JP6075188B2 - 車両の制御方法および制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の制御方法および制御装置に関し、詳しくは、運転者のアクセル操作量が大きくても車速が上限車速を超過しないように制限するASL機能や、運転者のアクセル操作の有無に拘らず車速が設定車速に維持されるクルーズコントロール機能を備えた車両の制御方法および制御装置に関する。
従来、車速超過に起因する交通事故の防止等を目的として、ASL(adjustable speed limitation)と称される車速制限機能を備えた車両が知られている。ASLは、現在の車速が予め設定された上限車速に近接したときは、車速制限を開始して、たとえ運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んでいても、車速が上記上限車速を超過しないようにエンジン出力を制御する機能である。
ASL機能(車速制限機能)を備えた車両においては、上限車速は任意のタイミングで任意の車速に設定されるため、特許文献1に開示されるように、上限車速で走行中にその上限車速が高車速側に変更されることがある。この場合、上限車速の変更幅が比較的小さいときは、例えばスロットル開度を増大して吸入空気量および燃料噴射量を増量することにより、エンジン出力を高めて車速を上げ、車速を新たな上限車速に追従させることができる。しかし、上限車速の変更幅が比較的大きいときは、それだけでは足らず、自動変速機のギヤ段をギヤ比の大きい低速側のギヤ段にシフトダウンさせてトルクをさらに稼ぐ必要がある。その場合の従来制御を図9のタイムチャートを例にして説明する。
図9において、車両は上限車速Voで走行中である。自動変速機のギヤ段は6速が達成されている。アクセル開度は比較的大きい値で推移している。つまり、運転者は、車速を上限車速Voに維持しようとしてアクセルペダルを比較的大きく踏み込んでいる。エンジンの吸気通路にはエレキスロットル(モータ等の電動アクチュエータによってスロットル弁が開閉駆動されるもの)が配設されている。そのため、スロットル開度(エレキスロットルのスロットル弁の開度)はアクセル開度と無関係に制御され、比較的小さい値で推移している。これにより、エンジン出力が抑制され、車速(実車速)が上限車速Voを超過することなく、上限車速Voが維持されている。
この状態で時刻t3に上限車速がVoからVzに変更されたとする。新たな上限車速Vzはそれまでの上限車速Voよりも所定車速以上高車速側にある。ここで、従来のASL機能を備えた車両では、まずスロットル開度を増大し(符号x)、次にスロットル開度を減少してエンジン出力を低減しつつ(符号y)、ギヤ段をシフトダウンさせていた(時刻t4)。これにより、シフトダウンに伴うトルクショックをエンジン出力の低減(符号y)により抑制していた。そして、その後、スロットル開度を増大して(符号z)、車速(実車速)を新たな上限車速Vzまで上昇させていた。つまり、ショック抑制のため、シフトダウンの実行時にはスロットル開度を減少する動作(符号y)を併せて行っていた。
特開2010−77960号公報
しかし、図9の従来制御では、シフトダウンの実行時にスロットル開度を減少する動作(符号y)を併せて行うために、シフトダウンの実行前にいったんスロットル開度を増大する動作(符号x)が必要となる。そのため、上限車速の変更時刻t3からシフトダウンの実行時刻t4までシフトダウンが遅延して、運転者の加速要求が満足されないという問題があった。
この問題への対応として、目標車速が高速側に所定車速以上に変更された場合に、シフトダウンとスロットル開度を増大させることが考えられるが、スロットル開度の増大とシフトダウンとが重なると、大きなショックが発生する。特に、この場合、運転者はアクセルペダルを踏み増ししたわけではなく、上限車速を変更しただけであるから、変速に伴うトルクショックが発生すると、違和感、不快感が大きくなる。そして、このような問題は、ASL機能付きの車両だけでなく、クルーズコントロール機能付きの車両において設定車速が高車速側に所定車速以上変更されたときにも同様に起こり得る問題である。
そこで、本発明は、目標車速(ASL機能付きの車両における上限車速やクルーズコントロール機能付きの車両における設定車速をいう)で走行中に目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな目標車速に追従させるために、エンジン出力の増大とギヤ段のシフトダウンとを行う場合における上記不具合に対処するもので、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することが可能な車両の制御方法および制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、エンジンと、エンジンの回転を変速しつつ車輪に伝達する自動変速機と、車速を検知する車速検知装置と、車両が追従すべき目標車速を設定する目標車速設定装置と、上記車速検知装置で検知される車速が上記目標車速設定装置で設定された目標車速に維持されるようにエンジン出力を抑制するエンジン制御装置とを備えた車両を制御する方法であって、所定のスロットル開度を保持して上記目標車速で走行中に、上記目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたか否かを判定する変更判定工程と、所定のアクセル開度が保持された状態で、上記変更判定工程で目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたと判定されたとき、自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるとともに、エンジン出力の増大を行う目標車速追従工程と、を含み、前記目標車速追従工程は、前記ギヤ段がシフトダウンされた時点を起点として、第1の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第1サブ工程と、前記第1サブ工程に続いて、前記第1の変化率よりも大きい第2の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第2サブ工程と、を有し、前記目標車速追従工程の前記第1サブ工程において、前記第1の変化率を前記第2の変化率よりも小さくすることにより、前記エンジン出力の増大を所定の基準値未満に抑制し、前記所定の基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン出力の増大率よりも小さい値であることを特徴とする車両の制御方法である(請求項1)。
本発明によれば、車速が上限車速を超過しないように制限するASL機能や、車速が設定車速に維持されるクルーズコントロール機能を備えた車両において、目標車速で走行中に目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたときは、自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるので、シフトダウンが目標車速の変更時刻から遅延なく行われ、運転者の加速要求を満足させることができる。そして、このシフトダウンとともにエンジン出力を増大するのであるが、そのエンジン出力の増大を所定の基準値未満に抑制するので、エンジン出力が緩やかに増大し、たとえシフトダウンとエンジン出力の増大とが重なっても、発生するショックは限定的なものに抑えられる。
また、本発明によれば、目標車速の変更に伴うシフトダウン時のエンジン出力の増大は、アクセル開度の変更に伴う通常のシフトダウン変速時のエンジン出力の増大率よりも緩やかとされるので、車速を新たな目標車速に追従させるためにシフトダウンとエンジン出力の増大とが重なっても、運転者が感じるトルクショックは確実に通常の変速時よりも抑制されたものとなる。
以上により、本発明によれば、目標車速で走行中に目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな目標車速に追従させるために、エンジン出力の増大とギヤ段のシフトダウンとを行う場合に、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することが可能な車両の制御方法が提供される。
本発明において、好ましくは、上記目標車速追従工程では、自動変速機のギヤ段のシフトダウンが完了するまでエンジン出力の増大を抑制する(請求項)。
この構成によれば、目標車速の変更に伴い自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせる動作の期間中は、エンジン出力が緩やかに増大するので、運転者が感じるトルクショックは確実に抑制されたものとなる。
本発明において、好ましくは、上記目標車速で走行中のギヤ段は、車速が目標車速に近接したときに車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段よりも高速側のギヤ段であり、上記シフトダウン後のギヤ段は、上記目標車速が変更されたと判定されたときに車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段である(請求項)。
この構成によれば、車両が、通常変速時に設定されるギヤ段よりもシフトアップされたギヤ段で走行中に、目標車速の変更に伴うシフトダウンが起き、その後は、通常変速時に設定されるギヤ段で走行することになる。そして、シフトダウン前は、車両は燃費が良くなる高速側のギヤ段で走行するので、燃費性能の改善が図られる。
本発明において、好ましくは、上記目標車速は、車速制限機能の上限車速である(請求項)。
この構成によれば、ASL機能付きの車両において上限車速で走行中に上限車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな上限車速に追従させるために、エンジン出力の増大とギヤ段のシフトダウンとを行う場合に、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することが可能な車両の制御方法が提供される。
また、上記課題を解決するためのものとして、本発明は、エンジンと、エンジンの回転を変速しつつ車輪に伝達する自動変速機と、前記自動変速機の変速を制御する変速制御手段と、車速を検知する車速検知手段と、車両が追従すべき目標車速を設定する目標車速設定手段と、上記車速検知手段で検知される車速が上記目標車速設定手段で設定された目標車速に維持されるようにエンジン出力を抑制するエンジン制御手段と、所定のスロットル開度を保持して上記目標車速で走行中に、上記目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたか否かを判定する変更判定手段と、を備え、所定のアクセル開度が保持された状態で、上記変更判定手段で目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたと判定されたとき、前記変速制御手段は、自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせ、且つ、前記エンジン制御手段は、前記ギヤ段がシフトダウンされた時点を起点として、第1の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第1サブ工程と、前記第1サブ工程に続いて、前記第1の変化率よりも大きい第2の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第2サブ工程と、を実行することにより、前記エンジン出力の増大を行うものである。そして、前記エンジン制御手段が行う前記エンジン出力の増大は、前記第1サブ工程において、前記第1の変化率を前記第2の変化率よりも小さくすることにより、所定の基準値未満に抑制され、前記所定の基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン出力の増大率よりも小さい値であることを特徴とする車両の制御装置である(請求項)。
本発明によっても、請求項1に記載の発明と同様、目標車速で走行中に目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな目標車速に追従させるために、エンジン出力の増大とギヤ段のシフトダウンとを行う場合に、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することが可能な車両の制御装置が提供される。
本発明は、目標車速で走行中に目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな目標車速に追従させるために、エンジン出力の増大とギヤ段のシフトダウンとを行う車両において、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することができるから、車速が上限車速を超過しないように制限するASL機能や、車速が設定車速に維持されるクルーズコントロール機能を備えた車両の技術の発展向上に寄与する。
本発明の実施形態に係る車両の制御システム図である。 上記車両に備えられたASL機能の説明図である。 要求加速度が大きいほど車速制限開始の閾値を大きい値に変更する制御の説明図である。 上記ASL機能の動作の1例を示すタイムチャートである。 実施形態の作用を示すタイムチャートである。 図4に示す動作の1例を示すフローチャートである。 図5に示す動作の1例(第1実施形態)を示すフローチャートである。 図5に示す動作の他の例(第2実施形態)を示すフローチャートである。 従来制御の問題点を説明するための図5に類似のタイムチャートである。
以下、図面に基いて本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
(1)全体構成
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、パワートレインとしてのエンジン2およびエンジン2の回転を変速しつつ車輪に伝達する自動変速機3を有する。エンジン2は、ガソリンや軽油等の燃料の燃焼により駆動力を発生する内燃機関である。自動変速機3は、図略のトルクコンバータを介してエンジン2と連結され、複数の摩擦要素の締結または解放により、前進1速〜6速および後退速の複数のギヤ段が達成される。ギヤ段が達成された状態において、自動変速機3内にエンジン2側と駆動輪4側との間のトルク伝達経路が形成される。
車両1は、上記エンジン2および自動変速機3を制御するコントローラ10を備える。コントローラ10は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサで構成されている。コントローラ10は、自動変速機3のギヤ段を設定するギヤ段設定部11を含む。
コントローラ10は、車両1の走行速度(車速)を検知する車速検知装置および車速検知手段としての車速センサ21、運転者のアクセル操作量(図略のアクセルペダルの踏み込み量)を検知するアクセル開度検知手段としてのアクセル開度センサ22、ASL(adjustable speed limitation)機能(車速制限機能)を有効または無効とするASLスイッチ23、およびASLの上限車速を設定する目標車速設定装置および目標車速設定手段としての上限車速設定スイッチ24と相互に電気的に接続されている。
コントローラ10は、上記センサ21,22およびスイッチ23,24から入力される情報に基き、ASL制御(車速制限制御)を実行する。すなわち、コントローラ10は、車速センサ21で検知された車速が、上限車速設定スイッチ24で予め設定された上限車速に近接したときは、車速制限を開始して、たとえアクセル開度センサ22で検知されたアクセル開度が大きくても、車速が上限車速を超過しないようにエンジン2の出力を制御する。
コントローラ10は、上記ASL制御を実行するため、図略のエンジン2の吸気通路に配設されて、アクセル開度とは独立して吸入空気量を調節するエレキスロットル(モータ等の電動アクチュエータによってスロットル弁が開閉駆動されるもの)31、エンジン2に燃料を噴射するインジェクタ32、混合気に火花を点火する点火プラグ33、および自動変速機3の複数の摩擦要素を締結または解放する変速用ソレノイド弁34と相互に電気的に接続され、これらに制御信号を出力する。
また、コントローラ10は、表示装置35にも制御信号を出力する。表示装置35は、運転席近傍に配置され、運転者に対してASLスイッチ23のオン(ASL機能の有効)またはオフ(ASL機能の無効)、および上限車速設定スイッチ24で設定された上限車速を表示する。
(2)制御内容
次に、コントローラ10が実行するASL制御の内容を説明する。
[2−1]図2は、車速とアクセル開度とに基いてギヤ段設定部11がギヤ段を設定するのに用いられる変速マップを概念的に示すものである。図2には、ギヤ段をシフトアップさせる際の変速ラインが実線で示されている。なお、図2は、あくまでも概念図であって、変速ラインの車速に対する位置や形状はこれに限定されないことはいうまでもない。
図2において、VoはASLの上限車速、Vxは車速制限を開始する閾値車速である。閾値車速Vxは上限車速Voよりも所定車速だけ低い車速である。本実施形態では、上限車速Voと閾値車速Vxとの偏差(Vo−Vx)を「閾値」とする。なお、Vzは上限車速が変更された後の新たな上限車速であるが、詳しいことは後述する。
いま、停車中の車両1が発進する際、運転ポイントはおよそ(i)→(ii)→(iii)の順に推移する。すなわち、停車中の車両1は、車速およびアクセル開度がともにゼロの運転ポイント(i)にある。ここから運転者がアクセルペダルを踏み込むことにより発進した車両1は、アクセル開度が増大した運転ポイント(ii)に移行する。その後、アクセルペダルの踏み込み量が維持されて車速が上昇した車両1は、運転ポイント(iii)に到達する。すなわち、車速が閾値車速Vxまで上昇し、上限車速Voに近接する。車速が閾値車速Vxまで上昇すると、車速制限が開始され、たとえ運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んでいても、車速が上限車速Voを超過しないように、例えばエレキスロットル31のスロットル開度、インジェクタ32の燃料噴射量、点火プラグ33の点火時期等が調節されてエンジン2の出力が制御される。以上のことから、本実施形態では、コントローラ10は、本発明の「エンジン制御装置」および「エンジン制御手段」に相当する。
運転ポイント(ii)から運転ポイント(iii)への移行中にギヤ段設定部11によって自動変速機3のギヤ段が1速から2速に変速される。本実施形態では、上限車速Voが比較的低い車速に設定されているため、車両1が2速という低速側のギヤ段で加速中に車速が閾値車速Vxまで上昇して車速制限が開始する。この車速制限の期間中、仮に自動変速機3のギヤ段が2速に固定されると、ギヤ比の大きい低速側のギヤ段で車両1が走行を続けるので、燃費が大幅に低下するという問題がある。
[2−2]図3は、車速偏差と上限加速度との関係を示す特性図である。
車速偏差は、上限車速Voから車速センサ21で検知される実車速を減算することにより求められる値である(=上限車速Vo−実車速)。車速が上限車速Voに到達する前は、実車速<上限車速Voであるから、車速偏差はプラスの値に算出される。例えば上限車速Voが50km/hである場合、車速が20km/hのときは、車速偏差は30km/hであり、車速が30km/hのときは、車速偏差は20km/hであり、車速が40km/hのときは、車速偏差は10km/hである。そして、車速が上限車速Voに到達すると、車速偏差はゼロとなる。
図3において、上限加速度とは、車速を上限車速Vo以下に制限するために車両1に与えることのできる加速度の上限値である。すなわち、各車速偏差において、上限加速度を車両1に与えたとき、車両1の車速が上限車速Voとなり、上限加速度を超える加速度を車両1に与えたとき、車両1の車速が上限車速Voを超え、上限加速度未満の加速度を車両1に与えたとき、車両1の車速が上限車速Vo未満となる。
図示したように、上限加速度は、車速偏差毎に、1対1に予め設定されている。上限加速度は、車速偏差が大きいほど(すなわち車速が低いほど)大きい値に設定されている。
車速とアクセル開度とから運転者の要求加速度が演算される。要求加速度は、アクセル開度が同じであれば、車速が低いほど大きい値に演算され、車速が同じであれば、アクセル開度が大きいほど大きい値に演算される。
例えば、図3に符号Aで示すように、アクセル開度が相対的に大きい場合に、車速偏差が30km/hのポイントP1で要求加速度が上限加速度未満のときは、要求加速度を車両1に与えても車速が上限車速Voを超過しないから、要求加速度が実現するように、アクセル開度に応じたスロットル開度、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。また、ギヤ段はギヤ段設定部11により図2の変速マップに基いて設定される。
次いで、車速の上昇に伴い、同じ要求加速度のまま、車速偏差が20km/hのポイントP2で要求加速度が上限加速度に一致するときは、要求加速度を車両1に与えても車速が上限車速Voを超過しないから、要求加速度が実現するように、アクセル開度に応じたスロットル開度、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。また、ギヤ段はギヤ段設定部11により図2の変速マップに基いて設定される。
しかし、さらに車速の上昇に伴い、同じ要求加速度のまま、車速偏差が20km/hよりも小さいポイントP3で要求加速度が上限加速度を超えるときは、要求加速度を車両1に与えると車速が上限車速Voを超過するから、上限加速度が実現するように、アクセル開度が無効化され、上限加速度に応じたスロットル開度(アクセル開度に無関係な値)、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。つまり、ASL制御(車速制限制御)が実行される。このASL制御の実行中は、ギヤ段設定部11は、ギヤ段を図2の変速マップに基いて設定せず、後述するように、別途制御により設定する(図4参照)。
一方、図3に符号Bで示すように、アクセル開度が相対的に小さい場合に、車速偏差が20km/hのポイントP4で要求加速度が上限加速度未満のときは、要求加速度を車両1に与えても車速が上限車速Voを超過しないから、要求加速度が実現するように、アクセル開度に応じたスロットル開度、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。また、ギヤ段はギヤ段設定部11により図2の変速マップに基いて設定される。
次いで、車速の上昇に伴い、同じ要求加速度のまま、車速偏差が10km/hのポイントP5で要求加速度が上限加速度に一致するときは、要求加速度を車両1に与えても車速が上限車速Voを超過しないから、要求加速度が実現するように、アクセル開度に応じたスロットル開度、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。また、ギヤ段はギヤ段設定部11により図2の変速マップに基いて設定される。
しかし、さらに車速の上昇に伴い、同じ要求加速度のまま、車速偏差が10km/hよりも小さいポイントP6で要求加速度が上限加速度を超えるときは、要求加速度を車両1に与えると車速が上限車速Voを超過するから、上限加速度が実現するように、アクセル開度が無効化され、上限加速度に応じたスロットル開度(アクセル開度に無関係な値)、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期が決定され、実行される。つまり、ASL制御(車速制限制御)が実行される。このASL制御の実行中は、ギヤ段設定部11は、ギヤ段を図2の変速マップに基いて設定せず、後述するように、別途制御により設定する(図4参照)。
以上のことから、アクセル開度ひいては要求加速度が相対的に大きい場合Aは、閾値車速Vxは(上限車速Vo−20km/h)であり、アクセル開度ひいては要求加速度が相対的に小さい場合Bは、閾値車速Vxは(上限車速Vo−10km/h)である。このように、アクセル開度ひいては要求加速度が大きいほど、車速制限開始の閾値(上述のように上限車速Voと閾値車速Vxとの偏差(Vo−Vx))が大きい値に変更され、その結果、より早い時期から車速制限が開始される。
[2−3]図4は、コントローラ10が実行するASL制御の具体的動作の1例を示すタイムチャートである。
図4において、アクセル開度は比較的大きい値で推移している。つまり、運転者は比較的大きい加速度を要求してアクセルペダルを比較的大きく踏み込んでいる。
車速が閾値車速Vxに到達する時刻t1までは、スロットル開度はアクセル開度に比例して設定される本来の値とされ、アクセル開度と同様、比較的大きい値で推移している。その結果、車速が上昇していき、ギヤ段は図2の変速マップに基いて2速が設定される。
車速が閾値車速Vxを超えると車速制限が開始する。その結果、時刻t1以降、スロットル開度が減少される。これにより吸入空気量および燃料噴射量が減少されて、エンジン2の出力が低減される。このとき、併せて、点火時期のリタードを行ってもよい。
車速が上限車速Voに到達する時刻t2以降は、車速が上限車速Voに維持されるように、スロットル開度は一定値に維持される。
時刻t1〜時刻t2の間、スロットル開度は徐々に減少される。これは、車速の増大に伴い、車速が上限車速Voに近接するに連れて、図3に示したように、上限加速度が徐々に小さくなるからである。そして、車速が上限車速Voに到達すると、上限加速度はゼロとなる。
以上に加えて、本実施形態では、車速制限が開始する時刻t1以降、ギヤ段設定部11は、自動変速機3のギヤ段を2速から6速に向けてシフトアップさせる。ここで、6速は、本実施形態では、車速が上限車速Voであるときに達成可能な複数のギヤ段(3速、4速、5速、6速)のうち最も段位の高い(つまり高速側の)ギヤ段であり、燃費が最も良くなるギヤ段である。
これにより、前述したように、車速制限の期間中、仮に自動変速機3のギヤ段が2速に固定されると、ギヤ比の大きい低速側のギヤ段で車両1が走行を続けるので、燃費が大幅に低下するのに対し、本実施形態では、自動変速機3のギヤ段は、燃費の悪い低速側のギヤ段に固定されることなく、6速というギヤ比の小さい高速側のギヤ段に切り替えられ、この状態で車両1が走行を続けるので、燃費低下の問題が抑制される。
しかも、コントローラ10は、2速から6速のシフトアップを1段づつ4回に分けて行うので、2速から6速のシフトアップを1回で行う場合に比べて、シフトアップの前後でギヤ比の変化が小さく抑えられ、これにより、シフトアップに伴うトルクショックが低減され、ドライバビリティの低下が抑制される。
コントローラ10は、2速から3速へのシフトアップ、3速から4速へのシフトアップ、4速から5速へのシフトアップを、それぞれシーケンシャルタイマで予め設定された時間Timをかけて行う。
[2−4]図5は、コントローラ10が図4に続いて実行するASL制御の具体的動作の1例を示すタイムチャートであり、本実施形態の作用を示すものである。
図5において、車両は上限車速Voで走行中である。自動変速機3のギヤ段は6速が達成されている。アクセル開度は比較的大きい値で推移している。つまり、運転者は、車速を上限車速Voに維持しようとしてアクセルペダルを比較的大きく踏み込んでいる。
上限車速がVoからVzに変更される時刻t3までは、スロットル開度はアクセル開度と無関係に制御され、比較的小さい値で推移している。これにより、エンジン2の出力が抑制され、車速(実車速)が上限車速Voを超過することなく、上限車速Voが維持されている。
この状態で時刻t3に上限車速がVoからVzに変更されたとする。新たな上限車速Vzはそれまでの上限車速Voよりも所定車速以上高車速側にある(図2参照)。そのため、スロットル開度を増大してエンジン2の出力を高めるとともに、ギヤ段をシフトダウンさせてトルクアップしなければ、車両1が十分加速せず、車速が新たな上限車速Vzまで速やかに上昇しない。ところが、スロットル開度の増大とシフトダウンとが重なると、大きなショックが発生する。特に、この場合、運転者はアクセルペダルを踏み増ししたわけではなく、上限車速を変更しただけであるから、変速に伴うトルクショックが発生すると、違和感、不快感が大きくなる。
そこで、コントローラ10のギヤ段設定部11は、上限車速がVoからVzに変更されると(変更判定工程)、自動変速機3のギヤ段を6速から5速にシフトダウンさせる。この5速というギヤ段は、上限車速がVoからVzに変更された時刻t3における車速とスロットル開度とに基いて図2の変速マップから設定されるギヤ段である。
併せて、コントローラ10は、図5に符号aで示すように、スロットル開度を緩やかに増大し、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期を決定して、実行する。すなわち、コントローラ10は、エンジン2の出力の増大率を所定の基準値未満に抑制しつつエンジン2の出力を緩やかに増大する(目標車速追従工程)。
これにより、上限車速Voで走行中に上限車速が高車速側に所定車速以上変更されたときは(時刻t3)、自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるので、シフトダウンが上限車速Voの変更時刻t3から遅延なく行われ、運転者の加速要求を満足させることができる。そして、このシフトダウンとともにエンジン2の出力を増大するのであるが、そのエンジン2の出力増大率aを所定の基準値未満に抑制するので、エンジン2の出力が緩やかに増大し、たとえシフトダウンとエンジン2の出力増大とが重なっても、発生するショックは限定的なものに抑えられる。
ここで、アクセル開度の増大に伴う6速から5速へのシフトダウン、つまり通常の6−5変速時のスロットル開度の増大率を図5に符号wで示す。すなわち、この符号wで示すスロットル開度の増大率は、自動変速機3のギヤ段を車速とスロットル開度とに基いて図2に示すような変速マップから設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのスロットル開度の増大率である。そして、上記基準値は、上記増大率w、つまり通常の6−5シフトダウン変速時のスロットル開度の増大率よりも小さい値に設定されている。換言すれば、上記基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン2の出力増大率よりも小さい値に設定されている。
図2を参照してさらに説明する。図2には、ギヤ段をシフトアップさせる際の変速ラインが実線で示されているが、ここでは、便宜上、5→6シフトアップ変速ラインを6→5シフトダウン変速ラインであると仮定して説明する。図2に符号wで例示したように、アクセル開度が比較的小さく、車速Voで走行中に、運転者がアクセルペダルを踏み増しして、車速およびスロットル開度が上昇すると、運転ポイントが6速の領域から5速の領域に移動し、6→5シフトダウン変速ラインを横切って、6→5シフトダウン変速が起きる。これは、アクセル開度の増大率が図2および図5に符号wで例示したように比較的大きいからである。すなわち、運転者が比較的急激にアクセルペダルを踏み増ししたからである。もし、運転者が緩慢にアクセルペダルを踏み増しすると、アクセル開度の増大率が相対的に小さくなり、運転ポイントは6速の領域内で移動し、5速の領域に入らない。つまり、6→5シフトダウン変速が起きない。6→5シフトダウン変速が起きるためには、アクセル開度の増大率はある程度大きくなければならない。上記基準値は、6→5シフトダウン変速を起こすことができる多数のアクセル開度の増大率のうちの最小値よりも小さい値に設定されているということができる。
これにより、上限車速の変更に伴うシフトダウン時のエンジン2の出力増大率aは、アクセル開度の変更に伴う通常のシフトダウン変速時のエンジン2の出力増大率wよりも緩やかとされるので、車速を新たな上限車速Vzに追従させるためにシフトダウンとエンジン2の出力増大とが重なっても、運転者が感じるトルクショックは確実に通常の変速時よりも抑制されたものとなる。
本実施形態では、コントローラ10は、上限車速の変更時刻t3から所定時間Toが経過するまでエンジン2の出力増大率を符号aで示すように抑制する。
これにより、上限車速の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせる所定時間To中は、エンジン2の出力が緩やかに増大するので、運転者が感じるトルクショックは確実に抑制されたものとなる。
そして、上記所定時間Toが経過したときは、コントローラ10は、エンジン2の出力増大率の抑制を解除する。
これにより、上記所定時間Toの経過後は、エンジン2の出力は符号bで示すように速やかに増大するので、車速(実車速)が速やかに上昇し、新たな上限車速Vzに速やかに追従可能となる。
[2−5]次に、図6のフローチャートに従い、コントローラ10が実行する図4に示すASL制御の具体的動作の1例を説明する。
コントローラ10は、ステップS1で、各種信号を読み込んだ後、ステップS2で、車速制限機能(ASL機能)が有効か否かを判定する。コントローラ10は、ASLスイッチ23がオンのときYESと判定し、オフのときNOと判定する。コントローラ10は、YESと判定したときステップS3に進み、NOと判定したときステップS1に戻る。
コントローラ10は、ステップS3で、車速偏差から上限加速度を演算する。つまり、図3に示す特性から車速偏差(=上限車速Vo−実車速)に応じた上限加速度を求める。
次いで、コントローラ10は、ステップS4で、車速とアクセル開度とから運転者の要求加速度を演算する。
次いで、コントローラ10は、ステップS5で、要求加速度と上限加速度とを比較して、要求加速度が上限加速度を超えて大きいか否かを判定する。その結果、NOのとき、つまり要求加速度が上限加速度以下のとき(図4の時刻t1以前)は、コントローラ10は、ステップS6で、自動変速機3のギヤ段を図2の変速マップに基いて設定する。また、要求加速度が実現するように、アクセル開度に応じたスロットル開度、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期を決定し、実行する。そして、ステップS1に戻る。
一方、ステップS5でYESのとき、つまり要求加速度が上限加速度を超えて大きいとき(図4の時刻t1より後)は、コントローラ10は、ステップS7で、車速制限を開始する。
次いで、コントローラ10は、ステップS8で、自動変速機3のギヤ段を燃費最適な6速に向けてシフトアップさせる。また、上限加速度が実現するように、アクセル開度を無効化し、上限加速度に応じたスロットル開度(アクセル開度に無関係な値)、スロットル開度に応じた燃料噴射量、および点火時期を決定し、実行する。つまり、ASL制御を実行する。そして、ステップS1に戻る。
[2−6]次に、図7のフローチャートに従い、コントローラ10が実行する図5に示すASL制御の具体的動作の1例を説明する。
コントローラ10は、ステップS11で、各種信号を読み込んだ後、ステップS12で、上限車速が高車速側に変更されたか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、YESと判定したときステップS13に進み、NOと判定したときステップS11に戻る。
コントローラ10は、ステップS13で、上限車速の高車速側への変更量は所定車速以上か否かを判定する。つまり、上限車速の変更幅が比較的小さく、車速を新たな上限車速に追従させるためには、スロットル開度の増大だけで済むのか、あるいは、上限車速の変更幅が比較的大きく、スロットル開度の増大だけでは足らないため、自動変速機3のギヤ段をシフトダウンさせる必要があるのかを判定するのである(変更判定工程)。その結果、コントローラ10は、NOと判定したときステップS14に進み、YESと判定したときステップS15に進む。
スロットル開度の増大だけで済む場合、コントローラ10は、ステップS14で、エレキスロットル31を開き側に制御する。このときのスロットル開度の増大率は緩やかにする必要はなく、例えば図5に符号wで示したような相対的に速やかに立ち上がる増大率とすることができる。そして、このスロットル開度の増大に呼応して、コントローラ10は、吸入空気量および燃料噴射量を増量することにより、エンジン2の出力を高めて車速を上げ、車速を新たな上限車速に追従させることができる。そして、ステップS11に戻る。
これに対し、スロットル開度の増大だけでは足らず、自動変速機3のギヤ段をシフトダウンさせる必要がある場合は、コントローラ10は、ステップS15で、エレキスロットル31を開き側に制御するのであるが、そのときのスロットル開度の増大率を緩やかにする。つまり、エレキスロットル31の開き側への制御を制限する。具体的に、図5に符号aで示したような相対的に緩やかに立ち上がる増大率とする。そして、このスロットル開度の緩やかな増大に呼応して、コントローラ10は、吸入空気量および燃料噴射量を緩やかに増量する。これにより、エンジン2の出力は緩やかに増大する。
また、コントローラ10は、上限車速がVoから所定車速以上高車速側のVzに変更されたときは、ステップS16で、自動変速機3のギヤ段を6速から5速にシフトダウンさせる(目標車速追従工程)。
次いで、コントローラ10は、ステップS17で、エレキスロットル31の開き側への制御の制限開始(図5の時刻t3)から所定時間Toが経過したか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、NOと判定したときステップS17に進み、YESと判定したときステップS18に進む。
コントローラ10は、ステップS18で、エレキスロットル31の開き側への制御の制限を解除する。その結果、スロットル開度は、図5に符号bで示したように相対的に速やかに立ち上がり、このスロットル開度の速やかな増大に呼応して、コントローラ10は、吸入空気量および燃料噴射量を速やかに増量することにより、エンジン2の出力を高めて車速を上げ、車速を新たな上限車速Vzに速やかに追従させることができる。そして、ステップS11に戻る。
(3)作用
以上のように、本実施形態では、車両1のコントローラ10は、車速が上限車速Voに維持されるようにエンジン2の出力を抑制し(時刻t2〜時刻t3)、車両1が上限車速Voで走行中に上限車速Voが所定車速以上高車速側の新たな上限車速Vzに変更されたときは(ステップS12,S13でYES)、自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるとともに(ステップS16)、エンジン2の出力増大を所定の基準値未満に抑制しつつ行う(ステップS15)。
この構成によれば、車速が上限車速Voを超過しないように制限するASL機能を備えた車両1において、上限車速で走行中に上限車速が高車速側に所定車速以上変更されたときは(時刻t3)、車速を新たな上限車速Vzに追従させるために、自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるので、シフトダウンが上限車速の変更時刻t3から遅延なく行われ、運転者の加速要求を満足させることができる。そして、このシフトダウンとともにエンジン2の出力を増大するのであるが、そのエンジン2の出力増大を所定の基準値未満に抑制するので、エンジン2の出力が緩やかに増大し、たとえシフトダウンとエンジン2の出力増大とが重なっても、発生するショックは限定的なものに抑えられる。
以上により、本実施形態によれば、上限車速Voで走行中に上限車速が高車速側に所定車速以上変更されたときに、車速を新たな上限車速Vzに追従させるために、エンジン2の出力増大とギヤ段のシフトダウンとを行う場合に、シフトダウンを遅延させることなくトルクショックを抑制することが可能な車両1の制御方法および制御装置が提供される。
本実施形態では、上記基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン2の出力増大率(図5の符号w参照)よりも小さい速度である。
この構成によれば、上限車速の変更に伴うシフトダウン時のエンジン2の出力増大率(図5の符号a参照)は、アクセル開度の変更に伴う通常のシフトダウン変速時のエンジン2の出力増大率(図5の符号w参照)よりも緩やかとされるので、車速を新たな上限車速Vzに追従させるためにシフトダウンとエンジン2の出力増大とが重なっても、運転者が感じるトルクショックは確実に通常の変速時よりも抑制されたものとなる。
本実施形態では、コントローラ10は、上限車速の変更時刻t3から所定時間Toが経過するまで(ステップS17でYES)、エンジン2の出力増大を抑制する。
この構成によれば、上限車速の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせる所定時間To中は、エンジン2の出力が緩やかに増大するので、運転者が感じるトルクショックは確実に抑制されたものとなる。
本実施形態では、上限車速Voで走行中(時刻t2〜時刻t3)のギヤ段は、車速が上限車速Voに近接したとき(時刻t1)に、車速とアクセル開度とに基いて、図2に示すような変速マップから設定されたギヤ段(2速)よりも高速側のギヤ段(6速)であり、シフトダウン後(時刻t3以降)のギヤ段は、上限車速がVoからVzに変更されたと判定されたとき(時刻t3)に、車速とアクセル開度とに基いて、図2に示すような変速マップから設定されたギヤ段(5速)である。
この構成によれば、車両1が、通常変速時に設定されるギヤ段(2速)よりもシフトアップされたギヤ段(6速)で走行中に、上限車速の変更に伴うシフトダウンが起き(時刻t3)、その後(時刻t3以降)は、通常変速時に設定されるギヤ段(5速)で走行することになる。そして、シフトダウン前(時刻t3以前)は、車両1は燃費が良くなる高速側のギヤ段(6速)で走行するので、燃費性能の改善が図られる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。すなわち、この第2の実施形態は、第1の実施形態における図7のステップS17が図8のステップS27に変更されたものであるから、この点のみ説明し、他の説明は省略する。
図8のステップS21〜S26およびS28は、図7のステップS11〜S16およびS18と同様である。
コントローラ10は、ステップS25で、エレキスロットル31の開き側への制御を制限し(図5の符号a参照)、ステップS26で、自動変速機3のギヤ段を6速から5速にシフトダウンさせた後、ステップS27で、その6−5シフトダウン変速が完了したか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、NOと判定したときステップS27に進み、YESと判定したときステップS28に進む。
コントローラ10は、ステップS28で、エレキスロットル31の開き側への制御の制限を解除し(図5の符号b参照)、ステップS21に戻る。
この第2実施形態では、コントローラ10は、自動変速機3のギヤ段のシフトダウンが完了するまで(ステップS27でYES)、エンジン2の出力増大を抑制する。
この構成によれば、上限車速の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせる動作の期間中は、エンジン2の出力が緩やかに増大するので、運転者が感じるトルクショックは確実に抑制されたものとなる。
<他の実施形態>
上記実施形態では、図7のステップS15および図8のステップS25で、エレキスロットル31の開き側への制御を制限する態様として、エレキスロットル31の開弁速度(エンジン2の出力増大率)を緩やかにするようにしたが、これに代えて、図5に符号cで示すように、エレキスロットル31の開弁(エンジン2の出力増大)を禁止してもよい。
この構成によれば、上限車速の変更に伴い自動変速機3のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるときは、エンジン2の出力が増大しないので、運転者が感じるトルクショックはより一層確実に抑制されたものとなる。
上記実施形態では、本発明は、運転者のアクセル操作量が大きくても車速が上限車速を超過しないように制限するASL機能付きの車両に適用したが、運転者のアクセル操作の有無に拘らず車速が設定車速に維持されるクルーズコントロール機能付きの車両に適用することもできる。
上記実施形態では、目標車速追従工程(目標車速追従手段)が、エンジン2の出力増大率を所定の基準値未満に抑制しつつエンジン2の出力を増大するようにしたが、これに限定されるものでは無く、エンジン2の出力が基準値未満で緩やかに増大されるものであれば良い。
1 車両
2 エンジン
3 自動変速機
4 駆動輪
10 コントローラ(エンジン制御装置、エンジン制御手段、変更判定手段、目標車速追従手段)
11 ギヤ段設定部
21 車速センサ(車速検知装置、車速検知手段)
22 アクセル開度センサ
23 ASLスイッチ
24 上限車速設定スイッチ(目標車速設定装置、目標車速設定手段)
31 エレキスロットル(スロットル弁)
32 インジェクタ
33 点火プラグ
34 変速用ソレノイド弁
Vx 閾値車速
Vo,Vz 上限車速

Claims (5)

  1. エンジンと、
    エンジンの回転を変速しつつ車輪に伝達する自動変速機と、
    車速を検知する車速検知装置と、
    車両が追従すべき目標車速を設定する目標車速設定装置と、
    上記車速検知装置で検知される車速が上記目標車速設定装置で設定された目標車速に維持されるようにエンジン出力を抑制するエンジン制御装置とを備えた車両を制御する方法であって、
    所定のスロットル開度を保持して上記目標車速で走行中に、上記目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたか否かを判定する変更判定工程と、
    所定のアクセル開度が保持された状態で、上記変更判定工程で目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたと判定されたとき、自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせるとともに、エンジン出力の増大を行う目標車速追従工程と、
    を含み、
    前記目標車速追従工程は、前記ギヤ段がシフトダウンされた時点を起点として、第1の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第1サブ工程と、前記第1サブ工程に続いて、前記第1の変化率よりも大きい第2の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第2サブ工程と、を有し、
    前記目標車速追従工程の前記第1サブ工程において、前記第1の変化率を前記第2の変化率よりも小さくすることにより、前記エンジン出力の増大を所定の基準値未満に抑制し、
    前記所定の基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン出力の増大率よりも小さい値であることを特徴とする車両の制御方法。
  2. 請求項1に記載の車両の制御方法において、
    上記目標車速追従工程では、自動変速機のギヤ段のシフトダウンが完了するまでエンジン出力の増大を抑制することを特徴とする車両の制御方法。
  3. 請求項1または2に記載の車両の制御方法において、
    上記目標車速で走行中のギヤ段は、車速が目標車速に近接したときに車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段よりも高速側のギヤ段であり、
    上記シフトダウン後のギヤ段は、上記目標車速が変更されたと判定されたときに車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段であることを特徴とする車両の制御方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の制御方法において、
    上記目標車速は、車速制限機能の上限車速であることを特徴とする車両の制御方法。
  5. エンジンと、
    エンジンの回転を変速しつつ車輪に伝達する自動変速機と、
    前記自動変速機の変速を制御する変速制御手段と、
    車速を検知する車速検知手段と、
    車両が追従すべき目標車速を設定する目標車速設定手段と、
    上記車速検知手段で検知される車速が上記目標車速設定手段で設定された目標車速に維持されるようにエンジン出力を抑制するエンジン制御手段と、
    所定のスロットル開度を保持して上記目標車速で走行中に、上記目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたか否かを判定する変更判定手段と、
    を備え、
    所定のアクセル開度が保持された状態で、上記変更判定手段で目標車速が高車速側に所定車速以上変更されたと判定されたとき、
    前記変速制御手段は、自動変速機のギヤ段を低速側のギヤ段にシフトダウンさせ、
    且つ、
    前記エンジン制御手段は、前記ギヤ段がシフトダウンされた時点を起点として、第1の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第1サブ工程と、前記第1サブ工程に続いて、前記第1の変化率よりも大きい第2の変化率を以って前記スロットル開度を漸増させてゆく第2サブ工程と、を実行することにより、前記エンジン出力の増大を行うものであって、
    前記エンジン制御手段が行う前記エンジン出力の増大は、前記第1サブ工程において、前記第1の変化率を前記第2の変化率よりも小さくすることにより、所定の基準値未満に抑制され
    前記所定の基準値は、アクセル開度の変更に伴い自動変速機のギヤ段を車速とアクセル開度とに基いて設定されたギヤ段にシフトダウンさせるときのエンジン出力の増大率よりも小さい値であることを特徴とする車両の制御装置。
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