JP6075855B2 - 回転解析装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転する歯車からの回転パルス信号に基づいて回転情報を求める回転解析装置及び方法に係り、特に歯車の歯形状やセンサの特性等に拠らず回転情報を正確に求めることができる高精度の回転解析装置及び方法に関する。
モータやエンジンなどの回転機構を持つ機械システムでは、回転体の回転速度が変動すると、振動や騒音などが発生する。このため、回転速度変動をいかに精度よく測定し、低減する方策を見つけることが重要となる。
回転体の回転速度を検出する手段としては、各種のセンサが用いられる。この回転検出用センサには、電磁センサ、静電センサ、うず電流センサなどがあり、回転する歯車に近接して配置される。これらのセンサは、対象物が近いと出力が大きくなり、対象物が離れると出力が減少する特性を備えている。したがって、回転する歯車にセンサを近接して配置すると、センサの正面を歯車の歯が通過する際に出力が大きくなり、センサの正面を歯車の歯間の底が通過する際に出力が小さくなり、正弦波状の回転パルス信号が出力される。この正弦波状の回転パルス信号を用いて回転数や回転変動量が算出される。
その算出方法としては、解析信号法またはヒルベルト変換法と呼ばれる方法が一般的に使用されている。解析信号法は、まず正弦波状の回転パルス信号をフーリエ変換し、周波数スペクトルを得る。そして、有効範囲だけを残したものを複素スペクトルの逆フーリエ変換により複素数の時間信号を得た後、その実数と虚数の値から位相を求め、時間に対する位相の増量から回転数や回転変動を求める(たとえば特許文献1参照)。
特開平5−288758
ところで、従来は回転パルス信号の波形が正弦波であることを前提として演算処理を行っているが、実際には、歯車の歯形状やセンサ特性などのセンシングメカニズムによって微小なひずみが発生している。たとえば、センサの感度によっては歯間の谷側を十分に感知できないことがあり、その場合には、歯型の山側と谷側で得られる信号に差が発生し、それが微小なひずみとなって現れる。微小なひずみが発生した場合には、周波数スペクトルの有効範囲が狭くなり、高精度の解析ができないという問題が生じる。具体的に説明すると、周波数スペクトルのうち、理論的には0の周波数から基本周波数の2倍の第2高調波(以下、2次ひずみ周波数ともいう)まで解析に使用できるはずであるが、ひずみが生じると使用帯域が制限され、計測可能な最大次数成分が制限されてしまう。このようなひずみの影響は、歯車の歯形状やセンサの構成を変更することによって低減することは可能であるが、本質的には避けられないものである。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、歯車の歯形状やセンサ特性などを原因とする非常に小さいひずみであっても、応答性を損なうことなく除去することのできる回転解析装置および方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は前記目的を達成するために、歯車の回転をセンサで検出することによって得られた回転パルス信号を解析処理して回転情報を求める演算処理部を備えた回転解析装置において、前記演算処理部は、前記歯車の回転数を基本周波数とする第2高調波を2次ひずみとみなし、前記回転パルス信号を2乗した2乗信号を生成し、該2乗信号に2乗用の所定の係数を掛けるとともに、前記基本周波数の第3高調波を3次ひずみとみなし、前記回転パルス信号を3乗した3乗信号を生成し、前記3乗信号に3乗用の所定の係数を掛けて、前記2乗用の所定の係数を掛けた2乗信号とともに前記回転パルス信号から減算することによって、前記2次ひずみの成分と前記第3ひずみの成分を前記回転パルス信号から取り除くことを特徴とする回転解析装置を提供する。
発明によれば、回転パルス信号の2乗信号と3乗信号にそれぞれ所定の係数をかけて回転パルス信号から減算するので、2次ひずみ成分だけでなく、3次ひずみの成分を除去することが可能となる。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記演算処理部は、前記回転パルス信号、前記2乗信号、前記3乗信号をそれぞれ周波数解析することによって第1、第2、第3のスペクトルを求め、前記2次ひずみの周波数と前記3次ひずみの周波数において、前記第2、第3のスペクトルの値にそれぞれ前記所定の係数を掛けて合算した値が、前記第1のスペクトルの値に一致するように、前記所定の係数を決定することを特徴とする。本発明によれば、回転パルス信号から2次ひずみ成分と3次ひずみ成分が除去されるので、基本周波数の回転情報をより高い精度で解析することができる。
本発明によれば、回転パルス信号から2次ひずみ成分と3次ひずみ成分を取り除くようにしたので、高精度の解析処理を行うことができる。さらに本発明によれば、回転パルス信号の2乗信号と3乗信号に所定の係数をかけて回転パルス信号から減算することによって、回転パルスから2次ひずみ成分と3次ひずみ成分を取り除くようにしたので、リアルタイムで処理を行いつつ、高精度の解析処理を行うことができる。
本発明の回転解析装置を含む回転計測システムの構成を示す模式図 回転解析装置の制御フローを示す図 回転パルス信号の一例を示す図 図3の回転パルス信号のパワースペクトルを示す図 各種のパワースペクトルを示す図 ひずみ成分除去処理後のパワースペクトルを示す図 本発明の効果を示す図 他の実施形態におけるひずみ成分除去処理後の回転パルス信号を示す図 他の実施形態におけるひずみ成分除去処理後のパワースペクトルを示す図 他の実施形態の効果を示す図
以下添付図面に従って、本発明に係る回転解析装置及び方法の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の回転解析装置10を含む回転計測システムの構成を示す模式図である。同図に示す回転計測システムは回転体の回転に関する情報を取得する装置であり、主として歯車12、センサ14、回転解析装置10を備えている。
歯車12は回転体の回転軸11に取り付けられており、回転軸11とともに回転するようになっている。歯車12の外周面には多数の歯が設けられており、この歯は同一形状、且つ、同一の角度間隔になることを目標として加工されている。歯の形状は特に限定するものではないが、たとえばインボリュート形状のものが用いられる。
センサ14は、電磁センサ、静電センサ、うず電流センサなどの回転検出用センサであり、歯車12の歯先に近接して配置されている。このセンサ14は、対象物が近いと出力が大きくなり、対象物が離れると出力が減少するようになっている。したがって、回転する歯車12の歯先がセンサ14の正面を通過する際に出力が大きくなり、歯間の底がセンサ14の正面を通過する際に出力が小さくなる。これにより、センサ14から正弦波状の回転パルス信号が出力される。センサ14は回転解析装置10の入力端子16に接続されており、センサ14からの回転パルス信号が回転解析装置10に入力される。
回転解析装置10は、センサ14からの回転パルス信号に基づいて、回転数や回転変動などの回転情報を求める装置である。回転解析装置10には、操作ボタンやタッチパネルなどの操作部20が設けられており、電源のオンオフや、各種演算処理の設定変更などを行えるようになっている。また、回転解析装置10には、液晶モニタなどの表示部22が設けられており、演算結果などを表示できるようになっている。さらに、回転解析装置10にはCPU18が内蔵されており、このCPU18に図2の回転数算出プログラムが記憶されている。
図2に示すように、まず、回転解析装置10は回転パルス信号を取得する(ステップS1)。ただし、検証試験等を行う場合には、検出器モデルを用いて発生させた回転パルス信号を取得してもよい。
次に、ひずみ成分の除去処理を行う(ステップS2)。ひずみ成分の除去処理ではまず、ステップS1で取得した回転パルス信号を2乗して2乗信号を生成するとともに、回転パルス信号を3乗して3乗信号を生成する。そして、2乗信号と3乗信号にそれぞれ別の係数を乗算し、これらを回転パルス信号から減算して減算信号を生成する。なお、ひずみ成分の除去処理については、後で詳説する。
次に、減算信号について、データ長Ndataを超えるN=2(M:整数)を見い出し、不足分のデータは0を与えて高速フーリエ変換によって、信号を周波数領域のスペクトルに変換する(ステップS3)。なお、得られた回転パルス信号の一部を取り出して0を加えずに分析してもよい。また、N=2(M:整数)ではなく、任意の整数Nを用いてDFTとIDFTを適用してもよい。さらにN=2の場合にはフーリエ変換の一般法であるDFTとIDFTの代わりにそれを高速で行うFFTとIFFTを使用してもよい。
次に、解析的信号を得るために、正の周波数成分のみを抽出し、その他の部分を0とする(ステップS4)。続いて逆フーリエ変換により時間軸信号に変換する(ステップS5)。これにより、正の周波数成分を有する複素スペクトルの逆フーリエ変換が複素信号になる。
次に瞬時位相を算出する(ステップS6)。すなわち、各サンプリング時刻(nΔt)における位相φ(nΔt)を、複素信号の実部xreと虚部ximから下式により求める。
Figure 0006075855
次に、瞬時回転周波数を求める(ステップS7)。まず、位相の増分Δφ(nΔt)を次式により求める。次式では前後2点の値を使用して求めている。
Figure 0006075855
次に、位相と周波数の関係は前者の時間微分を2πで割って得られることを利用し、得られた位相の増分から次式により瞬時回転周波数を求める。なお、次式でZは歯数である。
Figure 0006075855
瞬時位相や瞬時回転周波数を求めたことにより、回転変動を求めることができる(ステップS8)。回転変動の求め方は特に限定するものではないが、たとえば回転角度と瞬時回転周波数の関係を表すことによって一方から他方を求めることができる。
なお、回転解析装置10の構成や制御フロー等は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な態様が可能である。たとえば、所定時間の時間窓によって回転パルス信号の信号波を切り出す信号切り出し手段と、切り出した信号波を解析して瞬時位相を算出し、瞬時位相の時間変化から瞬時角速度を算出する角速度算出手段と、信号波の山または谷のピーク時刻を算出するピーク時刻算出手段と、ピーク時刻に基づいて瞬時位相を補正して補正瞬時位相を算出する位相補正手段と、を備えるように構成してもよい。このような装置構成の場合、まず、ピーク時刻算出手段によって回転パルス信号の山または谷のピーク時刻を求める。その際、最小二乗法等を適用することによって回転パルス信号を補正するとよい。次に、信号切り出し手段によって回転パルス信号の切り出しを行う。その際、ハニング窓などの時間窓により信号波3〜5周期程度で行う。次に、角速度算出手段によって瞬時位相と瞬時角速度を算出する。すなわち、切り出した回転パルス信号に対して離散フーリエ変換を施して周波数スペクトルを求めた後、正の一次の周波数成分を抽出し、これ以外の範囲の成分を零として逆離散フーリエ変換を施す。これにより瞬時位相が求められる。次に瞬時角速度を求めるため、周期ΔTあたりの位相変化Δφを求める。位相変化Δφは、複素時間軸信号の(N/2−1)番目の瞬時位相φ(N/2−1)と、(N/2+1)番目の瞬時位相φ(N/2+1)とを用いることによって、次式:Δφ={φ(N/2+1)−φ(N/2−1)}/2により求まる。そして、歯数をZとして、瞬時角周波数ωを、次式:ω=Δφ/(ZΔT)から算出する。さらに回転体の瞬時回転数fを、f=Δφ/(2πZΔT)から算出する。これにより、サンプリング点ごとの瞬時角周波数ωと瞬時回転数fを算出することができる。このような処理を、サンプリングデータを1つずつずらして、または、数点ずつずらして、繰り返し行う。次に位相補正手段によってバイアス誤差を修正する。位相補正手段は、まず、瞬時角速度ωを積分することによって積算瞬時位相ρを算出し、その積算瞬時位相ρがn周期ごとにnπとなるような直線を求める。そして、その直線と、瞬時位相φのn周期ごとの直線(傾き)との差によって、瞬時位相φを補正する。これにより、補正された補正瞬時位相を求めることができる。このように構成することによって、瞬時回転速度の時間分解能を高めることができるとともに、リアルタイムでの解析ができる。
次に本発明の特徴部分であるひずみ成分の除去処理について、従来例と比較して説明する。
図3は、回転パルス信号発生モデルを用いて合成した回転パルス信号を示している。この例において、歯車12は、歯先と歯底の距離4.5mmのインボリュート形状の歯であり、歯数72個、回転数30Hzとした。センサ14は、感度が最大5mmまでの特性を有し、歯先から1mmの位置に配置するものとした。なお、図3において、横軸はサンプル番号、縦軸は出力であり、出力は平均値が0、最大振幅が1になるように正規化した。
図3から分かるように、この例における出力パルス信号は、正弦波に微小なひずみが生じており、山側の尖り具合が谷側の尖り具合よりも大きくなっている。このような現象は、センサ14からの回転パルス信号にほぼ常に見られる現象である。解析処理の検証のため、回転パルス信号に回転変動を与えた。回転変動は、回転数と同じ1次成分が0.3度、回転数の72倍の72次成分が0.0003度の変動振幅を持っており、他のm次の成分はA(m)=0.3×m−1.6152とした。
このような回転パルス信号に対して、本発明では、ひずみ成分の除去処理を行い、その後に周波数解析を行っている。まず、ひずみ成分の除去処理を行わない比較例について説明する。
図4は比較例(従来法)の場合であり、図2の回転パルス信号をそのまま(すなわち、本発明の特徴であるひずみの除去処理を行わずに)離散フーリエ変換し、パワースペクトルを求めた結果である。一番大きな基本周波数は回転周波数と歯数を掛けて得られる2160Hzである。回転変動もひずみも無い正弦波の回転パルス信号の場合は、基本周波数(fz=fz:噛み合い周波数と呼ばれる)における線スペクトルが現われるのみである。しかし、この例では、基本周波数成分の周りに回転変動による周波数変調を受けるため、多くの側帯波が見られる。さらに、ひずみがあるために、基本周波数の整数倍の周波数成分(ひずみ成分)の周りにも多くの側帯波が見られ、ピークを成している。この例では、2次ひずみ成分が基本波に対して24dB低い大きさであり、振幅で約0.06の大きさを持っている。各ピークの両側にも、回転変動による側帯波が見られる。
ところで、回転速度や回転変動などの回転情報を正確に解析するためには、ひずみ成分の影響による側帯波を除去しつつ、回転変動による基本周波数の側帯波を残して解析を行う必要がある。従来法の場合、基本周波数の上側帯波と2次ひずみ周波数の下側帯波が重なり合っている。このため、ひずみ成分の影響を受けずに解析するためには、2次ひずみ周波数の影響が少ないと思われる領域α1までしか、有効帯域として使用することができない。その結果、高い変動次数成分まで解析しようとすると大きな誤差が発生するという問題があった。
そこで本発明では、ひずみ成分の除去処理を行っている。具体的には、回転パルス信号を2乗した2乗信号と、回転パルス信号を3乗した3乗信号を生成し、生成した2乗信号と3乗信号にそれぞれ所定の係数C1、C2を乗算した後、回転パルス信号から減算することによってひずみ成分を除去している。
その原理を説明する。正弦波の基本式は下式であることが知られている。
Figure 0006075855
ここで、fは周波数(Hz)、tは時間(s)である。この式から、純正弦波の信号を2乗または3乗すると、それぞれ直流成分と2倍の周波数の信号、または同じ周波数の信号と3倍の周波数を含む信号が得られることが分かる。本発明はこの原理を利用し、回転パルス信号のひずみ成分を最小化する。
図5は、パワースペクトルの対比を示している。図5(A)は回転パルス信号のパワースペクトルであり、図4と同じものである。図5(B)は2乗信号のパワースペクトルであり、図5(C)は3乗信号のパワースペクトルである。
これらの図から分かるように、2乗信号のパワースペクトルや3乗信号のパワースペクトルにおいても、基本周波数のピーク値の周囲に側帯波が発生しており、さらに第2高調波である2次ひずみの周波数や、第3高調波である3次ひずみの周波数でピークが発生し、その周囲にも側帯波が発生している。
ここで、各ピーク値を以下のように設定する。図5(A)の回転パルス信号のパワースペクトルにおいて、2次ひずみの値(複素スペクトル)をS1,2とし、3次ひずみの値(複素スペクトル)をS1,3とする。同様に図5(B)において、2次ひずみの値をS2,2とし、3次ひずみの値をS2,3とする。さらに、図5(C)において、2次ひずみの値をS3,2とし、3次ひずみの値をS3,3とする。
所定の係数C1、C2は、上記のピーク値が以下の式を満たすように決定する。
Figure 0006075855
この式は、2次パルス成分や3次パルス成分が0になるように係数C1、C2を決定することを意味している。上式は下記のように書き換えることができる。
Figure 0006075855
この式は、2つの複素未知数C1、C2を含む連立方程式であり、その解としてC1、C2を求めることができる。上述の例では、C1=0.1619−0.0012i、C2=−0.0517+0.0001iとして求めることができる。この係数を全てのサンプル番号に適用すると、下式のようになる(ただしiは虚数単位)。
Figure 0006075855
この式において、負の周波数に対応する成分は、同じ大きさの正の周波数に対応する成分の複素共役を用いる。このようにして得られた複素スペクトルを式(8)で逆離散フーリエ変換(IDFT)することで第2および第3ひずみを低減した回転パルス信号を得ることができる。
Figure 0006075855
図6は式(7)を適用して得られた減算信号のパワースペクトルを示している。図6のパワースペクトルを図4の従来例のパワースペクトルと比較すると、2次ひずみ成分や3次ひずみ成分が大幅に減少しており、ピークが無くなっていることが分かる。このように2次ひずみ成分や3次ひずみ成分が無くなったことにより、0の周波数から基本周波数の2倍(2次ひずみの周波数)までの帯域(図4のα2)を解析に使用することができる。したがって、より高精度で解析を行うことができる。
図7は本発明の作用を示す図であり、次数と解析誤差の関係を示している。同図において実線はひずみ成分の除去処理(補正)を行った場合であり、点線は従来法のように除去処理(補正)を行なわなかった場合を示している。また、同図において、縦軸は解析的信号法で求めた振幅値と真値との比をデシベル(自然対数をとり20倍)で表現したものである。
同図から分かるように、除去処理をしなかった場合には約36次までしか正確な解析結果が得られないのに対して、除去処理を行った場合は、約65次まで正確な解析結果が得られている。このように本実施の形態によれば、ひずみ成分の除去処理を行ったことによって高い精度の解析処理を行うことができる。
なお、上述した実施形態は、2次ひずみ成分と3次ひずみ成分の両方を除去するようにしたが、これに限定するものではなく、たとえば2次ひずみ成分のみを除去するようにしてもよい。この場合、式(5)の代わりに下記の式(9)を満たす係数C1を決定すればよい。
Figure 0006075855
この場合、回転パルス信号の2乗信号を生成し、この2乗信号に所定の係数C1を掛けた値を回転パルス信号から減算することによって、2次ひずみ成分を取り除くことができる。このように2次ひずみの成分を除去することによっても、精度を向上させることができる。
以上の例は、係数が複素数として数値演算が可能な場合であるが、実数に限定することができればディジタル回路だけでなくアナログ回路的にも実現できるようになる。ただし、この場合は、(S1,2−C12,2)を完全に0にすることは出来ないので、Cが取り得る領域で細かく変化させ、減算後の基本周波数のピーク値と減算後の2次ひずみのピーク値との比が最大となるような組み合わせを見付け出すプログラムをCPU18に組み込むことによって係数の最適解の近似値を見つけることができる。対象とする歯車-センサ系が決まれば、事前の処理として、実数係数を決定しておくことができる。
その一例を以下に示す。Cを−0.2から0まで、0.002ステップで変えて最適値の近似値を探索した結果、C=−0.152という結果が得られた。なお、Cを負の範囲のみ探索した理由は、回転パルス信号の山が高くて狭く、谷が浅くて広いことから、少なくとも谷を深くするには、Cは負でなければならないからである。この実数係数を用いると、補正後の信号波形は次式で与えられる。この信号はリアルタイムで簡単に作成することができる。
Figure 0006075855
このようにして得られた回転パルス信号を入力することによって、2次ひずみ成分が除去された出力信号が得られる。具体的に式(10)を利用して得られる出力信号を図8に示す。これを処理前の図3と比較すると、正弦波の山が低くなり、谷が深くなっていることが分かる。また、図8の出力信号を、その波形が最大振幅1となるように定数倍した後、周波数解析したパワースペクトルを図9に示す。図9のパワースペクトルと処理前の図4のパワースペクトルを比較すると、2次ひずみの周波数でパワースペクトルが大幅に低下している。その低減量は42dBであり、2次ひずみ量は1/100以下になっている。2次ひずみのピーク周波数において、そのすそ野は、基本周波数のすそ野よりも十分に低いため、その影響は無視できる。
図10はこの実施形態の作用を示す図であり、次数と解析誤差の関係を示している。同図において実線はひずみ成分の除去処理(補正)を行った場合であり、点線は従来法のように除去処理(補正)を行なわなかった場合を示している。また、同図において、縦軸は解析的信号法で求めた振幅値と真値との比をデシベル(自然対数をとり20倍)で表現したものである。
同図から分かるように、除去処理をしなかった場合には約40次あたりから誤差0.5を超えており、正確な解析結果が得られない。これに対して、除去処理を行った場合は、約71次まで誤差0.5以内に納まっている。このように本実施の形態によれば、ひずみ成分の除去処理を行ったことによって高い精度の解析処理を行うことができる。
10…回転解析装置、11…回転軸、12…回転体、14…センサ、16…入力端子、18…CPU、20…操作部、22…表示部

Claims (2)

  1. 歯車の回転をセンサで検出することによって得られた回転パルス信号を解析処理して回転情報を求める演算処理部を備えた回転解析装置において、
    前記演算処理部は、前記歯車の回転数を基本周波数とする第2高調波を2次ひずみとみなし、前記回転パルス信号を2乗した2乗信号を生成し、該2乗信号に2乗用の所定の係数を掛けるとともに、前記基本周波数の第3高調波を3次ひずみとみなし、前記回転パルス信号を3乗した3乗信号を生成し、前記3乗信号に3乗用の所定の係数を掛けて、前記2乗用の所定の係数を掛けた2乗信号とともに前記回転パルス信号から減算することによって、前記2次ひずみの成分と前記第3ひずみの成分を前記回転パルス信号から取り除くことを特徴とする回転解析装置。
  2. 前記演算処理部は、前記回転パルス信号、前記2乗信号、前記3乗信号をそれぞれ周波数解析することによって第1、第2、第3のスペクトルを求め、前記2次ひずみの周波数と前記3次ひずみの周波数において、前記第2、第3のスペクトルの値にそれぞれ前記所定の係数を掛けて合算した値が、前記第1のスペクトルの値に一致するように、前記所定の係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の回転解析装置。
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