JP6066480B2 - ハンドルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、通電によって発熱する発熱体を把持される把持部に備えたハンドルを製造するハンドルの製造方法に関する。
近年、地球環境を保全し温室効果ガスの発生を抑制する取り組みの一環として、ガソリンエンジン車に代わる環境負荷の少ない、電気自動車(EV)の普及が進んできている。このような電気自動車の場合、蓄電池とモータとの組み合わせにより構成されており、基本的に外部充電器からエネルギーを補充しなければならないことから、蓄電力の消費を抑制する施策が必須であり、その中でも消費電力が大きい暖房(エアコン)用の電力消費を抑制することが最も有効な手段である。
そこで、乗員(運転手)が直接触れるステアリングホイールによって直接暖かさを伝える手段をとることが進められてきており、その一つとして、ステアリングホイールに発熱体としてのヒータ線を埋め込む構成が知られている。
すなわち、ステアリングホイールにヒータ装置を組み込み、始動から間もない、まだ各種機関が充分に温まらないときでもステアリングホイールを温めることで、例えば冬季の屋外に駐車していた車両である自動車を始動して運転するとき、ハンドルすなわちステアリングホイールが冷たいことに起因する操作のしづらさや不快感を軽減しつつ、暖房の使用を抑制して電力の消費を抑制可能な構成が知られている。
このような構成として、例えばヒータ線を格子状に編み込んだヒータ装置を表皮部の内面に両面テープにより貼り付けて円環状に形成し、リム部の外周に巻き付けて固定した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この構成の場合、ヒータ線を覆い隠しつつ触感を損なわないために、ヒータ線を覆って皮革あるいは合成皮革などの表皮体を縫製加飾する必要があり、高価なものとなる。また、この構成の場合には、両面テープのコストが必要になるとともに、経年変化による両面テープの粘着力の低下に伴うヒータ線の型崩れが生じないよう、ヒータ線の固定を別途補強する必要がある。
特開2002−96739号公報 (第3−6頁、図1)
上述したように、ヒータ装置を備えたステアリングホイールを採用する上で、より安価で、かつ、ヒータ線を長期に亘って確実に保形できる構成が望まれている。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、より安価にハンドルを製造でき、かつ、発熱体を長期に亘って確実に保形できるハンドルの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載のハンドルの製造方法は、通電によって発熱する発熱体を把持される把持部に備えたハンドルを製造するハンドルの製造方法であって、前記発熱体及び芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して、前記発熱体を表面部に一体に固着した把持予定部を成形する予定部成形工程と、前記発熱体を含む前記把持予定部を覆って表皮部を形成することで前記把持部を構成する表皮部形成工程とを具備し、前記把持予定部を、一側に対して他側の厚みが小さく芯金の少なくとも一部を覆うコア層と、このコア層を覆う表層とにより構成し、前記予定部成形工程は、前記芯金を設置したコア層用成形型内に液状のコア層用樹脂原料を充填することにより前記芯金の少なくとも一部を覆って前記コア層を成形するコア層成形工程と、前記予定部用成形型である表層用成形型内に発熱体を設置する発熱体設置工程と、前記表層用成形型内に前記芯金の少なくとも一部を覆うコア層を備えた中間体を、前記コア層の他側と前記表層用成形型との間に前記コア層の一側と前記表層用成形型との間よりも広い流路を形成するように設置する中間体設置工程と、前記流路を用いて、前記表層用成形型内に液状の表層用樹脂原料を充填して前記表層を成形する表層成形工程とを備えたものである。
請求項2記載のハンドルの製造方法は、請求項1記載のハンドルの製造方法において、予定部成形工程は、発熱体を表面に一体的に固着した布材を予定部用成形型内に設置する布材設置工程と、芯金を前記予定部用成形型内に設置する芯金設置工程と、前記発熱体及び前記芯金がそれぞれ設置された前記予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形する成形工程とを備えたものである
請求項記載のハンドルの製造方法は、通電によって発熱する発熱体を把持される把持部に備えたハンドルを製造するハンドルの製造方法であって、芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形する予定部成形工程と、前記発熱体を保持した担体を前記把持予定部の表面に巻き付けて、前記把持予定部の表面に前記発熱体を転写する転写工程と、前記発熱体を含む前記把持予定部を覆って表皮部を形成することで前記把持部を構成する表皮部形成工程とを具備したものである。
請求項1記載のハンドルの製造方法によれば、発熱体及び芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形するとともに、この発熱体を含む把持予定部を覆って表皮部を形成することで把持部を構成することにより、発熱体を把持予定部に対してより少ない工数で確実に固定でき、発熱体を把持部に備えるハンドルをより安価に製造できるとともに、発熱体に型崩れが生じにくく、発熱体を長期に亘って確実に保形できる。また、一側に対して他側の厚みが小さいコア層を成形し、このコア層を備えた中間体を、コア層の他側と予定部用成形型である表層用成形型との間にコア層の一側と表層用成形型との間よりも広い流路を形成するように設置することにより、この流路を用いて表層用樹脂原料を表層用成形型内に効果的かつ均一に流し込むことができ、コア層を覆う表層を、欠肉などを生じることなく良好な外観に確実に成形できる
請求項2記載のハンドルの製造方法によれば、請求項1記載のハンドルの製造方法の効果に加え、発熱体を布材の表面に固着して予定部用成形型に設置し、布材とともに発熱体を把持予定部と一体成形することにより、発熱体を予定部用成形型に設置する際の作業性がより良好である
請求項記載のハンドルの製造方法によれば、芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形し、発熱体を保持した担体を把持予定部の表面に巻き付けて、把持予定部の表面に発熱体を転写するとともに、この発熱体を含む把持予定部を覆って表皮部を形成することで把持部を構成することにより、発熱体を把持予定部に対してより少ない工数で確実に固定でき、発熱体を把持部に備えるハンドルをより安価に製造できるとともに、発熱体に型崩れが生じにくく、発熱体を長期に亘って確実に保形できる。
本発明のハンドルの製造方法の第1の関連技術を模式的に示す斜視図であり、(a)は発熱体を表面に付与した布材を示し、(b)は布材設置工程を示し、(c)は芯金設置工程を示し、(d)は成形工程を示す。 同上予定部用成形型の一部を示す斜視図である。 同上ハンドルの製造方法を模式的に示す平面図であり、(a)は布材設置工程を示し、(b)は芯金設置工程を示し、(c)は成形工程を示す。 同上ハンドルの一部を示す斜視断面図である。 同上ハンドルを示す平面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第2の関連技術を模式的に示す断面図であり、(a)は発熱体位置決め工程及び芯金設置工程を示し、(b)は成形工程を示す。 同上発熱体ユニットを示す斜視図である。 同上発熱体ユニットの支持体を示す斜視図である。 本発明のハンドルの製造方法の第3の関連技術の発熱体ユニットの一部を示す斜視図である。 本発明のハンドルの製造方法の第4の関連技術の発熱体ユニットの一部を示す平面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第5の関連技術を模式的に示す平面図であり、(a)は発熱体設置工程を示し、(b)は芯金設置工程を示し、(c)は成形工程を示す。 同上保持部材を示す斜視図である。 同上予定部用成形型の一部を示す平面図である。 同上発熱体設置工程において保持部材により発熱体を保持した予定部用成形型の一部を示す斜視図である。 同上発熱体及び芯金を設置した予定部用成形型を示す断面図である。 同上ハンドルの把持部の断面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第6の関連技術の予定部用成形型の一部を示す平面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第7の関連技術を模式的に示す断面図であり、(a)は発熱体設置工程及び芯金設置工程を示し、(b)は第1の脱型工程を示す。 本発明のハンドルの製造方法の第8の関連技術の発熱体設置工程において保持部材により発熱体を保持した予定部用成形型の一部を示す斜視図である。 同上発熱体を示し、(a)は発熱体の平面図、(b)は(a)のI−I相当位置の断面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第の実施の形態を模式的に示す平面図であり、(a)はコア層成形工程を示し、(b)は表層成形工程を示す。 (a)はコア層成形工程を模式的に示す断面図、(b)は表層成形工程を模式的に示す断面図である。 本発明のハンドルの製造方法の第の実施の形態を模式的に示す断面図であり、(a)は巻付工程を示し、(b)は加熱工程を示し、(c)は剥離除去工程を示し、(d)は表皮部形成工程を示す。 同上発熱体付与工程及びこの発熱体付与工程に用いる装着装置を模式的に示す説明図である。
以下、本発明のハンドルの製造方法の第1の関連技術を図面を参照して説明する。
図5において、10は例えば車両としての自動車のハンドルであるステアリングホイールで、このステアリングホイール10は、ハンドル本体であるステアリングホイール本体11、このステアリングホイール本体11の乗員側に装着されるパッド体としてのセンタパッドであるエアバッグ装置(エアバッグモジュール)12、及び、図示しないスイッチモジュールなどを備えている。なお、ステアリングホイール10は、通常傾斜した状態で車両に備えられるステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、エアバッグ装置12の乗員側すなわち正面側を上側(矢印U方向)、ステアリングシャフト側すなわち背面側を下側(矢印D方向)、車両の前側すなわち前側上方のフロントガラス側を前側、車両の後側すなわち後側下方を後側あるいは手前側として説明する。
そして、ステアリングホイール本体11は、少なくとも一部が円周に沿って形成された、本関連技術では円環状をなす把持部としてのリム部(リング部)15と、このリム部15の内側に位置するボス部16と、これらリム部15とボス部16とを連結する複数の、本関連技術では3本のスポーク部17とから構成されている。また、ボス部16の車体側となる下部には、ステアリングシャフトと歯合するセレーション構造を備えた略円筒状のボス18が設けられているとともに、このボス18に、ハブコアとも呼ばれる芯体を構成するボスプレート19が例えばマグネシウム合金などを重力鋳造法や射出成形法などにより成形することにより一体的に固着されている。さらに、ボス部16には、裏カバーあるいはボディカバーとも呼ばれる図示しない樹脂製の下部カバーが取り付けられ、ボス部16の下側部が覆われている。そして、ボスプレート19から、スポーク部17の芯金17aが一体に延設され、あるいは溶接などして固着されている。さらに、このスポーク部17の芯金17aに、リム部15の芯金15aが溶接などして固着されている。
また、図1ないし図5に示すように、リム部15の芯金15aの全周の表面側と、スポーク部17の芯金17aのリム部15側の部分との表面側には、軟質の合成樹脂などからなる把持予定部としてのコア被覆部である内側被覆部20が形成されている。この内側被覆部20の表面には、通電により発熱する発熱体としてのヒータ線21を表面に備えた布材22が一体的に配置されている。さらに、内側被覆部20及びヒータ線21は、薄皮状の表皮部としてのトップ被覆部である外側被覆部23により覆われている。
内側被覆部20は、本関連技術では、例えば軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたものを使用する。
ヒータ線21は、通電時に発熱する、例えばニッケルなどを含む抵抗線である芯線の表面に、絶縁膜を設けたものであり、本関連技術では、例えば線径が1.0mm程度に設定されている。そして、このヒータ線21は、図示しない制御回路と接続され、この制御回路により通電されることにより発熱するように構成されている。
布材22は、本関連技術では例えばポリエステル製のシート状の不織布が用いられる。この布材22は、例えば四角形状などに形成されており、表面22aにヒータ線21が固着されている。この布材22の表面22aには、本関連技術では、ヒータ線21が、例えばリム部15の周方向となるこの布材22の長手方向に対して交差する方向に交互に繰り返し折り返された状態、すなわち蛇行するように波状に湾曲された状態で固着されている(図1(a))。そして、この布材22は、ヒータ線21とともに、内側被覆部20において、例えばリム部15の外周側に対応する位置に配置されている。
外側被覆部23は、本関連技術では、例えば紫外線などにより変色しない軟質のポリウレタン樹脂(低黄変タイプまたは無黄変タイプのポリウレタン)を微細発泡させたものを用いることができる。そして、この外側被覆部23は、内側被覆部20の表面にインサート成形(オーバモールド)されている。
また、エアバッグ装置12は、袋状のエアバッグ、折り畳んだエアバッグを覆う樹脂製のカバー体、ガスを噴射するインフレータなどを備えており、自動車が衝突した際などに、インフレータからエアバッグの内部にガスを急速に噴射し、折り畳んで収納したエアバッグを急激に膨張させ、カバー体を開裂させて、エアバッグを乗員の前側に膨張展開させて、乗員を保護するようになっている。なお、このエアバッグ装置12は、スイッチ装置としてのホーンスイッチ機構を一体的に組み込んでもよい。
そして、ステアリングホイール10は、予定部用成形型である内側被覆部用成形型31と図示しない表皮部用成形型である外側被覆部用成形型とを用いて成形される。
内側被覆部用成形型31は、第1の一の半型33と、第1の他の半型34とを備え、これら第1の一の半型33と第1の他の半型34との間に、反応してポリウレタンとなる反応混合液(例えばイソシアネートとポリオール(及び酸化防止剤、着色剤など)を混合した液)である液状の樹脂原料35が充填される断面円形状で正面視円環状の(第1の)空間である(第1の)キャビティ36が形成される。すなわち、第1の他の半型34に対向する第1の一の半型33には、半円筒面状の第1の一の成形面33aが形成され、第1の一の半型33に対向する第1の他の半型34には、例えば第1の一の成形面33aと線対称な半円筒面状の第1の他の成形面34aが形成されている。本関連技術では、第1の一の半型33がリム部15の外周側、第1の他の半型34がリム部15の内周側となっている。さらに、この内側被覆部用成形型31は、樹脂原料35を混合攪拌し吐出するための図示しない第1のミキシングヘッドと、この第1のミキシングヘッドから吐出された樹脂原料35をさらに混合するための第1のアフターミキサー37とを備え、この第1のアフターミキサー37により混合された樹脂原料35がキャビティ36へと注入される第1のゲート38が例えば第1の一の半型33の第1の一の成形面33aに連続して形成されている。
第1のアフターミキサー37は、樹脂原料35を分流とその後の合流とによってよく混ざり合うように、屈曲した樹脂流路37aを複数備えている(図2)。
第1のゲート38は、ファンゲートなどとも呼ばれるもので、第1のアフターミキサー37側からキャビティ36側へと徐々に拡開するように形成されている。この第1のゲート38の位置には、キャビティ36内に配置された布材22の一側部に切り欠き形成された切欠部22bが対向して位置する。なお、この第1のゲート38は、本関連技術では、例えば内側被覆部用成形型31の下側、すなわち、この内側被覆部用成形型31を正面から見て、アナログ時計の6時に対応する位置に配置されている(図2及び図3)。
また、外側被覆部用成形型は、内側被覆部用成形型31と同様に、第2の一の半型と、第2の他の半型とを備え、これら第2の一の半型と第2の他の半型との間に、樹脂原料が充填される断面円形状で正面視円環状の(第2の)空間である(第2の)キャビティが形成されるとともに、樹脂原料を混合攪拌し吐出するための図示しない第2のミキシングヘッドと、この第2のミキシングヘッドから吐出された樹脂原料をさらに混合するための第2のアフターミキサーとを備え、この第2のアフターミキサーにより混合された樹脂原料がキャビティ36へと注入される第2のゲートが例えば第2の一の半型の第2の一の成形面に連続して形成されている。なお、この外側被覆部用成形型の各部の詳細な構成は、内側被覆部用成形型31と同様であるので、説明を省略する。
そして、ステアリングホイール10を製造する際には、予め表面22aにヒータ線21を固着した布材22を用意し、この布材22をキャビティ36の断面形状、本関連技術では第1の一の半型33の内面形状である第1の一の成形面33aに沿う半円筒面状に湾曲するように予備賦形して、この第1の一の成形面33aに設置する(布材設置工程(図1(b)及び図3(a)))。このとき、布材22は、ヒータ線21を固着した表面22aを第1の他の半型34側に向けて、換言すれば、ヒータ線21が第1の一の成形面33aと反する側に位置するように、かつ、切欠部22bが第1のゲート38に対向するように設置する。したがって、第1の一の成形面33aとヒータ線21との間に、布材22が位置する。
次いで、ボスプレート19などと一体化された芯金15a,17aを第1の一の半型33に設置(芯金設置工程(図1(c)及び図3(b)))した後、第1の一の半型33と第1の他の半型34とを型合わせ(型閉)してキャビティ36を形成し、第1のミキシングヘッドから吐出した樹脂原料35を第1のアフターミキサー37の樹脂流路37a(図2)によって攪拌混合し、第1のゲート38を介してキャビティ36内に充填することで、樹脂原料35がキャビティ36内で反応してポリウレタンとなり、内側被覆部20が成形される(成形工程(図1(d)及び図3(c)))。このとき、ヒータ線21を付与した布材22が第1の一の成形面33aに沿って予備賦形されているため、この布材22と第1の一の成形面33aとの間の距離は極めて狭く、芯金15aと布材22(ヒータ線21)との間の距離が、布材22と第1の一の成形面33aとの間の距離よりも広くなっており、第1のゲート38から一旦芯金15aと布材22との間に樹脂原料35を大量に流し込むと、芯金15aの外側(布材22の外側)に沿って樹脂原料35の流れが生じ、この樹脂原料35が発泡を伴いながら流動末端(リム部15の上側に対応する、アナログ時計の12時の位置)に向かってフローができあがる。また、樹脂原料35は、反応時に反応熱を発するとともに一部が布材22の目に含浸されることにより、接着剤などを用いることなく内側被覆部20にアンカ効果によって強固に固着される。このように、上記の設置工程及び成形工程により、ヒータ線21を表面に一体に固着した内側被覆部20を成形する予定部成形工程である内側被覆部形成工程が構成される。そして、第1の一の半型33と第1の他の半型34とを型開きして、内側被覆部20を形成した中間体M1を脱型する(第1の脱型工程)。この脱型の際には、布材22が離型剤の代わりとなり、成形面33a,34aなどに離型剤を予め吹き付けておくことなく、中間体M1を内側被覆部用金型から容易に脱型できる。
この後、脱型した中間体M1を、例えばインモールドコートした外側被覆部用成形型にインサートして第2の一の半型と第2の他の半型とを型合わせ(型閉)してキャビティを形成し、第2のミキシングヘッドから吐出した樹脂原料を第2のアフターミキサーの樹脂流路によって攪拌混合し、第2のゲートを介して外側被覆部用成形型のキャビティ内に充填することで、樹脂原料がキャビティ内で反応してポリウレタンとなり、内側被覆部20の表面全体を覆って外側被覆部23が成形される(表皮部成形工程である外側被覆部成形工程)。そして、第2の一の半型と第2の他の半型とを型開きして、ステアリングホイール10を脱型する(第2の脱型工程)。この後、必要に応じて各種表面処理を行う。
このように成形したステアリングホイール10は、表面の昇温と触感とが良好で、かつ、ヒータ線21が組み込まれていることが外観から分からない(分かり難い)、ポリウレタンステアリングホイールとなる。
関連技術によれば、ヒータ線21及び芯金15aを設置した内側被覆部用成形型31内に液状の樹脂原料35を充填して内側被覆部20を成形するとともに、このヒータ線21を含む内側被覆部20を覆って外側被覆部23を形成することでリム部15を構成することにより、例えばヒータ線を内側被覆部の表面に縫い付けたり、接着したりする従来の構成と比較して、ヒータ線21を内側被覆部20に対してより少ない工数で確実に固定でき、ヒータ線21をリム部15に備えるステアリングホイール10をより安価に製造できるとともに、ヒータ線21に型崩れが生じにくく、ヒータ線21を長期に亘って確実に保形できる。
具体的に、ヒータ線21を予め布材22の表面22aに固着して内側被覆部用成形型31に設置し、布材22とともにヒータ線21を内側被覆部20と一体成形(インサート成形)することにより、ヒータ線21を内側被覆部用成形型31に設置する際の作業性がより良好である。
また、布材22がヒータ線21を包み込むように配置され、ヒータ線21と外側被覆部23との間に布材22が介在されるので、ヒータ線21からの発熱が布材22の保温効果によって外側被覆部23に吸収されにくく、速やかに目標温度に達することができる。
しかも、布材22は、上記の通り中間体M1を内側被覆部用金型から脱型する際の離型剤の代わりとして機能するので、離型剤のコストも不要になるとともに、離型剤を塗布したり、脱型後の中間体M1に付着した離型剤を清掃したりする作業工程も不要となり、ステアリングホイール10をより安価に製造できる。
また、内側被覆部20の成形時、キャビティ36に流れ込む樹脂原料35の熱によって、布材22と内側被覆部20とを、容易に、かつ、接着剤などを用いることなく溶着できるので、接着剤のコスト及び接着工程なども不要となり、ステアリングホイール10をより安価に製造できるとともに、布材22に固着されているヒータ線21を確実に保形できる。
さらに、温められた布材22がヒータ線21を包み込むように成形されるため、内側被覆部20の表面に凹凸が生じにくく、この内側被覆部20を外側被覆部23により覆ったときの凹凸感が生じにくいので、外観がより良好になる。
また、内側被覆部20の内部にヒータ線21が埋め込まれているので、内側被覆部20を構成する発泡ウレタンがヒータ線21の保護具としての役割を持ち、ヒータ線21の破損などを確実に防止できるとともに、内側被覆部20の表面を外側被覆部23で覆っても、この外側被覆部23、すなわちリム部15の外観に凹凸が生じにくく、見栄え及び触感が向上する。したがって、外側被覆部23の材質を幅広く選択できるとともに、外側被覆部23を薄く形成しても外観に支障をきたすことがない。
そして、内側被覆部20及び外側被覆部23を、熱伝導性が金属よりも低い樹脂により成形したので、ヒータ線21の発熱が内側被覆部20及び外側被覆部23を介して芯金15a,17a側へと逃げにくく、リム部15をより確実に温めることができる。
次に、第2の関連技術を図6ないし図8を参照して説明する。なお、上記の第1の関連技術と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の関連技術のステアリングホイール10の製造方法は、複数本のヒータ線21により構成されたヒータ線枠組41が支持体42によって保持された発熱体ユニットとしてのヒータユニット43が、内側被覆部用成形型31に取り付けられて、内側被覆部20が成形されるものである。
各ヒータ線21は、例えば1.0〜3.0mm(1.0mm以上3.0mm以下)、より好ましくは1.0〜2.0mm(1.0mm以上2.0mm以下)の線径に形成されている。また、これらヒータ線21は、支持体42によって保持されたときにヒータ線枠組41が回転しないように、例えば断面を真円以外の形状、例えば三角形、あるいは四角形などの角部を有する形状、もしくは、楕円形状などとすることが好ましく、本関連技術では、例えば楕円形状(長円形状)となっている。なお、これらヒータ線21は、芯線自体の断面を三角形状、四角形状、あるいは楕円形状などとしてもよいし、芯線の断面を円形などとして、この芯線を覆う絶縁膜により、全体としての断面を三角形状、四角形状、あるいは楕円形状などとしてもよい。また、これらヒータ線21は、硬度が高く、内側被覆部用成形型31に充填される樹脂原料35の成形圧で変形しにくいものを選択する。
ヒータ線枠組41は、リム部15の周方向に沿ってそれぞれ配置された各ヒータ線21の両端部において、これらヒータ線21の長手方向と交差する方向に延びる結線部44によって互いに機械的及び電気的にそれぞれ接続されて構成されている(図7)。すなわち、このヒータ線枠組41において、ヒータ線21は、リム部15の乗員側である後側(手前側)の外周から内周に亘る位置に互いに平行に離間されて配置されている。ここで、ヒータ線21の間隔は、例えば10mm以下、好ましくは5〜10mm(5mm以上10mm以下)の所定の一定間隔となっている。また、このヒータ線枠組41は、リム部15の断面形状に沿う半円筒面状に湾曲している。
結線部44は、例えば半田などを用い、不織布などの保護部材によって保護してもよい。
支持体42は、例えばABSなどの熱可塑性樹脂を好適に用いることができるが、ステアリングホイール10の触感を向上する場合には、ウレタンなどのゴム性を有する部材を用いることが好ましい。この支持体42は、ヒータ線枠組41(ヒータ線21)及び図示しない電源と電気的に接続されるリード線45,45を支持する支持部本体46と、内側被覆部用成形型31に固定される被固定部47とを一体に備えており、例えばステアリングホイール10の両側に位置するスポーク部17などに配置される(図6及び図8)。
支持部本体46は、反乗員側である前側(背面側)に位置する第1の支持部分割体46aと乗員側である後側(手前側)に位置する第2の支持部分割体46bとに二分割されており、これら第1の支持部分割体46aと第2の支持部分割体46bとが互いに図示しない差込ピンを介して着脱可能に接続固定されている。また、この支持部本体46は、ヒータ線枠組41のうち、リム部15の最も内周側に対応するヒータ線21を位置決めする位置決め穴49、及び、リード線45,45を位置決めするリード線位置決め溝部51,51を備えている。また、この支持部本体46には、第2の支持部分割体46bの上部と下部とに、内側被覆部用成形型31に対して支持体42を位置決めするための位置決め切欠部52,52が切り欠き形成されている。
位置決め穴49は、ヒータ線21の断面形状に対応した任意の形状とすることができるが、本関連技術では、例えば断面楕円形状(断面長円形状)となっている。また、この位置決め穴49は、支持部本体46を上下方向に貫通して形成されており、支持部分割体46a,46bにより前後方向に略二等分に分割されている。さらに、この位置決め穴49は、支持体42の一端側であるステアリングホイール10のリム部15側寄りに位置している。
各リード線位置決め溝部51は、各リード線45の一端側をボス部16側へと導き、各リード線45の他端側をリム部15側へと導くものであり、一端側が第1の支持部分割体46aにおけるステアリングホイール10の中心側の下部寄りの位置で第2の支持部分割体46bの前側に開口し、他端側が支持体42の上下両端でかつ位置決め穴49よりもステアリングホイール10の中心側の位置で、支持部分割体46a,46b間に位置して開口し、これら一端側と他端側との間にて、主として第1の支持部分割体46a内に形成されている。
各位置決め切欠部52は、内側被覆部用成形型31の例えば第1の一の半型33に突設された位置決め用の図示しない位置決め凸部がそれぞれ嵌合することで内側被覆部用成形型31(第1の一の半型33)に対して支持体42を位置決めするものであり、位置決め穴49及び各リード線位置決め溝部51よりもステアリングホイール10の中心側に位置しており、例えば上下方向の中央位置に対して上側あるいは下側へと徐々に幅狭となる三角形状に切り欠き形成されている。
また、被固定部47は、支持体42の他端側であるステアリングホイール10の中心側をなすものであり、支持部本体46の第2の支持部分割体46bに薄肉部55を介して連続する被固定部本体47aと、この被固定部本体47aの前側の上部に対向して位置する固定体47bとに二分割されている。すなわち、被固定部本体47aは、第2の支持部分割体46bと薄肉部55を介して一体に成形されている。そして、固定体47bの内部に形成された図示しない凹部に、一の固定部材としての磁石57が嵌合されており、この固定体47bと被固定部本体47aとの間に磁石57が収納されている。また、固定体47bは、図示しない差込ピンを介して被固定部本体47aと着脱可能に接続固定されている。さらに、この固定体47bは、例えば第1の支持部分割体46aと略面一となっている。
薄肉部55は、支持部本体46と被固定部47との境界に沿って上下方向に沿って直線状に形成された弱部であり、この薄肉部55の前側には、後側から前側へと徐々に拡開する切込部59が形成されている。そして、この切込部59は、支持体42がスポーク部17の芯金17aと対向して密着した状態で、内側被覆部20を構成する樹脂原料35などに埋没することがなく、薄肉部55の位置にて被固定部47を支持部本体46側から切り離すことが可能となっている。
磁石57は、内側被覆部用成形型31の例えば第1の一の半型33に凹設された固定凹部60内に配置された磁石61との間で磁力による吸着力を発生させることにより、支持体42(及びこの支持体42に支持されているヒータ線枠組41)を内側被覆部用成形型31に対して係止固定することが可能となっている。この磁石57としては、大きさと磁力の強さを考慮し、例えば磁束密度が高く10mm角のサイズで10kgw以上の吸着力を有するネオジム磁石が用いられる。
固定凹部60には、磁石61を押さえるための固定板63が嵌合されている。この固定板63は、磁石61を押さえた状態で、内側被覆部用成形型31(第1の一の半型33)の固定凹部60の周囲と略面一な意匠面を形成するように固定凹部60に嵌合されている。また、固定板63は、内側被覆部用成形型31(第1の一の半型33)の意匠面以外の位置に配置された図示しないねじなどにより内側被覆部用成形型31(第1の一の半型33)に固定されている。
そして、ステアリングホイール10の製造の際には、まず、結線部44によってヒータ線21を結線して半円筒面状に予備賦形したヒータ線枠組41のヒータ線21を、支持体42の位置決め穴49にて支持部分割体46a,46b間で挟み込むとともに、各リード線45を各リード線位置決め溝部51に嵌め込んで、これら支持部分割体46a,46bを差込ピンによって接続固定する。この状態で、ヒータ線21の断面形状が真円形状でないため、ヒータ線枠組41が支持体42に対して回動することなく所定の角度で固定される。また、凹部に磁石57を嵌合した固定体47bを、第2の支持部分割体46bと一体に成形されている被固定部本体47aに対して差込ピンによって接続固定し、磁石57を被固定部本体47aと固定体47bとで挟み込む。
この状態で、支持体42は、位置決め切欠部52,52を、内側被覆部用成形型31の位置決め凸部とそれぞれ嵌合させるとともに、磁石57を、第1の一の半型33に固定した磁石61と引き合わせることで、支持体42を第1の一の半型33に対して所定位置で固定する。この状態で、ヒータユニット43は、ヒータ線枠組41が第1の一の半型33の第1の一の成形面33aに対して、例えば2〜3mm程度内方に離間された位置に保持される(発熱体位置決め工程であるヒータ線位置決め工程(図6(a)))。
次いで、上記の第1の関連技術と同様に、ボスプレート19などと一体化された芯金15a,17aを第1の一の半型33に設置(芯金設置工程(図6(a)))した後、第1の一の半型33と第1の他の半型34とを型合わせ(型閉)してキャビティ36を形成し、第1のミキシングヘッドから吐出した樹脂原料35を第1のアフターミキサー37の樹脂流路37aによって攪拌混合し、第1のゲート38を介してキャビティ36内に充填することで、樹脂原料35がキャビティ36内で反応してポリウレタンとなり、ヒータ線21を内包した内側被覆部20が成形される(成形工程(図6(b)))。
この後、内側被覆部用成形型31から中間体M1を脱型するとともに、支持体42は、内側被覆部20によって被覆されていない薄肉部55の位置で被固定部47を支持部本体46に対して折り取って磁石57を回収する。この磁石57は、再利用可能である。
次いで、上記の第1の関連技術と同様に、外側被覆部用成形型を用いて、内側被覆部20の表面全体を覆って外側被覆部23を成形し、第2の一の半型と第2の他の半型とを型開きして、ステアリングホイール10を脱型する。
このように、ヒータ線21を予めヒータ線枠組41として枠組みし、支持体42を介して内側被覆部用成形型31に設置して内側被覆部20と一体成形(インサート成形)することにより、ヒータ線21を内側被覆部用成形型31に設置する際の作業性が良好であるとともに、ヒータ線21を内側被覆部20に対してより少ない工数で確実に固定できる。
また、線状のヒータ線21を互いに離間し、樹脂原料35の流動方向である周方向に沿ってヒータ線21が位置するようにヒータユニット43を内側被覆部用成形型31に設置するので、キャビティ36内での樹脂原料35の流動抵抗が少なく成形でき、ヒータ線21以外に樹脂原料35の流動を阻害するものがインサートされないので、内側被覆部20の成形後の外観に気泡や欠肉などが生じることを抑制できる。また、樹脂原料35の流圧によってヒータ線21が押されにくく、かつ、支持体42の位置決め切欠部52,52と内側被覆部用成形型31の位置決め凸部との嵌合によってヒータユニット43が強固に位置決めされているため、ヒータ線21の位置ずれをより効果的に抑制できる。
特に、樹脂原料35のキャビティ36への注入圧を10kg/cm2以下に設定しているとともに、この注入圧は第1のゲート38の近傍において最も大きく受けるので、第1のゲート38に対して離間されたリム部15の両側の位置にヒータユニット43を配置することで、ヒータ線21が大きな注入圧を直接受けることがない。また、内側被覆部20を構成する樹脂原料35の発泡圧は、数kg程度であるため、発泡方向及び流動方向を適切に設定することで、この発泡圧に起因するヒータ線21の位置ずれは生じにくい。
一方、ヒータ線枠組41のヒータ線21の間隔を10mm以下に設定することで、リム部15を握った際にリム部15中の昇温が遅い箇所を乗員(運転手)が感じにくく、温度むらを体感しにくい。
さらに、ヒータ線21の断面を真円以外の形状、例えば楕円形状などとすることにより、このヒータ線21を支持体42の位置決め穴49によって保持した状態でヒータ線枠組41が支持体42に対してヒータ線21の位置で回動しない。したがって、ヒータ線21(ヒータ線枠組41)を内側被覆部用成形型31に対して、狙った角度で確実に固定でき、ヒータ線21(ヒータ線枠組41)の一部などが内側被覆部20の表面に露出することを確実に防止できる。
また、内側被覆部用成形型31に用いた磁石61は、内側被覆部用成形型31に直接埋め込まずに固定板63によって保持しているだけなので、例えばこの磁石61の磁力が弱くなったときなどにでも、容易に交換できる。
さらに、磁石57,61と、位置決め切欠部52,52及び位置決め凸部の形状とによってヒータユニット43の位置決め及び固定を行うとともに、ヒータ線21をヒータ線枠組41として配置するため、ヒータ線21を単独で配置する場合と比較して、ヒータ線21のよれや位置ずれをより確実に防止できる。したがって、リム部15において、均一な温度調整が可能になる。
また、内側被覆部20は樹脂量が多くなるものの、ヒータ線枠組41が樹脂の経時収縮を防止する役割を果たすため、収縮防止用のリブなどの別途の部材が不要、または最小限で済むようになる。
なお、上記の第2の関連技術において、図9に示す第3の関連技術のように、ヒータ線枠組41のヒータ線21間を線状の複数の架橋部材66によって連結固定することで、ヒータ線21の保形性を向上し、樹脂原料35の流圧や発泡圧に対してヒータ線21の変形をより確実に防止する構成とすることもできる。このとき、これら架橋部材66は、ヒータ線21に対して直交する方向ではなく、傾斜状に交差する方向に沿って互いに略平行に配置することで、樹脂原料35の流動抵抗をより抑制でき、外観品質への影響をより低減できる。
また、上記の第2及び第3の関連技術において、図10に示す第4の関連技術のように、支持体42の支持部本体46に、樹脂原料35を流入させるための例えば深さ1.0mm以下の樹脂流路68を形成したり、この樹脂流路68に連通する貫通孔69を支持部分割体46a,46bを貫通して形成したりして、内側被覆部20と支持体42との接触面積を増加させ、支持体42をより安定的に固定するように構成することもできる。
さらに、上記の第2ないし第4の関連技術において、ヒータ線枠組41は、リム部15のうち、運転時に握る頻度が高い両側位置(アナログ時計の3時−9時位置)にのみ配置してより安価に構成したが、設計を変更することでより広い範囲を温度調整可能となるようにヒータ線21を配置することもできる。
次に、第5の関連技術を図11ないし図16を参照して説明する。なお、上記の各関連技術と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第5の関連技術のステアリングホイール10の製造方法は、ヒータ線21を内側被覆部用成形型31の第1の一の半型33及び第1の他の半型34のそれぞれに対して、保持部材71によって挟み込んで固定した状態で内側被覆部20を成形するものである。
保持部材71は、嵌め込み部品とも呼ぶべきもので、例えば弾性を有する部材により形成されており、押さえ部である保持部材本体73と、この保持部材本体73から突設された係止部としての係止凸部74とを一体に備えている(図12)。そして、この保持部材71は、内側被覆部用成形型31の第1の一の半型33及び第1の他の半型34のそれぞれに対して、複数、例えば周方向に互いに略均等に離間された4箇所で取り付けられるようになっている(図13ないし図15)。
保持部材本体73は、例えば四角形板状に形成されており、第1の一の半型33の第1の一の成形面33a及び第1の他の半型34の第1の他の成形面34aとの間に、ヒータ線21を挟み込んで保持するようになっている。
各係止凸部74は、第1の一の半型33の第1の一の成形面33a及び第1の他の半型34の第1の他の成形面34aに凹設された係止凹部76にそれぞれ圧入されることにより、保持部材71を第1の一の半型33及び第1の他の半型34に係止するためのものであり、保持部材本体73の一主面からピン状(円柱状)に突出している。したがって、これら係止凸部74は、内側被覆部20を成形した後、この内側被覆部20の表面から突出するようになっている。
そして、ステアリングホイール10を製造する際には、まず、第1の一の半型33の第1の一の成形面33a及び第1の他の半型34の第1の他の成形面34aに、それぞれヒータ線21を設置し、このヒータ線21上から各保持部材71の保持部材本体73を被せつつ、各係止凸部74を係止凹部76に圧入することで、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aと保持部材本体73との間で、ヒータ線21を保持する(発熱体設置工程であるヒータ線設置工程(図11(a)及び図14))。このとき、ヒータ線21は、例えば1本を周方向に沿って複数回、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aと同等の仮想的な半円筒面に沿うようにずらしながら周回させた状態に予備賦形して配置する。
次いで、上記の第1の関連技術と同様に、ボスプレート19などと一体化された芯金15a,17aを第1の一の半型33に設置(芯金設置工程(図11(b)及び図15))した後、第1の一の半型33と第1の他の半型34とを型合わせ(型閉)してキャビティ36を形成し、第1のミキシングヘッドから吐出した樹脂原料35を第1のアフターミキサー37の樹脂流路37aによって攪拌混合し、第1のゲート38を介してキャビティ36内に充填する(成形工程(図11(c)))ことで、樹脂原料35がキャビティ36内で反応してポリウレタンとなり、ヒータ線21を内包した内側被覆部20が成形される。なお、このとき、樹脂原料35は、成形時のヒータ線21のずれや曲がりを生じにくくするために、注入圧を例えば数kg/cm2として、低圧成形することが好ましい。
この後、内側被覆部用成形型31から中間体M1を脱型するとともに、内側被覆部20の表面から突出した各保持部材71の係止凸部74を、それぞれ内側被覆部20の成形表面に沿って切り落とす。
次いで、上記の第1の関連技術と同様に、外側被覆部用成形型を用いて、内側被覆部20の表面全体を覆って外側被覆部23を成形し、第2の一の半型と第2の他の半型とを型開きして、ステアリングホイール10を脱型する。このとき、ヒータ線21は、リム部15の断面の全周に亘って位置する(図16)。また、外側被覆部23の厚みは、昇温性、触感及び成形性などにより調整するが、例えば2mm以下とすることが好ましい。
このように、ヒータ線21を保持部材71によって内側被覆部用成形型31に保持して設置し、内側被覆部20と一体成形(インサート成形)することにより、ヒータ線21を内側被覆部用成形型31に設置する際の作業性が良好であるとともに、ヒータ線21を内側被覆部20に対してより少ない工数で確実に固定できる。
また、ヒータ線21を樹脂原料35の流動方向に沿って内側被覆部用成形型31に設置するので、キャビティ36に充填される樹脂原料35の流動をヒータ線21が阻害しにくく、ボイド(空気穴などの凹陥部)の発生を抑制できる。
さらに、ヒータ線21を保持部材71によって保持するため、ヒータ線21の配置を任意に選択できる。特に、本関連技術では、リム部15の内周側にもヒータ線21を配置できるので、リム部15を握った乗員(運転手)の指先をヒータ線21によって効果的に温めることができる。
しかも、ヒータ線21は、内側被覆部用成形型31の第1の一の半型33及び第1の他の半型34のそれぞれに設置して内側被覆部20を成形するので、芯金15aの形状に拘らず、ステアリングホイール10のリム部15の表側から裏側まで全体を温めることができる。
なお、上記の第5の関連技術において、図17に示す第6の関連技術のように、例えば内側被覆部用成形型31の第1のゲート38と反対側である樹脂原料35の流動末端、すなわち上側、換言すればアナログ時計の12時位置に設けられキャビティ36からオーバーフローさせた樹脂原料35を受けるオーバーフロー部78に連通して、保持部材71を成形するための保持部材成形用空間である保持部材成形用キャビティ79を設ける構成としてもよい。この場合には、内側被覆部20を成形する際にキャビティ36に充填された樹脂原料35がこのキャビティ36からオーバーフロー部78へとオーバーフローして保持部材成形用キャビティ79に充填され、内側被覆部20と同時に保持部材71を成形できる。すなわち、内側被覆部用成形型31のうち、内側被覆部20とならない部分を用いて、内側被覆部20とは異形の保持部材71を同時に成形する、いわゆるファミリーモールド(異形状同時成形)を行うことができる。この成形した保持部材71は、次回のステアリングホイール10の内側被覆部20の成形時に利用できる。
また、この第6の関連技術において、保持部材成形用キャビティ79は、外側被覆部用成形型のオーバーフロー部に設けてもよい。
さらに、上記の第5及び第6の関連技術において、図18に示す第7の関連技術態のように、保持部材71の保持部材本体73に、係止凸部74に代えて係止部としての係止穴部81を開口し、保持部材71を内側被覆部用成形型31に可動的に設けられた保持手段としてのだるまピン82を用いて保持してもよい。このだるまピン82は、第1の一の半型33の第1の一の成形面33a及び第1の他の半型34の第1の他の成形面34aにそれぞれ進退可能に設けられており、先端部に、係止穴部81の内形(内径)よりも外形(外径)が大きい球形状の係止ピン部82aを備えている。そして、ヒータ線設置工程においては、第1の一の半型33の第1の一の成形面33a及び第1の他の半型34の第1の他の成形面34aから、だるまピン82をそれぞれ突出させた状態としておき、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aにそれぞれヒータ線21を設置するとともに、このヒータ線21上から各保持部材71の保持部材本体73を被せつつ、係止穴部81にだるまピン82の係止ピン部82aを圧入することで、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aと保持部材本体73との間で、ヒータ線21を保持する(図18(a))。このとき、保持部材71は、弾性を有するため、だるまピン82の係止ピン部82aが係止穴部81を弾性変形させつつこの係止穴部81に圧入されて保持部材71を確実に保持する。そして、内側被覆部20を成形した後、中間体M1を内側被覆部用成形型31から脱型する際に、だるまピン82を第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aから退避させて係止穴部81から係止ピン部82aを抜く(図18(b))。この構成により、上記の第5及び第6の関連技術のように、係止凸部74を切り落とすなどの後処理が不要となり、製造性がより向上するとともに、だるまピン82が樹脂原料35の流れを阻害しにくく、キャビティ36に対して樹脂原料35を円滑に充填できる。
さらに、上記の第5ないし第7の関連技術において、図19及び図20に示す第8の関連技術のように、ヒータ線21に代えて、電熱線を網状に形成した発熱体84を用いてもよい。この場合には、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aに、発熱体84の網目よりも細い支持部としての突起部85を例えば複数突設し、これら突起部85を、第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aに沿って半円筒面状に予備賦形した発熱体84の網目に挿入することで発熱体84を支持して、この発熱体84を第1の一の成形面33a及び第1の他の成形面34aに設置することで、上記の第5ないし第7の関連技術と同様の作用効果を奏することができる。
そして、上記の第5ないし第8の関連技術において、ヒータ線21あるいは発熱体84は、第1の一の半型33のみに設置してもよいし、第1の他の半型34のみに設置してもよい。すなわち、これらヒータ線21あるいは発熱体84は、第1の一の半型33と第1の他の半型34との少なくともいずれかに設置することが可能である。
次に、第の実施の形態を図21及び図22を参照して説明する。なお、上記の各関連技術と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第の実施の形態のステアリングホイール10は、内側被覆部20が、芯金15aを覆うコア層86と、このコア層86を覆う表層87とにより構成されているものである。
これらコア層86及び表層87は、本実施の形態では同一の材質、例えば軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたものにより成形されている。
また、コア層86は、一側である例えば外周側86aと、その反対側すなわち他側である例えば内周側86bとで厚みが異なっており、外周側86aの厚みT1が内周側86bの厚みT2よりも大きく設定されている。すなわち、このコア層86は、相対的に径寸法が大きい半円形状の外周側86aと、相対的に径寸法が小さい半円形状の内周側86bとが段差状に連続する断面形状を有している。そして、このコア層86を覆った状態で、表層87は表面において一側である例えば外周側87aと他側である例えば内周側87bとで段差のない形状となっている。すなわち、表層87は、外周側87aの厚みT3が相対的に小さく(例えば0.5〜1.5mm(0.5mm以上1.5mm以下)、好ましくは1.0mm程度)、内周側87bの厚みT4が相対的に大きく設定されており、コア層86の外周側86aと内周側86bとの厚み差を相殺するようになっている。
そして、本実施の形態のステアリングホイール10は、コア層用成形型88と、表層用成形型としての予定部用成形型である内側被覆部用成形型31と、外側被覆部用成形型とを用いて成形される。
コア層用成形型88は、第3の一の半型91と、第3の他の半型92とを備え、これら第3の一の半型91と第3の他の半型92との間に、反応してポリウレタンとなる反応混合液(例えばイソシアネートとポリオール(及び酸化防止剤、着色剤など)を混合した液)である液状の表層用樹脂原料である樹脂原料93が充填される断面円形状で正面視円環状の(第3の)空間である(第3)のキャビティ94が形成される。すなわち、第3の他の半型92に対向する第3の一の半型91には、半円筒面状の第3の一の成形面91aが形成され、第3の一の半型91に対向する第3の他の半型92には、例えば第3の一の成形面91aよりも径寸法が小さい半円筒面状の第3の他の成形面92aが形成されている。本実施の形態では、第3の一の半型91がリム部15の反乗員側である前側(背面側)、第3の他の半型92がリム部15の乗員側である後側(手前側)となっている。さらに、このコア層用成形型88は、樹脂原料93を混合攪拌し吐出するための図示しない第3のミキシングヘッドと、この第3のミキシングヘッドから吐出された樹脂原料93をさらに混合するための図示しない第3のアフターミキサーとを備え、この第3のアフターミキサーにより混合された樹脂原料93がキャビティ94へと注入される図示しない第3のゲートが例えば第3の一の半型91の第3の一の成形面91aに連続して形成されている。なお、第3のミキシングヘッド、第3のアフターミキサー及び第3のゲートについては、第1のミキシングヘッド、第1のアフターミキサー37及び第1のゲート38と同様の構成であるので、説明を省略する。また、これら第3のミキシングヘッド及び第3のアフターミキサーは、本実施の形態の場合、コア層86と表層87とに用いる樹脂原料93が同一であるため、第1のミキシングヘッド及び第1のアフターミキサー37に原料を供給するRIM機と共通のRIM機より原料を供給するようにすればよい。
また、内側被覆部用成形型31は、本実施の形態では、第1の一の半型33がリム部15の外周側に位置し、第1の他の半型34がリム部15の内周側に位置するように構成されている。
そして、ステアリングホイール10を製造する際には、まず、コア層用成形型88を用いて、芯金15aを覆うコア層86を成形した中間体M2を形成する。このとき、第3の一の半型91にボスプレート19などと一体化された芯金15a,17aを設置し(芯金設置工程)、この第3の一の半型91と第3の他の半型92とを型合わせ(型閉)してキャビティ94を形成し、第3のミキシングヘッドから吐出した樹脂原料93を第3のアフターミキサーの樹脂流路によって攪拌混合し、第3のゲートを介してキャビティ94内に充填することで、樹脂原料93がキャビティ94内で反応してポリウレタンとなり、コア層86が成形される(コア層成形工程(図21(a)及び図22(a)))。この状態で、コア層86は、外周側86aの厚みT1よりも内周側86bの厚みT2が小さい形状に形成される。
次いで、予備賦形したヒータ線21を内側被覆部用成形型31の第1の一の成形面33aに設置する(発熱体設置工程であるヒータ線設置工程)。このとき、ヒータ線21は、上記の各関連技術と同様の任意の設置方法で設置できるが、例えばリム部15の周方向に対して交差する方向に交互に折り返された波状に配置され、第1の一の成形面33aに沿って半円筒面状に湾曲される。さらに、コア層用成形型88から脱型した中間体M2のコア層86の表面に表層87との接着性を向上させるための処理を施し、この中間体M2を内側被覆部用成形型31に設置するとともに、第1の一の半型33と第1の他の半型34とを型合わせ(型閉)してキャビティ36を形成する。このとき、コア層86のヒータ線21が位置する側の反対側である内周側86bの厚みT2が、ヒータ線21が位置する外周側86aの厚みT1よりも小さいことにより、内周側86bが外周側86aよりも内側被覆部用成形型31のキャビティ36(第1の他の成形面34a)に対して離間して設置され、このコア層86の内周側86bと内側被覆部用成形型31のキャビティ36(第1の他の成形面34a)との間に、周方向に連続する一つの流路96が形成され、その他の部分、主としてコア層86の外周側86aと内側被覆部用成形型31のキャビティ36(第1の一の成形面33a)との間に、周方向に連続し流路96よりも狭い狭隘流路97が形成される。そして、第1のミキシングヘッドから吐出したコア層用樹脂原料である樹脂原料93を第1のアフターミキサー37によって攪拌混合し、第1のゲート38を介してキャビティ36内に充填する。この樹脂原料93は、流路96では流速が大きく、迅速に流動末端まで、すなわちリム部15の上側に対応する、アナログ時計の12時の位置まで到達する。一方、この樹脂原料93は、狭隘流路97では、流動抵抗が相対的に大きく、ゆっくりと流れる。このため、流路96側から狭隘流路97側、すなわちヒータ線21側へと樹脂原料93の充填が進む。このとき樹脂原料93の流れが遅いため、内側被覆部用成形型31のキャビティ36内に設置されたヒータ線21は、そのままのパターンを保って樹脂原料93に閉じ込められる。さらに、狭隘流路97を流れる樹脂原料93は、流路96内に既に行き渡った樹脂原料93が流路96側から供給されるため流動距離が短く、かつ、流路96と同時進行で流れるため、狭隘流路97に空気を閉じ込めることに伴うショートショット(欠肉)の問題は生じない。すなわち、第1のゲート38近傍の流路96は、上側に向かっていわば縦方向の樹脂原料93の流れを生じる一方で、同時に流路96と反対側の狭隘流路97への樹脂原料93の流れを発生させるので、この部分も流路96側からいわば横方向の充填が行われながら、上側へと表層87を成長させていく。したがって、このようにキャビティ94に充填された樹脂原料93がこのキャビティ94内で反応してポリウレタンとなることにより、コア層86全体を覆って表層87が成形され、内側被覆部20が完成する(表層成形工程(図21(b)及び図22(b)))。
この後、脱型した中間体M1を外側被覆部用成形型にインサートし、上記の各関連技術と同様に外側被覆部23を成形し、第2の一の半型と第2の他の半型とを型開きして、ステアリングホイール10を脱型する。
このように、ヒータ線21を表層87にて内側被覆部20と一体成形(インサート成形)することにより、例えばヒータ線を内側被覆部の表面に縫い付けたり、接着したりする従来の構成と比較して、作業性が良好であるとともに工数を削減でき、ヒータ線21をリム部15に備えるステアリングホイール10をより安価に製造できるとともに、ヒータ線21に型崩れが生じにくく、ヒータ線21を長期に亘って確実に保形できる。
また、表層87を構成する発泡ウレタンは、発泡によって樹脂原料93が膨張して形状をなすため、樹脂原料93をキャビティ94中に予め均一に流しておく必要がある。特に、表層87を薄肉に形成する場合、発泡前に樹脂原料93をキャビティ94中に均一に流し込むことは重要である一方、無理に流し込むと成形後に荒れや欠肉が生じる恐れがある。したがって、本実施の形態では、外周側86aの厚みT1に対して内周側86bの厚みT2が相対的に小さいコア層86を成形し、このコア層86を備えた中間体M2を、コア層86の内周側86bと内側被覆部用成形型31との間にコア層86の外周側86aと内側被覆部用成形型31との間(狭隘流路97)よりも広い流路96を形成するように設置することで、この流路96を用いて樹脂原料93をキャビティ94中に効果的かつ均一に流し込むことができる。したがって、表層87、ひいてはリム部15を、欠肉などを生じることなく良好な外観に確実に成形できる。
しかも、コア層86と表層87とを同一の合成樹脂によって成形することで、流路96の位置での厚みに起因する、リム部15を握ったときの違和感が生じにくい。
この結果、内側被覆部20及び外側被覆部23を必要以上に厚くすることなく、ソフトな感触を有するリム部15にヒータ線21を備えるステアリングホイール10をより安価に製造でき、内側被覆部20及び外側被覆部23によってヒータ線21によるリム部15の昇温性が低下することもない。
次に、第の実施の形態を図23及び図24を参照して説明する。なお、上記の各関連技術及び第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第の実施の形態のステアリングホイール10の製造方法は、ヒータ線21を、担体(キャリア材)であるシート状のフィルム101の表面101aに固着し、このフィルム101を用いて内側被覆部20の表面にヒータ線21を転写するものである。
フィルム101は、例えば合成樹脂などの部材により形成されており、好適には、38μm以下の厚みのPETフィルム、あるいは柔軟性を有する塩化ビニル、エラストマ系フィルムなどが用いられる。また、このフィルム101は、ステアリングホイール10のリム部15の形状に対応して、例えば円環状に形成されている。さらに、このフィルム101は、表面101aにのみ、僅かな粘着性を有している。
そして、ヒータ線21は、図24に示す装着装置103によりフィルム101の表面101aに対して所定のパターン、本実施の形態では周方向に対して交差する方向に交互に折り返されたパターンで固着される。
装着装置103は、フィルム101の形状に対応する例えば円環状の台座部103aと、この台座部103aに対して略垂直に立設された複数の引っ掛け部材である引っ掛けピン103bとを備えている。
台座部103aは、例えば鉄板などの金属により板状に形成されている。
引っ掛けピン103bは、例えば合成樹脂などの部材により形成され、表面には糊、あるいは接着剤などが付着しにくいようにフッ素樹脂加工などが施されていてもよい。例えば台座部103aの径方向に離間された2本ずつを1セットとし、この台座部103aの周方向に略等間隔に離間されて複数セット配置されている。なお、この引っ掛けピン103bは、台座部103aの全体に、この台座部103aを貫通して配置されているが、説明をより明確にするために、図24においては一部のみを図示し、他の引っ掛けピン103bは省略している。
そして、まず、ヒータ線21の表面に、例えば熱で軟化して接着効果を有するホットメルト系の接着剤などを予めコーティングしておき、このヒータ線21を、台座部103aの一主面上で引っ掛けピン103b間に蛇行させるように引っ掛ける。次いで、このヒータ線21を、台座部103aとともに、フィルム101の表面101aへと移動させ、この表面101aの粘着性により、ヒータ線21をフィルム101の表面101aに固着する。ヒータ線21を固着した後、台座部103aはフィルム101から離間され、ヒータ線21のみがフィルム101の表面101aに残ることとなる(発熱体付与工程)。
このようにヒータ線21を表面101aに付与したフィルム101は、ボスプレート19などと一体化された芯金15a,17aを内側被覆部用成形型31のキャビティ36の内部に設置して樹脂原料35により予め成形した内側被覆部20の表面に巻き付け(巻付工程(図23(a)))、この状態で、加熱炉104内へと入れて、所定温度で所定時間、例えば100℃付近の温度で5分程度加熱する(加熱工程(図23(b)))ことにより、ヒータ線21の表面にコーティングされた接着剤が溶融し、内側被覆部20の表面に接着される。このヒータ線21の接着剤による内側被覆部20への接着は、フィルム101の表面101aの僅かな粘着性よりも強力であるため、フィルム101のみが剥離除去されてヒータ線21が内側被覆部20の表面に残って転写される(剥離除去工程(図23(c)))。すなわち、これら巻付工程、加熱工程及び剥離除去工程によって、内側被覆部20の表面にヒータ線21を転写する転写工程が構成される。この結果、内側被覆部20の表面にヒータ線21が付与された中間体M1が製造される。
この後、上記の第1の関連技術と同様に、外側被覆部用成形型を用いて、内側被覆部20の表面全体を覆って外側被覆部23を成形し(図23(d))、第2の一の半型と第2の他の半型とを型開きして、ステアリングホイール10を脱型する。
このように、フィルム101の表面101aに固着したヒータ線21を内側被覆部20の表面に転写することにより、例えばヒータ線21が複数の系統に分割されている場合でも、フィルム101を用いて一度に内側被覆部20の表面に固着できるので、ヒータ線21を内側被覆部20に対してより少ない工数で容易かつ確実に固定でき、ヒータ線21をリム部15に備えるステアリングホイール10をより安価に製造できるとともに、例えば両面テープなどによってヒータ線を内側被覆部の表面に固定する場合と比較して、ヒータ線21に型崩れが生じにくく、ヒータ線21を長期に亘ってより確実に保形できる。
また、ヒータ線21を、別途のシートなどを用いることなく内側被覆部20の表面に固着できるので、別途のシートなどが不要であるとともに、この別途のシートの皺などに起因する内側被覆部20の表面の凹凸、すなわち外側被覆部23(リム部15)の表面の凹凸が発生しない。
さらに、ヒータ線21は、装着装置103を用いてフィルム101の表面101aに固着できるので、ヒータ線21のフィルム101の表面101aの固着から、フィルム101の内側被覆部20の表面への巻き付け、加熱及びフィルム101の剥離に至る、内側被覆部20の表面へのヒータ線21の固着の大幅な効率化を図ることができるとともに、半自動化が可能になる。
なお、上記の第の実施の形態において、フィルム101を、スリットを設けて柔軟にする構成としてもよい。
また、引っ掛けピン103bの配置は、必要なヒータ線21の配置パターンに応じて適宜変更できる。
さらに、上記の第の実施の形態のフィルム101を用いて、上記の第の実施の形態の表層87の表面にヒータ線21を転写してもよい。
また、上記の各関連技術及び各実施の形態において、外側被覆部23は、例えば皮革、合成皮革、あるいは合成樹脂などのシート状の表皮体を内側被覆部20の表面に巻き付け、縫製などによって固定することで形成することもできる。この場合には、一般的な、いわゆる革巻きステアリングホイールと同様の発熱体付きステアリングホイールとすることができる。
さらに、内側被覆部20は、任意の多層に成形することもできる。
また、ステアリングホイール10は、3本のスポーク部17を備えた構成に限られず、例えば4本のスポーク部17を備えた構成にも適用できる。
そして、エアバッグ装置12に代えて、例えば衝撃吸収体を収納したパッド体を用いることもできる。
本発明は、例えば自動車のステアリングホイールとして好適に用いることができる。
10 ハンドルであるステアリングホイール
15 把持部としてのリム部
15a 芯金
20 把持予定部としての被覆部
21 発熱体としてのヒータ線
22 布材
23 表皮部としての外側被覆部
31 表層用成形型としての予定部用成形型である内側被覆部用成形型
35 樹脂原料
84 発熱体
86 コア層
86a 一側である外周側
86b 他側である内周側
87 表層
88 コア層用成形型
93 コア層用樹脂原料及び表層用樹脂原料である樹脂原料
96 流路
101 担体であるフィルム
M2 中間体

Claims (3)

  1. 通電によって発熱する発熱体を把持される把持部に備えたハンドルを製造するハンドルの製造方法であって、
    前記発熱体及び芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して、前記発熱体を表面部に一体に固着した把持予定部を成形する予定部成形工程と、
    前記発熱体を含む前記把持予定部を覆って表皮部を形成することで前記把持部を構成する表皮部形成工程とを具備し
    前記把持予定部を、一側に対して他側の厚みが小さく芯金の少なくとも一部を覆うコア層と、このコア層を覆う表層とにより構成し、
    前記予定部成形工程は、
    前記芯金を設置したコア層用成形型内に液状のコア層用樹脂原料を充填することにより前記芯金の少なくとも一部を覆って前記コア層を成形するコア層成形工程と、
    前記予定部用成形型である表層用成形型内に発熱体を設置する発熱体設置工程と、
    前記表層用成形型内に前記芯金の少なくとも一部を覆うコア層を備えた中間体を、前記コア層の他側と前記表層用成形型との間に前記コア層の一側と前記表層用成形型との間よりも広い流路を形成するように設置する中間体設置工程と、
    前記流路を用いて、前記表層用成形型内に液状の表層用樹脂原料を充填して前記表層を成形する表層成形工程とを備えた
    ことを特徴とするハンドルの製造方法。
  2. 予定部成形工程は、
    発熱体を表面に一体的に固着した布材を予定部用成形型内に設置する布材設置工程と、
    芯金を前記予定部用成形型内に設置する芯金設置工程と、
    前記発熱体及び前記芯金がそれぞれ設置された前記予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形する成形工程とを備えた
    ことを特徴とする請求項1記載のハンドルの製造方法
  3. 通電によって発熱する発熱体を把持される把持部に備えたハンドルを製造するハンドルの製造方法であって、
    芯金を設置した予定部用成形型内に液状の樹脂原料を充填して把持予定部を成形する予定部成形工程と、
    前記発熱体を保持した担体を前記把持予定部の表面に巻き付けて、前記把持予定部の表面に前記発熱体を転写する転写工程と、
    前記発熱体を含む前記把持予定部を覆って表皮部を形成することで前記把持部を構成する表皮部形成工程と
    を具備したことを特徴とするハンドルの製造方法。
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