<第1実施形態>
図1〜図3を参照すると、本実施形態に係る開放型の使い捨ておむつ10は、縦方向Yとそれに直交する横方向Xと、横方向Xの寸法を二等分する縦軸P及び縦方向Yの寸法を二等分する横軸Qとを有する。おむつ10は、肌対向面及び非肌対向面と、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、少なくともクロッチ域13の肌対向面に取り付けられた吸液構造体14とを有する吸収シャーシ15と、後ウエスト域12において、吸収シャーシ15と交差して横方向Xへ延びる弾性ウエストベルト16とを含む。かかるおむつ10の着用状態において、弾性ウエストベルト16の両側縁部どうしは、第1ファスニング手段17を介して連結され、前ウエスト域11を画定する吸収シャーシ15の前端部51が第2ファスニング手段18を介して弾性ウエストベルト16の外面に連結されることによって、ウエスト開口19aと一対のレッグ開口19bとが画定される。
図2に示すように、おむつ10は、装着前においては、前ウエスト域11、クロッチ域13、および後ウエスト域12を縦方向Yに順次並べた開放状態にある。弾性ウエストベルト16は、横方向Xへ直状に延び、縦方向Yにおいて互いに対向する外端縁16aおよび内端縁16bと、横方向Xにおいて互いに対向する一対の側縁16c,16d(一方の側縁16cは、横方向Xの外側へ凸状を有する一方、他方の側縁16dは、直状を有する)とによって画定された横長矩形状である。弾性ウエストベルト16は、その中央部の内面が吸収シャーシ15に連結された弾性パネル20と、弾性パネル20の一方側部に取り付けられた係止フラップ22と、他方側部に取り付けられた被係止フラップ24とを有する。弾性ウエストベルト16は、吸収シャーシ15に連結された中央部25と、吸収シャーシ15の後端部52の両側縁15c,15dから横方向Xの外側に延びるベルト部26とに区分される。係止フラップ22の肌対向面にはファスナ部27が位置し、被係止フラップ24の非肌対向面は、ファスナ部27が係脱可能に止着される第1受止部28が配置される。ファスナ部27と第1受止部28とは、弾性ウエストベルト16の両側縁部を互いに連結するための第1ファスニング手段17を構成する。
図3を参照すると、弾性パネル20は、肌対向面側に位置する第1シート31と、非肌対向面側に位置する第2シート32とを有し、第1シート31および第2シート32は、それらの対向面のいずれか一方に塗布されたホットメルト接着剤を介して互いに固定される。第1シート31及び第2シート32間には、横方向Xに延びる複数条のウエスト弾性体33が配置されており、弾性パネル20は少なくとも横方向Xに伸縮可能に弾性化される。弾性パネル20は、図2および図3に示すように、吸収シャーシ15の後端部52と交差し、かつ、その両側縁15c,15dから横方向Xの外側に連続して延びる第1弾性域41と、第1弾性域41の横方向Xの両側に隣接して位置するサイド非弾性域(非弾性域)40と、サイド非弾性域40と両側縁16c,16dとの間に位置する第2弾性域42とを有する。また、第1弾性域41の中央部において、吸収シャーシ15内の吸液構造体14の後端部52と交差する部位には、後ウエスト弾性体33が配置されておらず、中央非弾性域43が画定される。中央非弾性域43よりも縦方向Yの外側にはウエスト弾性体33が配設されており、後中央弾性域44が形成される。
本実施形態において、両ベルト部26において、第1弾性域41と第2弾性域42とが横方向Xにおいて離間し、それらの間にサイド非弾性域40が位置しているが、後記の効果を奏する限りにおいて、少なくとも一方のベルト部26においてかかる構成を有し、図示省略するが、他方のベルト部26の全域にはサイド非弾性域が形成されていなくてもよい。また、本実施形態と異なり、縦軸Pの近傍にもウエスト弾性体33を設けてから、中央非弾性域43を形成するために縦軸Pの近傍のウエスト弾性体33を切断又は除去した後、ウエスト弾性体33を切断又は除去した部位に、ウエスト弾性体33とは別体の弾性体を有する第1シート31及び第2シート32とは別体のシート部材を配置することによって、後中央弾性域44を形成することができる。この場合には、配置する弾性体の太さや伸長倍率等を調整することによって、後中央弾性域44による収縮力を第1弾性域41及び第2弾性域42のそれよりも高くして、弾性ウエストベルトを着用者の背中によりフィットさせることもできる。
第1弾性域41及び第2弾性域42は、ストリング状又はストランド状の弾性体を配置するほかに、第1シート31及び第2シート32の間に伸縮性シートを配置して形成してもよいし、弾性パネル20全体を伸縮性シートから形成してもよい。本発明において、「非弾性域」とは、ストリング状、ストランド状又はシート状の弾性材料からなるウエスト弾性体33の弾性力が発現されない領域であって、ウエスト弾性体33の実質的に弾性を有する部分(伸縮機能部分)が配設されていない領域を意味するものである。したがって、非弾性域において、スナップバック(弾性部材のうちシートに固着されていない非固着部分が、自らの収縮によりシートに固着されている接合端部近傍まで戻ること)した部分が延在していたとしても、弾性パネル20に非弾性域を形成したことによる後記の効果を生じ得るものといえる。また、非弾性域を画定する方法としては、スナップバックのほかに、非弾性域においてウエスト弾性体33を固定し、第1シート31及び第2シート32とともにその弾性力が発現してない程度に複数切断してもよい。
第1シート31及び第2シート32は、例えば、質量約10〜20g/m2の不透液性のSMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布若しくはスパンボンド不織布から形成することができる。ウエスト弾性体33は、太さ約300〜1200dtex、伸長倍率約1.5〜3.5倍、縦方向Yにおける離間寸法(ピッチ)約5〜15mmの複数条のストランド状又はストリング状の弾性材料から形成することができる。
係止フラップ22は、弾性パネル20から横方向Xの外側へ凸となる略台形状を有し、例えば、質量約20〜60g/m2の非伸縮性の繊維不織布又はプラスチックシートからなる2枚のシート46,47を互いに重ね合わせて形成される(図3参照)。係止フラップ22を形成するシート46の内側部は、第1シート31の一方側縁の肌対向面に接合され、シート47の内側部は、第2シート32の一方側縁の非肌対向面に接合されており、両シート間46,47間に弾性パネル20の側縁が介在された状態で両シート46,47はホットメルト接着剤や熱溶着手段等の公知の接合手段を介して接合される。係止フラップ22は、第1シート31及び第2シート32よりも高剛性のシート材料から形成されており、係止フラップ22は弾性パネル20よりも高い剛性を有する。したがって、ファスナ部27の平面性が確保され、着用操作中にファスナ部27が変形して被係止フラップ24との止着強度が低下するおそれはない。
被係止フラップ24は、弾性パネル20から横方向Xへ延びる矩形状を有し、例えば、質量約20〜60g/m2の非伸縮性の繊維不織布又はプラスチックシートから形成された2枚のシート48,49から形成される。被係止フラップ24を形成するシート48の内側部は、第1シート31の他方側縁の肌対向面に接合され、シート49の内側部は、第2シート32の他方側縁の非肌対向面に接合されており、両シート48,49間に弾性パネル20の側縁が介在された状態で、両シート46,47はホットメルト接着剤や熱溶着手段等の公知の接合手段を介して接合される。被係止フラップ24は、係止フラップ22と同様に、第1シート31及び第2シート32よりも高剛性のシート材料から形成されており、被係止フラップ24は、弾性パネル20よりも高い剛性を有する。したがって、被係止フラップ24に位置する第1受止部28の平面性が維持されるので、着用操作中に第1受止部28が変形してファスナ部27との止着面積が減少して、それらの止着強度が低下するおそれはない。
吸収シャーシ15は、図3および図4に示すように、横方向Xへ直状に延びる前端縁15a及び後端縁15bと、前端縁15aおよび後端縁15bの間において縦方向Yに延び、その中央部が縦軸Pに近接するように凹曲する両側縁15c,15dとによって画定された縦長矩形状を有する。吸収シャーシ15は、さらに、その外形を形成するベースシート50(図5参照)と、ベースシート50に取り付けた吸液構造体14とを有する。吸収シャーシ15は、前ウエスト域11を形成する前端部51と、後ウエスト域12に位置する後端部52と、前端部51及び後端部52の間に位置し、クロッチ域13を形成する中間部53とを有する。
ベースシート50は、難透液性の繊維不織布シート、プラスチックフィルム又はそれらのラミネートシートから形成された第1ベースシート50a及び第2ベースシート50bによって形成されている。第1ベースシート50a及び第2ベースシート50bは、両シート50a,50bのうちいずれか一方のシート50a,50bの対向面に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合されている。
ベースシート50の肌対向面には、ホットメルト接着剤を塗布して形成し、吸液構造体14を固定するための接合域54を形成してある。接合域54は、矩形の枠状であって、縦方向Yにおいて互いに対向して横方向Xへ延びる両端部54Aと、両端部54A間において縦方向Yへ延びる一対のサイド部54Bとを有する。また、接合域54に囲まれた内方領域には、非接合域54Cが画定されている。したがって、吸液構造体14の縦方向Yの中央部は、非接合域54Cによってベースシート50に固定されていないため、吸液構造体14の吸液弾性体1の収縮力の影響が、ベースシート50に作用することを抑えることができる。なお、図示されているとおり、接合域54は、吸液構造体14の外周縁から内方へ僅かに離間しているが、吸液構造体14をより確実に固定するために、その外形がほぼ吸液構造体14の外周縁と同一であってもよい。また、その接合域54は、その一部に間隔を設けてあってもよい。
ベースシート50は、図3に示すように、横方向Xにおいて、吸液構造体14が配置された主体部56と、その横方向Xの両外側に位置する両側部57とを有し、両側部57は縦軸Pに近接するように内方へ向かって折り曲げられてその一部を主体部56に固定してある。具体的には、両側部57は、ホットメルト接着剤を塗布した接合域を介して主体部56に固定された前固定端部60及び後固定端部61と、前固定端部60及び後固定端部61の間において折曲部(吸収シャーシ15の両側縁15c,15d)に沿って縦方向Yに連続して延びる固定側部63とを有する。固定側部63において、吸液構造体14の横方向Xの両外側には、伸長状態で縦方向Yへ延びるように設けられた第1レッグ弾性体62を設けてある。第1レッグ弾性体62は、複数条のストリング状又はストランド状の弾性体であって、凹曲状の両側縁(レッグ開口19bの縁)15c,15dに沿って配置してある。
ベースシート50は、図5に示すように、両側部57と主体部56とを接合するための接合域58が不連続的に縦方向Yに延びており、前固定端部60および後固定端部61と固定側部63とは縦方向Yにおいて所与寸法離間している。また、第1レッグ弾性体62は、大きくカーブするように配設されており、固定側部63の一部が第1レッグ弾性体62を切断することなく外方へ凹曲するように第1ベースシート50aおよび第2ベースシート50bをカットしてある。固定側部63の第1ベースシート50aおよび第2ベースシート50bが凹曲状にカットされていることによって、固定側部63の外側縁間における横方向Xの寸法は小さくなり、着用者がレッグ開口に脚を通すときに固定側部63が引っ掛かるのを防止することができ、かつ、大腿部へのフィット感を向上させることができる。また、固定側部63とともに第1レッグ弾性体62が切断されていないので、第1レッグ弾性体62の切断部位が着用者の大腿部に触れて刺激を与えたり、その一部が外部へ抜け出たりするおそれはない。
また、両側部57は、その内側縁が折り返されることによって形成されたスリーブ状の遠位縁部64を有し、該遠位縁部64には、縦方向Yに直状に延びる複数条のストリング状又はストランド状の第2レッグ弾性体65が伸縮可能に固定される。遠位縁部64において縦軸Pに近接する部位は、縦方向Yにおける前固定端部60と後固定端部61との間の主体部56と両側部57とを接合しておらず、遠位縁部64は、おむつ10の着用状態において、第2レッグ弾性体65の収縮作用によって主体部56の肌対向面から離間し、排泄物の横漏れを防止するための一対のバリアカフが形成される。第1レッグ弾性体62と第2レッグ弾性体65とは、例えば、太さ470〜940dtex、伸長倍率が約1.5〜2.8倍の弾性材料から形成することができる。
第1レッグ弾性体62が配設されることによって、レッグ開口19bの縁部が着用者の大腿部にフィットし、かつ、第2レッグ弾性体65によってバリアカフが鼠径部にフィットするので、排泄物の横漏れを確実に防止することができる。また、おむつ10をパンツ形態のまま引き上げるとき、若しくは引き下げするときに、レッグ開口19bの縁部がみだりに折れ曲がったりよれたりするおそれはない。また、吸収シャーシ15の中間部53が凹曲状を有することによって、おむつ10を引き上げるときに、中間部53が着用者の大腿部の内側に引っ掛かってその一部が破れたりするおそれはない。
このおむつ10は、一対の第1レッグ弾性体62および一対の第2レッグ弾性体65を有するレッグ弾性体9を備える。第1レッグ弾性体62は、縦軸Pに離間するよう配置してあり、第2レッグ弾性体65は、縦軸Pに近接するよう配置してある。換言すれば、前記吸液弾性体は横方向Xにおいて第1レッグ弾性体62および第2レッグ弾性体65にそれぞれ離間して配置してあり、吸液弾性体1、第1レッグ弾性体62、および第2レッグ弾性体65によって弾性域3を画定している。この例では、第1レッグ弾性体62の縦方向Yの位置と、吸液弾性体1の縦方向Yの位置は同一である。
図5は、ベースシートを示す平面図であり、図6は、吸液構造体14の平面図であり、図7は、吸液構造体14から身体側ライナ69を取り除き、吸液構造体14と身体側ライナ69とを接合するホットメルト接着剤の塗布パターンを示す吸液層66の平面図である。
吸液構造体14は、図5〜7に示すように、接合域54において、ホットメルト接着剤を介してベースシート50の主体部56の肌対向面に固定されており、吸液層66と、透液性シートから形成された吸液層66の少なくとも肌対向面側を被覆する身体側ライナ69とを有する。身体側ライナ69と吸液層66との間には、縦方向Yへ延びるストリング状又はスドランド状の複数条の吸液弾性体1を設けてあり、吸液弾性体1の収縮力によって、吸液構造体14の肌対向面には、横方向Xへ延びる複数の凹凸条2が形成されている(図8および図9参照)。凹凸条2は、縦方向Yにおいて交互に位置する凸部2aと凹部2bとによって形成されている。
図6に示すように、吸液弾性体1は、吸液構造体14に伸長状態で縦方向Yへ延びるように設けてあり、横方向Xにおいて所与寸法離間して配置してある。具体的には、横方向Xにおいて隣り合う吸液弾性体1どうしの離間寸法R(吸液弾性体1の中心部間どうしの距離)は約5〜40mm、好ましくは、約10〜25mmである。吸液弾性体1は、約1.1〜2.4倍、好ましくは1.25〜1.8倍に縦方向Yへ伸張させられた状態で例えば身体側ライナ69の非肌対向面に取り付けてある。
図2に示すように、吸収シャーシ15は、縦方向Yにおいて、吸液弾性体1は、少なくとも第1レッグ弾性体62および第2レッグ弾性体65と重なる位置にあり、吸液弾性体1と第1レッグ弾性体62および第2レッグ弾性体65とが縦方向Yで重なる位置において弾性域3を画定する。吸収シャーシ15は、弾性域3に対して横軸Qに離間するように、縦方向Yにおいて、第1レッグ弾性体62、第2レッグ弾性体65、および吸液弾性体1を配置しない第1非弾性域(非弾性域)5及び第2非弾性域4を画定してある。
なお、図示省略するが、第1レッグ弾性体62および吸液弾性体1のみで弾性域を画定するとともに、第1非弾性域、および第2非弾性域を画定してもよいし、第2レッグ弾性体65および吸液弾性体1のみで弾性域を画定するとともに、第1非弾性域、および第2非弾性域を画定してもよい。
弾性域3は、この例では、クロッチ域13において、前ウエスト域11側に近接し、後ウエスト域12側に離間するように偏倚する態様で配置してある。第2非弾性域4は、前ウエスト域11において縦方向Yへ延びるように形成してある。第1非弾性域5は、後ウエスト域12において縦方向Yへ延びるように形成してある。
なお、これら弾性域3、第1非弾性域5、および第2非弾性域4の長さ寸法は一例であって、必要に応じて、弾性域3を縦方向Yへ適宜伸長若しくは短縮し、それに応じて第1非弾性域5および第2非弾性域4を適宜伸長もしくは短縮してもよい。
身体側ライナ69は、好ましくは親水化処理された、質量約15〜35g/m2の透液性を有する繊維不織布であって、例えば、スパンボンド繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布及びエアスルー繊維不織布等の各種公知の繊維不織布から形成することができる。
図7に示すように、身体側ライナ69は、ホットメルト接着剤を縦方向Yへスパイラル状に連続して塗布することによって形成された縦方向Yへ延びる接合部76を横方向Xへ複数設けることによって吸液層66の肌対向面に接合してある。接合部76は、吸液層66の肌対向面のほぼ全域に形成してある。また、横方向Xにおいて隣り合う接合部76どうしの間には、吸液弾性体1を配置してある。吸液弾性体1は、その周囲に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して少なくとも身体側ライナ69に固定してある。
吸液構造体14の肌対向面に形成される凹凸条2は、接合部76どうしの横方向Xにおける離間部位76aと、縦方向Yへ連続するホットメルト接着剤のスパイラル状の塗布パターンにおける接合部76と接合部76との間に位置する非接合部76bと、吸液弾性体1の収縮力とによって、複数の小さなシワが形成され、それらが横方向Xへ延びることによって形成されていると考えられる。従って、凹凸条2を形成する凸部2aと凹部2bとは断続的である。後記の効果を生じ得る所要の大きさの凹凸条2を形成するためには、横方向Xにおける接合部76どうしの離間寸法R2は約5〜20mmであることが好ましく、縦方向Yにおける接合部76どうしの離間寸法R3は約3〜25mmであることが好ましい。
吸液層66は、肌対向面側に位置する透液性の第1シート66aと、非肌対向面側に位置する透液性または不透液性の第2シート66bとを有する。吸液層66は、さらに、第1シート66aと第2シート66bとの間に介在し、不水溶性かつ自己質量の10倍以上の吸水力を有するいわゆる吸収性ポリマー粒子(SAP)、木材フラッフパルプ、オプションとして熱可塑性繊維を僅かに含む混合物から形成された吸収性コア8(図9参照)を備える。吸液構造体14の非肌対向面には、その外形寸法よりも大きい不透液性シートから形成された防漏シート67が配置される(図2,3,9参照)。
吸収シャーシ15は、前ウエスト域11において、前端縁11aに沿って横方向Xに延び、バリアカフの前端部どうしを結ぶように配置される連結パネル68を有する(図3参照)。連結パネル68は、肌対向面側に位置する内面シート70と、非肌対向面側に位置する外面シート71と、それらの間に伸縮可能に取り付けられた弾性体72とを有する。連結パネル68は、弾性体72が配設された前中央弾性域73と、前中央弾性域73の横方向Xの両側に位置する、非弾性の両側部と、両側部の肌対向面側に配置された一対の第2ファスナ部74とを有する。
図4に示すように、弾性ウエストベルト16の被係止フラップ24の非肌対向面には、係止フラップ22の第1ファスナ部27が係脱可能に止着される第1受止部28が位置し、サイド非弾性域40の非肌対向面側には、それぞれ、連結パネル68の第2ファスナ部74が係脱可能に止着される第2受止部75が配置される。第2ファスナ部74と第2受止部75とは、吸収シャーシ15の前端部51を弾性ウエストベルト16に連結するための第2ファスニング手段18を構成する。
第1ファスナ部27及び第2ファスナ部74は、プラスチックフィルム、繊維不織布、それらのラミネート等の比較的に剛性及び引張強度の高いシート材料から形成され、メカニカルファスナのフック群を有する。また、第1ファスナ部27及び第2ファスナ部74は、それらが係止される被係止フラップ24とベルト部26との外面がプラスチックフィルムによって形成されている場合等において、フック要素群に替えて接着剤を塗布して形成することもでき、その場合には、ファスナ部を保護するために、その表面にシリコンを塗布したセパレータで被覆してもよい。
第1受止部28及び第2受止部75は、プラスチックフィルム等の比較的に剛性及び引張強度の高いシート材料から形成された基材シートと、基材シートの表面に配置されたメカニカルファスナのループ要素とから形成される。ただし、基材シートが繊維不織布から形成される場合には機械的なループ要素を有していなくてもよいし、第1ファスナ部27及び第2ファスナ部74がフック要素を有する場合には、被係止フラップ24の外面を形成するシート49とベルト部26の外面を形成する第2シート32とを繊維不織布から形成し、該シートに直接的に第1ファスナ部27及び第2ファスナ部74を止着することもできる。
図10に示すように、おむつ10を着用するときには、まず、着用者が立位又は臥位の状態において、背中側に弾性ウエストベルト16の肌対向面を当てがい、着用者若しくは着用補助者が弾性ウエストベルト16の両方のベルト部26を把持し、それらを着用者の背中側から腹側に向かってウエスト周りに巻き付けるように引っ張って、係止フラップ22の肌対向面が被係止フラップ24の非肌対向面と当接するようにそれらを互いに重ね合わせ、第1ファスナ部27を第2受止部75に止着する。次に、図11に示すとおり、吸収シャーシ15の前端部(前ウエスト域11)51を把持して大腿部間から前ウエスト域11を(前方又は後方へ)引っ張り、吸収シャーシ15の前端部51の肌対向面を着用者のウエスト周りを締め付けるように取り付けられた弾性ウエストベルト16と当接するように着用者の腹側に向かって折り曲げる。かかる状態において、前端部51の肌対向面側に位置する第2ファスナ部74をそれと対向して位置する第2受止部75に止着することによって、おむつ10はパンツ型の形態を呈する。
本実施形態に係る開放型のおむつ10によれば、吸液構造体14の横方向Xの両外側に伸長状態で縦方向Yへ延びるように設けられた第1レッグ弾性体62および第2レッグ弾性体65と、吸液構造体14の少なくとも横方向Xの中央部に伸長状態で縦方向Yへ延びるように設けられた吸液弾性体1とを備え、吸液弾性体1は少なくとも縦方向Yにおいて第1レッグ弾性体62および第2レッグ弾性体65と重なる位置にあり、吸液弾性体1と第1レッグ弾性体62と第2レッグ弾性体65とが縦方向Yに重なる位置で弾性域3を画定するため、縦方向Yにおける弾性体1,62,65の位置を集中させることによって、この弾性域3では、両側部および中央部に均一なシワを発生させることができ、これにより、吸液構造体14の中央部に大きなシワが発生することを防止することができる。よって、吸液構造体14の中央部に排泄物が溜まることを防止することができる。しかも、縦方向Yにおける吸液構造体14において、弾性域3の後ウエスト域12の側には、第1レッグ弾性体62、第2レッグ弾性体65および吸液弾性体1を配置しない第1非弾性域5を設けてあるため、後ウエスト域12に大きなシワが発生することを防止することができる。よって、着用者の下半身と、吸液構造体14との位置合わせが困難になることもない。
なお、第1レッグ弾性体62および吸液弾性体1のみで弾性域を画定した場合、第2レッグ弾性体65および吸液弾性体1のみで弾性域を画定した場合のいずれでも、弾性体の位置を集中させ、同様の効果を奏することができる。
加えて、吸液構造体14は、肌対向面側に位置する透液性の身体側ライナ69と吸液層66とを有する。吸液層66は、透液性の第1シート66aと、透液性又は難透液性の第2シート66bと、第1シート66a及び第2シート66bとの間に介在され、吸収性ポリマー粒子とを含む吸収性コア8を有し、身体側ライナ69と第1シート66aとの間には吸液弾性体1を設けてあり、身体側ライナ69と第1シート66aとは、縦方向Yへ延び、かつ横方向において互いに所与寸法離間する複数の接合部76を介して接合され、吸液弾性体1が収縮することによって身体側ライナ69の肌対向面に横方向Xへ延びる複数の凹凸条2が形成されるため、吸液構造体14の肌対向面に、横方向Xへ延びる複数の小さいシワを発生させ、不規則で大きなシワが発生するのを確実に抑えることができる。
また、本実施形態に係る開放型の使い捨ておむつ10の場合には、第1ファスニング手段17の締結によって弾性ウエストベルト16を着用者のウエスト周りに巻き付け、その後に吸収シャーシ15の前端部51をベルト部26の外面に取り付けることができるので、着用者が立位状態であっても着用操作を容易に行うことができる。また、例えば、着用者が便座で排泄する場合において、パンツ形態を有するおむつ10をそのままの状態でズボン等の衣服とともに足元に引き下げることができるとともに、排泄後、便座に座った状態から立ち上がったときに足元に引き下げられた状態にあるおむつ10を衣服とともに引き上げて着用することができるので、排泄操作をスムーズに行うことができる。特に着用者が高齢者の場合には、パンツ型おむつと異なり、レッグ開口19bに脚を通すことなく立位/臥位の状態で着用操作を行うことができる一方、このように、排泄時等においておむつ10をパンツ形態のまま衣服とともに上げ下げすることができるので、高齢者による自力での排泄を促すことができる。すなわち、自力で立ちあがることのできる高齢者は、排泄時におけるおむつ10を外すことの煩わしさから解放されることによって、着用補助者や介助者の付き添いがなくても夜間に一人でトイレで排泄をしたり、日中に排泄に対する不安を抱くことなく外出したりすることができ、よりアクティブに日常生活を送ることができる。また、介助を受けることによって立ちあがることのできる高齢者の場合には、排泄時に着用補助者がズボン等の衣服とともにおむつ10を上げ下げすることができるので、排泄時において完全に身体から取り外される通常の開放型のおむつに比べて陰部が露出する時間が短くなり、陰部が露出することによる恥ずかしさが軽減される。
おむつ10の交換時や排泄時において、パンツ形態のまま簡易に引き上げ/引き下げ操作を行うためには、弾性ウエストベルト16が広範囲に着用者のウエスト周りにフィットしうる程度の弾性(伸縮)域を有することが好ましい。各ベルト部26において、その横方向Xにおける全体寸法L2に対して弾性域(第1弾性域41および第2弾性域42)全体の横方向Xにおける寸法が約50%以上であって、好ましくは、第1弾性域41の横方向Xにおける寸法が全体寸法L2に対して約30〜80%,第2弾性域42の横方向Xにおける寸法が全体寸法L2に対して約5〜55%の大きさであることが好ましい。かかる比率が50%以上の場合には、図10に示すように、立位状態の着用者に弾性ウエストベルト16をベルト状に巻き付けたときにずり下がることがないとともに、ウエスト開口縁部を伸長させて拡げることができるので、排泄時におけるおむつ10の引き上げ/引き下げ操作が容易になる。
弾性ウエストベルト16に十分な大きさの弾性域が形成される一方、第1弾性域41及び第2弾性域42との間にサイド非弾性域40を設けることによって、第2ファスニング手段18の締結力の低下が防止される。すなわち、第2受止部75において第2ファスナ部74が安定的に止着されるためには、第2ファスナ部74のフック要素と第2受止部75のループ要素とが係合する面積を十分に確保できる程度に第2受止部75自体が平面性を保持することが必要であるところ、第2受止部75が第1弾性域41又は第2弾性域42に位置し、その伸縮とともに変形してその表面に凹部と凸部とが発生する場合には、該凹部においてループ要素がフック要素に係合されず、第2ファスナ部74と第2受止部75との止着強度が低下するおそれがある。本実施形態においては、サイド非弾性域40に第2受止部75が位置することによって、第1弾性域41及び第2弾性域42の収縮によって第2受止部75が変形することなく、平面性が保持されるので、第2ファスニング手段18は所要の締結力を発揮することができる。
また、一般的な(メカニカル)ファスニング手段において、ターゲット領域(受止部)の面積がフック材(ファスナ部)のそれよりも大きく形成されるところ、図6を参照すると、本実施形態においては、第2ファスナ部74の横方向Xにおける寸法W1は、第2受止部75の横方向Xにおける寸法W2よりも大きい。したがって、第2ファスナ部74を第2受止部75に止着したときに、第2ファスナ部74の一部が第2受止部75と重ならないが、かかる止着態様であっても、おむつ10の引き上げ/引き下げ操作をし得る程度の十分な止着強度を発揮することができる。このように、弾性ウエストベルト16において弾性域の範囲を十分に確保しつつ、第2受止部75の大きさを必要十分な大きさに設定することによって、おむつ10の優れた操作性と十分な止着強度とを両立させることができる。
また、前ウエスト域11において前中央弾性域73が位置することによって、着用者若しくは着用補助者は、おむつ10の着用時において、前ウエスト域11の両側を両手で掴み、前ウエスト域11全体に皺が寄らないように前中央弾性域73を横方向Xに伸長させながら、吸収シャーシ15の前端部を弾性ウエストベルト16の非肌対向面に重ねる合わせることによって、弾性ウエストベルト16の伸縮に連動して前ウエスト域11を伸縮させることができ、着用者のウエスト周り全体に仮想の弾性体が形成される。これにより、前ウエスト域11は着用者の身体の動きに合わせて伸縮されるので、前ウエスト域11の表面に外観を損ねるような皺が生じたり、前ウエスト域11と着用者の身体との間に排泄物の漏れ原因となる隙間が形成されることはない。
吸液弾性体1の縦方向Yの収縮力が、第1レッグ弾性体62の縦方向Yの収縮よりも小さい。第1レッグ弾性体62は、その近傍で着用者の肌への密着性を高めて外部に排泄物が漏れることを防止することを目的とするものであり、第1レッグ弾性体62の収縮力よりも吸液弾性体1の収縮力が大きいと、第1レッグ弾性体62による着用者の肌への密着性が低下し、それにより、外部へ排泄物が漏れるおそれがあるためである。
<第2実施形態>
図12は、本発明に係る使い捨ておむつ10の第2実施形態を示す、図2と同様の展開図である。この吸液構造体14は、上述した身体側ライナ69を備えず、吸液層66を有する。
このおむつ10の吸収シャーシ15は、吸液構造体14の肌対向面側に位置するトップシート(身体側ライナ)166aと、透液性または不透液性であって吸液構造体14の非肌対向面側に位置するバックシート166bとを備えている。
このおむつ10の吸収シャーシ15では、トップシート166aおよびバックシート166bは、砂時計型の主体部156のみを形成し、かつトップシート166aとバックシート166bとの間に第2レッグ弾性体65を有していない。
トップシート166aと第1シート66aとの間には、吸液弾性体1を設けてあり、トップシート166aと第1シート66aとは、縦方向Yへ延び、かつ横方向Xにおいて互いに所与寸法離間する複数の接合部176を介して接合してある。接合部176は、接合する一方のシートがトップシート166aである事項のみが上記接合部76と異なり、他の事項に関しては同一である。
この第2実施形態に係るおむつ10も、第1実施形態に係るおむつ10と同様の作用・効果を奏する。
<第3実施形態>
図13および図14に示すように、本実施形態に係る弾性ウエストベルト16は、その中央部が横軸Qに近接するように凸となる形状を有し、着用状態において着用者の臀部を被覆する臀部カバー部80を有する。
臀部カバー部80は、第1シート31及び第2シート32と、それらの間に伸縮可能に固定された複数条のストリング状又はストランド状の弾性材料から形成された臀部弾性体81と、臀部弾性体81が配設された臀部弾性域82とを有する。臀部弾性体81は、吸液構造体14の両側において縦軸Pに対して斜めに交差するように延びている。臀部カバー部80は、臀部弾性体81によって弾性化されることによって、着用者の臀部にフィットして、背面視において下着のような外観を呈することができる。また、吸収シャーシ15の後端部52と後ウエスト域12側の中間部53の一部とは、臀部カバー部80にホットメルト接着剤を塗布した接合域(図示せず)を介して接合される。それにより、吸収シャーシ15の両側部57が臀部カバー部80と連動して伸縮するので、おむつ10の着用状態において、吸収シャーシ15全体が後方に引き上げられ、着用者の身体の動きに合わせてよりフィットさせることができる。
図14に示すように、臀部カバー部80の中央部には、臀部弾性体81が配置されておらず、弾性ウエストベルト16の中央部には、後中央弾性域44、第1弾性域41及び臀部弾性域82に囲まれた中央非弾性域85が位置する。中央非弾性域85が形成されていることによって、弾性ウエストベルト16と交差する吸液構造体14の後端部にウエスト弾性体33及び臀部弾性体81の収縮が直接作用することはなく、該後端部が変形したり皺が形成されたりして、その吸収性能が低下するおそれはない。本実施形態のほかに、臀部弾性体81を用いずに、ウエスト弾性体33の一部を縦軸Pに対して傾斜するように内方へ延出させることによって、臀部カバー部80に弾性を付与してもよいし、臀部カバー部80を中央部25とベルト部26とは別体のパネルから形成してもよい。
<第4実施形態>
図15〜図18に示すように、本実施形態においては、吸液構造体14の吸液層66は、主として吸収性ポリマー粒子から形成された吸収性コアと、肌対向面側に位置する質量約8.0〜15.0g/m2、好ましくは、質量約10.0g/m2の透液性の繊維不織布から形成された第1シート(透液性シート)91と、非肌対向面側に位置する質量約8.0〜15.0g/m2、好ましくは、11.0g/m2の透水性または難透水性のSMS繊維不織布から形成された第2シート92とを含む。
吸液層66は、さらに、吸収性コアが配置された、縦方向Yへ所与寸法離間する略矩形状に画定された吸液域93と、吸収性コアが実質的に配置されていない、吸液域を取り囲むように形成された非吸液域(シール部)94とを有する。なお、本実施形態において、吸液域93は、10個の区域に区分されているが、吸液構造体14の要する吸収性能に応じてその面積、区域数を適宜変更することができ、例えば、10以上の区域に区分されていてもよいし、吸液構造体14の全体に延びる1つの区域のみから形成されていてもよい。
吸液域93では、第1シート91の内面には、ホットメルト接着剤96を介して質量約30〜300g/m2、好ましくは、質量約40〜280g/m2の吸収性ポリマー粒子6がほぼ一様に固定されている。また、吸液域93には、第1シート91に固定されておらず、かつ第2シート92に固定されていない吸収性ポリマー粒子が存在し、第2シート92上に位置する。
吸収性ポリマー粒子6には、吸液層66全体の吸収速度を調整するために、例えば、吸収速度の異なる2種類のものを併用することができる。また、後記の本発明の効果を奏する限りにおいて、吸収性コアには、吸収性ポリマー粒子6のみならずフラッフパルプやオプションとして熱可塑性繊維などの公知の材料を比較的に低い混合率でその一部に含むものであってもよい。具体的には、フラッフパルプ等の吸水性繊維を混合する場合は、吸収性コア全体に対して約0〜30質量%の割合で混合されていることが好ましい。ホットメルト接着剤96には、各種公知のものを使用することができるが、体液の吸収後であって、吸収性ポリマー粒子6が第1シート91から剥離しないようにするために、疎水性を有する接着剤を使用することが好ましい。
このように、吸液層66の吸収性コアは、吸収性ポリマー粒子6とそれを被包するシート部材のみから形成されているので、吸液構造体14は、吸収性コアが吸収性ポリマー粒子6とフラッフパルプとの混合物から形成されている場合に比して薄くなる。したがって、おむつ10の着用中に着用者が前屈みの状態になっても前ウエスト域11がごわつくことはなく、着用者の身体の動きに応じて
柔軟に変形するので、着用感に優れる。
吸液域93では、第1シート91と第2シート92とが部分的に固定されているか又はそれらが互いに固定されていないことが好ましい。また、吸液域93において第1シート91及び第2シート92がホットメルト接着剤の接合部76で互いに部分的に固定されている場合には、吸液層66内に移行した体液が吸収性ポリマー粒子6に吸収されてそれが膨潤することによって、両シート91,92どうしの固定が解かれるようにしてもよい。一方、非吸液域94では、すなわち、吸液域93間の離間部位及び吸液層66の外周縁沿い全域においては、ホットメルト接着剤を介して第1シート91及び第2シート92が互いに接合されている。なお、吸液域93においては、吸収性ポリマー粒子6を第1シート91の内面に固定するためにホットメルト接着剤は比較的に疎に塗布されており、非吸液域94においては、比較的に密に塗布されている。すなわち、吸液域93においては体液の透過を阻害しない程度にホットメルト接着剤が塗布されており、一方、非吸液域94においては、吸液域93が体液を吸収して膨らんだとしても、その固定が容易に解かれない程度にホットメルト接着剤が密に塗布されている。
このように、吸液層66の吸収性コア8は、70質量%以上の吸水性ポリマー粒子を含むことから、それが吸収性ポリマー粒子6とフラッフパルプとがほぼ同じ割合で混合された混合物からなる場合に比して吸液層66全体は薄く、吸液構造体14は弾性パネル20の動きに対する順応性に優れている。また、第1シート91及び第2シート92が非吸液域94において安定的に固定されていることによって所要の剥離強度を有するとともに、第1シート91及び第2シート92の内面全体が固定されている場合に比して高い可撓性を有するものといえる。さらに、吸液域93において吸収性ポリマー粒子6が第1シート91に一様に固定されていることから、着用者の動作及び姿勢のいかんにかかわらず、その分布に偏りを生じることはない。なお、非吸液域94は、吸液域93から移動可能な吸収性ポリマー粒子6がこぼれ出るのを防止するために吸液域93の周縁を封止するシール部としての機能を果たしうるが、製造工程において、吸収性ポリマー粒子6の一部が、吸液域93における吸収性ポリマー粒子6の単位面積当たりの所要質量よりも少ない範囲において、非吸液域94に配置されることがある。
図17は、縦軸Pに沿う断面であって、吸液構造体14の肌対向面を模式的に示す断面図、図18は、体液を吸収した後の図17と同様の模式的断面図である。
図17に示すとおり、身体側ライナ69及びそれに固定側部63を介して固定された第1シート91とは、吸液域93において吸液弾性体1の収縮作用によって起伏しており、凹凸条2の凸部2aと凹部2bとが縦方向Yにおいて交互に形成されている。非吸液域94によって区分された各吸液域93において、吸収性ポリマー粒子6は第1シート91の内面に固定されており、かつ、凸部2aにおいて第1シート91と身体側ライナ69とが上方へ凸となることによって、第1シート91と第2シート92との離間スペースには体液保持部7が形成される。
既述のとおり、吸液構造体14は矩形の枠状の接合域54によってベースシート50に固定され、その中央部は非接合域54Cと対向し、ベースシート50に固定されていない。したがって、吸液層66が比較的に厚さ寸法の小さなものであって、かつ、それ全体が吸液弾性体1の収縮作用によって起伏する形状を有する場合であっても、ベースシート50がその影響を受けて皺が生じてその外観を損ねるおそれはない。
図18に示すとおり、吸収性ポリマー粒子6が体液を吸収した後は、それが膨潤することによって、体液保持部7(図17参照)に吸収性ポリマー粒子6が充填された状態となる。具体的には、各吸液域93において、体液の透過によって吸収性ポリマー粒子6と第1シート91との接合面であるホットメルト接着剤が湿潤して接着力が低下し、一部の吸収性ポリマー粒子6が第1シート91の内面から剥がれて、第2シート92上に位置している。このように、吸収性ポリマー粒子6が第2シート92に位置する場合であっても、吸収性ポリマー粒子6は膨潤して凹部2bに近接しているので、再び吸液層66に流れ込んだ体液を速やかに吸収することができる。また、吸収性ポリマー粒子6が飽和状態になるまで体液を吸収した場合にはゲル化してブロックを形成するので、体液保持部7に溜まった吸収性ポリマー粒子6に吸収されなかった体液が着用者の身体側へ逆戻り(リウエット)し難くなる。なお、このような効果を奏するために、吸液域93に含まれる吸収性ポリマー粒子6の粒径等を調整することが好ましい。
<第5実施形態>
図19は、第5実施形態のおむつ10の吸液構造体14のベースシート50の平面図である。本実施形態においては、カットする固定側部63の位置と、第1レッグ弾性体62の凹曲状の始点および終点とが異なるように配置してある。しかも、第1レッグ弾性体62の後ウエスト域12側では、接合域58から第1レッグ弾性体62の先端部が突出しており、この第1レッグ弾性体62の先端部は、第1ベースシート50aおよび第2ベースシート50bに接合していない。本実施形態においては、固定側部63ととともに第1レッグ弾性体62が切断されている。かかる態様においても、第5実施形態と同様に、固定側部63が凹曲状にカットされていることによって、固定側部63の外側縁どうしの間における横方向Xの寸法は小さくなり、着用者がレッグ開口に脚を通すときに固定側部63が引っ掛かるのを防止することができ、かつ、大腿部へのフィット感を向上させることができる。
<第6実施形態>
図20は、第6実施形態のおむつ10の吸液構造体14のベースシート50の平面図である。本実施形態においては、接合域58が横方向Xの外側へ向かって凹状を有し、側縁15cと接合域58との間には、非固定域98が形成される。第5実施形態および第6実施形態においては、接合域58の一部がカットされているものであって、たとえ肌当たりを考慮して曲状にカットされたものであったとしても、それが着用者の大腿部の内側に直接触れることによって刺激を与えるおそれがある。本実施形態の場合には、接合域58の位置する比較的に高剛性を有する部分が直接肌に触れることはないので、より肌当たりを向上させることができる。
なお、上述した実施形態には、吸収シャーシ15と弾性ウエストベルト16とを有するおむつ本体と、第1ファスニング手段17および第2ファスニング手段18とを有するファスニング手段を有するおむつ10を例に説明したが、本発明はこれに限られず、ファスニング手段としては、2つのファスニング手段17,18によって構成されるものに限られず、公知のものを使用することができる。
おむつ10を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品における通常用いられている各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、本発明の明細書及び特許請求の範囲において、「第1」及び「第2」の用語等は、同様の要素、位置を単に区別するために用いられている。
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
縦方向および横方向を有し、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前ウエスト域および前記後ウエスト域の間に位置するクロッチ域と、前記クロッチ域から前記前ウエスト域および前記後ウエスト域へ延びる吸液構造体とを有するおむつ本体を備え、着用前において、前記前ウエスト域、前記クロッチ域、および前記後ウエスト域を前記縦方向へ並べた開放状態である使い捨て吸収性物品であって、前記吸液構造体の前記横方向の両外側において伸長状態で前記縦方向へ延びるように設けられたレッグ弾性体と、前記吸液構造体の少なくとも前記横方向の中央部に伸長状態で前記縦方向へ延びるように設けられた吸液弾性体とを備え、前記吸液弾性体は前記横方向において前記レッグ弾性体に離間して配置してあり、前記吸液弾性体および前記レッグ弾性体によって弾性域を画定し、前記縦方向における前記吸液構造体において、前記弾性域の前記後ウエスト域の側には、前記レッグ弾性体および前記吸液弾性体を配置しない非弾性域を設け、前記吸液構造体は、肌対向面および非肌対向面を有し、透液性の身体側ライナおよび吸液層とを備え、前記吸液層は、前記肌対向面側に位置する透液性の第1シートと、前記非肌対向面側に位置し、透液性または不透液性の第2シートと、前記第1シートおよび前記第2シートの間に介在された吸収性ポリマー粒子とを含み、前記身体側ライナと前記第1シートとの間には前記吸液弾性体を設けてあり、前記身体側ライナと前記第1シートとは、前記縦方向へ延び、かつ前記横方向において互いに所与寸法離間する複数の接合部を介して接合され、前記吸液弾性体が収縮することによって前記身体側ライナに前記横方向へ延びる複数の凹凸条が形成される。
上記の発明は、少なくとも下記の実施形態を含むことができる。
(1)前記横方向の寸法を二等分する縦軸と、前記縦方向の寸法を二等分する横軸とを有し、前記レッグ弾性体は、前記縦軸に離間する一対の第1レッグ弾性体と、前記縦軸に近接する一対の第2レッグ弾性体とを備え、前記吸液弾性体は前記横方向において前記第1レッグ弾性体に離間して配置してあり、前記吸液弾性体および前記第1レッグ弾性体によって前記弾性域を画定する。
(2)前記横方向の寸法を二等分する縦軸と、前記縦方向の寸法を二等分する横軸とを有し、前記レッグ弾性体は、前記縦軸に離間する一対の第1レッグ弾性体と、前記縦軸に近接する一対の第2レッグ弾性体とを備え、前記吸液弾性体は前記横方向において前記第2レッグ弾性体に離間して配置してあり、前記吸液弾性体および前記第2レッグ弾性体によって前記弾性域を画定する。
(3)前記横方向の寸法を二等分する縦軸と、前記縦方向の寸法を二等分する横軸とを有し、前記レッグ弾性体は、前記縦軸に離間する一対の第1レッグ弾性体と、前記縦軸に近接する一対の第2レッグ弾性体とを備え、前記吸液弾性体は前記横方向において前記第1レッグ弾性体および前記第2レッグ弾性体にそれぞれ離間して配置してあり、前記吸液弾性体、前記第1レッグ弾性体、および前記第2レッグ弾性体によって前記弾性域を画定する。
(4)前記吸液層は、前記第1シートの前記非肌対向面に固定された吸収性ポリマー粒子をさらに含み、前記吸液弾性体が収縮することによって前記身体側ライナ及び前記第1シートに前記横方向へ延びる複数の凹凸条が形成され、前記第1シートと前記第2シートとの間に体液保持部が画定される。
(5)前記レッグ弾性体は、一対の第1レッグ弾性体のみを備え、前記吸液弾性体は前記横方向において前記第1レッグ弾性体に離間して配置してあり、前記吸液弾性体および前記第1レッグ弾性体によって前記弾性域を画定する。
(6)前記吸液層は、前記第1シートと前記第2シートとが互いに接合された非吸液域と、前記非吸液域に囲まれ、前記吸収性ポリマー粒子が被包された複数の吸液域をさらに含む。
(7)前記吸液構造体において、前記弾性域における前記縦方向の前ウエスト側には、前記第1レッグ弾性体および前記吸液弾性体を配置しない第2非弾性域を設けてある。
(8)前記吸液弾性体の前記縦方向への収縮力が、前記第1レッグ弾性体の前記縦方向への収縮力よりも小さい。