JP6070515B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、発電単位となる燃料電池セルを複数積層したスタック構造とされ、このスタック構造を維持するために外部から燃料電池セル積層方向に押圧力を及ぼす必要がある。こうした押圧力をスタック構造に直接及ぼすことは、燃料電池セルの不用意な変形を招きかねないので、プレッシャープレートを介して押圧力を及ぼす手法が提案されている(例えば、特許文献1等)。
特開2013−12325号公報 特開2013−4471号公報
これら特許文献で提案された押圧力付与手法によれば、燃料電池セルの不用意な変形を招くことなく押圧力によりスタック構造を維持できる上、特に特許文献2によれば、複数の凹部を設けることでプレッシャープレートの軽量化も可能となる。しかしながら、押圧力の及ぼし方を考慮した上での、プレッシャープレートの更なる軽量化が要請されるに到った。この他、プレッシャープレートをその強度を保ちつつ軽量化することや、燃料電池或いはその製造コストの低減等を可能とすることも要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池が提供される。この燃料電池は、発電単位となる燃料電池セルを複数積層したスタック構造のセルスタックと、該セルスタックの一端の側に装着され、外部から燃料電池セル積層方向に加えられる押圧力を前記セルスタックに及ぼすプレッシャープレートとを備える。そして、プレッシャープレートは、プレート周縁に複数設けられ、前記外部からの押圧力を受けて該押圧力を前記セルスタックにスタック周縁で及ぼすセル周縁押圧部と、プレート面内において前記外部からの押圧力を受けて該押圧力を前記セルスタックに前記燃料電池セルのセル面内で及ぼすセル面内押圧部とを有し、前記セル周縁押圧部同士を繋ぐ第1繋ぎ領域と、前記セル面内押圧部と該押圧部の周囲に位置する前記セル周縁押圧部とを繋ぐ第2繋ぎ領域の少なくとも一方の繋ぎ領域は、前記セル面内押圧部および前記セル周縁押圧部を有しない残余のプレート部位よりプレート肉厚が厚くされている。
上記形態の燃料電池によれば、第1繋ぎ領域と第2繋ぎ領域の少なくとも一方の繋ぎ領域をプレート肉厚を厚くすることで、セルスタックに外部からの押圧力を及ぼすプレッシャープレートに求められる強度の確保が可能とできる。この他、上記形態の燃料電池によれば、それぞれのセル周縁押圧部が外部から受けた押圧力および/またはセル面内押圧部が外部から受けた押圧力を、それぞれの押圧部でセルスタックに及ぼしつつ、第1、第2の繋ぎ箇所においてもセルスタックに及ぼすことが可能となるので、セルスタックのスタック一端面での不均衡な押圧力の及び方を抑制できる。その上で、第1繋ぎ領域と第2繋ぎ領域の少なくとも一方の繋ぎ領域以外の部位であって、セル面内押圧部およびセル周縁押圧部を有しない残余のプレート部位のプレート肉厚を薄くできるので、プレート肉厚の薄い箇所の拡大を通して、プレッシャープレートの軽量化をより進めることが可能となる。
(2)上記形態の燃料電池において、前記セル面内押圧部は、前記プレート面内に複数設けられ、前記セル面内押圧部同士を繋ぐ第3繋ぎ領域と、前記第1繋ぎ領域と、前記第2繋ぎ領域の少なくとも一つの繋ぎ領域は、前記残余のプレート部位よりプレート肉厚が厚くされているようにできる。こうすれば、セル面内押圧部をプレート面内に複数有するプレッシャープレートについても、強度を確保した上で、更なる軽量化が可能となる。
(3)上記したいずれかの形態の燃料電池において、前記プレッシャープレートは、前記残余のプレート部位に、前記プレッシャープレートの前記セルスタックの側のプレート面において複数の凹部を備え、該複数の凹部は、前記繋ぎ領域が凹部間リブとして残るよう点在形成されているようにできる。こうすれば、上記の繋ぎ領域は残余のプレート部位より厚いプレート肉厚の凹部間リブとして残るので、こうして残った繋ぎ箇所で繋がれたセル周縁押圧部やセル面内押圧部を補強でき、強度確保の実効性が高まる。しかも、複数の凹部を繋ぎ領域が凹部間リブとして残るよう点在形成すればよく、凹部の形成範囲の拡大も可能となるので、プレッシャープレートの更なる軽量化に簡便に対処できる。
(4)上記したいずれかの形態の燃料電池において、前記セル面内押圧部と前記セル周縁押圧部とは、前記プレッシャープレートの前記セルスタックの側のプレート面において凹部を備え、該凹部の開口周縁の前記プレート面にて前記押圧力を前記セルスタックに及ぼすようにできる。こうすれば、セル面内押圧部とセル周縁押圧部においても、プレッシャープレートの軽量化に寄与できる。
(5)上記したいずれかの形態の燃料電池において、前記セル周縁押圧部は、前記プレッシャープレートのプレート面から突出した凸部とされ、前記外部からの押圧力を、前記凸部の頂上面に当接する荷重調整ネジから受けるようにできる。こうすれば、凸部とされたセル周縁押圧部の頂上面とプレッシャープレートのプレート面との隔たりに相当する分だけ、荷重調整ネジがネジ単独で延びる長さを短くできるので、荷重調整ネジ自体の軽量化に加え、外部からの衝撃等による荷重調整ネジの座屈や曲がり等を抑制でき、押圧力付与の上から好適となる。また、上記の隔たりを、燃料電池に必要な付属機器、例えばリレーやワイヤーハーネス等の配設領域に利用できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池のプレッシャープレートや、燃料電池セルを複数積層したスタック構造のセルスタックを有する燃料電池の製造方法等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態としての燃料電池10の概略構成を示す概略斜視図である。 プレッシャープレート200を正面視してその概略構成を示す説明図である。 プレッシャープレート200を背面視してその概略構成を示す説明図である。 断面箇所を明示するための説明図である。 図4における5−5線に沿って断面視した概略端面図である。 図4における6−6線に沿って断面視した概略端面図である。 図4における7−7線に沿って断面視した概略端面図である。 図4における8−8線に沿って断面視した概略端面図である。 図4における9−9線に沿って断面視した概略端面図である。 図4における10−10線に沿って断面視した概略端面図である。 電池ケース110へのセルスタック102Sの収容の様子と押圧状況をセル面内押圧受け部206cの回りにて概略的に示す説明図である。 図10において隣り合う繋ぎリブ207の間に残余リブ207aを形成した様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての燃料電池10の概略構成を示す概略斜視図である。燃料電池10は、燃料電池セルたるユニットセル102を複数積層したスタック状のセルスタック102Sを備え、当該スタックを、一対のエンドプレート170F,170Eで挟持する。そして、燃料電池10は、セル中央下端や各セルコーナー部において、図示しない締結ボルトにてセル積層方向に締結され、こうして締結されたまま、電池ケース110に収容されて、ケース脚112を介して例えば車両のアンダーボディーの下方に横置き搭載される。
この燃料電池10は、前端側のエンドプレート170Fとセルスタック102Sとの間に、前端側の絶縁板165Fを介在させて前端側のターミナルプレート160Fを有する。燃料電池10は、後端側のエンドプレート170Eとセルスタック102Sとの間にも、同様に、後端側の絶縁板165Eを介在させて後端側のターミナルプレート160Eを有する。ユニットセル102で構成されるセルスタック102Sと、ターミナルプレート160F,160Eおよび絶縁板165F,165Eは、それぞれ、略矩形状の外形を有するプレート構造を有しており、長辺が水平方向で、短辺が垂直方向(鉛直方向)に沿うように配置されている。
セルスタック102Sを構成するそれぞれのユニットセル102および前端側における絶縁板165Fとターミナルプレート160Fは、図における上下左右端の側に、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の図示しない給排孔を有する。なお、これら給排孔は、複数個の孔に分けられて形成されていてもよい。その一方、後端側におけるエンドプレート170Eと絶縁板165Eとターミナルプレート160Eには、これらの給排孔は設けられていない。これは、反応ガス(燃料ガス,酸化剤ガス)および冷却水を前端側のエンドプレート170Fからそれぞれのユニットセル102に対して供給マニホールドを介して供給しつつ、それぞれのユニットセル102からの排出ガスおよび排出水を前端側のエンドプレート170Fから外部に対して排出マニホールドを介して排出するタイプの燃料電池であることによる。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、前端側のエンドプレート170Fから反応ガスおよび冷却水を供給し、後端側のエンドプレート170Eから排出ガスおよび排出水が外部へ排出されるタイプ等の種々のタイプとすることができる。
前端側のターミナルプレート160Fおよび後端側のターミナルプレート160Eは、各ユニットセル102の発電電力の集電板であり、図示しない端子から集電した電力を外部へ出力する。
燃料電池10は、上記したセルスタック102Sを前後端のエンドプレート等とともに電池ケース110に収容するに当たり、プレッシャープレート200をセルスタック102Sの後端側に装着して備える。電池ケース110は、セルスタック102Sをプレッシャープレート200の装着済みの状態で収容する。そして、電池ケース110は、スタック収容時には、ケース端部プレート114に穿孔したプレス用貫通孔115〜117に後述のプレスシャフトPs(図11参照)を挿入して、プレッシャープレート200をセル積層方向に沿って押圧する。プレスシャフトPsからの押圧力は、プレッシャープレート200を介して後述するようにセルスタック102Sにセル面内において及ぶ。燃料電池10は、電池ケース110へのセルスタック102Sの収容後においても、上記した押圧状態を維持すべく、ケース端部プレート114の雌ネジ孔118に螺合させた荷重調整ネジ120にて、そのネジ押圧力を、プレッシャープレート200を介して後述するようにセルスタック102Sにスタック周縁で及ぼす。以下、プレッシャープレート200について説明する。
図2はプレッシャープレート200を正面視してその概略構成を示す説明図である。プレッシャープレート200は、アルミダイキャスト品であり、正面視において矩形形状をなすプレート部202と、セル周縁凸部204と、セル面内押圧受け部206a〜206cとを有する。セル周縁凸部204は、プレート部202の上下端のプレート周縁に複数設けられ、プレート部202から突出している。セル周縁凸部204の配設位置は、電池ケース110における荷重調整ネジ120の螺合位置と合致している。よって、このセル周縁凸部204は、荷重調整ネジ120から加えられた押圧力を受けて、その押圧力をセルスタック102Sにスタック周縁で及ぼす。この様子については、後述する。
セル面内押圧受け部206a〜206cは、プレート部202のプレート面から若干隆起しているので、図2に示すように、これら受け部の位置を視認させる。セル面内押圧受け部206a〜206cの配設位置は、電池ケース110におけるプレス用貫通孔115〜117の穿孔位置と合致している。よって、このセル面内押圧受け部206a〜206cは、プレス用貫通孔115〜117に挿入された後述のプレスシャフトPsから加えられた押圧力を受けて、その押圧力をセルスタック102Sにセル面内で及ぼす。この様子については、後述する。なお、本実施形態では、セル面内押圧受け部206a〜206cをプレート部202のプレート面から若干隆起させたが、プレート部202のプレート面といわゆる面一としてもよい。
図3はプレッシャープレート200を背面視してその概略構成を示す説明図、図4は断面箇所を明示するための説明図、図5は図4における5−5線に沿って断面視した概略端面図、図6は図4における6−6線に沿って断面視した概略端面図、図7は図4における7−7線に沿って断面視した概略端面図、図8は図4における8−8線に沿って断面視した概略端面図、図9は図4における9−9線に沿って断面視した概略端面図、図10は図4における10−10線に沿って断面視した概略端面図である。図示するように、プレッシャープレート200は、プレート部202の裏面に、複数の第1凹部205と第2凹部208を有する。なお、図3では、これら凹部は下線を付して示されている。
セル面内押圧受け部206aとセル面内押圧受け部206bおよびセル周縁凸部204は、プレート部202の裏面側で開口した第2凹部208を備え、この凹部開口周縁をセルスタック102S、詳しくはエンドプレート170Eに押し当てる。よって、セル面内押圧受け部206aとセル面内押圧受け部206bおよびセル周縁凸部204は、該当する第2凹部208の開口周縁のプレート部202のプレート裏面にて、既述した押圧力をセルスタック102Sに及ぼす。セル面内押圧受け部206cは、プレート部202の裏面側で開口した複数の第2凹部208をリブ209を介在して点在配置して備え、リブ209の上面およびそれぞれの第2凹部208の開口周縁をセルスタック102S、詳しくはエンドプレート170Eに押し当てる。よって、セル面内押圧受け部206cは、点在配置した第2凹部208の開口周縁およびリブ209の上面に当たるプレート部202のプレート裏面にて、既述した押圧力をセルスタック102Sに及ぼす。
第1凹部205は、セル面内押圧受け部206a〜206cの第2凹部208を取り囲むよう、プレート部202のプレート裏面に配設され、隣り合う第1凹部205を仕切るリブ207を形成する。このリブ207は、セル面内押圧受け部206a〜206cの第2凹部208から放射状に延び、一部のリブ207は、セル面内押圧受け部206a〜206cとその周囲に位置するセル周縁凸部204とをプレート部202のプレート裏面において繋ぐ。より詳しくは、一部のリブ207は、セル面内押圧受け部206a〜206cの第2凹部208とその周囲のセル周縁凸部204の第2凹部208とをプレート部202のプレート裏面において繋ぎ、これらリブ207は、本願における第2繋ぎ領域を形成する。この他、一部のリブ207は、セル面内押圧受け部206a〜206cの第2凹部208をプレート部202のプレート裏面において繋いでセル面内押圧受け部206a〜206c同士を繋ぎ、これらのリブ207は、本願における第3繋ぎ領域を形成する。また、一部のリブ207は、図3において上下に位置するセル周縁凸部204の第2凹部208をプレート部202のプレート裏面において繋いでセル周縁凸部204同士を繋ぎ、これらのリブ207は、本願における第1繋ぎ領域を形成する。
セル周縁凸部204等の第2凹部208を繋ぐリブ207(以下、繋ぎリブ207と称する)のリブ上面は、プレート部202のプレート裏面と一致する。よって、繋ぎリブ207は、図7や図10に示すように、そのプレート肉厚(リブ肉厚207t)が、セル周縁凸部204やセル面内押圧受け部206a〜206cを有しない残余のプレート部位のプレート肉厚、即ちプレート部202に形成された第1凹部205の底面壁のプレート肉厚202tより大きくされている。本実施形態では、第2凹部208を開口側で取り囲む開口周縁の上面にあっても、プレート部202のプレート裏面と一致させている。この他、プレート部202の上端に位置するセル周縁凸部204と下端に位置するセル周縁凸部204とを繋いで第1凹部205を取り囲むプレート部202のプレート裏面周縁領域にあっても、セル周縁凸部204やセル面内押圧受け部206a〜206cを有しない残余のプレート部位の上記プレート肉厚202tより大きくされている。
セル面内押圧受け部206a〜206cは、既述したようにプレート部202のプレート面から隆起している都合上、それぞれの押圧受け部でのプレート肉厚206at〜206ctは、リブ肉厚207tより若干大きい。そして、セル面内押圧受け部206aとセル面内押圧受け部206bとは、第2凹部208の開口周縁で支えられ、後述するプレスシャフトPsによる押圧に耐えうる。セル面内押圧受け部206cにあっては、第2凹部208の間のリブ209および第2凹部208の開口周縁で支えられ、後述するプレスシャフトPsによる押圧に耐えうる。
セル周縁凸部204は、その凸部頂上面204tを図1の荷重調整ネジ120の受け面とし、当該頂上面を環状壁204aにて取り囲む。よって、この環状壁204aにより、荷重調整ネジ120の不用意なズレは抑制される。そして、このセル周縁凸部204は、第2凹部208の開口周縁で支えられ、後述する荷重調整ネジ120からの押圧に耐えうる。セル周縁凸部204は、図2〜図3に示すように、プレッシャープレート200の上下端周縁に並んでおり、上端側で並んだセル周縁凸部204は、下端側で並んだセル周縁凸部204より、その突出高さ、詳しくはプレート部202のプレート面からの凸部頂上面204tの高さが大きくされている。この高さの相違については、後述する。
次に、セルスタック102Sの電池ケース110への収容の様子と、収容後のセルスタック102Sの押圧の様子について説明する。図11は電池ケース110へのセルスタック102Sの収容の様子と押圧状況をセル面内押圧受け部206cの回りにて概略的に示す説明図である。電池ケース110へのセルスタック102Sの収容前には、図示するプレスシャフトPsは、ケース端部プレート114のプレス用貫通孔117に未挿入であり、荷重調整ネジ120についても未装着、或いは締め付け前とされている。この状態で、電池ケース110にセルスタック102Sを、プレッシャープレート200と共に収容する。その後、プレスシャフトPsをプレス用貫通孔117に挿入して、プレスシャフトPsにてセル面内押圧受け部206cを押圧する。セル面内押圧受け部206a〜206bについても同様である。
こうしてプレスシャフトPsによる押圧を受けるセル面内押圧受け部206a〜206cは、その押圧力をセルスタック102Sにその積層方向に及ぼす。これにより、セルスタック102Sは、予め規定された積層方向寸法を採る。この場合、プレスシャフトPsからの押圧力は、セル面内押圧受け部206a〜206c同士を繋ぐ繋ぎリブ207を介しても、セルスタック102Sに及ぶことになる。
セルスタック102Sが上記の様に規定の積層方向寸法となると、荷重調整ネジ120がケース端部プレート114の雌ネジ孔118(図1参照)において締め込まれる。これにより、荷重調整ネジ120は、そのネジヘッドをセル周縁凸部204の凸部頂上面204tに押し当てて、セル周縁凸部204にその凸部頂上面204tの側から押圧力を掛ける。こうして荷重調整ネジ120による押圧を受けるセル周縁凸部204は、その押圧力をセルスタック102Sにその積層方向に及ぼす。これにより、セルスタック102Sは、プレスシャフトPsによる押圧力が解放されても、規定の積層方向寸法のままとなるので、プレスシャフトPsについては、プレス用貫通孔117から退避される。こうなると、セルスタック102Sは、荷重調整ネジ120による押圧力により規定の積層方向寸法を維持して電池ケース110に収容される。この場合、荷重調整ネジ120からの押圧力は、セル周縁凸部204からのみならず、セル周縁凸部204同士を繋ぐ繋ぎリブ207や、セル周縁凸部204とセル面内押圧受け部206a〜206cのいずれかを繋ぐ繋ぎリブ207を介しても、セルスタック102Sに及ぶことになる。この他、荷重調整ネジ120からの押圧力は、既述したプレート裏面周縁領域を介しても、セルスタック102Sに及ぶ。
本実施形態では、ケース端部プレート114、詳しくはケース端部プレート114を一端に有する電池ケース110をアルミダイキャスト製としている。このため、ケース端部プレート114は、プレート部202の側のプレート面を、型抜きのための抜き勾配の傾斜面としている。こうしたことから、本実施例のプレッシャープレート200は、図11に示すように、プレート部202の上端側で並んだセル周縁凸部204を、下端側で並んだセル周縁凸部204より大きく突出させている。そして、この突出高の差は、上記した抜き勾配と上下のセル周縁凸部204の隔たりを考慮して定められ、ケース端部プレート114の傾斜プレート面と凸部頂上面204tとの間隔がほぼ同じとなるようにされている。
本実施形態の燃料電池10は、発電単位となるユニットセル102を複数積層したスタック構造のセルスタック102Sの一端の側にプレッシャープレート200を装着して備え、このセルスタック102Sをプレッシャープレート200と共に電池ケース110に収容する。こうしてセルスタック102Sを電池ケース110に収容した燃料電池10は、プレート部202のプレート周縁のセル周縁凸部204同士を繋ぐ繋ぎリブ207と、セル面内押圧受け部206a〜206cのいずれかとその周囲に位置するセル周縁凸部204とを繋ぐ繋ぎリブ207とを、プレート部202のプレート裏面に設けた複数の第1凹部205にて形成する。そして、本実施形態の燃料電池10は、これら繋ぎリブ207のリブ肉厚207tを第1凹部205の底面壁の肉厚たるプレート肉厚202tより厚くすることで、セルスタック102SにプレスシャフトPsや荷重調整ネジ120からの押圧力を及ぼすプレッシャープレート200に求められる強度を確保する。
この他、本実施形態の燃料電池10によれば、それぞれのセル周縁凸部204が荷重調整ネジ120から受けた押圧力および/またはセル面内押圧受け部206a〜206cがプレスシャフトPsから受けた押圧力を、それぞれのセル周縁凸部204とセル面内押圧受け部206a〜206cでセルスタック102Sに及ぼしつつ、上記の各繋ぎリブ207においてもセルスタック102Sに及ぼすので、セルスタック102Sのスタック一端面での不均衡な押圧力の及び方を抑制できる。その上で、本実施形態の燃料電池10は、上記の各繋ぎリブ207以外の部位であって、セル面内押圧受け部206a〜206cおよびセル周縁凸部204を有しない残余のプレート部位にあっても、第1凹部205によりプレート肉厚を薄くする。この結果、本実施形態の燃料電池10によれば、プレッシャープレート200の強度確保を図った上で、プレート肉厚の薄い箇所の拡大を通した軽量化を促進できる。本実施形態のプレッシャープレート200によれば、第1凹部205を仮に格子状に形成したに過ぎないプレッシャープレートに比して、約15%を超える質量軽減を図ることができた。
本実施形態の燃料電池10は、プレッシャープレート200のプレート部202にセル面内押圧受け部206a〜206cを備え、セル面内押圧受け部206a〜206c同士を繋ぐ繋ぎリブ207にあっても、そのリブ肉厚207tを第1凹部205の底面壁の肉厚たるプレート肉厚202tより厚くしている。よって、本実施形態の燃料電池10によれば、複数のセル面内押圧受け部206a〜206cをプレート部202に複数有するプレッシャープレート200についても、強度を確保した上で、更なる軽量化を達成する。
本実施形態の燃料電池10は、上記した各繋ぎリブ207を第1凹部205にて容易に形成できるので、簡便であると共に、プレート肉厚の厚い繋ぎリブ207にて、セル周縁凸部204やセル面内押圧受け部206a〜206cをより高い実効性で補強できる。しかも、複数の第1凹部205を上記の各繋ぎリブ207が残るよう点在形成すればよいので、第1凹部205の形成範囲の拡大を通して、プレッシャープレート200をより軽量化できる。
本実施形態の燃料電池10は、セル周縁凸部204とセル面内押圧受け部206a〜206cとを、プレート部202のプレート裏面側に第2凹部208を有するものとし、この第2凹部208の開口周縁のプレート面にてプレスシャフトPsや荷重調整ネジ120の押圧力をセルスタック102Sに及ぼすようにした。よって、本実施形態の燃料電池10によれば、セル周縁凸部204とセル面内押圧受け部206a〜206cとについても軽量となり、プレッシャープレート200をより一層と軽量化できる。
本実施形態の燃料電池10は、セル周縁凸部204を、プレート部202のプレート面から突出した凸部とし、荷重調整ネジ120からの押圧力を、セル周縁凸部204の凸部頂上面204tで受ける。仮に、セル周縁凸部204がプレート部202のプレート面から突出していない形態であれば、図11から判るように、荷重調整ネジ120は、図示する状態より長くならざるを得ない。これに対し、プレート部202のプレート面から突出したセル周縁凸部204であれば、凸部頂上面204tとプレート部202のプレート面との隔たりに相当する分だけ、荷重調整ネジ120がネジ単独で延びる長さを短くできる。この結果、本実施形態の燃料電池10によれば、荷重調整ネジ120自体の軽量化に加え、外部からの衝撃等による荷重調整ネジ120の座屈や曲がり等を抑制できると共に、荷重調整ネジ120の押圧力の安定した付与を図る点から好ましい。また、本実施形態の燃料電池10によれば、凸部頂上面204tとプレート部202のプレート面との隔たりを、燃料電池10に必要なリレーやワイヤーハーネス等の付属機器の配設領域に有効利用できる。この他、本実施形態では、プレート部202の上端側で並んだセル周縁凸部204の突出高と下端側で並んだセル周縁凸部204の突出高とを、ケース端部プレート114の抜き勾配を考慮して差を持たせて、ケース端部プレート114の傾斜プレート面と凸部頂上面204tとの間隔をほぼ同じとした。これにより、荷重調整ネジ120がケース端部プレート114の傾斜プレート面からネジ単独で延びる長さをプレート上下端でほぼ同じにして、荷重調整ネジ120の押圧のためのネジ締め回転程度についても、これをプレート上下でほぼ同じにできる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
例えば、セル周縁凸部204とセル面内押圧受け部206a〜206cとを繋ぐ繋ぎリブ207、セル周縁凸部204同士を繋ぐ繋ぎリブ207、およびセル面内押圧受け部206a〜206cの押圧受け部同士を繋ぐ繋ぎリブ207に加え、残余リブ207aを備えるようにしてもよい。この残余リブ207aは、図3におけるセル面内押圧受け部206a〜206cを取り囲む第1凹部205や、図3に示す繋ぎリブ207で囲まれた第1凹部205を、より細分化した凹部とすることで、図3の繋ぎリブ207に並んで容易に形成できる。図12は図10において隣り合う繋ぎリブ207の間に残余リブ207aを形成した様子を示す説明図である。図示するように、残余リブ207aにあっては、そのリブ上面がプレート部202のプレート裏面と一致したリブとできるほか、繋ぎリブ207より立ち上がり高さが低くいリブとしてもよい。リブ上面がプレート部202のプレート裏面と一致した残余リブ207aとすれば、この残余リブ207を介しても、プレスシャフトPsからの押圧力をセルスタック102Sに及ぶようにできる。また、立ち上がり高さが低くい残余リブ207aとすれば、立ち上がり高さが低いとはいえ、残余リブ207にてプレート部202の強度は確保できるので、プレッシャープレート200の軽量化をより進めることができる。
本実施形態では、ケース端部プレート114を傾斜プレート面を有するものとしたが、同じ厚みの平板状のプレートとしてもよい。平板状のケース端部プレート114であれば、プレート上下端周縁のセル周縁凸部204をほぼ同じ突出高さとすることで、荷重調整ネジ120がケース端部プレート114のプレート面からネジ単独で延びる長さをプレート上下端でほぼ同じにできる。
10…燃料電池
102…ユニットセル
102S…セルスタック
110…電池ケース
112…ケース脚
114…ケース端部プレート
115〜117…プレス用貫通孔
118…雌ネジ孔
120…荷重調整ネジ
160E…ターミナルプレート
160F…ターミナルプレート
165E…絶縁板
165F…絶縁板
170E…エンドプレート
170F…エンドプレート
172IN…燃料ガス供給孔
172OT…燃料ガス排出孔
174IN…酸化剤ガス供給孔
174OT…酸化剤ガス排出孔
176IN…冷却水供給孔
176OT…冷却水排出孔
200…プレッシャープレート
202…プレート部
202t…プレート肉厚
204…セル周縁凸部
204a…環状壁
204t…凸部頂上面
205…第1凹部
206a〜206c…セル面内押圧受け部
206at〜206ct…プレート肉厚
207…繋ぎリブ
207a…残余リブ
207t…リブ肉厚
208…第2凹部
209…リブ
Ps…プレスシャフト

Claims (5)

  1. 燃料電池であって、
    発電単位となる燃料電池セルを複数積層したスタック構造のセルスタックと、
    該セルスタックの一端の側に装着され、外部から燃料電池セル積層方向に加えられる押圧力を前記セルスタックに及ぼすプレッシャープレートとを備え、
    該プレッシャープレートは、
    プレート周縁に複数設けられ、前記外部からの押圧力を受けて該押圧力を前記セルスタックにスタック周縁で及ぼすセル周縁押圧部と、
    プレート面内において前記外部からの押圧力を受けて該押圧力を前記セルスタックに前記燃料電池セルのセル面内で及ぼすセル面内押圧部とを有し、
    前記セル周縁押圧部同士を繋ぐ第1繋ぎ領域と、前記セル面内押圧部と該押圧部の周囲に位置する前記セル周縁押圧部とを繋ぐ第2繋ぎ領域の少なくとも一方の繋ぎ領域は、前記セル面内押圧部および前記セル周縁押圧部を有しない残余のプレート部位よりプレート肉厚が厚くされている
    燃料電池。
  2. 前記セル面内押圧部は、前記プレート面内に複数設けられて前記セル面内押圧部同士を繋ぐ第3繋ぎ領域を備え、該第3繋ぎ領域と、前記第1繋ぎ領域と、前記第2繋ぎ領域の少なくとも一つの繋ぎ領域は、前記残余のプレート部位よりプレート肉厚が厚くされている請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記プレッシャープレートは、前記残余のプレート部位に、前記プレッシャープレートの前記セルスタックの側のプレート面において複数の凹部を備え、該複数の凹部は、前記繋ぎ領域が凹部間リブとして残るよう点在形成されている請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記セル面内押圧部と前記セル周縁押圧部とは、前記プレッシャープレートの前記セルスタックの側のプレート面において凹部を備え、該凹部の開口周縁の前記プレート面にて前記押圧力を前記セルスタックに及ぼす請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池。
  5. 前記セル周縁押圧部は、前記プレッシャープレートのプレート面から突出した凸部とされ、前記外部からの押圧力を、前記凸部の頂上面に当接する荷重調整ネジから受ける請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池。
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