以下、本発明の一実施形態に関わる殺菌システム1の構成を、図1乃至図15を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る殺菌システム1の構成を模式的に示す説明図、図2は殺菌システム1に用いられる発生装置11及びガス供給装置12の構成を模式的に示す説明図、図3はガス供給装置12に用いられる供給管31の構成を模式的に示す説明図、図4は殺菌システム1が用いられる密閉空間100の一例の構成を示す斜視図である。
殺菌システム1は、密閉された室内等の密閉空間、例えば、図1及び図4に示す密閉空間100や図15に示す密閉空間110に配置される。殺菌システム1は、密閉空間100,110又は密閉空間100,110に配置された装置や容器等の殺菌対象を過酸化水素ガス(VHP:Vapor Hydrogen Peroxide)により殺菌可能に形成されている。
なお、「密閉空間」とは、殺菌対象が配置されるとともに、密閉された室である。密閉空間は、室内が外部と遮断された空間が好ましいが、室内の過酸化水素ガスが外部に漏洩しても、当該過酸化水素ガスの濃度等の低下が少ない気密性を有する室も含まれる。また、殺菌システム1は、密閉空間100,110内の過酸化水素ガスの濃度(VHP濃度)が低濃度帯での殺菌に用いられる。ここで、低濃度帯とは、人体及び装置に損傷を与えることが防止可能な密閉空間100,110内のVHP濃度であって、例えば、密閉空間100,110内の過酸化水素ガスの濃度が100ppm以下の範囲である。
なお、本実施形態における殺菌は、滅菌であって、無菌性保障レベル(Sterility assurance level:SAL)を採用する。また、本実施形態における殺菌は、無菌性保障レベルSAL≦10−6となるレベルとする。なお、当該レベルを、殺菌効果Dとして、その表示を>6Dとして以下説明する。ここで、6Dの「6」とは、冪数(対数)を示しており、殺菌効果Dとして、例えば、SAL≦10−5は5Dとし、SAL≦10−4は4Dとして以下説明するとともに、同様に、SALの値の冪数を殺菌効果Dと用いて以下説明する。
図1に示すように、殺菌システム1は、過酸化水素ガスを発生させる発生装置11と、過酸化水素ガスを密閉空間100に供給するガス供給装置12と、密閉空間100内に配置された検出器13と、発生装置11、ガス供給装置12及び検出器13に信号線T等を介して接続される制御手段14と、を備えている。
発生装置11は、外郭部材21と、タンク22と、供給手段23と、プレートヒータ24と、を備えている。外郭部材21は、ガス供給装置12の後述する供給管31を介して密閉空間100と連通する。発生装置11は、密閉空間100の過酸化水素ガスの濃度が低濃度帯となるように、過酸化水素ガスを発生可能に形成されている。
タンク22は、過酸化水素水を貯留可能に形成されている。なお、本実施形態において、過酸化水素水は、その濃度が35w/w%の過酸化水素水が用いられる。
供給手段23は、制御手段14に、信号線Tを介して接続される。供給手段23は、タンク22内の過酸化水素水を所定の量だけプレートヒータ24上に供給可能に形成されている。例えば、供給手段23は、過酸化水素水を霧状に噴霧可能なスプレーや、過酸化水素水を滴下するノズルである。プレートヒータ24は、150℃以上に加熱され、供給された過酸化水素水を蒸発させて、過酸化水素ガスを発生可能に形成されている。
ガス供給装置12は、発生装置11に単数又は複数、例えば、一対設けられる。ガス供給装置12は、外郭部材21内に発生した過酸化水素ガスを密閉空間100に供給可能に形成されている。ガス供給装置12は、外郭部材21に接続され、密閉空間100に配置される供給管31と、供給管31内に、外郭部材21内で発生した過酸化水素ガスを密閉空間100に供給するブロア等の圧送手段32と、を備えている。即ち、ガス供給装置12は、発生装置11に一対の供給管31及び圧送手段32が配置される。なお、ガス供給装置12は、供給管31を開閉する開閉弁等を有していても良い。
供給管31は、過酸化水素水及び過酸化水素ガスに耐性を有する材料、例えば、塩化ビニル樹脂、テフロン(登録商標)、アルミニウム鋼材、又は、SUS等のステンレス鋼材等により形成されている。供給管31は、敷設作業のため、比較的軽い材料で形成されていることが望ましく、塩化ビニル樹脂又はテフロン(登録商標)等の樹脂材料により形成されていることが好ましい。
供給管31は、密閉空間100内に、任意の形状で配置可能に形成され、その外周面に開口する複数の孔部34を備えている。供給管31は、供給管31密閉空間100の壁面から離間して、密閉空間100の壁面に沿って延設される。供給管31は、好ましくは、15cm以上120cm以下の距離、密閉空間100の壁面から離間して配置される。
供給管31は、それら孔部34が上方に向って開口する場合に、密閉空間100の、高さ方向で下方、例えば床面上に配置される。供給管31は、それら孔部34が下方に向って開口する場合に、密閉空間100の、高さ方向で上方、例えば天井面から吊り下げられて配置される。なお、供給管31は、床面から天井面間での高さが4mに形成された密閉空間100の天井面から吊り下げられる場合には、天井面から1.5m以上離間する位置であって2.5mの位置よりも天井面に近い位置に設置されることが好ましい。さらに言えば、供給管31は、天井面から2m程度はなれた位置に配置されることがより好ましい。
一対の供給管31は、双方の供給管31の孔部34が上方に向って開口するように配置されるか、双方の孔部34が下方に向って開口するように配置されるか、又は、一方の供給管31の孔部34が上方に向って開口するとともに、他方の供給管31の孔部34が下方に向って開口するように配置される。
供給管31は、単数の管材、又は、複数の管材35の組み合わせにより構成される。また、供給管31は、複数の管材35からなる構成の場合には、管材35同士、並びに、発生装置11及び管材35を連結可能な連結管36を有していてもよい。本実施形態においては、供給管31は、複数の管材35及び連結管36の組み合わせにより形成される構成を用いて説明する。
図3に示すように、供給管31は、複数の管材35と、可撓性を有する連結管36と、を備えている。管材35は、互いに連結可能、且つ、連結管36と連結可能に形成されている。管材35は、単数又は複数の孔部34が形成されている。また、管材35は、同一の形状に形成されているか、又は、図3に示すように、密閉空間100の形状や敷設作業性等に応じて、適宜、異なる長さ及び形状に形成されている。
連結管36は、可撓性及び伸縮性を有して構成される。例えば、連結管36は、蛇腹状の配管である。連結管36は、隣り合う管材35間、並びに、発生装置11及び管材35間に設けられる。なお、連結管36は、孔部34を有さない。
このような供給管31は、供給管31の断面積をS(cm2)とし、孔部34の開口面積をs(cm2)とした場合に、供給管31の断面積Sが、孔部34の総和である総開口面積Σsよりも大きく(S>Σs)形成される。
圧送手段32は、制御手段14に、信号線Tを介して接続される。圧送手段32は、例えば、外郭部材21内に配置されたブロアファンである。
殺菌対象が配置された空間の空間容積、即ち、密閉空間100の空間容積をV(m3)とし、圧送手段32のブロア能力(風量)をQ(m3/h)とし、孔部34からの噴出し風速をv(m/s)とすると、圧送手段32は、ブロア能力Qが2V≦Q≦3Vの範囲内の能力を有して設定される。なお、圧送手段32は、ブロア能力Qの下限を2Vとし、ブロア能力の上限を3Vとすることが望ましい。
また、圧送手段32及び孔部34は、噴出風速vが8(m/s)≦v≦16(m/s)の範囲となるように、それぞれ設定される。なお、ここで、噴出し風速vが8(m/s)よりも小さい(v<8(m/s))構成では、殺菌時間効率及び拡散効率が低下する虞がある。また、噴出し風速vが16(m/s)よりも大きい(v>16(m/s))では、密閉空間100の空間形状によっては気流を発生し、拡散効率が低下する虞がある。このため、圧送手段32の能力及び孔部34の形状は、噴出風速vが8(m/s)≦v≦16(m/s)の範囲の能力を有していることが望ましい。
なお、密閉空間100よりも煩雑な空間形状を組合せた殺菌対象空間(密閉空間)においては、孔部34の噴出風速vを8(m/s)≦v≦16(m/s)に維持する条件として、ブロア能力Qを2V≦Qを満たす必要がある。また、ブロア能力QがQ>3Vとなる場合は前述の通り、余計な気流を生み、拡散効力つまり殺菌効果を低減させる可能性がある。このため、前述したように、圧送手段32は、ブロア能力Qが2V≦Q≦3Vであることが好ましい。
検出器13は、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度、及び、密閉空間100内の湿度を検出可能に形成されている。検出器13は、単数又は複数設けられる。また、検出器13は、検出した濃度及び湿度の情報を制御手段14に送信可能に形成されている。なお、本実施形態においては、湿度は相対湿度を示す。
制御手段14は、発生装置11及びガス供給装置12を制御可能に形成されている。制御手段14は、供給手段23の過酸化水素水の供給及び停止を制御可能に形成されている。制御手段14は、圧送手段32の運転及び停止を制御可能に形成されている。制御手段14は、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度を、例えば、供給手段23によりプレートヒータ24に供給する過酸化水素水の量により制御可能に形成されている。
また、制御手段14は、記憶手段41を有している。記憶手段41は、予め外部から入力された殺菌の情報、例えば、目標とする密閉空間100内のVHP濃度、及び、検出器13で検出されたVHP濃度及び湿度の情報を記憶可能に形成されている。
(第1評価試験)
次に、このような密閉空間100の殺菌を行う殺菌システム1の評価方法の一である第1評価試験について、図4乃至図10を用いて以下説明する。なお、図5は殺菌システム1を用いた実施例1と比較を行う比較例1の構成を模式的に示す説明図、図6は殺菌システム1の実施例1と比較を行う比較例2の構成を模式的に示す説明図、図7は殺菌システム1を実施例1の条件で殺菌を行った場合の殺菌時間とVHP濃度との関係を示す説明図、図8は比較例1の条件で殺菌を行った場合の、殺菌時間とVHP濃度との関係を示す説明図、図9は比較例2の条件で殺菌を行った場合の、殺菌時間とVHP濃度との関係を示す説明図、図10は殺菌システム1の実施例1、比較例1及び比較例2の条件でそれぞれ密閉空間100内の殺菌を行った場合の殺菌効果Dを示す説明図である。
第1評価試験は、殺菌システム1を下記実施例1の条件で用いることで密閉空間100の殺菌を行うとともに、以下に示す従来の殺菌システム200,210を用いて比較例1及び比較例2の条件でそれぞれ密閉空間100の殺菌を行う。これら実施例1、比較例1及び比較例2のVHP濃度の推移及び殺菌効果Dの比較を行うことで、本実施例1の殺菌システム1の評価を行う。
具体的には、第1評価試験で用いる密閉空間100は、図4に示すように、床面から天井面までの高さが4mに形成された、空間容積が450m3の長方形状の空間とする。また、密閉空間100は、殺菌開始時の相対湿度を30%とする。
また、第1評価試験においては、密閉空間100内に、検出器13及び複数のバイオロジカルインジケータ(以下、「BI」として説明)を配置する。本実施形態においては、BIは、過酸化水素ガスの耐性指標の一でとして、Apex Laboratory, Inc.製Geobacillus stearothermophilus ATCC12980(菌数106cfu/disc)を用いる。
検出器13及びBIは、図4に示すように、密閉空間100の位置A乃至位置Fに配置する。なお、図1に示す検出器13は、それぞれ位置A乃至位置Fに配置された状態を模式的に示す。位置A乃至位置Fは、それぞれ、密閉空間100の壁面であって、高さ方向に密閉空間100の床面から180cmの位置の壁面に配置する。また、位置A乃至位置C及び位置E乃至位置Fは、密閉空間100の対向する壁面にそれぞれ配置するとともに、壁面の幅方向に均等に配置する。
第1評価試験の評価方法は、実施例1、比較例1及び比較例2の条件による殺菌開始から2時間、4時間、6時間、8時間の経過時に密閉空間100からBIを回収し、生算菌数測定を行い、殺菌効果Dの評価を行う。また、検出器13により、殺菌開始からの位置A乃至位置Fにおける密閉空間100の過酸化水素ガスの濃度(VHP濃度)を検出する。
この実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれの殺菌効果Dを比較することで、第1評価試験として、殺菌システム1の評価を行う。
(実施例1)
殺菌システム1による殺菌として、供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を6g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管31を介して密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から8時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
図1に示すように、殺菌システム1は、発生装置11を位置A及び位置D間に配置する。また、殺菌システム1は、供給管31を発生装置11に一対設け、発生装置11から位置A及び位置Dに向ってそれぞれ延設させるとともに、略90度曲折して、位置A乃至位置C及び位置D乃至位置F間に延設させて、密閉空間100内に、略対称に配置する。
発生装置11は、孔部34からの噴出風速vが10(m/s)となるように、圧送手段32及び孔部34を設定する。
供給管31は、塩化ビニル樹脂により形成され、直径が100mmに形成されたものを用いる。また、供給管31は、孔部34が、その直径が25mmに形成され、1,200mmピッチで30個が供給管31に設けられたものを用いる。供給管31は、密閉空間100の床面に直接設置するとともに、密閉空間100の壁面から100cm離間して配置し、孔部34を密閉空間100の天井に向って配置する。
(比較例1)
図5に示すように、殺菌システム200として、発生装置11を2つ、位置C付近及び位置D付近に配置する。即ち、比較例1の殺菌システム200は、2つの発生装置11を備え、本実施形態のガス供給装置12を有さない構成である。
殺菌システム200による殺菌として、発生装置11にそれぞれ設けられた供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を3g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、発生装置11から直接密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から8時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
(比較例2)
図6に示すように、比較例2に用いられる殺菌システム210は、発生装置11と、発生装置11に設けられた一対の供給管211と、を備えている。供給管211は、テフロン(登録商標)で形成されたホースであって、発生装置11の外郭部材21に接続される。また、供給管211は、その先端に、その上部(頭部)から過酸化水素ガスを噴出可能、且つ、上部を回転可能な子機212を備えている。図6に示すように、殺菌システム210は、発生装置11を位置E付近に配置するとともに、子機212を位置A及び位置C間、並びに、位置C及び位置F間にそれぞれ配置する。
殺菌システム210による殺菌として、発生装置11に設けられた供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を6g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管211を介して密閉空間100内に供給し過酸化水素ガスの供給開始から6時間、密閉空間100内の殺菌を行う。なお、供給管211を介して密閉空間100内に過酸化水素ガスを供給する際に、子機212を回転させる。
(第1評価試験の結果)
次に、実施例1、比較例1及び比較例2の条件で第1評価試験を行った結果を、図7乃至図10に示す。なお、実施例1、比較例1及び比較例2における、殺菌効果D及び検出器13により検出された濃度については、密閉空間100の形状が長方形状であり、且つ、位置A乃至位置C及び位置D乃至位置F、並びに、殺菌システム1,200,210の構成が対称に構成されていることから、位置A、位置C及び位置Eで測定した結果についてのみ示す。また、測定した結果は、殺菌開始から2時間経過後、4時間経過後、及び、6時間経過後の殺菌効果Dのみ示す。
(実施例1)
図7に示すように、実施例1の殺菌システム1によれば、位置A,位置C及び位置Eにおいて、VHP濃度は、同程度の濃度で推移する結果となった。具体的には、図7に示すように、実施例1の殺菌システム1によれば、位置A,位置C及び位置Eのすべてにおいて、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が略60ppmから70ppm間を推移する結果となった。
また、図10に示すように、実施例1の殺菌システム1によれば、殺菌開始から4時間経過後に、位置Cにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。また、実施例1の殺菌システム1によれば、6時間経過後、位置A、位置C及び位置Eのすべてにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。なお、図10中の数字は、殺菌効果Dとして、無菌性保障レベルの冪数(対数)を示している。
このように、実施例1の殺菌システム1によれば、過酸化水素ガスが密閉空間100内で安定して拡散することで、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度格差の発生を極力防止し、目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
(比較例1)
図8に示すように、比較例1の殺菌システム200によれば、位置CにおけるVHP濃度がもっとも高く、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が略80ppmから90ppm間を推移した。位置EにおけるVHP濃度は、位置CにおけるVHP濃度よりも低く、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が略60ppmから70ppm間を推移した。位置AにおけるVHP濃度は、位置C及び位置Eに比べもっとも低く、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が40ppm前後を推移した。
また、図10に示すように、比較例1の殺菌システム200によれば、殺菌開始から6時間経過後、位置Cにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。また、殺菌開始から8時間経過後、位置Eにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。なお、位置Aにおいては、殺菌開始から8時間経過後であっても、殺菌効果Dは5.3Dであり、位置Aにおいて、目標とする殺菌効果Dを得ることができなかった。
このように、比較例1の殺菌システム200によれば、過酸化水素ガスは、発生装置11に近いほどVHP濃度が高く、発生装置11から離間するにしたがってVHP濃度が低下した。また、密閉空間100内に、2台の発生装置11を配置したが、VHP濃度にばらつきが発生し、位置によっては、殺菌開始から8時間が経過しても目標とする殺菌効果Dを得られなかった。
(比較例2)
図9に示すように、比較例2の殺菌システム210によれば、位置EにおけるVHP濃度がもっとも高く、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が略80ppm前後を推移した。位置A及び位置CにおけるVHP濃度は、同程度の濃度で推移する結果となり、殺菌開始から2時間経過後から、VHP濃度が60ppm前後を推移した。
また、図10に示すように、比較例2の条件により密閉空間100の殺菌を行った結果、殺菌開始から6時間経過後、位置Eにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。また、殺菌開始から8時間経過後、位置A,位置C及び位置Eにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。殺菌開始から8時間経過後に、目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
このように、比較例2の殺菌システム210によれば、過酸化水素ガスは、子機212により拡散されることから、一対の子機212間においてVHP濃度が高く、他方の子機212と離間するに従って、他方の子機212から拡散された過酸化水素ガスが到達しないことから、子機212に近いか、又は、両方の子機212から極端に離間すると、VHP濃度が低くなる。このため、密閉空間100内に、VHP濃度のばらつきが発生し、位置によっては、例えば、位置B及び位置E間の中心等においては、VHP濃度が極端に高くなる虞がある。
これら第1評価試験によれば、実施例1に係る殺菌システム1は、従来の技術である比較例1及び比較例2に比べ、過酸化水素ガスを密閉空間100内で安定して拡散することが可能となり、各位置A乃至位置Fにおいて、6時間経過時に目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
(第2評価試験)
次に、密閉空間100の殺菌を行う殺菌システム1の評価方法の一である第2評価試験について、図4、図11乃至図14を用いて、以下説明する。図11は、殺菌システム1を用いた実施例2の構成を模式的に示す説明図、図12は殺菌システム1を用いた実施例3の構成を模式的に示す説明図、図13は殺菌システム1を用いた実施例4の構成を模式的に示す説明図、図14は殺菌システム1を用いた実施例2乃至実施例4の条件でそれぞれ密閉空間100内の殺菌を行った場合の殺菌効果Dを示す説明図である。
第2評価試験は、下記実施例2乃至実施例4の条件において、密閉空間100の殺菌を行い、実施例2乃至実施例4の各殺菌システム1の評価を行う。
第2評価試験で用いる密閉空間100は、図4に示すように、床面から天井面までの高さが4mに形成された、空間容積が450m3の長方形状の空間とし、密閉空間100内に複数のBIを配置する。また、密閉空間100は、殺菌開始時の相対湿度を30%とする。
BIは、図4に示す密閉空間100の位置A乃至位置Hに配置する。なお、位置G及び位置Hは、図4に示すように、密閉空間100の天井面に設けられる2つのHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)101をそれぞれ位置G及び位置Hとする。なお、位置G及び位置Hは、密閉空間100の高さと同様に、それぞれ密閉空間100の床面から4mの高さ位置に設けられる。
ここで、HEPAフィルター101とは、JIS Z 8122によって規定された、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して、99.97%以上の粒子捕集率を有し、且つ、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。
第2評価試験の評価方法は、実施例2乃至実施例4による殺菌開始から2時間、4時間、6時間の経過時に密閉空間100からBIを回収し、生算菌数測定を行い、殺菌効果Dの評価を行う。これら実施例2乃至実施例4のそれぞれの殺菌効果Dを比較することで、第2評価試験として、殺菌システム1の評価を行う。
(実施例2)
殺菌システム1による殺菌として、供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を6g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管31を介して密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から6時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
図11に示すように、殺菌システム1は、発生装置11を位置A及び位置D間に配置する。殺菌システム1は、供給管31を、発生装置11に一対設け、発生装置11から位置A及び位置Dに向ってそれぞれ延設させるとともに、略90度曲折して、位置A乃至位置C及び位置D乃至位置F間に延設させて、密閉空間100内に、略対称に配置する。
発生装置11は、孔部34からの噴出風速vが10(m/s)となるように、圧送手段32及び孔部34を設定する。
供給管31は、塩化ビニル樹脂により形成され、直径が100mmに形成されたものを用いる。また、供給管31は、孔部34が、その直径が25mmに形成され、1,200mmピッチで30個が供給管31に設けられたものを用いる。また、一対の供給管31は、それぞれ、密閉空間100の床面に直接設置するとともに、密閉空間100の壁面から100cm離間して配置し、孔部34を密閉空間100の天井に向って配置する。
(実施例3)
殺菌システム1による殺菌として、供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を6g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管31を介して密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から6時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
図12に示すように、殺菌システム1は、発生装置11を位置A及び位置D間に配置する。殺菌システム1は、供給管31を、発生装置11に一対設け、発生装置11から位置A及び位置Dに向ってそれぞれ延設させるとともに、略90度曲折して、位置A乃至位置C及び位置D乃至位置F間に延設させて、密閉空間100内に、略対称に配置する。
発生装置11は、孔部34からの噴出風速vが10(m/s)となるように、圧送手段32及び孔部34を設定する。検出器13は、位置A乃至位置Fにそれぞれ配置する。
供給管31は、塩化ビニル樹脂により形成され、直径が100mmに形成されたものを用いる。また、供給管31は、孔部34が、その直径が25mmに形成され、1,200mmピッチで30個が供給管31に設けられたものを用いる。また、一対の供給管31は、それぞれ、密閉空間100の天井面から高さ方向に200cmの位置であって、密閉空間100の壁面から100cm離間して、密閉空間100の天井面に吊り下げることで配置し、孔部34を密閉空間100の床面に向って配置する。
(実施例4)
殺菌システム1による殺菌として、供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を6g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管31を介して密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から6時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
図13に示すように、殺菌システム1は、発生装置11を位置A及び位置D間に配置する。殺菌システム1は、供給管31を、発生装置11に一対設け、発生装置11から位置A及び位置Dに向ってそれぞれ延設させるとともに、略90度曲折して、位置A乃至位置C及び位置D乃至位置F間に延設させて、密閉空間100内に、略対称に配置する。
発生装置11は、孔部34からの噴出風速vが10(m/s)となるように、圧送手段32及び孔部34を設定する。検出器13は、位置A乃至位置Fにそれぞれ配置する。
供給管31は、塩化ビニル樹脂により形成され、直径が100mmに形成されたものを用いる。また、供給管31は、孔部34が、その直径が25mmに形成され、1,200mmピッチで30個が供給管31に設けられたものを用いる。
一対の供給管31の一方は、密閉空間100の床面に直接設置されるとともに、密閉空間100の壁面から100cm離間して配置し、孔部34を密閉空間100の天井に向って配置する。
一対の供給管31の他方は、密閉空間100の天井面から高さ方向に200cmの位置であって、密閉空間100の壁面から100cm離間して、密閉空間100の天井面に吊り下げることで配置し、孔部34を密閉空間100の床面に向って配置する。
(第2評価試験の結果)
次に、実施例2乃至実施例4の条件で第2評価試験を行った結果を、図14に示す。なお、実施例2乃至実施例4における殺菌効果Dは、位置A乃至位置Hのすべての位置において、殺菌開始から2時間、4時間及び6時間経過後に測定した結果について示す。
(実施例2)
図14に示すように、実施例2の殺菌システム1によれば、殺菌開始から4時間経過後に、位置A乃至位置Hの全てにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。このように、実施例2の殺菌システム1によれば、過酸化水素ガスを密閉空間100内で安定して拡散することが可能となり、床面から1.8mの高さ位置の各位置A乃至位置F、及び、床面から4mの天井面における位置G及び位置Hにおいて、4時間経過時に目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
このように、実施例2の殺菌システム1によれば、過酸化水素ガスが密閉空間100内で安定して拡散することで、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度格差の発生を極力防止し、目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
(実施例3)
図14に示すように、実施例3の条件により密閉空間100の殺菌を行った結果、殺菌開始から6時間経過後、位置A、位置B、位置D及び位置Eにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。しかし、位置C及び位置F乃至位置Hにおいては、殺菌開始から6時間経過しても、殺菌効果Dが>6Dを満たさなかった。
実施例3の条件を用いた殺菌システム1によれば、一対の供給管31の双方が、床面に向って孔部34が配置されることから、密閉空間100の床面付近に過酸化水素ガスがより集中すると考えられる。このため、実施例3の条件を用いた殺菌システム1では、床面から1.8mの高さ位置の各位置A乃至位置F、及び、床面から4mの天井面における位置G及び位置Hにおいて、目標とする殺菌効果Dを得ることできなかった。しかし、この結果から、実施例3の条件においては、床面付近を殺菌対象として殺菌を行う場合により高い殺菌効果を得ることが可能である。
(実施例4)
図14に示すように、実施例4の条件により密閉空間100の殺菌を行った結果、殺菌開始から6時間経過後、位置A、位置E及び位置Fにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。しかし、位置B乃至位置D、位置G及び位置Hにおいては、殺菌開始から6時間経過しても、殺菌効果Dが>6Dを満たさなかった。
実施例4の条件を用いた殺菌システム1によれば、一対の供給管31の一方を天井面に、他方を床面に対向するように孔部34を配置することで、密閉空間100内に大きな気流が発生することから、各位置における瞬間的なガスの拡散効率が低下し、殺菌効果にばらつきが発生した。
これは、過酸化水素ガスの殺菌機構自体が、殺菌対象表面で凝縮することで殺菌効果が得られることに準ずる。即ち、気流により殺菌対象表面での過酸化水素ガスの凝縮が阻害されることで、殺菌効果のバラツキ及び低下が発生したと考えられる。しかし、複雑な形状の密閉空間100や密閉空間100内に配置される殺菌対象物や各設備等の、通常の拡散では、細部に過酸化水素ガスが行き届かない構成の殺菌を行う場合には、大きな気流を発生させて過酸化水素ガスの循環を促すことで、高い殺菌効果を得られることが可能となる。
これら第2評価試験によれば、ガス拡散効率は、実施例2、実施例3、実施例4の順に高い結果となった。また、図4に示す密閉空間100の殺菌を行う等の一般環境下においては、殺菌システム1は、実施例2に示すように、供給管31の孔部34を、天井面に対向させて、過酸化水素ガスを床面から吹き上げる構成が、密閉空間100内において、高い拡散効率となり、過酸化水素ガスの濃度格差の発生を防止し、密閉空間100内を隈無く殺菌することが可能である。
なお、ガス拡散効率及び殺菌効果は、密閉空間100内の空気室、過酸化水素ガスの比率、温湿度、密閉空間100内の構成及び設備等の形状及び表面温度、濃度勾配、並びに、殺菌対象物の形状及び位置等の要因により決定される。このため、殺菌の条件によっては、実施例3及び実施例4の条件であっても、目標とする殺菌効果を得ることが可能となる。
(第3評価試験)
次に、密閉空間110の殺菌を行う殺菌システム1の評価方法の一である第3評価試験について、図15及び図16を用いて以下説明する。なお、図15は殺菌システム1を用いた実施例5、及び、実施例5と比較を行う比較例3に用いられる密閉空間110の一例の構成を示す説明図、図16は殺菌システム1を用いた実施例5及び比較例3の条件で密閉空間110内の殺菌を行った場合の殺菌効果Dを示す説明図である。
第3評価試験は、下記実施例5及び比較例3の条件において、密閉空間110の殺菌を行い、実施例5及び比較例3の殺菌の比較を行い、本実施例5の殺菌システム1の評価を行う。
第3評価試験で用いる密閉空間110は、図15に示すように、上面視で、2方向に延設された空間により形成される。具体的には、密閉空間110は、一方向に延設された第1空間110aと、この第1空間110aの中途部から一方側に突出するように、第1空間110aと直交する方向に延設された第2空間110bとを有し、第1空間110a及び第2空間110bにより、上面視で略「T」字形状に形成されている。
密閉空間110は、第1空間110aと第2空間110bとの交差する稜部が室内から室外側に向って延出して形成される。また、密閉空間110内には、食品等の包装容器の密封装置、殺菌システム及びコンベア等の設備111が配置されている。設備111は、例えば第1空間110aに沿って延設されるとともに、第2空間110bに沿った空間に延設されることで、略「L」字形状に密閉空間110内に配置される。
また、密閉空間110は、図15に示すように、第1空間110aの長手方向の寸法L1が800cm、第2空間110bの内壁面から第1空間110aの壁面までの寸法L2が180cm、同寸法L3が320cm、第2空間110bの幅寸法L4が180cm、第1空間110aの幅寸法W1が420cm、第2空間110bの長手方向の寸法W2が1260cmに形成されている。また、密閉空間110は、床面から天井面間での距離が420cmで一定に形成されている。
このような密閉空間110内に、複数のBIを配置する。BIは、図15に示すように、密閉空間110の位置I乃至位置Nに配置される。位置I乃至位置Nは、それぞれ、密閉空間110の壁面であって、高さ方向に密閉空間100の床面から180cmの位置に配置される。具体的には、位置Iは、第1空間110aの長手方向の一方の端部の中央部である。位置Jは、第2空間110bの長手方向の中央部であって、第1空間110aの一方の端部側である。位置Kは、第2空間110bの長手方向の第1空間110aと連続する側とは相対する端部であって、第1空間110aの他方の端部側である。位置Lは、第1空間110aの他方の端部側の、第1空間110a及び第2空間110bの稜部である。位置Mは、第1空間110aの他方の端部の、第2空間110bが設けられる側の角部である。位置Nは、第2空間110bが設けられる側とは相対する、第1空間110aの長手方向の中央部である。
第3評価試験の評価方法は、実施例5及び比較例3の条件による殺菌開始から2時間、3時間、4時間、5時間の経過時に密閉空間110からBIを回収し、生算菌数測定を行い、殺菌効果Dの評価を行う。この実施例5及び比較例3の殺菌効果Dを比較することで、第3評価試験として、殺菌システム1の評価を行う。
(実施例5)
殺菌システム1による殺菌として、供給手段23により、濃度が35w/w%の過酸化水素水を5g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、供給管31を介して密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から5時間、密閉空間100内の殺菌を行う。
殺菌システム1は、発生装置11を位置Iに配置する。殺菌システム1は、供給管31を、発生装置11に一対設け、一方の供給管31を、位置Iから位置Jが設けられた壁面の端部まで密閉空間110の壁面に沿って延設し、他方の供給管31を、位置Iから位置N、位置M及び位置Lを通過して位置Kのある壁面の端部まで密閉空間110の壁面に沿って延設する。
発生装置11は、孔部34からの噴出風速vが約10(m/s)となるように、圧送手段32及び孔部34を設定する。
供給管31は、塩化ビニル樹脂により形成され、直径が100mmに形成されたものを用いる。また、供給管31は、孔部34が、その直径が25mmに形成され、1,200mmピッチで30個が供給管31に設けられたものを用いる。また、一対の供給管31は、それぞれ、密閉空間110の床面に直接設置されるとともに、密閉空間110の壁面から30cm離間して配置し、孔部34を密閉空間100の天井に向って配置する。
(比較例3)
比較例1と同様に、殺菌システム200として、発生装置11を2つ、密閉空間110内の位置I付近及び位置M付近に配置する。即ち、比較例3の殺菌システム200は、本実施形態のガス供給装置12を有さない構成である。
殺菌システム200による殺菌として、それぞれの供給手段23により濃度が35w/w%の過酸化水素水を2.5g/mの供給量でプレートヒータ24に供給し、発生した過酸化水素ガスを、発生装置11から直接密閉空間100内に供給し、過酸化水素ガスの供給開始から6時間、密閉空間110内の殺菌を行う。
(第3評価試験の結果)
次に、実施例5及び比較例3の条件で第3評価試験を行った結果を、図16に示す。なお、実施例5及び比較例3における、殺菌効果Dは、位置I乃至位置Kのすべての位置において、殺菌開始から2時間、3時間、4時間及び5時間経過後に測定した結果について示す。
(実施例5)
図16に示すように、実施例5の殺菌システム1によれば、殺菌開始から2時間経過後、位置Jにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。また、実施例5の殺菌システム1によれば、4時間経過後、位置I乃至位置Nのすべてにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。
このように、実施例1の殺菌システム1によれば、過酸化水素ガスが密閉空間100内で安定して拡散することで、密閉空間110内の過酸化水素ガスの濃度格差の発生を極力防止し、目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
(比較例3)
図16に示すように、比較例3の条件により密閉空間110の殺菌を行った結果、殺菌開始から4時間経過後、位置Lにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。また、殺菌開始から5時間経過後、位置Nにおいて、殺菌効果Dが>6Dとなった。なお、位置I乃至位置J、及び、位置Mにおいては、殺菌開始から5時間経過後であっても、目標とする殺菌効果Dを得ることができなかった。
これら第3評価試験によれば、実施例5に係る殺菌システム1によれば、密閉空間110の形状が複雑であっても、従来の技術である比較例3に比べ、過酸化水素ガスを密閉空間100内で安定して拡散することが可能となり、各位置I乃至位置Nにおいて、4時間経過時に目標とする殺菌効果Dを得ることができた。
このように構成された殺菌システム1によれば、発生装置11で発生させた過酸化水素ガスを、密閉空間100(及び密閉空間110)の壁面に沿って延設された供給管31に設けられた孔部34から、所定の風量により噴出させて密閉空間100に供給することで、高い拡散効率で過酸化水素ガスを供給することが可能となる。
殺菌システム1は、供給管31を床面に配置して、孔部34を天井面に対向するように配置することで、孔部34から噴出した過酸化水素ガスが天井に向って移動するとともに、天井に移動した過酸化水素ガスが重力により再度床面方向に移動する。これにより、殺菌システム1は、高い拡散効率で過酸化水素ガスを密閉空間100内に拡散させることが可能となり、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度格差を低減することが可能となる。
殺菌システム1は、高い拡散効率で過酸化水素ガスを密閉空間100内に供給可能となることで、殺菌に必要な時間の低減、及び、過酸化水素ガスの濃度の低減が可能となる。このため、殺菌システム1は、密閉空間100内に設置された設備等への過酸化水素ガスによる影響を低減することが可能となる。また、殺菌システム1は、人体等への影響を防止可能な低濃度、例えば100ppm以下の濃度の過酸化水素ガスであっても、殺菌効果D(>6D)を得ることが可能となり、使用の自由度が向上する。
また、供給管31は、密閉空間100(110)の壁面から離間して配置することで、過酸化水素ガスの拡散効率を向上することが可能となる。これは、供給管31の孔部34から天井面(床面)に向って噴出した過酸化水素ガスが重力、気流又は天井面(床面)への衝突により床面(天井面)に移動する際に、孔部34の軸心(噴出方向)を中心に、放射状に移動可能となる。即ち、供給管31を壁面から離間させることで、全方向に分散する方向を確保することが可能となり、より拡散効率を向上させることが可能となる。
例えば、密閉空間100の壁面から供給管31までの距離Xは、15(cm)≦X≦120(cm)に設定される。換言すると、供給管31は、密閉空間31の壁面から15cm以上、且つ、当該壁面から120cm以下で離間するように、密閉空間31に配置される。
即ち、密閉空間100の壁面に近接して供給管31を設置した場合、密閉空間100の壁面に過酸化水素ガスが凝縮する虞がある。このため、空間への拡散に充分な効果を発揮できる距離を離間する必要がある。また、密閉空間100の壁面から供給管31が離れる距離が長くなると、過酸化水素ガスが密閉空間100の中心側で滞留する虞がある。
このため、供給管31は、壁面に過酸化水素ガスが凝縮せずに、空間への拡散に充分な効果を発揮できるように、少なくとも密閉空間100の壁面より15cm以上離間して配置するのが好ましい。また、孔部34から噴射される過酸化水素ガスの風速が10m/sの場合においては、密閉空間31の壁面から120cm以上離間させると、密閉空間100の下方(床面側)及び壁面側へのガス拡散効果が著しく低下する。このため、密閉空間100の壁面から供給管31までの距離Xが15(cm)≦X≦120(cm)の位置に、供給管31を配置することが好ましい。
また、供給管31は、密閉空間100の天井面から吊り下げる場合には、密閉空間100の床面から天井面間での高さが4mの場合には、天井面から1.5mから2.5mの位置に配置されることで、過酸化水素ガスの拡散効率を向上することが可能となる。即ち、供給管31は、密閉空間100の天井面から吊り下げる場合には、密閉空間100の床面から天井面間の距離の中間位置近辺に配置することが、好ましい。
上述したように、本発明の第1の実施形態に係る殺菌システム1によれば、密閉空間100,110内の過酸化水素ガスの濃度格差を低減することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る殺菌システム1について、図17を用いて説明する。
図17は本発明の第2の実施形態に係る殺菌システム1に用いるDHv値と殺菌効果Dとの関係の一例を示す説明図である。なお、第2の実施形態に係る殺菌システム1は、上述した第1の実施形態に係る殺菌システム1と同等の構成であり、各構成に同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
殺菌システム1は、密閉された室内等の密閉空間、例えば、密閉空間100に配置される。殺菌システム1は、過酸化水素ガスを発生させる発生装置11と、ガス供給装置12と、密閉空間100内に配置された検出器13と、発生装置11、ガス供給装置12及び検出器13に信号線T等を介して接続される制御手段14と、を備えている。
制御手段14は、発生装置11及びガス供給装置12を制御可能に形成されている。制御手段14は、供給手段23の過酸化水素水の供給及び停止を制御可能に形成されている。制御手段14は、圧送手段32の運転及び停止を制御可能に形成されている。制御手段14は、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度を、例えば、供給手段23によりプレートヒータ24に供給する過酸化水素水の量により制御可能に形成されている。
また、制御手段14は、記憶手段41を有している。記憶手段41は、予め外部から入力された殺菌の情報、例えば、目標とする密閉空間100内のVHP濃度、及び、検出器13で検出されたVHP濃度及び湿度の情報を記憶可能に形成されている。また、記憶手段41は、密閉空間100内の所定の殺菌効果D(>6D)を満たす閾値であるDHv0値が記憶されている。
さらに、制御手段14は、以下の機能(1)〜(4)を有している。
(1)過酸化水素ガスを発生させて、密閉空間100に供給する機能。
(2)検出された濃度及び湿度から密閉空間100の殺菌効果Dの状態を示すDHv値を算出する機能。
(3)算出したDHv値と、記憶手段41に記憶されたDHv0値との比較を行う機能。
(4)DHv値がDHv0値よりも大きい場合に、過酸化水素ガスの供給を停止させる機能。
なお、第2の実施形態に係る殺菌システム1は、上述した第1の実施形態に係る殺菌システム1と同等の構成であって、制御手段14の機能及び記憶手段41に記憶された閾値が異なる構成である。
次に、これら制御手段14の機能(1)〜(4)について説明する。
機能(1)は、制御手段14が供給手段23を制御し、発生装置11により過酸化水素ガスを発生させ、圧送手段32を駆動して発生させた過酸化水素ガスを、供給管31を介して発生装置11から密閉空間100に供給する機能である。
機能(2)は、制御手段14が、検出器13により検出された濃度及び湿度の情報を受信し、当該濃度及び湿度の情報に基づいてDHv値を算出する。DHv値は、以下の数式(1)により求められる。
具体的には、DHv値は、密閉空間100内の濃度の変化から求められる関数f(x)を時間xで積分することで求められる第1積分値、及び、密閉空間100内の湿度の変化から求められる関数f′(X)を時間xで積分することで求められる第2積分値を積算して求められる。このDHv値は、殺菌効果Dの基準となる閾値であるDHv0値と比較することで、殺菌効果Dを推測する値である。
機能(3)は、制御手段14が、機能(2)で算出されたDHv値と、記憶手段41に記憶された殺菌効果Dが>6Dを満たすDHv0値とを比較する機能である。
機能(4)は、機能(3)で比較した結果、DHv値がDHv0値よりも大きい(DHv>DHv0)場合には、密閉空間100の所定の殺菌が終了したものと判断し、発生装置11を停止させる機能である。
次に、記憶手段41に記憶された、殺菌の終了の基準となるDHv0値について、図17を用いて説明する。
DHv0値は、所定の条件下において複数回の条件で複数回、密閉空間を殺菌して上述の数式(1)からDHv値を求め、これら求めたDHv値のうち、殺菌効果Dが>6Dを得られるDHv値を閾値として設定したものである。
具体的には、先ず、密閉空間に、BIを複数配置させる。なお、本実施形態においては、過酸化水素ガスの耐性指標の一でとして、Apex Laboratory, Inc.製Geobacillus stearothermophilus ATCC1298(菌数106cfu/disc)のBIを用いた。
なお、DHv0値を求めるために殺菌を行う密閉空間は、容積や形状等が異なる空間を行う。なお、図17に示すように、当該密閉空間として、異なる空間A及び空間Bを用いた。
次に、過酸化水素ガスの濃度、密閉空間内の湿度及び殺菌時間を複数の異なる条件として、それぞれで密閉空間の殺菌を行う。殺菌開始から所定の経過時間で、密閉空間内のBIの生残菌数測定により評価を行い、殺菌効果Dが>6Dであるか否かを評価する。
次に、図17に示すように、殺菌の複数の条件下における殺菌効果DとDHv値との関係を求める。図17に示すように、殺菌効果DとDHv値の関係から、略確実に密閉空間内を殺菌効果Dが>6Dで殺菌できる、DHv値の下限値を求める。このDHv値の下限値を、殺菌効果Dが>6Dとなる閾値であるDHv0値とする。
なお、図17は、上述した殺菌を複数回行って求められた殺菌効果DとDHv値との関係を示しており、図17中実線は殺菌効果Dの平均値(ave.)を、破線は標準偏差(+σ、−σ)をそれぞれ示している。
本実施形態においては、図17に示すように、密閉空間100内を殺菌効果Dが6Dで確実に除菌できる閾値として、平均値及び標準偏差がともに殺菌効果Dが6Dを満たすDHv値を閾値(DHv0値)とし、このDHv0値は図17に示すように、55,000以上であることが求められた。
次に、このように構成された殺菌システム1を用いた殺菌方法について説明する。
先ず、例えば密閉空間100に供給管31を、図1に示すように、密閉空間100内の壁面に沿って配置する。次に、制御手段14により発生装置11を駆動して過酸化水素ガスを発生させ、ガス供給装置12により密閉空間100内に過酸化水素ガスを供給する。これにより、密閉空間100内の殺菌が開始される。
次に、検出器13により、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度及び密閉空間100内の湿度を、殺菌の開始時から連続して検出し、制御手段14に送信する。なお、検出器13による濃度及び湿度の検出は、所定の時間毎に検出してもよい。
制御手段14は、検出器13により検出された濃度及び湿度の情報を受信すると、当該情報及び殺菌を実施している時間から、数式(1)を用いてDHv値を算出する。
次に、制御手段14は、算出したDHv値と記憶手段41に記憶されたDHv0値を比較する。DHv値がDHv0値よりも小さい(DHv<DHv0)場合には、密閉空間100内に過酸化水素ガスの供給を継続する。
DHv値がDHv0値よりも大きい(DHv>DHv0)場合には、制御手段14は、密閉空間100内の殺菌効果Dが>6Dを満たしており、殺菌が終了したと判断する。これにより、制御手段14は、供給手段23及びガス供給装置12を停止し、過酸化水素ガスの供給を停止させる。これらの工程により、殺菌システム1を用いて、殺菌効果Dが>6Dを満たす密閉空間100の殺菌が行われる。
このように第2の実施形態に係る殺菌システム1を用いた殺菌方法においては、DHv>DHv0の範囲であって、且つ、殺菌開始時の密閉空間100の湿度は20%より高く、70%以下であることが好ましい。さらに言えば、殺菌開始時の密閉空間100の湿度が高い程、殺菌効果を得られるが金属の腐食等の要因となることから、密閉空間100内に配置された設備等の金属の腐食を防止するために、DHv0値を、例えば上述のように、55,000とした場合には、湿度は30%から60%の範囲内が好ましい。
また、さらに言えば、金属等の腐食を確実に防止するためには、殺菌開始時の密閉空間100内の湿度は、30%から50%の範囲内がよく、当該湿度を30%から50%とする場合には、例えば、DHv0値を、55,000よりも高く設定しても、殺菌効果Dを確実に>6Dを満足でき、且つ、腐食を防止できる。
このように構成された殺菌システム1によれば、供給管31を用いたガス供給装置12を用いて、発生装置11で発生した過酸化水素ガスを、密閉空間100の相対湿度が30%以上であって、且つ、DHv0値が55,000以上として供給することで、過酸化水素ガスの濃度を必要以上に上げることなく>6Dを満たすことが可能となる。また、過酸化水素ガスを高い拡散効率で密閉空間100内に拡散することが可能となる。
また、殺菌システム1を用いた殺菌方法として、密閉空間100の殺菌条件である、密閉空間100内の過酸化水素ガスの濃度、密閉空間100内の湿度及び殺菌時間に基づいて数式(1)から求められるDHv値が、閾値であるDHv0値よりも大きい場合に、発生装置11を停止させる。このように、本実施形態に係る殺菌システム1は、殺菌を行う条件を、DHv値及びDHv0値に基づいて管理することで、容易に殺菌効果Dを得ることが可能となる。
上述したように本発明の第2の実施形態に係る殺菌システム1によれば、予め設定されたDHv0値及び殺菌の条件から求められるDHv値の関係に基づいて発生装置11を停止させるとともに、孔部34を有する供給管31及び圧送手段32を用いて密閉空間100に過酸化水素ガスを供給することで、密閉空間内の濃度格差を低減するとともに、殺菌効果を容易に管理することが可能となる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、殺菌システム1が一台の発生装置11及び一対のガス供給装置12を備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、殺菌を行う密閉空間の構成が単純であって、容積が小さい場合には、殺菌システム1は、一台の発生装置11にガス供給装置12を単数設ける構成とし、このガス供給装置12の一の供給管31を密閉空間の壁面に沿って配置する構成であってもよい。
また、例えば、殺菌を行う密閉空間の構成が複雑であって、容積が大きい場合には、殺菌システム1は、一台の発生装置11に、2以上のガス供給装置12を設ける構成であってもよく、また、二台の発生装置11に、それぞれ2以上のガス供給装置12を設ける構成であってもよい。即ち、殺菌システム1は、複数の孔部34を有する供給管31を密閉空間内に延設させることで、過酸化水素ガスを高い拡散効率で拡散させる構成であれば、適宜設定可能である。
また、上述した例では、一対のガス供給装置12を設けた場合に、双方の供給管31を、孔部34が天井面、床面、又は、一方が天井面であって他方が床面と対向するように配置する構成を記載したがこれに限定されない。例えば、3以上のガス供給装置12を設けた構成においては、供給管31の孔部34の方向を天井面及び床面の少なくとも一方と対向するように適宜設定可能である。
また、例えば、密閉空間の形状や設備等の条件に応じて、供給管31の一方側を、孔部34が天井面を向くように床面に配置し、中途部から天井面に吊り下げて配置し、孔部34が床面を向くように配置する構成であってもよい。即ち、密閉空間内の殺菌効果を、目標の殺菌効果とすることが可能であれば、各条件に応じて適宜設定可能である。
また、上述した例では、第2の実施形態の殺菌システム1は、記憶手段41に記憶されたDHv0値が55,000であって、このDHv0値を、殺菌条件で求められるDHv値と比較して、殺菌の継続及び停止を判断する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、DHv0値は、55,000よりも大きい値であってもよい。例えば、55,000を超えれば、適宜設定可能である。しかし、腐食性を考慮すると、殺菌開始時の湿度を30%以上50%以下とした閾値は、DHv0=55,000とすることが望ましい。
また、上述した例では、殺菌効果Dが>6Dを満たす条件で、殺菌システム1の構成を適宜説明したが、殺菌効果Dはこれに限定されない。例えば、殺菌効果Dが5Dを要求されている場合であっても、殺菌システム1は、勿論適用可能である。また、殺菌効果Dが5Dで良い場合には、当該5Dを満足できるDHv0値を求め、当該求めたDHv0値をDHv値が超えた場合に、殺菌が完了したと判断すればよい。
同様に、殺菌効果の基準も、無菌性保障レベル(Sterility assurance level:SAL)を採用するのではなく、他の規格を採用してもよい。即ち、孔部34を有する供給管31を介して過酸化水素ガスを密閉空間内に拡散することで、密閉空間を殺菌する殺菌システム1の構成であれば、過酸化水素ガスが高い拡散効率で拡散可能となる。また、同様に、過酸化水素ガスの濃度及び密閉空間の湿度を管理し、閾値を求め、当該閾値と実際の殺菌時のDHv値とを比較して、DHv値が閾値を超えた場合には、殺菌が完了したと推測可能となる。
また、上述した例では、発生装置11は、供給手段23で供給した過酸化水素水をプレートヒータ24で蒸発させて過酸化水素ガスを発生させる構成を説明したが、過酸化水素ガスを発生可能であれば、これら構成に限定されない。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 密閉空間内に配置された殺菌対象を殺菌する過酸化水素ガスを発生させる発生装置と、
前記発生装置に設けられ、複数の孔部を有し、前記密閉空間内に延設可能な供給管と、
前記供給管に設けられ、前記発生装置で発生した前記過酸化水素ガスを前記供給管に供給する圧送手段と、
を備えることを特徴とする殺菌システム。
[2] 前記供給管は、前記密閉空間内の壁面に近接して延設されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[3] 前記供給管は、その断面積が前記孔部の開口面積の総和よりも大きく形成されていることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[4] 前記圧送手段は、ブロアであって、
前記圧送手段及び前記孔部は、前記孔部から吹き出す風速が8m/s以上16m/s以下に設定されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[5] 前記供給管は、前記孔部が前記密閉空間の天井面に対向して配置されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[6] 前記供給管は、前記孔部が前記密閉空間の床面に対向して配置されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[7] 前記供給管は、前記発生装置に複数設けられ、
前記複数の供給管の一部は、前記孔部が前記密閉空間の天井面に対向して配置され、
前記複数の供給管の他部は、前記孔部が前記密閉空間の床面に対向して配置されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[8]
前記供給管は、前記壁面から15cm以上120cm以下離間して配置されることを特徴とする[2]に記載の殺菌システム。
[9] 前記供給管は、前記孔部が単数又は複数形成された複数の管部により形成されることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[10] 前記供給管は、前記管部間、又は、前記発生装置及び前記管部を連結する連結管を備えることを特徴とする[9]に記載の殺菌システム。
[11] 前記連結管は、可撓性及び伸縮性を有することを特徴とする[10]に記載の殺菌システム。
[12] 前記密閉空間内の前記過酸化水素ガスの濃度、及び、前記密閉空間内の湿度を検出可能な検出器と、
前記密閉空間内の所定の殺菌効果が得られる閾値を記憶する記憶手段と、
前記密閉空間内に供給された前記過酸化水素ガスの濃度の変化の経過時間による第1積分値、並びに、前記密閉空間内の湿度の変化の経過時間による第2積分値の積を算出し、前記算出した前記第1積分値及び前記第2積分値の積を前記閾値と比較し、前記第1積分値及び前記第2積分値の積が前記閾値以上の場合に、前記密閉空間内が前記所定の殺菌効果を有すると判断する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする[1]に記載の殺菌システム。
[13] 前記密閉空間内の、前記過酸化水素ガスの供給の開始時の湿度は、相対湿度で30%以上70%以下であることを特徴とする[12]に記載の殺菌システム。
[14] 前記閾値は、前記密閉空間の所定の殺菌効果が得られる、前記第1積分値及び前記第2積分値の積を算出し、前記算出した前記第1積分値及び前記第2積分値の積であることを特徴とする[12]に記載の殺菌システム。
[15] 前記制御手段は、前記密閉空間内が前記所定の殺菌効果を有していると判断後、前記供給装置を停止させることを特徴とする[12]に記載の殺菌システム。
[16] 前記密閉空間内の前記過酸化水素ガスの濃度は、低濃度帯であることを特徴とする[12]乃至[15]のいずれかに記載の殺菌システム。