近年の光アクセス等の普及に伴った様々な大容量サービスに対応するため、無線通信の伝送速度の向上が要求されている。占有する周波数帯域と伝送速度とは比例するため、周波数帯域を拡大することでこれを実現することができる。しかし、実際の周波数資源は有限であるため、周波数帯域の拡大には限界がある。また、WiFi(登録商標)をはじめ、WiMAX(登録商標)やLTE(登録商標)のような様々な無線アクセスシステムが普及しており、特にこれらのシステムに割り当てられているマイクロ波帯の周波数資源は逼迫している状況にある。
そこで、限られた周波数資源環境下において伝送容量を向上するためには、送受信局に複数のアンテナを具備し、MIMOないしはマルチユーザMIMO(MU−MIMO)技術の適用による空間分割多重伝送が有効である。この手法を拡張し、複数の基地局間におけるチャネル情報や、送信信号、受信信号を共有、もしくはそれらを一括で扱う集中制御局を配置し、(MU−)MIMO技術を適用することで隣接する基地局間の干渉を除去可能とする基地局連携も検討されている。このように、同一システム間においては干渉信号に関する情報を事前に把握することで干渉に対処することが可能であった。
また、周波数帯域幅を拡大し、さらに伝送容量を向上するためには、複数のシステム間における周波数資源を共用し、複数システム相互の共存を許容する必要がある。異なるシステム間における未知の同一チャネル干渉に対処するためには、非特許文献1に示されるようなアダプティブアレーアンテナ技術が有効である。アダプティブアレーアンテナ技術には様々なアルゴリズムがある。
例えば、送受信局間にて互いに共有しているトレーニング信号のような既知情報を利用する最小平均二乗誤差(Minimum Mean Square Error:MMSE)法や、既知情報を必要としないブラインド型のアルゴリズムとしてはパワーインバージョン(Power Inversion;PI)や定包絡線アルゴリズム(Constant Modulus Algorithm;CMA)などがある。パケットベースの無線通信においてはタイミング検出等のためにトレーニング信号が付与されているためにMMSEは有効であるが、これはタイミング検出が正確に成されていることが前提として必要であり、所望信号よりもレベルの大きい干渉信号が到来する場合にはタイミングを検出できず、正確に動作しない恐れがある。したがって、未知の干渉を抑圧するという観点からは、トレーニング信号を必要としないPIやCMAが有効であると考えられる。
図22は、無線通信システムの構成例を示すブロック図である。同図には、無線通信装置120a及び無線通信装置120bを具備する無線通信システムが示されている。以下、無線通信装置120aと無線通信装置120bとのいずれか一方又は両方を総称して無線通信装置120という。無線通信装置120は、データ入出力部121と、MAC層処理部122と、通信制御部123と、受信信号処理部124と、送信信号処理部126と、スイッチ127と、アンテナ128とを備えている。なお、図22における構成は、無線通信装置120が複数本のアンテナ128を備える構成である。
データ入出力部121は、宛先局に送信するデータを入力する。また、データ入出力部121は、MAC層処理部122から入力されるデータをユーザに対して出力する。MAC層処理部122は、受信信号処理部124から入力されるデータに対してMAC層に関する処理を施してデータ入出力部121に出力する。また、MAC層処理部122は、データ入出力部121から入力されるデータに対してMAC層に関する処理を施して送信信号処理部126に出力する。
通信制御部123は、アンテナ128における送受信のタイミング、すなわちスイッチ127における送受信の切り替えに関わる制御や、それに伴う受信信号処理部124及び送信信号処理部126における動作タイミングの制御、また通信相手先となる他の無線通信装置120を選択する処理、無線通信システム全体のタイミング制御など、全体の通信に係る制御を行う。
受信信号処理部124は、アンテナ128にて受信した受信信号に対して受信信号処理を行う。送信信号処理部126は、MAC層処理部122から入力される送信データに対して送信信号処理を施して、アンテナ128から送信する。スイッチ127は、通信制御部123からの指示に従って、送信時にはアンテナ128と送信信号処理部126とを接続し、受信時にはアンテナ128と受信信号処理部124とを接続する。
無線通信装置120における送信の動作について説明する。
データ入出力部121に宛先局に送信すべきデータが外部から入力されると、MAC層処理部122は、データ入出力部121に入力されたデータに対して無線回線上で送受信されるデータに変換する。MAC層処理部122は、更にMAC層のヘッダ情報を付加する等の処理を行って得られた送信データを送信信号処理部126に出力する。
送信信号処理部126は、MAC層処理部122から出力される送信データに変調処理を施す。送信信号処理部126は、変調処理により得られた送信信号を、スイッチ127を経由してアンテナ128から送信する。
続いて、無線通信装置120における受信の動作について説明する。宛先から送信された自装置宛ての信号を複数のアンテナ128にて受信すると、受信した信号(受信信号)は、スイッチ127を経由して受信信号処理部124に入力される。受信信号処理部124は、複数のアンテナ128それぞれが受信した受信信号に対してアレー処理を施し、受信信号から所望の信号を取得するための受信ウェイトを算出する。受信信号処理部124は、算出した受信ウェイトを用いて受信信号から所望の信号を取得し、取得した所望の信号に対して復調などの各種信号処理を施してデータを取得する。受信信号処理部124は、取得したデータをMAC層処理部122に出力する。
MAC層処理部122は、受信信号処理部124から出力されるデータに対して、MAC層に関する処理(例えば、データ入出力部121に対して入出力データと無線回線上で送受信されるデータとの変換や、MAC層のヘッダ情報の終端など)を行う。MAC層処理部122は、MAC層に関する処理を施したデータを、データ入出力部121を介して外部ディスプレイないしは外部ネットワーク等の出力装置に出力させる。
なお、特に明記はしていないがアンテナ128においては、送信時には送信信号処理部126においてベースバンド変調処理が施された信号に対してD/A(Digital/Analog:デジタル/アナログ)変換、無線周波数信号へのアップコンバート、さらに帯域外の周波数成分を除去するためのフィルタ処理等が行われたのち、送信される。また、受信時にはその逆の処理が施されたのち、ベースバンド受信信号が受信信号処理部124へ入力される。
図23は、無線通信装置120がシングルキャリア通信を行う場合の送信信号処理部126の構成例を示すブロック図である。送信信号処理部126は、変調部131を有している。変調部131は、MAC層処理部122から出力されるデータに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行う。例えば、各シンボルのI−Q平面上の情報に基づいて、所定の帯域幅の搬送波を変調する。また、変調部131は、DFT(Discrete Fourier Transform;離散フーリエ変換)処理のために送信信号に周期性を持たせることを目的として、必要に応じてガードインターバルを挿入する。
図24は、無線通信装置120がOFDM変調方式又はOFDMA変調方式を用いて通信を行う場合の送信信号処理部126の構成例を示すブロック図である。送信信号処理部126は、変調部131と、直列/並列変換部132と、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform;逆離散フーリエ変換)部133とを有している。変調部131は、MAC層処理部122から出力されるデータに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行う。
直列/並列変換部132は、変調部131によりマッピングされたシンボルに対して直列/並列変換を行い、得られた複数のシンボル列をIDFT部133に出力する。IDFT部133は、直列/並列変換部132から出力される複数のシンボル列に対してIDFTを施して、周波数領域の信号から時間領域に信号に変換してアンテナ128に出力する。また、送信信号処理部126では、必要に応じて、ガードインターバルの挿入や、OFDMシンボル間の波形整形処理などが行われ、送信する電気的な信号をアンテナ128に出力する。
図25は、無線通信装置120がシングルキャリア通信を行う場合の受信信号処理部124の構成例を示すブロック図である。同図には、無線通信装置120に2つのアンテナ128が備えられている場合の構成が示されている。受信信号処理部124は、アダプティブアレー処理部152と、アンテナ128に対応して設けられている乗算器153と、加算器154と、復調部156とを有している。アンテナ128から受信信号処理部124に入力される2つの受信信号(受信信号1、受信信号2)は、アダプティブアレー処理部152と、各受信信号に対して設けられている乗算器153とに入力される。
アダプティブアレー処理部152は、入力される受信信号1及び受信信号2に基づいて、受信信号1及び受信信号2に含まれる干渉信号を抑圧するためのウェイトを所定のアルゴリズム(PI又はCMAなど)により算出する。アダプティブアレー処理部152は、算出したウェイトを乗算器153に入力する。乗算器153は、入力される受信信号1とウェイトとを乗算し、乗算結果を加算器154に出力する。加算器154は、2つの乗算器153から出力される乗算結果を加算し、加算結果を復調部156に入力する。このように、ウェイトの乗算及び合成を含むアレー処理により干渉信号の抑圧された1系統の信号が得られる。
復調部156は、アレー処理が施された受信信号に対して直交復調処理によりデマッピングされたシンボルを取り出し、取り出したシンボルに対して誤り訂正復号処理を施すことで最終的なデータ系列を取得する。復調部156は、取得したデータ系列をMAC層処理部122に出力する。
次に、無線通信装置120がマルチキャリア伝送方式を用いて通信を行う場合の動作を示す。その一例として、OFDMまたはOFDMA変調方式を用いて説明する。図26は、無線通信装置120がOFDM変調方式又はOFDMA変調方式を用いて通信を行う場合の受信信号処理部124の構成を示すブロック図である。同図には、図25に示した構成例と同様に、無線通信装置120に2つのアンテナ128が備えられている場合の構成が示されている。受信信号処理部124は、DFT部151と、複数のアダプティブアレー処理部152と、複数の乗算器153と、複数の加算器154と、並列/直列変換部155と、復調部156とを有している。DFT部151はアンテナ128に対応して設けられる。アダプティブアレー処理部152及び加算器154はサブキャリアごとに設けられている。乗算器153はDFT部151から出力されるサブキャリアの信号ごとに設けられている。
DFT部151は、対応するアンテナ128により受信された受信信号(受信信号1又は受信信号2)を入力し、入力した受信信号に対してDFTを施して、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換して各サブキャリアの信号を取得する。DFT部151は、取得した各サブキャリアの信号を、アダプティブアレー処理部152と乗算器153とに出力する。
アダプティブアレー処理部152は、対応するサブキャリアの信号を各DFT部151から入力する。アダプティブアレー処理部152は、受信信号1における対応するサブキャリアの信号と受信信号2における対応するサブキャリアの信号とに基づいて、それぞれの信号に含まれ干渉信号を抑圧するためのウェイトを所定のアルゴリズム(PI又はCMAなど)により算出する。
乗算器153それぞれは、各DFT部151から出力されるサブキャリアの信号ごとに設けられており、対応するサブキャリアの信号と、対応するサブキャリアのアダプティブアレー処理部152により算出されたウェイトとが入力される。乗算器153は、入力されたサブキャリアの信号とウェイトとを乗算し、乗算結果を対応するサブキャリアの加算器154に出力する。加算器154それぞれは、対応するサブキャリアの乗算器153から出力される乗算結果を加算し、加算結果を並列/直列変換部155に入力する。このように、ウェイトの乗算及び合成を含むアレー処理により干渉信号の抑圧された各サブキャリアの信号が得られる。
並列/直列変換部155は、アレー処理が施された各サブキャリアの信号を各加算器154から入力し、入力される各サブキャリアの信号に対して並列/直列変換を施して、1系統の信号を取得し、取得した1系統の信号を復調部156に出力する。復調部156は、並列/直列変換部155から出力される1系統の信号に対して直交復調処理によりデマッピングされたシンボルを取り出し、取り出したシンボルに対して誤り訂正復号処理を施すことで最終的なデータ系列を取得する。復調部156は、取得したデータ系列をMAC層処理部122に出力する。
ここでは、サブキャリアごとのアレー処理を実施する構成として、サブキャリアごとにアダプティブアレー処理部152、乗算器153、加算器154を備える場合を用いて説明したが、この例に限らず本処理は実施可能である。例えば、受信信号処理部124はアダプティブアレー処理部152、乗算器153、加算器154を一つずつ、ないしはサブキャリア数よりも少ない数だけ備え、サブキャリア毎のアレー処理を時分割にて実施する構成としても構わない。また、複数のサブキャリアをまとめて一つのサブチャネルとし、サブチャネル単位で上記アレー処理を実施してもかまわない。このように、いかなる方法を用いてOFDM(マルチキャリア伝送)におけるアレー処理は実現可能である。
なお、図25及び図26の例では受信アンテナが2本の場合を例にとり説明したが、アンテナ数は3本以上であっても構わない。一般に、アンテナ数をN本とすると、アダプティブアレーの適用によりN−1の干渉波を抑圧することが可能となる。
以上のように構成された無線通信装置120において、MMSEやPI、CMAなどのアダプティブアレーアルゴリズムを用いることにより、到来する干渉信号を予測できない状況においても、無線通信システムにおいて通信を行うことができる。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。同実施形態おける無線通信システムの構成は、図22に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第1実施形態による無線通信システムは、シングルキャリアによる通信を行う。同実施形態による無線通信システムが、従来の無線通信システムと異なる点は、送信信号処理部126と受信信号処理部124の構成が異なる点である。図1は、同実施形態による送信信号処理部126の構成を示すブロック図である。この図において、従来の無線通信システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。また、図22に示す無線通信装置120a及び無線通信装置120bは2本のアンテナを備えた場合を例として説明しているが、3本以上のアンテナを備えていても同様に本発明は実施可能である。
図1において、符号131は、MAC層処理部122から出力されるデータに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行うことにより、符号化処理及び1次変調を行う変調部である。符号134は、変調部131が出力する送信信号をサブチャネルに分割するフィルタである。フィルタ134は、サブチャネルの数と同数だけ備えられる。符号135は、各フィルタが出力するサブチャネルの送信信号それぞれに対して異なる電力を割り当てる電力割り当て部である。電力割り当て部135は、フィルタ134の数と同数だけ備えられる。符号136は、各電力割り当て部135から出力する電力割り当て後の送信信号を合成することにより、分割したスペクトルを再合成する信号合成部である。
次に、図2を参照して、第1実施形態による受信信号処理部124の構成を説明する。図2は、受信信号処理部124の構成を示すブロック図である。図2において、符号157は、アンテナ128を介して受信した受信信号1、2のそれぞれについてサブチャネル毎の信号に分割するフィルタである。フィルタ157は、1つの受信信号毎に、サブチャネルの数と同数だけ備えられている。ここでは、2つの受信信号の例を示したが、3以上の受信信号の場合は、受信信号の数と同数の同様な構成を受信信号処理部124内に備えることになる。
符号158は、サブチャネル毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示するアレー処理制御部である。アダプティブアレー処理部152は、サブチャネルの数と同数だけ備えられ、各サブチャネルの2つの受信信号それぞれに対してウェイトを算出し、乗算器153によってウェイトを乗算することによってアレー処理を施す。そして、加算器154によりサブチャネル毎に受信信号1と受信信号2とが加算されて出力する。符号159は、加算器154のそれぞれから出力する受信信号を合成することにより、分割したスペクトルを再合成するとともに、各サブチャネルの電力均一化処理を行う信号合成部である。信号合成部159の出力は復調部156によって復調される。
なお、特に明記はしていないが、受信信号処理部124の前段、もしくはフィルタ部157の前段においては対域外の周波数成分を除去するためのフィルタ処理や、受信した無線周波数(RF)信号を中心周波数(IF)帯の信号に変換する処理、アナログ/デジタル(A/D)変換処理などが実施され、続いてフィルタ部157〜信号合成部159までのアダプティブアレー処理が実施される。復調部156においては、干渉が抑圧された信号に対してタイミング検出処理等が実施され、ベースバンド信号への変換処理の後に復調処理が実施される。CMAやPIのようなブラインド型のアダプティブアレーアルゴリズムを用いる場合には、当該アレー処理により事前に干渉信号を抑圧することで、より精度の高い所望信号が得られるため、タイミング検出処理を正確に行い、続く復調処理を実施することが可能となる。
もしくは、前記のタイミング検出処理やベースバンド信号への変換処理を、A/D変換処理の後段、フィルタ部157の前段に実施し、アダプティブアレー処理をベースバンド信号に対して実施する構成としてもよい。アダプティブアレーアルゴリズムとしてMMSEのような、送受において既知であるトレーニング信号を必要とするものを用いる場合には、アレー処理の前に受信信号におけるトレーニング信号部分が必要となるため、事前にタイミング検出及びトレーニング信号の抽出処理が必要となる。
次に、図3を参照して、送受信動作を説明する。図3は、図1に示す送信信号処理部126の送信動作と図2に示す受信信号処理部124の受信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を各フィルタ134へ出力する(ステップS1)。フィルタ134のそれぞれは、送信信号をサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS2)。
次に、電力割り当て部135のそれぞれは、フィルタ134から出力するサブチャネル毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS3)。これを受けて、信号合成部136は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号を合成することにより、分割した信号を合成して出力する(ステップS4)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS5)。
次に、受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS11)。フィルタ157のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS12)。アレー処理制御部158は、サブチャネル毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、アダプティブアレー処理部152のそれぞれは、フィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行いウェイトを決定し、決定したウェイトを乗算器153によってフィルタ157から出力する受信信号に乗算する(ステップS13)。そして、加算器154は、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、信号合成部159は、加算器154から出力する信号を合成することにより、分割した信号を電力密度が均一となるよう処理を行いながら再び合成して出力する(ステップS14)。最後に、復調部156は、信号合成部159から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS15)。
ここで、図4を参照して、図3に示す帯域ごとに電力を割り当てる処理について説明する。図4は、帯域及び電力密度の割り当ての一例を示す図である。帯域及び電力密度の割り当ては、割り当てパターンNo.毎に、各帯域1〜帯域Nの帯域BNと電力密度PNの関係が予め定義されて、送信信号処理部126内に記憶されている。例えば、割り当てパターンNo.が(1)の場合、帯域1には、帯域B1=0.5、電力密度P1=1が割り当てられ、帯域2には、帯域B2=0.5、電力密度P2=1が割り当てられる。このとき、帯域Bn、電力密度Pnは、ΣN n−1Bn=1、ΣN n−1PnBn=1を満たす。図4に示す例では、割り当てパターン(1)〜(M)を示したが、予め定義しておくパターンの数は任意である。
次に、図5を参照して、帯域及び電力密度の割り当て制御動作を説明する。図5は、送信側の無線通信装置120aと受信側の無線通信装置120bの制御シーケンスを示すシーケンス図である。図5の説明において、送信側の無線通信装置120aを送信側と称し、受信側の無線通信装置120bを受信側と称する。まず、送信側は、割り当てパターン(2)で受信側に対して送信する(ステップS21)。ここで送信される割り当てパターン(2)の送信は、図5(a)に示すように、周波数f1〜f2では、電力密度が小さくなるように、周波数f2〜f3では電力密度が大きくなるように送信する。これを受けて、受信側では、割り当てパターン(2)で受信処理を行い、周波数f1〜f2ではPIを、周波数f2〜f3ではCMAを適用する。このとき、図5(a)には明記していないが、周波数選択性により干渉信号のレベルが周波数軸において変動することにより、所望信号と干渉信号に明確な差がない、すなわちSIRがほぼ0となった場合、PI及びCMAは適切に動作することができず、受信に失敗することになる。受信側は、受信に失敗すると、送信側に対して受信失敗を通知する(ステップS22)。
受信失敗の通知を検知(受信側からNACK受信もしくはタイムアウト発生)すると、送信側は、異なる電力割り当てパターンを変更して再度送信を行う。送信側は、割り当てパターンを(3)に変更して再度送信を行う(ステップS23)。ここで送信される割り当てパターン(3)の送信は、図5(b)に示すように、周波数f1〜f2では、割り当てパターン(2)よりさらに電力密度が小さくなるように、周波数f2〜f3では割り当てパターン(2)よりさらに電力密度が大きくなるように送信する。これにより、所望信号と干渉信号に明確な差ができると、PI及びCMAがそれぞれ適切に動作するようになる。これを受けて、受信側では割り当てパターン(3)で受信処理を行うことにより、受信が成功する。
なお、受信側は、受信結果に応じて受信側から送信側へ最適な割り当てパターンを指定するようにしてもよい。すなわち、受信側から割り当てパターン(4)で送信するように通知し、これを受けて、送信側は、割り当てパターン(4)で送信を行うと同時に、当該割り当てパターンに適したアレー処理を適用する。
このように、送信側は、帯域をN分割し、それぞれに異なる電力密度を割り当てて送信を行い、周波数軸上において電力密度に大きな高低差を設けることにより、受信側ではSIR>0,SIR<0となる帯域を得ることができるようになる。これにより、受信側では、SIR<0となる周波数f1〜f2の帯域ではPIを適用することができるようになる。また、SIR>0となる周波数f2〜f3の帯域ではCMAを適用することができるようになる。したがって、干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。ここで、アダプティブアレーアルゴリズムの例としてブラインド型アルゴリズムであるCMA及びPIを挙げたが、これに限定されることなく、いかなるアダプティブアレーアルゴリズムも適用可能である。例えば、PIと同様の特徴を持つアルゴリズムとして、固有ベクトルビームスペース法(Eigenvector Beamspace Adaptive Array;EBAA)も適用可能である。また、CMAに代えてMMSEを用いてもよい。また、ある帯域の受信信号に複数のアダプティブアレーアルゴリズムを適用してもよい。以下の各実施形態においても同様である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。第2実施形態おける無線通信システムの構成についても図22に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第2実施形態による無線通信システムは、マルチキャリア伝送を用いて通信を行う。その一例として、OFDM変調方式又はOFDMA変調方式を用いて通信を行う場合を説明する。同実施形態による無線通信システムが、従来の無線通信システムと異なる点は、送信信号処理部126と受信信号処理部124の構成が異なる点である。図6は、同実施形態による送信信号処理部126の構成を示すブロック図である。この図において、従来の無線通信システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。図6に示す送信信号処理部126は、直列/並列変換部132とIDFT部133との間にサブキャリア毎に異なる電力を割り当てる電力割り当て部135をサブキャリアの数と同数だけ備えている。
図6において、符号131は、MAC層処理部122から出力されるデータに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行う変調部である。符号132は、変調部131によりマッピングされたシンボルに対して直列/並列変換を行い、得られた複数のシンボル列を出力する直列/並列変換部である。符号135は、直列/並列変換部132から出力する複数のシンボルのそれぞれに対して、異なる電力を割り当てる電力割り当て部である。符号133は、各電力割り当て部135から出力する電力割り当て後のシンボル列に対してIDFTを施して、周波数領域の信号から時間領域に信号に変換してアンテナ128に出力するIDFT部である。
次に、図7を参照して、第2実施形態による受信信号処理部124の構成を説明する。図7は、受信信号処理部124の構成を示すブロック図である。この図において、従来の無線通信システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。図7に示す受信信号処理部124が図26に示す受信信号処理部124と異なる点は、アレー処理制御部158が設けられている点である。図7に示す受信信号処理部124は、DFT部151と、複数のアダプティブアレー処理部152と、複数の乗算器153と、複数の加算器154と、並列/直列変換部155と、復調部156とを備えている。DFT部151はアンテナ128に対応して設けられている。アダプティブアレー処理部152及び加算器154はサブキャリアごとに設けられている。乗算器153はDFT部151から出力されるサブキャリアの信号ごとに設けられている。アレー処理制御部158は、サブキャリア毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
なお、特に明記はしていないが、受信信号処理部124の前段、もしくはDFT部151の前段においては対域外の周波数成分を除去するためのフィルタ処理や、受信した無線周波数(RF)信号を中心周波数(IF)帯の信号に変換する処理、アナログ/デジタル(A/D)変換処理などが実施され、続いてDFT部151〜並列/直列変換部155までのアダプティブアレー処理が実施される。復調部156においては、干渉が抑圧された信号に対してタイミング検出処理等が実施され、ベースバンド信号への変換処理の後に復調処理が実施される。CMAやPIのようなブラインド型のアダプティブアレーアルゴリズムを用いる場合には、当該アレー処理により事前に干渉信号を抑圧することで、より精度の高い所望信号が得られるため、タイミング検出処理を正確に行い、続く復調処理を実施することが可能となる。
もしくは、前記のタイミング検出処理やベースバンド信号への変換処理を、A/D変換処理の後段、DFT部151の前段に実施し、アダプティブアレー処理をベースバンド信号に対して実施する構成としてもよい。アダプティブアレーアルゴリズムとしてMMSEのような、送受において既知であるトレーニング信号を必要とするものを用いる場合には、アレー処理の前に受信信号におけるトレーニング信号部分が必要となるため、事前にタイミング検出及びトレーニング信号の抽出処理が必要となる。
次に、図8を参照して、送受信動作を説明する。図8は、図6に示す送信信号処理部126の送信動作と図7に示す受信信号処理部124の受信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を直列/並列変換部132へ出力する(ステップS31)。直列/並列変換部132は、送信信号を直列から並列へ変換処理することによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS32)。電力割り当て部135のそれぞれは、直列/並列変換部132から出力するサブキャリア毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS33)。これを受けて、IDFT部133は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号に対してIDFT処理を実行して出力する(ステップS24)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS35)。
次に、受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS41)。DFT部151のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてDFT処理を行うことによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS42)。アレー処理制御部158は、サブキャリア毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、アダプティブアレー処理部152のそれぞれは、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行いウェイトを決定し、決定したウェイトを乗算器153によってDFT部151から出力する受信信号に乗算する(ステップS43)。そして、加算器154は、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、並列/直列変換部155は、加算器154のそれぞれから出力する信号に対して並列/直列変換を行うことにより、信号を所定の順序にて出力する(ステップS44)。最後に、復調部156は、並列/直列変換部155から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS45)。
次に、図9を参照して、帯域及び電力密度の割り当て制御動作を説明する。図9は、送信側の無線通信装置120aと受信側の無線通信装置120bの制御シーケンスを示すシーケンス図である。図9の説明において、送信側の無線通信装置120aを送信側と称し、受信側の無線通信装置120bを受信側と称する。
なお、送信側の送信信号処理部126内には、図4に示すように、割り当てパターンNo.毎に、各帯域1〜帯域Nの帯域BNと電力密度PNの関係が予め定義されて記憶されている。ここで言う帯域とは、所定の電力密度を割り当てるサブキャリアのセット(サブチャネル)と見做し、そのサブキャリア番号は任意に設定してよい。
まず、送信側は、割り当てパターン(2)で受信側に対して送信する(ステップS51)。ここで送信される割り当てパターン(2)の送信は、図9(a)に示す割り当てパターンで送信する。これを受けて、受信側では、割り当てパターン(2)で受信処理を行う。このとき、受信側は、受信に失敗すると、送信側に対して受信失敗を通知する(ステップS52)。
受信失敗の通知を検知すると、送信側は、異なる電力割り当てパターンを変更して再度送信を行う。送信側は、割り当てパターンを(3)に変更して再度送信を行う(ステップS23)。ここで送信される割り当てパターン(3)の送信は、図5(b)に示すように、割り当てパターン(2)に比べて、電力密度が小さい帯域はさらに電力密度が小さくなるように、電力密度が大きい帯域は電力密度がさらに大きくなるように送信する。これにより、所望信号と干渉信号に明確な差ができると、PI及びCMAがそれぞれ適切に動作するようになる。これを受けて、受信側では割り当てパターン(3)で受信処理を行うことにより、受信が成功する。
なお、受信側は、受信結果に応じて受信側から送信側へ最適な割り当てパターンを指定するようにしてもよい。すなわち、受信側から割り当てパターン(5)で送信するように通知し、これを受けて、送信側は、割り当てパターン(5)で送信を行うと同時に、当該割り当てパターンに適したアレー処理を適用する。
このように、送信側は、帯域をN分割し、それぞれに異なる電力密度を割り当てて送信を行い、受信側ではSIR>0,SIR<0となる帯域を得ることができるようになる。これにより、受信側では、SIR<0となる帯域ではPIを適用することができるようになる。また、SIR>0となる帯域ではCMAを適用することができるようになる。したがって、干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。第3実施形態による無線通信システムは、シングルキャリアによる通信を行う。図10は、同実施形態おける無線通信システムの構成を示すブロック図である。この図において、図22に示す無線通信システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図10に示す無線通信システムが、図22に示す無線通信システムと異なる点は、新たにウェイト管理部125が設けられている点と、送信信号処理部126の構成が異なる点である。ウェイト管理部125は、受信時に算出したウェイトを送信時に用いることで干渉源への与干渉を抑圧する。
次に、図11を参照して、図10に示す送信信号処理部126の構成を説明する。図11は、図10に示す送信信号処理部126の構成を示すブロック図である。図11において、符号131は、MAC層処理部122から出力されるデータに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行うことにより、符号化処理及び1次変調を行う変調部である。符号134は、変調部131が出力する送信信号をサブチャネルに分割するフィルタである。フィルタ134は、サブチャネルの数と同数だけ備えられる。
符号135は、フィルタ134が出力するサブチャネルの送信信号それぞれに対して異なる電力を割り当てる電力割り当て部である。電力割り当て部135は、フィルタ134の数と同数だけ備えられる。符号137は、各フィルタ134がそれぞれ出力するサブチャネルの送信信号に対して、ウェイト管理部125から指示されたウェイトを乗算する乗算器である。乗算器137は、フィルタ134の数及び送信信号の出力系統数と同数だけ備えられる。ウェイト管理部125は、受信信号処理部124において受信時に算出したウェイトを入力し、このウェイトを乗算器137に乗算させる。符号136は、各加算器138から出力する電力割り当て後の送信信号を合成することにより、分割したスペクトルを再合成する信号合成部である。信号合成部136は、送信信号の系統数と同数だけ備えられる。
次に、図12を参照して、送信動作を説明する。図12は、図11に示す送信信号処理部126の送信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を各フィルタ134へ出力する(ステップS61)。フィルタ134のそれぞれは、送信信号をサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS62)。続いて、電力割り当て部135は、フィルタ134のそれぞれから出力するサブチャネル毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS63)。乗算器137のそれぞれは、各電力割り当て部135から出力する送信信号に対して、ウェイト管理部125から指示されたウェイトを乗算して出力する(ステップS64)。
これを受けて、各信号合成部136は、乗算器137のそれぞれから出力するウェイト乗算後の送信信号を合成することにより、分割した信号を合成して出力する(ステップS65)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS66)。
一般に、アンテナ128と、受信信号処理部126及び送信信号処理部124との間は異なる回路を通過するため、受信時に算出したウェイトと、送信時に用いるべきウェイトは異なる場合がある。これは、主に受信信号が経由するローノイズアンプ(LNA)や送信信号が経由するハイパワーアンプ(HPA)など、装置における位相特性に起因しており、事前にこれらの位相回転を補正するキャリブレーション処理を実施し、上記の送信信号処理を実施してもよい。または、前記位相回転情報を取得・保存しておき、送信ウェイトに当該位相回転の補正値を適用し、送信信号に乗算する処理としてもよい。なお、受信動作は、第1実施形態における受信動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
このように、SIR<0となる周波数の帯域ではPIを適用することができるようになるとともに、SIR>0となる周波数の帯域ではCMAを適用することができるようになり、干渉源に対する干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。さらに、受信時に算出したウェイトを送信時に用いるようにしたため、同干渉源への与干渉を抑圧することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。第4実施形態おける無線通信システムの構成は、図10に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第4実施形態による無線通信システムは、マルチキャリア伝送によって通信を行う。その一例として、OFDM変調方式又はOFDMA変調方式を用いて通信を行う場合を説明する。第4実施形態による無線通信システムが、第2の無線通信システムと異なる点は、送信信号処理部126の構成が異なる点である。
図13は、第4実施形態による送信信号処理部126の構成を示すブロック図である。図13において、符号131は、MAC層処理部122から出力される送信データに対して、誤り訂正符号化処理を実施した後にシンボルマッピング処理を行う変調部である。符号132は、変調部131のそれぞれによりマッピングされたシンボルに対して直列/並列変換を行い、得られた複数のシンボル列を出力する直列/並列変換部である。符号135は、直列/並列変換部132から出力する各サブキャリアの送信信号シンボルのそれぞれに対して、異なる電力を割り当てる電力割り当て部である。符号137は、電力割り当て部135それぞれから出力するシンボルのそれぞれに対してウェイト管理部125から指示されたウェイトを乗算する乗算器である。乗算器137は、直列/並列変換部132それぞれから出力されるサブキャリア数及び送信信号の出力系統数と同数だけ備えられる。
ウェイト管理部125は、受信信号処理部124において受信時に算出したウェイトを入力し、このウェイトを乗算器137に乗算させる。符号133は、各乗算器137から出力する電力割り当て後のシンボル列に対して送信系統ごとにIDFTを施して、周波数領域の信号から時間領域に信号に変換してアンテナ128に出力するIDFT部である。
次に、図14を参照して、送信動作を説明する。図14は、図13に示す送信信号処理部126の送信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を直列/並列変換部132へ出力する(ステップS71)。直列/並列変換部132は、送信データの送信信号について直列から並列へ変換処理することによりサブキャリアごとの信号として出力する(ステップS72)。電力割り当て部135のそれぞれは、直列/並列変換部132から出力するサブキャリア毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS73)。乗算器137のそれぞれは、電力割り当て部135から出力するサブキャリア毎の送信信号に対して、ウェイト管理部125から指示されたウェイトを乗算して出力する(ステップS74)。
これを受けて、各IDFT部133は、乗算器137のそれぞれから出力するウェイト乗算後の送信信号に対してIDFT処理を実行して出力する(ステップS75)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS76)。
一般に、アンテナ128と、受信信号処理部126及び送信信号処理部124との間は異なる回路を通過するため、受信時に算出したウェイトと、送信時に用いるべきウェイトは異なる場合がある。これは、主に受信信号が経由するローノイズアンプ(LNA)や送信信号が経由するハイパワーアンプ(HPA)など、装置における位相特性に起因しており、事前にこれらの位相回転を補正するキャリブレーション処理を実施し、上記の送信信号処理を実施してもよい。または、前記位相回転情報を取得・保存しておき、送信ウェイトに当該位相回転の補正値を適用し、送信信号に乗算する処理としてもよい。なお、受信動作は、第2実施形態における受信動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
このように、SIR<0となる周波数の帯域ではPIを適用することができるようになるとともに、SIR>0となる周波数の帯域ではCMAを適用することができるようになり、干渉源に対する干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。さらに、受信時に算出したウェイトを送信時に用いるようにしたため、同干渉源への与干渉を抑圧することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。同実施形態おける無線通信システムの構成は、図22に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第5実施形態による無線通信システムは、シングルキャリアによる通信を行う。第5実施形態による送信信号処理部126の構成は、図1に示す構成(第1実施形態)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第5実施形態よる無線通信システムが、第1実施形態による無線通信システムと異なる点は、受信信号処理部124の構成が異なる点である。図15は、同実施形態による受信信号処理部124の構成を示すブロック図である。図15に示す受信信号処理部124の構成は、図2に示す受信信号処理部124と似ているが、図15に示す受信信号処理部124は、アレーウェイト補間処理部160が新たに設けられている。図15において、図2に示す受信信号処理部124と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。
図15において、符号157は、アンテナ128を介して受信した受信信号1、2のそれぞれについてサブチャネル毎の信号に分割するフィルタである。フィルタ157は、1つの受信信号毎に、サブチャネルの数と同数だけ備えられている。ここでは、2つの受信信号の例を示したが、3以上の受信信号の場合は、受信信号の数と同数の同様な構成を受信信号処理部124内に備えることになる。
符号158は、サブチャネル毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示するアレー処理制御部である。アダプティブアレー処理部152は、サブチャネルの数と同数だけ備えられ、各サブチャネルの2つの受信信号それぞれに対してウェイトを算出する。アレーウェイト補間処理部160は、任意の帯域(例えば、CMAを適用した帯域のみ)におけるアレー処理のウェイトを選択し、それらを用いて選択しなかった帯域のウェイトを補間処理によって生成する。これによって、よりアレー処理効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。また、選択しない帯域のアレー処理を省略し、演算負荷を低減することができる。
乗算器153は、アレーウェイト補間処理部160から出力するウェイトをフィルタ157の出力に乗算することによってアレー処理を施す。そして、加算器154によりサブチャネル毎に受信信号1と受信信号2とが加算されて出力される。符号159は、加算器154のそれぞれから出力する受信信号を合成することにより、分割したスペクトルを再合成するとともに、各サブチャネルの電力均一化処理を行う信号合成部である。信号合成部159の出力は復調部156によって復調される。
次に、図16を参照して、送受信動作を説明する。図16は、図1に示す送信信号処理部126の送信動作と図2に示す受信信号処理部124の受信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を各フィルタ134へ出力する(ステップS81)。フィルタ134のそれぞれは、送信信号をサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS82)。
次に、電力割り当て部135のそれぞれは、フィルタ134から出力するサブチャネル毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS83)。これを受けて、信号合成部136は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号を合成することにより、分割した信号を合成して出力する(ステップS84)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS85)。
次に、受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS91)。フィルタ157のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS92)。アレー処理制御部158は、サブチャネル毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、第1の帯域(帯域1)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、フィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS931)。また、第2の帯域(帯域2)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、フィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS932)。また、同様に、第Nの帯域(帯域N)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、フィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS933)。
次に、アレーウェイト補間処理部160は、任意の帯域のウェイトを用いて他の帯域のウェイトの補間を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS94)。乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に第1の帯域のウェイトを乗算する(ステップS951)。また、乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に第2の帯域のウェイトを乗算する(ステップS952)。また、乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に第Nの帯域のウェイトを乗算する(ステップS953)。
次に、加算器154のそれぞれは、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、信号合成部159は、加算器154から出力する信号を合成することにより、分割した信号を電力密度が均一となるよう処理を行いながら再び合成して出力する(ステップS96)。続いて、復調部156は、信号合成部159から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS97)。
ここで、図17を参照して、図16に示す帯域ごとに電力を割り当てる処理について説明する。図17は、帯域及び電力密度の割り当ての一例を示す図である。帯域及び電力密度の割り当ては、割り当てパターンNo.毎に、各帯域1〜帯域Nの帯域BNと電力密度PNの関係が予め定義されて、送信信号処理部126内に記憶されている。例えば、割り当てパターンNo.が(1)の場合、帯域1には、帯域B1=0.5、電力密度P1=1が割り当てられ、帯域2には、帯域B2=0.5、電力密度P2=1が割り当てられる。このとき、帯域Bn、電力密度Pnは、ΣN n−1Bn=1、ΣN n−1PnBn=1を満たす。図17に示す例では、割り当てパターン(1)〜(M)を示したが、予め定義しておくパターンの数は任意である。
なお、帯域及び電力密度の割り当て制御動作については、図5に示す制御動作を同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
このように、送信側は、帯域をN分割し、それぞれに異なる電力密度を割り当てて送信を行い、周波数軸上において電力密度に大きな高低差を設けることにより、受信側ではSIR>0,SIR<0となる帯域を得ることができるようになる。これにより、受信側では、SIR<0となる周波数f1〜f2の帯域ではPIを適用することができるようになる。また、SIR>0となる周波数f2〜f3の帯域ではCMAを適用することができるようになる。したがって、干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。また、アレーウェイト補間処理部160が、任意の帯域(例えば、CMAを適用した帯域のみ)におけるアレー処理のウェイトを選択し、それらを用いて選択しなかった帯域のウェイトを補間処理によって生成することによって、よりアレー処理効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。また、選択しない帯域を事前に定め、当該帯域アレー処理を省略することとしてもよい(S931〜S933のいずれかの処理を省略)。これにより、演算負荷を低減することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。同実施形態おける無線通信システムの構成は、図22に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第6実施形態による無線通信システムは、マルチキャリア伝送を用いて通信を行う。その一例として、OFDM変調方式又はOFDMA変調方式を用いて通信を行う場合を説明する。第6実施形態による送信信号処理部126の構成は、図6に示す構成(第2実施形態)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第6実施形態よる無線通信システムが、第2実施形態による無線通信システムと異なる点は、受信信号処理部124の構成が異なる点である。図18は、同実施形態による受信信号処理部124の構成を示すブロック図である。図18に示す受信信号処理部124の構成は、図7に示す受信信号処理部124と似ているが、図18に示す受信信号処理部124は、アレーウェイト補間処理部160が新たに設けられている。図18において、図7に示す受信信号処理部124と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。
図18に示す受信信号処理部124は、DFT部151と、複数のアダプティブアレー処理部152と、複数の乗算器153と、複数の加算器154と、並列/直列変換部155と、復調部156とを備えている。DFT部151はアンテナ128に対応して設けられている。アダプティブアレー処理部152及び加算器154はサブキャリアごとに設けられている。乗算器153はDFT部151から出力されるサブキャリアの信号ごとに設けられている。アレー処理制御部158は、サブキャリア毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。アレーウェイト補間処理部160は、任意のサブキャリア(例えば、CMAを適用したサブキャリアのみ)におけるアレー処理のウェイトを選択し、それらを用いて選択しなかったサブキャリアのウェイトを補間処理によって生成する。これによって、よりアレー処理効果の高いウェイトを、選択しなかったサブキャリアにおいても高精度で算出することができる。また、選択しないサブキャリアのアレー処理を省略し、演算負荷を低減することができる。
次に、図19を参照して、送受信動作を説明する。図19は、図6に示す送信信号処理部126の送信動作と図18に示す受信信号処理部124の受信動作を示すフローチャートである。まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を直列/並列変換部132へ出力する(ステップS101)。直列/並列変換部132は、送信信号を直列から並列へ変換処理することによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS102)。電力割り当て部135のそれぞれは、直列/並列変換部132から出力するサブキャリア毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS103)。これを受けて、IDFT部133は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号に対してIDFT処理を実行して出力する(ステップS104)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS105)。
次に、受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS111)。DFT部151のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてDFT処理を行うことによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS112)。アレー処理制御部158は、サブキャリア毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、第1のサブキャリア(帯域1)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1131)。また、第2のサブキャリア(帯域2)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1132)。また、同様に、第Nのサブキャリア(帯域N)に対してアダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1133)。
次に、アレーウェイト補間処理部160は、任意の帯域のウェイトを用いて他の帯域のウェイトの補間を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS114)。乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に帯域1(第1のサブキャリア)のウェイトを適用して乗算する(ステップS1151)。また、乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に帯域2(第2のサブキャリア)のウェイトを適用して乗算する(ステップS1152)。また、乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に帯域N(第Nのサブキャリア)のウェイトを適用して乗算する(ステップS1153)。
そして、加算器154は、サブキャリア毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、並列/直列変換部155は、加算器154のそれぞれから出力する信号に対して並列/直列変換を行うことにより、信号を所定の順序にて出力する(ステップS116)。続いて、復調部156は、並列/直列変換部155から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS117)。
なお、帯域及び電力密度の割り当て制御動作については、図9に示す制御動作を同様であるためここでは詳細な説明を省略する。
このように、送信側は、帯域をN分割し、それぞれに異なる電力密度を割り当てて送信を行い、受信側ではSIR>0,SIR<0となる帯域を得ることができるようになる。これにより、受信側では、SIR<0となる帯域ではPIを適用することができるようになる。また、SIR>0となる帯域ではCMAを適用することができるようになる。したがって、干渉抑圧効果を十分に得ることができるようになる。また、アレーウェイト補間処理部160が、任意のサブキャリア(例えば、CMAを適用したサブキャリアのみ)におけるアレー処理のウェイトを選択し、それらを用いて選択しなかったサブキャリアのウェイトを補間処理によって生成することによって、よりアレー処理効果の高いウェイトを、選択しなかったサブキャリアにおいても高精度で算出することができる。また、選択しないサブキャリアを事前に定め、当該サブキャリアのアレー処理を省略することとしてもよい(S1131〜S1133のいずれかの処理を省略)。これにより、演算負荷を低減することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。同実施形態おける装置構成は、シングルキャリアによる第5実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第7実施形態が第5実施形態と異なる点は、図16に示す送受信動作を、図20に示す処理動作とした点である。図20は、第7実施形態による送受信動作を示すフローチャートである。図20を参照して、第7実施形態による送受信動作を説明する。
まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を各フィルタ134へ出力する(ステップS121)。フィルタ134のそれぞれは、送信信号をサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS122)。
次に、電力割り当て部135のそれぞれは、フィルタ134から出力するサブチャネル毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS123)。これを受けて、信号合成部136は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号を合成することにより、分割した信号を合成して出力する(ステップS124)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS125)。
図20に示す受信信号処理は、図16に示す処理動作と異なり、互いに異なる帯域の選択パターンのセットを用意(例えば、CMAを適用した帯域のセット、PIを適用した帯域のセット)し、それらを個別に補間処理、ウェイト適用、復調して、最も受信品質の良いものを選択するものである。これにより、よりアレー処理による干渉抑圧効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。
受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS131)。フィルタ157のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてサブチャネルの帯域に分割して出力する(ステップS132)。アレー処理制御部158は、サブチャネル毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、帯域毎にフィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1331)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択帯域(セット1)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1341)。乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に補間後のウェイトを乗算する(ステップS1351)。ステップS1331、S1341、S1351の処理は、図16に示すステップS931、S932、S933、S94、S951、S952、S953の処理に相当する。そして、加算器154のそれぞれは、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、信号合成部159は、加算器154から出力する信号を合成することにより、分割した信号を電力密度が均一となるよう処理を行いながら再び合成して出力する(ステップS1361)。続いて、復調部156は、信号合成部159から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1371)。
次に、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、帯域毎にフィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1332)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択帯域(セット2)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1342)。乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に第1の帯域のウェイトを乗算する(ステップS1352)。ステップS1332、S1342、S1352の処理は、図16に示すステップS931、S932、S933、S94、S951、S952、S953を全て行う処理に相当する。そして、加算器154のそれぞれは、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、信号合成部159は、加算器154から出力する信号を合成することにより、分割した信号を電力密度が均一となるよう処理を行いながら再び合成して出力する(ステップS1362)。続いて、復調部156は、信号合成部159から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1372)。
次に、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、帯域毎にフィルタ157から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1333)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択帯域(セットM)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1343)。乗算器153はフィルタ157から出力する受信信号に第1の帯域のウェイトを乗算する(ステップS1353)。ステップS1333、S1343、S1353の処理は、図16に示すステップS931、S932、S933、S94、S951、S952、S953を全て行う処理に相当する。そして、加算器154のそれぞれは、サブチャネル毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、信号合成部159は、加算器154から出力する信号を合成することにより、分割した信号を電力密度が均一となるよう処理を行いながら再び合成して出力する(ステップS1363)。続いて、復調部156は、信号合成部159から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1373)。
最後に、復調部156は、Mセット分の補間処理を行って得られた信号のうち、最も受信品質の良い信号を選択して出力する。
このように、互いに異なる帯域の選択パターンを用意(例えば、CMAを適用した帯域のセット、PIを適用した帯域のセット)し、それらを個別に補間処理、ウェイト適用、復調を行い、最も受信品質の良いものを選択することにより、よりアレー処理による干渉抑圧効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態による無線通信装置を備える無線通信システム(無線通信方式)を説明する。同実施形態おける装置構成は、OFDM(A)による第6実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。第8実施形態が第6実施形態と異なる点は、図19に示す送受信動作を、図21に示す処理動作とした点である。図21は、第8実施形態による送受信動作を示すフローチャートである。図21を参照して、第8実施形態による送受信動作を説明する。
まず、変調部131は、送信データに対して符号化・変調処理を行って、送信信号を直列/並列変換部132へ出力する(ステップS141)。直列/並列変換部132は、送信信号を直列から並列へ変換処理することによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS142)。電力割り当て部135のそれぞれは、直列/並列変換部132から出力するサブキャリア毎の送信信号に対して電力を割り当てて出力する(ステップS1403)。これを受けて、IDFT部133は、電力割り当て部135のそれぞれから出力する電力割り当て後の送信信号に対してIDFT処理を実行して出力する(ステップS144)。そして、送信信号処理部126は、アンテナ128を介して送信処理を行う(ステップS145)。
図21に示す受信信号処理は、図19に示す処理動作と異なり、互いに異なる帯域の選択パターンのセットを用意(例えば、CMAを適用した帯域のセット、PIを適用した帯域のセット)し、それらを個別に補間処理、ウェイト適用、復調して、最も受信品質の良いものを選択するものである。これにより、よりアレー処理による干渉抑圧効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。特に、周波数選択性のある環境では、サブキャリアごとのSIRは異なるため、よりアレー処理効果の高いサブキャリアのセットを選択することができれば、全体的な補間精度も高めることができる。
受信信号処理部124は、アンテナ128を介して、送信信号を受信する(ステップS151)。DFT部151のそれぞれは、2本のアンテナ128で受信した受信信号1、2のそれぞれについてDFT処理を行うことによりサブキャリアの帯域に分割して出力する(ステップS152)。アレー処理制御部158は、サブキャリア毎に適用するアレー処理を選択し、アダプティブアレー処理部152それぞれに対して選択したアレー処理の実行を指示する。
これを受けて、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、サブキャリア毎に、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1531)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択サブキャリア(セット1)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1541)。乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に補間後のウェイトを適用して乗算する(ステップS1551)。ステップS1531、S1541、S1551の処理は、図19に示すステップS1131、S1132、S1133、S114、S1151、S1152、S1153の処理に相当する。そして、加算器154は、サブキャリア毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、並列/直列変換部155は、加算器154のそれぞれから出力する信号に対して並列/直列変換を行うことにより、信号を所定の順序にて出力する(ステップS1561)。続いて、復調部156は、並列/直列変換部155から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1571)。
次に、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、サブキャリア毎に、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1532)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択サブキャリア(セット2)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1542)。乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に補間後のウェイトを適用して乗算する(ステップS1552)。ステップS1532、S1542、S1552の処理は、図19に示すステップS1131、S1132、S1133、S114、S1151、S1152、S1153の処理に相当する。そして、加算器154は、サブキャリア毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、並列/直列変換部155は、加算器154のそれぞれから出力する信号に対して並列/直列変換を行うことにより、信号を所定の順序にて出力する(ステップS1562)。続いて、復調部156は、並列/直列変換部155から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1572)。
次に、アダプティブアレー処理を行うアダプティブアレー処理部152は、サブキャリア毎に、DFT部151から出力する受信信号を入力し、アレー処理制御部158の指示に基づきアレー処理を行うためのウェイトを算出し、算出したウェイトをアレーウェイト補間処理部160へ出力する(ステップS1533)。続いて、アレーウェイト補間処理部160は、選択サブキャリア(セットM)のウェイトを用いて補間処理を行って乗算器153のそれぞれに出力する(ステップS1543)。乗算器153はDFT部151から出力する受信信号に補間後のウェイトを適用して乗算する(ステップS1553)。ステップS1533、S1543、S1553の処理は、図19に示すステップS1131、S1132、S1133、S114、S1151、S1152、S1153の処理に相当する。そして、加算器154は、サブキャリア毎に2つの受信信号を加算して出力する。これを受けて、並列/直列変換部155は、加算器154のそれぞれから出力する信号に対して並列/直列変換を行うことにより、信号を所定の順序にて出力する(ステップS1563)。続いて、復調部156は、並列/直列変換部155から出力する受信信号を入力し、復調処理と復号処理を行う(ステップS1573)。
最後に、復調部156は、Mセット分の補間処理を行って得られた信号のうち、最も受信品質の良い信号を選択して出力する。
このように、互いに異なる帯域の選択パターンのセットを用意(例えば、CMAを適用した帯域のセット、PIを適用した帯域のセット)し、それらを個別に補間処理、ウェイト適用、復調して、最も受信品質の良いものを選択することにより、よりアレー処理による干渉抑圧効果の高いウェイトを、選択しなかった帯域においても高精度で算出することができる。特に、周波数選択性のある環境では、サブキャリアごとのSIRは異なるため、よりアレー処理効果の高いサブキャリアのセットを選択することができれば、全体的な補間精度も高めることができる。
以上説明したように、送信側は、帯域を所定数に分割し、それぞれに異なる電力密度を割り当てることにより周波数軸上において電力密度に高低差を設けて送信を行い、受信側では、帯域ごとに異なるSIRに応じたアダプティブアレー処理によりウェイトを適用することにより、アダプティブアレーアルゴリズムの動作領域を拡張することができ、干渉抑圧効果を向上させることができる。
また、すべてのサブチャネル(サブキャリア)に対して電力割当に応じたアダプティブアレーのウェイト値を算出すると、サブチャネル(サブキャリア)によってはアレー処理による干渉抑圧効果が不十分である可能性がある。また、ウェイト算出処理の演算負荷が大きくなる。そこで、送信側において、サブチャネル(サブキャリア)に分割した送信信号に対して異なる電力を割り当てたものを送信し、受信側において、サブチャネル(サブキャリア)に分割した受信信号に対して、選択した任意の帯域に対しては、その帯域におけるSIR値に基づき両アルゴリズム(例えばPIまたはCMAアルゴリズム)を使い分けて重み付けを生成し、選択しなかった帯域に対しては、選択した任意の帯域の重み付けから補間して生成するようにした。これにより、SIR値の条件に関わらず、干渉抑圧効果の高い最適な重み付けを生成することができるとともに、補間を行うことでウェイト算出処理の演算負荷を低減することができる。
前述した実施形態における無線通信装置120をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。