JP6076618B2 - 光学的分解能向上装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光の照射により表面状態のプロファイルや細胞等の表面状態の計測や観察を極めて高い分解能で実現させる光学的分解能向上装置に関し、顕微鏡等の光学機器の分解能を向上するのに好適なものである。
微少なものを高精度に測定したり観察したりするには、周波数の異なる2つのレーザー光を干渉させて、その差の周波数のビート信号を作成し、このビート信号の位相変化を検出することで、被測定物を測定や観察することが考えられる。
そして、下記特許文献1の特開昭59−214706号公報には、音響光学素子を用いて異なる波長からなる2つのビームを隣接して発生させ、これら2ビーム間の位相変化を検出し、その位相変化を累積して表面プロファイルを得る方法が開示されている。しかし、この特許文献1の技術では、ビームプロファイル内の情報を引き出すことはできず、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることは出来なかった。
他方、従来よりDPC(Differentaisl Phase Contrast)法と呼ばれる手法が知られている。これは、最初Dekkers and de Langにより電子顕微鏡に適用された技術であり、その後、Sheppard and Wilson等により光学的顕微鏡への拡張がなされた技術である。このDPC法は、試料に照射された電磁波に対してファーフィールドであって、電磁波の照射軸に対して対称に配置されたディテクタ同士で検出した0次回折光と1次回折光との干渉の結果の差動信号を求めることにより、試料のプロファイル情報を得るものである。しかし、このDPC法も空間周波数が高くなると、これら0次回折光と1次回折光とが干渉できなくなり、その空間周波数が再現されない結果として、測定ができなくなることがあった。
つまり、従来の電磁波を用いた結像型の顕微鏡においては、アッべの理論の限界とされる分解能を超えることはできなかった。したがって、光学顕微鏡はもとより、電子顕微鏡においても使用している実質的な波長による限界を打破することは困難であった。
特開昭59−214706号公報
ここで、結像光学系を用いた従来の顕微鏡における対物レンズのOTF特性について、以下に説明する。
結像光学系を用いた従来の顕微鏡においては、対物レンズにて捉える対称物の空間周波数の1次回折光の成分と0次回折光の成分とが干渉して像形成を行うため、レンズの開口に1次回折光が入射されないと、その空間周波数は再現されないことになる。他方、低い周波数から高い周波数に至るにつれてその1次回折光の回折角は次第に大きくなるので、レンズに入力される1次回折光の量が減っていくことになる。その結果として、1次回折光が入力されない周波数がカットオフになり、低い周波数から高い周波数に至る途中で、変調度が次第に落ちていくようになる。
以上が対物レンズのOTF特性であり、したがって、結像系においては対物レンズに入力される1次回折光には自ずと限界があるので、再現される対称物の空間周波数に関連して分解能も自ずと限界があることになる。
以上の定性的な説明を定量化して、以下に詳細に説明する。
図11のように開口半径がaで焦点距離がfの対物レンズ11に平行光束が入射しているとする。なお、図11においては、照射光軸を光軸L0で表し、この光軸L0に対して角度Θだけ傾く傾斜光軸を光軸L1で表している。通常の結像を用いた顕微鏡では、図11のように光束が試料Sを透過する透過型となるが、光束が試料Sで折り返される反射型として考えてもよい。また、式を簡単にするために、1次元の開口として扱う。
また、簡単のために試料Sが高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとする。すなわち、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2π(h/λ)sin(2πx/d)・・・・・(1)式
試料Sから回折された光の振幅Eは、焦点距離fだけ離れた面において、(1)式のフーリエ変換とレンズの開口とのコンボリューションとして、与えられるので、以下のように表される。ただし、(1)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は、±1次まで取るものとする。
Figure 0006076618
ここで、(2)式のフーリエ変換が結像に寄与する。
したがって、強度Iは下記(3)式のようになる。
Figure 0006076618
この式の意味するところは、d=λf/2a=0.5λ/NAより小さいピッチの情報は欠落するということであるが、これは、矩形開口のビーム径(sinc(ka)=0の最初の暗環半径wは、ka=πを満たすので、w=0.5λ/NAとなる )と一致する。また、d>0.5λ/NAでもdが小さいほど変調度が低下することを意味している。これを1/dの空間周波数と変調度との関係を示せば、MTFとなっている。
以上に示したように、通常の結像光学系では、対物レンズ11のNAによって再現される空間周波数のリミットは、必然的にd=λf/2a=0.5λ/NAとなり、この値よりも小さいものは、どのようにしても再現されないことになる。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、通常の結像光学系の再現空間周波数では取得不可能な空間周波数を取得し、実効上、分解能の高い光学的分解能向上装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成させるために、本発明は、測定対象物に収束照射される光を照射する光源と、
収束照射の照射光軸上に位置し、前記測定対象物から出射された0次回折光の光束を平行な光束に変換する第1のレンズと、
前記照射光軸を挟んで対称にそれぞれ傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された±1次回折光の光束をそれぞれ平行な光束とする一対の第2のレンズと、
第1のレンズから出射された0次回折光の光束と前記一対の第2のレンズから出射された±1次回折光の光束とをそれぞれ干渉させる光学素子と、
該光学素子により干渉された各光束を受光する一対の受光素子と、
0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における一対の受光素子間の出力差を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
を含み、
高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
一対の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
ΔI=I 1 −I 2
∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置とされるものである。
また、本発明においては、前記第2のレンズからの出射光を前記光学素子に反射させる反射鏡が第2のレンズと光学素子との間に配置され、
該光学素子が、
第1のレンズから出射された平行な光束を分割する第1のビームスプリッターと、
前記反射鏡から反射された光束と前記第1のビームスプリッターで分割された光束とを合成させる第2のビームスプリッターと、
を含むものや、前記一対の受光素子が、複数の分割受光素子によりそれぞれ構成されているものが好適である。
また、上記目的を達成させるために、本発明は、測定対象物に平行照射される光を照射する光源と、
平行照射の照射光軸に位置し、前記測定対象物から出射された0次回折光の光束を分割する第1のビームスプリッターと、
前記照射光軸を挟んで対称にそれぞれ傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された±1次回折光の光束と第1のビームスプリッターで分割された光束とをそれぞれ干渉させる一対の第2のビームスプリッターと、
一対の第2のビームスプリッターにより干渉された各光束をそれぞれ受光する一対の受光素子と、
0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における一対の受光素子間の出力差を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
を含み、
高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
一対の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
ΔI=I 1 −I 2
∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置とされるものである。
また、本発明においては、前記一対の受光素子が、複数の分割受光素子によりそれぞれ構成されているものが好適である。
さらに、上記目的を達成させるために、本発明は、測定対象物に収束照射される光を照射する光源と、
収束照射の照射光軸に対して傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された光束を平行な光束とするレンズと、
該レンズに入射される光束の前記照射光軸に近い該レンズの部分を通過する0次回折光とされる第1の光束と該照射光軸から遠い該レンズの一方の半面を通過する1次回折光とされる第2の光束を干渉させる第1の光学素子と、
第1の光学素子により干渉された光束をそれぞれ検出する複数の第1の受光素子と、
前記照射光軸に対して前記第1の光学素子と反対方向に配置され、前記第1の光束と−1次回折光とされる第2の光束を干渉させる第2の光学素子と、
第2の光学素子により干渉された光束をそれぞれ検出する複数の第2の受光素子と、
0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における、複数の第1の受光素子の任意の受光出力と複数の第2の受光素子の任意の受光出力との差の出力値を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
を含み、
高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
2種類の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
ΔI=I 1 −I 2
∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置とされるものである。
さらにまた、上記目的を達成させるために、本発明は、測定対象物に平行照射される光を照射する光源と、
平行照射の照射光軸に対して傾きを有した傾斜光軸上に有る第1の光学素子と、
第1の光学素子により0次回折光と1次回折光とが干渉された光を検出する複数の第1の受光素子と、
平行照射の照射光軸に対して第1の光学素子と逆の傾きを有した傾斜光軸上に有る第2の光学素子と、
第2の光学素子により干渉された光を検出する複数の第2の受光素子と、
0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における、複数の第1の受光素子の任意の受光出力と複数の第2の受光素子の任意の受光出力との差の出力値を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
を含み、
第1の光学素子および第2の光学素子が、
傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された光束を収束させる第1のレンズと、
該第1のレンズから出射される光束の照射光軸に近い該第1のレンズの一方の半面の第1の光束を平行な光束とする第2のレンズと、
照射光軸から遠い該第1のレンズの他方の半面の第2の光束を平行な光束とする第3のレンズと、
第2のレンズと第3のレンズより出射された光束同士を干渉させる光学素子と、
をそれぞれ有し、
高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
2種類の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
ΔI=I 1 −I 2
∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置とされるものである。
また、これら本発明においては、前記第1および第2の光学素子は、
前記第1の光束を反転する第1のプリズムと、
第1のプリズムからの光束と前記第2の光束とをシフトして重ねる第2のプリズムと、
を含むものや、前記第1および第2の光学素子は、
前記第2の光束を反射するミラーと、
前記第1の光束と該ミラーで反射された光束を合成するビームスプリッターと、
を含むものや、前記第1および第2の光学素子は、収束レンズもしくは、収束レンズと拡大光学系を含むものや、前記第1および第2の光学素子は、収束レンズと該収束レンズの焦点付近に配置されたグレーティングであるものが好適である。
請求項に係る発明の作用を以下に説明する。
前述のようにDPC法は、試料に照射された電磁波に対してファーフィールドであって、電磁波の照射軸に対して対称に配置されたディテクタ同士の差動信号を検出することにより、試料のプロファイル情報を得るものである。
この一方、本発明者たちは、音響光学素子等を用いることで、相互にわずかに異なる周波数を有しつつ相互にわずかな位置ずれを生じさせた2つのビームを走査させ、ファーフィールドに配置した複数の受光素子の差動出力をヘテロダイン検波する方式を案出している。
そして、本発明は、DPC法とヘテロダイン法を融合させたような手法を用いたものともいえる。
ところで、電磁波を用いての像の形成は、像自体の有する空間周波数の0次回折波と±1次回折波の干渉によるものと考えてよい。光学系のMTFカーブは、光学系の対物レンズが受け取る1次回折光の量に直接的に関係する。したがって、対物レンズに入射されない1次回折光を有する空間周波数は、結像に寄与しないために、必然的にカットされる。この最小の空間周波数が光学系のカットオフ周波数となる。
一方、光学的なDPC法においては、レーザーのようなコヒーレント光を用いる。つまり、 試料に照射されたコヒーレント光の1次回折光と0次回折光との干渉の結果が、コヒーレント光の光軸に対して対称でファーフィールドに配置された受光素子に反映されることで、試料が測定または観察される。この際、試料の空間周波数が決定されるのは、結像光学系と同様になる。
ここで、試料から反射され、あるいは試料を透過された光の0次回折光は、照射された時の光の絞り角、すなわち、対物レンズのNAに依存した広がり角を有して、試料から出射される。同様に1次回折光は、空間周波数に依存した方向に角度を変え、さらに0次回折光と同じ広がり角で出射される。このことから、受光素子上で0次回折光と±1次回折光が重なり合った部分だけで、試料のプロファイル情報が得られる。
以上より、空間周波数が高いと、これら0次回折光と1次回折光とが干渉できなくなり、その空間周波数が再現されないことになる。そこで、これらの0次回折光と1次回折光とを受光素子に導く前に干渉させることで、再現される空間周波数の大幅な向上が実現される。このことから、試料と受光素子の間の空間に、干渉計(ファブリペロー、マッハ・ツェンダ等)を構築して、この箇所で0次回折光と1次回折光を干渉させるようにしている。
他方、0次回折光および1次回折光の各主光線軸の間に光軸を有するレンズを配置し、試料から回折された0次回折光もしくは1次回折光を平行光束とし、その片方の光に対して、ダブプリズムのような光学素子で像を反転し、さらに0次回折光と1次回折光が重なるようにロンボイドプリズムのような光学素子で平行シフトして、0次回折光と1次回折光を干渉させることが考えられる。これを1次回折光と0次回折光との間及び−1次回折光と0次回折光との間の2系統で行うことにより、ファーフィールドに配置した2組の受光素子の差動信号がより大きな空間周波数情報を有することになり、実質的に分解能が向上する。
また、0次回折光および1次回折光の各主光線軸の間に光軸を有するレンズを配置し、0次回折光の一部と1次回折光、−1次回折光の一部を拡大して分割受光素子のピッチと形成された干渉ピッチとがほぼ同じになるように調整して、選択的に受光素子を使うことが考えられる。
さらに、0次回折光および1次回折光の各主光線軸の間に光軸を有するレンズを配置し、試料から回折された0次回折光もしくは1次回折光を平行光束とし、拡大レンズ系により受光素子に0次回折光と1次回折光とを導くことで、受光素子上では、拡大された干渉縞が形成される。この際、1次回折光と0次回折光との間及び−1次回折光と0次回折光との間の2系統で行い、一方の受光素子が最大光量のときに他方の受光素子でほぼ0になるように、受光素子を調整する。
さらに、0次回折光および1次回折光の各主光線軸の間に光軸を有するレンズを配置し、試料から回折された0次回折光もしくは1次回折光を平行光束とし、この平行光束をレンズにより集光し、ほぼレンズの焦点付近に配置した適正な格子ピッチを有するグレーティングにより、実質上0次回折光と1次回折光を相互にシフト重ね合わせることで、干渉させる。
これにより、ファーフィールドに配置した2組の受光素子の差動信号がより大きな空間周波数情報を有することになり、実質的な分解能が向上する。さらに、本発明は、試料から出射された0次回折光と1次回折光の干渉情報を用いているので、照射光学系の影響は少ない。したがって、照射スポットが多少大きくても検出される空間周波数を高くすることが可能である。
本発明に係る光学的分解能向上装置は、画像処理等で行う推定法やレーリー限界にある変調度を無理やりデジタル処理等で引き揚げる手法に比較して、本質的に高い空間周波数を物理的に取得しているので、試料の有する本来の情報を取得していることになる。したがって、似非信号となることはない。
また、ファーフィールドに配置した2組の受光素子の差動信号が本来有する奥行き情報も同時に取得しているので、横分解能と同時に縦分解能にも優れた光学的分解能向上装置を提供することができ、レーザー走査顕微鏡に好適なものである。
上記したように、本発明の光学的分解能向上装置では、試料に収束照射された光の信号をファーフィールドに配置された複数の受光素子の光軸を含む線に対して対称な受光素子同士の出力差として検出するような装置とし、試料からの1次回折光と0次回折光および−1次回折光と0次回折光の全部あるいは一部を実効上干渉させる光学系を配置し、それぞれの干渉強度を受光する対称的に配置した受光素子間で差信号を取得することにした。
実効上干渉させる光学系は、0次回折光と±1次回折光を別個に入射させるレンズを用いて、平行光とした0次回折光と±1次回折光を干渉させるか、0次回折光の光軸に対して傾斜させた光軸を有する2組のレンズにより、0次回折光と±1次回折光の一部をシフトして重ねる光学系か結像系と拡大光学系を用いる。この様にすると、同じNAを有するレンズを用いた結像光学系と比較して、1.5倍以上の空間周波数を取得することが可能となる。したがって、通常の結像光学系では得られない鮮明な光学像を得ることができる。
さらに、ヘテロダイン方式との融合により、位相変化および強度変化をきわめて精度よく検出することができる点と、受光素子で受光される光が非常に微弱でも検出回路系のゲインを高くすることで、高精度に検出できる点と、検出される信号は変調信号だけなので、外乱光の影響を受けることもなくなる点から、さらに高精度な検出ができ、非常に微弱でコントラストの低い位相情報やわずかな屈折率変化に対しても非常に高い分解能で観察、計測することが可能となる。
本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例1を示した光学系を表す概略図である。 DPC法における透過光学系を表すブロック図である。 DPC法における反射光学系を表すブロック図である。 DPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた透過光学系を表すブロック図である。 DPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた反射光学系を表すブロック図である。 本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例2を示した光学系を表す概略図である。 本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例3を示した光学系を表す概略図である。 本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例4を示した光学系を表す概略図である。 本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例5を示した光学系を表す概略図である。 本発明の光学的分解能向上装置に係る実施例6を示した光学系を表す概略図である。 通常の結像光学系の原理を説明する原理図である。
以下に、本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例1から実施例6を各図面に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例1を以下に図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施例の光学的分解能向上装置の構成を示す概略図である。この図1に示すように、光を照射する光源であるレーザー光源10が図示しない光学機器を介して、対物レンズ11と対向して配置され、このレーザー光源10が照射した光が、透過物の測定対象物である試料Sに収束照射されている。このレーザー光源10の収束照射の照射光軸とされる光軸L0上には、凸レンズとされる第1のレンズであるレンズ15が位置していて、試料Sを透過して出射された光束をレンズ15が平行な光束に変換している。
このレンズ15の下方の光軸L0上には、レンズ15から出射された平行な光束をそれぞれ左右に分割する2つの第1のビームスプリッター12A、12Bが連続して配置されており、この下方にこの光を受光する第1の受光素子6が位置している。ただし、この第1の受光素子6は、光軸L0を挟んで位置する2つの分割受光素子6A、6Bにより構成されていて、右側寄りの分割受光素子6Aが、レンズ15からの透過光の内の光軸L0の右側寄り部分を受光し、左側寄りの分割受光素子6Bが、レンズ15からの透過光の内の光軸L0の左側寄り部分を受光することになる。
この一方、光軸L0に対して図1の右側に傾きを有した傾斜光軸とされる光軸L1上には、凸レンズとされる第2のレンズであるレンズ16が位置しており、このレンズ16が試料Sから出射された光束を平行な光束としている。この光軸L1上には、この平行な光束を反射するための反射鏡18が配置されており、また、この反射鏡18の下方には、第2のビームスプリッター13が位置している。このため、レンズ16と第2のビームスプリッター13との間に配置される反射鏡18が、レンズ16からの出射光を第2のビームスプリッター13側に反射させている。また、第2のビームスプリッター13の下方には、複数の分割受光素子から構成される第2の受光素子群4が位置している。
さらに、2つの第1のビームスプリッター12A、12Bの内の上側の第1のビームスプリッター12Aが分割された光束を第2のビームスプリッター13側に送り出している。このため、レンズ15から出射された光束とレンズ16から出射された光束とを第2のビームスプリッター13が干渉させて、この光束を第2の受光素子群4が受光するようにさせている。
他方、上記と同様の構成を有したレンズ17、反射鏡19、第2のビームスプリッター14および、第2の受光素子群5が照射光軸L0を挟んで対称に、図1の左側にも配置されている。以上より、2つの第1のビームスプリッター12A、12Bおよび左右の第2のビームスプリッター13、14が、レンズ15から出射された光束とレンズ16、17から出射された光束とを干渉させている。
さらに、前述の分割受光素子6A、6B、受光素子群4、5が、これら受光素子6A、6B、受光素子群4、5からの信号を比較するための比較器33にそれぞれ接続され、この比較器33が、最終的にデータを処理して試料Sのプロフィル等を得るデータ処理部34に繋がっている。このため、比較器33及びデータ処理部34が、光軸L0を挟んで位置する第1の受光素子6の分割受光素子6A、6B間の出力差および、一対の第2の受光素子群4、5間の出力差を検出する出力差検出部とされている。
以上のことより、この図1に示す対物レンズ11で収束された光は、測定対象物である試料S上にスポットを形成する。このスポットは理想的には回折限界の径を有し、このスポット径内における試料Sのパターンの空間周波数情報が透過光として回折される。ここで、試料Sの有する空間周波数の1次回折光でレンズ15に入射されない空間周波数を考えた場合、レンズ15には試料Sを透過した0次回折光と上記空間周波数よりも低い空間周波数成分の光が入射される。このことで、レンズ15単体では、レンズ15の有するカットオフ周波数まで、試料Sのパターンが再現されうることになる。
ところが、レンズ15に入射されない空間周波数はカットされ、像情報に欠落を生じることになる。そこで、図1に示すように0次回折光の光軸L0に対して、レンズ16及びレンズ17が相互に対象な位置であって、ある傾きを有して配置されている。0次回折光の光軸L0に対するこのレンズ16及びレンズ17の光軸L1、L2の傾き角は、試料Sのコントラストが最大になる空間周波数に匹敵するようにする。
すなわち、レンズ16の光軸L1上の光束は、反射鏡18で折り返され、ビームスプリッター12Aにより分離された0次回折光の光軸L0上の光束とビームスプリッター13により合成される。合成された光自体は受光素子群4に導かれる。したがって、0次回折光とレンズ16から出射される1次回折光とを干渉させて受光素子群4が受光する。このとき、最も高いコントラストを有する光束は、レンズ16の光軸L1に一致する空間周波数の光束となるからである。
上記した光学系と0次回折光の光軸L0に対して反対方向に同様な光学系について考えた場合、レンズ17の傾斜光軸とされる光軸L2上の光束は反射鏡19で折り返され、このレンズ17の光軸L2上の光束は、ビームスプリッター12Aを経てビームスプリッター12Bにより折り返された0次回折光の光軸L0上の光束と、ビームスプリッター14により合成される。合成された光自体は受光素子群5に導かれる。0次回折光とレンズ17から出射される−1次回折光とを干渉しつつ受光素子群5が受光する。
ここで、受光素子群4は複数の分割受光素子よりなり、おのおのの分割受光素子は0次回折光と1次回折光で干渉された干渉縞を適当なピッチでサンプリングした干渉縞強度を取得する。つまり、0次回折光の光軸L0と1次回折光の光軸L1が傾きを持たなければ、光束内で一様な干渉強度となるが、多少傾きを有した場合には一様なピッチの干渉縞を生じるからである。この干渉縞のピッチは、1次回折光の出射角度によるので、レンズ16に入射される空間周波数を反映したものとなる。
また、受光素子群5も複数の分割受光素子よりなり、おのおのの分割受光素子は0次回折光と−1次回折光で干渉された干渉縞を適当なピッチでサンプリングした干渉縞強度を取得し、上記と同様に動作する。
したがって、受光素子群4、5は、複数の分割受光素子によりそれぞれ構成される形で配置され、空間周波数の反映した情報が取得できるようになる。受光素子群4,5の実質上対応する空間周波数を取得している受光素子の差の出力を取得することにより、より高い空間周波数情報を取得できるようになる。
以上は、DPC法の光学系および、発明者たちが提案するDPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた光学系において、特に有効となる。簡単のために上記においては透過光学系で説明したが、試料面に対して反射する方向に本光学的分解能向上装置を配置しても同様な効果をもたらすことになる。
上記光学系により取得できる実質的な空間周波数を大きくできる点を以下に定量的に明らかにする。ただし、説明を簡単にするために試料Sが高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとする。すなわち、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)・・・・・(4)式
試料Sから回折された光の振幅Eは、fだけ離れた面においては、(4)式のフーリエ変換とレンズの開口とのコンボリューションとして、与えられるので、以下のように表される。ただし、(4)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は±1次まで取るものとする。ここで、E0、E1は、おのおの0次回折光と1次回折光が入射されるレンズ15、レンズ16を経た複素振幅分布である。おのおの(5)、(6)式で表される。
Figure 0006076618
同様にE-1を−1次回折光が入射されるレンズ17を経た振幅分布である複素振幅分布であるとすると、下記(7)式のようになる。
Figure 0006076618
0次回折光の複素振幅分布を表す(5)式と1次回折光の複素振幅分布を表す(6)式とから、レンズ15の光束とレンズ16の光束とをビームスプリッター12A,13で合成して、受光素子群4上で干渉させた結果とされる受光素子群4上の強度I1は、下記式のようになる。
Figure 0006076618
同様に0次回折光の複素振幅分布を表す(5)式と−1次回折光の複素振幅分布を表す(7)式とから、レンズ15の光束とレンズ17の光束とをビームスプリッター14,12Bで合成して受光素子群5上で干渉させた結果とされる受光素子群5上の強度I2は、下記式のようになる。
Figure 0006076618
ただし、上記強度I1と強度I2は簡単のために0次回折光および±1次回折光の光路差が実質上ないものとした。このようにして、受光素子群4と受光素子群5との差出力を表すと下記式のようになる。
Figure 0006076618
ここで、単独の受光素子を用いずに、適正個数の分割受光素子よりなる受光素子群としたのは、受光素子と空間周波数が対応関係にすることになるので、受光量より試料Sに含まれる空間周波数成分の分布も考慮に入れた解析ができるからである。
もし、0次回折光と1次回折光とを干渉させないと、±1次回折光の強度は、下記式のようになり、差出力を取得すると0となる。
Figure 0006076618
また、たとえ和の出力を取得したとしても位相情報θ0は完全に失われることになり、試料Sにその空間周波数が存在するか否かの情報だけとなり、プロファイル情報等の知りたい情報を取得することはできない。
以下、上記光学系を具体的に適用して効果のあるDPC法の光学系および、DPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた光学系について述べる。ここで、図2はDPC法における透過光学系のブロック図を示し、図3はDPC法における反射光学系のブロック図を示す。
まず、図2に示すように、レーザー光源21からの光束はコリメーターレンズ22により平行光束とされ、2次元走査デバイス26に入射される。この2次元走査デバイス26は光を面上に走査するデバイスであり、MEMSやガルバノミラー、レゾナントミラー等で構成されるものである。
この平行光束は、2次元走査デバイス26の瞳位置を対物レンズ31の瞳位置に伝達するための瞳伝達レンズ系30を経て、対物レンズ31に入射された後、試料Sに収束される。試料Sに収束された光は透過光となり、受光素子29に入射される。この受光素子29は、試料Sから実質上ファーフィールドとなる位置に配置され、光軸Lに対して対称に少なくとも2分割された受光素子とされている。
この結果、光軸L上の平行光束が試料Sの屈折率分布や凸凹により0次回折光と±1次回折光とに分離され、分離されたこれらの光が干渉しつつ、受光素子29に受光される。これに伴い、試料Sの屈折率分布や凸凹の情報が、0次回折光と±1次回折光との干渉情報に基づき、受光素子29内の図示しない光電変換部において、変換される。このとき、光軸Lに対して対象な受光素子29の2つの受光素子間の差出力に試料Sの上記情報が反映される。
これに対して、図3は反射光学系のブロック図であり、図2の透過光学系と異なるのは、コリメーターレンズ22と2次元走査デバイス26との間に配置されたビームスプリッター27により光束の一部を取り出し、この光束を少なくとも2分割された受光素子からなる受光素子29によりそれぞれ受光することにより、これらの差出力を検出することである。この際、試料Sからの反射平行光は、実質上ファーフィールド情報であることになる。
図4および図5は、発明者たちが提案するDPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた光学系であり、これを以下に説明する。ここで、図4はこれらの方法を組み合わせた透過光学系のブロック図を示し、図5はこれらの方法を組み合わせた反射光学系のブロック図を示す。
これらの光学系が図2および図3に示す光学系と異なるのは、図4に示すように、音響光学素子23によりきわめて接近した2つの光束を作成し、試料Sに照射することにある。
具体的には、この図4に示すように、レーザー光が出射されるレーザー光源21と、AODドライバー24が接続されて動作が制御される音響光学素子(AOD)23との間に、コリメーターレンズ22が配置されている。また、この音響光学素子23に対して、2群のレンズからなる瞳伝達拡大レンズ系25、入力されたレーザー光を分離して出射するビームスプリッター27、入力されたレーザー光を2次元走査する2次元走査デバイス26が順に並んで配置されている。
さらに、このビームスプリッター27に隣り合って、2群のレンズからなる瞳伝達レンズ系30が位置し、この隣に対物レンズ31が試料Sと対向して配置されている。つまり、これら部材が光軸Lに沿って並んでいることになる。他方、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であってビームスプリッター27の右隣の位置には、光センサである受光素子28が配置されている。また、試料Sの背面側である下側には、同じく光センサである受光素子29が配置されている。これら受光素子28、29が、これら受光素子28、29からの信号を比較する比較器33にそれぞれ接続され、この比較器33が、最終的にデータを処理して試料Sのプロフィル等を得るデータ処理部34に繋がっている。
以上に伴い、キャリア周波数fcと変調周波数fmの2つのDSB変調された信号を外部からAODドライバー24を経て、音響光学素子23に入力することで、きわめて接近したこれら2つの光束を作成することができる。これらきわめて接近した2方向に出射された光束は、音響光学素子23の実質的な瞳位置を2次元走査デバイス26の瞳位置に伝達する瞳伝達レンズ系25、光を面上に走査する2次元走査デバイス26および、2次元走査デバイス26の瞳位置を対物レンズ31の瞳に伝達するための瞳伝達レンズ系30を経て、対物レンズ31に入射される。
この結果として、対物レンズ31で収束された光束は、きわめて接近された2つのスポットとして試料Sを面上に走査することになる。この2つのスポットは周波数fc+fmと周波数fc−fmの2つの信号となるので、これらの信号をヘテロダイン検波をすることにより、試料Sの凸凹情報、屈折率分布を反映した信号が得られる。
本実施例において、ヘテロダイン検波を行うには、照射された変調信号の一部をビームスプリッター27で取り出して受光素子28でレファランス信号を得て、このレファランス信号と2分割された受光素子29で検出された信号とで差動出力を求め、比較器33により位相差情報および強度情報を取得し、データ処理部34に送る。データ処理部34では走査情報とともに取得された情報を画像やデータの形として、ディスプレイに表示したり、メモリにデータとして蓄積したりする。
ただし、受光素子28は必ずしも必要ではなく、音響光学素子23に出力する信号、 すなわち音響光学素子23に印加される信号自体と比較してもよい。この場合、回路系や音響光学素子等による遅延が発生するが、予め補正するなどしておけば、位相差検出等に大きな影響を与えることはない。
また、試料Sの表面を面上に走査する極めて接近した2つのスポット光は、相互に周波数の異なる光となるが、実質上、瞳伝達レンズ系25、30等の拡大光学系を使用することにより、高い周波数でも極めて接近させたスポットにすることができる。これにより高速な走査により高速な情報取得ができることになる。
これに対して、図5は反射光学系のブロック図であり、図4の透過光学系と異なるのは、試料Sから反射して戻ってきた光束をビームスプリッター27により取り出し、この光束を2分割された受光素子からなる受光素子29によりそれぞれ受光することで、これらの差出力を検出することである。この際、試料Sからの反射平行光は、実質上ファーフィールド情報であることになる。
この一方、このようにして得られた2つの光は、上記手法により分離度を非常に小さくすることができ、実質上1つのビームで走査した情報と変わらない。これに対し、一つのビームで走査し、ファーフィールドに配置した少なくとも2分割された受光素子の差動出力を得る方法が、前記したDPC法である。
つまり、DPC法に比較すると、このような本ヘテロダイン法をさらに使用した方法では、ヘテロダイン検出することにより、位相変化および強度変化をきわめて精度よく検出できる点と、受光素子29で受光される光が非常に微弱でも検出回路系のゲインを高くすることで、高精度に検出できる点と、検出される信号は変調信号だけなので、外乱光の影響を受けることもなくなる点とを有することから、さらに高精度な検出ができることになる。
また、上記のような光学系の受光素子部分に図1に示す光学系を用いることで、さらに空間周波数の高い情報、すなわち横分解能の大幅な向上が図れるようになる。さらに、試料Sに照射する光束を平行光束として、図1に示すレンズ15,16,17を省き、その他の光学系は上記実施例と同じようにすることで、平行光束系に対する光学的分解能向上装置とすることもできる。
以下の実施例においては、DPC法の光学系の受光素子部分および、DPC法とヘテロダイン法とを組み合わせた光学系の受光素子部分に、以下の実施例の受光素子系を適用すればよいので、受光素子系以外の光学系についての説明は省略する。
本実施例においては、0次回折光の光軸L0に対してレンズを傾斜して設置することで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れることで、これら0次回折光と1次回折光の干渉を実現している。
本実施例は、図6に示すように、平行光束が対物レンズ11に入射し、試料Sに収束されるまでは、図1と同様である。ただし、本実施例においては、試料Sを透過した0次回折光の一部と1次回折光の一部とを、0次回折光と1次回折光との間の中間的な傾き角を有した光軸L3だけ傾けた状態のレンズ36に取り入れる。そして、上記一部の1次回折光と上記一部の0次回折光をロンボイドプリズム39のようなものにより、光束同士をシフトして重ね合わせることで、お互いの光束同士を干渉させる。
また、ロンボイドプリズム39の一面を半透鏡39Aとし、この半透鏡39Aと反対の面を半透鏡39Bにし、それぞれの面を通過して光を受光する受光素子40,41,42を配置する。ここで、受光素子40と受光素子41は、それぞれ0次回折光の一部と1次回折光の一部との干渉結果を反映し、受光素子42は、レンズ36の0次回折光の一部が含まれる領域に回折される低い空間周波数の1次回折光と0次回折光の一部との干渉結果を反映する。
以下の式にて、0次回折光と1次回折光とが干渉した結果について説明する。
まず、図6で示した光学系と同様の光学系を、図6では示していないが0次回折光の光軸L0と対称となるように、−1次回折光に対しても配置する。これら対応する各受光素子の出力差を取得すると以下のように考えられる。説明を簡単にするために、試料Sが高さhでピッチdの正弦波状の形状をしているものとすれば、光学的な位相θが以下の式で表される。
θ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)・・・・・(4)式
試料Sから回折された光の振幅Eは、fだけ離れた面においては、(4)式のフーリエ変換とレンズの開口とのコンボリューションとして与えられるので、以下のように表される。
ただし、(4)式の位相のフーリエ変換であるベッセル関数は±1次まで取るものとする。
図6に示すように光軸L3をレンズ36のほぼsin-1(NA)に相当する角度ξだけ傾ける。この際、光軸L3に対する垂直方向をy軸とし、(1)式の空間周波数1/dに相当する1次回折光の中心位置をY1とする。
このとき、上記(2)式を参考にして、光軸L3を角度ξだけ傾けた場合、(2)式の0次回折光は中心がaだけずれ、1次回折光の中心軸がy1になるので、下記の(8)式で複素振幅分布E1が与えられる。
Figure 0006076618
同様に0次回折光の光軸L0に対して、1次回折光と対称な光学系における−1次回折光に関しては、下記の(9)式となる。
Figure 0006076618
図6の光学系は、レンズ36の光軸L3を0次回折光と1次回折光との間の境界に実質上シフトして重ねているので、(8)式は、下記の(8)’式となる。
Figure 0006076618
このようにy1=aのときに複素振幅分布E1は最も大きく、y1=2aのときに0となる。
y1=2aは、0次回折光から見れば、3aに相当した空間周波数までの情報を取得したことになる。したがって、同じNAのレンズを用いた時に比較して1.5倍の空間周波数まで取得できたことになる。その分、光学的な分解能が実質的に向上したことになる。
他方、0次回折光の光軸L0に対して、1次回折光と対称な光学系における−1次回折光に関しては、同様にして−1次回折光の光軸L2に垂直方向をy’軸とすると、下記の(9)’式となる。
Figure 0006076618
このようにy1=-aのときに複素振幅分布E-1は最も大きく、y1=-2aのときに0となる。
y1=-2aは、0次回折光から見れば、-3aに相当した空間周波数までの情報を取得したことになる。したがって、同じNAのレンズを用いた時に比較して1.5倍の空間周波数まで取得できたことになる。その分、光学的な分解能が実質的に向上したことになるのは、1次回折光と同様である。
さて、この様にして得た情報に対して、受光素子40と受光素子41の和の出力とそれと等価な−1次回折光の受光素子間で差出力ΔIを下記の式により得るようにする。
Figure 0006076618
これは、実質的に実施例1と同様な式となっている。ただし、実施例1に比較すると光学系はよりシンプルで、かつロンボイドプリズムのような簡単な素子で構成しており、レンズを一体的に成形するなどすれば、安定的な光学系とすることが可能である。なお、ロンボイドプリズムを、実質上2つのハーフミラーで構成しても同様な効果をもたらすことができる。
本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例3を図7を参照しつつ、以下に説明する。
図7は、本実施例の光学的分解能向上装置の構成を示す概略図である。この図7に示すように、本実施例においては、0次回折光の光軸L0に対して、レンズ36を傾斜して設置することで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れ、結像光学系にて干渉を実現している。なお、図示しないものの、本実施例においては、軸L0に対して対象な位置に同様な光学系が配置されている。
レンズ36を傾けて0次回折光の一部と1次回折光の一部を取得するところまでは、実施例2と同様である。本実施例では、レンズ36により平行光束にした回折光同士をレンズ52にて集光する。このレンズ52により回折光同士が焦点近傍で重なり合って、実質的に干渉する。ただし、0次回折光と±1次回折光との干渉ではないので、試料S自体の結像とは異なる。
さらに、レンズ52の実効的な焦点距離を長くすることで、干渉縞のピッチを広げることができる。もし、レンズ36とレンズ52の焦点距離が同じであれば、当然等倍となり、試料Sの空間周波数となる。これに対して、他方の−1次回折光の光学系にて干渉された結果は、ピッチがずれた干渉縞となる。しかしながら、干渉縞のピッチに対して受光素子が大きいと、±1次回折光を受光する素子の位置あわせが困難になる。
そこで、拡大光学系53により干渉縞自体を拡大し、受光素子50の大きさにほぼ等しくすれば、±1次回折光で自然と逆位相となるので、0次回折光がバイアスになるような形で明暗が逆になる。この様にすれば、極めて簡単に空間周波数の高い領域まで、情報を取得することができるようになる。本実施例の場合、レンズ52を用いているので、このレンズ52に入射される0次回折光と1次回折光の位相差がそのまま反映される程度の波面収差は許容される。したがって、高額なレンズを用いる必要性はない。
なお、本実施例においては、焦点距離が多少異なるレンズであっても、お互いの受光素子の受けとる光量に大きな変化がなく、レンズ面内の波面収差が大きくなければ、干渉縞のピッチが多少変わる程度なので、そのまま用いることができる。また、取得できる空間周波数の限界は、図6とほぼ同じ原理なので、1.5倍程度となる。この光学系は、レンズ系だけを用いて構成しているので、非常にシンプルで、外乱に対しても強い。
本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例4を図8を参照しつつ、以下に説明する。
図8は、本実施例の光学的分解能向上装置の構成を示す概略図である。
この図8に示すように、本実施例においては、試料Sに収束した光を入射せず、比較的大きな径を有する平行光束を入射することとする。この場合において、0次回折光の光軸L0に対して、レンズ36を傾斜して設置することとした。このことで、0次回折光の一部だけでなく、同じレンズを用いた場合に比較してより高い空間周波数を有した1次回折光の一部を取り入れることができる。なお、図示しないものの、本実施例においては、軸L0に対して対象な位置に同様な光学系が配置されている。
ただし、レンズ36を傾けて0次回折光の一部と1次回折光の一部を取得するところまでは、実施例2と同様である。本実施例では、0次回折光および1次回折光をそれぞれ集光光束とするが、レンズ36のそれぞれの焦点位置に焦点を有する別々のレンズ64,65を配置し、これらのレンズ64,65により集光光束を平行光束とする。この様に平行光束にした以降は、図6および図7に示す光学系を用いて、0次回折光の一部と1次回折光の一部とを干渉させる。
この場合、試料Sに入射される光束径は大きいので、面内の情報が平均化されてしまう。そこで、入射された平行光束に図示しない制限開口を設けることで、その部分の情報として解釈するか、もしくは規則正しいパターン中の不規則パターンの検出が可能となる。 つまり、規則正しい1次回折光の方向が設計上予め分かっているので、その1次回折光の方向はレンズ36の焦点にマスクすることで抑えることができる。
この一方、それ以外の成分はレンズ64、65に入射されるので、欠陥部からの情報を検出することができる。たとえば、半導体ウェハー上の欠陥検査や、ナノ構造の不均一性の検査等への適用が可能である。なお、取得できる空間周波数の限界は、図6とほぼ同じ原理なので、1.5倍程度となる。
本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例5を以下に図9を参照しつつ説明する。
図9は、本実施例の光学的分解能向上装置の構成を示す概略図である。本実施例は図7と同様な光学系に採用されるものであるが、本実施例においては、この図9に示すように拡大光学系53をなくす替りに、回折格子であるグレーティング54をレンズ52の焦点に配置した構造としている。なお、図示しないものの、本実施例においては、軸L0に対して対象な位置に同様な光学系が配置されている。
この結果、試料Sにより回折された0次回折光と1次回折光がグレーティング54により、さらに回折され、0次回折光と1次回折光が実質上干渉するようになる。図9において、斜線を施した部分が、0次回折光と1次回折光が重なる干渉部Kであるが、光軸L3に対して、逆側にも同様な干渉部Kが存在する。
ここで、グレーティング54が正弦波状で構成されていれば、グレーティング54による回折波は、0次回折光、±1次回折光で位相差がない。この場合、光軸L3に対して対称な部分の位相差は同じなので、重なった部分は同相となる。従って、本実施例では、受光素子50はグレーティング54から出力された少なくとも2つの領域の上記干渉部Kを含む部分の光量を取得すればよい。
ただし、光軸L0に対して干渉部Kが対称で同相であるが、試料Sで回折された−1次回折光では、この干渉部Kの位相が180度反転する。これに対して、干渉部K以外の強度は、試料Sで回折された±1次回折光の方向で同一となるため、±1次回折光の強度の差動出力を取ると、干渉部Kのみの情報が残ることになる。
この一方、グレーティング54が位相差を生じる実質上の正弦波状で構成されていると、グレーティング54による0次回折光と±1次回折光で位相差が180°生じる。この場合、上記したように受光素子50をグレーティング54から出力された少なくとも1つの領域の干渉部Kを含む光量を取得すればよい。ただし、上記と異なる点は、グレーティング54の有する位相差が反映することになるので、グレーティング54のビームに対する位置も反映する。従って、グレーティング54のビームに対する位置調整が必要になる。
なお、位置調整は非常に簡単で、あらかじめ用意した、ある空間周波数を有する位相格子の試料Sに対して、走査による観察される両側の受光素子50の強度変調が最大になるように調整し、かつ、両側で位相差が180°になる様にすればよい。±1次回折光の強度の差動出力が、干渉部Kのみの情報が残ることは上記と同様である。
本発明に係る光学的分解能向上装置の実施例6を以下に図10を参照しつつ説明する。
図10は、本実施例の光学的分解能向上装置の構成を示す概略図である。
本実施例は図10と同様なグレーティング54を別の光学系に採用したものであるが、本実施例においては、この図10に示すように、レンズ15、16、17を有する他、反射鏡18、19を有する実施例1に近似した構造とされている。ただし、ビームスプリッター12A、12B、13、14等が無い替りに、レンズ55が反射鏡18の下方に配置され、このレンズ55と受光素子57との間であって、レンズ55の焦点位置にグレーティング54が配置された構造となっている。
さらに、レンズ15が大型とされて、このレンズ15を透過した光束の一部がレンズ55に入射されて、実施例5と同様に作用する。また、レンズ56が反射鏡19の下方に配置され、上記と同様にこのレンズ56と受光素子58との間であって、レンズ56の焦点位置にグレーティング54が配置された構造となっている。このため、これらレンズ56、グレーティング54、受光素子58等によっても、上記と同様に作用する。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明は、顕微鏡だけでなく、さまざまな種類の光学機器や波動を有する電磁波を用いた計測機に適用でき、これら光学機器や波動を有する電磁波を用いた計測機の分解能を向上することができるものである。
4、5 第2の受光素子群
6 第1の受光素子
10 レーザー光源
11 対物レンズ
12A、12B 第1のビームスプリッター
13、14 第2のビームスプリッター
15、16、17 レンズ
18、19 反射鏡
21 レーザー光源
22 コリメーターレンズ
23 音響光学素子
24 AODドライバー
25 瞳伝達拡大レンズ系
26 2次元走査デバイス
27 ビームスプリッター
28,29 受光素子
30 瞳伝達レンズ系
31 対物レンズ
33 比較器
34 データ処理部
36 レンズ
39 ロンボイドプリズム
40、41、42 受光素子
50 受光素子
52 レンズ
53 拡大光学系
54 グレーティング
55,56 レンズ
57,58 受光素子
64、65 レンズ
S 試料
L0、L1、L2、L3 光軸

Claims (11)

  1. 測定対象物に収束照射される光を照射する光源と、
    収束照射の照射光軸上に位置し、前記測定対象物から出射された0次回折光の光束を平行な光束に変換する第1のレンズと、
    前記照射光軸を挟んで対称にそれぞれ傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された±1次回折光の光束をそれぞれ平行な光束とする一対の第2のレンズと、
    第1のレンズから出射された0次回折光の光束と前記一対の第2のレンズから出射された±1次回折光の光束とをそれぞれ干渉させる光学素子と、
    該光学素子により干渉された各光束を受光する一対の受光素子と、
    0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における一対の受光素子間の出力差を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
    出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
    を含み、
    高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
    一対の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
    ΔI=I 1 −I 2
    ∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
    この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置。
  2. 前記第2のレンズからの出射光を前記光学素子に反射させる反射鏡が第2のレンズと光学素子との間に配置され、
    該光学素子が、
    第1のレンズから出射された平行な光束を分割する第1のビームスプリッターと、
    前記反射鏡から反射された光束と前記第1のビームスプリッターで分割された光束とを合成させる第2のビームスプリッターと、
    を含む請求項1記載の光学的分解能向上装置。
  3. 前記一対の受光素子が、複数の分割受光素子によりそれぞれ構成されている請求項1または請求項2に記載の光学的分解能向上装置。
  4. 測定対象物に平行照射される光を照射する光源と、
    平行照射の照射光軸に位置し、前記測定対象物から出射された0次回折光の光束を分割する第1のビームスプリッターと、
    前記照射光軸を挟んで対称にそれぞれ傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された±1次回折光の光束と第1のビームスプリッターで分割された光束とをそれぞれ干渉させる一対の第2のビームスプリッターと、
    一対の第2のビームスプリッターにより干渉された各光束をそれぞれ受光する一対の受光素子と、
    0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における一対の受光素子間の出力差を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
    出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
    を含み、
    高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
    一対の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
    ΔI=I 1 −I 2
    ∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
    この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置。
  5. 前記一対の受光素子が、複数の分割受光素子によりそれぞれ構成されている請求項4記載の光学的分解能向上装置。
  6. 測定対象物に収束照射される光を照射する光源と、
    収束照射の照射光軸に対して傾きを有した傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された光束を平行な光束とするレンズと、
    該レンズに入射される光束の前記照射光軸に近い該レンズの部分を通過する0次回折光とされる第1の光束と該照射光軸から遠い該レンズの一方の半面を通過する1次回折光とされる第2の光束を干渉させる第1の光学素子と、
    第1の光学素子により干渉された光束をそれぞれ検出する複数の第1の受光素子と、
    前記照射光軸に対して前記第1の光学素子と反対方向に配置され、前記第1の光束と−1次回折光とされる第2の光束を干渉させる第2の光学素子と、
    第2の光学素子により干渉された光束をそれぞれ検出する複数の第2の受光素子と、
    0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における、複数の第1の受光素子の任意の受光出力と複数の第2の受光素子の任意の受光出力との差の出力値を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
    出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
    を含み、
    高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
    2種類の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
    ΔI=I 1 −I 2
    ∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
    この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置。
  7. 測定対象物に平行照射される光を照射する光源と、
    平行照射の照射光軸に対して傾きを有した傾斜光軸上に有る第1の光学素子と、
    第1の光学素子により0次回折光と1次回折光とが干渉された光を検出する複数の第1の受光素子と、
    平行照射の照射光軸に対して第1の光学素子と逆の傾きを有した傾斜光軸上に有る第2の光学素子と、
    第2の光学素子により干渉された光を検出する複数の第2の受光素子と、
    0次回折光と±1次回折光との重なり合った部分における、複数の第1の受光素子の任意の受光出力と複数の第2の受光素子の任意の受光出力との差の出力値を検出して、測定対象物のプロファイル情報を得る出力差検出部と、
    出力差検出部で得たプロファイル情報を表示あるいは蓄積する手段と、
    を含み、
    第1の光学素子および第2の光学素子が、
    傾斜光軸上に位置し、かつ、前記測定対象物から出射された光束を収束させる第1のレンズと、
    該第1のレンズから出射される光束の照射光軸に近い該第1のレンズの一方の半面の第1の光束を平行な光束とする第2のレンズと、
    照射光軸から遠い該第1のレンズの他方の半面の第2の光束を平行な光束とする第3のレンズと、
    第2のレンズと第3のレンズより出射された光束同士を干渉させる光学素子と、
    をそれぞれ有し、
    高さをh、ピッチをd、初期位相をθ0、光束の波長をλ、照射光軸からの距離をxとして、光学的な位相をθ=2πh/λsin(2πx/d+θ0)と少なくともした場合において、
    2種類の受光素子の内の一方で受光される0次回折光と+1次回折光との干渉強度をI 1 とし、他方で受光される0次回折光と−1次回折光との干渉強度をI 2 としたとき、各干渉強度間の差であるΔIが下記式に基づいていて、
    ΔI=I 1 −I 2
    ∝−4J 0 (2πh/λ) J 1 (2πh/λ)cosθ0
    この際、J 0 、J 1 はベッセル関数を示す記号であり、プロファイル情報をhとする光学的分解能向上装置。
  8. 前記第1および第2の光学素子は、
    前記第1の光束を反転する第1のプリズムと、
    第1のプリズムからの光束と前記第2の光束とをシフトして重ねる第2のプリズムと、
    を含む請求項6または請求項7に記載の光学的分解能向上装置。
  9. 前記第1および第2の光学素子は、
    前記第2の光束を反射するミラーと、
    前記第1の光束と該ミラーで反射された光束を合成するビームスプリッターと、
    を含む請求項6または請求項7に記載の光学系分解能向上装置。
  10. 前記第1および第2の光学素子は、収束レンズもしくは、収束レンズと拡大光学系である請求項6または請求項7に記載の光学系分解能向上装置。
  11. 前記第1および第2の光学素子は、収束レンズと該収束レンズの焦点付近に配置されたグレーティングである請求項6または請求項7に記載の光学的分解能向上装置。
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