JP6065546B2 - 撚糸強化複合材料の成形方法 - Google Patents

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本発明は、撚糸強化複合材料の成形方法に関し、より詳細には、VaRTMによる一方向性撚糸強化グリーンコンポジットの成形性、引っ張り特性を向上させた撚糸強化複合材料の成形方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)は強度、耐熱性、耐食性に優れ、軽量化のメリットが大きいことから、自動車、航空機等の輸送機器をはじめ、種々の汎用構造部材として利用されている。FRPの成形方法に関して、真空補助樹脂含浸成形法(VaRTM: Vacuum assisted Resin Transfer Molding)があり、これは、大がかりな設備が不要であり、低コストであること、大型構造部材の一体成形が容易であり、ボイド(気泡)含有率が低いというような特徴を有しており、様々な研究開発がなされている。
FRPとして現在では炭素繊維やガラス繊維のような人工繊維とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたCFRP、GFRPが優れた機械的特性を有するものとして実用化されているが、これらは製造過程でのエネルギー消費量が多く、廃棄後の処理が行いにくく、環境負荷が大きいという難点がある。このようなことから、最近では高強度植物系繊維を強化材とした天然繊維強化樹脂が環境に優しいグリーンコンポジット(GC)として注目され、研究開発がなされている。GCのように、天然繊維を強化材とするものでは、連続繊維の形態をとる必要性から紡績糸(撚糸)が用いられるが、このような天然繊維による撚糸とそれを用いて形成された複合材料の機械的特性との関係については、いまだそれほど解明されていない。
特許文献1には、構成部材の少なくとも1つの層となるロービング束が成形型内に配置される前にマトリックス材料で湿潤されるようにする繊維強化構造物の構成部材の製造方法について記載されており、特許文献2には、VaRTM法による繊維強化プラスチックの成形に際し、密封媒体と成形型との間の空隙を満たす樹脂量を注入し、強化繊維材に含浸される樹脂量を制御して、成形品の厚み、繊維体積含有率を制御するようにした繊維強化プラスチックの成形方法について記載されている。また、非特許文献1には、GCにおける織物密度、糸撚りが力学的特性に及ぼす影響について記載され、非特許文献2には、VaRTMによりガラス繊維を用いた風車用に用いるような大型FRP構造体を製造する技術について記載されている。
特許文献1に記載のものは、風車翼等の構成部材に関するものであり、GCに関してのものではなく、特許文献2においては、天然繊維を強化繊維とするものも含まれるが、強度、軽量化の点に関しては、繊維強化プラスチックの繊維体積含有率を制御することについて示され、強化繊維を実際にどのようにするかについては特に示されてはいない。また、非特許文献1では、GCにおける織物密度、糸撚りが力学的特性に及ぼす影響について示されているが、VaRTMによるGCの成形については特に示されず、非特許文献2における風車翼等の大型構造部材に適用されるFRPはVaRTMにより成形されるが、特にGCに関しては示されていない。
特開2012−16948号公報 特開2010−173165号公報
中村理恵他「テキスタイル・グリーンコンポジットの力学的特性に及ぼす織物密度および糸撚りの影響」、材料(Journal of the Society of Materials Science, Japan), Vol. 58, No. 5, May 2009, pp.382-388 新藤健太郎他「VaRTM(真空含浸工法)による大型複合材製造技術」、三菱重工技報、Vol. 43 No. 1, 2006, pp. 11-12
繊維の強化材と樹脂との複合材料である繊維強化プラスチック(FRP)として現在多く製造、使用がなされているのは炭素繊維やガラス繊維のような人工繊維とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたCFRP、GFRPであるが、これらは製造過程でのエネルギー消費量が多く、廃棄後の処理が行いにくく、環境負荷が大きいという問題点がある。このことから、天然繊維を強化材としたグリーンコンポジットの製造、使用するための技術開発を行うことが求められている。
また、製造過程で大がかりな設備を必要とせずに複合材料を製造するものとして、真空補助樹脂含浸成形法により成形することが行われるが、例えば人工繊維である炭素繊維を強化材とする複合材料の場合、炭素繊維平織織布は織り機を用いて製織されるため、繊維間隔を任意に制御することはできず、そのため、真空補助樹脂含浸成形法による成形の際に樹脂流動速度を制御することができないものである。さらに、グリーンコンポジットの複合材料の機械的特性を高めることについての要求も高まっているが、そのような天然繊維を強化材とする複合材料を成形方法における条件についてはいまだ明確にされていない。
本発明は、天然繊維を強化材とする撚糸強化複合材料について、真空補助樹脂含浸成形法により大がかりな設備を必要とせずに、低コストで製造し、かつ、撚糸強化複合材料の機械的特性を高めることを目的とする。
本発明は前述した課題を解決すべくなしたものであり、本発明による撚糸強化複合材料を成形する方法は、天然繊維の撚糸を強化繊維とし、真空状態で天然樹脂系のマトリックス樹脂の溶融樹脂を含浸させ硬化させて撚糸強化複合材料を真空補助樹脂含浸法により成形する方法であって、強化繊維としての天然繊維の撚糸の撚り数を1TPI(Twist per inch)以上10TPI以下(3.9回/10cm以上39.4回/10cm以下)であるようにしたものである。
また、本発明による撚糸強化複合材料を成形する方法は、天然繊維の撚糸を強化繊維とし、真空状態で天然樹脂系のマトリックス樹脂の溶融樹脂を含浸させ硬化させて撚糸強化複合材料を真空補助樹脂含浸法により成形する方法であって、強化繊維としての天然繊維の撚糸を、撚糸が樹脂の含浸の方向に延在し、それに交差する方向では撚糸の撚り数が変化するように異なる撚り数の撚糸を複数組並列して配置することにより、樹脂の流動性を制御するようにしたものとしてもよい。
本発明による撚糸強化複合材料の成形方法は、天然繊維の撚糸を強化繊維とし、真空状態で天然樹脂系のマトリックス樹脂の溶融樹脂を含浸させ硬化させて撚糸強化複合材料を真空補助樹脂含浸法により成形する方法を採用し、強化繊維としての天然繊維の撚糸の撚り数を1TPI以上10TPI以下(3.9回/10cm以上39.4回/10cm以下)であるようにすることにより、撚糸強化複合材料の機械的特性を高めるとともに、成形される複合材料の形状形態に応じて撚り数の異なる撚糸を組み合わせ並置して配置することにより、樹脂含浸速度の制御性を高めて、複合材料の成形性を高め、ボイドの発生を格段に減ずることができるものである。
真空補助樹脂含浸法による撚糸強化複合材料を成形する装置形態を断面図として示す図である。 成形された撚糸強化複合材料試験片の機械的特性を示すグラフである。 試験片断面を撮影したものであり、(a)撚り数が1.5TPI(5.9回/10cm)の撚糸、(b)撚り数が9.5TPI(37.4回/10cm)の撚糸についてのものを示している。 撚り数の異なる撚糸を配置した1次元流れについてのVaRTM成形試験における樹脂の流れ状態を示す図である。 撚り数が均一な撚糸束と、撚り数が異なる撚糸束とについてのVaRTM成形試験における樹脂の流れ状態を示す図である。
以下、本発明による撚糸強化複合材料のVaRTM成形方法の実施形態について説明する。
(a)VaRTMによるFRPの成形
VaRTM(真空補助樹脂含浸成形法)による天然繊維を強化繊維としたFRPの成形の装置形態について概略説明する。
図1はVaRTMによる成形を行う形態を概略的に示す図である。図1において、1は
ステンレス等の材料からなる型であり、型1上にテフロン(ポリテトラフルオロエチレンの登録商標)等の離型用シート2を配置し、その上に強化繊維3を載置し、さらにこれをピールプライ4(エアテック社製、Bleeder Lease B)で覆い、その上にメディアメッシュ5を重ねる。メディアメッシュ5はマトリックス樹脂を拡散させるために配置される網状シート材であり、ピールプライ4はメディアメッシュ5の除去を容易にするために配置される。
これらを積載したものに対し、樹脂注入管路6(図1で右側)、真空吸引管路7(図1で左側)を配置し、周囲をシーラントテープ8(エアテック社製、AT-200Y)で囲み、さらにシーラントテープ8で囲まれる全体をバッギングフィルム9で覆って、内部が樹脂注入管路6、真空吸引管路7の部分以外は密閉されるようにする。バッギングフィルム9は真空圧でシワが寄らず、耐熱性を有するものであり、伸張率350%、170℃耐熱フィルムWrightlon5400(エアテック社製)等が使用される。
樹脂注入管路6、真空吸引管路7はそれぞれ開閉弁により開閉され、樹脂注入管路6側は溶融樹脂供給源(図示せず)に連結され、真空吸引管路7は真空ポンプ(図示せず)に連結されている。図1の装置形態において、型、真空ポンプは多数回の複合材料の成形を通じて用いられ、他の部分は樹脂の付着、変形等が残るため、成形後に新たなものに代えて、装置が構成される。
図1のような装置形態において、VaRTM成形による撚糸強化複合材料の成形を行う。
強化繊維3が図1のように配置された装置形態において、樹脂注入側の開閉弁を閉じた状態とし樹脂、重合開始剤、希釈剤を撹拌した状態で保持しておく。次に、真空排気側の開閉弁を開き、真空吸引することにより、強化繊維3を含む型1とバッギングフィルム9との間の部分を減圧状態にする。その後に、樹脂注入側の開閉弁を開き、樹脂を注入し、強化繊維3に含浸させる。樹脂注入量としては、強化繊維3の全体にわたって含浸される量を予め求めておき、所定量の樹脂を注入した時点で、樹脂注入側の開閉弁を閉じる。樹脂の含浸後に、真空吸引側の開閉弁を閉じ、強化繊維3に樹脂を含浸させたものを、高温乾燥機内において所定温度で所定時間硬化させ、複合材の成形工程が終了する。
(b)天然繊維を用いた撚糸強化複合材料の成形の実施
本発明においては、強化繊維としては、トスコ社製のラミー単糸(16番手)を使用し、撚り数がそれぞれ1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸を手動撚り機(山口大学製)を用いて5本撚りにし所定の形状に固定したものを用い、またマトリックス樹脂としては、アクリル酸エステル部位をもつエポキシ化大豆油アクリレート(ダイセル・サイテック社製、BECRYL860;以下、AESO樹脂という)を用いた。AESO樹脂は、主に中性脂肪からなる大豆油をエポキシ化した後、アクリル酸と反応させた後にラジカル化させることで得られる。重合開始剤には和光純薬工業社製のペルオキシ安息香酸t−ブチルを用い、粘度制御のための希釈剤にはスチレンモノマーを用いている。AESO樹脂と重合開始剤及び希釈剤の混合比率は200:3:30である。
図1のような装置形態において、如上のような撚糸の強化繊維を配置し、密閉し排気した上で如上のマトリックス樹脂を注入して撚糸強化複合材料の試験片を成形し、それらについて機械的特性、成形性を測定する試験を行った。
成形される試験片の強化繊維としては、撚り数がそれぞれ1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸を用い、各撚り数の撚糸の場合について、AESO樹脂、重合開始剤、希釈剤を300rpmで1分間混合した樹脂を注入し、注入後100℃で2時間、さらに120℃で2時間硬化させて、強化繊維の撚糸の撚り数1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)に応じた撚糸強化複合材料の試験片AR1.5、AR3.5、AR6.5、AR9.5を作製した。
また、別個に、NEAT試験片を作製した。これは樹脂のみの試験片であり、AESO樹脂、重合開始剤、希釈剤を300rpmで1分間混合した後に真空ポンプで気泡を除去した後、離型性・耐熱性に優れたテフロン板の枠に樹脂を流し、高温乾燥機を用いて100℃で2時間、120℃で2時間硬化させたものである。
試験片の寸法はゲージ長さ90mm、幅15mm、厚さ2mmとし、試験片の両側にGFRPタブを張り付け供試状態とした。引張試験機はインストロン型引張試験機(島津製作所製オートグラフIS-5000)を用い、歪みの測定はゲージ法によるものであり、引張速度は1mm/minとし、試験片が破断するまで実施した。
如上のように作製された撚糸強化複合材料の試験片AR1.5、AR3.5、AR6.5、AR9.5及びNEAT試験片について引張試験を行った。その結果による各試験片の機械的特性、流速を表1に示し、また、各試験片の代表的な応力歪み線図を図2に示す。表1、図2において、AR1.5、AR3.5、AR6.5、AR9.5はそれぞれ撚り数が1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸強化複合材料の試験片である。
引張試験の結果から、樹脂単体(NEAT試験片)ではほとんど荷重を受け持つことができないが、撚糸を強化繊維とした複合材料にすることで、強度、ヤング率ともに大幅に向上することがわかる。また、その向上率は撚糸の撚り数に依存しており、TPI(撚り数)が小さい方が強度、ヤング率ともに向上率が高いことがわかった。ただし、TPIが小さくなるにつれて破断歪みも小さくなる傾向にある。
成形性についての試験として、撚り数の異なる撚糸試験片AR1.5、AR3.5、AR6.5、AR9.5の場合の樹脂の含浸速度を調査したが、表1においてその結果も示してある。 表1に示す含浸速度の結果から、撚り数が大きいほど流動速度が速くなることがわかる。流量一定の法則(Q=AV、Q:流量[m/s]、A:断面積[m]、V:流速[m/s])から、撚り数が大きい撚糸の方が、流動速度が大きくなると言える。
図3(a)は撚り数が1.5TPI(5.9回/10cm)の場合について、(b)は撚り数が9.5TPI(37.4回/10cm)の場合について、観察した試験片断面を撮影したものであるが、撚り数の違いによりVaRTM成形時のボイドの発現は確認されない。また、撚り数が3.5TPI(13.8回/10cm)の20本撚りの撚糸を用いた試験片についてスチレンモノマーの含有量を調整し樹脂の粘度を変えた試験においても同様の観察結果となっている。このことから、懸念された一方向撚糸強化の複合体のVaRTM成形性(ボイドの有無)は撚糸構造には左右されず、VaRTM成形性は良好であることが確認される。
撚り数が小さいほど引張軸に対して撚りの角度が小さくなり、このことは強度、ヤング率が高くなることに対応するものと考えられる。撚糸に関して、撚り数0は一方向に並んでいる繊維束であり、この場合に最大強度、最大ヤング率を示すことになるはずである。ただし、撚り数0では撚りによる拘束がないために、繊維束の隙間が制御できず、VaRTM成形での樹脂含浸速度を制御することができない。このことから考えて、撚り数の適用下限は1TPI(3.9回/10cm)になると言える。また、TPIが増大すると、樹脂含浸速度が制御し易くなるが、機械強度、ヤング率が低下することになる。そのため実際的には、撚り数の上限は10TPI(39.4回/10cm)であると考えられる。撚り数が1TPI以上10TPI以下(3.9回/10cm以上39.4回/10cm以下)の範囲であれば、実際に諸用途に使用する上での引張強度、ヤング率のような機械的特性、VaRTMによる成形性においても好適である。
(c)樹脂成形性の試験
前述したように、撚糸強化複合材料の成形において、強化繊維撚糸の撚り数が小さい方が強度、ヤング率ともに高く、撚り数が大きいほど流動速度が速くなるものであるが、複合材料の成形性としてはこの流動速度が直接関わることになる。撚り数が大きくなると、撚糸中の単糸間の距離が小さくなるため、毛管圧が大きくなり、樹脂の流動速度が高くなる。樹脂含浸の入口と出口で高い圧力差がある樹脂含浸成形では繊維束間の樹脂流れの速度は繊維束の樹脂流れの速度より速くなるが、VaRTMのように真空圧と大気圧の差による樹脂含浸成形では繊維束間の樹脂流れの速度は繊維束内の樹脂流れの速度より遅くなるのであるが、このことを確認することから、撚り数の異なる撚糸を配置した1次元流れについてのVaRTM成形試験を行った。
図4はその試験結果における樹脂の流れ状態を示すものであり、それぞれ撚り数がそれぞれ1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸を5本ずつ並列して配置したものに樹脂を含浸させた状態で、樹脂の流動開始4分後の撮影に基づく樹脂流動の様子を示している。撚糸は撚糸が樹脂の含浸の方向に延在するように配置し、それに交差する方向では撚糸の撚り数が変化するように、異なる撚り数の撚糸を組み合わせ並列して配置する。図4において、TPI=9.5 5本撚糸、TPI=6.5 5本撚糸、TPI=3.5 5本撚糸、TPI=1.5 5本撚糸は、それぞれ撚り数が9.5TPI、6.5TPI、3.5TPI、1.5TPI(37.4回/10cm、25.6回/10cm、13.8回/10cm、5.9回/10cm)の撚糸を5本ずつ並列して配置したものについて示している。この結果から、樹脂流動速度の撚り数依存性が確認でき、繊維束間の樹脂流れの速度は繊維束内の樹脂流れの速度より遅いか同程度であることから、真空圧程度の圧力差によるVaRTMでは、樹脂は主に繊維束内を流動して含浸することがわかる。
さらに、撚り数が均一な撚糸束の場合と、撚り数が異なる撚糸束を並置した場合との比較として、2次元流れについてのVaRTM成形試験を行った。図5はその結果を示すものであり、中心における菱形の非流動部分を包囲するように上回りの経路に撚り数が1.5TPI(5.9回/10cm)の撚糸を12本配置し、下回りの経路に撚り数がそれぞれ1.5、3.5、6.5、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸を3本ずつ並列して配置したものに対し、同時に樹脂を含浸させていき、流動開始5分後の撮影に基づく樹脂流動の状態を示している。下回りの経路では、流動速度が遅くなる撚糸を内側(上側)に配置している。図5において、TPI=1.5 12本撚糸は撚り数が1.5TPI(5.9回/10cm)を12本並列して配置したものについて示し、TPI=1.5 3本撚糸、TPI=3.5 3本撚糸、TPI=6.5 3本撚糸、TPI=9.5 3本撚糸は、それぞれ撚り数が1.5TPI、3.5TPI、6.5TPI、9.5TPI(5.9回/10cm、13.8回/10cm、25.6回/10cm、37.4回/10cm)の撚糸を3本ずつ並列して配置したものについて示している
この結果から、撚り数が同一の撚糸で構成した上回りの経路では、経路の短い内側の樹脂流れの速度が速くなり、一方撚り数が異なる撚糸を並置した下回りの経路では、流動速度の速さに依存した樹脂流動が見られることがわかる。
このように、撚糸の強化繊維に樹脂を含浸させ複合材料を成形する場合に、撚糸の撚り数は複合材料の機械的特性に関わるものであるとともに、樹脂流動による成形性にも関わる要因になっている。図5に示す結果からわかるように、上回りの経路における一様な撚り数の撚糸を配置した場合には、その流動経路に応じた樹脂の流れ状態となるが、下回り経路における異なる撚り数の撚糸を組み合わせ並置した場合には、撚り数に応じた流動速度に依存した樹脂流れ状態になり、このことは成形される複合材料の形状形態に応じて、撚り数の組み合わせ配置を変えることにより樹脂含浸による成形性を制御することができることを表すものである。
例えば、肉厚で曲面をもつパネルを成形する場合に、同じ撚り数の撚糸を用いて成形すると、最外層は樹脂流動速度の差からボイドができ易くなり、成形される複合材料の強度低下をもたらすことにもなるのであるが、成形されるパネルの形状形態と撚糸への樹脂の含浸形態に応じて異なる撚り数の撚糸を組み合わせ並置するというように配置形態をとることにより、ボイドの発生を防止することも可能になる。
以上において、実施例では、強化繊維としてラミー麻撚糸を用いたものを示したが、植物系天然繊維はほとんどがセルロース、ヘミセルロース、リグニン等の物質からなり、その割合が異なるだけであることから、他に、例えばFlax麻も同様に使用できる。また、マトリックス樹脂として、実施例ではエポキシ化大豆油アクリレートを用いたものを示したが、他にBIOMUP 639P(日本ユピカ社製)等の天然由来樹脂が使用される。
1 型
2 シート
3 強化繊維
4 ピールプライ
5 メディアメッシュ
6 樹脂注入管路
7 真空吸引管路
8 シーラントテープ
9 バッギングフィルム

Claims (2)

  1. 天然繊維の撚糸を強化繊維とし、真空状態で天然樹脂系のマトリックス樹脂の溶融樹脂を含浸させ硬化させて撚糸強化複合材料を真空補助樹脂含浸法により成形する方法であって、強化繊維としての天然繊維の撚糸の撚り数を1TPI以上10TPI以下(3.9回/10cm以上39.4回/10cm以下)であるようにしたことを特徴とする真空補助樹脂含浸法により撚糸強化複合材料を成形する方法。
  2. 天然繊維の撚糸を強化繊維とし、真空状態で天然樹脂系のマトリックス樹脂の溶融樹脂を含浸させ硬化させて撚糸強化複合材料を真空補助樹脂含浸法により成形する方法であって、強化繊維としての天然繊維の撚糸を、撚糸が樹脂の含浸の方向に延在し、それに交差する方向では撚糸の撚り数が変化するように異なる撚り数の撚糸を複数組並列して配置することにより、樹脂の流動性を制御するようにしたことを特徴とする真空補助樹脂含浸法により撚糸強化複合材料を成形する方法。
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