JP6074162B2 - 花虫類に由来する発色団/蛍光体、およびそれらの使用法 - Google Patents

花虫類に由来する発色団/蛍光体、およびそれらの使用法 Download PDF

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    • C07K2319/60Fusion polypeptide containing spectroscopic/fluorescent detection, e.g. green fluorescent protein [GFP]

Description

関連出願の相互参照
本出願は、以下の出願の一部継続出願である:
1999年10月14日に出願された特許出願第09/418,529号;
1999年10月15日に出願された特許出願第09/418,917号;
1999年10月15日に出願された特許出願第09/418,922号;
1999年11月19日に出願された特許出願第09/444,338号;
1999年11月19日に出願された特許出願第09/444,341号;
1999年12月9日に出願された特許出願第09/457,556号;
1999年12月9日に出願された特許出願第09/458,477号;
1999年12月9日に出願された特許出願第09/458,144号;
1999年12月9日に出願された特許出願第09/457,898号;ならびに
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,627号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,687号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,609号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,626号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,880号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,607号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,766号;
2000年6月14日に出願された特許出願第60/211,888号;および
2000年6月14日に出願された特許出願第60/212/070号;以上の出願の開示は参照として本明細書に組み入れられる。本出願はまた1999年12月10日に出願された国際出願PCT/US99/29405号に対して優先権を主張する
序論
発明の分野
本発明の分野は色素タンパク質、特に蛍光タンパク質である。
発明の背景
標識付け(labeling)は、対象となるタンパク質、細胞、または関心対象の生物に印を付ける手段であり、多くの生化学的、分子生物学的、および医学的な診断の応用に重要な役割を果たす。放射性標識、色素標識、蛍光標識、化学発光標識などを含む多種多様な標識が現在まで開発されてきた一方で、新たな標識の開発には引き続き関心が寄せられている。なかでも色素タンパク質および蛍光タンパク質の標識を含む新たなタンパク質の標識の開発に特に関心が寄せられている。
関連文献
関心対象となる米国特許は、以下を含む:第6,066,476号(特許文献1);第6,020,192号(特許文献2);第5,985,577号(特許文献3);第5,976,796号(特許文献4);第5,968,750号(特許文献5);第5,968,738号(特許文献6);第5,958,713号(特許文献7);第5,919,445号(特許文献8)および第5,874,304号(特許文献9)。以下も関心対象である:マッツ(Matz)、M.V.ら(1999)Nature Biotechnol.、17:969〜973(非特許文献1);「生体色の赤色蛍光タンパク質(Living Colors Red Fluolescent Protein)」(1999年10月) CLONTECHniques XIV(4):2〜6(非特許文献2);「生体色はGFPベクターを増強した(Living Colors Enhanced GFP Vectors)」(1996年4月)CLONTECHniques XI(2):2-3(非特許文献3);ハース(Haas)、J.ら(1996)Curr. Biol. 6:315〜324(非特許文献4);リッツート(Rizzuto)、R.ら(1996)Curr. Biol. 6:183〜188(非特許文献5);およびコザク(Kozak)、M.(1987)Nucleic Acids Res. 15:8125〜8148(非特許文献6);ルキヤノフ(Lukyanov)、K.ら(2000)J. Biol. Chemistry 275(34):25879〜25882(非特許文献7)。
米国特許第6,066,476号 米国特許第6,020,192号 米国特許第5,985,577号 米国特許第5,976,796号 米国特許第5,968,750号 米国特許第5,968,738号 米国特許第5,958,713号 米国特許第5,919,445号 米国特許第5,874,304号
マッツ(Matz)、M.V.ら(1999)Nature Biotechnol.、17:969〜973 「生体色の赤色蛍光タンパク質(Living Colors Red Fluolescent Protein)」(1999年10月) CLONTECHniques XIV(4):2〜6 「生体色はGFPベクターを増強した(Living Colors Enhanced GFP Vectors)」(1996年4月)CLONTECHniques XI(2):2-3 ハース(Haas)、J.ら(1996)Curr. Biol. 6:315〜324 リッツート(Rizzuto)、R.ら(1996)Curr. Biol. 6:183〜188 コザク(Kozak)、M.(1987)Nucleic Acids Res. 15:8125〜8148 ルキヤノフ(Lukyanov)、K.ら(2000)J. Biol. Chemistry 275(34):25879〜25882
発明の概要
花虫類に由来する色素/蛍光タンパク質およびそれらの変異体だけでなく、それらをコードする核酸組成物が提供される。関心対象の特異的なタンパク質には、以下の特定の花虫類種に由来する色素/蛍光タンパク質が含まれる:アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、ハナヅタ(Clavularia)種、ゾアンサス(Zoanthus)種、ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)、ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」、ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」、およびそれらの変異体。対象タンパク質の断片およびそれらをコードする核酸だけでなく、対象タンパク質に対する抗体およびトランスジェニック細胞および生物も提供される。対象タンパク質および核酸組成物は、多種多様な応用で使用される。最後に、対象タンパク質を含むような応用で使用されるキットが提供される。
amFP486のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 cFP484のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 zFP506のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 zFP538のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 dsFP483のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 drFP583のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 asFP600のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 dgFP512のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。 dmFP592のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。
定義
本発明に従って、当技術分野における従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術の知見を用いることができる。これらの技術は文献で詳しく説明されている。例えば以下の文献を参照されたい:マニアティス(Maniatis)、フリッツ(Fritsch)およびサンブルック(Sambrook)、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」(1982);「DNAクローニング:実践的アプローチ(DNA Cloning A Practical Approach)」、第I巻および第II巻(D.N. Glover編、1985);「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」(M.J. Gait編、1984);「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」(B.D. HamesおよびS.J. Higgins編(1985));「転写および翻訳(Transcription and Translation)」(B.D. HamesおよびS.J. Higgins編、(1984));「動物細胞の培養(Animal Cell Culture)」(R.I. Freshney編、(1986));「固定化された細胞および酵素(Immobilized Cells and Enzymes)」(IRL Press、(1986));B. Perbal、「分子クローニングの実践的手引書(A Practical Guide To Molecular Cloning)」(1984)。
「ベクター」は、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコン(replicon)であり、ベクターに別のDNAセグメント(segment)を結合させて、結合させたセグメントを複製させることが可能である。
「DNA分子」は、1本鎖状または2本鎖らせん状である、デオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)の重合体(polymeric form)を意味する。この用語は分子の1次構造および2次構造のみを意味し、任意の特定の3次構造に制限しない。したがって、この用語は特に線状(linear)DNA分子(例えば制限酵素切断断片)、ウイルス、プラスミド、および染色体にみられる2本鎖DNAを含む。
DNAの「コード配列」は、適切な調節配列の制御下において、インビボでポリペプチドに転写されて翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端側に位置する開始コドンと、3'(カルボキシル)末端に位置する翻訳停止コドンで決定される。コード配列は、原核生物の配列、真核生物のmRNAに由来するcDNA、真核生物(例えば哺乳類)のゲノムDNA配列、および合成DNA配列を含むことができるがこれらに限定されない。ポリアデニル化のシグナルおよび転写終結配列は、コード配列に対して3'側に位置する場合がある。
本明細書で用いる「ハイブリダイゼーション」という用語は、2本の核酸鎖が結合して、反対側の核酸鎖の残基間の水素結合によって安定化された逆平行2重鎖(duplex)を形成する過程を意味する。
「オリゴヌクレオチド」という用語は短い(長さが100塩基未満)の核酸分子を意味する。
本明細書で用いる「DNA調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター(terminator)およびその類似物などの、宿主細胞におけるコード配列の発現に備えるまたは調節する、転写および翻訳の制御配列である。
「プロモーター配列」は、細胞内でRNAポリメラーゼを結合させ、下流(3'方向)にあるコード配列の転写を開始することが可能な、DNA調節領域である。本発明を定義するため、プロモーター配列は3'末端では転写開始部位に接し、上流(5'方向)に向かって伸び、バックグ回に対して検出可能なレベルで転写を開始する必要最小限の塩基または配列を含む。プロモーター配列内には、RNAポリメラーゼの結合を担う転写開始部位ならびにタンパク質結合領域がある。真核生物のプロモーターは、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むことが多いが、常に含むわけではない。誘導可能なプロモーターを含む様々なプロモーターを用いて、本発明の様々なベクターを駆動することができる。
本明細書で用いる「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は細菌の酵素を意味し、いずれも2本鎖DNAを特定のヌクレオチド配列またはその近傍で切断する。
細胞は、外因性または異種のDNAを細胞内に導入すると、これらのDNAにより「形質転換」または「トランスフェクト」される。形質転換用のDNAは、細胞のゲノム中に(共有結合を介して)組み込まれる場合もあれば組み込まれない場合もある。例えば真核生物、酵母、および哺乳動物の細胞では、形質転換用のDNAはプラスミドなどのエピソーム要素として維持される場合がある。真核細胞に関しては、安定に形質転換された細胞では、形質転換用DNAが染色体上に組み込まれて、染色体の複製に伴って娘細胞に受け継がれる。このような安定性は、真核細胞が形質転換用DNAを含む娘細胞の集団からなる細胞系列またはコロニーを確立する能力によって明らかにされる。「クローン」とは、有糸分裂により1個の細胞または共通の祖先に由来する細胞の集団である。「細胞系列」とは、インビトロで数世代にわたって安定に成長可能な初代細胞のクローンである。
DNA構築物の「異種」領域は、自然界に存在するより大きな分子と関連せずに見出されるより大きなDNA分子中に存在する、同定可能なDNAセグメントである。したがって、異種領域が哺乳類の遺伝子をコードする場合、この遺伝子は通常、供給源の生物のゲノム中では哺乳類のゲノムDNAに隣接しないDNAに隣接する。別の例では、異種DNAは2種の異なる供給源に由来する遺伝子の一部分がまとめられた融合タンパク質産物を作製する構築物中における、コード配列を含む。対立遺伝子の変異または天然に起こる変異事象は、本明細書で定義するような異種DNA領域を生じない。
本明細書で用いる「レポーター遺伝子」は異種プロモーターまたはエンハンサー配列に結合するコード配列を意味し、その構築物を組織または細胞に導入することで、レポーター遺伝子の産物を容易かつ定量的にアッセイすることができる。
本明細書に記載したアミノ酸は「L型」異性体であることが好ましい。アミノ酸配列は1文字表記法で記載する(A:アラニン;C:システイン;D:アスパラギン酸;E:グルタミン酸;F:フェニルアラニン;G:グリシン;H:ヒスチジン;I:イソロイシン:K:リシン;L:ロイシン;M:メチオニン;N:アスパラギン;P:プロリン;Q:グルタミン;R:アルギニン;S:セリン;T:スレオニン;V:バリン;W:トリプトファン;Y:チロシン;X:任意の残基)。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する結合相手をもたない状態のアミノ基を意味する。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する結合相手をもたない状態のカルボキシ基を意味する。標準的なポリペプチドの命名法は、J. Biol. Chem.、243(1969)、3552〜59に準拠する。
「免疫学的に活性のある」という用語は、天然、組換え型、または合成の色素/蛍光タンパク質、またはそれらの任意のオリゴペプチドがもつ、適切な動物または細胞で特異的な免疫応答を誘導して、特定の抗体と結合する能力を意味する。本明細書で用いる「抗原性アミノ酸配列」は、単独または担体分子と結合したアミノ酸配列を意味し、哺乳類で抗体応答を誘発することができる。抗体が抗原に結合する文脈における「特異的な結合」という用語は、当技術分野で十分に理解される用語であり、他の無関係の抗原ではなく抗体が生成された対象の抗原への、抗体の結合を意味する。
本明細書で用いる「単離された」という用語は、天然に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞とは異なる環境に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞を記述するために用いられる。
具体的な態様の説明
花虫類に由来する色素/蛍光タンパク質およびそれらの変異体だけでなく、それらをコードする核酸組成物が提供される。関心対象の特異的なタンパク質には、以下の特定の花虫類種に由来する色素/蛍光タンパク質が含まれる:アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、ハナヅタ(Clavularia)種、ゾアンサス(Zoanthus)種、ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)、ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」、ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」、およびそれらの変異体。対象タンパク質の断片およびそれらをコードする核酸だけでなく、対象タンパク質に対する抗体およびトランスジェニック細胞および生物も提供される。対象タンパク質および核酸組成物は、多種多様な応用で使用される。最後に、対象タンパク質を含むような応用で使用されるキットが提供される。本発明をさらに詳しく説明するために、対象となる核酸組成物を最初に説明し、次に対象タンパク質組成物、抗体組成物、およびトランスジェニック細胞/生物について討論する。その次に、対象タンパク質が使用される代表的な方法を概説する。
本発明をさらに説明する前に、特定の態様の変更は添付された特許請求の範囲内でなされ、この範囲内にあるため、本発明が以下に説明する発明の特定の態様に制限されないことは理解されるべきである。また使用する専門用語は特定の態様を説明することを目的とするものであって、限定的であるように意図されるものではないことも理解されるべきである。代わりに、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲により設定される。
本明細書および添付した特許請求の範囲では、単数形の「一つの(a、an)」および「その(the)」は、文中で特に断らない限り複数形を含む。特に明記した部分を除いて本明細書で用いるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味をもつ。
核酸組成物
上述した通り、本発明は花虫類の色素タンパク質および蛍光タンパク質、ならびにそれらの変異体と同様に、それらのタンパク質の断片および相同体をコードする核酸組成物を提供する。核酸組成物とは、本発明の花虫類の色素/蛍光ポリペプチドをコードする読み枠(open reading frame)(すなわち花虫類の色素/蛍光タンパク質遺伝子)を有するDNA配列を含む組成物を意味し、適切な条件では、本発明の花虫類の色素/蛍光タンパク質として発現される能力がある。またこの用語には、本発明のタンパク質をコードする核酸と相同であり、実質的に同様または同一である核酸が含まれる。したがって本発明は、本発明のタンパク質と同様にそれらの相同体をコードする遺伝子およびそのコード配列を提供する。対象核酸は分離され、例えば天然の環境以外で存在する。
関心対象の特定の核酸組成物は、以下の特定の花虫類種に由来する色素/蛍光タンパク質(およびそれらの変異体)をコードする:アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、ハナヅタ(Clavularia)種、ゾアンサス(Zoanthus)種、ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)、ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」、ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」。これらの特定の型の関心対象の核酸組成物については個別により詳しく説明する。
アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)
これらの態様において、核酸組成物はゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはアクチニアリア(Actiniaria)目、さらに多くはエンドミアリア(Endomyaria)亜目、一般的にはアクチニイダエ(Actiniidae)科であることが多く、さらに一般的にはアネモニア(Anemonia)属由来の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、多くの態様においてこの生物はアネモニア・マジャノ(Anemonia majano)であり、アネモニア・マジャノに由来する特異的な関心対象のタンパク質はamFP486(すなわちNFP-1)であり、その相同体/変異体(例えばMut15、Mut32)は多くの態様において特に関心対象である。amFP486の野生型cDNAコード配列を配列番号:01に示す。
ハナヅタ(Clavularia)種
これらの態様において、核酸はアルシオナリア(Alcyonaria)、多くは亜綱(根生類(Stolonifera)目、さらに多くはクラブラリデ(Clavulariidae)科由来の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、生物は一般的にはハナヅタ(Clavularia)属に由来し、特定の態様においては、生物はハナヅタ(Clavularia)種であり、ハナヅタ(Clavularia)種に由来する特異的な蛍光タンパク質はcFP484(別名NFP-2)であり、かつその相同体/変異体(例えばΔ19 cFP484およびΔ38 cFP484)は多くの態様において特に関心対象である。cFP484の野生型のcDNAコード配列を配列番号:03に示す。
ゾアンサス(Zoanthus)種I
これらの態様において、核酸はゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはゾアンシデア(Zoanthidea)目、さらに多くはブラチクネミア(Brachycnemia)亜目、一般的にはゾアンシデア(Zoanthidae)科、より一般的にはゾアンサス(Zoanthus)属の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、ある態様においては、この生物はゾアンサス(Zoanthus)種であり、特異的な蛍光タンパク質はzFP506(別名NFP-3)、およびその相同体/変異体(例えばzFP506のN65M異型)であり、多くの態様において特に関心対象である。zFP506の野生型のcDNAコード配列を配列番号:05に示す。
ゾアンサス(Zoanthus)種II
これらの態様において、核酸はゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはゾアンシデア(Zoanthidea)目、さらに多くはブラチクネミア(Brachycnemia)亜目、一般的はゾアンシデア(Zoanthidae)科、より一般的にはゾアンサス(Zoanthus)属の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来する。ある態様においては、この生物はゾアンサス(Zoanthus)種であり、特異的な蛍光タンパク質はzFP538(NFP-4)、およびその相同体/変異体(例えばzFP538のM128異型)であり、多くの態様において特に関心対象である。zFP538の野生型のcDNAコード配列を配列番号:07に示す。
ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)
これらの態様において核酸はゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはコラリモファリア(Corallimopharia)目、さらに多くはディスコソマティダエ(Discosomatidae)科、一般的にはディスコソマ(Discosoma)属の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、ある態様においては、この生物はディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)であり、特異的な蛍光タンパク質はdsFP483(NFP-5)であって、その相同体/変異体は多くの態様において特に関心対象である。dsFP483の野生型のcDNAコード配列を配列番号:09に示す。
ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」
これらの態様において、核酸は、ゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはコラリモファリア(Corallimopharia)目、さらに多くはディスコソマティダエ(Discosomatidae)科、一般的にはディスコソマ(Discosoma)属)の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、ある態様においては、この生物はディスコソマ(Discosoma)種「赤色」であり、特異的な蛍光タンパク質はdrFP583(NFP-6であって)、その相同体/変異体(例えばE5、E8、E5up、E5down、E57、AG4、AG4H)であり、多くの態様において特に関心対象である。drFP583の野生型のcDNAコード配列を配列番号:11に示す。
アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)
これらの態様において、核酸は、ゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはイソギンチャク(Actiniaria)目、さらに多くはエンドミアリア(Endomyaria)亜目、一般的にはアクチニイダエ(Actiniidae)科であり、またさらに一般的にはアネモニア(Anemonia)属の生物の核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、例えばある態様においてこの生物はアネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)であり、特異的な蛍光タンパク質asFP600(NFP-7)、およびその相同体/変異体(例えばMut1)は多くの態様において関心対象である。asFP600の野生型のcDNAコード配列を配列番号:14に示す。
ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」
これらの態様において、核酸は、ゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはコラリモファリア(Corallimopharia)目、さらに多くはディスコソマティダエ(Discosomatidae)科、一般的にはディスコソマ(Discosoma)属の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、ある態様においては、この生物はディスコソマ(Discosoma)種「緑色」であり、特異的な蛍光タンパク質はdmFP592(NFP-8)であり、その相同体/変異体は多くの態様において特に関心対象である。dgFP512の野生型のcDNAコード配列を配列番号:15に示す。
ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」
これらの態様において、核酸は、ゾアンサリア(Zoantharia)亜綱、多くはコラリモファリア(Corallimopharia)目、さらに多くはディスコソマティダエ(Discosomatidae)科、一般的にはディスコソマ(Discosoma)属の生物に見出される核酸中に見出されるか、またはその核酸に由来し、ある態様においては、この生物はディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」であり、特異的な蛍光タンパク質はdmFP592(NFP-9)であり、その相同体/変異体は多くの態様において特に関心対象である。dmFP592の野生型のcDNAコード配列を配列番号:17に示す。
上記の特定の核酸組成物に加えて、上記配列の相同体も対象となる。対象核酸の相同体に関しては、相同遺伝子の供給源は植物および動物の任意の種である。ある態様においては、相同体間の配列類似性は少なくとも約20%であり、ときには少なくとも約25%であり、30%、35%、40%、50%、60%、70%またはそれ以上の場合があり、75%、80%、85%、90%および95%またはそれ以上を含む場合もある。配列類似性は、保存モチーフ、コード領域、隣接領域などの、より長い配列の亜集団の場合がある標準配列を元に計算される。標準配列の長さは通常少なくとも約18ヌクレオチドであり、より一般的には少なくとも約30ヌクレオチドであり、比較されている全配列に伸張しうる。配列解析に用いるアルゴリズムは当技術分野で公知であり、例えばBLASTはアルチュール(Altschul)ら(1990)、J. Mol. Biol. 215:403〜10(デフォルトの設定、例えばパラメータとしてw=4やT=17を使用する)に記載されている。本明細書に記載した配列は、データベースの検索において関連性および相同性のある核酸を認識する必須の配列である。ある態様において特に関心対象であるのは、配列番号:01〜17に示した核酸と実質的に同じ長さの核酸である。実質的に同じ長さであるとは、長さの任意の差が約20個%を超えず、一般的には約10個%を超えず、さらに一般的には約5個%を超えないことを意味し;これらの任意の配列に対して、核酸の全長にわたって少なくとも約90%、一般的には約95%、さらに一般的には少なくとも約99%以上の配列同一性を有することを意味する。多くの態様においては、このような核酸は配列番号:01、03、05、07、09、11、13、15、または17の配列と実質的に同様(すなわち同じ)か、または同一である。実質的に同様であるとは、配列同一性が一般的には少なくとも約60%、一般的には少なくとも約75%、また多くの場合少なくとも約80%、85%、90%、さらには95%であることを意味する。
本発明の色素/蛍光タンパク質の変異体をコードする核酸もまた提供される。変異型の核酸は、当技術分野において日常的な作業であり、十分に公知の手法である、無作為変異導入法(mutagenesis)または標的変異導入法で作製することができる。
いくつかの態様においては、相同体または変異体をコードする核酸にコードされた色素タンパク質または蛍光タンパク質は、野生型蛍光タンパク質と同じ蛍光特性をもつ。他の態様においては、相同体または変異型の核酸は、本明細書で詳しく説明するようにスペクトル特性が変化した色素タンパク質または蛍光タンパク質をコードする。
本発明の核酸は、cDNAもしくはゲノムDNA、またはそれらの断片であってもよい。ある態様においては、本発明の核酸は特異的な蛍光タンパク質およびポリペプチドコードする一つまたは複数の読み枠、ならびにイントロンと同様に、発現の調節にかかわり、コード領域を超えてさらにどちらの方向でもありうる約20 kbまでの5'側および3'側に隣接する非コードヌクレオチド配列を含む。対象となる核酸は、染色体外に維持するため、または宿主ゲノムに組み込むために、適切なベクターに導入されることが可能であり、これについてはより詳しく後述する。
本明細書で用いる「cDNA」という用語は、天然の成熟型mRNA種(species)に見出される配列要素の配置を共有する、すべての核酸を含める(配列要素とはエキソンならびに5'側および3'側にある非コード領域である)。通常mRNA種は連続したエキソンを有し、介在するイントロンが存在する場合は、核のRNAスプライシングにより除去されて、タンパク質をコードする連続した読み枠が作製される。
関心対象のゲノム配列は、開始コドンと停止コドンの間に存在し、表に記載した配列で定義される核酸を含み、通常は天然の染色体上に存在するすべてのイントロンを含む。これはさらに、成熟型mRNAに見出される5'側または3'側の非翻訳領域を含む場合がある。またさらに、プロモーターやエンハンサーなどで約1 kbまたはそれ以上である場合がある、転写領域の5'端または3'端のいずれかにおいて隣接するゲノムDNAの特異的な転写および翻訳の調節配列を含む場合もある。ゲノムDNAを100 kbpまたはそれ未満の断片として単離することが可能であり、隣接する染色体配列を実質的に含まない場合がある。3'端もしくは5'端にある、コード領域に隣接するゲノムDNA、またはイントロン中に見出される調節配列は、組織および段階に特異的である適切な発現に必要な配列を含む。
本発明の核酸組成物は、対象となる色素/蛍光タンパク質のすべてまたは一部をコードしうる。2本鎖または1本鎖の標準的な断片は、DNA配列から従来の方法に従ってオリゴヌクレオチドを化学的に合成したり、制限酵素で切断したり、PCRで増幅するなどして得られる。多くの場合DNA断片は少なくとも15ヌクレオチドであり、一般的には少なくとも18ヌクレオチドまたは25ヌクレオチドであり、少なくとも約50ヌクレオチドの場合もある。一部の態様においては、対象となる核酸分子の長さは、約100ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、または約720ヌクレオチドである。対象となる核酸は、対象となるタンパク質の断片または完全長のタンパク質をコードする場合がある。例えば、対象となる核酸は、約25アミノ酸、約50アミノ酸、約75アミノ酸、約100アミノ酸、約125アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約210アミノ酸、約220アミノ酸、約230アミノ酸、または約240アミノ酸、全タンパク質までのポリペプチドをコードしうる。
対象となる核酸は、実質的に純粋な状態で、一般的には完全な染色体とは別物として単離され、得られる。一般的には、このDNAは本発明の核酸またはその断片を含まない他の核酸配列を実質的に含まない状態で得られ、通常は少なくとも約50%、一般的には少なくとも約90%の純度であり、また典型的には「組換え型である」、すなわち、天然の染色体上では通常は結合していない一つまたは複数のヌクレオチドに隣接する。
対象となるポリヌクレオチド(例えば配列番号:01〜17などの配列を有するポリヌクレオチド)、対応するcDNA、完全長の遺伝子、および対象ポリヌクレオチドの構築物が提供される。これらの分子は当技術分野で公知であるいくつかの異なるプロトコルによって合成的に作製することができる。適切なポリヌクレオチド構築物は、例えばサムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第2版、(1989)Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NYに記載された標準的な組換えDNA技術、および米国HHSの国立予防衛生研究所(NIH)の組換えDNA研究に関する指針に記載された現行の規制に基づいて精製されることができる。
また、第2のタンパク質、例えば分解配列(degradation sequence)やシグナルペプチドなどに融合させた、対象タンパク質の融合タンパク質またはその断片をコードする核酸も提供される。融合タンパク質には、対象のポリペプチド、またはその断片、および対象ポリペプチドのN末端および/またはC末端においてインフレームで(in-frame)融合させた、花虫類ではないポリペプチド(「融合相手」)が含まれうる。融合相手には、融合相手に特異的な抗体に結合可能なポリペプチド(例えばエピトープタグ);抗体またはその結合断片;触媒機能を提供して細胞応答を誘導するポリペプチド;リガンドもしくは受容体、またはそれらの模倣物などが含まれるがこれらに限定されない。このような融合タンパク質では、融合相手は一般に天然の状態では融合タンパク質の対象花虫類部分に結合せず、典型的には花虫類タンパク質またはそれらの誘導体/断片ではない、すなわち花虫類種には見出されない。
ベクターに挿入した対象核酸からなる構築物もまた提供される。このような構築物は、増殖やタンパク質産生などを含む、いくつかの異なる応用に使用することができる。プラスミドを含む、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを調製して使用することができる。ベクターの選択は、増殖が望ましい細胞の種類、および増殖の目的に応じて行う。あるベクターは、大量の所望のDNA配列の増幅および作製に有用である。培養中の細胞における発現に適したベクターもある。また、動物全体またはの、細胞における伝達および発現に適したベクターもある。適切なベクターの選択法は当技術分野で公知である。このようなベクターの多くは市販されている。構築物を調製する際には、ポリヌクレオチドの一部または全体を一般的にはベクター中の切断済みの制限酵素部位にDNAリガーゼで結合させることで、ベクター中に挿入する。あるいは所望のヌクレオチド配列を、相同組換えによりインビボで挿入することができる。これは通常、相同性のある領域を、所望のヌクレオチド配列に隣接させてベクターに結合させることによってなされる。相同性のある領域は、オリゴヌクレオチドの連結によって、または、例えば相同性のある領域と所望のヌクレオチド配列部分の両方を含むプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって添加する。
また、他の応用の中でも、対象タンパク質の合成で使用される、発現カセットまたは発現系も提供される。発現に関しては、本発明のポリヌクレオチドにコードされた遺伝子産物は、例えば細菌、酵母、両生類、および哺乳類の系を含む任意の簡便な発現系で発現される。適切なベクターおよび宿主細胞は米国特許第5,654,173号に記載されている。発現ベクター中では、例えば、配列番号:01〜17に記載されるように、対象ポリヌクレオチドを、所望の発現特性が適切に得られるように調節配列に連結する。このような調節配列には、プロモーター(センス鎖の5'端またはアンチセンス鎖の3'端に結合される)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、およびインデューサーが含まれうる。プロモーターは、調節型または構成型(constitutive)でありうる。状況によっては、組織特異的なプロモーターまたは発生段階に特異的なプロモーターなどの条件的に活性であるプロモーターを使用することが望ましい場合がある。これらは、ベクターへの連結に関して上述した手法を用いて、所望のヌクレオチド配列に連結させる。当技術分野で公知の任意の手法を用いることができる。言い換えると、発現ベクターは誘導型または構成型の転写および翻訳の開始領域を提供し、コード領域は転写開始領域ならびに転写および翻訳の終結領域の転写制御下で使用可能なように連結される。このような制御領域は、対象核酸が得られる対象種に対して天然でありうるか、または外因性の供給源に由来しうる。
発現ベクターには一般に、プロモーター配列の近傍に好都合な制限酵素切断部位があり、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入が可能となる。発現宿主内で作用する選択マーカーが存在しうる。発現ベクターは特に、上述したように融合タンパク質の産生に使用されうる。
転写開始領域、遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含むように発現カセットを調製することができる。特に関心対象であるのは、一般的には長さが少なくとも約8アミノ酸であり、より一般的には長さが少なくとも約15アミノ酸であり、約25アミノ酸さらに遺伝子の読み枠の完全長までである、機能性エピトープまたは領域の発現を可能とする、配列の使用である。DNAを導入後、この構築物を含む細胞を選択マーカーによって選択し、細胞を増殖させた後に発現に使用する。
上述の発現系は、発現の目的に応じて従来の方法で原核生物または真核生物で使用することができる。タンパク質を大規模に産生させる場合は、大腸菌、枯草菌、分裂酵母などの単細胞生物、バキュロウイルスベクターを組み合わせた昆虫細胞、または脊椎動物などの高等生物の細胞、例えばCOS 7細胞、HEK293、CHO、アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞などを発現宿主細胞として使用することができる。状況によっては、真核細胞で遺伝子を発現させることが望ましく、この場合、発現させるタンパク質は、天然の折りたたみ(folding)および翻訳後修飾による恩典を得る。小ペプチドを研究室で合成することもできる。完全なタンパク質配列の亜集団であるポリペプチドを、機能上重要なタンパク質の一部分を同定して調査するために使用することができる。
対象となる特異的な発現系には、細菌、酵母、昆虫細胞、および哺乳類細胞に由来する発現系が含まれる。これら各分類の代表的な系を以下に提供する:
細菌
細菌を用いた発現系は以下の文献で説明されたものを含む:チャン(Chang)ら、Nature(1978)275:615;ゴーデル(Goeddel)ら、Nature(1979)281:544;ゴーデルら、Nucleic Acids Res.(1980)8:4057;欧州特許第0 036,776号;米国特許第4,551,433号;デボア(DeBoer)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1983)80:21〜25;およびシーベンリスト(Siebenlist)ら、Cell(1980)20:269。
酵母
酵母を用いた発現系は以下の文献に記載されたものを含む:ヒネン(Hinnen)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1978)75:1929;イトウ(Ito)ら、J. Bacteriol.(1983)153:163;カーツ(Kurtz)ら、Mol. Cell Biol.(1986)6:142;クンゼ(Kunze)ら、J. Basic Microbial.(1985)25:141;グリーソン(Gleeson)ら、J. Gen. Microbial.(1986)132:3459;ローゲンカンプ(Roggenkamp)ら、Mol. Gen. Genet.(1986)202:302;ダス(Das)ら、J. Bacteriol.(1984)158:1165;デ・ルーベンコート(De Louvencourt)ら、J. Bacterial.(1983)154:737;ファン・デン・バーグ(Van den Berg)ら、Bio/Technology (1990)8:135;クンゼ(Kunze)ら、J. Basic Microbial.(1985)25:141;クレッグ(Cregg)ら、Mol. Cell. Biol. (1985)5:3376;米国特許第4,837,148号および第4,929,555号;ビーチ(Beach)およびナース(Nurse)、Nature(1981)300:706;ダビドウ(Davidow)ら、Curr. Genet.(1985)10:380;ガイジャーディン(Gaillardin)ら、Curr. Genet.(1985)10:49;バランス(Ballance)ら、Biochem. Biophys. Res. Commun.(1983) 112:284〜289;ティルバーン(Tilburn)ら、Gene(1983)26:205〜221;イェルトン(Yelton)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1984)81:1470〜1474;ケリー(Kelly)およびハインズ(Hynes)、EMBO J.(1985)4:475〜479;欧州特許第0 244,234号;および国際公開公報第91/00357号。
昆虫細胞
昆虫における異種遺伝子の発現は以下の文献に記載されたようになされる:米国特許第4,745,051号;フリーセン(Friesen)ら、「バキュロウイルス遺伝子発現の調節(The Regulation of Baculovirus Gene Expression)」「バキュロウイルスの分子生物学(The Molecular Biology Of Baculoviruses)」(1986)(W. Doerfler編));欧州特許第0 127,839号;欧州特許第0 155,476号;およびブラク(Vlak)ら、J. Gen. Virol.(1988)69:765〜776;ミラー(Miller)ら、Ann. Rev. Microbiol.(1988)42:177;カーボネル(Carbonell)ら、Gene(1988)73:409;マエダ(Maeda)ら、Nature(1985)315:592〜594;レバック-ベルヘイデン(Lebacq-Verheyden)ら、Mol.Cell.Biol.(1988)8:3129;スミス(Smith)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1985)82:8844;ミヤジマ(Miyajima)ら、Gene(1987)58:273;およびマーティン(Martin)ら、DNA(1988)7:99。数多くのバキュロウイルス株および異型ならびに宿主に由来する対応する許容昆虫宿主細胞は、ルコウ(Luckow)ら、Bio/Technology(1988)6:47〜55、ミラー(Miller)ら、Generic Engineering(1986)8:277〜279、およびマエダ(Maeda)ら、Nature(1985)315:592〜594に記載されている。
哺乳類細胞
哺乳類における発現は以下の文献に記載されるようになされる:ディケマ(Dijkema)ら、EMBO J.(1985)4:761、ゴルマン(Gorman)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1982)79:6777、ボシャート(Boshart)ら、Cell (1985)41:521、および米国特許第4,399,216号。哺乳類における発現の他の特徴は、以下の文献に記載されるように促進される:ハム(Ham)およびウォレス(Wallace)、Meth. Enz.(1979)58:44、バーンズ(Barnes)およびサトウ(Sato)、Anal. Biochem.(1980)102:255、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、国際公開公報第90/103430号、国際公開公報第87/00195号、および米国再発行特許第30,985号。
上述の任意の宿主細胞、または他の適切な宿主細胞または生物を用いて本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製および/または発現させた際に、結果として得られる複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または生物の産物として本発明の範囲内にある。このような産物は当技術分野で公知の任意の適切な方法で回収される。
選択されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子を同定すると、その発現を該遺伝子が天然に存在する細胞内で制御することができる。例えば細胞の内因性遺伝子は、細胞ゲノムの、細胞内における遺伝子発現を少なくとも増強するのに十分な位置に挿入した外因性調節配列で調節することができる。調節配列は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,641,670号および第5,733,761号に記載された相同組換えを介してゲノムに組み込まれるように設計することが可能であり、または参照として本明細書に組み入れられる国際公開公報第99/15650号に記載された非相同組換えを介してゲノムに組み込まれるように設計することができる。したがって、コードする核酸そのものを操作しない代わりに、上述の本明細書に組み入れられる特許文書に記載されているように、所望のタンパク質をコードする遺伝子を既に含む細胞のゲノムへ調節配列を組み込むことによって対象タンパク質を産生する段階も本発明に含まれる。
対象となる核酸の相同体も提供する。相同体は多数の任意の方法で同定される。提供されたcDNA断片を、関心対象の標的生物から回収したcDNAライブラリーに対するハイブリダイゼーションプローブとして使用することができ、ストリンジェンシーの低い条件を使用する。このプローブは一つの大きな断片であっても、一つまたは複数の短い縮重プライマーであってもよい。配列が類似した核酸は、ストリンジェンシーの低い条件(例えば50℃で6×SSC(0.9 Mの塩化ナトリウム/0.09 Mのクエン酸ナトリウム))でハイブリダイゼーションを行って検出し、1×SSC(0.15 Mの塩化ナトリウム/0.015 Mのクエン酸ナトリウム)中で55℃で洗浄した場合に結合状態が維持される。配列同一性は、例えば50℃またはそれ以上および0.1×SSC(15 mMの塩化ナトリウム/1.5 mMのクエン酸ナトリウム)のストリンジェンシーの高い条件でハイブリダイゼーションを行うことで決定することができる。提供された配列(例えば対立遺伝子異型や遺伝学的に変化させた遺伝子など)と実質的に同一な領域を有する核酸は、ストリンジェンシーの高いハイブリダイゼーション条件で提供された配列と結合する。プローブ、特にDNA配列の標識プローブを用いることで相同遺伝子または関連遺伝子を単離することができる。
また、対象となるゲノム配列のプロモーター配列も関心対象である。5'隣接領域の配列をエンハンサー結合配列を含み、例えば対象タンパク質遺伝子を発現させる細胞/組織における発現を調節可能とする、プロモーター要素に使用することができる。
断片がPCRやハイブリダイゼーションによるスクリーニング用のプローブなどとして有用な対象核酸の短いDNA断片も提供される。より長いDNA断片(100ヌクレオチドを超えるもの)は、上の項に記載したように、コードされたポリペプチドの産生に有用である。幾何級数的PCRのような幾何級数的な増幅反応にはプライマー対を使用する。プライマー配列の正確な組成は本発明に重要ではないが、多くの応用でプライマーは、当技術分野で公知であるようにストリンジェンシーの高い条件で対象配列とハイブリッドを形成する。少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約100ヌクレオチドの増幅産物を生成するプライマー対を選択することが好ましい。プライマー配列の選択に用いられるアルゴリズムは一般的に知られており、市販のソフトウェアパッケージを利用することができる。増幅用プライマーはDNAの相補鎖とハイブリッドを形成し、互いの方向にプライムする(prime)。
DNAはまた、生物試料中の遺伝子発現を同定する際に使用することもできる。細胞を対象に、ゲノムDNAまたはmRNAのような特定のヌクレオチド配列の存在に関して細胞を調査する方法は文献に詳しく記載されている。手短に説明すると、DNAまたはRNAを細胞試料から単離する。逆転写酵素を用いてmRNAをRT-PCRで増幅し、相補的なDNA鎖を形成させた後に、対象DNA配列に特異的なプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応による増幅を行う。またmRNA試料をゲル電気泳動法で分離し、適切な支持体(例えばニトロセルロースやナイロンなど)に移した後に、対象DNAの断片をプローブとして調査した。オリゴヌクレオチド連結アッセイ法、インサイチューハイブリダイゼーション法、および固体チップ上に整列させたDNAプローブに対するハイブリダイゼーションなどの他の手法を使用することもできる。対象配列とハイブリッドを形成したmRNAを検出することにより、試料中における花虫類タンパク質の遺伝子発現が示される。
隣接するプロモーター領域およびコード領域を含む対象核酸に、当技術分野で公知のさまざまな方法で変異を導入することで、プロモーター強度、コードタンパク質配列、コードタンパク質の性質(コードタンパク質の蛍光の性質を含む)などにおける、目標とした変化を導入することができる。このような変異をもつDNA配列またはタンパク質産物は通常、本明細書に記載される配列と実質的に同様であり、例えば、それぞれ少なくとも1個のヌクレオチドまたはアミノ酸が異なり、かつ少なくとも2個(ただし約10個のヌクレオチドまたはアミノ酸を超えない)が異なる場合がある。配列の変化は、置換、挿入、欠失、またはこれらの組み合わせの場合がある。欠失にはさらに、領域またはエキソン(例えば10、20、50、75、150、またはそれ以上のアミノ酸残基)の欠失などの大規模な変化が含まれうる。クローン化した遺伝子のインビトロにおける変異導入法は公知である。部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)のプロトコルの例は以下の文献に記載されている:グスタン(Gustin)ら(1993)、Biotechniques 14:22;バラニー(Barany)(1985)、Gene 37:111〜23;コリチェリ(Colicelli)ら、(1985)Mol. Gen. Genet. 199:537〜9;およびプレンキ(Prentki)ら、(1984)、Gene 29:303〜13。部位特異的変異導入法は、以下の文献に記載されている:サンブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、CSH Press 1989、pp. 15.3〜15.108;ワイナー(Weiner)ら、(1993)、Gene 126:35〜41;セイヤーズ(Sayers)ら、(1992)、Biotechniques 13:592〜6;ジョーンズ(Jones)およびウィニストーファー(Winistorfer)(1992)、Biotechniques 12:528〜30;バートン(Barton)ら、(1990)、Nucleic Acids Res. 18:7349〜55;マロッティ(Marotti)およびトミック(Tomich)、(1989)、Gene Anal. Tech. 6:67〜70;およびチュー(Zhu)、(1989)、Anal. Biochem. 177:120〜4。このような変異型核酸の誘導体は、特定の色素/蛍光タンパク質の構造-機能関係を検討するために、または、機能または調節に影響を及ぼすタンパク質の性質を変化させるために使用することができる。
多くの態様の中で特に関心対象であるのは、色素タンパク質に変異を導入して蛍光変異体とする段階に用いられる、下記の特異的な変異プロトコルである。このプロトコルでは、候補タンパク質の配列を、マッツ(Matz)らによって報告されたプロトコル「非生体発光性の花虫類種由来の蛍光タンパク質(Fluolescent proteins from nonbioluminescent Anthozoa species)」、Nature Biotechnology(1999年10月)17:969〜973)にしたがってオワンクラゲ(Aequorea victoria)の野生型GFPのアミノ酸とともに整列させる。色素タンパク質の148位の残基を同定した後に、それを例えば部位特異的変異導入法でセリンに変える。こうすることで野生型色素タンパク質の蛍光変異体が得られる。これについては下記のNFP-7を参照されたい。この場合、野生型のタンパク質は148位における元の状態のアラニン残基がセリンに置換されて蛍光タンパク質に変異が導入された色素タンパク質である。
対象となる核酸がヒト化された変形も関心対象である。本明細書で使用する「ヒト化された(humanized)」という用語は、ヒト細胞におけるタンパク質発現用のコドンを最適化させるために、核酸配列を対象になされる変更を意味する(Yangら、Nucleic Acids Research 24(1996)、4592〜4593)。
多くの態様においては、生物発光性の種にみられるタンパク質は本発明の範囲に含まれない。ある態様においては、GFP相同体およびウミシイタケ(Renilla reniformis)に由来する相同体をコードする核酸は本発明の範囲に含まれない。
タンパク質/ポリペプチド組成物
本発明では、花虫類の色素タンパク質および蛍光タンパク質ならびにそれらの変異体と同様に、それらに関連するポリペプチド組成物も提供される。対象タンパク質は色素タンパク質であるので、色の付いたタンパク質であり、蛍光性を有する場合があるほか、低蛍光性、または非蛍光性である場合もある。本明細書で使用する色素タンパク質および蛍光タンパク質という用語は、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼなどのルシフェラーゼを含まない。本明細書で使用するポリペプチド組成物という用語は、完全長のタンパク質、ならびにその一部分または断片の両方を意味する。また、この用語には天然タンパク質の変化も含まれる。このような変化は、天然のタンパク質と相同的、または実質的に同様であり、かつ詳しく後述するように天然のタンパク質の変異体である。対象となるポリペプチドは天然の環境以外に存在する。
多くの態様においては、対象となるタンパク質は約300 nm〜700 nm、一般的には約350 nm〜650 nm、またさらに一般的には約400 nm〜600 nmに吸収極大の範囲をもつ。対象タンパク質が蛍光タンパク質の場合、それは光の一波長で励起可能であり、その後に別の波長で光を放出することを意味する。対象タンパク質の励起スペクトルは典型的には約300 nm〜700 nm、一般的には約350 nm〜650 nm、またさらに一般的には約400 nm〜600 nmの範囲にあり、対象タンパク質の発光スペクトルは、典型的には約400 nm〜800 nm、一般的には約425 nm〜775 nm、またさらに一般的には約450 nm〜750 nmの範囲にある。対象となるタンパク質の最大吸光係数は通常約10,000〜50,000であり、一般的には約15,000〜45,000である。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約150〜300アミノ酸残基であり、一般的には約200〜300アミノ酸残基である。また分子量の範囲は通常約15 kDa〜35 kDaであり、一般的には17.5 kDa〜32.5 kDaである。
ある態様においては対象タンパク質は明るい。明るいとは、色素タンパク質およびその蛍光変異体が一般的な方法(例えば視覚的スクリーニング法、分光光度法、分光蛍光法、蛍光顕微鏡、FACS装置など)で検出可能であることを意味する。特定の蛍光タンパク質の蛍光輝度は、その量子収量に最大吸光係数を乗じた値によって決定される。色素タンパク質の輝度は、その最大吸光係数で表すことができる。
ある態様においては、対象となるタンパク質は、宿主細胞内で発現させると速やかに折りたたまれる。速やかに折りたたまれるとは、タンパク質がその3次構造をとり、短時間のうちに色素または蛍光の性質を獲得することを意味する。これらの態様においては、タンパク質は、一般的に約3日を超えない時間で、一般的には約2日で、またさらに一般的には約1日を超えない時間で折りたたまれる。
対象となる特定のタンパク質は、以下の特定の花虫類種に由来する色素/蛍光タンパク質(およびそれらの変異体)である:アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、ハナヅタ(Clavularia)種、ゾアンサス(Zoanthus)種、ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)、ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」、ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」。対象となるこれら特定の種類のポリペプチド組成物について個別に詳しく説明する。
アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)
この態様のタンパク質の吸収極大は約250 nm〜650 nmの範囲にあり、一般的には約400 nm〜500 nmの範囲にあり、さらに一般的には約440 nm〜480 nmの範囲にある。また放射極大は典型的には約270 nm〜670 nmの範囲にあり、一般的には約420 nm〜520 nmの範囲にあり、さらに一般的には約460 nm〜500 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約210アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。多くの態様の中で特に関心対象であるのは、配列番号:02に示すアミノ酸配列を有するamFP486(NFP-1)である。また、この配列の変異型(例えばMut15やMut32など)も関心対象である。
ハナヅタ(Clavularia)種
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約250 nm〜650 nmの範囲にあり、一般的には約400 nm〜500 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約440 nm〜480 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約270 nm〜670 nmの範囲にあり、一般的には約420 nm〜520 nmの範囲にあり、さらに一般的には約460 nm〜500 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約225アミノ酸〜300アミノ酸であり、一般的には約250アミノ酸残基〜275アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約25 kDa〜35 kDaであり、一般的には約27.50 kDa〜32.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:04に示す配列を有するcFP484タンパク質ならびにその変異体(例えばΔ19 cFP484およびΔ38 cFP484(NFP-2)など)である。
ゾアンサス(Zoanthus)種I
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約300 nm〜700 nmの範囲にあり、一般的には約450 nm〜550 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約480 nm〜510 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約320 nm〜720 nmの範囲にあり、一般的には約470 nm〜570 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約500 nm〜530 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:06に示すアミノ酸残基を有するタンパク質zFP506(NFP-3)ならびにこのタンパク質の変異体(例えばN65M異型など)である。
ゾアンサス(Zoanthus)種II
この態様のタンパク質の励起極大は典型的には約300 nm〜650 nmの範囲にあり、一般的には約475 nm〜575 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約500 nm〜550 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約310 nm〜660 nmの範囲にあり、一般的には約485 nm〜585 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約510 nm〜560 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:08に示すアミノ酸配列を有するタンパク質sFP538(NFP-4)ならびにその変異体(例えばM128異型など)である。
ディスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)
この態様のタンパク質の励起極大は典型的には約240 nm〜640 nmの範囲にあり、一般的には約500 nm〜600 nmの範囲にあり、さらに一般的には約530 nm〜560 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約280 nm〜680 nmの範囲にあり、一般的には約540 nm〜640 nmにあり、またさらに一般的には約570 nm〜600 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。多くの態様において特に関心対象であるのは、配列番号:10に示すアミノ酸配列を有するタンパク質dsFP483(NFP-5)ならびにその変異体である。
ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約250 nm〜750 nmの範囲にあり、一般的には約500 nm〜600 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約540 nm〜580 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約275 nm〜775 nmの範囲にあり、一般的には約525 nm〜625 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約565 nm〜605 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:12に示すアミノ酸配列を有するdrFP583(NFP-6)タンパク質ならびにその変異体(例えばE5、E8、E5up、E5down、E57、AG4、AG4Hなど)である。
アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約370 nm〜770 nmの範囲にあり、一般的には約520 nm〜620 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約560 nm〜580 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約395 nm〜795 nmの範囲にあり、一般的には約545 nm〜645 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約585 nm〜605 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には22.50 kDa〜27.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:14に示すアミノ酸配列を有するasFP600(NFP-7)タンパク質ならびにその変異体(例えばMut1など)である。
ディスコソマ(Discosoma)種「緑色」
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約300 nm〜700 nmの範囲にあり、一般的には約450 nm〜650 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約490 nm〜510 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約310 nm〜710 nmの範囲にあり、一般的には約460 nm〜660 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約500 nm〜520 nmの範囲にある。対象タンパク質の長さはの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDdである。特に関心対象であるのは、配列番号:16に示すアミノ酸配列を有するdgFP512タンパク質(NFP-8)ならびにその変異体である。
ディスコソマ(Discosoma)種「深紅色」
この態様のタンパク質の吸収極大は典型的には約375 nm〜775 nmの範囲にあり、一般的には約525 nm〜625 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約560 nm〜590 nmの範囲にある。放射極大は典型的には約395 nm〜795 nmの範囲にあり、一般的には約545 nm〜645 nmの範囲にあり、またさらに一般的には約580 nm〜610 nmである。対象タンパク質の長さの範囲は典型的には約200アミノ酸残基〜250アミノ酸残基であり、一般的には約220アミノ酸残基〜240アミノ酸残基である。分子量の範囲は通常約20 kDa〜30 kDaであり、一般的には約22.50 kDa〜27.50 kDaである。特に関心対象であるのは、配列番号:18に示すアミノ酸配列を有するdmFP592(NFP-9)タンパク質ならびにその変異体である。
本発明の上述の特定のアミノ酸配列(すなわち配列番号:02〜18)とは配列が異なる、相同体およびタンパク質(またはそれらの断片)が提供される。相同体とは、MegAlign、DNAstar(1998)clustalアルゴリズム(ヒギンス(D.G. Higgins)およびシャープ(P.M. Sharp)、「マイクロコンピューター上における、迅速かつ高感度の複数配列整列(Fast and Sensitive multiple Sequence Alignments on a Microcomputer)」(1989)CABIOS、5:151〜153(使用パラメータはktuple 1、gap penalty 3、window 5、およびdiagonals saved 5である)に記載されている)を用いて決定される、本発明のタンパク質に対して少なくとも約10%、一般的には約20%、またさらに一般的には少なくとも約30%、また多くの態様においては少なくとも約35%、一般的には少なくとも約40%、またさらに一般的には約60%のアミノ酸配列の同一性を有する、タンパク質を意味する。多くの態様においては、関心対象である相同体には極めて高い配列同一性がある(例えば65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれ以上)。
また、野生型タンパク質と実質的に同一なタンパク質も提供される。実質的に同一であるとは、タンパク質のアミノ酸配列と野生型のタンパク質の配列との同一性が少なくとも約60%、一般的には少なくとも約65%、またさらに一般的には少なくとも約70%であることを意味する。場合によってはこの同一性はさらに高くなる(例えば75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上)。
多くの態様においては、対象となる相同体には上述の特定の配列に構造的特徴がある。このような構造的な特徴にはβカンフォールド(β-can fold)が含まれる。
上述した天然のタンパク質の変異体であるタンパク質もまた提供される。変異体は、野生型(例えば天然の)タンパク質の生物学的特性を保持している場合があり、または野生型のタンパク質とは異なる生物学的特性をもつ場合がある。対象タンパク質の「生物学的特性」という用語には、吸収極大、放射極大、最大吸光係数、輝度(例えば野生型タンパク質またはオワンクラゲ(A. victoria)の緑色蛍光タンパク質などの他の標準的なタンパク質と比較する)などのスペクトル特性;インビボおよび/またはインビトロにおける安定性(例えば半減期)などが含まれるがこれらに限定されない。変異体には、1アミノ酸残基の変化、1残基または複数の残基のアミノ酸の欠失、N末端の切断、C末端の切断、挿入などが含まれる。
変異体は、分子生物学の標準的な手法(例えば無作為変異導入法や標的変異導入法)で作製することができる。本明細書ではいくつかの変異体が提供される。実施例で代表例を示すことで、また標準的な手法を用いることで、当業者であれば多種多様な付加的な変異体を容易に作製して、生物学的特性が変化したか否かを調べることができる。例えば蛍光強度は、分光光度計を用いてさまざまな励起波長で測定することができる。
天然のタンパク質である本発明のタンパク質は、天然の環境以外で存在する(例えば天然の環境から分離される)。ある態様においては、対象タンパク質は天然の環境と比較して対象タンパク質が濃縮されている組成物中に存在する。例えば精製されたタンパク質が提供される。精製されたとは、タンパク質が非花虫類の色素/蛍光タンパク質に由来するタンパク質を実質的に含まない組成物中に存在することを意味する。実質的に含まないとは、組成物の90%未満、一般的には60%未満、またさらに一般的には50%未満が非花虫類由来の色素タンパク質またはその変異体で構成されることを意味する。本発明のタンパク質はまた、単離された状態で存在する場合もある。単離された状態とは、該当するタンパク質が他のタンパク質および他の天然の生物学的分子(オリゴ糖、ポリヌクレオチド、およびそれらの断片など)を実質的に含まないことを意味する。この場合の「実質的に含まない」とは、単離された状態のタンパク質を含む組成物中の70%未満、一般的には60%未満、またさらに一般的には50%未満が、他の何らかの天然の生物学的分子であることを意味する。ある態様においては、このようなタンパク質は実質的に純粋な状態で存在する。実質的に純粋な状態とは、少なくとも95%、一般的には少なくとも97%、またさらに一般的には少なくとも99%の純度であることを意味する。
天然のタンパク質に加えて、天然のタンパク質とは異なるポリペプチド(例えば上述の変異型タンパク質)が提供される。通常このようなポリペプチドは、花虫類タンパク質をコードする遺伝子の読み枠(ORF)にコードされたアミノ酸配列を含む。これには、完全長のタンパク質およびその断片、特に生物学的に活性のある断片、および/または機能領域(例えば膜貫通領域など)に対応する断片が含まれるほか、対象ポリペプチドと他のタンパク質またはその一部分との融合体が含まれる。対象断片の長さは、典型的には少なくとも約10アミノ酸であり、一般的には少なくとも約50アミノ酸であり、また長くて300アミノ酸またはそれ以上となる場合もあるが一般的には約1000アミノ酸を超えない。この場合、断片は対象タンパク質と同一のアミノ酸を少なくとも約10アミノ酸、一般的には少なくとも約15アミノ酸、また多くの態様においては少なくとも約50アミノ酸の長さで有する。いくつかの態様においては、対象ポリペプチドの長さは約25アミノ酸、約50アミノ酸、約75アミノ酸、約100アミノ酸、約125アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約210アミノ酸、約220アミノ酸、約230アミノ酸、または約240アミノ酸であり、最長でタンパク質全体となる。いくつかの態様においては、タンパク質断片は野生型タンパク質の生物学的特性のすべてまたは実質的にすべてを保持する。
対象となるタンパク質およびポリペプチドは天然の供給源から得られるほか、合成によって得られる。例えば野生型のタンパク質は、タンパク質を発現する生物の供給源(例えば上述した特定の花虫類種)に由来する場合がある。対象タンパク質はまた合成で得られる場合もある。(例えば組換え遺伝子、または対象タンパク質をコードする配列をコードする核酸を上述した適切な宿主で発現させる)。任意の簡便なタンパク質精製法を使用することができる。適切なタンパク質精製法は、「タンパク質精製の手引書(Guide to Protein Purification)」(Deuthser編)(Academic Press、1990)に記載されている。例えば溶解物は、元の供給源から調製してHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィーなどで精製することができる。
抗体の組成
対象蛍光タンパク質に特異的に結合する抗体も提供する。適切な抗体は、対象タンパク質のすべてまたは一部を含むペプチドで宿主動物を免疫化することで得られる。適切な宿主には、マウス、ラット、ヤギ、ハムスター、ウサギなどが含まれる。タンパク質の免疫原の起源は通常、花虫類種である。宿主動物は一般に、免疫原とは異なる種である(例えばマウスなど)。
免疫原は、完全なタンパク質、またはその断片および誘導体を含む場合がある。好ましい免疫原はタンパク質のすべてまたは一部を含む。これらの残基は元の標的タンパク質にみられる翻訳後調節を含む。免疫原は当技術分野で公知のさまざまな方法(例えば従来の組換え法を用いたクローン化遺伝子の発現や花虫類種の分離など)で作られる。
ポリクローナル抗体の調製の第1工程は標的タンパク質による宿主動物の免疫化である。標的タンパク質は実質的に純粋な状態のもので、含まれる混入物は約1%未満であることが好ましい。免疫原は完全な標的タンパク質、その断片または誘導体を含む場合がある。宿主動物の免疫応答を昂進させるために、標的タンパク質をアジュバントと結合させる場合がある。適切なアジュバントには、ミョウバン、デキストラン、硫酸塩、高分子量の重合体陰イオン、油水エマルジョン(例えばフロインドアジュバントやフロインド完全アジュバントなど)が含まれる。標的タンパク質を合成担体タンパク質または合成抗原に結合させることもできる。さまざまな宿主を免疫化してポリクローナル抗体を産生させることができる。このような宿主には、ウサギ、モルモット、齧歯類(例えばマウスやラット)、ヒツジ、ヤギなどが含まれる。標的タンパク質を一般的には、初期量で宿主の皮膚内に投与したあとに、1回または複数回(一般的には少なくとも2回)の追加投与を行う。免疫化後に宿主の血液を採取して血清と血液細胞を分ける。結果として得られた抗血清中に含まれるIgを、アンモニウム塩による分画法やDEAEクロマトグラフィーなどの既知の方法でさらに分画することができる。
モノクローナル抗体は従来の手法で作製する。通常、免疫化した宿主動物の脾臓および/またはリンパ節が血漿細胞の供給源となる。血漿細胞を骨髄腫細胞と融合させて不死化させてハイブリドーマ細胞を得る。個々のハイブリドーマの培養上清を、標準的な方法でスクリーニングして所望の特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマを同定する。ヒトのタンパク質に対するモノクローナル抗体を産生させるのに適切な動物には、マウス、ラット、ハムスターなどが含まれる。マウスのタンパク質に対する抗体を産生させる場合は、このような動物は通常ハムスター、モルモット、ウサギなどである。抗体は、ハイブリドーマ細胞の上清または腹水から従来の手法(例えば不溶性の支持体やタンパク質Aセファロースなどに結合させたタンパク質を用いる親和性クロマトグラフィー)で精製することができる。
抗体は、通常の多量体構造ではなく1本鎖として産生させることができる。1本鎖の抗体についてはジョスト(Jost)ら(1994) J.B.C. 269:26267〜73および他の文献に記載されている。重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列を、小分子量の中性アミノ酸(グリシンおよび/またはセリンを含む)の少なくとも4アミノ酸をコードするスペーサーに連結する。この融合物にコードされるタンパク質には、元の抗体の特異性および親和性を保持する機能性の可変領域を集合させることができる。
ある態様においてはヒト化された抗体も対象となる。抗体をヒト化する方法は当技術分野で公知である。ヒト化抗体は、トランスジェニックのヒト免疫グロブリンの定常領域遺伝子を有する動物の産物の場合がある(例えば国際公開公報第90/10077号および第90/04036号を参照)。また対象となる抗体は、組換えDNA技術でCH1、CH2、CH3、ヒンジ領域、および/またはフレームワーク(framework)領域を、対応するヒト配列で置換することで作製することができる(国際公開公報第92/02190号を参照)。
IgのcDNAをキメラ免疫グロブリン遺伝子の構築に使用することは当技術分野で公知である(Liuら(1987)P.N.A.S. 84:3439および(1987)J. Immunol. 139:3521)。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞からmRNAを単離してcDNA作製に用いる。対象となるcDNAは、特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応で増幅させることができる(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号)。またはライブラリーを作製してスクリーニングを行って対象配列を単離する。次に抗体の可変領域をコードするDNA配列をヒトの定常領域配列と融合させる。ヒトの定常領域遺伝子の配列については、カバト(Kabat)ら(1991)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、N.I.H 出版番号91-3242号に記載されている。ヒトのC領域遺伝子は既知のクローンから容易に入手できる。アイソタイプを選択する際には、補体結合などの所望のエフェクター機能や抗体依存性の細胞障害活性を参考とする。好ましいアイソタイプはIgG1、IgG3、およびIgG4である。ヒトの軽鎖の定常領域、κ鎖またはλ鎖のいずれかを使用することができる。次にキメラのヒト化抗体を従来の方法で発現させる。
Fv、F(ab')2、およびFabなどの抗体断片は、完全なタンパク質を例えばタンパク質分解酵素または化学的な切断法で切断することで調製することができる。または先端が切断された(truncated)遺伝子を設計する。例えばF(ab')2断片の一部をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1領域およびヒンジ領域をコードするDNA配列と、それに続く翻訳停止コドンを含み、先端の切れた分子を作る。
H領域およびL J領域の共通(consensus)配列は、有用な制限酵素切断部位をJ領域に導入して、続いてV領域セグメントをヒトのC領域セグメントに連結させるためのプライマーとしてのオリゴヌクレオチドを設計する際に用いられる。C領域のcDNAは、部位特異的変異導入法でヒトの配列中の同様の位置に制限酵素切断部位を導入して修飾することができる。
発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、YAC、EBV由来のエピソームなどが含まれる。有用なベクターは、機能が損なわれていないヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードし、任意のVH配列またはVL配列を容易に挿入して発現させることができるような適切な制限酵素切断部位を備えたベクターである。このようなベクターでは通常、挿入されたJ領域中のスプライス供与体部位と、ヒトのC領域の手前にあるスプライス受容体部位間でスプライシングが起こるほか、ヒトのCHエキソン内で起こるスプライス領域でもスプライシングが起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流にある本来の染色体部位上で起こる。結果として生じるキメラ抗体は、レトロウイルスのLTR、例えばSV-40の初期プロモーター(Okayamaら(1983)Mol. Cell. Bio. 3:280)、ラウス肉腫ウイルスのLTR(Gormanら、(1982)、P.N.A.S. 79:6777)、およびモロニーマウス白血病ウイルスのLTR(Grosschedlら、(1985)Cell 41:885)、天然のIgプロモーターなどの任意の強力なプロモーターに連結することができる。
トランスジェニック
対象となる核酸を使用して、トランスジェニックの非ヒト植物または動物を作製することができるほか、または細胞系列内で部位特異的な遺伝子修飾を導入することができる。本発明のトランスジェニック細胞には、導入遺伝子として存在する、本発明の一つまたは複数の核酸が含まれる。この定義には、導入遺伝子を含むように形質転換された親細胞およびその子孫が含まれる。多くの態様におけるトランスジェニック細胞は、本発明の核酸を通常含まない細胞である。トランスジェニック細胞が天然の状態で対象核酸を含む態様においては、この核酸は細胞内において天然の位置とは異なる場所に存在する。すなわち細胞ゲノム上の天然とは異なる場所に組み込まれる。トランスジェニック動物は相同組換えを介して作製することができる。この場合、内在性の座位は変化する。あるいは核酸構築物は、ゲノム上に無作為に組み込まれる。安定に組み込まれるベクターには、プラスミド、レトロウイルス、および他の動物のウイルス、YACなどがある。
本発明のトランスジェニック生物は、内因性遺伝子の発現を消失させはしないにせよ少なくとも低下させた、内因性遺伝子をノックアウトした細胞および多細胞生物(例えば植物および動物)を含む。対象となるトランスジェニック生物はまた、タンパク質またはその異型が、通常は発現しないか、および/または細胞または組織内に通常みられるレベルとは異なるレベルで発現する細胞または組織で発現する、例えば植物および動物などの細胞および多細胞生物も含む。
相同組換えに用いるDNA構築物は、本発明の遺伝子の少なくとも一部を含む。この遺伝子には所望の遺伝的修飾があり、標的座位に対して相同な領域が含まれる。無作為に組み込ませるためのDNA構築物は組換えに関与する相同領域を含む必要がない。陽性または陰性の選択に用いるマーカーを含むことは有用である。相同組換えを介した標的遺伝子修飾を有する細胞を作製する方法は当技術分野で公知である。動物細胞をトランスフェクトするさまざまな手法は、キーオン(Keown)ら(1990)、Meth. Enzymol. 185:527〜537に記載されている。
胚幹細胞(ES細胞)を得るためには、ES細胞系列を使用するか、または宿主(例えばマウス、ラット、モルモットなど)から新鮮な状態で胚細胞を得る。このような細胞を適切な線維芽細胞支持細胞層で生育させるか、または白血病抑制因子(LIF)の存在下で生育させる。ES細胞または胚細胞を形質転換する際は、それらをトランスジェニック動物を作製するために使用する場合がある。形質転換後に細胞を適切な培地中の支持細胞層にプレーティングする。構築物を含む細胞を選択培地を用いて検出することができる。コロニーが生育するために十分な時間が経過した後に、構築物の相同組換えまたは組込みが起きたか否かについてコロニーを選抜して検討する。次に陽性を示すコロニーを用いて胚の操作および胚盤胞への注入を行う。胚盤胞は4週齢〜6週齢の過排卵状態の雌から回収する。ES細胞をトリプシン処理して細胞を修飾し、胚盤胞の胞胚腔に注入する。注入後に胚盤胞を偽妊娠状態の雌の個々の子宮角に戻す。次にこれらの雌が妊娠満期になるのを待ち、生まれた子孫を対象に構築物の有無についてスクリーニングを行う。胚盤胞の異なる表現型と、遺伝学的に修飾した細胞が提供されることで、キメラの子孫を容易に検出することができる。
キメラ動物を対象に、修飾遺伝子の有無についてスクリーニングを行い、また修飾を有する雄ならびに雌を交配させてホモ接合の子孫を得る。遺伝子修飾が原因で発生のある時点で致死となる場合は、組織または器官は、同種の(allogeneic)移植片または類遺伝子性の(congenic)移植片もしくは移植体、またはインビトロ培養で維持することができる。トランスジェニック動物は実験用動物や家畜などのヒト以外の哺乳類とすることができる。トランスジェニック動物は、機能に関する研究や薬剤スクリーニングなどに使用することができる。トランスジェニック動物の用途の代表例には後述する動物が含まれる。
トランスジェニック植物を同様の方法で作製することができる。トランスジェニック植物の細胞および植物体を調製する方法は、参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第5,767,367号;第5,750,870号;第5,739,409号;第5,689,049号;第5,689,045号;第5,674,731号;第5,656,466号;第5,633,155号;第5,629,470号;第5,595,896号;第5,576,198号;第5,538,879号;第5,484,956号に記載されている。トランスジェニック植物を作製する方法は「植物生化学および分子生物学(Plant Biochemistry and Molecular Biology)」(LeaおよびLeegood編、John WileyおよびSons)(1993)の275〜295ページでも概説されている。手短に言えば、植物種の性質に応じて適切な植物の細胞または組織を回収する。したがって状況によってはプロトプラストを単離する。プロトプラストは多種多様な植物組織(例えば葉、胚軸、根など)から単離することができる。プロトプラストを単離する際には、細胞壁を除くために、回収した細胞をセルラーゼとともにインキュベートする。詳細なインキュベーションの条件は、細胞を回収する供給源である植物および/または組織の種類に応じて変わる。結果として得られたプロトプラストを次に、ふるいにかけて遠心して細胞片から分離する。プロトプラストを使う代わりに、体細胞を含む胚形成外植片を用いてトランスジェニック宿主を調製することができる。細胞または組織を回収した後に関心対象の外因性DNAを植物細胞に導入する。この際、多種多様な導入法を用いることができる。単離されたプロトプラストを対象に、DNAを介した遺伝子導入プロトコルによる導入を行う。導入法は以下を含む:プロトプラストを裸のDNA(例えば多価陽イオン(PEGまたはPLOなど)の存在下で、関心対象の外因性コード配列を含むプラスミド)とともにインキュベートする;また、対象となる外因性配列を含む裸のDNAの存在下でプロトプラストの電気泳動を行う。次に、外因性DNAを取り込むことに成功したプロトプラストを選択してカルスに成長させ、最終的には、適切な量および比率の促進因子(例えばオーキシンおよびサイトカイン)と接触させてトランスジェニックの植物体に生育させる。胚形成の外移植片の場合は、標的となる体細胞に外来DNAを簡便に導入する際に、粒子加速法すなわち「遺伝子銃(gene-gun)」プロトコルを用いる。次いで、結果として得られた外移植片をキメラ植物体に生育させ、交配してトランスジェニックの子孫を得る。上記の裸のDNAを用いる方法以外の、トランスジェニック植物の別の簡便な作製法がアグロバクテリウムを介した形質転換法である。アグロバクテリウムを介した形質転換法では、外来DNAを含む融合体(co-integrative)ベクターまたはバイナリー(binary)ベクターを調製して、それを適切なアグロバクテリウム株(例えばA. tumefaciens)に導入する。結果として得られた細菌を次に、調製済みのプロトプラストまたは組織移植片(例えば葉のディスク)とともにインキュベートしてカルスを生じさせる。次にカルスを選択条件で生育させ、選択して培地中で根および茎頂の生育を誘導させることで最終的にトランスジェニック植物を得る。
有用性
対象となる色素タンパク質およびその蛍光変異体は多種多様な応用で使用される。応用は、対象タンパク質が色素タンパク質かまたは蛍光タンパク質かのいずれかによって必然的に変わる。個々の種類のタンパク質の代表的な用途を以下に説明する。記載した用途はあくまで代表的なものであり、対象タンパク質の用途を以下の記述に制限する意図はない。
色素タンパク質
本発明で対象となる色素タンパク質は多種多様な応用で使用される。対象となる一つの応用は、対象タンパク質を、特定の組成物に色を付けたりまたは色素を加えることができる着色剤として使用することである。ある態様において特に関心対象であるのは毒性のない色素タンパク質である。対象となる色素タンパク質は多種多様な組成物に取り込ませることができる。代表的な組成物には、食品成分、医薬品、化粧品、生物(例えば動物や植物)などがある。着色剤または色素として使用する場合は、十分量の色素タンパク質を組成物に取り込ませて、所望の色または色素を付ける。色素タンパク質は、任意の簡便なプロトコルを用いて組成物に取り込ませることができる。使用する特定のプロトコルは、少なくとも部分的には着色対象組成物の性質に必然的に依存する。使用するプロトコルには、混合(blending)、拡散(diffusion)、摩擦(friction)、吹きつけ(spraying)、注入(injection)、入れ墨(tattooing)など含まれるがこれらに限定されない。
色素タンパク質はまた、分析物の検出アッセイ法(例えば対象となる生物学的分析物のアッセイ法)の標識としても使用される。例えば色素タンパク質は、分析物に特異的な抗体またはその結合断片とともに付加物に取り込まれたあとに、複合試料中で、対象分析物のイムノアッセイ法で用いられる。この手順は参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第4,302,536号に記載されている。抗体またはその結合断片ではなく、対象色素タンパク質またはその色素生産性断片を、対象分析物または他の部分に特異的に結合するリガンド、成長因子、ホルモンなどと結合させることができる。これらは当業者には容易に理解される。
さらに別の態様においては、対象色素タンパク質は、組換えDNAの応用(例えば上述のトランスジェニックの細胞および生物の作製)で選択マーカーとして使用できる。したがって、成功または不成功のプロトコルのいずれかに対する、選択マーカーとして対象色素タンパク質の発現を利用するために、特定のトランスジェニック作製プロトコルを作ることができる。したがって、特定の工程で産生されたトランスジェニック生物の表現型における対象色素タンパク質の色の外観は、特定の生物が対象導入遺伝子を良好に保持する(多くの場合は生物において導入遺伝子を発現するように組み込まれる)ことを示すために使用することができる。選択マーカーとして使用する場合は、対象色素タンパク質をコードする核酸を、遺伝子導入体の作製過程(既に詳述)で使用することができる。対象タンパク質を選択マーカーとして用いる対象となる特定のトランスジェニック生物には、トランスジェニックの植物、動物、細菌、真菌などが含まれる。
さらに別の態様においては、本発明の色素タンパク質(および蛍光タンパク質)は、国際公開公報第00/46233号に記載されたタンパク質の使用法と同様に、選択フィルターなどとして日焼け止め剤に使用される。
蛍光タンパク質
本発明の対象となる蛍光タンパク質(ならびに上記の本発明の他の組成物)は、多種多様な応用で使用される。応用には以下のものが含まれるがこれらに限定されない。対象となる最初の応用では、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)への応用で対象タンパク質を使用する。この応用では、対象タンパク質は、第2の蛍光タンパク質または色素(例えばMatzら、Nature Biotechnology(1999年10月)17:969〜973に記載された蛍光タンパク質)、オワンクラゲ(Aequoria victoria)の緑色蛍光タンパク質またはその蛍光変異体(例えば参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第6,066,476号;第6,020,192号;第5,985,577号;第5,976,796号;第5,968,750号;第5,968,738号;第5,958,713号;第5,919,445号;第5,874,304号に記載)、他の蛍光色素(例えばクマリンおよびその誘導体(例えば7-アミノ-4-メチルクマリン、アミノクマリン)、ボディピー(Bodipy) FLなどのボディピー色素、カスケードブルー、フルオレセイン、およびその誘導体(例えばフルオレセインイソチオシアナート)、オレゴングリーン、ローダミン色素(例えばテキサスレッド、テトラメチルローダミン、エオシン、およびエリトロシン)、シアニド色素(例えばCy3およびCy5)、ランタノイドイオンの大環状キレート(例えば量子色素など)、化学発光色素(例えばルシフェラーゼ、参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第5,843,746号;第5,700,673号;第5,674,713号;第5,618,722号;第5,418,155号;第5,330,906号;第5,229,285号;第5,221,623号;第5,182,202号に記載されたものを含む))と組み合わせて供与体および/または受容体としてはたらく。使用される可能性のある対象蛍光タンパク質を使用するFRETアッセイ法の特定の例は、以下の例を含むがこれらに限定されない:タンパク質-タンパク質相互作用の検出(例として、多種多様な事象に対するバイオセンサーとしてはたらく、哺乳類のツーハイブリッド(two-hybrid)系、転写因子の二量体化、膜タンパク質の多量体化、多タンパク質複合体の形成など。この場合、ペプチドまたはタンパク質は、対象蛍光タンパク質および連結用のペプチドまたはタンパク質を含むFRET蛍光コンビネーションと共有結合するし、例としてタンパク質分解酵素に特異的な基質、例としてカスパーゼによる切断では、FRETを上昇または下降させるシグナル受けて立体構造の変化を受けるリンカー、例としてPKA調節領域(cAMPセンサー)、リン酸化(例えばリンカー内にリン酸化部位があるか、またはリンカーに別のタンパク質のリン酸化/脱リン酸化された領域に対する結合特異性があるか、またはリンカーにCa2+結合領域がある)。対象タンパク質を使用する代表的な蛍光共鳴エネルギー移動すなわちFRETの応用は、以下のものを含むがこれらに限定されない:米国特許第6,008,373号;第5,998,146号;第5,981,200号;第5,945,526号;第5,945,283号;第5,911,952号;第5,869,255号;第5,866,336号;第5,863,727号;第5,728,528号;第5,707,804号;第5,688,648号;第5,439,797号、これらは参照として開示が本明細書に組み入れられる)。
対象蛍光タンパク質はまた、原核生物および真核生物の細胞におけるバイオセンサー(例えばCa2+イオンインジケーター、pHインジケーター、リン酸化インジケーター、他のイオン(例えばマグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物、およびハロゲン)のインジケーター)として使用される。例えば、Caイオンを検出する際は、EFハンドモチーフを含むタンパク質がCa2+の結合を受けて細胞質から膜へ移動することが知られている。このようなタンパク質は、同タンパク質の他の領域との疎水性相互作用により分子の奥に埋め込まれたミリストイル基を含む。Ca2+が結合すると立体構造が変化してミリストイル基が露出し、脂質二重膜への挿入に利用される(「Ca2+-ミリストイルスイッチ」と呼ばれる)。タンパク質を含むこのようなEFハンドが蛍光タンパク質(FP)と融合すると、共焦点顕微鏡で細胞質から形質膜への移動を追跡することで細胞内Ca2+のインジケーターとすることができる。この系における用途に適したEFハンドをもつタンパク質にはリカバリン(1-3)、カルシニューリンB、トロポニンC、ヴィシニン(visinin)、ニューロカルシン、カルモジュリン、パルブアルブミンなどがあるがこれらに限定されない。pHについては、ヒサクトフィリン(hisactophilin)を基にした系を用いることができる。ヒサクトフィリンはミリストイル化されたヒスチジンに富むタンパク質であり、粘菌(Dictyostelium)に存在することが知られている。ヒサクトフィリンとアクチンおよび酸性脂質への結合は、細胞質のpH変動の範囲内で明確にpH依存性を示す。生細胞の膜への結合は、ヒサクトフィリンとアクチンフィラメントの相互作用に優先すると考えられる。pHが6.5以下の場合はそれらは形質膜および核に存在する。これとは対照的にpH 7.5では細胞質空間全体に均等に分布する。このような分布の変化は可逆的であり、分子表面上にループ状に露出したヒスチジンクラスターの影響を受ける。細胞質のpH変動の範囲内における細胞内分布の復帰は、ヒスチジン残基のpKが6.5であることと矛盾しない。このような細胞内分布は、タンパク質のミリストイル化とは無関係である。FP(蛍光タンパク質)をヒサクトフィリンに融合させることで、融合タンパク質の細胞内分布を、レーザースキャニング、共焦点顕微鏡、または標準的な蛍光顕微鏡で追跡することができる。定量的な蛍光分析は、細胞全体を対象としたラインスキャン(レーザースキャニングを用いた共焦点顕微鏡)、または他の電子データの分析(例えばメタモルフ(metamorph)ソフトウェア(Universal Imaging Corp)を用いて、細胞集団を対象に集めたデータを平均化する)を実施することで行われる。細胞質から形質膜に向かう実質的にpH依存性のヒサクトフィリン-FPの再分布は1分〜2分内に完了して5分〜10分後には定常状態となる。逆反応は同様の時間尺度で起きる。したがって同様の様式ではたらくヒサクトフィリン-蛍光タンパク質の融合タンパク質は、生きている哺乳類細胞の細胞質のpH変化を同時進行で追跡するために使用することができる。このような方法は、高いスループットの応用(例えば成長因子受容体(例えば上皮または血小板由来成長因子)の活性化、化学走性刺激/細胞移動の結果としての細胞内pH変化の検出、2次メッセンジャーとしての細胞内pH変化の検出、pHを操作する実験における細胞内pHのモニタリングなど)で使用される。PKC活性を検出する際には、レポーター系は、MARCKS(ミリストイル化されたアラニンに富むCキナーゼの基質)と呼ばれる分子がPKCの基質であるという事実を利用する。これは、ミリストイル化および静電的相互作用を介して負に帯電した形質膜に結合する正に帯電したアミノ酸(ED領域)の連続により形質膜に固定される。PKCが活性化されるとED領域はPKCによってリン酸化されることで負に帯電するようになり、静電気的な反発の結果としてMARCKSは形質膜から細胞質へ移動する(「ミリストイル静電的スイッチ」と呼ばれる)。ミリストイル化モチーフからMARCKSのED領域までのMARCKSのN末端を本発明の蛍光タンパク質と融合させると、上述したPKC活性の検出系となる。PKCによりリン酸化されると、融合タンパク質は形質膜から細胞質へ移動する。この移動は、標準的な蛍光顕微鏡または共焦点顕微鏡(例えばセロミックス(Cellomics)技術または他の高コンテントスクリーニング系(High Content Screening System)(例えばUniversal Imaging Corp./Becton Dickinson)を使用)で追跡できる。上述のレポーター系は、高コンテントスクリーニング(例えばPKC阻害剤のスクリーニング)に応用できるほか、この情報伝達経路を干渉すると考えられる試薬に対する多くのスクリーニング条件におけるPKC活性のインジケーターとして使用することができる。蛍光タンパク質をバイオセンサーとして使用する方法は、参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第972,638号;第5,824,485号、および第5,650,135号に記載された方法(ならびに本明細書で引用した方法)も含む。
対象蛍光タンパク質はまた、顕微鏡画像および電気的分析を用いた、蛍光レポーティング基を発現する細胞アレイ(array)の自動スクリーニングが関与する応用においても使用される。スクリーニングは、薬剤探索や機能ゲノム科学分野で利用することができる。この場合、例えば対象タンパク質を全細胞のマーカーとして使用して、多細胞の再編成および移動(例えば内皮細胞による多細胞性細管の形成(血管形成)、フルオロブロックインサート系(Fluoroblok Insert System)(Becton Dickinson Co.)を介した細胞移動、創傷治癒、神経突起伸長など)の変化を検出する。この場合、タンパク質はペプチド(例えば標的配列)に融合するマーカーとして使用され、例えば細胞内活動のインジケーターとしての細胞内局在の変化を可能とするタンパク質である。細胞内活動の例を以下に挙げる:キナーゼなどの情報伝達、タンパク質キナーゼC、タンパク質キナーゼA、転写因子NF-κB、およびNFATなどの刺激を受けた結果の転写因子のトランスロケーション;細胞周期にかかわるタンパク質(サイクリンA、サイクリンB1、およびサイクリンE);タンパク質分解酵素による切断とそれに続く切断後基質であるリン脂質の、高コンテントスクリーニングの手段としての小胞体、ゴルジ装置、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、核、核小体、形質膜、ヒストン、エンドソーム、リソソーム、微小管、アクチンなどの細胞内構造のマーカーを伴う移動;他の蛍光融合タンパク質と、細胞内蛍光融合タンパク質/ペプチドの運動を示すインジケーターとして、またはマーカー単独としてのこれらの局在化マーカーとの共存など。対象蛍光タンパク質を使用する細胞アレイの自動スクリーニングを含む応用例は、参照として本明細書に含まれる米国特許第5,989,835号と同様に、国際公開公報第00/17624号;国際公開公報第00/26408号、国際公開公報第00/17643号、および国際公開公報第00/03246号を含む。
対象蛍光タンパク質は高いスループットのスクリーニングアッセイ法でも使用される。対象蛍光タンパク質は半減期が24時間を上回る安定なタンパク質である。また、半減期がより短く、薬剤探索の転写レポーターとして使用可能な対象蛍光タンパク質の不安定化変形も提供する。例えば本発明のタンパク質を、半減期の短いタンパク質に由来するタンパク質分解シグナル配列と推定される配列(例えばマウスのオルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子のPEST配列やマウスのサイクリンB1破壊ボックスおよびユビキチンなど)と融合させることができる。情報伝達経路で作用するプロモーターを、薬剤スクリーニングを目的とした対象蛍光タンパク質の不安定化された変形(例えばAP1、NFAT、NF-κB、Smad、STAT、p53、E2F、Rb、myc、CRE、ER、GR、およびTREなど)を用いて検出することができる。
対象タンパク質を2次メッセンジャー検出因子(detector)として使用することができる。この場合、例えば対象タンパク質を特定の領域(例えばPKC-γのCa結合領域、PKC-γのDAG結合領域、SH2領域およびSH3領域など)に融合させる。
分泌型の対象タンパク質は例えば、分泌型のリーディング(leading)配列を対象タンパク質に融合させて、最終的に多種多様な応用で使用可能な分泌型の対象タンパク質を構築することで調製することができる。
対象タンパク質はまた、蛍光活性化細胞選別における応用に使用される。この応用では、対象蛍光タンパク質を細胞集団に印を付ける標識として使用し、標識細胞集団を次に当技術分野で公知の蛍光活性化細胞選別装置で選別する。FACS法は、参照として開示が本明細書に組み入れられる米国特許第5,968,738号および第5,804,387号に記載されている。
対象タンパク質はまた、動物(例えばトランスジェニック動物)用のインビボにおけるマーカーとしても使用される。例えば対象タンパク質の発現を組織特異的なプロモーターで駆動することができる。このような方法は他の応用における遺伝子治療の研究、例えば導入遺伝子の発現効率の試験で使用される。対象タンパク質のこの種の応用を説明するトランスジェニック動物における蛍光タンパク質の代表的な応用は、参照として開示が本明細書に組み入れられる国際公開公報第00/02997号に記載されている。
対象タンパク質の他の応用例は以下を含む:細胞または動物への注入後のマーカーおよび、定量的測定の較正時に使用するマーカー(蛍光およびタンパク質);細胞の生死をモニタリングする酸素バイオセンサー装置におけるマーカーまたはレポーター;動物、ペット、おもちゃ、食品などのマーカーまたは標識。
対象蛍光タンパク質はタンパク質分解酵素切断アッセイ法にも使用される。例えば、対象タンパク質を用いて、切断不活性化蛍光アッセイ法を開発することができる。この場合、対象タンパク質を、タンパク質の蛍光特性を無効とすることなく、タンパク質分解酵素に特異的な切断配列を含むように作製する。活性化したタンパク質分解酵素により蛍光タンパク質が破壊されると、機能性発色団が破壊されるために蛍光は急激に減少すると思われる。あるいは対象タンパク質を用いて、切断により活性化される蛍光を開発することができる。この場合、対象タンパク質を発色団の極めて近位または内部に付加的なスペーサー配列を含むように作製する。このような異型の蛍光活性は、機能性発色団の一部がスペーサーで分断されることから有意に低下すると思われる。スペーサーの両側には、2か所の同一なタンパク質分解酵素特異的切断部位が置かれる。活性化されたタンパク質分解酵素によって切断されると、スペーサーが切断されて、蛍光タンパク質の2つの残存する「サブユニット(subunit)」が再集合して機能性の蛍光タンパク質を生じると考えられる。上述の応用の両種類とも、多種多様な型のタンパク質分解酵素(例えばカスパーゼなど)を対象としたアッセイ法で開発できると考えられる。
対象タンパク質はまた、生物学的な膜内のリン脂質組成物を決定するアッセイ法に使用することもできる。例えば、特定のリン脂質を結合させて、生物学的な膜におけるリン脂質分布のパターンの局在/可視化を可能とし、さらに特定のリン脂質小領域における膜タンパク質の共存を可能とする対象タンパク質の融合タンパク質(または対象タンパク質の共有結合または非共有結合による修飾の他の任意の種類)は、対象タンパク質を用いて達成することができる。例えばGRP1のPH領域は、ホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)に対しては高い親和性を示すが、PIP2には親和性を示さない。したがって、GRP1のPH領域と対象タンパク質との融合タンパク質を構築することで、生物学的な膜上にPIP3に富む領域を特異的に標識することができる。
対象タンパク質のさらに別の応用は、蛍光タンパク質の加齢を伴う、一つの蛍光色素を別の蛍光色素(例えば緑色から赤色)へ切り替える蛍光タイマーを用いて遺伝子発現(例えば発生関連遺伝子の発現、細胞周期に依存する遺伝子の発現、慨日リズムに特異的な遺伝子の発現など)の活性化/非活性化を判定することである。
上述した本発明の抗体は、対象タンパク質と他の蛍光タンパク質の区別を含むいくつかの応用でも使用される。
キット
本発明では、一つまたは複数の上述の応用を実施する際に使用されるキットも提供する。この場合、対象となるキットは、対象となる方法に用いる色素タンパク質または蛍光タンパク質を含むほか、タンパク質(例えば対象タンパク質のコード領域を含むベクターを含む構築物)を作製する方法を含む。したがってタンパク質または構築物は、適切な保存用溶媒(例えば緩衝液)中に、典型的には適切な容器内に存在する。対象キットには提供されるタンパク質に対する抗体が存在する場合もある。ある態様においては、キットは複数の異なるベクターを含み、各ベクターは対象タンパク質をコードする。この場合ベクターは、異なる環境および/または異なる条件で発現するように設計される。例えばベクターが、哺乳類細胞における強力な発現プロモーターを含む場合は構成的に発現する。このほかに使用者が任意のプロモーターを挿入して意図した発現を行うことができる、マルチクローニングサイトがあってプロモーターのないベクターを含む場合もある。
以下に挙げる実施例は、説明を目的として提供するものであって、制限する意図はない。
実験
I.野生型の花虫類タンパク質
下表に、本発明の9種の特定の野生型花虫類タンパク質の特性をまとめた:
(表1)
Figure 0006074162
*相対量子収量は、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPの量子収量と比較して決定した。
**相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPに関する同値で割った値である。
II.amFP486の特性およびその変異体
A.amFP486変異体の構築
amFP486の2種の変異体(Mut15およびMut32)を作製した。野生型であるamFP486と比較して、Mut15には以下の点突然変異がある:101位におけるA→G(番号はATGを開始点とする);129位におけるT→C;202位〜204位におけるAAA→TTG;240位におけるC→T。Mut32には野生型に対して2か所のアミノ酸の置換(Asn-34→Ser;およびLys-68→met)がある。表2にMut15およびMut32のスペクトル特性を示す。
(表2) 単離されたMut15およびMut32のスペクトル特性
Figure 0006074162
*相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPに関する同値で割った値である。
B.ベクターの構築と機能分析
Mut32のDNAをPCRで増幅し、EGFP-N1を主鎖とするベクターのBamHIおよびNotI制限酵素切断部位に再構築した。このベクターのマルチクローニングサイトはEGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。
作製したベクターの機能に関する試験を、293細胞に一過的にトランスフェクトすることで行った。24時間発現させた後にpECFP-N1と並べて比較したところ、pCNFPMut32-N1の蛍光強度がより明るく、光退色が弱いことが顕微鏡による観察で明らかとなった。
Mut32の折りたたみは迅速であり蛍光強度は強いことから、いくつかの応用において有用である。PKC-γ-CNFPを始めとするいくつかの融合タンパク質について検討を行った。細胞をPMA(ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸)で処理するとPKCが細胞質から形質膜へ移動することがわかった。
C.転写レポーターとしての不安定化されたamFP486ベクターの作製
3種の不安定化されたamFP486ベクターを、d1、d2、およびd376などの異なるマウスODC分解領域を野生型amFP486のC末端に融合させて構築した。このベクターはEGFP-N1を主鎖として構築した。
pCRE-d1CNFPとpNF-κB-d1CNFPの両ベクターは、d1CNFPをそれぞれcAMP応答配列(CRE)またはNF-κB応答配列の下流に配置して構築した。d1CNFPの発現は、これらの応答配列の活性化によって上方制御される。
D.不安定化されたamFP486の機能分析
不安定化されたamFP486の機能に関する試験を、293細胞に一過的にトランスフェクトすることで行った。24時間発現させた後に、蛍光強度はd2、d1、d376の順に低下した。これは、異なるマウスODC分解領域と融合させたためである。タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドで4時間処理しても、d2の蛍光強度はそれほど変化しなかったが、d1の蛍光強度は元の強度に比べてさらに50%低下した。d1の半減期はおよそ4時間である。
MODCd1は、転写レポーターとしての応用上、有用な手段である。しかしEGFP-d1(半減期1時間)と比べてpCNFP-MODCd1の半減期(4時間)はさらに長いため、半減期が短い変形を得るためにはMODC分解領域にさらに変異を導入する必要がある。
pCRE-d1CNFPとpNF-κB-d1CNFPの両ベクターの機能に関する試験を、HEK293細胞に一過的にトランスフェクトすることで行った。トランスフェクトしてから16時間後に10μmのフォルスコリンを添加してCREを誘導し、100 ng/mlのTNF-αを添加してNF-κBを6時間かけて誘導した。d1CNFPの発現はFACS Caliburで分析した。フォルスコリン誘導性のCRE活性化による蛍光の最大7倍の上昇と、TNF-αで誘導したNF-κB活性化による蛍光の4倍の上昇が認められた(データは示していない)。
E.ヒト化されたMut32(phCNFP-N1)の構築と機能試験
哺乳類における発現は極めて広く用いられている手段であるので、哺乳類細胞で良好に発現させるためには、ヒトに適したコドンを採用した変形が必要である。ヒト化されたMut32を作製するために、最初にMut32の配列をヒトで使用されることの多いコドンに変えて、23のオリゴ(12Fおよび11R)を設計した。次に各回が20サイクルからなるPCR増幅を4回にわたって行った。PCRのサイクルは以下のように設定した:94℃で1分間;94℃で1分間;40℃で1分間、また72℃で1分間。この4回の内訳は以下の通りであった:第1回では2 μlの4種の各オリゴ(60 bp)、5 μlの緩衝液、1 μlのpfu、1 μlのdNTPを混合して総容量50 μlとした。20サイクルのPCRを行った後に、5セットの150 bp、および1セットの90 bpの4 ラスト(last)オリゴ産物を得た。第2回では各10 μlの新たな粗PCR産物、5 μlの緩衝液、1 μlのpfu、1 μlのdNTPを混合して総容量50 μlとした。20サイクルのPCRを行った後に、2セットの270 bpおよび1セットの210 bpのPCR産物を得た。第3回では新たな粗PCR産物を混合した。20サイクルのPCRを行った後に、1セットの510 bpおよび1セットの450 bpの産物を得た。第4回では、新たな粗産物を混合した。20サイクルのPCRを行った後に最終PCR産物(690 bp)を得た。1Fおよび11Rのプライマーを用いてさらにPCR増幅を行った。結果としてヒト化されたMut32が得られた。このヒト化されたMut32をEGFP-N1を主鎖とするベクターに挿入した。
F.哺乳類細胞における野生型および変異型のamFP486の発現
元のプラスミドamFP486 DNA(野生型、pQE30上のMut15およびMut32)を用いて、上述したN1型のamFP486野生型、Mut15、およびMut32を構築した。このDNAを大腸菌DH5αに導入した。カルシウムリン酸法(Clontech製品番号K2051-1)で3種のN1構築物をHEK293細胞に移した。
導入細胞の蛍光強度をFL1(510/30)検出用チャンネルを備えたFACSで分析した。各構築物につき5種の試料を平行して分析した。各試料のM1集団のFL1の蛍光強度の平均値を表3にまとめる。各構築物(野生型、Mut15、およびMut32)の平均値の補正後の平均には有意差がないことがわかる。
(表3) M1集団のFL1蛍光強度
Figure 0006074162
G.融合タンパク質Mut15-mdm2の作製および発現
Mut15-mdm2融合体を以下の手順で作製した:第1にヒトのMarathon cDNAライブラリー(Burke'sリンパ腫)を以下のプライマーを用いて増幅することでmdm2 DNAを得た:
Figure 0006074162
(配列番号:19)および
Figure 0006074162
(配列番号:20);第2に、精製後のPCR産物を以下のプライマー:
Figure 0006074162
(配列番号:21)および
Figure 0006074162
(配列番号:22)
で増幅することで、コザック(Kozac)配列および制限酵素切断部位を導入した;第3に、工程2で得た精製後のPCR産物をEcoRIとSmaIで切断し、それをNFP1Mut15-N1ベクターのEcoRIおよびSmaIに挿入した(このベクターはpEGFP-N1主鎖のBamHI部位およびNotI部位を用いて作製した)。生じたMut15-mdm2融合体を次にHEK293細胞中で発現させた。
H.タンパク質の蛍光強度の比較
PQE30 amFP486野生型、Mut15、およびMut32でDH5αを形質転換した。この細菌を1 mMのIPTGの存在下で一晩生育させてタンパク質の発現を誘導した。細胞を100 mMのトリス、pH 8.0中で超音波処理を行い溶解した。室温で3000 rpmで15分間遠心して細胞溶解物を回収した。タンパク質をTALONメタル親和性樹脂(Metal Affinity Resin)を用いて精製した。手短に説明すると、タンパク質を樹脂に吸着させた後にビーズを段階的に洗浄(1回目の洗浄を行った後に1回目の溶出(50 mMのイミダゾール)を行う)した後に、100 mMのTris-HCl、pH 8.0中で2回目の溶出(200 mMのイミダゾール)を行った。タンパク質は、大部分が2回目の工程の溶出液中にあることがわかる。Mut32の細菌発現レベルが最も高く、Mut15が最も低いことがわかった。
各溶出分画試料をSDS-PAGEに流してタンパク質の純度を確認した。野生型のamFP486とMut32のいずれもが単一のバンドを示すが、Mut15では高分子量の2本のマイナーバンドがさらに認められる(データは示していない)。
タンパク質濃度(分画II-2)を確認し、標準品としてBSAを用いてブラッドフォード(Bradford)アッセイ法(Bio-Radの標準アッセイ法)で測定した。スペクトルを図8〜11に示す。蛍光強度(分画II-2)はLS50Bルミネセンス・スペクトロメーター(Luminescence Spectrometer)LS50Bを用いて決定した。EXは458 nm、EMは492 nmであり、両スリットとも2.5 nmである。表4にタンパク質濃度、相対蛍光(FL)強度、および容量700 μlにおける強度/μgタンパク質を示す。Mut32が野生型と同程度に明るく、Mut15は野生型と比較して最も暗いことがわかる。
(表4)
Figure 0006074162
III.cFP484およびその変異体の性質
A.変異体の作製
2通りの個別のPCR反応で2種の欠失変異体を作製した:一つはΔ19 cFP484でありcFP484のN末端の先頭の19アミノ酸を欠き、もうひとつはΔ38 cFP484でありcFP484のN末端の先頭の38アミノ酸を欠く。蛍光タンパク質Δ19 cFP484またはΔ38 cFP484をコードするDNAを含む哺乳類用の発現ベクターを作製し、それぞれpΔ19 NFP2-N1とpΔ38 NFP2-N1と命名する。
B.哺乳類細胞におけるcFP484の欠失変異体の一時的な発現
HeLa細胞に、蛍光タンパク質Δ19 cFP484をコードするDNAを含む哺乳類用発現ベクターpA19 NFP2-N1を一過的にトランスフェクトした。トランスフェクション後に細胞を37℃で48時間インキュベートした後に、3.7%のホルムアルデヒド中に固定した。細胞をマウンティング培地にマウントして蛍光顕微鏡で観察した。モノクロームの冷却CCDカメラ(Roper Scientific)でメタモルフ(MetaMorph)ソフトウェア(Universal Imaging Corp.)を用いてデジタル画像を得た。フィルターセットXF 114(Omega Optical)を用いて、Δ19 cFP484から放出される蛍光を画像化した。画像は擬似的に着色した。Δ38 cFP484はHeLa細胞で発現させても蛍光を発した。
IV.zFP506およびその変異体の性質
A.変異体の作製
zFP506の変異体、N65Mを作製した。野生型であるzFP506と比べてN65Mには「AAC」から「ATG」への変異がある。この変異により65位における対応アミノ酸がアスパラギン(N)からメチオニン(M)に変わる。N65Mのスペクトル特性を表5に示す。
(表5) 単離されたN65Mのスペクトル特性
Figure 0006074162
*相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPに関する同値で割った値である。
B.ベクターの構築および機能分析
ヒト化されていないzFP506 DNAをPCRで増幅し、EGFP-N1を主鎖とするベクター中に再構築した。このベクターのマルチクローニングサイトはEGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。作製したベクターの機能に関する試験を、293細胞に一過的にトランスフェクトすることで行った。トランスフェクトしてから24時間後にzFP506の発現を蛍光顕微鏡で調べた。zFP506の蛍光強度は良好で、EGFP-N1と同等であることがわかった。
C.転写レポーターとしての不安定化されたzFP506ベクターの作製
zFP506は極めて安定なため、タンパク質の速い代謝回転を観察するためには、zFP506の不安定化変形を作製する必要がある。不安定化されたEGFPと同じ手法を用いて、マウスのODC分解領域をzFP506のC末端に融合させることで2種の不安定化されたzFP506ベクターを構築した。d2型と比べて、不安定化されたzFP506のd1型には3か所のEからAへの変異がMODC分解領域中にあるので、MODC分解領域を融合させたタンパク質の半減期は短くなる。不安定化されたd1zFP506およびd2zFP506は、EGFP-N1を主鎖とするベクター中に構築した。
D.不安定化されたzFP506の機能分析
野生型のd1zFP506を293細胞に一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後にCHXを添加してタンパク質合成を停止させた。この処理から4時間後に蛍光顕微鏡で細胞を調べた。MODC領域をzFP506に融合させると、蛍光強度がzFP506そのものと比べて若干低下することがわかる。処理から4時間後に蛍光強度は50%低下する。
E.転写レポーターとしての不安定化されたd1zFP506の応用
不安定化されたd1zFP506をpCRE-d1GNFPベクターとpNF-κB-d1GNFPベクター中に構築した。その発現は、それぞれcAMP応答配列(CRE)またはNF-κB応答配列下で調節した。これらのベクターを293細胞に一過的にトランスフェクトし、トランスフェクションの24時間後にd1GNFPの発現をフォルスコリンまたはTNF-αで誘導した。誘導の6時間後に培養物をFACSで分析した。CRE-d1GNFPの蛍光強度が7倍誘導され、NF-κB-d1GNFPでは4倍誘導されたことが明らかとなった(データは示していない)。これは、不安定な状態のGNFPが転写レポーターとして利用できることを意味する。
F.ヒト化されたzFP506とヒト化されたN65Mの構築と機能試験
哺乳類における発現は極めて広く用いられている手段であるので、哺乳類細胞で良好に発現させるためには、ヒトに適するコドンを採用した変形が必要である。ヒトで使用される頻度の高いコドンのオリゴの各ピースを連結して、完全長の野生型および/または変異型のzFP506を作製した(hGNFP-zFP506とhGNFP-N65M)。このヒト化されたzFP506をEGFP-N1を主鎖とするベクター中に構築した。
V.zFP538とその変異体の性質
zFP538の一つの変異体、M128 を作製した。M128Vは、65位における部位特異的変異導入法で、正しくないヌクレオチドをPCRの過程で導入して作製した。明るい黄色を示した1個のコロニーを回収し、このクローンの配列を決定した。このクローンは65位に野生型のアミノ酸リジン(K)を含むが、128位においてメチオニン(M)がバリン(V)で置換されていることがわかった(番号はGFPを基準とする)。
さらに調査したところ、M128Vのスペクトル特性は野生型のタンパク質であるzFP538に極めて似ているが、より速く折りたたまれることがわかった。表6にM128Vのスペクトル特性を示す。
(表6) 単離されたM128Vのスペクトル特性
Figure 0006074162
*相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)GFPのに関する同値で割った値である。
A.ベクターの構築と機能分析
野生型(wt)および変異型zFP538のDNAをともにPCRで増幅し、EGFP-N1を主鎖とするベクター中に再構築した。このベクターのマルチクローニングサイトはEGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。pYNFPwtもpYNFPW128VもEGFP-N1と同じマルチクローニングサイトをもつ。作製したベクターの機能試験を293細胞に一過的にトランスフェクトして行った。24時間発現させた後に、pYNFPwt、pYNFPM12V、およびEYFPを並べて比較したところ、pYNFPwtの蛍光強度がEYFPの蛍光強度よりも弱いことがわかった(データは示していない)。しかしpYNFPM128Vの蛍光強度はEYFPと同程度であることが蛍光顕微鏡による観察で明らかとなった。
B.転写レポーターとしての不安定化されたzFP538ベクターの作製
不安定化されたEGFPと同じ方法で、不安定化されたzFP538ベクターをd1やd2などの異なるマウスODC分解領域をzFP538のC末端に融合させることで構築した。不安定化されたYNFPのd1型にはd2型と比べて3か所のEからAへの変異がMODC分解領域中にある。pYNFPM128V-MODCd1とpYNFPM128V-MODCd2の両ベクターをEGFP-N1を主鎖とするベクター中に構築した。
C.不安定化されたzFP538の機能分析
不安定化されたzFP538の機能試験を293細胞に一過的にトランスフェクトすることで行った。24時間発現させた後に、蛍光強度はd2、d1の順に低下した。これは異なるマウスODC分解領域と融合させたためである。タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドで4時間処理してもd2の蛍光強度はそれほど変化しなかったが、d1の蛍光強度は元の強度に比べてさらに50%低下した。d1の半減期はおよそ4時間である。
M128Vの折りたたみは迅速で蛍光強度は強いことから、いくつかの応用において有用である。PKC-γ-YNFP (M128V)を始めとするいくつかの融合タンパク質について検討を行った。細胞をPMA(ホルボール12-ミリスチン酸13-酢酸)で処理するとPKC-γが細胞質から形質膜へ移行することがわかった。
D.ヒト化されたM128Vの構築と機能試験
ヒト化されたM128Vを作製して、pEGFP-N1を主鎖とするベクター中に配置した。このベクターのマルチクローニングサイトは、pEGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。C1およびpEGFPの構築は進行中である。
VI.drFP583とその変異体の性質
A.哺乳類細胞における発現
HeLa細胞に、プラスミドpDsRed1-N1(drFP583をコードするDNAを含むベクター)またはプラスミドpEGFP-C1(オワンクラゲ(Aequorea victoria)のEGFPをコードする)のいずれかをトランスフェクトした。トランスフェクション直後に細胞を混合してカバーガラス上にプレーティングした。細胞を37℃で48時間インキュベートした後に3.7%のホルムアルデヒド中に固定した。細胞をマウンティング培地にマウントして蛍光顕微鏡で観察した。EGFPにはクロマ(Chroma)フィルターセット31001を用い、かつ、drFP583にはフィルターセット31002を用いて、冷却CCDカメラ(Roper Scientific)とメタモルフ(MetaMorph)ソフトウェア(Universal Imaging)で同視野から画像を撮影した。画像を擬似的に着色してオーバーレイ処理を行った。同視野から位相差を撮影してオーバーレイ処理を行った。
B.ヒト化されたdrFP583の作製
哺乳類における発現は極めて広く用いられている手段であるので、哺乳類細胞で良好に発現させるためには、ヒトに適するコドンを採用した変形が必要である。したがって、蛍光タンパク質を発現するようにコドンを最適化するために、野生型のdrFP583のヌクレオチド配列を変えてヒト化されたdrFP583を作製した。
C.哺乳類細胞におけるヒト化されたdrFP583の発現
HeLa細胞に、プラスミドpECFP-Nuc、pEYFP-Tub、およびpDsRed1-Mito(ヒト化されたdrFP583)を一過的に同時にトランスフェクトした。トランスフェクション後に細胞を37℃で48時間インキュベートした後に3.7%のホルムアルデヒド中に固定した。細胞をマウンティング培地にマウントして蛍光顕微鏡で観察した。3種すべての蛍光タンパク質を同時に発現する1個の細胞の画像を、DsRed1-Mitoについてはオメガ(Omega)フィルターセットXF35を用い、EYFP-TubについてはXF104を用い、かつECFP-NucについてはXF114を用いて冷却CCDカメラ(Roper Scientific)およびメタモルフ(MetaMorph)ソフトウェア(Universal Imaging)で撮影した。各画像を擬似的に着色してオーバーレイ処理を行い、3種すべてのシグナルを一つの画像として表した。タンパク質DsRed1-Mitoはミトコンドリアに局在し、EYFP-Tubは微小管網に局在し、またECFP-Nucは核に局在する。
結論として、drFP583の放出はシアン(ECFP)、緑(EGFP)、および黄緑(EYFP)の発光チャンネル(フィルターセット)でも低い。したがって、細胞構造内における高い発現レベルまたは高濃度のタンパク質は、他の放出波長におけるある程度のブリードスルー(bleedthrough)をもたらす高いシグナル強度を生じる。多くの場合ブリードスルーは小さいので複数の標識記録に影響を及ぼさないと考えられる。
D.ヒト化されたdrFP583の変異体
ヒト化されたdrFP583の変異体を誤りの多い(error prone)PCR法(Clontech)で作製した。アミノ酸の42位、71位、105位、120位、161位、および197位(番号付けの開始点は最初のメチオニン)に変異が生じた。表7に生じた変異体およびその特性を示す。
(表7) ヒト化されたdrFP583の変異体
Figure 0006074162
E.E5変異体の性質と応用
E5(V105A、S197T)の蛍光は、インビボでもインビトロでも、大腸菌および哺乳類細胞で経時的に緑から赤に変化している。またE5は大腸菌および哺乳類細胞の両方で野生型のdrFP583より速く折りたたまれる。
プロモーター活性のモニタリングには、「2色」のレポーティングモード(すなわち活性状態または停止状態のプロモーターの両方)が可能であり、その状態のインジケーターとしてはたらく別の色があるので、E5は転写レポーターとして使用することができる。「1色」モードとは異なり、「2色」モードには過程の両状態に測定可能なシグナル(発色)がある。これに対し「1色」モード(例えば不安定化されたGFP)では、発色しないことが第2の状態のインジケーターとなる。すなわち新しく作製されたE5タンパク質は緑色の蛍光を発することでプロモーターの活性状態が継続していることを示す。時間がたつとタンパク質は成熟し、赤の蛍光を獲得する。そのためプロモーターがもはや活性状態にない場合は、すべてのタンパク質は最終的に成熟して赤の蛍光が支配的となる。プロモーターが活性状態を保っている場合は赤と緑の蛍光が容易に検出される。したがって「2色」レポーターとしてのE5では、不安定化されたGFPと同等の遺伝子発現を調べることが可能となるが、これは細胞、組織、または生物全体における過去の遺伝子発現の恒久的な「指標(signature)」を伴う。例えば組織レベルにおいては、E5を使用することで幹細胞と分化した細胞の区別が容易になると思われる。幹細胞でのみプロモーターが活性をもつ場合は、E5レポーターは幹細胞集団を緑および赤で標識し、娘細胞はもっぱら赤で標識されると考えられ、最終分化状態では蛍光を発しない(細胞分裂中にタンパク質が滴定範囲外となるため)。
E5は、合成されたばかりのタンパク質と蓄積された融合タンパク質との空間的および時間的な画像化に使用することができる。すなわちE5は融合タグとして機能すると思われる。異なる構成レベルでの応用を想定できる。細胞レベルでE5は、外膜、微絨毛、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリア、核、細胞基質および焦点接着複合体(focal adhesion complex)のさまざまな組成物などのさまざまな区画における合成直後のタンパク質の画像化および区別を容易にすると思われる。組織レベルでE5は、既存の構造(例えば膜結合部や細胞外基質の組成物)に対して形成直後のものを画像化する際に有用であると思われる。
E5の最も興味深い応用の一つは、細胞の分裂および移動時における母娘細胞間の関係の研究における応用であると思われる。発生の分野ならびに生物の成体を対象にした、細胞の移動および分化の研究は広範囲に開けている。発現「履歴」の画像化が可能となることから、E5により、プロモーターが実際に活性状態にある母細胞と、タンパク質が蓄積していて新たなタンパク質が産生されていない娘細胞との区別が容易になる。発生および臓器の再構築における細胞運命の研究が可能となることで、細胞移動と細胞増殖または分化が区別される。
以上をまとめると、E5はGFPがかつて使用されてきたあらゆる状況に基本的に適用することができる。主な利点は、プロモーター活性または細胞または組織におけるタンパク質の局在の「履歴」をE5で追跡できる点である。GFPと比べてタンパク質としての安定性が優れているE5では長期間にわたる分析が可能となる(野生型のdrFP583はアフリカツメガエル(Xenopus)では少なくとも4週間安定であるが、EGFPは2週間後に退色が始まる)。
F.E8変異体の性質と応用
E8(N42H)にはあらゆる時間軸で緑と赤2か所の蛍光極大があり、drFP583と比べて極めて速く折りたたまれる(表7)。
E8は緑と赤の蛍光を同時に検出するので、E8は、血液循環およびタンパク質/細胞輸送に関連する過程を調べる際に有用であると思われる。血液は緑の蛍光を吸収するので、タンパク質が血液中を輸送されている間は赤の蛍光のみが画像化される。緑と赤の蛍光はいずれも血流外で検出することができると思われ、これにより、過程全体を容易に可視化して記録することができる。赤と緑を同時にモニタリングすることはまた、一部の組織または細胞に対してバックグ回の蛍光による問題を小さくすると思われる。
G.シャッフリング法によるdrFP583/dmFP592ハイブリッドの作製
drFP583およびdmFP592のヒト化されていない野生型コード領域の断片を、1 ngの対応する細菌発現プラスミド(drFP583またはdmFP592の各挿入片をもつpQE-30誘導体)をテンプレートとしてPCRで増幅した(22サイクル、95℃15秒、68℃1分20秒)。
オリゴヌクレオチド
Figure 0006074162
を、これらの断片を0.2 mMの濃度で増幅する際のプライマーとして使用した。
次にPCR産物を、キアクイック(QIAquick) PCR 精製キット(QIAGEN)で精製した。その後、精製した断片drFP583およびdmFP592(各300 ng〜500 ng)を制限エンドヌクレアーゼ(EcoRI、HindIII、およびDraI(各10 U))で同時に切断した。反応は、BSAを添加したBamHI制限酵素緩衝液(NEB)中で37℃で3時間かけて行った。総反応容量は30 mlとした。反応完了後、各制限酵素切断反応で結果として得られた制限酵素切断断片をアガロースゲル(1.5%)電気泳動で分離し、ゲルから切り出してキアクイック(QIAquick)ゲル精製キット(QIAGEN)で精製した。drFP583とdmFP592の両方に由来する、結果的に得られた一連の精製済み制限酵素切断断片を混合し、その50 ngをライゲーションミックス(1×T4 DNAライゲーション緩衝液、400 NEB UのT4 DNAリガーゼ)に添加して総容量を30 mlとした。ライゲーションを3時間室温で行い、70℃で加熱して20分以内に停止させた。
次にライゲーションミックスを水で10倍に希釈し、希釈液1 mlをテンプレートとしてPCR反応(20サイクル、95℃で15秒、68℃で1分20秒)を行った。4種のオリゴヌクレオチドA、B、C、およびD(それぞれ配列番号:58〜61)を同時にプライマーとして使用して、これらの断片を各0.1 mMの濃度で増幅した。アガロースゲル(1.5%)で電気泳動を行った後、標的断片をキアクイック(QIAquick)ゲル精製キット(QIAGEN)で精製し、BSAを添加したBamHI制限酵素切断緩衝液(NEB)中で37℃で3時間にわたって制限酵素BamHIおよびXhoI(各30 U〜50 U)で同時に切断した。精製後に得られた断片を、BamHIとSalIで線状化したpQE-30プラスミドにクローン化した。連結反応は、1×T4 DNAライゲーション緩衝液中で400 NEB UのT4 DNAリガーゼを用いて総容量20 mlで16℃で一晩行った。ライゲーション容量の1/5量で大腸菌を形質転換し、100 mg/mlのアンピシリンと0.1 mMのIPTGを添加したLB/1%寒天プレート上で37℃で一晩インキュベートした後に得られた大腸菌コロニーを、ローダミンフィルターセットを用いて蛍光顕微鏡下で視覚的にスクリーニングした。最も明るい赤色のコロニーを選択して、100 mg/mlのアンピシリンを添加した200 mlのLB培地中に置いた。OD600が0.6となった時点で、この大腸菌培養物をIPTG(終濃度1 mM)で誘導し、培養を一晩続けた。N末端に6×hisのタグを含む組換えタンパク質の精製は、タロン(TALON)金属親和性樹脂を用いて製造業者のプロトコルにしたがって行った。
H.drFP583/dmFP592ハイブリッドのスペクトル特性
drFP583/dmFP592ハイブリッドタンパク質の放射スペクトルおよび励起スペクトルはdmFP592と基本的に同じである。表8にdrFP583/dmFP592ハイブリッドタンパク質のスペクトル特性を示す。
(表8) drFP583/dmFP592ハイブリッドのスペクトル特性
Figure 0006074162
*相対量子収量は、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPの量子収量と比較して決定した。
**相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPに関する同値で割った値である。
I.ヒト化されたdrFP583/dmFP592ハイブリッドおよび変異体
drFP583/dmFP592ハイブリッドをヒト化した。ヒト化されたdrFP583/dmFP592を基にさらに、drFP583/dmFP592-2GおよびdrFP583/dmFP592-Q3の2種の変異体を作製した。drFP583/dmFP592-2Gには、K15QおよびT217Sの2か所の置換が含まれる。この変異体は、ヒト化されたdrFP583/dmFP592ハイブリッド遺伝子から、対応プロトコルにしたがった多様性 PCR 変異誘発キット(Clontech)による無作為変異導入法で得た。drFP583/dmFP592-Q3には、K15Q、K83M、およびT217Sの3か所の置換が含まれる。drFP583/dmFP592-Q3変異体は、drFP583/dmFP592-2G変異体から、対応プロトコルにしたがった多様性 PCR 変異誘発キット(Clontech)による無作為変異導入法で得た。
drFP583/dmFP592-2Gの輝度および折りたたみ速度は、ヒト化されていないdrFP583/dmFP592ハイブリッドと同等である。drFP583/dmFP592-Q3は、大腸菌細胞中では親株の異型(例えばdrFP583/dmFP592-2G)と比べて暗い赤色で見えるが、精製後のタンパク質溶液は紫色を呈する。drFP583/dmFP592-Q3の放射極大は616 nmであり、励起極大は580 nmである。
J.ハイブリッド変異体の応用
drFP583/dmFP592-Q3は、蛍光タンパク質drFP583またはdmFP592と似ているので、タンパク質の発現、輸送、およびインビボにおけるタンパク質相互作用、プロモーター活性のモニタリングの手段として、また転写レポーターまたは融合タグとして使用することができる。さらにdrFP583/dmFP592-Q3は、放射極大の強固な長波長シフト、およびスペクトルのある程度の重複とバックグ回の蛍光を除いて、スペクトルの緑色部分の励起が実際的にないことを元に、2種またはそれ以上のタンパク質の発現をインビボで同時に検出する2種/3種の色素標識アッセイ法において、既存の緑色蛍光タンパク質の異型の一つに対する最も簡便な相手として選択することができる。
drFP583/dmFP592ハイブリッドの作製法には、蛍光特性を向上させたハイブリッド遺伝子(例えば異なる遺伝子部分をさまざまな組み合わせで含む遺伝子)を作製する際に一般的な有用性がある。
またdrFP583/dmFP592-Q3は最初の長波長シフト変異体であり、無作為変異導入法でスペクトルのシフト変異体が得られることがわかる。
VII.asFP600およびその変異体の性質
A.変異体の作製
asFP600の変異体Mut1を作製した。野生型のasFP600と比較してMut1には以下の置換がある:70位におけるTからA(番号はGFPを基準とする)、および148位におけるAからS。標的置換であるA148Sは、変異をもつプライマーを用いたPCRで部位特異的変異導入法で作製した。この変異導入の過程で、誤ったヌクレオチドがPCR中に導入されて、無作為な置換であるT70Aが生じた。置換T70Aは必ずしも蛍光に必要ではなく、また実際上、蛍光に影響を及ぼさない。表9にMut1のスペクトル特性を示す。asFP600の別の変異体には、184位におけるアラニンからセリンへの置換がある。
(表9) 単離されたMut1のスペクトル特性
Figure 0006074162
*相対輝度は、吸光係数に量子収量を乗じた値を、オワンクラゲ(A. victoria)のGFPに関する同値で割った値である。
B.ベクターの構築および機能分析
ヒト化されていない変異体asFP600(RNFP)のDNAをPCRで増幅し、EGFP-N1を主鎖とするベクター中に再構築した。このベクター(pRNFP-N1)のマルチクローニングサイトは、EGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。
作製したベクターの機能試験は、293細胞に一過的にトランスフェクトして行った。トランスフェクションの24時間後にasFP600の発現を蛍光顕微鏡で調べた。asFP600の蛍光強度は良好であったが、asFP600の発現は核に集中していた。
C.細胞質で発現するasFP600の作製
asFP600が核に局在することは、このタンパク質の転写レポーターまたはpHセンサーとしてのいくつかの応用を制限したので、こうした目的ではasFP600が細胞質で発現する必要があると考えられた。ヒトで使用されるコドンに基づく核外輸送配列をasFP600のN末端に融合させ、EGFP-N1ベクターに導入してpNE-RNFPを得た。
NE-RNFPの機能性試験は、pNE-RNFPを293細胞に一過的にトランスフェクトして行う。トランスフェクションの24時間後にNE-RNFPの発現を蛍光顕微鏡で調べた。赤色の蛍光が細胞質中に分散して見られたが核にはみられなかった。
D.転写レポーターとしての不安定化されたasFP600ベクターの作製
asFP600は極めて安定なため、タンパク質の速い代謝回転を観察するためには、asFP600の不安定化された変形を作製する必要がある。不安定化されたEGFPと同じ手法を用いて、マウスのODC分解領域をNE-RNFPのC末端に融合させることで2種の不安定化されたNE-RNFPベクターを構築した。d2型と比べて、不安定化されたRNFPのd1型には3か所のEからAへの変異がMODC分解領域中にあるので、MODC分解領域を融合させたタンパク質の半減期は短くなる。不安定化されたd1RNFPおよびd2RNFPは、EGFP-N1を主鎖とするベクター中に構築した。
E.不安定化されたasFP600の機能分析
ヒト化されていないasFP600のd2型を293細胞に一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後にCHXを添加してタンパク質合成を阻害した。処理から3時間後に細胞を蛍光顕微鏡で調べた。蛍光強度が〜50%低下していることが判明した。
F.ヒト化されたMut1の構築と機能試験
ヒト化したMut1を作製して、pEGFP-N1を主鎖とするベクター中に配置した。このベクターのマルチクローニングサイトは、pEGFP-N1のマルチクローニングサイトと同じである。C1およびpEGFPの構築は現在進行中である。
上記の考察および結果から、本発明が、重要な新たな色素タンパク質および蛍光タンパク質、ならびにそれらをコードする核酸が提供されることは明らかである。対象となるタンパク質および核酸は多種多様な応用で使用される。したがって本発明は当技術分野に大きく貢献する。
本明細書で引用したすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物および特許出願が明確かつ個別に参照として組み入れられることを示したように、参照として本明細書に組み入れられる。あらゆる刊行物の引用は、出願日に先立つ開示に対して有効であり、本発明が、先願発明によってそれらの刊行物に事前の日付を付与する権利を与えない出願であると解釈すべきではない。
以上の発明は、明瞭に理解させることを目的とした例示および実施例によって、ある程度詳細に記載されているが、本発明を教示する観点から、ある変更および修正が、添付した特許請求の趣旨または範囲から離れることなく実行できることは当業者によって容易に了承されると思われる。

Claims (14)

  1. 天然の環境以外で存在する蛍光タンパク質をコードする核酸であって、非天然の蛍光タンパク質が非生物発光性の花虫類種に由来する野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質の変異体であり、平均分子量が17.5 kDa〜32.5 kDaであり、βカンフォールド(β-can fold)および蛍光体を含み、かつ300 nm〜700 nmの範囲に吸収極大をもち、400 nm〜800 nmの範囲に放射極大をもち、該変異体が
    (a)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)に由来するamFP486の変異体であり、およびアミノ酸34もしくは68位における変異またはそれらの組み合わせを含みかつ配列番号:2と80%以上の配列同一性を有するか、
    (b)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種ゾアンサス(Zoanthus)種に由来するzFP506の変異体であり、およびアミノ酸65位における変異を含みかつ配列番号:6と80%以上の配列同一性を有するか、
    (c)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種ゾアンサス(Zoanthus)種に由来するzFP538の変異体であり、およびアミノ酸128位における変異を含みかつ配列番号:8と80%以上の配列同一性を有するか、
    (d)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種ディスコソマ(Discosoma)種「赤色」に由来するdrFP583の変異体であり、およびアミノ酸42、71、105、120、161もしくは197位における変異またはそれらの組み合わせを含みかつ配列番号:12と80%以上の配列同一性を有するか、
    (e)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)に由来するasFP600の変異体であり、およびアミノ酸148もしくは184位における変異またはそれらの組み合わせを含みかつ配列番号:14と80%以上の配列同一性を有し、
    ただし、該核酸が野生型蛍光タンパク質をコードしない、前記核酸。
  2. (a)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質であるamFP486の前記変異体が34位におけるSer、68位におけるMetまたはそれらの組み合わせを含む、または
    (b)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質であるzFP506の前記変異体が65位におけるMetを含む、または
    (c)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質であるzFP538の前記変異体が128位におけるValを含む、または
    (d)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質であるdrFP583の前記変異体が42位におけるHis、71位におけるMet、105位におけるAla、120位におけるHis、197位におけるAlaもしくはThr、またはそれらの組み合わせを含む、または
    (e)野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質であるasFP600の前記変異体が148位におけるSer、184位におけるSer、またはそれらの組み合わせを含む、
    請求項1記載の核酸。
  3. タンパク質が、
    (a)配列番号:2、または
    (b)配列番号:6、または
    (c)配列番号:8、または
    (d)配列番号:12、または
    (e)配列番号:14、
    と90%以上の配列同一性を有する、請求項1または2記載の核酸。
  4. 非天然の蛍光タンパク質が、非生物発光性の花虫類種に由来する色素タンパク質または蛍光タンパク質に対して、異なる吸収極大、放射極大、最大吸光係数、輝度、折りたたみ速度、または安定性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸によってコードされる、天然の環境以外で存在する蛍光タンパク質。
  6. 核酸が、amFP486、zFP506、zFP538、drFP583、またはasFP600をコードする核酸と90%以上の配列類似性を有する、請求項5記載の蛍光タンパク質。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸を含む構築物。
  8. 発現宿主において機能的な転写開始領域、転写開始領域の転写調節下にある請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸および該発現宿主において機能的な転写終結領域を含む、発現カセット。
  9. 発現カセットを宿主細胞へ導入した結果として、染色体外要素の一部としての、または宿主細胞のゲノム中に組み込まれる、請求項8記載の発現カセットを含む、細胞またはその子孫。
  10. 以下の段階を含む、請求項5または6に記載のタンパク質を作製する方法:
    請求項9記載の細胞を成長させ、それによりタンパク質が発現される段階;および実質的に他のタンパク質を含まない、該タンパク質を単離する段階。
  11. 野生型の色素タンパク質または蛍光タンパク質である花虫類種アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)に由来するasFP600の変異体であり、およびアミノ酸148もしくは184位における変異またはそれらの組み合わせを含みかつ配列番号:14と80%以上の配列同一性を有する、非天然の蛍光タンパク質に、特異的に結合する抗体。
  12. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸からなる群より選択される導入遺伝子(transgene)を含む、トランスジェニック細胞またはその子孫。
  13. 請求項5または6に記載のタンパク質を発現する能力がある非ヒトトランスジェニック生物。
  14. 以下の段階を含む、細胞において蛍光タンパク質を分析する方法:
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光タンパク質をコードする核酸を発現させる段階;および該タンパク質の蛍光シグナルを測定する段階。
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