JP6059563B2 - アルミナ皮膜、アルミナゾル、及びアルミナ皮膜の製造方法 - Google Patents

アルミナ皮膜、アルミナゾル、及びアルミナ皮膜の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、アルミナ皮膜、アルミナゾル、及びアルミナ皮膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、アルミナナノファイバーがシリコン化合物によって架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを含有するアルミナ皮膜、このアルミナ皮膜を形成することのできるアルミナゾル、及びアルミナ皮膜の製造方法に関する。
アルミニウムは地球上で多く存在する元素である。クラーク数7.56で酸素、シリコンについで第3番目に多く存在する元素である。その酸化物であるアルミナ粉体やアルミナ膜は、陶芸用、研磨剤、無機バインダーや触媒用など多くの用途がある。
アルミナ粉体やアルミナ膜を作製するいくつかの方法の中に、ゾル−ゲル法などの湿式法でアルミナゾルを作製し、当該ゾルからアルミナ粉体やアルミナ膜を作製する方法がある。
アルミナゾルに含まれているアルミナは、板状、柱状、針状、粒子状、繊維状等の様々な形態を示すことがある。そして、アルミナの形態によりアルミナゾルの物性が異なり、その物性によってアルミナゾルの用途も異なってくる。ただし、製造条件等を制御することにより、アルミナの形態を制御し、ある特定の形態をしたアルミナを選択的に製造することは難しく、現在、アルミナの形態制御に関する開発が進められている。特定のアスペクト比を有するアルミナに関する文献として、例えば、特許文献1〜3がある。
特許文献1には、「制御可能な細孔径の範囲が広く、実用上十分高い耐熱性、耐有機溶媒性、耐水性、耐高・低pH性を有し、製膜方法が簡便であり、かつコストが低いアルミナ複合分離膜及びその製造方法を提供すること」(特許文献1の段落番号0009参照)を目的として、「・・前記多孔質薄膜中に、30〜5000の平均アスペクト比を有する繊維状アルミナ粒子が一方向に並列して重積しており、この並列・重積した繊維状アルミナ粒子の間に互に連通する細孔が形成されていることを特徴とするアルミナ複合分離膜」(特許文献1の請求項1参照)が記載され、また「前記多孔質薄膜層中にシランカップリング剤が含まれている」(特許文献1の請求項3参照)ことが記載されている。
シランカップリング剤として、一つのSiを有する、ビニル系、エポキシ系、アミン系のシラン処理剤が例示されており(特許文献1の段落番号0021参照)、後述する本発明のアルミナゾルに含まれる式(1)で示されるシリコン化合物の開示はない。
また、特許文献2では、前記シランカップリング剤は、繊維状アルミナ粒子の表面に存在するヒドロキシル基を修飾するのに用いられ、これによってアルミナ複合分離膜の表面や細孔内の極性を変えることにより、膜を通過できる物質を制御することが開示されている。
しかしながら、特許文献1には、アルミナ複合分離膜の硬度に関する記載はない。
特許文献2には、「鉛筆硬度が5H以上の透明アルミナ皮膜を形成するのに最適なアルミナ皮膜形成用ファイバー状透明アルミナゾルを提供すること」(特許文献2の段落番号0014参照)を目的として、「アスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)が100〜375のアルミナナノファイバーが分散してなるアルミナゾルであって、前記アルミナゾルにより基板上に形成されたアルミナ皮膜の鉛筆硬度が5H以上になるアルミナ皮膜形成用ファイバー状透明アルミナゾル」(特許文献2の請求項1参照)が記載されている。
特許文献2には、後述する本発明のアルミナゾルに含まれる式(1)で示されるシリコン化合物の開示がない。
また、特許文献2に記載の透明アルミナ皮膜は、鉛筆硬度が5H以上とするために600℃以上の温度で加熱処理する必要がある。したがって、特許文献2に記載の透明アルミナ皮膜は、耐熱性に劣る材料例えばプラスチックで形成された基板上に作製することができない。
特許文献3には、「良好な親水性を示し、耐久性に優れた親水性薄膜を提供すること、及び、前記親水性薄膜を簡便な方法で製造する親水性薄膜の製造方法を提供すること」(特許文献3の段落番号0009参照)を目的として、「Al−O−P結合を有してなり、走査型プローブ顕微鏡を使用して測定された表面の十点平均粗さ(Rz)が20nm未満である親水性薄膜」(特許文献3の請求項1参照)が記載され、また「前記親水性薄膜は、基材表面に設けられたアルミナ薄膜を、リン酸基含有化合物の水溶液中で、水熱合成してなる」(特許文献3の請求項3参照)ことが記載されている。
特許文献3の実施例では、アスペクト比が2〜500の繊維状のアルミナ粒子が用いられているが、後述する本発明のアルミナゾルに含まれる式(1)で示されるシリコン化合物の開示がない。
特開2011−255303号公報 特開2013−6752号公報 特開2012−172061号公報
この発明は、アルミナナノファイバーがシリコン化合物によって架橋されることにより、鉛筆硬度7H以上の高硬度のアルミナ皮膜を提供すること、このアルミナ皮膜を形成することのできるアルミナゾルを提供すること、及びアルミナ皮膜を形成する基板が耐熱性に劣る材料で形成されていても、基板を劣化させることなく前記アルミナゾルからアルミナ皮膜を形成することのできるアルミナ皮膜の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと下記式(1)に示すシリコン化合物におけるR〜Rの少なくとも一つ及びR〜Rの少なくとも一つとが反応することにより、少なくとも二つのアルミナナノファイバーが架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを含有することを特徴とするアルミナ皮膜である。
Figure 0006059563
(ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
別の前記課題を解決するための手段は、
(2) アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと下記式(1)に示すシリコン化合物とを含有することを特徴とするアルミナゾルである。
Figure 0006059563
(ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
さらに別の前記課題を解決するための手段は、
(3) 前記(2)に記載のアルミナゾルを基板上に塗布することにより形成された塗膜に、紫外線照射することを特徴とするアルミナ皮膜の製造方法である。
本発明に係るアルミナ皮膜は、アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと前記式(1)に示すシリコン化合物におけるR〜Rの少なくとも一つ及びR〜Rの少なくとも一つとが反応することにより、少なくとも二つのアルミナナノファイバーが架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを含有するので、鉛筆硬度7H以上である高硬度のアルミナ皮膜を提供することができる。
また、本発明によると、このようなアルミナ皮膜を提供することのできるアルミナゾルを提供することができる。
さらに、本発明によると、アルミナ皮膜を形成する基板が耐熱性に劣る材料で形成されていても、基板を劣化させることなくアルミナ皮膜を形成することのできるアルミナ皮膜の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたアルミナ皮膜をXPS分析して得られたSi2pスペクトルである。
[アルミナ皮膜]
この発明に係るアルミナ皮膜は、アルミナナノファイバー特にアルミナにおける水酸基と前記式(1)に示すシリコン化合物におけるR〜Rの少なくとも一つ及びR〜Rの少なくとも一つとが反応することにより、少なくとも二つのアルミナナノファイバーが架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを含有する。
Figure 0006059563
(ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
前記式(1)に示されるシリコン化合物は2つのSiを有し、これらのSiには3つの官能基R〜R及びR〜Rがそれぞれ結合している。アルミナナノファイバーの表面にはヒドロキシ基が存在する。架橋アルミナナノファイバーは、シリコン化合物における一方のSiに結合した官能基R〜Rの少なくとも一つとアルミナナノファイバーの表面に存在するヒドロキシ基とが反応し、また、シリコン化合物における他方のSiに結合した官能基R〜Rの少なくとも一つと別のアルミナナノファイバーの表面に存在するヒドロキシ基とが反応することで、2つのアルミナナノファイバーがシリコン化合物によって架橋されることにより、形成される。架橋アルミナナノファイバーは、あるアルミナナノファイバーと別のアルミナナノファイバーとが複数のシリコン化合物によって架橋されている態様、及びあるアルミナナノファイバー及び別のアルミナナノファイバーそれぞれがさらに別のアルミナナノファイバーと少なくとも一つのシリコン化合物によって架橋されている態様も含む。
この発明のアルミナ皮膜がシリコン化合物によって少なくとも二つのアルミナナノファイバーが架橋していることは、X線電子分光分析(ESCA又はXPS)装置を用いて、X線電子分光法によりアルミナ皮膜の表面のXPSスペクトルを測定することにより確認することができる。例えば、前記式(1)におけるAが鎖式飽和炭化水素基である場合には、Si2pスペクトルの結合エネルギーのピークトップが101.5〜103.0eVに存在することによってAl−O−Si−アルキル基(A)結合の存在を確認することができる。これによって、アルミナナノファイバーとシリコン化合物とがAl−O−Si−アルキル基(A)という結合で結合していることが分る。式(1)に示すシリコン化合物が炭化水素基Aの両端に反応性の高いシリコン含有基が結合していることから、式(1)に示すシリコン化合物の両端にアルミナナノファイバーが結合し、架橋アルミナナノファイバーを形成していることが分る。なお、Al−O−Si−アルキル基(A)結合に起因する結合エネルギーのピークが101.5〜103.0eVに存在することは、文献:E. Rismani, S. K. Shinha, H. Yang and C. S. Bhatia, Journal of Applied Physics, 111巻(2012年)084902に開示されている。
この発明のアルミナ皮膜は、このようにシリコン化合物によって架橋された架橋アルミナナノファイバーを含有し、緻密な網目構造を形成している。
この発明のアルミナ皮膜は、鉛筆硬度が7H以上という高硬度を有する。アルミナ皮膜の鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4に準拠して測定することができる。この発明のアルミナ皮膜が7H以上の鉛筆硬度という高い硬度を有するのは、アルミナナノファイバー同士がシリコン化合物で結合されて緻密な網目構造を形成しているからと考えられる。
このアルミナ皮膜は透明であり、透明であることは、目視によって確認することができる。
アルミナ皮膜の厚さは、用途に応じて適宜に設定することができ、通常、0.01μm以上1μm以下の範囲内である。
[アルミナゾル]
この発明に係るアルミナ皮膜は、この発明に係るアルミナゾルを用いて形成することができる。
アルミナゾルは、アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと下記式(1)に示すシリコン化合物とを含有する。
Figure 0006059563
(ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
アルミナナノファイバーは、平均繊維幅に対する平均繊維長の割合すなわちアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)が30〜5000である。アルミナナノバイファーのアスペクト比が前記範囲内にあると、架橋アルミナナノファイバーにより緻密な網目構造が形成され、鉛筆硬度が7H以上を有するアルミナ皮膜を提供することができる。一方、アスペクト比が30未満であるアルミナ、例えば、柱状及び粒子状のアルミナであると、緻密な網目構造が形成されずにアルミナ皮膜の鉛筆硬度が7Hより小さくなる。また、アスペクト比が5000を超えるアルミナナノファイバーであると、その合成に長時間を要し、製造コストが上昇し、製造効率が低下するなど操業上、経済上の不利を生ずる。
アルミナナノファイバーは、その平均繊維長が400〜7500nmであるのが好ましく、600〜3000nmであるのがより好ましい。アルミナナノファイバーは、その平均繊維幅が1〜15nmであるのが好ましい。アルミナナノファイバーが前記範囲の平均繊維長及び平均繊維幅を有していると、より高硬度のアルミナ皮膜を提供することができる。
ここで、アルミナナノファイバーの平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、商品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて倍率2500倍でアルミナナノファイバーを観察したときのアルミナナノファイバーの軸線長さを「アルミナナノファイバーの繊維長」として測定する。測定個数は300本とし、体積平均から算出した値を平均繊維長とする。一方、アルミナナノファイバーの平均繊維幅は、透過型電子顕微鏡(TEM、例えば、商品名「FEI−TECNAI−G20」、FEI社製)を用いて倍率71万倍でアルミナナノファイバーを観察したときの観察視野内におけるアルミナナノファイバーの最も太い部分を「アルミナナノファイバーの幅」として測定する。測定個数は300本とし、個数分布を作成して個数平均値を平均繊維幅とする。アルミナナノファイバーのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)は、このようにして算出される平均繊維長を平均繊維幅で除して算出する。
アルミナナノファイバーは、アルミナの繊維状結晶であり、具体的には、アルミナの無水和物で形成されたアルミナナノファイバー、水和物を含むアルミナで形成されたアルミナナノ水和物ファイバー等が挙げられる。
アルミナナノファイバーの結晶系には、ベーマイト及び擬ベーマイトがある。本発明において、アルミナナノファイバーが前記アスペクト比を有する限り、ベーマイト結晶系のアルミナナノファイバー及び擬ベーマイト結晶系のアルミナナノファイバーのいずれであってもよく、また、その結晶系がベーマイト及び/又は擬ベーマイトを主成分とし、他の結晶形を含む混合物であってもよい。
アルミナゾルに含まれるシリコン化合物は、前記式(1)で表される。
式(1)におけるAは、炭素数が1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜10である直鎖状又は分岐鎖状の、飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、鎖式炭化水素基であっても環式炭化水素基であってもよい。式(1)におけるAとしては、これらの中でも、炭素数が1〜20である直鎖状の飽和炭化水素基が特に好ましい。
鎖式飽和炭化水素基としては、鎖式飽和炭化水素の両端における水素原子をそれぞれ1個ずつ除いたアルキレン基を挙げることができる。前記鎖式飽和炭化水素は一般式C2n+2(nは1〜30)で示される直鎖状又は分岐状の鎖式飽和炭化水素であり、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等のアルカン、及びこれらの異性体を挙げることができる。
鎖式不飽和炭化水素基としては、二重結合及び三重結合を少なくとも1個含む鎖式不飽和炭化水素の両端における水素原子をそれぞれ1個ずつ除いた鎖式不飽和炭化水素基を挙げることができる。前記鎖式不飽和炭化水素は直鎖状又は分岐状の鎖式不飽和炭化水素であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デケン等のアルケン、アルカジエン、及びアルカトリエン等のアルカポリエン、アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン、オクチン、ノニン、デシン等のアルキン、アルカジイン、及びアルカトリイン等のアルカポリイン、アルカジエニン、アルカトリエニン等のアルカポリエニン、及びこれらの異性体を挙げることができる。
環式飽和炭化水素基としては、炭素原子が単結合だけで環状に結合した炭化水素を含む環式飽和炭化水素の両端における水素原子をそれぞれ1個ずつ除いた環式飽和炭化水素基を挙げることができる。前記環式飽和炭化水素は一般式C2n(nは1〜30)で示され、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等のシクロアルカン、及びこれらの異性体を挙げることができる。
環式不飽和炭化水素基としては、二重結合及び三重結合を少なくとも1個含む環式不飽和炭化水素の両端における水素原子をそれぞれ1個ずつ除いた環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。前記環式不飽和炭化水素は、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデケン等のシクロアルケン、シクロアルカジエン、シクロアルカトリエン、及びシクロアルカテトラエン等のシクロアルカポリエン、シクロアルキン、シクロアルカジイン、シクロアルカトリイン等のシクロアルカポリイン、及びこれらの異性体を挙げることができる。
式(1)におけるAは、例えば、上述した炭化水素基から任意に選択され、架橋アルミナナノファイバーを架橋するシリコン化合物はいずれも同じAを含んでいてもよいし異なるAを含んでいてもよい。もっとも、式(1)における好適なAとしては、鎖式飽和炭化水素の両端における水素原子をそれぞれ1個ずつ除いたアルキレン基を挙げることができ、特に好適なAは炭素数1〜30、特に炭素数5〜20のアルキレン基を挙げることができる。
前記式(1)におけるR〜R及びR〜Rは、それぞれアルミナナノファイバーの表面に存在するヒドロキシ基と反応して、シリコン化合物とアルミナナノファイバーとを結合させることのできる官能基を含んでいればよく、このような官能基としてアルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基を挙げることができる。R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜R及びR〜Rは、水素原子及びメチル基等の反応性の低い基を含んでいてもよいが、架橋アルミナナノファイバーを形成させ易いという点で、R〜Rそれぞれはいずれもアルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であるのが好ましい。なお、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。前記式(1)で示されるシリコン化合物は、その両端のSiに前記官能基が結合しているので、前記官能基と前述したアルミナナノファイバーの表面にあるヒドロキシ基とが反応し、少なくとも2つのアルミナナノファイバーが架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを形成することができる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロトキシ基、ブトキシ基等の炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルコキシ基を挙げることができる。ハロゲン基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等を挙げることができる。
シリコン化合物の具体例として、例えば、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,5−ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,7−ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリエトキシシリル)デカン、1,12−ビス(トリエトキシシリル)ドデカン、1,14−ビス(トリエトキシシリル)テトラデカン、1,22−ビス(トリエトキシシリル)ドコサン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のビス(トリアルコキシシリル)アルカン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,8−ビス(トリクロロシリル)オクタン等のビス(トリハロシリル)アルカン、1,2−ビス(クロロジメトキシシリル)エタン等のビス(ハロジアルコキシシリル)アルカン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エテン等のビス(トリエトキシシリル)アルケン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)−3,5−オクタジエン等のビス(トリエトキシシリル)アルカジエン等を挙げることができる。
この発明のアルミナゾルは、例えば以下のようにして調製することができる。
まず、前述したアルミナナノファイバーを含有するナノファイバー状アルミナゾルを調製する。ナノファイバー状アルミナゾルは、30〜5000のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)を有するアルミナナノファイバーを溶液中、例えば水中に分散したゾルを形成させることのできる方法で調製することができ、その一例として、酸水溶液中で加水分解性アルミニウム化合物を加水分解し、次いで、解膠して調製する方法(以下において、ゾル調製方法と称することがある。)が挙げられる。ナノファイバー状アルミナゾルの固形分濃度は、0.1〜20質量%に調整することが好ましい。
また、アルミナゾル中のアルミナナノファイバーのアスペクト比は、このゾル調製方法において、加水分解の反応条件及び解膠の処理条件を適宜変更することにより、調製することができる。
次いで、このナノファイバー状アルミナゾルに式(1)に示すシリコン化合物を添加して、アルミナナノファイバーと前記シリコン化合物とを含有するアルミナゾルを調整する。
このとき、前記シリコン化合物を有機溶媒に溶解し、前記シリコン化合物を含有するシリコン化合物溶液を調製してから、このシリコン化合物溶液とナノファイバー状アルミナゾルとを混合するのがよい。
前記ナノファイバー状アルミナゾルと混合される前記シリコン化合物は、前記式(1)で表されるシリコン化合物からその1種又は2種以上を選択することができる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類等を挙げることができる。
シリコン化合物と有機溶媒との混合割合は、任意で良い。
この発明のアルミナゾルは、例えばナノファイバー状アルミナゾルとシリコン化合物溶液とを混合し、例えば三口フラスコ中で30〜80℃で0.5〜5時間加熱しつつ撹拌することにより、調製することができる。このとき、ナノファイバー状アルミナゾルとシリコン化合物溶液との混合割合は、Al:Si=1:0.01〜5(モル比)となるように調整されるのが好ましい。ナノファイバー状アルミナゾルとシリコン化合物溶液との混合割合を前記範囲内にすることにより、アルミナナノファイバーをシリコン化合物で容易に架橋することができる。
この発明のアルミナゾルは、このアルミナゾルを塗布する基板の材質によって腐食等の影響を与えることがあるので、必要に応じてpH調整試薬を含有させることにより、この発明のアルミナゾルのpHを中性又はアルカリ性に調整してもよい。アルミナゾルのpHを調整するpH調整試薬として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはアンモニア、又は、エチレンアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、尿素等の有機アミン類等を挙げることができる。これらの中でも、pH調整試薬は、アルミナ皮膜中に残存し難く、高純度のアルミナ皮膜を製造できる点で、有機アミン類が好ましい。
このようにして、この発明のアルミナゾルを得ることができる。このアルミナゾルは、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)が30〜5000、好ましくは平均繊維幅が1〜15nmで平均繊維長が400〜7500nmであるアルミナナノファイバー、及び前記式(1)に示すシリコン化合物を含有する。
なお、この発明のアルミナゾルは、加熱することにより、アルミナゾルに含有されている一部のアルミナナノファイバーと前記式(1)に示される一部のシリコン化合物とを反応させて生成する架橋アルミナナノファイバーを含有していても良い。
[アルミナ皮膜の製造]
この発明のアルミナ皮膜は、例えば以下のようにして製造することができる。
この発明のアルミナ皮膜は、前記アルミナゾルを基板上に塗布することにより形成された塗布膜を、紫外線照射により硬化することにより製造することができる。
前記基板としては、特に制限はないが、7H以上の鉛筆硬度を付与することが要求される基板を挙げることができる。また、この発明のアルミナ皮膜は、耐熱性の劣る基板の表面に形成することもできる。
前記基板として、具体的には、携帯電話及びパソコン等の画面、時計の表示部、眼鏡、望遠鏡、及び双眼鏡等のレンズ等を挙げることができる。基板を形成する材料として、例えば、ガラス、金属、セラミックス、プラスチック等を挙げることができる。前記ガラスとしては、例えば、石英ガラス、96%石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、鉛ガラス等のガラスを挙げることができる。前記プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。
前記アルミナゾルは、基板表面に塗付する前に、適当量の水を加えることによりその粘度を適宜に調整することができる。例えば、固形分の含有量が5質量%のアルミナゾル100gに対して水を10〜2000g加えることにより、塗布方法に応じて最適とされる粘度を有する塗布液としてのアルミナゾルを調製することができる。粘度を適切に調節することにより、均一な所望の厚さの塗布膜を容易に形成することのできる塗布液を得ることができる。
この発明においては、前記塗布液を基板表面に塗布し、次いで、得られた塗布膜を硬化処理することによりアルミナ皮膜が形成される。塗布液を基板表面に塗付する前に、基板表面を清浄化することが好ましい。基板表面を清浄化することにより、塗布液のはじきを生じることなく均一な塗布膜を形成することができる。
この清浄化の手段としては、例えば、基板がガラスの場合は、洗剤、特に中性洗剤を用いて洗浄処理する手段を挙げることができ、基板が金属の場合は、脱脂剤含有液に浸漬処理する手段を挙げることができる。
前記脱脂剤含有液における脱脂剤としては、塩基性の化合物を含有する脱脂剤が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、硼酸ナトリウム等を挙げることができる。
基板表面に塗布液を塗布する方法としては、例えば、塗布液を基板に浸漬した後、これを緩やかに引き上げるディップ法、固定された基板表面上に適宜の方法によって塗布液を流延する流延法、塗布液を貯留した槽の一端から塗布液中に基板を浸漬し、前記槽の他端から基板を取り出す連続法、回転する基板上に塗布液を滴下し、基板に作用する遠心力によって塗布液を基板上に流延するスピンナー法、基板の表面に塗布液を吹き付けるスプレー法等を挙げることができる。
塗布液の塗布量は、塗布液の粘度、その他の条件により一律ではない。1回の塗布では目的の厚さのアルミナ皮膜が得られない場合には、数回の塗布を繰り返すこともできる。
前記の各種方法によって基板表面に塗布液が塗布された塗布膜を、必要に応じて乾燥した後、硬化処理することにより、アルミナ皮膜が形成される。硬化処理としては、紫外線照射処理を挙げることができる。基板が耐熱性に劣る材料により形成されている場合には、紫外線照射処理のみで塗布膜を硬化させることができるので、基板を劣化させることなく高硬度のアルミナ皮膜を形成することができる。なお、基板が耐熱性を有する場合には、塗布膜に紫外線照射処理をしつつ加熱処理をしてもよく、また紫外線照射をせずに加熱処理だけをしてもよい。
アルミナ皮膜を形成するための紫外線照射処理の条件は、特に制限はないが、照射する紫外線の光源としては、高圧水銀灯又は低圧水銀灯を使用することができ、これらの水銀灯を使用すると、適切な強度の紫外線を廉価に照射することができる。照射時間は、1分〜1時間で十分である。また、照射する紫外線の強度は任意である。
このようにして、この発明に係るアルミナゾルを基板上に塗布し、得られた塗布膜を紫外線照射処理により硬化するという簡便な工程で、透明で、鉛筆硬度が7H以上という高硬度のアルミナ皮膜を作製することができる。このアルミナ皮膜は、アルミナナノファイバーをシリコン化合物で架橋してなる架橋アルミノナノファイバーを有するので、高硬度になっていると考えられる。それに対して、シリコン化合物で架橋されずにフリーの状態で存在するアルミノナノファイバーを含有するアルミナゾルを硬化してなるアルミナ皮膜は、アルミナナノファイバーの表面が活性化されても、隣接するファイバー同士の相互作用が働き難く、その結果、ファイバー同士の結合が生じないので、架橋剤を含有することなくアルミノナノファイバーを含有するアルミナゾルにより形成されたアルミナ皮膜の硬度は高くならない。
なお、この発明に係るアルミナ皮膜の製造方法においては、前記アルミナナノファイバーと式(1)で示される特定のシリコン化合物とを含有するアルミナゾルを加熱することなく、そのアルミナゾルを基材表面に塗工することにより得られる塗布膜に紫外線を照射することによりアルミナ皮膜を形成してもよく、また前記アルミナゾルを加熱することにより、一部のアルミナナノファイバーをシリコン化合物で架橋させてなる架橋アルミナナノファイバを含有するアルミナゾルを基材表面に塗工することにより得られる塗布膜に紫外線を照射することによりアルミナ皮膜を形成しても良い。
この発明のアルミナ皮膜は、透明性を有すると共に鉛筆硬度が7H以上という高硬度を有するので、各種部材の外観を損なうことなく、傷を防止する保護膜として好適に使用することができる。また、この発明のアルミナ皮膜は、製造工程において、加熱処理することなく紫外線照射処理だけで高硬度を発現するので、耐熱性に劣る材料により形成された部材の保護膜として好適に使用することができる。
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、以下の実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
(実施例1)
フラスコに、イオン交換水300g、酢酸6.2g(0.1mol)を取り、撹拌しながら液温を75℃に上昇させた。これにアルミニウムイソプロポキシド68g(0.34mol)を滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出させたのち、反応液をオートクレーブに移し、120℃で3時間反応を行った。反応液を40℃以下に冷却し、反応を終了した。得られたアルミナゾルに含有されているアルミナを前記のようにして透過型顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、平均繊維長が1400nmであり、平均繊維幅が4nmであり、アスペクト比が350であり、Alの含有量が4.8質量%であるアルミナナノファイバーが分散していた。
得られたアルミナゾル1.0gに純水 9.0gを混合し、調製アルミナゾルとした。
シリコン化合物として1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン(以下においてTSOと称する。)をエタノールに添加し、全質量に対してTSOが2質量%のTSOエタノール溶液を調製し、前記調製アルミナゾル10gにTSOエタノール溶液2.12gを加え、50℃で3時間加熱及び撹拌して、架橋アルミナナノファイバーを含有するアルミナゾルを作製した。
前記アルミナゾルを、中性洗剤及び純水で洗浄した後に風乾させた無アルカリガラス基板(AF−45、ショット社製)にスピンナー法(500rpmで5秒間、その後2000rpmで30秒間)で塗布することにより、塗布膜を得た。
この塗布膜に高圧水銀灯(H1000L、東芝ライテック株式会社製)を用いて紫外線を10分間照射して、アルミナ皮膜を作製した。
(実施例2)
アルミナゾル1.0gに代えて、アルミナゾル3.0gを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
(実施例3)
TSOエタノール溶液2.12gに代えて、TSOエタノール溶液4.24gを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
(実施例4)
TSOエタノール溶液2.12gに代えて、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(以下においてTHOと称する。)をエタノールに添加することにより調整された、全質量に対して2質量%のTHOを含有するTHOエタノール溶液3.20gを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
(実施例5)
TSOエタノール溶液2.12gに代えて、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(以下においてTEOと称する。)をエタノールに添加することにより調整された、全質量に対して2質量%のTEOを含有するTEOエタノール溶液4.10gを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
(比較例1)
シリコン化合物を用いずに、実施例1における調製アルミナゾルを塗布液として無アルカリガラス基板に塗布膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
(比較例2)
TSOエタノール溶液2.12gに代えて、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをエタノールに添加することにより調整された2質量%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランエタノール溶液2.28gを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ皮膜を作製した。
[鉛筆硬度の測定]
得られたアルミナ皮膜の鉛筆硬度は、鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(株式会社東洋精機製作所製、P−TYPE)を用いて測定した。測定方法は、鉛筆硬度試験JIS K 5600−5−4に準じて測定した。6B〜9Hの硬さの鉛筆をアルミナ皮膜に対して角度45°、荷重750gで押し付けて、7mm以上の距離を3本走査した。肉眼でアルミナ皮膜の表面を検査し、少なくとも3mm以上の傷跡が2本生じるまで、硬度を上げて試験を繰り返した。傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を、そのアルミナ皮膜の鉛筆硬度とした。結果を表1に示す。
[外観]
得られたアルミナ皮膜の外観は、目視により調べた。
Figure 0006059563
[XPSスペクトルの測定]
実施例1及び比較例1でそれぞれ作製したアルミナ皮膜のXPSスペクトルを、複合型電子分光分析装置(アルバック・ファイ株式会社製、PHI ESCA−5800)を用いて測定し、Si2pスペクトルを観測した。
実施例1のアルミナ皮膜では、101.7eVにピークを示すSi2pスペクトルが観測された。
比較例1のアルミナ皮膜では、Si2pスペクトルが観測されなかった。
実施例1のアルミナ皮膜のXPSスペクトルをカーブ解析し、結合エネルギーが既知である標準試料のXPSスペクトルを用いて結合状態を調べた。その結果を図1に示す。カーブ解析の結果、101.9eVにAl−O−Si−アルキル基に起因するピークが得られた。この結果から、実施例1のアルミナ皮膜には、Al−O−Si−アルキル基結合の存在することが示され、これによってアルミナナノファイバーとシリコン化合物とが結合していることが分る。実施例1で使用したシリコン化合物がオクタンの両端にトリエトキシシリルという反応性の高いシリコン含有基が結合していることから、シリコン化合物の両端にアルミナナノファイバーが結合していることが分る。
実施例のアルミナ皮膜はいずれも鉛筆硬度9H以上という高い硬度を有するのに対し、比較例のアルミナ皮膜はいずれも鉛筆硬度5H以下であり、実施例のアルミナ皮膜に比べて硬度が低かった。実施例及び比較例のアルミナ皮膜はいずれも無色透明であった。

Claims (3)

  1. アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと下記式(1)に示すシリコン化合物におけるR〜Rの少なくとも一つ及びR〜Rの少なくとも一つとが反応することにより、少なくとも二つのアルミナナノファイバーが架橋されてなる架橋アルミナナノファイバーを含有することを特徴とするアルミナ皮膜。
    Figure 0006059563
    (ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
  2. アスペクト比が30〜5000であるアルミナナノファイバーと下記式(1)に示すシリコン化合物とを含有することを特徴とするアルミナゾル。
    Figure 0006059563
    (ただし、R〜R及びR〜Rそれぞれの少なくとも一つは、アルコキシ基、ハロゲン基、又はヒドロキシ基であり、R〜Rそれぞれは同じであっても異なってもよい。Aは、炭素数1〜30の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基)
  3. 請求項2に記載のアルミナゾルを基板上に塗布することにより形成された塗布膜に、紫外線照射することを特徴とするアルミナ皮膜の製造方法。
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