JP6061960B2 - 止水構造及びワイヤハーネス - Google Patents
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Description
図1において、引用符号1はワイヤハーネスWの所望の位置に設けられる止水構造部を示す。この止水構造部1は、本発明の止水構造を採用してなる部分であって、以下の説明で分かるようになるが、振動や配索等に影響を受けずに確実に止水をすることができ、また、導電路2の損傷を防止することもできる構造の部分である。
図1ないし図5において、導電路2は、高電圧用のものであって、特に図示しないが導体と絶縁体とを備えて構成される。上記導体は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体が押出成形される。
編組3は、二本の導電路2を一括して覆う電磁シールド用の金属部品(電磁波対策用のシールド部材)であって、多数の素線を筒状に編んでなる公知のものが採用される。編組3は、二本の導電路2の全長とほぼ同じ長さに形成される。編組3は、この端部がシールドシェル4の後述する小径部13の外面に接続固定される。尚、編組3以外のシールド部材として、例えば導電性を有する金属箔や、この金属箔を含む部材等を採用してもよいものとする。電磁波対策をすることが可能であれば、シールド部材は特に限定されないものとする。
シールドシェル4は、導電性の金属部品であって、金属部材被固定部10と、この金属部材被固定部10が連成される導電路挿通部11とを有する。金属部材被固定部10は、図示しない相手金属部材(例えばシールドケース)に固定される部分として所望の形状に形成される。金属部材被固定部10は、本実施例において、板状の部分を折り曲げたり穴加工を施したりして図示形状に形成される(形状は一例であるものとする)。尚、本実施例においては金属部材被固定部10を介してシールドシェル4が相手金属部材にボルト締めで固定されるようになるが、この限りでないものとする。すなわち、例えばバネ部材などを用いてシールドシェル4が相手金属部材に押し付けられるような状態で接触固定されてもよいものとする。
導電路挿通部11は、二本の導電路2の挿通部分として筒状に形成される。導電路挿通部11は、単なる筒状でなく、段付き形状になる筒状に形成される。具体的には、大径部12と、小径部13と、この小径部13が大径部12に対して一段下がった状態になる段付き部分14とを有する筒状に形成される。また、導電路挿通部11は、この一方の端末の開口部分になる大径部端末開口15と、他方の端末の開口部分になる小径部端末開口16とを有して筒状に形成される。本実施例の導電路挿通部11は、金属板を例えば絞り加工することにより図示の筒状に形成される。
大径部12は、四隅部分が曲面になる断面略矩形状の筒部分に形成される。大径部12は、この外面及び内面が凹凸のない平面及び曲面を有するように形成される。大径部12の外面及び内面は、シール面として形成される。大径部12の外面には、止水用ブーツ6が取り付けられる。大径部12の外面は、止水用ブーツ6の密着部分として形成される。一方、大径部12の内面側には、止水栓7が挿入される。すなわち、大径部12の内面側は、止水栓7の挿入部分として形成される。止水栓7が挿入されると、大径部12の内面には、止水栓7の後述する大径被挿入部23が密着する。
小径部13は、断面円形状の筒部分に形成される。小径部13は、大径部12よりも軸方向の長さが短く形成される。小径部13は、この外面及び内面が凹凸のない曲面を有するように形成される。小径部13の外面は、編組3の端部を接続する部分として形成される。尚、二本の導電路2を一括して覆っていた筒状の編組3は、この端部が若干拡径された後に小径部13の外面に被せられる。小径部13の内面側は、止水栓7の挿入部分として形成される。導電路挿通部11は、大径部12だけでなく小径部13の内面側にも止水栓7が挿入される。止水栓7が挿入されると、導電路挿通部11は広範囲で埋められた状態になる。
段付き部分14は、大径部12に対し小径部13を一段下がった状態に連続させるために形成される。段付き部分14の内面は、止水栓7の後述する段付き部分25の当接部分として、別な言い方をすれば止水栓7の挿入時のストッパとして機能する部分に形成される。
加締めリング5は、小径部13の外面に編組3の端部を接続固定する際に用いられる金属部品であって、例えば帯状の薄板を円形に加工することにより形成される。加締めリング5は、加締めにより塑性変形が生じると、この下側の編組3の端部を小径部13の外面に押し付けて編組3の抜けが生じないようにすることができる。
止水用ブーツ6は、シールドシェル4と外装部材9との間の止水及び保護のためのゴム部品として用いられる。止水用ブーツ6は、柔軟性を確保できる厚みに形成される。また、止水用ブーツ6は、適宜長さに形成される。このような止水用ブーツ6は、シールドシェル4の大径部12の外面に密着するブーツ大径部18と、外装部材9の外面に密着するブーツ小径部19と、これらブーツ大径部18及びブーツ小径部19を繋ぐブーツ中間部20とを有する。
ブーツ大径部18は、四隅部分が曲面になる断面略矩形状の筒部分に形成される。ブーツ小径部19は、外装部材9の断面形状に合わせた筒部分に形成される(本実施例においては、外装部材9が断面長円形状に形成されることから、ブーツ小径部19も断面長円形状に形成される)。尚、止水性能を向上させるために、ブーツ大径部18の内面にリップ部を形成してもよいものとする(形状は後述するリップ部26が参考になる)。ブーツ中間部20は、断面略矩形状から断面長円形状に形状を変換する部分として形成される。
止水栓7は、シールドシェル4に挿入されるゴム部品であって、外面側が段付きになるとともに、内面側が真っ直ぐに貫通する厚肉の略筒形状に形成される。止水栓7は、弾力性を有する。止水栓7は、この外面が導電路挿通部11の内面に密着するシェル密着部21として形成される。また、止水栓7は、この内面が導電路2に密着する(絶縁体の外面に密着する)導電路密着部22として形成される。
シェル密着部21には、環状で断面山形状のリップ部26が所定の間隔をあけて三つ形成される(数は一例であるものとする)。この三つのリップ部26は、シール部分として形成される。三つのリップ部26は、大径被挿入部23の部分に配置形成される。一方、導電路密着部22にも環状で断面山形状のリップ部(図示省略)が所定の間隔をあけて複数形成される。図示しないリップ部もシール部分であり、大径被挿入部23の部分、及び/又は、小径被挿入部24の部分に配置形成される。
ホルダ8は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて成形される樹脂部品であって、この一部分がシールドシェル4に挿入されるような形状に形成される。また、ホルダ8は、残りの部分が導電路2を固定できるような形状に形成される。もう少し具体的に説明すると、ホルダ8は、被挿入対向部27と、被係止部28と、ホルダ側導電路挿通部29と、導電路固定部30と、図示しないバンド部材とを有して図示形状に形成される。
被挿入対向部27は、導電路挿通部11における大径部12の大径部端末開口15を介して大径部12の内側に挿入される部分として形成される。また、被挿入対向部27は、止水栓7の大径被挿入部23の端部に対向する部分として形成される。被挿入対向部27は、ヒンジを用いた二つ割り形状に形成される。
外装部材9は、二本の導電路2と、この二本の導電路2を一括して覆う編組3とを収容保護する樹脂製の管体であって、本実施例においては、例えば断面長円形状の平形コルゲートチューブが採用される(平形に限らず丸形であってもよいものとする)。外装部材9は、管軸方向にのびるスリットの存在しない形状(腹割きなしの形状)に形成される。外装部材9は、柔軟性を有する蛇腹管形状に形成される。
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、本発明の止水構造部1によれば、例えば外装部材9の内側に溜まった水分が編組3の外側を通過しようとしても、この水分を止水用ブーツ6により止水することができるという効果を奏する。また、編組3と導電路2との間を水分が通過しようとしても、この水分を止水栓7により止水することができるという効果を奏する。これは、シールドシェル4の導電路挿通部11が大径部12と小径部13とを有し、大径部12の外面には、止水用ブーツ6が取り付けられて密着するからである。また、編組3が接続された小径部13の内側には、導電路2に密着する止水栓7の小径被挿入部24が挿入され、さらに、大径部12の内側には、止水栓7の大径被挿入部23が挿入されて密着するからである。
ここで、本発明の止水構造部1を設けてなるワイヤハーネスWの配索状態について、図6を参照しながら説明をする。
Claims (4)
- 一又は複数本の導電路と、該一又は複数本の導電路を一括して覆う導電性の筒状のシールド部材と、相手金属部材に接触する導電性のシールドシェルと、筒状に形成されるゴム製の止水用ブーツと、前記シールドシェルに挿入されるゴム製の止水栓と、前記シールドシェルに挿入される樹脂製のホルダとを備え、
前記シールドシェルは、前記一又は複数本の導電路の挿通部分として筒状に形成される導電路挿通部を有し、
該導電路挿通部は、前記相手金属部材に近い側から順に、外面が前記止水用ブーツの密着部分になる大径部と、該大径部に対し一段下がった状態で連続し且つ外面が前記シールド部材の接続部分になる小径部とを有し、
前記大径部は、前記導電路挿通部における一方の端末の開口部分として形成される大径部端末開口を有し、
前記小径部は、前記導電路挿通部における他方の端末の開口部分として形成される小径部端末開口を有し、
前記止水栓は、前記一又は複数本の導電路に密着する導電路密着部と、前記導電路挿通部の内面に密着するシェル密着部とを有するとともに、前記大径部端末開口を介して前記大径部の内側に挿入される大径形状の大径被挿入部と、該大径被挿入部に連成され且つ少なくとも前記小径部端末開口までの長さで形成されて前記小径部の内側に挿入される小径形状の小径被挿入部とを有し、
前記ホルダは、前記大径部端末開口を介して前記大径部の内側に挿入され且つ前記大径被挿入部の端部との対向部分になる被挿入対向部を有する
ことを特徴とする止水構造。 - 請求項1に記載の止水構造において、
前記ホルダは、前記一又は複数本の導電路の挿通部分として筒状に形成されるホルダ側導電路挿通部と、該ホルダ側導電路挿通部に挿通される前記一又は複数本の導電路を固定する導電路固定部とを更に有する
ことを特徴とする止水構造。 - 請求項1又は2に記載の止水構造において、
前記小径被挿入部は、前記小径部端末開口から外方に突出する長さで形成される
ことを特徴とする止水構造。 - 自動車に配索されて電気的な接続を行うワイヤハーネスにおいて、
当該ワイヤハーネスのハーネス端末又はハーネス中間には、請求項1、2又は3に記載の止水構造を採用してなる止水構造部を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス。
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