JP6076828B2 - 座金ユニット及び座金ユニットの設置方法 - Google Patents

座金ユニット及び座金ユニットの設置方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも2つの板状部材を重ね合わせ、棒状緊結部材を用いて緊結する際に板状部材に押し当てられて使用される座金ユニット及び座金ユニットの設置方法に関する。
従来から、複数の単位体を接続する際に板状の接続具本体を一方の単位体から他方の単位体へ掛け渡し、隣り合う単位体同士を接続する技術がある(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載の接続装置は、例えばコンクリート製の単位体を連結する際に利用され、単位体の両端部側面には、接続具本体を単位体に固定する手段として例えば埋め込みナットが設けられている。
接続具本体には、隣接させた単位体に設けられた埋め込みナット同士の間隔に適合した2個のボルト孔が並設され、これらの2個のボルト孔の少なくとも一方は、ボルト孔の並設方向である第1の方向に延びた長孔として形成されている。また、接続具本体の板厚方向の外面には、第1の方向に対する位置ずれを防止するための係合部として第1の方向に規則的に配列された凹凸形状が形成されている。
同様に、接続具本体の外面に押し当てられる座金の接続具本体に対向する面には、接続具本体の凹凸形状と係合可能な凹凸形状が形成され、座金と接続具本体とが係合可能な構成とされている。接続具本体を単位体に対して固定するためのボルトは、座金に形成されたボルト孔と接続具本体のボルト孔とに挿通されて埋め込みナットと緊締され、接続具本体に押し当てられた座金の凹凸形状が、接続具本体の凹凸形状に係合することで、隣り合う単位体の位置ずれを防止している。
特許第2530586号明細書
複数の板状部材を板厚方向に重ねて、この板状部材をボルトナットによって緊結する際に、緊結しようとする複数の板状部材のボルト孔の位置が誤差によって一致しないおそれがある場合に、ボルト孔を単円の拡大孔もしくは長孔として遊び代を設けることで、誤差を吸収することが考えられている。
単円の拡大孔に比べて長孔は大きな量の誤差吸収に対して有効であるが、このような長孔が形成された板状部材を緊結する場合に、板状部材が長孔の長手方向にずれるおそれがあり、上記の従来技術では、凸部の断面が三角形状である凹凸形状を接続具本体及び座金の向かい合う面に設けて互いに噛み合わせることで、せん断抵抗を生じさせ位置ずれを防止している。
上記の従来技術では、断面が三角形状の凹凸形状が、位置ずれを防止する方向に細かいピッチで形成されているので、位置ずれに対する追従性が比較的よく位置調整がし易くなっているが、このような凹凸形状では、高いせん断抵抗を生じさせることができず、例えば、特殊な鉄道工事で用いられる移動式桁架設機のタワーのような重量構造物の脚部を固定する場合には、仮設構造であっても高い耐震性が要求されるため、高いせん断抵抗が求められる。また、断面が三角形状の凹凸形状同士が奥まで嵌合せずに施工がなされる可能性も懸念され、せん断抵抗の向上が求められている。せん断抵抗が低い場合には地震の規模が極めて大きくなると接続具本体が破断するおそれがある。
また、移動させることが困難である基準に対して高い精度で位置を合わせて板状部材を緊結することが要求される場合には、対向する面に凹凸形状が設けられた一対の座金を適用し、一方の座金である下座金を一方の板状部材に溶接などにより固定して、他方の座金である上座金を下座金に噛み合わせると共に、上座金及び下座金を複数の板状部材に押し当てることで、互いの位置を拘束することが考えられる。高い位置精度が求められ、移動させることができない板状部材に固定された下座金に対して、上座金を噛み合わせて位置を拘束するには、ボルト孔と凹凸形状との相対位置が異なる複数種類の座金を準備する必要があり、準備すべき上座金の個数を抑えて、精度良く配置して緊結するとともに、要求された耐震性を満たすことが求められている。
本発明は、複数の板状の部材を、棒状緊結部材を用いて緊結する際に、せん断抵抗の向上を図り、位置ずれを防止することが可能な一対の座金ユニット及び一対の座金ユニットの設置方法を提供することを目的とする。また、棒状緊結部材を挿通させる挿通孔の中心線を中心に上座金を180度回転させることで、凹凸形状及びボルト孔の相対位置を変えて、下座金に対して上座金を係合させることが可能な座金ユニットを提供することを目的とする。
本発明の座金ユニットは、棒状緊結部材が挿通される挿通孔が穿孔された少なくとも2以上の板状部材を、棒状緊結部材を用いて棒状緊結部材の延在方向に緊結する際に用いられ、棒状緊結部材の端部と板状部材との間に配置され板状部材に押し付けられる座金ユニットであって、板状部材に固定もしくは板状部材と一体化された下座金と、下座金と対を成し棒状緊結部材の端部側に配置される上座金と、を有し、下座金には、位置調整が必要な方向である第1の方向に延びる長孔が形成され、下座金の外面には、第1の方向と交差する方向である第2の方向に延びる複数の下座金凸部が等ピッチで配列された第1の係合部が形成され、上座金の下座金と接する面には、下座金凸部に係合可能な上座金凹部を有する第2の係合部が形成され、上座金の第1の方向の中央部には、棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、第2の方向から見て、上座金の挿通孔の中心線は、隣り合う上座金凹部同士の間の部位である上座金凸部のうち上座金の挿通孔の中心線に最も近い上座金凸部の第1の方向における端部を通り上座金の板厚方向に延在する第1の仮想線と重なるように配置され、上座金凸部の幅は、上座金の挿通孔の周縁と棒状緊結部材の外周面と第1の方向における隙間である遊び代の2倍の長さ未満である。
この座金ユニットは、複数の板状部材を貫通する棒状緊結部材を用いて、板状部材を緊結する際に用いられる座金部材あり、板状部材に固定(例えば溶接等により固定)もしくは板状部材と一体化された下座金と、下座金と対を成す上座金とを備えている。これらの下座金及び上座金の対向する面には、凹凸形状を有し互いに係合する第1及び第2の係合部が形成されているので、一方の板状部材の位置を拘束する下座金と、棒状緊結部材を介して他方の板状部材の位置を拘束する上座金とを噛み合わせて、複数の板状部材の位置ずれを防止し、耐震性を向上させることができる。
また、上座金の挿通孔の中心を通り上座金の板厚方向に延在する中心線は、第2の方向から見た場合に、上座金の挿通孔の中心線に最も近い上座金凸部の第1方向における中心と重なっておらず、上座金の挿通孔の中心線に最も近い上座金凹部の第1方向における中心と重なっていない。換言すると、上座金を挿通孔の中心線を中心に180度回転させることで、第1の方向において、上座金の挿通孔と上座金凸部との相対位置を変えることができる。これにより、上座金を挿通孔の中心線を中心に180度回転させるだけで、下座金の凹凸形状に対する上座金の凹凸形状のずれ量を変えることができるため、上座金及び下座金の挿通孔の位置を合わせ、棒状緊結部材の位置を変えずに、上座金及び下座金の凹凸形状を確実に噛み合わせて、せん断抵抗の向上を図り、複数の板状部材の位置ずれを防止することができる。
また、座金ユニットでは、上座金を180度回転させまたは回転させずに、上座金を下座金に対して係合させることが可能であるため、準備する上座金の個数を抑えて、精度良く位置決めを行い、耐震性を向上させることができる。一つの上座金を用いて、対向する凹凸形状同士のずれ量が異なる2つの状態に対応することができる。
また、第2の方向から見た場合に、上座金の挿通孔の中心線は、当該中心線に最も近い上座金凸部の第1の方向における端部を通り板厚方向に延在する第1の仮想線と重なるように配置され、上座金凸部の幅は、上座金の前記挿通孔の周縁と棒状緊結部材の外周面と第1の方向における隙間である遊び代の2倍の長さ未満であってもよい。
この構成の座金ユニットによれば、第2の方向から見た場合に、上座金の挿通孔の中心線と、当該中心線に最も近い上座金凸部の第1の方向における端部を通る第1の仮想線と一致させることにより、上座金の挿通孔の中心線を中心に、上座金を180度回転させた場合、上座金の回転の前後において、上座金及び下座金の凹凸形状の相対位置の変化量を最大化させることができる。また、上座金凸部の幅を、上座金の挿通孔と棒状緊結部材間の第1の方向における遊び代の2倍の長さ未満とし、上記の通り上座金を180度回転させたり、上座金を第1の方向にずらしたりすることで、上座金の挿通孔と下座金の挿通孔の位置を合わせることができる。その結果、棒状緊結部材が下座金の挿通孔である長孔内のどの位置に配置されている場合であっても、上座金及び下座金を確実に噛み合わせて、棒状緊結部材を挿通させることができる。すなわち、棒状緊結部材の位置を変えることができない場合であっても、板状部材を締結すると共に位置ずれを防止することができる。
例えば、上座金を180度回転させる際にボルト穴の周辺部材(突起物等)と上座金とが接触しないように、上座金の角を無くした小判型の平面形状としてもよい。少しでも大きなせん断抵抗を確保するために上座金の外形を大きな単円や長方形としてもよい。
また、座金ユニットは、上座金よりも棒状緊結部材の端部側に配置されて上座金に接する追加座金を更に備え、追加座金には、棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、上座金の追加座金と接する面には、第1の方向に延びる複数の上座金第2凸部が等ピッチで配列された第3の係合部が形成され、追加座金の上座金と接する面には、上座金第2凸部に係合可能な追加座金凹部を有する第4の係合部が形成されている構成でもよい。
この座金ユニットは、上座金の下座金とは反対側の面に係合する追加座金を備えている。上座金及び追加座金の対向する面には、下座金及び上座金の対向する面に形成された凹凸形状と交差する方向に延びる凹凸形状を有し互いに係合する第3及び第4の係合部が形成されているので、追加座金を上座金に噛み合わせて、追加座金と上座金の位置ずれを防止し、耐震性を向上させることができる。
すなわち、第3及び第4の係合部は、第1の方向に延びる複数の凸部及び凹部を備える構成であるので、第2の方向にせん断抵抗を生じさせて位置ずれを防止することができる。この座金ユニットによれば、直交する第1及び第2の方向における位置ずれを防止して、さらに耐震性を向上させることができる。
また、第1の方向から見て、追加座金の第3挿通孔の中心線は、隣り合う追加座金凹部同士の間の部位である追加座金凸部のうち追加座金の挿通孔の中心線に最も近い追加座金凸部の第2の方向における中心からずれた位置であり、且つ、追加座金の挿通孔の中心線に最も近い追加座金凹部の第2の方向における中心からずれた位置に存在する。換言すると、追加座金を追加座金の挿通孔の中心線を中心に180度回転させることで、第2の方向において、追加座金の挿通孔と追加座金凸部との相対位置を変えることができる。これにより、追加座金を追加座金の挿通孔の中心線を中心に180度回転させるだけで、上座金の凹凸形状(第3の係合部)に対する追加座金の凹凸形状(第4の係合部)のずれ量を変えることができるため、上座金及び追加座金の挿通孔の位置を合わせ、棒状緊結部材の位置を変えずに、上座金及び追加座金の凹凸形状を確実に噛み合わせて、第2の方向に沿うせん断抵抗の向上を図り、複数の板状部材の位置ずれを防止することができる。
追加座金を180度回転させまたは回転させずに、追加座金を上座金に対して係合させることが可能であるため、準備する追加座金の個数を抑えて、精度良く位置決めを行い、耐震性を向上させることができる。一つの追加座金を用いて、対向する凹凸形状同士のずれ量が異なる2つの状態に対応することができる。
また、追加座金の挿通孔は第2の方向に延びる長孔でもよい。これにより、追加座金を第2の方向にずらして、第3の係合部に対する第4の係合部の相対位置を変更することができる。
また、本発明は、上座金及び下座金の係合部同士を板厚方向に対面させ、板厚方向から見た場合に、下座金凸部に対して上座金凸部が平行である第1の姿勢として上座金を配置し、上座金を第1の姿勢のまま下座金に係合させるか、または、上座金を、第1の姿勢から中心線を中心に180度回転させた後の第2の姿勢として下座金に係合させるかを選択する選択工程と、選択工程の後に、上座金を第1の方向に挿通孔の遊び代の範囲内で移動させて位置調整する上座金位置調整工程と、を有する
例えば、上座金及び下座金の挿通孔を一致させた場合に、互いの凸部同士が第1の方向において重なり、上座金及び下座金を係合させることができないことがある。このような場合に、上座金を挿通孔の中心線を中心に180度回転させると共に、上座金を遊び代の範囲内で第1の方向にずらして位置調整することで、上座金と下座金を確実に係合させて密着させることができ、板状部材間のせん断抵抗の向上を図り、位置ずれを防止することができる。
また、第2の方向から見た場合に、上座金の挿通孔の中心線と、上座金の挿通孔の中心線に最も近い上座金凸部の中心線との第1の方向における距離であるずれ幅が異なる複数種類の上座金を準備する上座金準備工程を更に備え、第1の姿勢の上座金凸部と下座金凸部との第1の方向における重なり長さに応じて、複数種類の上座金の中から対応する上座金を選択し、選択された上座金を、下座金に対面させ第1の姿勢として配置してもよい。本方法は、ボルト孔(上座金の挿通孔)の周辺部材(突起物等)との干渉で上座金を180度回転できない場合や、上座金を180度回転するよりもボルト孔と凹凸形状とのずれ幅が異なる新たな上座金と交換する方が容易な場合に有効である。
また、極めて高い位置精度が要求される場合などであって、上座金の挿通孔と棒状緊結部材との間の第1の方向における遊び代を設けたくない場合に、複数の上座金の中から対応する上座金を選択することで、確実に上座金及び下座金を噛み合わせることができる。この方法によれば、準備する上座金の数を抑えることができる。
また、上座金準備工程では、上座金凸部の第1の方向における幅を、許容誤差で除算した値から当該除算の余りを減算して整数値を算出し、算出された整数値に基づいて、ずれ幅の異なる上座金の個数を決定し、決定された個数のずれ幅の異なる上座金を準備してもよい。
本発明によれば、上座金を、中心線を中心に180度回転させて、上座金及び下座金の凹凸形状の相対位置を変えることができ、上座金及び下座金を確実に係合させてせん断抵抗の向上を図り、位置ずれを防止することができる。
本発明の第1実施形態の一対の座金部材が設置された緊結部を示す断面図である。 図1中の下座金を示す平面図である。 図1中の上座金を示す平面図である。 一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において5mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において4mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において3mm重なっている状態及び上座金180度回転させた後の状態を示す断面図である。 0mm型上座金が採用された一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において5mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 1mm型上座金が採用された一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において3mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 1.5mm型上座金が採用された一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において2mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 0.5mm型上座金が採用された一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において4mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた後の状態を示す断面図である。 2mm型上座金が採用された一対の座金部材の配置を示す断面図であり、凸部同士が第1の方向において1mm重なっている状態及び上座金を180度回転させた状態を示す断面図である。 一対の座金部材を示す断面図であり、凸部の幅及び凸部間の遊びスペースを示す図である。 第3実施形態に係る設計方法の手順を示す図である。 一対の座金部材を示す斜視図である。 第4実施形態に係る座金ユニットを示す斜視図である。 図15中の下座金を示す平面図である。 図15中の上座金の底面を示す平面図である。 図15中の上座金の天面を示す平面図である。 図15中の追加座金を示す平面図である。 第5実施形態に係る座金ユニットの下座金を示す平面図である。 第5実施形態に係る座金ユニットの上座金を示す平面図である。 一対の座金部材を示す断面図であり、凹凸形状の変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
上座金12のボルト孔14に遊び代d14を設け、上座金12をボルト孔14の中心線を中心に180度回転させて位置調整を行う場合について説明する。
図1に示されるように、一対の座金部材10を備えた緊結装置1は、複数の板状部材2,3を板厚方向Zに重ねて合わせて緊結するものであり、板状部材2,3を貫通する棒状緊結部材であるボルト4、このボルト4に螺合されるナット5及びこのナット5によって板状部材2,3側に押し当てられる一対の座金部材10を備えている。なお、緊結装置1は、一対の座金部材10を用いて、2以上の板状部材を棒状緊結部材の延在方向に緊結してもよい。
第1の板状部材2は、例えば重量構造物を支持することができる鉄骨部材(例えば横梁)などであり、第2の板状部材3は、重量構造物の脚部の下端から側方に張出した張出部である。緊結装置1は、板状部材2,3を緊結することで、重量構造物を強固に固定する。
板状部材2,3には、ボルト4が挿通されるボルト穴7,8がそれぞれ穿孔され、ボルト4は、第1の板状部材2に対して固定されている。具体的には、ボルト4の長手方向の一方の端部に形成された頭部4aは、第1の板状部材2に対して固定されている。ボルト4は、板状部材2,3のボルト穴7,8を通り、板厚方向Zに延在し、ボルト4の長手方向の他方の端部4bは、板状部材3の外側に露出されている。本実施形態では、ボルト4として、例えばM56(外径56mm)を使用している。
(座金部材)
一対の座金部材10は、板厚方向Zに重ねられた下座金11及び上座金12を有し、下座金11は、第2の板状部材3の第1の板状部材2とは反対側の外面3a上に配置されている。下座金11及び上座金12には、ボルト4が挿通される挿通孔であるボルト穴13,14が各々形成され、ボルト4は、ボルト穴13,14に挿通されて、上座金12の外側に突出している。ボルト4の長手方向の他方の端部に形成されたねじ部4bは、上座金12の外方に露出され、ナット5は、ねじ部4bに螺合されている。ボルト4に螺合されたナット5は、一対の座金部材10を第2の板状部材3に押し当て、ボルト4の頭部4aとナット5に挟まれた複数の板状部材2,3を板厚方向Zに緊結する。
(下座金)
下座金11は、図2に示されるように、例えば矩形の板状を成し、ボルト穴13は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径D13Xは、位置調整が必要な方向である第1の方向Xに沿うように形成されている。位置調整が必要な方向とは、緊結される複数の板状部材2,3の相対的な位置関係を調整可能な方向である。例えば、設計上の配置位置と、実際に配置可能な位置とに差がある場合には、板状部材2,3の相対位置を調整することが求められる場合がある。本実施形態では、第1の方向Xは、図示左右方向であり、下座金11の長手方向である。
下座金11の長手方向の長さLは、例えば215mmであり、長手方向と直交する方向の幅Lは、例えば120mmである。長孔であるボルト穴13の長い方の内径D13Xは、例えば124mmであり、ボルト穴13の短い方の内径D13Yは、例えば62mmである。
下座金11の第2の板状部材3と対向する面である底面11aは、平坦面として形成され、第2の板状部材3の天面3aと接している。下座金11の第2の板状部材3と反対側の面である天面11bは、上座金12と接する面であり、この天面11bには、上座金12と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部15及び凹部16によって形成され、第1の方向Xに隣り合う凸部15の間に凹部16が形成されている。
複数の凸部15は、第1の方向Xに直交する第2の方向Yに延在し、第1の方向Xにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部15の第2の方向Yに直交する断面は、例えば矩形状であり、凸部15及び凹部16は、第1の方向Xにおいて交互に配置されている。
下座金11の凸部15の第1の方向Xの幅W15は、例えば5mmであり、第1の方向Xに隣接する凸部15同士の間隔である凹部16の幅W16は、例えば5mmである。
下座金11は、例えば溶接などによって板状部材3の天面3aに固定されている。なお、下座金11は、板状部材3と一体として構成されているものでもよい。
(上座金)
上座金12は、板状を成し、図3に示されるように、板厚方向Zから見て例えば楕円形を成している。上座金12のボルト穴14は、円形に形成され、ボルト穴14の内径D14は、例えば62mmである。ボルト4の外径が56mmであるので、ボルト穴14の径方向において片側3mmの遊び代d14が設けられている。なお、図3では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。ボルト穴14は、第1の方向Xにおいて、上座金12の中央部に形成されている。
上座金12の板厚方向Zの一方の面である天面12aは、平坦面として形成され、ナット5と接する面である。上座金12の板厚方向Zの他方の面である底面12bは、下座金11と接する面であり、底面12bには、下座金11と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部17及び凹部18によって構成されている。
複数の凸部17は、第2の方向Yに延在し、第1の方向Xにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部17の第2の方向Yに直交する断面は例えば矩形状であり、凸部17及び凹部18は、第1の方向Xにおいて交互に配置されている。
上座金12の凸部17の第1の方向Xの幅W17は、例えば5mmであり、第1の方向Xに隣接する凸部17同士の間隔である凹部18の幅W18は、例えば5mmである。上座金12の凸部17の第1の方向Xの幅W17は、ボルト穴14の遊び代d14の2倍の長さ(6mm)未満である。
上座金12のボルト穴14の中心O14は、凸部17と凹部18との境界を通り第2の方向Yに延在する仮想線L1上に存在している。
(一対の座金部材の配置:パターンA1)
一対の座金部材10の配置について説明する。例えば、図4(a)に示されるように、第2の方向から見て、上座金12のボルト穴14の中心O14を通り板厚方向Zに延在する中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心O13を通り板厚方向Zに延在する中心線L3とが、一致し、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて5mm重なって配置されている場合には(重なりP1=5mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても、凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。なお、上方から見て、凸部15,17が平行に配置され、第1の方向Xにおいて凸部15,17の一部又は全部が重なりあっている状態の上座金12の姿勢を「第1の姿勢」と称し、第1の姿勢からボルト穴14の中心線L2回りに180度回転させた後の上座金12の状態を「第2の姿勢」と称する。
図4(a)に示す状態から、上座金12のみを第1の方向Xに5mmずらした場合には、第1の方向Xにおいて凸部15,17同士が重ならないので上座金12を下座金11に係合させることはできるが、上座金12のボルト穴14の中心線L2が5mm分ずれるので、ボルト4を設置位置からずらす必要が生じる。上座金12のボルト穴14の遊び代d14が片側3mmであるので、少なくともボルト4を設置位置から2mmずらさなければ、ボルト4をボルト穴14に挿通させることはできない。しかしながら、重量構造物等を設置する場合においては、設置位置の変更には多大な労力と時間を要するため、ボルト4の設置位置の変更ができない場合が多い。よってボルト4を設置位置から2mm以上ずらして配置することができないので、ボルト4を用いて緊結することができないことになる。
上記のように、ボルト4を第1の方向Xに2mm以上ずらすことができないという設置の制約がある場合には、図4(b)に示すように、第1の姿勢の上座金12をボルト穴14の中心線L2を中心に180度回転させて第2の姿勢とする。これにより、第1の方向Xにおいて、上座金12の凸部17と下座金11の凹部16とが一致し、下座金11の凸部15と上座金12の凹部18とが一致するので、上座金12を下座金11に係合させることができる。下座金11に対して上座金12を係合させた後に、ナット5をボルト4に締め付けることで、下座金11及び上座金12を噛み合わせると共に一対の座金部材10を一対の板状部材2,3に押し当て、一対の板状部材2,3を緊結する。上座金12のボルト穴14の中心線L2をボルト4の設置位置と一致させることができるので、ボルト4を設置位置からずらさずに、ボルト4を挿通して緊結することができ、重量構造物などを移動させる必要がなくなるので、工事の手間を省き工期の延長を防止することができる。
(一対の座金部材の配置:パターンA2)
例えば、図5(a)に示されるように、上座金12のボルト穴14の中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心線L3とが第1の方向Xに1mmずれ、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて4mm重なって配置されている場合には(重なりP2=4mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても、凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。
図5(a)に示す状態から、上座金12のみを第1の方向Xに左側へ4mmずらした場合には、第1の方向Xにおいて凸部15,17同士が重ならないので上座金12を下座金11に係合させることはできるが、上座金12のボルト穴14の中心線L2が4mm分ずれるので、ボルト4を設置位置からずらす必要が生じる。上座金12のボルト穴14の遊び代d14が片側3mmであるので、少なくともボルト4を設置位置から1mmずらさなければ、ボルト4をボルト穴14に挿通させることはできない。設置の制約上、ボルトを、設置位置から1mm以上ずらして配置することができないので、ボルト4を用いて緊結することができないことになる。
ボルト4を1mm以上ずらすことができないという設置の制約がある場合には、図5(b)に示すように、第1の姿勢の上座金12をボルト穴14の中心線L2を中心に180度回転させて第2の姿勢とする。このとき、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて1mm重なって配置されるので(重なりP3=1mm)、上座金12を第1の方向Xに図示右側へ、片側3mmのボルト穴14の遊び代d14の範囲内で1mmずらすことで、上座金12の凸部17と下座金11の凹部16とを一致させ、下座金11の凸部15と上座金12の凹部18とを一致させ、上座金12を下座金11に係合させることができる。ボルト4を設置位置からずらさずに、ボルト4を挿通して緊結することができる。
(一対の座金部材の配置:パターンA3)
例えば、図6(a)に示されるように、上座金12のボルト穴14の中心線L2と、下座金11のボルト穴13の中心線L3とが第1の方向Xに2mmずれ、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて3mm重なって配置されている場合には(重なりP4=3mm)、上座金12をそのまま、下座金11に接近させても凸部15,17同士が当たってしまい、上座金12を下座金11に係合させることができない。
図6(a)に示す状態から、上座金12のみを第1の方向Xに左側へ3mmずらした場合には、第1の方向Xにおいて凸部15,17同士が重ならないので上座金12を下座金11に係合させることはできるが、上座金12のボルト穴14の中心線L2が3mm分ずれるので、ボルト4を設置位置からずらす必要が生じる。上座金12のボルト穴14の遊び代d14が片側3mmであるので、ボルト4を設置位置からずらさずにボルト4を挿通させることができるかもしれないが、加工誤差が有る場合には、ボルト4をずらさなければ、ボルト4を挿通させることができないおそれがある。設置の制約上、ボルト4を設置位置からずらして配置することができない場合には、ボルト4を用いて緊結することができないことになる。
ボルト4をずらすことができないという設置の制約がある場合には、図6(b)に示すように、第1の姿勢の上座金12をボルト穴14の中心線L2を中心に180度回転させて第2の姿勢とする。このとき、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とが、第1の方向Xにおいて2mm重なって配置されるので(重なりP5=2mm)、上座金12の凸部17を第1の方向Xに図示右側へ、片側3mmのボルト穴14の遊び代d14の範囲内で2mmずらすことで、上座金12の凸部17と下座金11の凹部16とを一致させ、下座金11の凸部15と上座金12の凹部16とを一致させ、上座金12を下座金11に係合させて密着させることができる。ボルト4を設置位置からずらさずに、ボルト4を挿通して緊結することができる。
本発明の実施形態に係る座金部材10では、上座金12のボルト穴14に遊び代d14が設けられているので、施工上の制約を減らすことができ、座金部材10には、断面が矩形である凹凸形状が形成され、凸部15,17の第1の方向Xに直交する側面同士が密着するので、せん断抵抗が向上され、位置ずれが確実に防止される。
また、第1の姿勢の上座金12をボルト穴14の中心線L2を中心に180度回転させて第2の姿勢とすることで、第1の方向Xにおける凸部15,17同士の重なりP1〜P5の長さを変化させることができるので、上座金12と下座金11のボルト穴13,14の位置を合わせることができると共に、上座金12と下座金11を確実に噛み合わせて、せん断抵抗の向上を図り、上座金12と下座金11の位置ずれを防止して、耐震性を向上させることができる。下座金11は第2の板状部材3に固定され、上座金12は第1の板状部材2に固定されたボルト4に螺合するナット5によって押し付けられて位置が拘束されるので、下座金11と上座金12との位置ずれを防止することで、複数の板状部材2,3の位置ずれが防止される。
上座金12を下座金11に対面させたときに、ボルト穴14の遊び代d14の範囲内でずらすことによって凸部15,17同士が第1の方向Xにおいて重ならないときは、そのまま係合させればよく、ボルト穴14の遊び代d14の範囲内でずらしても凸部15,17同士が第1の方向Xにおいて重なっており、そのまま係合させることができないときは、第1の姿勢の上座金12をボルト穴14の中心線L2を中心に180度回転させて第2の姿勢としたあとに、上座金12を下座金11に係合させる。そのため、一つの上座金12を準備するだけで、例えば基準となるボルト4の位置に誤差があっても、確実に上座金12を下座金11に係合させることができる。
一対の座金部材10では、第2の方向Yから見た場合に、上座金12のボルト穴14の中心線L2と、上座金12の凸部17の第1の方向における端部17aとが一致する位置にボルト穴14が形成されているので、上座金12のボルト穴14の中心線L2を中心に上座金12を180度回転させたときに、上座金12と下座金11の凹凸形状の相対位置の変化量を最大化させることができる。
(第2実施形態)
緊結される板状部材2,3の第1の方向Xにおける相対位置の精度を高めるために適切な座金部材10を選択する方法及び座金部材10を設置する方法について説明する。具体的には、図7〜図11に示されるように、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14及び凸部17の相対位置が異なる複数種類の上座金21〜25を準備し、この複数種類の上座金21〜25の中から適切な上座金21〜25を一つ選択して、選択された上座金21〜25を用いて板状部材2,3の相対位置の精度を高めて緊結する場合について説明する。
ここでは、上座金21〜25と下座金11とを精度良く設置することが要求され、上座金21〜25のボルト穴14の遊び代d14を1mm未満とする施工上の制約がある場合を想定する。
(0mm型上座金:凸部同士の重なり5mm)
例えば、上述の第1実施形態の同一の構成である上座金21は、図7に示されるように、凸部17の幅W17が5mm、凹部18の幅W18が5mmである。複数の凸部17のうち第1の方向Xにおいて、中心線L2と最も近い位置にある凸部17を凸部17aとする。上座金21では、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの第1の方向Xの端部17bにボルト穴14の中心線L2が重なるように形成されている。このように、第1の方向Xにおいて、中心軸L2と凸部17aの端部17bとの距離が0mmである上座金21を「0mm型上座金」と称する。0mm型上座金21は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、0mm型上座金21の凸部17の中心17cを通り板厚方向Zに延在する仮想線L4との距離d21が2.5mmである。
図7(a)に示されるように、下座金11のボルト穴13の中心線L3と、0mm型上座金21のボルト穴14の中心線L2とを一致させると、0mm型上座金21の凸部17と下座金11の凸部15との第1の方向Xにおける重なりP11は5mmとなる。このとき、0mm型上座金21のボルト穴14の中心線L2を基準として、第1の姿勢の0mm型上座金21を180度回転させて第2の姿勢とすることで、図7(b)に示されるように、0mm型上座金21の凸部17と下座金11の凹部16との位置を合わせ、下座金11の凸部15と0mm型上座金12の凹部18との位置を合わせることができる。凸部15,17同士の重なりを0mmとすることができ、0mm型上座金21を下座金11に係合させて、第1の方向Xにおける位置ずれを防止することができる。
(1mm型上座金:凸部同士の重なり3mm)
図8に示されるように、上座金22は、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの端部17bから中心17c側へ、距離d32(=1mm)分ずれた位置にボルト穴14の中心線L2が形成されている。第1の方向Xにおいて、中心線L2と凸部17aの端部17bとの距離d32が1mmである上座金22を「1mm型上座金」と称する。1mm型上座金22は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、凸部17aの中心17cを通る仮想線L4との距離d22が1.5mmである。
図8(a)に示されるように、1mm型上座金22の凸部17と下座金11の凸部15との第1の方向Xにおける重なりP12は3mmである。このとき、1mm型上座金22のボルト穴14の中心線L2は、下座金11の複数の凸部15のうち第1の方向Xにおいて、中心線L2と最も近い位置にある凸部15を凸部15aとすると、凸部15aの端15bから1mm右側に存在している。ここで、1mm型上座金22のボルト穴14の中心線L2を基準として、第1の姿勢の1mm型上座金22を180度回転させて第2の姿勢とすることで、図8(b)に示されるように、1mm型上座金22の凸部17と下座金11の凹部16との位置を合わせ、下座金11の凸部15と1mm型上座金21の凹部18との位置を合わせることができる。凸部15,17同士の重なりを0mmとすることができ、1mm型上座金22を下座金11に係合させて、第1の方向Xにおける位置ずれを防止することができる。
(1.5mm上座金:凸部同士の重なり2mm)
図9に示されるように、上座金23は、第2の方向Yから見た場合に、凸部17aの端部17bから中心17c側へ、距離d33(=1.5mm)分ずれた位置にボルト穴14の中心線L2が形成されている。第1の方向Xにおいて、中心線L2と凸部17aの端部17bとの距離d33が1.5mmである上座金23を「1.5mm型上座金」と称する。1.5mm型上座金23は、第1の方向Xにおいて、ボルト穴14の中心線L2と、凸部17Aの中心17bを通る仮想線L4との距離d23が1mmである。
図9(a)に示されるように、1.5mm型上座金23の凸部17と下座金11の凸部15との第1の方向における重なりP13は2mmである。このとき、1.5mm型上座金23のボルト穴14の中心線L2は、下座金11の凸部15aの端15bから1.5mm右側に存在している。ここで、1.5mm型上座金23のボルト穴14の中心線L2を基準として、第1の姿勢の1.5mm型上座金23を180度回転させて第2の姿勢とすることで、図9(b)に示されるように、1.5mm型上座金23の凸部17と下座金11の凹部16との位置を合わせ、下座金11の凸部15と1.5mm型上座金23の凹部18との位置を合わせることができる。凸部15,17同士の重なりを0mmとすることができ、1.5型mm上座金23を下座金11に係合させて、第1の方向Xにおける位置ずれを防止することができる。
このように本実施形態の座金部材10、及び座金部材10の設置方法では、凸部15,17の重なりP11が5mmの場合に、0mm型上座金21を適用すればよく、凸部15,17の重なりP12が3mmの場合に、1mm型上座金22を適用すればよく、凸部15,17の重なりP13が2mmの場合に、1.5mm型上座金23を適用すればよい。
同様に、図10に示されるように、凸部15,17の重なりP14が4mmの場合には、凸部17Aの端部17aとボルト穴14の中心線L2との距離d34が0.5mmである0.5mm型上座金24を適用すればよく、0.5mm型上座金24のボルト穴14の中心線L2を基準として、第1の姿勢の0.5mm型上座金24を180度回転させて第2の姿勢とすることで、凸部15,17同士の重なりを0mmとすることができ、0.5mm型上座金24を下座金11に係合させて、第1の方向Xにおける位置ずれを防止することができる。
同様に、図11に示されるように、凸部15,17の重なりP15が1mmの場合には、凸部17aの端部17bとボルト穴14の中心線L2との距離d35が2mmである2mm型上座金25を適用すればよく、2mm型上座金25のボルト穴14の中心線L2を基準として、第1の姿勢の2mm型上座金25を180度回転させて第2の姿勢とすることで、凸部15,17同士の重なりを0mmとすることができ、2mm型上座金25を下座金11に係合させて、第1の方向Xにおける位置ずれを防止することができる。
ここで、ボルト4を、設置位置から第1の方向Xに1mmずらせる場合には、以下に示す表1の5種類の上座金21〜25を準備すれば、ボルト4と、上座金21〜25のボルト穴14の中心線L2との相対位置がどのようにずれていても、凸部17の幅が5mmの上座金21〜25を用いて、上座金21〜25と下座金11を係合させることができる。なお、図7〜図11では、ボルト穴14の中心線L2と、ボルト4の中心線が一致している状態を示している。
Figure 0006076828
このように、ボルト穴14と凸部17との相対位置が異なる複数種類の上座金21〜25を準備すれば、ボルト4が、下座金11のボルト穴(長孔)13に対してどの位置に配置されることになっても、上座金21〜25と下座金11とを確実に係合させることができる。
凸部17の幅をW(mm)、許容誤差をA(mm)とすると、W/A(小数点切り上げ)分の個数だけ、ボルト穴14との凸部17との相対位置が異なる複数種類の上座金21〜25を準備すれば、上座金21〜25のボルト穴14と、下座金11のボルト穴13との相対位置のずれを許容誤差Amm以内に収めることができる。これにより、準備すべき上座金21〜25の個数を抑えつつ、板状部材2,3の相対位置の精度を高めて、上座金21〜25を下座金11に係合させて、板状部材2,3を緊結することができる。
例えば、凸部17の幅Wが5mmであり、許容誤差Aが1mmである場合には、W/A=5個の上座金21〜25を準備すればよい。なお、W/Aが整数ではない場合には、除算した値から当該除算の余りを減算して整数値とする。具体的には、上記の表1に示すように、ボルト穴14の中心線L2と、凸部17aの端部17bとの距離が異なる5種類の上座金(0mm型上座金21、0.5mm型上座金24、1mm型上座金22、1.5mm型上座金23、2mm型上座金25)を準備すれば、誤差1mm以内に収めることができる。なお、ここでいう誤差は、設計上のボルト4の位置と、実際に施工されたボルト4の位置との差である。
(第3実施形態:座金部材の設計方法)
上記実施形態の一対の座金部材10の凸部15,17の幅Wは、設計で必要とされる必要せん断力や施工精度から決まる凸部15,17間の隙間である遊びスペースsを与条件として設計する。ここでは、「必要せん断力F」、「上座金12の凸部17と下座金11の凸部15と間の遊びスペースs」、「許容座金長La」、及び後述の「座金変換幅b」に基づいて、凸部15,17の幅Wを算出する座金部材10の設計方法について具体的に説明する。
第1の方向Xに隣接する凸部17間に形成された凹部18には、図12に示されるように、一定の遊びスペースsが必要となるが、凸部17の幅Wを小さくすると単位長さあたりの遊びスペースが大きくなる。つまり、一対の座金部材10の第1の方向Xの長さが同じである場合、一つの凸部17の幅Wが小さく凸部17の数が多い方が、一つの凸部17の幅Wが大きく凸部17の数が少ないよりも、せん断抵抗が小さくなる。
一対の座金部材10の単位長さlに対する一つの凸部15,17の幅Wの関係には、以下の関係があり、凸部15,17の幅Wが大きくなればなるほど、座金部材10の単位長さlに対する合計の遊びスペース(sの和)が小さくなり、せん断抵抗力が大きくなり、凸部15,17の幅Wが小さくなればなるほど、座金部材10の単位長さlに対する合計の遊びスペースが大きくなり、せん断抵抗力が小さくなる。
したがって、凸部15,17及び凹部16,18が形成された座金部材10を設計する際には、適用箇所の施工上の制約、施工精度に応じて許容可能な遊びスペースsと、性能として満足すべき必要せん断力Fから決まる凸部15,17の幅Wを考慮する必要がある。
次に、必要せん断力Fに基づいて、凸部15,17の幅Wを決定するための座金部材の設計方法について説明する。図13に示されるように、ステップS1では、設計条件から決まる必要せん断力Fと、座金部材10の材料である鋼材の許容せん断応力τaとに基づいて、上座金12の複数の凸部17の幅Wの合計である凸部幅必要長Lを、下記式(1)を用いて算出する。
Figure 0006076828
このとき、座金換算幅bは、嵌合部分の幅のみを考慮するため、上座金の単孔(ボルト穴)と端部のR部による欠損(小判形状の場合)と、下座金の長孔による欠損部の面積を考慮した矩形換算した換算必要幅である。座金換算幅bをL(図2参照)と仮設定してその後欠損部を考慮して凸部幅必要長Lを求めてもよい(欠損部を考慮するため, L>bとなる)。凸部と凹部とが嵌合しない領域を欠損部として考慮し、実際に凸部と凹部とが嵌合する領域の面積と等しい矩形状の座金を想定して凸部幅必要長Lを算出する。
なお、凸部幅必要長L、凸部17の幅W、凸部17の個数nとの間には、下記式(2)の関係がある。
Figure 0006076828
続く、ステップS2では、一つの凸部17の幅W(変数)、施工上の制約及び施工精度などから決まる遊びスペースs(上座金12の凸部17と下座金11の凸部15との間の隙間)及び凸部17の個数nに基づいて、上座金12の第1の方向Xにおける必要最小長さLnを、下記式(3)を用いて算出する。
Figure 0006076828

凸部17の幅Wとしては、例えば、製造上、取扱いが容易な幅を設定する。
次に、ステップS3では、上座金12の必要長さLnが座金として確保可能な許容長さLa以下の範囲内で、一つの凸部17の幅Wを可能な限り大きく設定する。許容長さLaは、上座金12を配置可能なスペースの大きさに基づいて決定される。必要長さLnが許容長さLaを超える場合には、上座金12を配置することができなくなる。必要長さLnが許容長さLa以下である場合には、必要長さLnを決定し、ステップ2で設定された凸部の幅Wを設計値として採用し、座金部材10の仕様を決定する。必要長さLnが許容長さLaを超える場合には、ステップ2に戻り、凸部17の幅W及び凸部17の個数nを再設定する。
なお、一つの凸部17の幅W、及び遊びスペースsの両方が設計条件として与えられている場合には、上記式(3)を用いて、必要最小長さLnとなる座金長を決定することができる。
(第4実施形態)
図15に示されるように座金ユニット70は、3枚の座金を備え、直交する2方向にせん断抵抗を生じさせるものである。なお、上記の実施形態と同じ説明は省略する。
(座金ユニット)
座金ユニット70は、板厚方向Zに重ねられた下座金71、上座金72及び追加座金73を有し、下座金71は、第2の板状部材3の第1の板状部材2とは反対側の外面3a上に配置されている。下座金71、上座金72及び追加座金73には、ボルト4が挿通される挿通孔であるボルト穴74,75,76が各々形成され、ボルト4は、ボルト穴74,75,76に挿通されて、追加座金73の外側に突出している。ボルト4の長手方向の他方の端部に形成されたねじ部4bは、上座金71の外方に露出され、ナット5は、ねじ部4bに螺合されている。ボルト4に螺合されたナット5は、座金ユニット70を第2の板状部材3に押し当て、複数の板状部材2,3を板厚方向Zに緊結する。
(下座金)
下座金71は、図16に示されるように、例えば矩形の板状を成し、ボルト穴74は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径は、第1の方向Xに沿うように形成されている。
下座金71の第2の板状部材3と対向する面である底面71aは、平坦面として形成され、第2の板状部材3の天面3aと接している。下座金71の第2の板状部材3と反対側の面である天面71bは、上座金72と接する面であり、この天面71bには、上座金72と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部77及び凹部78によって形成され、第1の方向Xに隣り合う凸部15の間に凹部16が形成されている。
複数の凸部77は、第1の方向Xに直交する第2の方向Yに延在し、第1の方向Xにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部77の第2の方向Yに直交する断面は、例えば矩形状であり、凸部77及び凹部78は、第1の方向Xにおいて交互に配置されている。
下座金71は、例えば溶接などによって板状部材3の天面3aに固定されている。なお、下座金71は、板状部材3と一体として構成されているものでもよい。
(上座金)
上座金72は、図17に示されるように、例えば矩形の板状を成し、上座金72のボルト穴75は、円形に形成され、ボルト穴75の径方向において遊び代が設けられている。なお、図17では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。ボルト穴75は、第1の方向Xにおいて、上座金72の中央部に形成されている。
上座金72の板厚方向の底面72aは下座金71と接する面であり、底面72aには下座金71と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部79及び凹部80によって構成されている。
複数の凸部79は、第2の方向Yに延在し、第1の方向Xにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部79の第2の方向Yに直交する断面は例えば矩形状であり、凸部79及び凹部80は、第1の方向Xにおいて交互に配置されている。
上座金72の凸部79の第1の方向Xの幅は、例えば5mmであり、第1の方向Xに隣接する凸部79同士の間隔である凹部80の幅は、例えば5mmである。上座金72の凸部79の第1の方向Xの幅は、ボルト穴75の遊び代の2倍の長さ(6mm)未満である。
上座金72のボルト穴75の中心O75は、凸部79と凹部80との境界を通り第2の方向Yに延在する仮想線L21上に存在している。
上座金72の板厚方向の天面72bは追加座金73と接する面であり、図18に示されるように、天面72bには追加座金73と係合する係合部(第3の係合部)として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部(上座金第2凸部)81及び凹部(上座金第2凹部)82によって構成されている。
複数の凸部81は、第1の方向Xに延在し、第2の方向Yにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部81の第1の方向Xに直交する断面は例えば矩形状であり、凸部81及び凹部82は、第2の方向Yにおいて交互に配置されている。
上座金72の凸部81の第1の方向Xの幅は、例えば5mmであり、第1の方向Xに隣接する凸部79同士の間隔である凹部80の幅は、例えば5mmである。上座金72の凸部79の第1の方向Xの幅は、ボルト穴75の遊び代の2倍の長さ(6mm)未満である。
(追加座金)
追加座金73は、図19に示されるように、例えば矩形の板状を成し、追加座金73のボルト穴(追加座金の挿通孔)76は、長孔として形成され、長孔の長い方の内径は、第2の方向Yに沿うように形成されている。なお、図19では、ボルト4の外周面に対応する外形を仮想線で示している。
追加座金73の板厚方向Zの一方の面である天面73aは、平坦面として形成され、ナット5と接する面である。追加座金73の板厚方向Zの他方の面である底面73bは、上座金72と接する面であり、底面73bには、上座金72と係合する係合部(第4の係合部)として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部(追加座金凸部)83及び凹部(追加座金凹部)84によって構成されている。
複数の凸部83は、第1の方向Xに延在し、第2の方向Yにおいて、等間隔で規則的に配列されている。凸部83の第1の方向Xに直交する断面は例えば矩形状であり、凸部83及び凹部84は、第2の方向Yにおいて交互に配置されている。
追加座金73の凸部83の第2の方向Yの幅は、例えば5mmであり、第2の方向Yに隣接する凸部83同士の間隔である凹部84の幅は、例えば5mmである。追加座金73の凸部83の第2の方向Yの幅は、ボルト穴75の遊び代の2倍の長さ(6mm)未満である。
追加座金73のボルト穴76の中心O76は、凸部83と凹部84との境界を通り第1の方向Xに延在する仮想線L22上に存在していることが好ましい。
このように構成された座金ユニット70では、下座金71の天面71bと上座金72の底面72aとを対面させて密着させる。具体的には、下座金71のボルト穴74内で上方に突出するボルト4を、上座金72のボルト穴75に挿通させる。下座金71に対して上座金72を接近させて、互いの凹凸形状が噛み合うように配置されている場合には、そのまま下座金71及び上座金72を密着させる。
下座金71及び上座金72を対面させたときに、互いの凸部77,79同士が当たる場合には、上座金72を遊び代の範囲内で第1の方向Xに移動させて位置調整を行う。また、ボルト穴75の中心線回りに上座金72を180度回転させて位置調整を行ってもよい。このように位置調整を行うことで、凸部77と凹部80とを対面させ、凹部78と凸部79とを対面させて、下座金71及び上座金72の凹凸形状を噛み合わせる。
下座金71に対して上座金72を密着させた後、上座金72の天面72bと追加座金73の底面73bとを対面させて密着させる。具体的には、上座金72のボルト穴75内で上方に突出するボルト4を、追加座金73のボルト穴76に挿通させる。上座金72に対して追加座金73を接近させて、互いの凹凸形状が噛み合うように配置されている場合には、そのまま上座金72に対して追加座金73を密着させた後、ナット5をボルト4に締め付けて、一対の板状部材を緊結する。
上座金72及び追加座金73を対面させたときに、互いに凸部81,83同士が当たる場合には、追加座金73を遊び代の範囲内で第2の方向Yに移動させて位置調整を行う。また、ボルト穴76の中心線回りに追加座金73を180度回転させて位置調整を行ってもよい。このように位置調整を行うことで、凸部81と凹部84とを対面させて、凹部82と凸部83とを対面させて、上座金72及び追加座金73の凹凸形状を噛み合わせる。
このような座金ユニット70によれば、下座金71、上座金72及び追加座金73を密着させて、第1の方向X及び第2の方向Yにせん断抵抗を生じさせることができ、位置ずれを防止して耐震性能を向上させることができる。
(第5実施形態)
図20及び図21に示されるように一対の座金部材90は、下座金91及び上座金92を備え、直交する2方向にせん断抵抗を生じさせるものである。一対の座金部材90が図1に示された一対の座金部材10と違う点は、下座金11に代えて下座金91を備える点、及び上座金12に代えて上座金92を備える点である。なお、上記の実施形態と同じ説明は省略する。
(下座金)
下座金91は、図20に示されるように、例えば矩形の板状を成し、中央にはボルト4が挿通されるボルト穴93が設けられている。ボルト穴93は、ボルト4の外径の2倍の内径を有する拡大孔である。なお、図20では、ボルト4及び上座金92のボルト穴94を仮想線で示している。
下座金91の上座金92と接する面である天面91aには、上座金92と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部95及び凹部96によって構成されている。凸部95及び凹部96は、板厚方向Zから見て同一の形状である矩形を成している。凸部95及び凹部96は、第1の方向Xに等間隔で規則的に配置されていると共に、第2の方向Yに等間隔で規則的に配置されている。凸部95及び凹部96は、第1の方向Xに交互に配置されていると共に、第2の方向Yに交互に配置されている。凸部95及び凹部96は、板厚方向から見た場合に正方形でもよく、長方形でもよい。
(上座金)
上座金92は、図21に示されるように、例えば矩形の板状を成し、中央にはボルト4が挿通されるボルト穴94が設けられている。ボルト穴94には遊び代が設けられている。なお、図21では、ボルト4を仮想線で示している。
上座金92の下座金91と接する面である底面92aには、下座金91と係合する係合部として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は複数の凸部97及び凹部98によって構成されている。凸部97及び凹部98は、板厚方向Zから見て同一の形状である矩形を成している。凸部97及び凹部98は、第1の方向Xに等間隔で規則的に配置されていると共に、第2の方向Yに等間隔で規則的に配置されている。凸部97及び凹部98は、第1の方向Xに交互に配置されていると共に、第2の方向Yに交互に配置されている。凸部97及び凹部98は、板厚方向から見た場合に正方形でもよく、長方形でもよい。
このように構成された一対の座金部材90では、下座金91の天面91aと上座金92の底面92aとを対面させて密着させる。具体的には、下座金91のボルト穴93内で上方に突出するボルト4を、上座金92のボルト穴94に挿通させる。下座金91に対して上座金92を接近させて、互いの凹凸形状が噛み合うように配置されている場合には、そのまま下座金91及び上座金92を密着させた後、ナットをボルト4に締め付けて、一対の板状部材を緊結する。
また、下座金91及び上座金92を対面させたときに、互いの凸部95,97同士が当たる場合には、上座金92を遊び代の範囲内で第1の方向X又は第2の方向Yに移動させて、位置調整を行う。また、ボルト穴94の中心線回りに上座金92を180度回転させて、位置調整を行ってもよい。このように位置調整を行うことで、凸部95と凹部98とを対面させ、凹部96と凸部97とを対面させて、下座金91及び上座金92の凹凸形状を噛み合わせる。
このような一対の座金部材90によれば、下座金91及び上座金92を密着させて、第1の方向X及び第2の方向Yにせん断抵抗を生じさせることができ、位置ずれを防止して耐震性能を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記座金部材の凸部断面形状は台形であってもよい。また、図22に示すような一対の座金部材41〜44でもよい。図22(a)に示される一対の座金部材41の上座金45の凸部46には、第1の方向Xの両側に張出す張出部47が設けられている。張出部47は、第2の方向Yに延在し、凸部46の下端から第1の方向Xに張出している。張出部47は、第2の方向Yから見て矩形状に形成されている。
一対の座金部材41の下座金48の凸部49には、張出部47を受容する受容部50が設けられ、受容部50は、凸部46の張出部47に対応するように形成されている。また、上座金45の第1の方向Xに隣り合う凸部46同士の間には、凹部51が形成され、下座金48の第1の方向Xに隣り合う凸部49同士の間には、凹部52が形成されている。
このような上座金45を下座金48に係合させる場合には、上座金45と下座金48とを対面させた後、第1の姿勢の上座金45を中心線L2回りに180度回転させ第2の姿勢として、上座金45及び下座金48の互いの凹凸形状を一致させる。その後、上座金45を第2の方向Yの外側から下座金48に接近させて、凸部51を凹部52内にスライド挿入することにより、凹部51内に凸部49が挿入され、受容部50内に張出部47がそれぞれ挿入される。これにより、上座金45と下座金48とを係合させることができる。
図22(b)に示される一対の座金部材42の上座金53の凸部54、及び下座金55の凸部56には、第1の方向Xに貫通する貫通孔57,58が形成され、この貫通孔57,58には軸体59が挿通されている。これにより、上座金53の第2の方向Yへの移動を防止することができる。
図22(c)に示される一対の座金部材43の上座金60の凸部61には、第1の方向Xの両側に張出部62が設けられている。張出部62は、第2の方向Yから見て三角形に形成されている。張出部62は、下へ向かうほど、凸部61の中央側へ傾斜する斜辺を有する形状となっている。
一対の座金部材43の下座金63の凸部64には、張出部62を受容する受容部65が設けられ、受容部65は、凸部61の張出部62に対応するように形成されている。上座金60の凸部61の張出部62は、下座金63の凸部64の受容部65に入り込んでいる。このような一対の座金部材43でもよい。
図22(d)に示される一対の座金部材44では、上座金12の凸部17の第1の方向Xにおける両側の隙間に、板状の隙間調整部材66が挿入されている。第1の方向Xにおいて、隙間調整部材66は、上座金12の凸部17と下座金11の凸部15とに挟まれている。このような一対の座金部材44では、隙間調整部材66を挿入することで、上座金12の第1の方向Xにおける移動を確実に拘束することができる。
また、上記の実施形態では、下座金11を板状部材3に溶接固定しているが、その他の方法により、下座金11を板状部材3に固定してもよい。例えば、下座金11の外周に、固定用の突起形状を設け、凹凸嵌合により、下座金11を固定してもよい。また、ひねり凹凸式脱着孔を設けることで、下座金11を固定してもよい。また、ほぞ穴スライド機構を備える構成でもよい。また、ばねによって下座金11を付勢するばねストッパー付き挿入機構を備える構成でもよい。また、下座金11の外周に硬質ゴムを設けてもよい。下座金11を凹部などに押し込むことで下座金11を固定する。
また、上記実施形態では、凸部15,17の断面形状を矩形状としているが、凸部15,17の断面形状は、例えば台形状などその他の形状でもよい。
また、上記実施形態では、棒状緊結部材としてボルトを挙げているが、棒状緊結部材はボルトに限定されず、その他の棒状の強度部材でもよい。
1…緊結装置
2…第1の板状部材
3…第2の板状部材
4…ボルト(棒状緊結部材)
5…ナット
7…第1の板状部材のボルト穴
8…第2の板状部材のボルト穴
10,41〜44…一対の座金部材
11,48,55,63,71…下座金
12,45,53,60,72…上座金
13,74…下座金のボルト穴
14,75…上座金のボルト穴
15,49,56,64…下座金の凸部
16,52…下座金の凹部
17,46,54,61,79…上座金の凸部
18,51,80…上座金の凹部
21…0mm型上座金
22…1mm型上座金
23…1.5mm型上座金
24…0.5mm型上座金
25…2mm型上座金
47,62…張出部
50,65…受容部
57,58…貫通孔
66…隙間調整部材
70…座金ユニット
73…追加座金
76…追加座金のボルト穴(追加座金の挿通孔)
81…上座金の凸部(上座金第2凸部)
82…上座金の凹部(上座金第2凹部)
83…追加座金の凸部(追加座金凸部)
84…追加座金の凹部(追加座金凹部)
14…上座金のボルト穴の遊び代
L2…上座金のボルト穴の中心線
L3…下座金のボルト穴の中心線
X…第1の方向
Y…第2の方向
Z…板厚方向

Claims (9)

  1. 棒状緊結部材が挿通される挿通孔が穿孔された少なくとも2以上の板状部材を、前記棒状緊結部材を用いて前記棒状緊結部材の延在方向に緊結する際に用いられ、前記棒状緊結部材の端部と前記板状部材との間に配置され前記板状部材に押し付けられる座金ユニットであって、
    前記板状部材に固定もしくは前記板状部材と一体化された下座金と、
    前記下座金と対を成し前記棒状緊結部材の端部側に配置される上座金と、を有し、
    前記下座金には、位置調整が必要な方向である第1の方向に延びる長孔が形成され、
    前記下座金の外面には、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に延びる複数の下座金凸部が等ピッチで配列された第1の係合部が形成され、
    前記上座金の前記下座金と接する面には、前記下座金凸部に係合可能な上座金凹部を有する第2の係合部が形成され、
    前記上座金の前記第1の方向の中央部には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
    前記第2の方向から見て、前記上座金の前記挿通孔の中心線は、隣り合う前記上座金凹部同士の間の部位である上座金凸部のうち前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の前記第1の方向における端部を通り前記上座金の板厚方向に延在する第1の仮想線と重なるように配置され、
    前記上座金凸部の幅は、前記上座金の前記挿通孔の周縁と前記棒状緊結部材の外周面と前記第1の方向における隙間である遊び代の2倍の長さ未満である座金ユニット。
  2. 前記上座金よりも前記棒状緊結部材の端部側に配置されて前記上座金に接する追加座金を更に備え、
    前記追加座金には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
    前記上座金の前記追加座金と接する面には、前記第1の方向に延びる複数の上座金第2凸部が等ピッチで配列された第3の係合部が形成され、
    前記追加座金の前記上座金と接する面には、前記上座金第2凸部に係合可能な追加座金凹部を有する第4の係合部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の座金ユニット。
  3. 棒状緊結部材が挿通される挿通孔が穿孔された少なくとも2以上の板状部材を、前記棒状緊結部材を用いて前記棒状緊結部材の延在方向に緊結する際に用いられ、前記棒状緊結部材の端部と前記板状部材との間に配置され前記板状部材に押し付けられる座金ユニットであって、
    前記板状部材に固定もしくは前記板状部材と一体化された下座金と、
    前記下座金と対を成し前記棒状緊結部材の端部側に配置される上座金と、を有し、
    前記下座金には、位置調整が必要な方向である第1の方向に延びる長孔が形成され、
    前記下座金の外面には、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に延びる複数の下座金凸部が等ピッチで配列された第1の係合部が形成され、
    前記上座金の前記下座金と接する面には、前記下座金凸部に係合可能な上座金凹部を有する第2の係合部が形成され、
    前記上座金の前記第1の方向の中央部には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
    前記第2の方向から見て、前記上座金の前記挿通孔の中心線は、隣り合う前記上座金凹部同士の間の部位である上座金凸部のうち前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の前記第1の方向における中心からずれた位置であり、且つ、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凹部の前記第1の方向における中心からずれた位置に存在し、
    前記上座金よりも前記棒状緊結部材の端部側に配置されて前記上座金に接する追加座金を更に備え、
    前記追加座金には、前記棒状緊結部材を挿通する挿通孔が形成され、
    前記上座金の前記追加座金と接する面には、前記第1の方向に延びる複数の上座金第2凸部が等ピッチで配列された第3の係合部が形成され、
    前記追加座金の前記上座金と接する面には、前記上座金第2凸部に係合可能な追加座金凹部を有する第4の係合部が形成されている座金ユニット。
  4. 前記第1の方向から見て、前記追加座金の挿通孔の中心線は、隣り合う前記追加座金凹部同士の間の部位である追加座金凸部のうち前記追加座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記追加座金凸部の前記第2の方向における中心からずれた位置であり、且つ、前記追加座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記追加座金凹部の前記第2の方向における中心からずれた位置に存在することを特徴とする請求項3に記載の座金ユニット。
  5. 前記追加座金の挿通孔は前記第2の方向に延びる長孔であることを特徴とする請求項3または4に記載の座金ユニット。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の座金ユニットを設置する方法であって、
    前記上座金及び前記下座金の前記係合部同士を板厚方向に対面させ、前記板厚方向から見た場合に、前記下座金凸部に対して前記上座金凸部が平行である第1の姿勢として前記上座金を配置し、前記上座金を第1の姿勢のまま前記下座金に係合させるか、または、前記上座金を、前記第1の姿勢から前記中心線を中心に180度回転させた後の第2の姿勢として前記下座金に係合させるかを選択する選択工程と、
    前記選択工程の後に、前記上座金を前記第1の方向に前記挿通孔の遊び代の範囲内で移動させて位置調整する上座金位置調整工程と、を有する座金ユニットの設置方法。
  7. 前記第2の方向から見た場合に、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線と、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の中心線との前記第1の方向における距離であるずれ幅が異なる複数種類の前記上座金を準備する上座金準備工程を更に備え、
    前記第1の姿勢の前記上座金凸部と前記下座金凸部との前記第1の方向における重なり長さに応じて、前記複数種類の前記上座金の中から対応する前記上座金を選択し、選択された前記上座金を、前記下座金に対面させ前記第1の姿勢として配置することを特徴とする請求項に記載の座金ユニットの設置方法。
  8. 請求項1〜5の何れか一項に記載の座金ユニットを設置する方法であって、
    前記上座金及び前記下座金の前記係合部同士を板厚方向に対面させ、前記板厚方向から見た場合に、前記下座金凸部に対して前記上座金凸部が平行である第1の姿勢として前記上座金を配置し、前記上座金を第1の姿勢のまま前記下座金に係合させるか、または、前記上座金を、前記第1の姿勢から前記中心線を中心に180度回転させた後の第2の姿勢として前記下座金に係合させるかを選択する選択工程と、
    前記第2の方向から見た場合に、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線と、前記上座金の前記挿通孔の前記中心線に最も近い前記上座金凸部の中心線との前記第1の方向における距離であるずれ幅が異なる複数種類の前記上座金を準備する上座金準備工程と、を有し
    前記第1の姿勢の前記上座金凸部と前記下座金凸部との前記第1の方向における重なり長さに応じて、前記複数種類の前記上座金の中から対応する前記上座金を選択し、選択された前記上座金を、前記下座金に対面させ前記第1の姿勢として配置する座金ユニットの設置方法。
  9. 前記上座金準備工程では、前記上座金凸部の前記第1の方向における幅を、許容誤差で除算した値から当該除算の余りを減算して整数値を算出し、算出された前記整数値に基づいて、前記ずれ幅の異なる前記上座金の個数を決定し、決定された前記個数の前記ずれ幅の異なる前記上座金を準備することを特徴とする請求項7又は8に記載の座金ユニットの設置方法。
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