以下に添付図面を参照して、本発明に係るタービン翼の冷却システム及びガスタービンの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図、図2は、実施例1のガスタービンを表す概略図である。
実施例1において、図2に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービンには、発電機14(図1参照)が連結されており、発電可能となっている。
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口21を有し、圧縮機車室22内に複数の静翼体23と動翼体24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室(ケーシング)26内に複数の静翼体27と動翼体28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(タービン軸)32が配置されている。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼体24が装着されたディスクが複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼体28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、圧縮機11側の端部に発電機14の駆動軸15(図1参照)が連結されている。
そして、このガスタービンは、圧縮機11の圧縮機車室22が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
なお、タービン車室26は、その内側にリング形状をなす燃焼ガス通路40が形成され、この燃焼ガス通路40に複数の静翼体27と動翼体28が燃焼ガスの流動方向に沿って交互に配設されている。即ち、各段の静翼体27は、複数の静翼41が周方向に均等間隔で配置され、タービン車室26に固定されている。また、動翼体28は、動翼42が周方向に均等間隔で配置され、基端部がロータ32に固定されるロータディスク43に固定されている。
従って、圧縮機11の空気取入口21から取り込まれた空気が、複数の静翼体23と動翼体24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼体27と動翼体28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、排気ガス(燃焼ガス)のエネルギは、排気室30の排気ディフューザ31により圧力に変換され減速されてから大気に放出される。
上述したガスタービン10において、図1及び図2に示すように、実施例1におけるタービン翼の冷却システムは、取り込んだ低圧ガスを冷却する冷却装置51と、冷却装置51により冷却された冷却ガスを昇圧する昇圧装置としての補助圧縮機52と、補助圧縮機52により昇圧された冷却ガスを燃焼ガス通路40における前記低圧ガスより高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給する冷却ガス供給装置53とから構成されている。
ここで、実施例1では、圧縮機11の中間段(抽気室25)から低圧ガス抽気する低圧ガス供給源を有し、冷却ガス供給装置53は、この抽気した低圧ガスを冷却するものである。そして、この低圧ガス供給源は、後述する圧縮空気抽気通路56である。
即ち、圧縮機11は、空気取入口21(図2参照)から外気(空気)を取り込み(吸気)可能であり、圧縮した圧縮空気を燃焼器12に供給する圧縮空気供給通路54が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11からの圧縮空気に対して燃料が供給可能であり、圧縮空気と燃料が混合された混合燃料に点火されることで燃焼可能であり、燃焼ガス(排気ガス)をタービン13に供給する燃焼ガス通路55が設けられている。タービン13は、複数の静翼体27(静翼41)と複数の動翼体28(動翼42)が交互に配設されており、燃焼ガス(排気ガス)のエネルギを取得した後の排気ガスを排出可能である。
また、圧縮機11は、圧縮した圧縮空気を抽気室25から抽気する圧縮空気抽気通路56が設けられており、圧縮空気抽気通路56は、圧縮途中にある低圧の圧縮空気(低圧ガス)を冷却空気として冷却装置51に供給する。冷却装置51は、この圧縮空気抽気通路56から供給された低圧の圧縮空気を冷却することができる。この場合、冷却装置51は、圧縮空気と熱交換媒体との間で熱交換をすることで、圧縮空気を冷却する熱交換器であり、この熱交換器としてヒートパイプを適用してよい。
冷却装置51は、冷却した低圧の圧縮空気(冷却空気)を補助圧縮機52に供給する冷却圧縮空気供給通路57が設けられており、補助圧縮機52は、この冷却圧縮空気供給通路57から供給された低圧の冷却圧縮空気を昇圧することができる。そして、補助圧縮機52は、昇圧して高圧となった冷却圧縮空気をタービン13のタービン翼に供給する冷却ガス供給装置53としての高圧冷却圧縮空気供給通路58が設けられている。
この場合、冷却装置51は、圧縮機11の中間段から圧縮空気抽気通路56を通して抽気した低圧の圧縮空気を冷却することが望ましい。また、冷却ガス供給装置53は、冷却装置51により冷却され、補助圧縮機52により圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58を通してタービン13における静翼41の内部に供給することが望ましい。更には、冷却ガス供給装置53は、高圧の冷却圧縮空気をタービン13の燃焼ガス通路(排気通路)40における最上流側に設けられる1段静翼41の内部に供給することが望ましい。
静翼体27を構成する静翼41は、翼本体の長手方向(ロータ32の径方向)における一端部(径方向の外側)に外側シュラウドが固定され、他端部(径方向の内側)に内側シュラウドが固定されて構成されており、外側シュラウドがタービン車室26に固定されている。そして、静翼41は、中空形状をなし、所定の位置に内部と外部を貫通する多数の冷却孔が形成されている。そして、高圧冷却圧縮空気供給通路58からの高圧の冷却圧縮空気が、外側シュラウド側及び内側シュラウド側から静翼41内に供給されると、この冷却圧縮空気は、内壁面に衝突してからこの内壁面に沿って流れることで冷却し、多数の冷却孔を通して外部(燃焼ガス通路40)へ排出され、外壁面に沿って流れることで冷却する。
ここで、実施例1におけるタービン翼の冷却システムの作動について説明する。圧縮機11は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、まず、冷却装置51は、圧縮機11の中段から圧縮途中にある低圧の圧縮空気を冷却空気として圧縮空気抽気通路56から供給され、この低圧の圧縮空気を熱交換により冷却する。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51が冷却した低圧の冷却圧縮空気を冷却圧縮空気供給通路57から供給され、この低圧の冷却圧縮空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
この場合、冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を冷却している。そのため、この低圧の圧縮空気は、低温・低圧である分、つまり、圧縮空気が外部の圧縮機11から受け取るエネルギが小さい分、冷却装置51で放熱する放熱量が小さくなる。補助圧縮機52が冷却後の冷却圧縮空気を圧縮してエネルギを受け取っても、最終的な冷却空気の温度圧力が従来と等しければ、全体として、高圧の冷却圧縮空気が受け取るエネルギは、従来と同等であるので、結果として放熱量が少ない分、全体の圧縮動力が小さいこととなる。
このように、タービン翼の内部に供給する冷却圧縮空気の温度や圧力が従来と同等であっても、冷却装置51が冷却する圧縮空気の温度が低い方が、圧縮機11及び補助圧縮機52の動力が低くなる。即ち、従来は、圧縮機11から排出された高圧、高温の圧縮空気を冷却し、この高圧の圧縮空気を所定圧力まで圧縮してからタービン翼の内部に供給している。一方、実施例1では、圧縮機11から抽気した低圧、低温の圧縮空気を冷却し、この低圧の圧縮空気を所定圧力まで圧縮してからタービン翼の内部に供給している。従って、圧縮機11は、冷却空気として使用する分の圧縮空気を高圧まで圧縮する必要はなく、従来に比べて圧縮機11及び補助圧縮機52の動力の合計を低減できる。
一方、実施例1のタービン翼の冷却システムにあっては、圧縮機11の抽気室25から圧縮空気抽気通路56を通して抽気した低圧の圧縮空気を冷却する冷却装置51と、冷却装置51により冷却された低圧の冷却圧縮空気を昇圧する昇圧装置としての補助圧縮機52と、補助圧縮機52により圧縮された高圧の冷却圧縮空気を燃焼ガス通路40における前記低圧ガスより高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給する冷却ガス供給装置43とを設けている。
従って、低圧の圧縮空気を冷却して昇圧した後に、高圧の冷却圧縮空気としてタービン翼の内部に供給することで、このタービン翼を適正に冷却することが可能となる。即ち、タービン翼の位置における燃焼ガス通路40の圧力よりも高い圧力の冷却圧縮空気を、このタービン翼の内部に供給するため、燃焼ガス通路40の排気ガスが冷却孔を通してタービン翼の内部に入り込むことはなく、内部に供給した高圧の冷却圧縮空気によりタービン翼を適正に冷却することができる。そして、この場合、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を冷却して昇圧するため、燃焼ガス通路40における高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給可能な圧力まで、低圧の圧縮空気を昇圧するための動力を低減することができる。
実施例1のタービン翼の冷却システムでは、冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を冷却している。従って、圧縮機11の中間段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却して昇圧した後に、冷却圧縮空気をタービン翼の内部に供給しており、圧縮機11で圧縮した圧縮空気のうちの途中で取り出した一部の低圧の圧縮空気を冷却空気として使用することで、低圧の圧縮空気を抜き取り後、圧縮機11は燃焼器12に送り込む圧縮空気だけを圧縮すればよく、圧縮機11の動力を低減することができる。
実施例1のタービン翼の冷却システムでは、タービン翼を静翼41とし、冷却ガス供給装置43は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気をこの静翼41の内部に供給している。従って、高温の燃焼ガス(排気ガス)にさらされる静翼41を適正に冷却することが可能となる。
図3は、本発明の実施例2に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2にて、図3に示すように、ガスタービン60は、低圧ガス供給源として、低圧圧縮機61と高圧圧縮機62を有しており、駆動軸63により連結されている。そして、実施例2におけるタービン翼の冷却システムは、前述した実施例1の圧縮機11に代えて、低圧圧縮機61と、低圧圧縮機61から排出される低圧ガス(作動流体)を更に圧縮する高圧圧縮機62とを設け、低圧圧縮機61から高圧圧縮機62に送られる低圧ガスの一部を抽気する低圧ガス供給源としての圧縮空気抽気通路56と、この抽気した低圧ガスを冷却する冷却装置51と、冷却装置51により冷却された冷却ガスを昇圧する昇圧装置としての補助圧縮機52と、補助圧縮機52により昇圧された冷却ガスを燃焼ガス通路40における前記低圧ガスより高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給する冷却ガス供給装置53とから構成されている。
即ち、低圧圧縮機61は、外気(空気)を取り込み(吸気)可能であり、空気を圧縮して低圧の圧縮空気とすることができる。そして、低圧圧縮機61は、この低圧の圧縮空気を高圧圧縮機62に供給する低圧圧縮空気供給通路64が設けられている。高圧圧縮機62は、低圧圧縮機61から低圧圧縮空気供給通路64を通して供給された低圧圧縮空気を圧縮して高圧の圧縮空気とすることができる。そして、高圧圧縮機62は、この高圧の圧縮空気を燃焼器12に供給する圧縮空気供給通路54が設けられている。
また、低圧圧縮機61は、低圧の圧縮空気を圧縮空気抽気通路56から冷却装置51に供給することがでる。冷却装置51は、この低圧の圧縮空気を冷却することができ、冷却した低圧の圧縮空気を冷却圧縮空気供給通路57から補助圧縮機52に供給することができる。補助圧縮機52は、この低圧の冷却圧縮空気を昇圧することができ、冷却ガス供給装置53としての高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン13のタービン翼の内部に供給することができる。
従って、低圧圧縮機61は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、まず、冷却装置51は、低圧圧縮機61から低圧の圧縮空気を冷却空気として圧縮空気抽気通路56から供給され、この低圧の圧縮空気を熱交換により冷却する。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51が冷却した低圧の冷却圧縮空気を冷却圧縮空気供給通路57から供給され、この低圧の冷却圧縮空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
この場合、冷却装置51は、低圧圧縮機61から抽気した低圧の圧縮空気を冷却している。そのため、この低圧の圧縮空気は、低温・低圧である分、つまり、圧縮空気が外部の低圧圧縮機61から受け取るエネルギが小さい分、冷却装置51で放熱する放熱量が小さくなる。その結果、補助圧縮機52が冷却後の冷却圧縮空気を圧縮してエネルギを受け取っても、全体として、高圧の冷却圧縮空気が受け取るエネルギは、従来と同等となる。一方、タービン翼の内部に供給する冷却圧縮空気の温度や圧力が従来と同等であっても、冷却装置51が冷却する圧縮空気の温度が低い方が、各圧縮機61,62及び補助圧縮機52の動力が低くなる。即ち、高圧圧縮機62は、冷却空気として使用する分の圧縮空気を高圧まで圧縮する必要はなく、各圧縮機61,62及び補助圧縮機52の動力を低減できる。
このように実施例2のタービン翼の冷却システムにあっては、低圧圧縮機61と高圧圧縮機62を設け、低圧圧縮機61から高圧圧縮機62に送られる低圧ガスの一部を抽気する圧縮空気抽気通路56と、この抽気した低圧の圧縮空気を冷却する冷却装置51と、冷却装置51により冷却された低圧の冷却圧縮空気を昇圧する昇圧装置としての補助圧縮機52と、補助圧縮機52により圧縮された高圧の冷却圧縮空気を燃焼ガス通路40における前記低圧ガスより高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給する冷却ガス供給装置53とを設けている。
従って、低圧の圧縮空気を冷却して昇圧した後に、高圧の冷却圧縮空気としてタービン翼の内部に供給することで、このタービン翼を適正に冷却することが可能となる。即ち、タービン翼の位置における燃焼ガス通路40の圧力よりも高い圧力の冷却圧縮空気を、このタービン翼の内部に供給するため、燃焼ガス通路40の排気ガスが冷却孔を通してタービン翼の内部に入り込むことはなく、内部に供給した高圧の冷却圧縮空気によりタービン翼を適正に冷却することができる。そして、この場合、低圧圧縮機61からの低圧の圧縮空気を冷却して昇圧するため、高圧な燃焼ガス通路40における高圧な位置に配置されるタービン翼の内部に供給可能な圧力まで、低圧の圧縮空気を昇圧するための動力を低減することができる。
なお、冷却装置は、低圧圧縮機61から排出された低圧の圧縮空気を冷却するようにしたが、低圧圧縮機61の中段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却するようにしてもよく、高圧圧縮機62の中段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却するようにしてもよい。
図4は、本発明の実施例3に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3のタービン翼の冷却システムは、図4に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例3では、冷却装置51により低圧ガスを冷却する際に発生する排熱により燃焼器12に供給される燃料を加熱する加熱装置71が設けられている。つまり、加熱装置71は、低圧ガスと低圧の圧縮空気との間で熱交換して発生した熱媒体により燃料を加熱する。
即ち、冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を熱交換媒体としての水により冷却するものであり、水を供給する水供給通路72が設けられている。また、冷却装置51は、水供給通路72から水を供給して低圧の圧縮空気を冷却した後の熱媒体としての温水を排出する温水排出通路73が設けられている。この温水排出通路73は、加熱装置71として機能するものであり、燃焼器12まで延出されており、温水排出通路73を流れる温水により燃焼器12に供給される燃料を加熱することができる。以上により、加熱装置71は、冷却装置51が低圧の圧縮空気を冷却する際に発生する排熱により燃焼器12に供給される燃料を加熱するのである。この場合、加熱装置71は、温水により燃焼器12に供給される燃料を加熱するものであり、燃焼器12内で燃料を加熱するだけでなく、燃焼器12に供給される燃料通路内で燃料を加熱するようにしてもよい。また、加熱装置71は、燃料を直接冷却媒体として冷却装置51に供給し、冷却装置51の排熱により温度が上昇した燃料を燃焼器12に戻すように構成してもよい。
従って、圧縮機11は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、まず、冷却装置51は、圧縮機11から低圧の圧縮空気を冷却空気として圧縮空気抽気通路56から供給され、この低圧の圧縮空気を熱交換により冷却する。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51が冷却した低圧の冷却圧縮空気を冷却圧縮空気供給通路57から供給され、この低圧の冷却圧縮空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
また、冷却装置51は、圧縮機11からの低圧の圧縮空気と水供給通路72から供給された水との間で熱交換し、低圧の圧縮空気を冷却するが、ここで発生した温水が温水排出通路73から排出されて燃焼器12に供給され、この燃焼器12で使用する燃料を加熱する。そのため、燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された高温・高圧の圧縮空気に対して加熱された燃料が供給されて燃焼することとなり、燃料所要量が減少し、ガスタービン効率が向上する。
このように実施例3のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51により低圧ガスを冷却する際に発生する排熱により燃焼器12に供給される燃料を加熱する加熱装置71を設けている。
従って、低圧の圧縮空気を加熱して発生した温水により燃焼器12の燃料を加熱することで、効率的な熱利用を可能として、燃料所要量が減少し、ガスタービン効率を向上することができる。
図5は、本発明の実施例4に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例4のタービン翼の冷却システムは、図5に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例4では、冷却装置51により低圧ガスを冷却する際に発生する排熱により排熱回収ボイラの水または蒸気のうちの少なくとも一方を加熱する。つまり、冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気と排熱回収ボイラ81から排出された復水との間で熱交換を行い、熱交換後の復水を排熱回収ボイラ81に戻す復水循環経路が設けられている。
即ち、複合発電プラントにおいて、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13を有しており、圧縮機11及びタービン13と同軸上に発電機14が連結されている。また、蒸気タービン82は、高圧タービン83と中圧タービン84と低圧タービン85とが同軸上に連結されて構成され、発電機86,87,88が連結されている。そして、ガスタービン10のタービン13に排気通路89が設けられ、この排気通路89が排熱回収ボイラ81に連結されており、ガスタービン10から排出された排気ガスを排熱回収ボイラ81に送ることができる。なお、以下に、排熱回収ボイラ81の構成について詳細に説明するが、この構成は一例であって、実施例4のタービン翼の冷却システムがこの構成の排熱回収ボイラ81に限定されるものではない。
排熱回収ボイラ81は、高圧ユニット91と中圧ユニット92と低圧ユニット93と再熱器94を有している。この排熱回収ボイラ91は、内部でガスタービン10からの排気ガスが上方に移送することで、高圧ユニット91、中圧ユニット92、低圧ユニット93の順に熱回収を行って蒸気を発生させ、発生した蒸気を蒸気タービン82に送って駆動し、発電機86,87,88を運転可能となっている。
高圧ユニット91は、高圧節炭器91a、高圧蒸発器91b、高圧過熱器91cを有している。そのため、高圧節炭器91aで加熱された給水は、第1高圧給水路を介して高圧蒸発器91bに送られ、ここで加熱されて高圧蒸気を発生し、発生した高圧蒸気は、第2高圧給水路を介して高圧過熱器91cに送られ、ここで過熱される。
中圧ユニット92は、中圧節炭器92a、中圧蒸発器92b、中圧過熱器92cを有している。そのため、中圧節炭器92aで加熱された給水は、第1中圧給水路を介して中圧蒸発器92bに送られ、ここで加熱されて中圧蒸気を発生し、発生した中圧蒸気は、第2中圧給水路を介して中圧過熱器91cに送られ、ここで過熱される。また、中圧節炭器92aで加熱された給水は、ポンプにより高圧節炭器91aに供給される。
低圧ユニット93は、低圧節炭器93a、低圧蒸発器93b、低圧過熱器93cを有している。そのため、低圧節炭器96aで加熱された給水は、第1低圧給水路を介して低圧蒸発器93bに送られ、ここで加熱されて低圧蒸気を発生し、発生した低圧蒸気は、第2低圧給水路を介して低圧過熱器93cに送られ、ここで過熱される。また、低圧節炭器93aで加熱された給水は、ポンプにより中圧節炭器92aに供給される。
そして、高圧過熱器91cの高圧蒸気は、高圧蒸気供給通路95により高圧タービン83に供給され、高圧タービン83から排出された高圧蒸気は、高圧蒸気回収通路96により再熱器94に戻される。中圧過熱器92cの中圧蒸気は、中圧蒸気供給通路97により再熱器94に供給される。再熱器94で過熱された中圧蒸気は、中圧蒸気供給通路98により中圧タービン84に供給され、中圧タービン84から排出された中圧蒸気は、中圧蒸気回収通路99により低圧タービン85に供給される。低圧過熱器93cに発生した低圧蒸気は、低圧蒸気供給通路100により低圧タービン85に供給され、低圧タービン85から排出された低圧蒸気は、低圧蒸気回収通路101により復水器102に供給される。
復水器102は、海水により冷却する冷却水循環通路103が設けられている。そして、この復水器102は、海水により凝縮した復水を冷却装置51に送る復水供給通路103が設けられ、冷却装置51は、低圧の圧縮空気を冷却した復水を排熱回収ボイラ81の低圧節炭器93aに戻す復水回収通路104が設けられており、この復水供給通路104と復水回収通路105により復水循環経路が構成されており、復水ポンプ106及び脱気器(図示略)が設けられている。
従って、ガスタービン10にて、圧縮機11は取り込んだ空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気とし、燃焼器12はこの圧縮空気と燃料の混合気に着火して燃焼し、タービン13は、燃焼器12で生成された高温・高圧の燃焼ガスにより駆動し、発電機14により発電を行う。そして、タービン13から排出された排気ガスは、排気通路89を通して排熱回収ボイラ81に送られ、ここで、高温・高圧の排気ガスにより蒸気を生成する。
排熱回収ボイラ81にて、高圧ユニット91は、過熱して生成された高圧蒸気を高圧蒸気供給通路95により高圧タービン83に送り、高圧タービン83により発電機86を駆動して発電する。高圧タービン83からの高圧蒸気(中圧蒸気)は、高圧蒸気回収通路96を通して再熱器94に送られて再加熱され、中圧蒸気として中圧蒸気供給通路98を通して中圧タービン84に送られ、中圧タービン84により発電機87を駆動して発電する。中圧タービン84からの中圧蒸気(低圧蒸気)は、中圧蒸気回収通路99を通して低圧タービン85に送られ、低圧タービン85により発電機88を駆動して発電する。そして、低圧タービン85からの低圧蒸気は、低圧蒸気回収通路101を通して復水器102に送られ、復水器102は、凝縮された復水を復水ポンプ106で加圧して脱気器により溶存酸素を取り除いた後、復水供給通路104を通して冷却装置51に送る。
冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を熱交換により冷却する。即ち、冷却装置51は、圧縮機11からの低圧の圧縮空気を復水器102からの復水により冷却する。そして、補助圧縮機52は、冷却装置51が冷却した低圧の冷却圧縮空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、この圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。一方、冷却装置51は、低圧の圧縮空気を冷却(熱交換)して高温となった復水を排熱回収ボイラ81の低圧ユニット93に戻す。
このように実施例4のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51により低圧ガスを冷却する際に発生する排熱により排熱回収ボイラの水または蒸気のうちの少なくとも一方を加熱するように構成されている。即ち、冷却装置51は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気と排熱回収ボイラ81の復水器102で凝縮された復水との間で熱交換を行い、熱交換後の高温の復水を排熱回収ボイラ81の低圧ユニット93に戻す復水循環経路(復水供給通路103、復水回収通路104)を設けている。
従って、低圧の圧縮空気を排熱回収ボイラ81からの復水により冷却し、加熱された復水を排熱回収ボイラ81に戻すことで、効率的な熱利用を可能として排熱回収ボイラ81でのボイラ効率を向上することができる。
なお、この実施例4にて、復水ポンプ106から低圧節炭器93aに至る途中の水を加熱しているが、温度レベルに応じて、排熱回収ボイラ81の他の位置の水や蒸気を加熱するようにしてもよい。
図6は、本発明の実施例5に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例5のタービン翼の冷却システムは、図6に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置111と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例5では、冷却装置111は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を有している。
即ち、冷却装置111は、低圧の圧縮空気の通路における通路面積が拡大した拡大通路に水噴射装置112が設けられて構成されている。この水噴射装置112は、ヘッダ113と、ヘッダ113に設けられた複数の噴射ノズル114と、ヘッダ113に水を供給する水供給通路115とを有しており、冷却装置11の拡大通路を流れる低圧の圧縮空気に対して水を噴射(噴霧)することができる。
従って、圧縮機11は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、まず、冷却装置11は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を熱交換により冷却する。即ち、冷却装置111の水噴射装置112にて、水供給通路115からヘッダ113に水が供給されると、複数の噴射ノズル114は、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の圧縮空気に対して水を噴射(噴霧)する。すると、高温で低圧の圧縮空気は、噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却される。この場合、圧縮空気の温度や圧力に応じた水を噴射することで、噴射された水を圧縮空気により全量蒸発させることが望ましい。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51で冷却された低圧の冷却圧縮空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
このように実施例5のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置111として、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を設けている。
従って、水噴射装置112は、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の圧縮空気に対して水を噴射(噴霧)すると、高温で低圧の圧縮空気が噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却されることとなる。そのため、熱交換器のような複数または長い配管を必要とせず、装置の簡素化を可能とすることができると共に、冷却可能な冷却空気(圧縮空気)の量を増加することができる。
図7は、本発明の実施例6に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図、図8は、実施例6のタービン翼の冷却システムにおける水噴射の作動を表すフローチャート、図9は、実施例6のタービン翼の冷却システムにおける水噴射の作動領域を表すグラフである。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例6のタービン翼の冷却システムは、図7に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置111と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例5では、冷却装置111は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を有している。
即ち、冷却装置11は、低圧の圧縮空気の通路における通路面積が拡大した拡大通路に水噴射装置112が設けられて構成されている。この水噴射装置112は、ヘッダ113と、ヘッダ113に設けられた複数の噴射ノズル114と、ヘッダ113に水を供給する水供給通路115と、水供給通路115を流れる水量を調整可能な開閉弁(流量調整弁)116とを有している。また、冷却装置11は、冷却圧縮空気供給通路57を流れる低圧の冷却圧縮空気の温度を計測する温度センサ117と、低圧の冷却圧縮空気の圧力を計測する圧力センサ118と、各センサ117,118が計測した低圧の冷却圧縮空気の温度と圧力に基づいて開閉弁116を開閉制御(開度制御)する制御部119とを有している。
従って、圧縮機11は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、まず、冷却装置111は、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気を蒸発熱(気化熱)により冷却する。即ち、冷却装置111の水噴射装置112にて、水供給通路115からヘッダ113に水が供給されると、複数の噴射ノズル114は、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の圧縮空気に対して水を噴射(噴霧)する。
このとき、制御部119は、各センサ117,118が計測した低圧の冷却圧縮空気の温度と圧力に基づいて開閉弁116を開閉制御する。即ち、図8に示すように、ステップS11にて、冷却圧縮空気供給通路57を流れる低圧の冷却圧縮空気の状態が水噴射領域にあるかどうかを判定する。この判定は、図9に表す判定マップを用いて行うものであり、この判定マップは、冷却圧縮空気の温度と圧力の関係を表すグラフである。この判定マップにおいて、実線bで表す水蒸気分圧制限値に対して、余裕代(安全量)として所定温度及び所定温度だけ高い位置に点線aで表す水噴射実行値を設定し、この水噴射実行値aよりも高温で低圧の領域を水噴射領域Aとして設定している。
そのため、ステップS11にて、冷却圧縮空気供給通路57を流れる低圧の冷却圧縮空気の状態が水噴射領域にあるかどうかを判定する場合、現在の低圧の冷却圧縮空気の温度及び圧力が水噴射領域Aにあるかどうかを判定する。ここで、現在の低圧の冷却圧縮空気の温度及び圧力が水噴射領域Aにあると判定されたら、ステップS12にて、水噴射装置112は、低圧の圧縮空気に向けて水噴射を実行する。一方、現在の低圧の冷却圧縮空気の温度及び圧力が水噴射領域Aにないと判定されたら、ステップS13にて、水噴射装置112は、低圧の圧縮空気に向けた水噴射を停止する。
すると、冷却装置11では、高温で低圧の圧縮空気は、噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却される。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51で冷却された低圧の冷却圧縮空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
このように実施例6のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置111として、圧縮機11から抽気した低圧の圧縮空気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を設け、制御部119は、低圧の冷却圧縮空気の温度と圧力に基づいて水噴射装置112の作動を制御している。
従って、水噴射装置112は、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の圧縮空気に対して水を噴射(噴霧)すると、高温で低圧の圧縮空気が噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却されることとなる。そのため、熱交換器のような複数または長い配管を必要とせず、装置の簡素化を可能とすることができると共に、冷却可能な冷却空気(圧縮空気)の量を増加することができる。そして、低圧の冷却圧縮空気(圧縮空気)の温度と圧力に基づいて水噴射を実行しており、圧縮空気に対する過度の冷却や圧縮空気への水分の混入を防止することができる。
図10は、本発明の実施例7に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例7のタービン翼の冷却システムは、図10に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例7にて、冷却装置51は、圧縮機11の中間段から圧縮空気抽気通路56を通して抽気した低圧の圧縮空気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却圧縮空気を圧縮する。冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン13の燃焼ガス通路(排気通路)40における最上流側に設けられる1段静翼41aの内部に供給する。即ち、タービン13は、燃焼ガス通路40に複数の静翼体27(静翼41)と複数の動翼体28(動翼42)が交互に配設されて構成されており、燃焼ガスの上流側から、1段静翼41a、1段動翼42a、2段静翼41b、2段動翼42b、3段静翼41c、3段動翼42c、4段静翼41d・・・と配置されている。冷却ガス供給装置53は、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から、1段静翼41aの内部にのみに供給する。
従って、圧縮機11は、外気(空気)を取り込んで圧縮し、冷却装置51は、圧縮機11の中間段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した低圧の冷却圧縮空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン13の1段静翼41aの内部に供給して冷却する。
このように実施例7のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51により冷却し、補助圧縮機52により圧縮した高圧の冷却圧縮空気をタービン13の1段静翼41aの内部に供給している。
従って、圧縮機11の中間段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却し、1段静翼41aの位置における燃焼ガス通路40の圧力よりも高い圧力まで圧縮し、この冷却圧縮空気を1段静翼41aの内部に供給するため、燃焼ガス通路40の排気ガスが冷却孔を通して1段静翼41aの内部に入り込むことはなく、この冷却圧縮空気により1段静翼41aを適正に冷却することができる。そして、低圧の圧縮空気を冷却して所定圧力まで圧縮するため、空気を圧縮するための動力、つまり、圧縮機11及び補助圧縮機52の動力を低減することができる。
また、本実施例のガスタービン10にあっては、高圧の冷却圧縮空気により1段静翼41aの内部に供給して適正に冷却することができると共に、圧縮機11及び補助圧縮機52の動力を低減することができることから、ガスタービン効率及びガスタービン出力を向上することが可能となる。
図11は、本発明の実施例8に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例8のタービン翼の冷却システムは、図11に示すように、圧縮空気抽気通路56と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例8にて、冷却装置51は、圧縮機11の中間段から抽気した低圧の圧縮空気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却圧縮空気を圧縮する。冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン13の燃焼ガス通路(排気通路)40における最上流側に設けられる各静翼41の内部に供給する。
即ち、タービン13は、燃焼ガス通路40に複数の静翼体27(静翼41)と複数の動翼体28(動翼42)が交互に配設されて構成されており、燃焼ガスの上流側から、1段静翼41a、1段動翼42a、2段静翼41b、2段動翼42b、3段静翼41c、3段動翼42c、4段静翼41d・・・と配置されている。冷却ガス供給装置53は、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から、第1通路58aを通して1段静翼41aの内部に供給し、第2通路58bから2段静翼41bの内部に供給し、第3通路58cから3段静翼41cの内部に供給し、第4通路58dから4段静翼41dの内部に供給する。
このように実施例8のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51により冷却し、補助圧縮機52により圧縮した高圧の冷却圧縮空気をタービン13の1段静翼41a、2段静翼41b、3段静翼41c、4段静翼41dの内部に供給している。
従って、冷却圧縮空気により各段の静翼41a,41b,41c,41dを適正に冷却することができる。
なお、上述した実施例7では、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から1段静翼41aの内部に供給するように構成し、実施例8では、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から1段静翼41a、2段静翼41b、3段静翼41c、4段静翼41dの内部に供給するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から1段静翼41a及び2段静翼41bの内部に供給するようにしてもよく、また、高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58から2段静翼41bや3段静翼41cなどの内部に供給するようにしてもよい。
図12は、本発明の実施例9に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例9のタービン翼の冷却システムは、図12に示すように、低圧ガス供給源としてガスタービン10の外部から気体を取り込む吸気通路121と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例9にて、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した低圧の空気(気体)、つまり、外気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却空気を圧縮する。冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
従って、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した外気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給して冷却する。この場合、圧縮機11は、取り込んだ外気(空気)を全量燃焼器12に供給することから、圧縮機11は、タービン翼の内部に供給して冷却する冷却空気量を加味して取り込む必要はない。
このように実施例9のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した外気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気をタービン翼の内部に供給している。
従って、外気を冷却して所定圧力まで圧縮するため、空気を圧縮するための動力、つまり、圧縮機11及び補助圧縮機52の動力を低減することができる。
また、実施例9のタービン翼の冷却システムでは、前述した実施例1や実施例2などと比較して、圧縮空気ではなく、外気を直接冷却するため、この外気よりも温度の低い冷熱を必要とするが、外気圧からタービン翼における冷却空気供給圧力に至る全圧力域にわたって圧縮動力の低減効果を得ることができる。
図13は、本発明の実施例10に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例10のタービン翼の冷却システムは、図13に示すように、吸気通路121と、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例10にて、冷却装置51は、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)を熱交換媒体として使用し、使用後に燃料として燃焼器12に供給する。
即ち、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した外気を熱交換媒体としての液化天然ガスにより冷却するものであり、液化天然ガスを供給するガス供給通路131が設けられている。また、冷却装置51は、ガス供給通路131からガスを供給して外気を冷却した後の液化天然ガスを燃料として燃焼器12に供給する燃料通路132が設けられており、外気により燃料としての液化天然ガスを加熱して気化することができる。
従って、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した外気を液化天然ガスにより冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給して冷却する。また、冷却装置51は、熱交換して気化した天然ガスを燃料として燃焼器12に供給する。そのため、燃焼器12は、気化した天然ガスの燃料が供給されて燃焼することとなり、この燃焼器12での燃焼効率が向上する。
このように実施例10のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51は、吸気通路121から吸入した外気を液化天然ガスにより冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気をタービン翼の内部に供給する一方、冷却装置51で気化した天然ガスを燃料として燃焼器12に供給している。
従って、外気を液化天然ガスにより冷却して所定圧力まで圧縮するため、プラント内の冷熱を有効に利用して、冷却効果を向上することができると共に、空気を圧縮するための動力、つまり、圧縮機11及び補助圧縮機52の動力を低減することができる。
図14は、本発明の実施例11に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例11のタービン翼の冷却システムは、図14に示すように、吸気通路121と、冷却装置111と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例11にて、冷却装置111は、吸気通路121から吸入した低圧の空気(気体)、つまり、外気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を有している。
即ち、冷却装置111は、外気の通路における通路面積が拡大した拡大通路に水噴射装置112が設けられて構成されている。この水噴射装置112は、ヘッダ113と、ヘッダ113に設けられた複数の噴射ノズル114と、ヘッダ113に水を供給する水供給通路115とを有しており、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の空気に対して水を噴射(噴霧)することができる。
従って、冷却装置111は、吸気通路121から吸入した外気を冷却する。即ち、冷却装置111の水噴射装置112にて、水供給通路115からヘッダ113に水が供給されると、複数の噴射ノズル114は、冷却装置111の拡大通路を流れる外気に対して水を噴射(噴霧)する。すると、外気は、噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却される。この場合、圧縮空気の温度や圧力に応じた水を噴射することで、噴射された水を空気により全量蒸発させることが望ましい。次に、補助圧縮機52は、冷却装置51で冷却された低圧の冷却空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、補助圧縮機52が圧縮した高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
このように実施例11のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置111は、吸気通路121から吸入した外気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気をタービン翼の内部に供給しており、冷却装置111として、外気に対して水などの液体を噴射する水噴射装置112を設けている。
従って、水噴射装置112は、冷却装置111の拡大通路を流れる低圧の空気に対して水を噴射(噴霧)すると、外気が噴霧された水を蒸発させることで蒸発熱(気化熱)が奪われて冷却されることとなる。そのため、熱交換器のような複数または長い配管を必要とせず、装置の簡素化を可能とすることができると共に、冷却可能な冷却空気の量を増加することができる。
図15は、本発明の実施例12に係るタービン翼の冷却システムを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例12のタービン翼の冷却システムは、図15に示すように、吸気通路121と、前置昇圧機としての前置補助圧縮機141、冷却装置51と、補助圧縮機52と、冷却ガス供給装置53とから構成されている。そして、実施例12にて、吸気通路121と前置補助圧縮機141と低圧圧縮空気供給通路142とが低圧ガス供給源として機能し、この前置補助圧縮機141は、吸気通路121から吸入した外気を圧縮して低圧の圧縮空気を製造し、低圧圧縮空気供給通路142を通して冷却装置51に供給する。冷却装置51は、前置補助圧縮機141から供給される低圧の圧縮空気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却空気を圧縮する。冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給する。
従って、前置補助圧縮機141は、吸気通路121から吸入した外気を圧縮して低圧の圧縮空気を製造し、冷却装置51は、低圧の圧縮空気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮する。そして、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気を高圧冷却圧縮空気供給通路58からタービン翼の内部に供給して冷却する。この場合、圧縮機11は、取り込んだ外気(空気)を全量燃焼器12に供給することから、圧縮機11は、タービン翼の内部に供給して冷却する冷却空気量を加味して取り込む必要はない。
このように実施例12のタービン翼の冷却システムにあっては、冷却装置51は、前置補助圧縮機141で圧縮された外気を冷却し、補助圧縮機52は、冷却した冷却空気を圧縮し、冷却ガス供給装置53は、冷却して圧縮された高圧の冷却圧縮空気をタービン翼の内部に供給している。
従って、外気を冷却して所定圧力まで圧縮するため、空気を圧縮するための動力、つまり、圧縮機11、前置補助圧縮機122、及び補助圧縮機52の動力を低減することができる。
なお、実施例9から実施例12では、ガスタービン10の外部から取り込む気体として外気を用いる場合を示したが、他の気体(例えば、排気ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガスなど)を用いることも可能である。
また、上述した各実施例では、冷却されて昇圧された冷却ガスをタービン翼としての静翼の内部に供給するようにしたが、タービン翼としての動翼の内部に供給してもよい。