JP6061571B2 - 被検体情報取得装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検体情報取得装置に関する。
生体内の光学特性値を求める方法の1つとして、光に比べて生体内での散乱が少ない超音波の性質を利用した光音響トモグラフィー(Photoacoustic Tomography:PAT)がある(非特許文献1)。光源から発生したパルス光が生体に照射されると、光は生体内を拡散しながら伝搬する。生体内に含まれる吸収体が伝搬してきた光を吸収すると、光音響効果により超音波等の音響波が発生する。この超音波を探触子で受信し、受信した信号を解析することにより、生体内の光学特性値分布、特に光吸収密度分布を得ることができる。
非特許文献1によれば、PATにおいて光吸収により生体内の吸収体から得られる超音波の音圧Pは次式(1)で表すことができる。
P=Г・μ・Φ …(1)
ここで、Гは弾性特性値であるグリューナイゼン係数であり、体積膨張係数βと音速cの二乗の積を比熱Cで割ったものである。μは吸収体の吸収係数、Φは吸収体に吸収される光束である。
式(1)から分かるように、PATにおける超音波の音圧は、吸収体に到達する光量に比例する。従って、強い信号を得るためには生体に照射する光量を大きくする必要がある。
一方、レーザー安全に関する規格において、生体に照射される照射密度の最大値として最大露光許容量(MPE:Maximum Permissible Exposure)が規定されている(JISC6802)。MPEを考慮しつつ生体に照射する光量を大きくするためには、均一な照明が必要となる。
またPATにおいて、生体の広い範囲で測定を行うためには、照明部と受信部を走査することが望ましい。光源が固体レーザーのように大型の場合、光源本体を走査することは難しい。そのため光源から出た光を光ファイバで伝送し、光ファイバの出射部を走査することが好適である。光量が大きく1本の光ファイバで伝送できない場合には、光ファイバを束ねたバンドルファイバが好適である。
バンドルファイバの特性として、光が出射されたのち広がるため、中央部に比べて周辺部の光量が小さくなる。バンドルファイバと生体の間にレンズ等を用いることでビームを均一にすることも考えられるが、その場合、装置が大型化するという欠点がある。特に、照明部がハンドヘルド型であるPATでは、軽量化のために操作部を最小部品点数で構成することが望ましい。
画像表示装置の分野では、バンドルファイバの出射部を複数の均等なサブバンドルに分岐した例が開示されている(特許文献1)。これは光源から出た光を、出射部が複数のサブバンドルに分岐した光ファイバで伝送し、各表示素子に対応した位置にサブバンドルを配置して表示素子を照明することで、表示素子ごとの光量ばらつきを低減して高品質な画像を得るものである。
特開2002−214707号公報
M.Xu,L.Wang "Photoacoustic imaging in biomedicine, Review of scientific instruments, 77, 041101(2006)
特許文献1の手法では、ファイバの出射部と照明領域が近い場合にはサブバンドルの照明領域の間に照明されない暗部ができ、均一照明にならないという課題がある。また、ファイバの出射部と照明領域が遠い場合には、照明領域の周辺部と比べて中央部の光の重なりが強いため、均一照明にはならないという課題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、バンドルファイバから被検体に照射される光の均一性を向上させることを目的とする。
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、光源と、複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、を有し、前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、前記第一のサブバンドルにおける単位面積当たりの光ファイバの本数は、前記第二のサブバンドルにおける単位面積当たりの光ファイバの本数よりも少ないことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、光源と、複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、を有し、前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、前記第一のサブバンドルの出射端の面積は、前記第二のサブバンドルの出射端の面積よりも小さいことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、光源と、複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、を有し、前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、前記出射部において、前記第一のサブバンドルの前記出射端は、前記第二のサブバンドルの前記出射端よりもまばらに配置されていることを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明によれば、バンドルファイバから被検体に照射される光の均一性を向上させることができる。
本発明の典型的な実施形態を示す図。 サブバンドルから出射された光を示す図。 実施例1の照射密度分布を示す図。 従来手法を説明する図。 実施例2を説明する図。 実施例3を説明する図。 実施例4を説明する図。 従来手法による照射密度分布を示す図。 実施例5を説明する図。 実施例6を説明する図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、バンドルファイバを用いて光を照射する照明装置に好ましく適用できる。特に、かかる照明装置を含む被検体情報取得装置に本発明を適用すれば、被検体に照射される光の均一性を向上させることが可能となる。被検体情報取得装置は、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。
光音響効果を利用した装置が取得する被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。音響検出器(例えば探触子)は、被検体内で発生又は反射した音響波を受信する。
以下、本発明の実施形態における被検体情報取得装置、とりわけ本発明の特徴である照明装置の構成について説明する。
図1は本発明の典型的な実施形態に係る、照明装置の概要構成を示す図である。照明装置は、光源101、バンドルファイバ102、サブバンドル103を含む。サブバンドル103には、含まれるファイバの本数が多いサブバンドル103aと、含まれるファイバの本数が少ないサブバンドル103bがある。サブバンドルからは出射光104が、光照射面105に照射される。さらに被検体情報取得装置においては、照明装置の他にも各種
の構成を備える。以下、各構成要素について説明する。
(光源)
被検体が生体の場合、光源からは生体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される波長の光を照射する。光源は本実施形態の生体画像取得装置と一体として設けられていても良いし、光源を分離して別体として設けられていても良い。効率的に光音響波を発生させるため、パルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。
光源としては大出力が得られるレーザーが好ましいが、レーザーの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は光源制御部によって制御される。
なお、この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。本発明において使用する光源の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には被検体が生体の場合、500nm以上1200nm以下である。
(バンドルファイバ)
バンドルファイバは複数の光ファイバを束ねて構成されたものである。光ファイバは石英ガラス等からなるコアを有する。具体的には、例えばコアの直径が190μmであるものが挙げられる。バンドルファイバの入射部から上記光源の光を入射して各ファイバにより伝送される。
バンドルファイバの出射側は複数のサブバンドルに分岐しており、各サブバンドルには伝送した光を出射するための出射端がそれぞれ設けられている。各サブバンドルの出射端は出射部に、出射端の端面が配列をなすように固定される。出射部のサブバンドル端面が配列された面は出射面を形成し、この出射面上にある複数のサブバンドル端面から出射された光が重ね合わされて対象を照明する。中央部のサブバンドルは第一のサブバンドルに相当し、周辺部のサブバンドルは第二のサブバンドルに相当する。
同一のサブバンドルを等間隔に配列すると、中央部のサブバンドルの光の重なりと比べて周辺部のサブバンドルの光の重なりが弱いため、均一性が低くなる。そこで周辺部の光量を大きくして均一性を上げるために、本発明のバンドルファイバは、出射部において、周辺部(サブバンドル103a)の光ファイバの密度が中央部(サブバンドル103b)の光ファイバの密度よりも大きいという特徴を持つ。但しサブバンドルの出射端と光照射面が近すぎると、光が重ならず効果が得られない。
そこで、本発明の効果が得られる範囲を、図2を用いて説明する。図2(a)は2つのサブバンドル201aと201bから出射された光202aと202bが、光照射面203上で重なり合う様子を示したものである。点Aは、光照射面203上において、サブバンドル201aと201bの中間の正面にある点である。ここで、サブバンドルの出射端面から照射面までの距離をL、隣り合う2つのサブバンドル間の最短ピッチをp、サブバンドルの幅をWとする。
図2(b)は1本のファイバから出射する光の分布を、角度と強度の対比で示したもの(光の強度の角度分布)である。ここで、ファイバから出射される光の広がり角を、強度が最大強度から1/eに低下するまでの角度θとする。サブバンドル201aと201bから出射される光の重なり具合を、照射面上の光の最大強度と点Aにおける光強度の比aで表す。図2(c)は、2つのサブバンドルから出射された光の重なりを示した図である。図2(d)はW/pを0.2から0.8に変化させたときの、aとL・tanθ/p
の関係を示した図である。
また、図2(e)はa=0.5のときのL・tanθ/pとW/pの関係を示した図である。図2(e)よりL・tanθ/pとW/pの関係はほぼ線形に近似することができ、本発明が有意である範囲をa≧0.5とすると、以下の式(2)のように表すことができる。
L・tanθ≧0.76p−0.63W …(2)
そこで以下の実施例では全てこの条件を満たすようにした。
(被検体情報取得装置)
本実施形態の被検体情報取得装置は、生体を被検体として、その生体内部の情報を画像データとして算出する生体画像取得装置である。ただし被検体情報取得装置は、生体以外を被検体としても良い。被検体情報取得装置は基本的なハード構成として、光源、バンドルファイバ、音響波を受信する探触子、画像再構成を行う処理部を有する。
光源から発せられたパルス光はバンドルファイバを伝送し、生体に照射される。生体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体(結果的に音源となる)に吸収されると、その光吸収体の熱膨張により音響波が発生する。音響波は探触子で受信されて電気信号となり、処理部に転送される。処理部は電気信号に基づき生体内の光学特性値分布情報を生成する(画像再構成)。光学特性値分布情報の形式は特に限定されることはなく、2次元とするか3次元とするか等、測定の目的や装置の構成等により任意に決めることができる。
(探触子)
探触子は、パルス光により生体表面及び生体内部等で発生する音響波を受信する。そのために探触子は、音響波をアナログ信号である電気信号(受信信号)に変換する能力を持つ。圧電現象を用いた探触子、光の共振を用いた探触子、静電容量の変化を用いた探触子等、音響波信号を受信できるものであれば、どのような探触子を用いてもよい。本実施形態の探触子は、典型的には複数の受信素子が1次元、或いは2次元に配置されたものが好ましい。このような多次元配列素子を用いることで、同時に複数の場所で音響波を受信することができ、測定時間を短縮できる。受信素子が1つの場合には、探触子を走査させて複数の位置で受信しても良い。
被検体情報取得装置は、探触子で得られた電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する変換部や、電気信号を増幅する回路を有することが望ましい。探触子から得られる受信信号が複数ある場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。それにより、画像を形成するまでの時間を短縮できる。変換された信号はメモリに格納される。
(処理部)
処理部は、メモリに格納された信号を用いて、音響波の初期音圧分布等の光学特性値分布情報に関連したデータを形成する。この光学特性値分布の形成に関しては、例えばタイムドメインでの逆投影を用いることができる。処理部としては例えば、プログラムにより動作する情報処理装置や回路等を用いることができる。
<実施例1>
本実施例では、中央部におけるサブバンドルに含まれるファイバの密度が、周辺部におけるサブバンドルに含まれるファイバの密度よりも小さい例を説明する。
図3(a)は、本実施例の光源とバンドルファイバからなる照明装置の全体図である。図3(b)は、本実施例のファイバ出射部の形状を示す図である。この照明装置は、発振
波長が800nmの固体レーザーである光源301からの光をバンドルファイバ302で伝送する。光源301にはチタンサファイアレーザーを用いた。
ファイバ素線のコアの直径は190μmである。入射部においてファイバ素線はほぼ六方最密に充填されている。バンドルファイバ302の出射部は大きさが1mm□の9つのサブバンドル303に分岐している。9つのサブバンドルは3×3のアレイ状に並んでおり、隣り合う2つのサブバンドル間のピッチpは6mmで等間隔である。
本実施例の特徴として、各サブバンドルに含まれる光ファイバの本数は中央部と周辺部で異なっている。すなわち、周辺部のサブバンドル303aに含まれる単位面積当たりのファイバの本数を1とすると、中央部のサブバンドル303bに含まれる単位面積当たりのファイバの本数は0.3である。各ファイバから出射される光はガウス分布に近似することができる。本実施例において光ファイバ1本からの光の広がり角θを実測したところ、tanθ=0.1であった。この場合、強度が最大強度から1/eに低下するまでの角度をθと定義している。
中心のサブバンドルから光照射面までの距離Lが100mmのときの光照射面での照射密度分布を図3(c)に示す。また、図3(c)の照射密度分布の中心を横方向に切った時の断面の照射密度分布を図3(d)に示す。
一方、図4に比較対象として従来の照明装置における例を示す。図4(a)は、9つのサブバンドル401に含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数がいずれも等しい様子を示す。また、この場合の光照射面での照射密度分布を図4(b)に示す。また、図4(b)の中心を横方向に切ったときの断面の照射密度分布を図4(c)に示す。
本実施例における断面である図3(d)を、従来の断面である図4(c)と比較すると、本実施例のほうが、光の均一性が向上し、より均一な照明分布を得られることが分かる。これは、各サブバンドルの位置ごとにファイバの本数を変えていることによる。すなわち、中央部における照射密度の低さを、照射密度の高い周辺部からの光が、中央部に対向する照射面にも斜め方向に入射することにより補うことができ、全体として略均一な光照射を実現できる。
以上の記載においては、正方形のサブバンドルを3×3のアレイ状に等間隔に配置する例を示したが、本発明はこれに限定されることはない。一例として、正方形のサブバンドルを4×4に配置した様子を図3(e)に示す。中央部の4個のサブバンドル304bに含まれる光ファイバの本数は、外側(周辺部)の12個のサブバンドル304aに含まれる光ファイバの本数よりも少ない。この場合であっても、中央部における照射密度の低さを、周辺部からの斜め方向への入射光が補い、照射面における光の均一性が向上する。
本発明は図3に示したような縦横同数のサブバンドル配列のほか、例えば4×5や5×7などのサブバンドル配列にも適用可能である。その場合であっても、出射部の中心付近の光ファイバの密度が出射部の周辺部のコアの光ファイバの密度よりも小さくすることで、光を均一に照射できる。また、ファイバの形状は全て同じとしたが、中央部と周辺部のサブバンドルでコア径の異なる光ファイバを用いる等して単位面積当たりのコアの面積を変えても良い。また、サブバンドルを円形に配列しても、中央部と周辺部を想定して中央部の光量を相対的に抑制することで、本発明を適用できる。
<実施例2>
本実施例では、周辺部の中でも場所によってサブバンドルに含まれる光ファイバの密度を変えることで、より均一な照明分布を得る例を説明する。具体的には、サブバンドルの
アレイが四角形の場合に、四角形の辺に相当するサブバンドルに含まれる光ファイバの密度を、四角形の角(頂点)におけるサブバンドルに含まれる光ファイバの密度よりも小さくする。
図5(a)は、本実施例の光源とバンドルファイバからなる照明装置の全体図である。図5(b)は、本実施例のファイバ出射部の形状を示す図である。照明装置は光源501、バンドルファイバ502を含む。
バンドルファイバ502の出射部は、実施例1と同様に、大きさが1mm□の9つのサブバンドルに分岐している。9つのサブバンドルは3×3のアレイ状に並んでおり、隣り合う2つのサブバンドル間のピッチpは6mmで等間隔である。
本実施例の特徴として、各サブバンドルに含まれる光ファイバの本数はサブバンドルの位置によって異なっている。すなわち、周辺部かつ四角形の頂点にあるサブバンドル503aに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数を5とすると、周辺部の辺部にあるサブバンドル503bと中央部503cに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数はそれぞれ3、1である。各光ファイバから出射される光はガウス分布に近似することができる。本実施例において光ファイバ1本からの光の広がり角θはtanθ=0.1であった。ここで、強度が最大強度から1/eに低下するまでの角度をθと定義している。
中心のサブバンドルから光照射面までの距離Lが100mmのときの光照射面での照射密度分布を図5(c)に示す。また、図5(c)の照射密度分布の中心を横方向に切った時の断面の照射密度分布と、照射密度分布の中心から上に1ピッチ(6mm)離れた点を横方向に切った時の断面の照射密度分布をそれぞれ図5(d)と図5(e)に示す。
比較対象として、図4(b)の照射密度分布の中心から上に1ピッチ(6mm)離れた点を横方向に切った時の断面の照射密度分布を図4(d)に示す。図5(d)と図4(c)を比べると、照射密度分布の中心における断面の照射密度分布は同等であることが分かる。さらに図5(e)と図4(d)を比べると、照射密度分布の中心から上に1ピッチ(6mm)離れた点における断面の照射密度分布は、本実施例において均一性が向上していることが分かる。これは、周辺部の中でも、両隣からの斜め入射光を受ける辺部の照射密度を相対的に低くし、周辺部の中でも片隣の辺部からの斜め入射光しか受けない頂点の照射密度を高めることで、照射面における光量を均一化できたことによる。
以上より、本実施例のように周辺部の中でも場所によってサブバンドルに含まれる光ファイバの密度を変えることで、より均一な照明分布を得ることができる。なお本実施例では正方形のサブバンドルのアレイを四角形に配列する例を説明したが、これに限定されることはない。また、サブバンドルの配列を六方最密構造にすることも可能である。
サブバンドルが四角形状以外の配列の例としては、サブバンドルが三角形や六角形等の多角形状に配列されている場合が挙げられる。その場合、多角形の中央部と、辺部、頂点部のサブバンドルに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数が、(中央部)<(辺部)<(頂点部)となっていればよい。
<実施例3>
本実施例では、各サブバンドルに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数が同じであり、各サブバンドルの面積を位置に応じて変えることで均一な照明分布を得る例を説明する。
図6(a)は、本実施例の光源とバンドルファイバからなる照明装置の全体図である。
図6(b)は、本実施例のファイバ出射部の形状を示す図である。この照明装置は、光源601、バンドルファイバ602を含む。
バンドルファイバ602の出射部は9つのサブバンドルに分岐している。各サブバンドルに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数は同じだが、サブバンドルの大きさがサブバンドルの配置によって異なり、中心に近いほど小さい。各サブバンドルの大きさは、周辺部のうち頂点付近の603aが1.2mm□、周辺部のうち辺部の603bが1mm□、中央部の603cが0.7mm□である。
中心のサブバンドルから光照射面までの距離が100mmのときの光照射面での照射密度分布を図6(c)に示す。また、図6(c)の照射密度分布の中心を横方向に切ったときの断面の照射密度分布を図6(d)に示す。図6(d)と図4(c)を比較すれば分かるように、各サブバンドルに含まれる単位面積当たりの光ファイバの本数を同じにしても、各サブバンドルの大きさを変えて配置することでより均一な照明分布を得られる。
本実施例の照明装置には、実施例1、実施例2のように光ファイバの単位面積当りの本数を変える方式と比べ、製造しやすいという利点がある。
<実施例4>
実施例1〜3では、出射端の照射密度または面積が、サブバンドルごとに異なる例を説明した。本実施例では、照射密度や面積が同一のサブバンドルを配置する際に、周辺部の密度よりも中央部の密度が小さくなるようにする例を説明する。
図7(a)は、本実施例の光源とバンドルファイバからなる照明装置の全体図である。図7(b)は、本実施例のファイバ出射部の形状を示す図である。照明装置は光源701、バンドルファイバ702を含む。
バンドルファイバ702の出射部は、大きさが1mm□の21個のサブバンドル703に分岐している。21個のサブバンドル703は図7(b)のように並んでおり、点線のメッシュのピッチは4mmである。各サブバンドルに含まれる光ファイバの本数は同じである。図が示すように、中央部においては出射端がまばらであり、周辺部では密である。さらに周辺部のうち、頂点の部分のほうが、辺の部分よりも密である。
中心のサブバンドルから光照射面までの距離が100mmのときの光照射面での照射密度分布を図7(c)に示す。また、図7(c)の照射密度分布の中心を横方向に切った時の断面の照射密度分布を図7(d)に示す。
比較対象として、図8に、各サブバンドルを等間隔で配置した例を示す。図8(a)の照明装置における出射端は、図8(b)のように、中心と周辺部でサブバンドルの密度が同じになるように並べている。また、光照射面での照射密度分布を図8(c)に、図8(c)の中心を横方向に切ったときの断面の照射密度分布を図8(d)に示す。図8(b)における点線のメッシュのピッチは4mmである。
図7(d)と図8(d)を比較すれば分かるように、出射部の中心と周辺部でサブバンドルの密度が異なるになるように並べることで、より均一な照明分布を得られる。これは、中央部においては、隣接する領域に対応するバンドルファイバからの斜め入射光の量が多いため、出射端がまばらに配置されていても光量の合計が周辺部と同等になるためである。逆に周辺部では、出射端が密に配置されていても、入射光が少ないことから光量の合計が中央部と同程度になる。
但し、本実施例でも、サブバンドルが四角形状の配列である例を示したが、これに限定
されることはない。具体的には、サブバンドルが三角形や六角形等の多角形状に配列され、その多角形の中央部と、辺部、頂点部のサブバンドルの出射端の配置数が、(中央部)<(辺部)<(頂点部)となっていればよい。
<実施例5>
実施例1〜4では照明装置について説明したが、本実施例では被検体情報取得装置においてバンドルファイバと生体との間にレンズ系を介さずに照明分布を均一にする例を説明する。
図9は本実施例の被検体情報取得装置を示したものである。光源901の光は、バンドルファイバ902を伝送し、サブバンドル903aと903bから出射される。ここで、サブバンドルの配置は実施例1と同様とした。903aはサブバンドルのうち単位面積当たりの光ファイバの本数が少ないもの、903bはサブバンドルのうち単位面積当たりの光ファイバの本数が多いものである。
サブバンドルから出射された光904は、バンドルファイバ902側の保持板905aとバンドルファイバ902と反対側の保持板905bで保持された生体906を照明する。保持板905aは光を透過しやすいものが望ましく、保持板905bは音響波を透過しやすく、音響インピーダンスが生体の音響インピーダンスに近いものが望ましい。一例として保持板905aはアクリル、保持板905bはポリメチルペンテンが挙げられる。本実施例ではアクリルとポリメチルペンテンの厚さは共に10mmである。ここで、アクリルの屈折率は1.49である。ファイバ出射端から生体までの光路長を実施例1と同じ100mmとするために、ファイバ出射端からアクリル板までの距離を85.1mmとした。
照明された光は生体906内を拡散し、拡散した光を吸収体907が吸収すると音響波908が発生する。音響波908は被検体である生体906内を伝搬し、その一部が探触子909で受信される。受信信号910は処理部911に送られ、生体内の光学特性値分布情報が形成される。サブバンドル903aと903b、探触子909は、保持板905に対して平行な2次元方向に動かすことが可能となっている。
以上の構成にすることで、実施例1と同様に光の照射位置ごとの光強度分布のばらつきが小さくなる。その結果、より効率的に光音響信号を得ることができる。
<実施例6>
実施例5ではサブバンドルと探触子が保持板上を走査する方式を説明したが、本実施例では、生体上でサブバンドルと探触子を手動で動かすハンドヘルド型の被検体情報取得装置について説明する。
図10(a)は、本実施例の被検体情報取得装置を示したものである。光源1001の光は、バンドルファイバ1002を伝送し、サブバンドル1003aと1003bから出射される。ここで、1003aはサブバンドルのうち単位面積当たりの光ファイバの本数が少ないもの、1003bはサブバンドルのうち単位面積当たりの光ファイバの本数が多いものである。サブバンドル1003aと1003bは出射部1004で一体となっている。
測定時には、出射部1004が被検体である生体1006に当てられ、光1005が生体1006を照明する。照明された光は生体1006内を拡散し、拡散した光を吸収体1007が吸収すると音響波1008が発生する。音響波1008は生体1006内を伝搬し、その一部が探触子1009で受信される。ここで探触子1009は出射部1004と
一体となっており、生体1006上を手動で走査可能になっている。
図10(b)は一体となった出射部1004と探触子1009を生体1006側から見た図である。探触子1009で受信された受信信号1010は処理部1011に送られ、生体内の光学特性値分布が形成される。
生体に照射する光が均一であることが望ましいことは上述したが、ハンドヘルド型の場合には操作部の軽量化のために照明系の部品点数を少なくすることが望ましい。本実施例に示す照明系はバンドルファイバと生体の間に均一照明のための光学系を用いないため、照明系を最小部品点数で構成できる。なお本実施例では出射部と生体の間にレンズを用いない構成を示したが、拡散板等の光学部品を用いるとより均一な光学系を得ることもできる。また、バンドルファイバの出射端にカバーガラス等を設けることも可能である。
101:光源,102:バンドルファイバ,103a:第二のサブバンドル,103b:第一のサブバンドル,909:探触子,911:処理部

Claims (7)

  1. 光源と、
    複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、
    前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、
    を有し、
    前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、
    前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、
    前記第一のサブバンドルにおける単位面積当たりの光ファイバの本数は、前記第二のサブバンドルにおける単位面積当たりの光ファイバの本数よりも少ない
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記複数のサブバンドルの前記出射端は同じ大きさであり、かつ、前記出射部において同じピッチで配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記複数のサブバンドルの前記出射端は多角形状に配置されており、
    前記第二のサブバンドルには、前記多角形の辺に配置された辺のサブバンドルと、前記多角形の頂点に配置された頂点のサブバンドルが含まれ、
    前記複数のサブバンドルにおける単位面積当りの光ファイバの本数は、
    頂点のサブバンドル>辺のサブバンドル>第一のサブバンドル、
    という順である
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記サブバンドルの前記出射端から前記照射面までの距離をL、前記光ファイバから出射される光の強度が最大強度から1/eに低下するまでの角度をθ、隣り合う2つの前記サブバンドル間の最短ピッチをp、前記サブバンドルの幅をWとすると、
    L・tanθ≧0.76p−0.63W
    が満たされる
    ことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。
  5. 光源と、
    複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、
    前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、
    を有し、
    前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、
    前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、
    前記第一のサブバンドルの出射端の面積は、前記第二のサブバンドルの出射端の面積よりも小さい
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  6. 前記複数のサブバンドルにおける単位面積当たりの光ファイバの本数は同じである
    ことを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。
  7. 光源と、
    複数の光ファイバを含むバンドルファイバと、
    前記光源からの光が前記バンドルファイバの出射部より被検体の照射面に照射されたときに発生する音響波を用いて、当該被検体内の情報を取得する処理部と、
    を有し、
    前記バンドルファイバの前記出射部には、それぞれ複数の光ファイバを含む複数のサブバンドルの出射端が配置され、
    前記複数のサブバンドルには、前記出射部の中央部に配置された第一のサブバンドルと、前記出射部の周辺部に配置された第二のサブバンドルが含まれ、
    前記出射部において、前記第一のサブバンドルの前記出射端は、前記第二のサブバンドルの前記出射端よりもまばらに配置されている
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
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