかったり、触媒寿命が十分でなかったりすることがあり、一方、所定値を越えると、触媒が分解・焼結しやすいため、得られる触媒の活性が十分にならないことがある。尚、各焼成の時間は、それぞれ適宜調整されるが、通常1〜20時間程度である。また、これら各焼成は、雰囲気ガスとして使用されるガスを流通させながら行うのが望ましい。
本発明のメタクリル酸の製造方法は、メタクリル酸製造用触媒を含む触媒層を備えたメタクリル酸製造用反応器内に、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を供給し、連続式でメタクロレインを酸化するものであり、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように実施する。
前記酸化において、メタクロレインに対する酸素のモル比は1〜5が好ましい。反応温度は250〜320℃が好ましく、反応圧力は0.1〜0.3MPaが好ましい。尚、反応温度とは、前記触媒層内の最低温度、すなわち触媒層において最も温度が低い部分の該温度を表す。
前記酸化は、前記メタクリル酸製造用反応器内に、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を供給しながら、該反応器内から反応混合物を抜き出すことにより、連続式で実施することができる。前記酸化は、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を、メタクリル酸製造用触媒と接触させることにより行われる。前記酸化における反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、メタクリル酸製造用触媒を充填した固定床反応器にメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を流通させる固定床流通方式で前記酸化を行うのが、生産性及び操作性の点から望ましい。固定床流通方式での酸化は、例えば、メタクリル酸製造用触媒を充填してなる触媒層を備えた固定床反応器に、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを、アップフロー又はダウンフローで流通させることにより反応を実施できる。尚、固定床反応器は、反応器に原料供給口と反応ガス取り出し口が設けられた流通式の各種固定床反応器を使用することができる。反応管の本数は特に限定されるものではなく、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器が好ましく使用される。この反応管の内径は10〜40mmが好ましく、より好ましくは15〜35mmである。また、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が使用可能である。メタクロレイン、イソブチレン及び酸素の供給は、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスとして前記メタクリル酸製造用反応器の供給口から供給することにより行ってもよいし、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素をそれぞれ別々の供給口から供給することにより行ってもよいし、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素からなる群より選ばれる2種と、残りの1種とを別々の供給口から供給することにより行ってもよいが、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスとして前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することが好ましい。また、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素はそれぞれ、別々の供給口から分割して供給してもよい。
前記のメタクロレインの酸化において、酸素源としては、通常、空気が用いられる。前記混合ガスには、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素以外の成分〔以下、他の成分ということがある〕として、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、アルゴン等の不活性ガスが含まれていてもよい。尚、これらの不活性ガスの二種以上が含まれていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、使用する原料に不純物として含まれ得るアセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、テレフタル酸等が前記混合ガスに含まれていてもよい。
メタクロレインは、必ずしも高純度の精製品である必要はなく、例えば、イソブチレンの酸化反応により得られたメタクロレインを含む反応混合物を高純度のメタクロレインに精製することなく用いてもよいし、メタクロレインの酸化反応後に得られる反応混合物から回収される未反応のメタクロレインであってもよいし、イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレインと、メタクロレインの酸化反応後に得られる反応混合物から回収される未反応のメタクロレインとの混合物であってもよい。本発明のメタクリル酸の製造方法において用いられるメタクロレインとしては、その少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるメタクロレインであることが好ましい。
本発明のメタクリル酸の製造方法において用いられるイソブチレンとしては、その少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれる未反応のイソブチレンとは異なるイソブチレンであることが好ましい。すなわち、前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるイソブチレンとして、メタクロレイン製造用触媒の存在下におけるイソブチレン酸化により得られる反応混合物に含まれる未反応のイソブチレンのみを使用するのではなく、少なくとも一部は、かかる未反応のイソブチレンとは別のイソブチレン(新品のイソブチレン、他の反応系から回収されたイソブチレン等)を使用することが好ましい。
前記メタクロレイン酸化を、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することにより行う場合は、該混合ガスとしては、(a)メタクロレイン、イソブチレン、酸素及び必要に応じて含まれる他の成分の混合ガス、(b)イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレイン、未反応のイソブチレン及び未反応の酸素を含む反応混合物と必要に応じて含まれる他の成分との混合ガス、(c)イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレイン及び未反応のイソブチレンを含む反応混合物と、酸素と、必要に応じて含まれる他の成分との混合ガス、(d)イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレイン及び未反応のイソブチレンを含む反応混合物と、イソブチレンと、酸素と、必要に応じて含まれる他の成分との混合ガス、(e)イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレインを含み、未反応のイソブチレンを含まない反応混合物と、イソブチレンと、酸素と、必要に応じて含まれる他の成分との混合ガス、(f)イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレインを含む反応混合物を精製して得られるメタクロレインと、イソブチレンと、酸素と、必要に応じて含まれる他の成分との混合ガス等が挙げられる。前記(c)、(d)及び(e)においては、反応混合物中に未反応の酸素が含まれていてもよい。また、前記(f)においては、反応混合物中に未反応のイソブチレン及び未反応の酸素からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれていてもよい。
前記触媒層とは、前記メタクリル酸製造用反応器内においてメタクリル酸製造用触媒が含まれている部分を指し、例えば、メタクリル酸製造用触媒からなる触媒層や、メタクリル酸製造用触媒と希釈剤との混合物からなる触媒層や、少なくとも1層のメタクリル酸製造用触媒からなる層と少なくとも1層のメタクリル酸製造用触媒及び希釈剤の混合触媒からなる層とが積層されてなる触媒層(以下、積層触媒層ということがある。)等が挙げられる。該希釈剤としては、前記のメタクロレインの酸化に対して不活性であるものが使用され、例えば、シリカ、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられ、必要に応じてそれらの二種以上を用いることもできる。前記触媒層に用いられるメタクリル酸製造用触媒は、同一組成に限定されるものではなく、それぞれ異なる組成のものを使用することができる。例えば、前記触媒層が、メタクリル酸製造用触媒からなる触媒層である場合、同一組成の触媒からなる触媒層であってもよいし、異なる組成の複数の触媒の混合物からなる触媒層であってもよいし、異なる組成の触媒の層が複数積層されてなる触媒層であってもよい。前記触媒層が、メタクリル酸製造用触媒と希釈剤との混合物からなる触媒層である場合、触媒層を構成する触媒及び希釈剤はそれぞれ、同一組成であってもよいし、異なる組成の複数の触媒の混合物又は異なる組成の複数の希釈剤の混合物であってもよい。前記触媒層が、積層触媒層である場合、メタクリル酸製造用触媒からなる層を構成する触媒は、同一組成であってもよいし、異なる組成の触媒の混合物であってもよい。また、メタクリル酸製造用触媒からなる層が複数層存在する場合、各層の相互の触媒の組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記触媒層が、積層触媒層である場合、メタクリル酸製造用触媒及び希釈剤の混合触媒からなる層を構成する触媒は、同一組成であってもよいし、異なる組成の触媒の混合物であってもよい。また、メタクリル酸製造用触媒及び希釈剤の混合触媒からなる層が複数層存在する場合、各層の相互の触媒の組成、希釈剤の組成、及び希釈剤の含有割合はそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。前記酸化を固定床流通方式で行う場合、触媒層の入口部、出口部及び/又は層間に希釈剤からなる層を形成させてもよい。
メタクリル酸の製造においては、メタクロレインの酸化反応が発熱反応であるため、通常、触媒層は温度分布を有する。前記触媒層における最高温度とは、触媒層内において到達する最も高い温度を表す。かかる最高温度は、例えば、前記触媒層の温度を熱電対等の温度測定装置により測定し、触媒層の温度分布を記録することにより、検出された最も高い温度として求めることができる。前記酸化を固定床流通方式で行う場合には、前記触媒層の反応器管軸方向の温度分布を記録することにより、前記触媒層における最高温度を求めればよい。温度の測定方法としては、例えば、多点式の熱電対を用いて前記触媒層の各部の温度を測定する方法や、前記触媒層内に保護管を挿入し、保護管内で熱電対を移動させて前記触媒層の各部の温度を測定する方法等が挙げられる。
メタクリル酸の製造においては、メタクロレインの酸化反応が発熱反応であるため、発熱による触媒の劣化を招くおそれがあり、特に、固定床流通方式で反応を行う場合には、触媒層内で発生するホットスポット(局部的な温度の異常上昇)において、過度の酸化反応が起こるため、収率が低下してしまうことがあり、更に、過大な熱負荷が触媒にかかるため、触媒が劣化し、触媒寿命を減少させてしまうこともある。よって、本発明のメタクリル酸の製造方法においては、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように前記酸化を実施する。前記触媒層における最高温度の下限は、反応温度を超える温度となり、該最高温度をTmax(℃)、該反応温度をT(℃)とすると、T+5≦Tmaxを満たすことが好ましい。
前記触媒層における最高温度は、反応温度、前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるメタクロレインの供給量、イソブチレンの供給量等により調整することができるが、中でも、イソブチレンの供給量により調整することが好ましい。メタクロレインの酸化における反応温度の調整は、反応器に備えられた加熱器、ジャケット、熱媒浴等の温度調節手段の温度を調整することにより行えばよい。固定床反応器を用いて該酸化を行う場合、通常、アルカリ金属の硝酸塩等からなる温度調整のための熱媒浴を備えており、この熱媒温度が上記触媒層の最低温度を示すので、反応温度の調整は、この熱媒温度を調整することにより行えばよい。温度調節手段の温度は、通常250〜320℃の範囲で調整される。前記酸化を、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することにより行う場合は、かかる混合ガス中のイソブチレン含有量を調整することにより前記触媒層における最高温度を調整することが好ましい。前記混合ガス中のイソブチレン含有量は、50〜3000体積ppmの範囲で調整すればよく、150〜2000体積ppmの範囲が好ましく、300〜1500体積ppmの範囲がより好ましい。前記混合ガス中のイソブチレン含有量が少なすぎると、前記触媒層における最高温度の上昇を抑制する効果が得られにくくなり、前記混合ガス中のイソブチレン含有量が多すぎると、イソブチレンが酸化されることにより生じる発熱量が多くなり、前記触媒層における最高温度の上昇を抑制する効果が得られにくくなる。
前記混合ガス中のイソブチレンの含有量を50〜3000体積ppmとするには、例えば、(A)イソブチレンの含有量が50〜3000体積ppmとなるように、メタクロレイン、イソブチレン、酸素及び必要に応じて含まれる他の成分の混合割合を調整して前記混合ガスを調製する方法、(B)イソブチレンの酸化反応におけるイソブチレンの転化率を調整することにより、得られるメタクロレイン、未反応のイソブチレン及び未反応の酸素を含む反応ガス中のイソブチレンの含有量を50〜3000体積ppmに調整してメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを得る方法、(C)イソブチレンの含有量が50〜3000体積ppmとなるように、イソブチレンの酸化反応により得られたメタクロレイン及び未反応のイソブチレンを含む反応ガスを、メタクロレイン、イソブチレン、酸素及び必要に応じて含まれる他の成分からなる群より選ばれる少なくとも一種と混合し、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを得る方法等が挙げられるが、生産性の点で、前記(B)又は(C)の方法が好ましく、前記(C)の方法がより好ましい。前記(C)の方法においては、イソブチレンの酸化反応におけるイソブチレンの転化率を調整することにより、イソブチレンの酸化反応により得られるメタクロレイン及び未反応のイソブチレンを含む反応ガス中のイソブチレンの含有量を調整することができ、また、該反応ガス中には、未反応の酸素が含まれていてもよい。また、前記(A)又は(C)の方法において、必要に応じて含まれる他の成分としては、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、アルゴン等の不活性ガスを用いることが好ましい。
前記混合ガス中のメタクロレイン含有量は2.0〜5.0体積%が好ましい。水蒸気が含まれる場合、水蒸気含有量は1〜30体積%が好ましい。前記混合ガスの流通速度は、メタクリル酸製造用触媒における前記混合ガスの空間速度として、標準状態(0℃、0.1MPa換算)基準で500〜5000h−1が好ましい。尚、空間速度は、メタクリル酸製造用反応器内を通過する1時間当りの前記混合ガス量(L/h)を、メタクリル酸製造用反応器内のメタクリル酸製造用触媒容量(L)で除することにより求めることができる。
上記のイソブチレンの酸化反応は、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化することにより行われる。
メタクロレイン製造用触媒としては、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する複合酸化物からなるものが好ましい。この触媒は、例えば特開昭59−46132号公報、特開昭60−163830号公報、特開2000−288396号公報、特開2009−274034号公報等に開示されている方法により製造し得る。
イソブチレンの酸化反応では、メタクロレインと共にメタクリル酸が生成し得るが、生成したメタクリル酸は上記のメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガス中に含まれてもよい。
イソブチレンの酸化反応は、例えば、メタクロレイン製造用触媒を入れたメタクロレイン製造用反応器内に、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを供給しながら、メタクロレイン製造用反応器内から反応混合物を抜き出すことにより、連続式で該混合ガス中のイソブチレンを酸素で酸化することにより行われる。
イソブチレンの酸化反応における反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、メタクロレイン製造用触媒を充填した固定床反応器にイソブチレン及び酸素を含む混合ガスを流通させる固定床流通方式で前記反応を行うのが、生産性及び操作性の点から望ましい。固定床流通方式での反応は、例えば、メタクロレイン製造用触媒が充填された固定床反応器に、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを、アップフロー又はダウンフローで流通させることにより反応を実施できる。尚、固定床反応器は、反応器に原料供給口と反応ガス取り出し口が設けられた流通式の各種固定床反応器を使用することができる。反応管の本数は特に限定されるものではなく、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器が好ましく使用される。この反応管の内径は10〜40mmが好ましく、より好ましくは15〜35mmである。また、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が使用可能である。
イソブチレンの酸化反応における酸素源としては、通常、空気が用いられる。イソブチレン及び酸素を含む混合ガスには、イソブチレン及び酸素以外の成分として、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、アルゴン等の不活性ガスが含まれていてもよい。尚、これらの不活性ガスの二種以上が含まれていてもよい。
イソブチレン及び酸素を含む混合ガス中のイソブチレン含有量は1〜10体積%が好ましく、イソブチレンに対する酸素のモル比は1〜3が好ましい。水蒸気が含まれる場合、水蒸気含有量は1〜35体積%が好ましい。該混合ガスの流通速度は、メタクロレイン製造用触媒における該混合ガスの空間速度として、標準状態基準(0℃、0.1MPa換算)で500〜5000h−1が好ましい。尚、空間速度は、メタクロレイン製造用反応器内を通過する1時間当りの該混合ガス量(L/h)を、メタクロレイン製造用反応器内のメタクロレイン製造用触媒容量(L)で除することにより求めることができる。反応温度は通常250〜450℃であり、反応圧力は減圧でも可能であるが、通常0.1〜0.5MPaである。
イソブチレンの酸化反応後に得られる反応混合物中のイソブチレンの含有量は、イソブチレンの転化率により調整することができ、イソブチレンの転化率が高いほど、イソブチレンの含有量が少ない反応混合物が得られる。イソブチレンの転化率を100%とすることにより、イソブチレンを含まない反応混合物(イソブチレン含有量:0体積ppm)が得られることとなる。イソブチレンの転化率は、例えば、反応温度を調整することにより調節することができ、反応温度を高くするほど、イソブチレンの転化率を高くすることができる。
前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるメタクロレインとして、その少なくとも一部に、メタクロレイン製造用触媒の存在下でイソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるメタクロレインを使用する場合において、前記メタクリル酸製造用反応器内へのメタクロレインの供給方法としては、例えば、前記メタクロレイン製造用反応器の抜き出し口と、前記メタクリル酸製造用反応器の供給口とを接続ラインで接続し、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物を前記メタクロレイン製造用反応器の抜き出し口から抜き出し、該反応混合物に含まれるメタクロレインを、かかる接続ラインを通じて前記メタクリル酸製造用反応器の供給口から供給する方法等が挙げられる。該接続ライン上には、適宜イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物の精製装置が設けられてもよい。
前記メタクリル酸製造用反応器内へのイソブチレンの供給方法としては、例えば、前記接続ラインにイソブチレン供給ラインを接続し、かかるイソブチレン供給ラインからイソブチレンを供給することにより、前記メタクロレイン製造用反応器から抜き出された反応混合物に含まれるメタクロレインとイソブチレンとを合流させることにより混合してから、前記接続ラインを通じて前記メタクリル酸製造用反応器の供給口から供給する方法等が挙げられ、前記メタクロレイン製造用反応器から抜き出されたメタクロレインを含む反応混合物と、前記イソブチレン供給ラインから供給されるイソブチレンとを前記接続ライン内で混合し、前記接続ラインを通じて前記メタクリル酸製造用反応器の供給口から供給する方法が好適に採用される。前記イソブチレン供給ラインから供給されるイソブチレンは、窒素等の不活性ガスと共に供給されてもよい。
前記メタクリル酸製造用反応器内への酸素の供給は、前記接続ラインに酸素供給ラインを接続し、かかる酸素供給ラインから酸素を供給することにより行ってもよいし、前記イソブチレン供給ラインからイソブチレンと共に供給することにより行ってもよいし、前記メタクリル酸製造用反応器の前記接続ラインが接続されている供給口とは別の供給口に酸素供給ラインを接続し、かかる酸素供給ラインから酸素を供給することにより行ってもよい。前記酸素供給ラインから供給される酸素は、窒素等の不活性ガスと共に供給されてもよい。
前記のメタクロレインの酸化を、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することにより行う場合において、メタクリル酸製造用反応器出口におけるメタクロレイン転化率は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。メタクリル酸製造用反応器出口におけるメタクロレイン転化率は、反応温度が高いほど、あるいはメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガス中のイソブチレン含有量が少ないほど、あるいはメタクロレイン製造用触媒におけるメタクロレインの空間速度が小さいほど、あるいはメタクロレインに対する酸素の供給量が多いほど高くなる傾向にあるので、これらのうち少なくとも一つの条件を調整することにより、メタクロレイン転化率を調整することができる。反応温度の調整、並びにメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガス中のイソブチレン含有量の調整は、上述の方法により行うことができる。メタクロレイン製造用触媒におけるメタクロレインの空間速度は、メタクロレインの酸化に用いられる前記混合ガス中のメタクロレイン含有量や、メタクロレインの酸化に用いられる前記混合ガスの供給量等を調節することにより調整すればよい。メタクロレインに対する酸素の供給量は、メタクロレインの酸化に用いられる前記混合ガス中のメタクロレイン含有量及び酸素含有量を調節することにより調整すればよい。前記混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することによりメタクロレインの酸化を開始した時点において、そのメタクリル酸製造用反応器出口におけるメタクロレイン転化率は、少なくとも75%となるようにすることが好ましく、少なくとも85%となるようにすることがより好ましく、少なくとも90%となるようにすることがさらに好ましい。
メタクリル酸の製造において、特にメタクリル酸の製造開始にあたっては、メタクロレインの供給量を急激に増加させると、発熱による触媒の劣化を招くおそれがあり、固定床流通方式で反応を行う場合には、上述の触媒層内で発生するホットスポットにおいて、収率の低下や触媒寿命の低下を生じさせてしまうこともある。そのため、本発明のメタクリル酸の製造方法においては、特に、メタクリル酸の製造開始、すなわちスタートアップに際して、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように実施することが、触媒寿命の低下抑制に対して効果的である。前記触媒層における最高温度は、上述の通り、反応温度、前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるメタクロレインの供給量、イソブチレンの供給量等により調整することができるが、スタートアップに際しては、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内に供給し、かかる混合ガス中のイソブチレン含有量を調整することにより前記触媒層における最高温度を調整する方法が好ましく採用される。混合ガス中のイソブチレン含有量は、50〜3000体積ppmの範囲で調整すればよく、150〜2000体積ppmの範囲が好ましく、300〜1500体積ppmの範囲がより好ましい。
前記スタートアップは、所定のメタクロレイン供給量まで急激に増加させずに、徐々に若しくは段階的にメタクロレイン供給量を増加させるように行うことが好ましく、該スタートアップの方法としては、例えば、(D)前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内へ供給してメタクリル酸の製造を開始し、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるようにしながら、所定のメタクロレイン供給量まで徐々に若しくは段階的に増加させることによりスタートアップを行う方法、(E)前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように、最初はメタクロレイン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内へ供給してメタクリル酸の製造を開始し、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるようにしながら、所定のメタクロレイン供給量まで徐々に若しくは段階的に増加させる途中でメタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内へ供給することによりスタートアップを行う方法、(F)前記触媒層における最高温度が330℃以下となるように、最初はメタクロレイン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内へ供給してメタクリル酸の製造を開始し、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるようにしながら、所定のメタクロレイン供給量まで徐々に若しくは段階的に増加させ、所定のメタクロレイン供給量に達してから、すなわち定常状態になってから所定のメタクリル酸供給量を維持しつつ、前記触媒層における最高温度が330℃以下となるようにしながら、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含む混合ガスをメタクリル酸製造用反応器内へ供給することによりスタートアップを行う方法等が挙げられる。前記(E)及び(F)において、最初の供給時及び所定のメタクロレイン供給量に増加させる段階で用いられるメタクロレイン及び酸素を含む混合ガスには、前記触媒層における最高温度が330℃以下になる条件であれば、イソブチレンが含まれていてもよく、そのイソブチレン含有量は、例えば、50体積ppm未満の範囲である。所定のメタクリル酸供給量に達するまでの時間、すなわちスタートアップの時間は、触媒の性質や他の条件等にもよるが、メタクロレインの供給を開始してから300時間以内が好ましい。
前記スタートアップ後の定常状態において、メタクロレインの酸化を継続するが、その運転方法としては、例えば、(G)反応温度を一定にして、所定のメタクロレイン転化率を維持できる間、継続する方法、(H)所定のメタクロレイン転化率を維持できるように、反応温度を徐々に又は段階的に上げながら、設定した上限温度に到達するまで継続する方法、(I)所定のメタクロレイン転化率を維持できる間、反応温度を一定にして継続した後、この所定のメタクロレイン転化率を維持できるように、反応温度を徐々に又は段階的に上げながら、設定した上限温度に到達するまで継続する方法、(J)所定のメタクロレイン転化率を維持できるように、メタクロレイン製造用触媒におけるメタクロレインの空間速度を小さくする、メタクロレインに対する酸素の供給量を多くする等の反応条件の変更を行いながら、設定した反応条件になるまで継続する方法等が挙げられるが、生産性の点で、前記(G)又は(I)の方法が好ましい。ここで、反応温度を一定にしたメタクロレインの酸化の継続とは、メタクロレインの酸化開始時の反応温度に対して±5℃の範囲内となるようにメタクロレインの酸化を継続して行うことをいう。該酸化開始時の反応温度に対して±5℃の範囲内となるようにするには、上述のメタクロレインの酸化における反応温度の調整と同様の方法により行えばよい。反応温度を一定にした該酸化の継続は、前記酸化開始時の反応温度に対して±3℃の範囲内となるようにして行うことが好ましい。反応温度を一定にしてメタクロレインの酸化を継続する場合、その反応温度は、260〜290℃の範囲内となるようにすることが好ましい。前記(G)又は(I)の方法において、所定のメタクロレイン転化率は、適宜設定されるが、例えば、50〜80%の範囲で設定すればよく、好ましくは65〜75%の範囲で設定するのがよい。前記(H)又は(J)の方法において、所定のメタクロレイン転化率は、適宜設定されるが、例えば、60〜90%の範囲で設定すればよい。
メタクロレインの酸化に使用されたメタクリル酸製造用触媒は、例えば、特開昭58−156351号公報、特開平6−7685号公報、特開2000−191582号公報、特開2003−306464号公報等に記載の再生処理方法により再生し、再使用することができる。再生処理の方法は、触媒をメタクリル酸製造用反応器に充填したままで行える方法が好ましく、特に特開2003−306464号公報に記載されるように、少なくとも3体積%の酸素及び少なくとも3体積%の水蒸気を含むガスの流通下に、290〜400℃にて熱処理する方法が好ましい。
かくして、触媒性能の持続性を高めることができ、長期間にわたり生産性良くメタクリル酸を製造することができる。得られたメタクリル酸を含む反応生成ガスの後処理操作については、適宜選択されるが、例えば、凝縮または水吸収された後、分離精製操作に付す方法等が挙げられる。回収された未反応のメタクロレインは原料としてリサイクルすることができ、また排ガスは、必要に応じて燃焼等の処理を施した後、上記不活性ガス源としてリサイクルすることができる。
得られたメタクリル酸は、例えば、エステル化触媒の存在下にエステル化反応させてメタクリル酸エステルを製造するための原料として好適に使用される。
エステル化反応に使用されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール等を挙げることができる。好ましい実施形態として、メタノールを使用することによりメタクリル酸メチルを製造する形態が挙げられる。エステル化触媒としては、例えば、硫酸、強酸性イオン交換樹脂等の酸触媒等が挙げられる。エステル化反応は、例えば、特公昭48−1369号公報、特公昭61−4378号公報、特開平6−298702号公報、特開2003−26633号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
尚、以下で使用した空気及び窒素は実質的に水分を含まないものである。
以下の各例において、メタクリル酸製造用反応器に供給される混合ガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、混合ガス中のイソブチレン含有量、メタクロレイン含有量、酸素含有量及び水蒸気含有量を求めた。また、メタクリル酸製造用反応器出口の反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析し、メタクリル酸製造用反応器出口におけるメタクロレイン転化率を下式により算出した。
メタクロレイン転化率(%)=[〔メタクリル酸製造用反応器に供給する混合ガス中のメタクロレイン含有量(mol)〕−〔メタクリル酸製造用反応器出口の反応混合物中のメタクロレイン含有量(mol)〕]/[メタクリル酸製造用反応器に供給する混合ガス中のメタクロレイン含有量(mol)]×100
参考例1
〔メタクロレイン製造用触媒の調製〕
モリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]13241gを温水15000gに溶解し、これをA液とした。硝酸鉄(III)[Fe(NO33・9H2O]6060g、硝酸コバルト[Co(NO32・6H2O]13096g及び硝酸セシウム(CsNO3)585gを温水6000gに溶解し、次いで硝酸ビスマス[Bi(NO33・5H2O]2910gを溶解し、これをB液とした。A液を攪拌しながらこれにB液を添加しスラリーを得、続いて噴霧乾燥し、乾燥物を得た。得られた乾燥物に、該乾燥物100質量部に対し三酸化アンチモン[Sb23]を2.54質量部添加し、6質量部のシリカアルミナファイバー((株)ITM製、RFC400−SL)とともに外径6.0mm、内径2.0mm、長さ6mmのリング状に成型し、空気雰囲気下543℃で6時間焼成し、メタクロレイン製造用触媒を得た。酸素を除く触媒組成は、Mo12Bi0.96Sb0.48Fe2.4Co7.2Cs0.48Si1.43Al1.55であった。
参考例2
〔メタクリル酸製造用触媒の調製〕
40℃に加熱したイオン交換水224kgに、硝酸セシウム[CsNO]38.2kg、85重量%オルトリン酸24.2kg、及び70重量%硝酸25.2kgを溶解し、これをC液とした。一方、40℃に加熱したイオン交換水330kgに、モリブデン酸アンモニウム4水和物[(NHMo24・4HO]297kgを溶解した後、メタバナジン酸アンモニウム[NHVO]8.19kgを懸濁させ、これをD液とした。C液とD液を40℃に調整し、攪拌下、D液にC液を滴下した後、密閉容器中で120℃にて5.8時間攪拌し、次いで、三酸化アンチモン[Sb]10.2kg及び硝酸銅3水和物[Cu(NO・3HO]10.2kgを、イオン交換水23kgに懸濁させて添加した後、密封容器中で120℃にて5時間攪拌した。こうして得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、この乾燥粉末100重量部に対して、シリカアルミナファイバー[(株)ITM製、RFC400−SL]4重量部、硝酸アンモニウム13重量部、及びイオン交換水9.7重量部を加えて混練し、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。この成形体を、温度90℃、湿度30%RHにて3時間乾燥した後、空気気流中にて220℃にて22時間、続いて250℃で1時間保持することにより熱処理して、ケギン型ヘテロポリ酸塩からなる触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体を、空気とスチームとの混合ガス(含水量:1.4体積%)の気流中にて390℃に昇温して、同温度で3時間保持し、次いで、空気を窒素に切り換え、窒素気流中で435℃に昇温して、同温度で3時間保持することにより焼成し、窒素気流中で70℃まで冷却し、メタクリル酸製造用触媒を得た。このメタクリル酸製造用触媒は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含むケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。
実施例1
〔メタクリル酸の製造〕
熱媒浴を備えた内径25.4mmの鋼製のメタクロレイン製造用反応管に、参考例1で得られたメタクロレイン製造用触媒1300mlを充填し、イソブチレン、空気、スチーム及び窒素を混合して調製した原料ガス(A)をメタクロレイン製造用反応管に空間速度650h-1(標準状態基準)で供給し、反応温度350℃にてイソブチレンの酸化反応を開始した。
熱媒浴を備えた内径30mmの鋼製のメタクリル酸製造用反応管に、参考例2で得られたメタクリル酸製造用触媒2000mlを充填した。尚、メタクリル酸製造用反応管には保護管(外径4mm、内径3mm)を挿入し、保護管の中に多点式のシース熱電対(直径1.8mm)を入れ、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の温度を測定した。メタクリル酸製造用触媒が充填されたメタクリル酸製造用反応管に、反応管を加熱する熱媒の温度を280℃として、550h−1(標準状態基準)の空間速度で、上記のイソブチレンの酸化反応によりメタクロレイン製造用反応管出口より抜き出された反応ガスと、空気と、窒素とを混合して調製した混合ガス(B)の供給を開始した。次いで、混合ガス(B)の供給開始から23時間かけて空間速度が750h−1(標準状態基準)となるまで混合ガス(B)の供給量を段階的に増加させた。混合ガス(B)の供給開始から23時間未満までの間における、混合ガス(B)の組成は、メタクロレイン含有量:0.7〜2.0体積%、酸素含有量:4.9〜12.7体積%、イソブチレン含有量:0体積ppm、水蒸気含有量:11.1〜14.8体積%であり、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は290〜318℃、メタクロレイン転化率は99〜100%の範囲で推移した。尚、混合ガス(B)の供給開始から23時間までの間、上記のイソブチレンの酸化反応に供給する原料ガス(A)の供給量も空間速度が850h-1(標準状態基準)となるまで段階的に増加させた。混合ガス(B)の供給開始から23時間未満までの間における、原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が0.8〜2.8体積%、分子状酸素含有量が5〜13体積%、水蒸気含有量が7〜35体積%であり、イソブチレン転化率は100%で推移し、イソブチレンの酸化反応における反応温度は345〜350℃であった。混合ガス(B)の供給開始から23時間経過後の混合ガス(C)の供給開始前における原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が2.8体積%、分子状酸素含有量が8.0体積%、水蒸気含有量が9.8体積%であり、イソブチレン転化率は100%であった。
混合ガス(B)の供給開始から23時間経過後に、混合ガス(B)に代えて、上記のイソブチレンの酸化反応によりメタクロレイン製造用反応管出口より抜き出された反応ガス(イソブチレン含有量:0体積ppm)と、イソブチレンと、空気と、窒素とを混合して調製した混合ガス(C)(メタクロレイン含有量:1.9体積%、分子状酸素含有量:7.8体積%、イソブチレン含有量:600体積ppm、水蒸気含有量:11.0体積%)をメタクリル酸製造用反応管に供給した。尚、イソブチレンは、メタクロレイン製造用反応管出口とメタクリル酸製造用反応管入口とを接続する接続ライン上に接続されたイソブチレン供給ラインから供給し、空気は、該接続ライン上に接続された空気供給ラインから供給し、窒素は、該接続ライン上に接続された窒素供給ラインから供給を行った。混合ガス(C)に切り替えた直後のメタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は320℃であった。混合ガス(C)の供給開始から180時間かけて空間速度が910h−1(標準状態基準)となるまで混合ガス(C)の供給量を段階的に増加させた。混合ガス(C)の供給開始から180時間未満までの間における、混合ガス(C)の組成は、メタクロレイン含有量:1.9〜2.5体積%、酸素含有量:6.7〜8.3体積%、イソブチレン含有量:550〜600体積ppm、水蒸気含有量:11.0〜11.7体積%であり、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は320〜322℃、メタクロレイン転化率は98.0〜98.3%の範囲で推移した。混合ガス(C)の供給開始から180時間の時点におけるメタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は322℃であり、メタクロレイン転化率を上式により求めたところ、98%であった。尚、混合ガス(C)の供給開始から180時間までの間、上記のイソブチレンの酸化反応に供給する原料ガス(A)の供給量も空間速度が1100h-1(標準状態基準)となるまで段階的に増加させた。混合ガス(C)の供給開始から180時間未満までの間における、原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が2.8〜3.9体積%、分子状酸素含有量が8.0〜11.0体積%、水蒸気含有量が9.8〜9.9体積%であり、イソブチレン転化率は99.9〜100%で推移し、イソブチレンの酸化反応における反応温度は345℃であった。
混合ガス(C)の供給開始後180時間から混合ガス(C)の供給開始後2200時間(混合ガス(C)の空間速度が910h−1(標準状態基準)となってから2020時間)までの間、上記のイソブチレンの酸化反応のイソブチレン転化率と、イソブチレン供給ラインから供給するイソブチレン供給量とを調整することにより、メタクリル酸製造用反応管に供給する混合ガス中のイソブチレンの含有量を調節し、該混合ガス中のイソブチレン含有量が302〜1000体積ppmの範囲となるようにしながら、メタクリル酸製造用反応管を加熱する熱媒の温度を279℃とし、空間速度910h−1(標準状態基準)の条件で該混合ガスをメタクリル酸製造用反応管に供給し、メタクリル酸の製造を行った。尚、混合ガス(C)の供給開始後180時間から混合ガス(C)の供給開始後2200時間までの間、メタクリル酸製造用反応管に供給した混合ガス中のメタクロレイン含有量は2.8〜3.2体積%、分子状酸素含有量は7.8体積%、水蒸気含有量は11.4体積%であり、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は302〜322℃の範囲であった。また、混合ガス(C)の供給開始後180時間から混合ガス(C)の供給開始後2200時間までの間における、原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が4.2〜4.7体積%、分子状酸素含有量が11〜12体積%、水蒸気含有量が8.4〜8.9体積%であり、イソブチレン転化率は98.5〜99.5%の範囲で推移し、イソブチレン転化率の調整は、イソブチレンの酸化反応の反応温度を調節することにより行い、反応温度は323〜334℃の範囲であった。混合ガス(C)の供給開始から2200時間経過した時点におけるメタクロレイン転化率を上式により求めたところ、93%であった。
比較例1
実施例1と同様の操作でイソブチレンの酸化反応を開始した。熱媒浴を備えた内径30mmの鋼製のメタクリル酸製造用反応管に、参考例2で得られたメタクリル酸製造用触媒2000mlを充填した。尚、メタクリル酸製造用反応管には保護管(外径4mm、内径3mm)を挿入し、保護管の中に多点式のシース熱電対(直径1.8mm)を入れ、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の温度を測定した。メタクリル酸製造用触媒が充填されたメタクリル酸製造用反応管に、反応管を加熱する熱媒の温度を280℃として、550h−1(標準状態基準)の空間速度で、上記のイソブチレンの酸化反応によりメタクロレイン製造用反応管出口より抜き出された反応ガスと、空気と、窒素とを混合して調製した混合ガス(D)の供給を開始した。混合ガス(D)の供給開始から5時間かけて空間速度が910h−1(標準状態基準)となるまで混合ガス(D)の供給量を段階的に増加させた。混合ガス(D)の供給開始から5時間の時点における、混合ガス(D)の組成は、メタクロレイン含有量:2.5体積%、酸素含有量:7.8体積%、イソブチレン含有量:41体積ppm、水蒸気含有量:11.0体積%であり、メタクリル酸製造用触媒の触媒層の最高温度は333℃であり、メタクロレイン転化率を上式により求めたところ、98%であった。尚、混合ガス(D)の供給開始から5時間までの間、上記のイソブチレンの酸化反応に供給する原料ガス(A)の供給量も空間速度が1100h-1(標準状態基準)となるまで段階的に増加させた。混合ガス(D)の供給開始から5時間の時点における原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が4.2体積%、分子状酸素含有量が11体積%、水蒸気含有量が8.9体積%であり、イソブチレン転化率は99.9%であった。
混合ガス(D)の供給開始後5時間から混合ガス(D)の供給開始後2200時間(混合ガス(D)の空間速度が910h−1(標準状態基準)となってから2195時間)までの間、上記のイソブチレンの酸化反応のイソブチレン転化率を調整することにより、得られる反応ガス中のイソブチレンの含有量を調節し、該反応ガスと、空気と、窒素とを混合して調製した混合ガス中のイソブチレン含有量が41〜279体積ppmの範囲となるようにしながら、メタクリル酸製造用反応管を加熱する熱媒の温度を280℃とし、空間速度910h−1(標準状態基準)の条件で該混合ガスをメタクリル酸製造用反応管に供給し、メタクリル酸の製造を行った。尚、混合ガス(D)の供給開始後5時間から混合ガス(D)の供給開始後2200時間までの間、メタクリル酸製造用反応管に供給した混合ガス中のメタクロレイン含有量は2.8〜3.6体積%、分子状酸素含有量は7.8体積%、水蒸気含有量は11.4体積%であった。また、混合ガス(D)の供給開始後5時間から混合ガス(D)の供給開始後2200時間までの間における、原料ガス(A)の組成は、イソブチレン含有量が4.2〜5.4体積%、分子状酸素含有量が11.0〜12.8体積%、水蒸気含有量が7.0〜8.9体積%であり、イソブチレン転化率は99.4〜99.9%の範囲で推移し、イソブチレン転化率の調整は、イソブチレンの酸化反応の反応温度を調節することにより行い、反応温度は345〜355℃の範囲であった。混合ガス(D)の供給開始から1973時間経過後(混合ガス(D)の空間速度が910h−1(標準状態基準)となってから1968時間経過後)に、メタクロレイン転化率を上式により求めたところ、87%であった。混合ガス(D)の供給開始から2200時間経過後に、メタクロレイン転化率を上式により求めたところ、84%であった。

Claims (10)

  1. メタクリル酸製造用触媒を含む触媒層を備えたメタクリル酸製造用反応器内に、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を供給し、連続式で前記メタクロレインを酸化してメタクリル酸を製造する方法であって、前記反応器は固定床反応器であり、前記メタクロレインの酸化において温度調節手段の温度を250〜320℃の範囲で調整し、前記触媒層における最高温度が330℃以下であることを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
  2. 前記イソブチレンの供給量を調整することにより、前記触媒層における最高温度を330℃以下にする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記メタクロレインの少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるものであり、かつ前記メタクリル酸製造用反応器内に供給されるイソブチレンの少なくとも一部が、前記反応混合物に含まれる未反応のイソブチレンとは異なるイソブチレンである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記メタクロレインの少なくとも一部が、メタクロレイン製造用触媒を入れたメタクロレイン製造用反応器内で、メタクロレイン製造用触媒の存在下に、イソブチレンを酸素で酸化して得られる反応混合物に含まれるものであり、該メタクロレイン製造用反応器の抜き出し口は、前記メタクリル酸製造用反応器の供給口に接続ラインによって接続され、該接続ラインには、イソブチレン供給ラインが接続され、該イソブチレン供給ラインにイソブチレンを供給しながら前記メタクリル酸製造用反応器内におけるメタクロレイン酸化を行う請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記メタクリル酸製造用反応器内におけるメタクロレイン酸化を、メタクロレイン、イソブチレン及び酸素を含み、かつイソブチレンの含有量が50〜3000体積ppmである混合ガスを前記メタクリル酸製造用反応器内に供給することにより行う請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記混合ガスにおいて、イソブチレンの含有量は50〜1500体積ppmである請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記メタクリル酸製造用触媒が、リン及びモリブデンを含むヘテロポリ酸化合物からなる請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記ヘテロポリ酸化合物が、さらにバナジウムと、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記メタクロレイン製造用触媒が、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する複合酸化物からなる請求項3又は4に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により製造されたメタクリル酸と、アルコールとを、エステル化触媒の存在下にエステル化反応させることを特徴とするメタクリル酸エステルの製造方法。
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