JP6076828B2 - 座金ユニット及び座金ユニットの設置方法 - Google Patents
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例えば、上座金を180度回転させる際にボルト穴の周辺部材(突起物等)と上座金とが接触しないように、上座金の角を無くした小判型の平面形状としてもよい。少しでも大きなせん断抵抗を確保するために上座金の外形を大きな単円や長方形としてもよい。
すなわち、第3及び第4の係合部は、第1の方向に延びる複数の凸部及び凹部を備える構成であるので、第2の方向にせん断抵抗を生じさせて位置ずれを防止することができる。この座金ユニットによれば、直交する第1及び第2の方向における位置ずれを防止して、さらに耐震性を向上させることができる。
図1に示されるように、一対の座金部材10を備えた緊結装置1は、複数の板状部材2,3を板厚方向Zに重ねて合わせて緊結するものであり、板状部材2,3を貫通する棒状緊結部材であるボルト4、このボルト4に螺合されるナット5及びこのナット5によって板状部材2,3側に押し当てられる一対の座金部材10を備えている。なお、緊結装置1は、一対の座金部材10を用いて、2以上の板状部材を棒状緊結部材の延在方向に緊結してもよい。
一対の座金部材10は、板厚方向Zに重ねられた下座金11及び上座金12を有し、下座金11は、第2の板状部材3の第1の板状部材2とは反対側の外面3a上に配置されている。下座金11及び上座金12には、ボルト4が挿通される挿通孔であるボルト穴13,14が各々形成され、ボルト4は、ボルト穴13,14に挿通されて、上座金12の外側に突出している。ボルト4の長手方向の他方の端部に形成されたねじ部4bは、上座金12の外方に露出され、ナット5は、ねじ部4bに螺合されている。ボルト4に螺合されたナット5は、一対の座金部材10を第2の板状部材3に押し当て、ボルト4の頭部4aとナット5に挟まれた複数の板状部材2,3を板厚方向Zに緊結する。
下座金11は、図2に示されるように、例えば矩形の板状を成し、ボルト穴13は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径D13Xは、位置調整が必要な方向である第1の方向Xに沿うように形成されている。位置調整が必要な方向とは、緊結される複数の板状部材2,3の相対的な位置関係を調整可能な方向である。例えば、設計上の配置位置と、実際に配置可能な位置とに差がある場合には、板状部材2,3の相対位置を調整することが求められる場合がある。本実施形態では、第1の方向Xは、図示左右方向であり、下座金11の長手方向である。
上座金12は、板状を成し、図3に示されるように、板厚方向Zから見て例えば楕円形を成している。上座金12のボルト穴14は、円形に形成され、ボルト穴14の内径D14は、例えば62mmである。ボルト4の外径が56mmであるので、ボルト穴14の径方向において片側3mmの遊び代d14が設けられている。なお、図3では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。ボルト穴14は、第1の方向Xにおいて、上座金12の中央部に形成されている。
一対の座金部材10の配置について説明する。例えば、図4(a)に示されるように、第2の方向から見て、上座金12のボルト穴14の中心O14を通り板厚方向Zに延在する中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心O13を通り板厚方向Zに延在する中心線L3とが、一致し、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて5mm重なって配置されている場合には(重なりP1=5mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても、凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。なお、上方から見て、凸部15,17が平行に配置され、第1の方向Xにおいて凸部15,17の一部又は全部が重なりあっている状態の上座金12の姿勢を「第1の姿勢」と称し、第1の姿勢からボルト穴14の中心線L2回りに180度回転させた後の上座金12の状態を「第2の姿勢」と称する。
例えば、図5(a)に示されるように、上座金12のボルト穴14の中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心線L3とが第1の方向Xに1mmずれ、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて4mm重なって配置されている場合には(重なりP2=4mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても、凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。
例えば、図6(a)に示されるように、上座金12のボルト穴14の中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心線L3とが第1の方向Xに2mmずれ、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて3mm重なって配置されている場合には(重なりP4=3mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。
例えば、上述の第1実施形態の同一の構成である上座金21は、図7に示されるように、凸部17の幅W17が5mm、凹部18の幅W18が5mmである。複数の凸部17のうち第1の方向Xにおいて、中心線L2と最も近い位置にある凸部17を凸部17aとする。上座金21では、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの第1の方向Xの端部17bにボルト穴14の中心線L2が重なるように形成されている。このように、第1の方向Xにおいて、中心軸L2と凸部17aの端部17bとの距離が0mmである上座金21を「0mm型上座金」と称する。0mm型上座金21は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、0mm型上座金21の凸部17の中心17cを通り板厚方向Zに延在する仮想線L4との距離d21が2.5mmである。
図8に示されるように、上座金22は、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの端部17bから中心17c側へ、距離d32(=1mm)分ずれた位置にボルト穴14の中心線L2が形成されている。第1の方向Xにおいて、中心線L2と凸部17aの端部17bとの距離d32が1mmである上座金22を「1mm型上座金」と称する。1mm型上座金22は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、凸部17aの中心17cを通る仮想線L4との距離d22が1.5mmである。
図9に示されるように、上座金23は、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの端部17bから中心17c側へ、距離d33(=1.5mm)分ずれた位置にボルト穴14の中心線L2が形成されている。第1の方向Xにおいて、中心線L2と凸部17aの端部17bとの距離d33が1.5mmである上座金23を「1.5mm型上座金」と称する。1.5mm型上座金23は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、凸部17Aの中心17bを通る仮想線L4との距離d23が1mmである。
凸部17の幅Wとしては、例えば、製造上、取扱いが容易な幅を設定する。
座金ユニット70は、板厚方向Zに重ねられた下座金71、上座金72及び追加座金73を有し、下座金71は、第2の板状部材3の第1の板状部材2とは反対側の外面3a上に配置されている。下座金71、上座金72及び追加座金73には、ボルト4が挿通される挿通孔であるボルト穴74,75,76が各々形成され、ボルト4は、ボルト穴74,75,76に挿通されて、追加座金73の外側に突出している。ボルト4の長手方向の他方の端部に形成されたねじ部4bは、上座金71の外方に露出され、ナット5は、ねじ部4bに螺合されている。ボルト4に螺合されたナット5は、座金ユニット70を第2の板状部材3に押し当て、複数の板状部材2,3を板厚方向Zに緊結する。
下座金71は、図16に示されるように、例えば矩形の板状を成し、ボルト穴74は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径は、第1の方向Xに沿うように形成されている。
上座金72は、図17に示されるように、例えば矩形の板状を成し、上座金72のボルト穴75は、円形に形成され、ボルト穴75の径方向において遊び代が設けられている。なお、図17では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。ボルト穴75は、第1の方向Xにおいて、上座金72の中央部に形成されている。
追加座金73は、図19に示されるように、例えば矩形の板状を成し、追加座金73のボルト穴(追加座金の挿通孔)76は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径は、第2の方向Yに沿うように形成されている。なお、図19では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。
下座金91は、図20に示されるように、例えば矩形の板状を成し、中央にはボルト4が挿通されるボルト穴93が設けられている。ボルト穴93は、ボルト4の外径の2倍の内径を有する拡大孔である。なお、図20では、ボルト4及び上座金92のボルト穴94を仮想線で示している。
上座金92は、図21に示されるように、例えば矩形の板状を成し、中央にはボルト4が挿通されるボルト穴94が設けられている。ボルト穴94には遊び代が設けられている。なお、図21では、ボルト4を仮想線で示している。
2…第1の板状部材
3…第2の板状部材
4…ボルト(棒状緊結部材)
5…ナット
7…第1の板状部材のボルト穴
8…第2の板状部材のボルト穴
10,41〜44…一対の座金部材
11,48,55,63,71…下座金
12,45,53,60,72…上座金
13,74…下座金のボルト穴
14,75…上座金のボルト穴
15,49,56,64…下座金の凸部
16,52…下座金の凹部
17,46,54,61,79…上座金の凸部
18,51,80…上座金の凹部
21…0mm型上座金
22…1mm型上座金
23…1.5mm型上座金
24…0.5mm型上座金
25…2mm型上座金
47,62…張出部
50,65…受容部
57,58…貫通孔
66…隙間調整部材
70…座金ユニット
73…追加座金
76…追加座金のボルト穴(追加座金の挿通孔)
81…上座金の凸部(上座金第2凸部)
82…上座金の凹部(上座金第2凹部)
83…追加座金の凸部(追加座金凸部)
84…追加座金の凹部(追加座金凹部)
d14…上座金のボルト穴の遊び代
L2…上座金のボルト穴の中心線
L3…下座金のボルト穴の中心線
X…第1の方向
Y…第2の方向
Z…板厚方向
Claims (9)
- 棒状緊結部材が挿通される挿通孔が穿孔された少なくとも2以上の板状部材を、前記棒状緊結部材を用いて前記棒状緊結部材の延在方向に緊結する際に用いられ、前記棒状緊結部材の端部と前記板状部材との間に配置され前記板状部材に押し付けられる座金ユニットであって、
前記板状部材に固定もしくは前記板状部材と一体化された下座金と、
前記下座金と対を成し前記棒状緊結部材の端部側に配置される上座金と、を有し、
前記下座金には、位置調整が必要な方向である第1の方向に延びる長孔が形成され、
前記下座金の外面には、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に延びる複数の下座金凸部が等ピッチで配列された第1の係合部が形成され、
前記上座金の前記下座金と接する面には、前記下座金凸部に係合可能な上座金凹部を有する第2の係合部が形成され、
前記上座金の前記第1の方向の中央部には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
前記第2の方向から見て、前記上座金の前記挿通孔の中心線は、隣り合う前記上座金凹部同士の間の部位である上座金凸部のうち前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の前記第1の方向における端部を通り前記上座金の板厚方向に延在する第1の仮想線と重なるように配置され、
前記上座金凸部の幅は、前記上座金の前記挿通孔の周縁と前記棒状緊結部材の外周面と前記第1の方向における隙間である遊び代の2倍の長さ未満である座金ユニット。 - 前記上座金よりも前記棒状緊結部材の端部側に配置されて前記上座金に接する追加座金を更に備え、
前記追加座金には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
前記上座金の前記追加座金と接する面には、前記第1の方向に延びる複数の上座金第2凸部が等ピッチで配列された第3の係合部が形成され、
前記追加座金の前記上座金と接する面には、前記上座金第2凸部に係合可能な追加座金凹部を有する第4の係合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の座金ユニット。 - 棒状緊結部材が挿通される挿通孔が穿孔された少なくとも2以上の板状部材を、前記棒状緊結部材を用いて前記棒状緊結部材の延在方向に緊結する際に用いられ、前記棒状緊結部材の端部と前記板状部材との間に配置され前記板状部材に押し付けられる座金ユニットであって、
前記板状部材に固定もしくは前記板状部材と一体化された下座金と、
前記下座金と対を成し前記棒状緊結部材の端部側に配置される上座金と、を有し、
前記下座金には、位置調整が必要な方向である第1の方向に延びる長孔が形成され、
前記下座金の外面には、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に延びる複数の下座金凸部が等ピッチで配列された第1の係合部が形成され、
前記上座金の前記下座金と接する面には、前記下座金凸部に係合可能な上座金凹部を有する第2の係合部が形成され、
前記上座金の前記第1の方向の中央部には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
前記第2の方向から見て、前記上座金の前記挿通孔の中心線は、隣り合う前記上座金凹部同士の間の部位である上座金凸部のうち前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の前記第1の方向における中心からずれた位置であり、且つ、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凹部の前記第1の方向における中心からずれた位置に存在し、
前記上座金よりも前記棒状緊結部材の端部側に配置されて前記上座金に接する追加座金を更に備え、
前記追加座金には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
前記上座金の前記追加座金と接する面には、前記第1の方向に延びる複数の上座金第2凸部が等ピッチで配列された第3の係合部が形成され、
前記追加座金の前記上座金と接する面には、前記上座金第2凸部に係合可能な追加座金凹部を有する第4の係合部が形成されている座金ユニット。 - 前記第1の方向から見て、前記追加座金の挿通孔の中心線は、隣り合う前記追加座金凹部同士の間の部位である追加座金凸部のうち前記追加座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記追加座金凸部の前記第2の方向における中心からずれた位置であり、且つ、前記追加座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記追加座金凹部の前記第2の方向における中心からずれた位置に存在することを特徴とする請求項3に記載の座金ユニット。
- 前記追加座金の挿通孔は前記第2の方向に延びる長孔であることを特徴とする請求項3または4に記載の座金ユニット。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の座金ユニットを設置する方法であって、
前記上座金及び前記下座金の前記係合部同士を板厚方向に対面させ、前記板厚方向から見た場合に、前記下座金凸部に対して前記上座金凸部が平行である第1の姿勢として前記上座金を配置し、前記上座金を第1の姿勢のまま前記下座金に係合させるか、または、前記上座金を、前記第1の姿勢から前記中心線を中心に180度回転させた後の第2の姿勢として前記下座金に係合させるかを選択する選択工程と、
前記選択工程の後に、前記上座金を前記第1の方向に前記挿通孔の遊び代の範囲内で移動させて位置調整する上座金位置調整工程と、を有する座金ユニットの設置方法。 - 前記第2の方向から見た場合に、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線と、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の中心線との前記第1の方向における距離であるずれ幅が異なる複数種類の前記上座金を準備する上座金準備工程を更に備え、
前記第1の姿勢の前記上座金凸部と前記下座金凸部との前記第1の方向における重なり長さに応じて、前記複数種類の前記上座金の中から対応する前記上座金を選択し、選択された前記上座金を、前記下座金に対面させ前記第1の姿勢として配置することを特徴とする請求項6に記載の座金ユニットの設置方法。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載の座金ユニットを設置する方法であって、
前記上座金及び前記下座金の前記係合部同士を板厚方向に対面させ、前記板厚方向から見た場合に、前記下座金凸部に対して前記上座金凸部が平行である第1の姿勢として前記上座金を配置し、前記上座金を第1の姿勢のまま前記下座金に係合させるか、または、前記上座金を、前記第1の姿勢から前記中心線を中心に180度回転させた後の第2の姿勢として前記下座金に係合させるかを選択する選択工程と、
前記第2の方向から見た場合に、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線と、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の中心線との前記第1の方向における距離であるずれ幅が異なる複数種類の前記上座金を準備する上座金準備工程と、を有し、
前記第1の姿勢の前記上座金凸部と前記下座金凸部との前記第1の方向における重なり長さに応じて、前記複数種類の前記上座金の中から対応する前記上座金を選択し、選択された前記上座金を、前記下座金に対面させ前記第1の姿勢として配置する座金ユニットの設置方法。 - 前記上座金準備工程では、前記上座金凸部の前記第1の方向における幅を、許容誤差で除算した値から当該除算の余りを減算して整数値を算出し、算出された前記整数値に基づいて、前記ずれ幅の異なる前記上座金の個数を決定し、決定された前記個数の前記ずれ幅の異なる前記上座金を準備することを特徴とする請求項7又は8に記載の座金ユニットの設置方法。
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