JP6059148B2 - 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法 - Google Patents

活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6059148B2
JP6059148B2 JP2013532438A JP2013532438A JP6059148B2 JP 6059148 B2 JP6059148 B2 JP 6059148B2 JP 2013532438 A JP2013532438 A JP 2013532438A JP 2013532438 A JP2013532438 A JP 2013532438A JP 6059148 B2 JP6059148 B2 JP 6059148B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active oxygen
amount
surface treatment
oxygen
vibrator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013532438A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013035304A1 (ja
Inventor
野田 和俊
和俊 野田
暁 岩森
暁 岩森
木下 忍
忍 木下
岩崎 達行
達行 岩崎
潔 吉野
潔 吉野
裕之 松本
裕之 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwasaki Denki KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tokai University Educational Systems
Original Assignee
Iwasaki Denki KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Tokai University Educational Systems
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Iwasaki Denki KK, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Tokai University Educational Systems filed Critical Iwasaki Denki KK
Publication of JPWO2013035304A1 publication Critical patent/JPWO2013035304A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6059148B2 publication Critical patent/JP6059148B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N29/00Investigating or analysing materials by the use of ultrasonic, sonic or infrasonic waves; Visualisation of the interior of objects by transmitting ultrasonic or sonic waves through the object
    • G01N29/02Analysing fluids
    • G01N29/022Fluid sensors based on microsensors, e.g. quartz crystal-microbalance [QCM], surface acoustic wave [SAW] devices, tuning forks, cantilevers, flexural plate wave [FPW] devices

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法に関する。
近年、活性酸素を利用し、殺菌などの処理をする装置及び方法に対するニーズが高まっている。これを利用する測定装置又は製造装置内に取り込まれている製造システムに対するニーズも高い。従来では、活性酸素を利用した殺菌方法といった物品の殺菌方法に対する関心が寄せられていた。現在では充填時の食品および包材の殺菌、または医療器具類等の表面殺菌処理などといった殺菌に留まらず、他の製造方法などと組み合わせた、より高次元の製造システムを含むものに対する関心も高まっている。高度な加工を行う装置内で殺菌方法およびその利用方法といった点の重要性が指摘されている。殺菌方法に限らず、医療用器具の洗浄では、洗浄の際にその一部に殺菌工程が設けられる。逆に、洗浄することに着目して、液晶ガラス基板のドライ洗浄(水洗前工程)、半導体シリコンによる酸化膜の形成などの技術がある。これらの装置や方法では、周到な条件設定が要求され、条件設定を忠実に行うためのプロセスコントロールが必要とされる。これを的確に行うための手段として、反応条件の内容を十分に把握するための処理装置及び処理方法が必要となる。本発明者らの知るところ、このような理想的な装置及び方法は完成されるに至っていない。
以下に技術背景として、これらの点を概観する。
活性酸素を用いた殺菌及び表面処理の従来の技術については、例えば、以下の特許文献が参照される。特許文献1の方法は、紫外線の照射に伴って発生するオゾンの濃度の変化に対応させて、紫外線の露光量を制御して一定に保つ。この場合のオゾン濃度は照射処理装置内部のオゾン濃度であって、実際に紫外線の照射に伴って発生する部分でのオゾン濃度ではない。オゾン濃度計のサンプリングポイントは光源の直下に配置され、排気用ダクトの内部に設置される。特許文献2の方法は、装置本体内に配置した波長200〜300nmの紫外線を有効に放射する紫外線ランプと該装置本体とは独立して設置したオゾン生成装置からなり、オゾン生成装置から供給されるオゾン雰囲気中において、被処理物に主として波長254nmの紫外光を照射することにより、活性酸素を生成して被処理物の表面が処理される。この場合には測定手段そのものが存在しないことが注目される。特許文献3の方法においても処理対象物から離れて測定手段が設置されてきた。
いずれの方法においても、活性酸素を用いる表面処理において、処理室全体のオゾン濃度を測定することに重点がある。表面処理を行う場合には、表面の状態を観察しながら、処理を進めることが要請される。従来、処理対象物の表面を直接測定してオゾン量を測定するということは行われていない。これは、適切な測定手段がないことによると考えられる。
十分な量の活性酸素により、医療福祉分野等で求められている高い殺菌レベルの処理を短時間で行うことができる活性酸素殺菌装置及び活性酸素殺菌方法を提供することを目的とした装置が開発されている(特許文献10参照)。
この活性酸素殺菌装置は、紫外線が直接届く範囲にある表面の殺菌を行うことができるだけでなく、活性酸素を使用するので、袋状被処理物の内側まで殺菌することができる。しかしながら、従来の活性酸素殺菌装置では、例えば、袋内に収納された医療器具を、医療福祉分野で求められる高い殺菌レベルまで殺菌する場合、袋内に十分な量の活性酸素を入り込ませることができず、このため殺菌処理に時間がかかるという問題があった。
そこで、十分な量の活性酸素により、医療福祉分野等で求められている高い殺菌レベルの処理を短時間で行うことができる活性酸素殺菌装置及び活性酸素殺菌方法を提供することが要求されていた。この装置においては、活性酸素測定装置は設置されておらず、その点で、使用が限定的となると考えられる。この活性酸素により被処理物の付着菌を殺菌する装置は、処理室内に酸素を含む気体を供給する酸素供給手段と、処理室内の圧力を減ずる減圧手段と、処理室内を冷却する冷却手段とを具備し、減圧手段により処理室内を減圧状態にした後に、気体を処理室内に供給し、且つ冷却手段を用いて処理室内の温度を制御して活性酸素による殺菌処理を行う。また、活性酸素種を測定する箇所が、被処理基材が配置される場所から離れていることが通常であり、このようなプロセスでは、計測した活性酸素量を被処理基材周辺の活性酸素量と等しく見なすことが困難であるとされてきた(特許文献4、特に段落0006参照)。
特許文献4は、活性酸素種を生成する装置により処理される被処理基材周辺の活性酸素種量を反映し、上記装置により生成された活性酸素種を検出する活性酸素種の検出方法により活性酸素種を捕捉する活性酸素種捕捉体として、銀を主成分として含有する金属板又は金属薄膜を有する。同文献の方法は、活性酸素種を、その表面または表層部で捕捉する活性酸素種捕捉体を用い、活性酸素種捕捉体の表面ないし表層部で活性酸素種を捕捉して該活性酸素種捕捉体との酸化反応により酸化銀を生成させた後に、活性酸素種捕捉体により生成した酸化銀を窒素雰囲気下でアンモニア水溶液に溶解させて銀を含む溶液を得る。そして、同文献の方法は、得られた溶液に対し、ICP発光分光分析法を用いて銀の量を計測することにより、活性酸素種捕捉体が捕捉した活性酸素種を定量化する。同文献の方法によれば、被処理対象物の表面を直接測定することができるように考えられるが、実際には、活性酸素捕捉体に後処理を施し、そこで得られた溶液をさらに分析する必要があるため、その場での活性酸素作用量の直接の測定は難しい。
結論として、被処理対象物の表面への純粋な作用量を測定するための具体的な手法が提案されておらず、工業的に利用可能な態様では同手法は確立されていない。
本発明者らは、特許文献5において、対象物の近くに設置して活性酸素量を測定できる手段として、活性酸素量を正確に測定できる方法を提案するとともに、存在する活性酸素との反応によって質量が変化する層(炭素同素体の薄膜)を有する振動子を用いる活性酸素の測定方法を提案した。この方法では、活性酸素の反応による検出層の質量変化量を周波数変化量として測定してモニタする。
上記のように多岐にわたる成分を含む活性酸素は、活性酸素を利用する装置内の温度、湿度、圧力変動等の外乱の影響を大きく受けるとされている。しかし、外乱による影響自体の測定は困難である。
この他にも水晶振動子を用いる水晶発振器を利用した正確な測定方法が提案されている。水晶振動子を用いる測定方法として、比較対象の条件となる温度を測定し、温度の相違による影響を排除して特定成分を正確に測定することが知られている(特許文献6)。また、温度変化という外乱の影響を排除する水晶微小天秤が提案される。水晶片に弾性的な境界層を設け、水晶片を互いに独立して振動する第1の振動領域と第2の振動領域とに分割し、これら第1の振動領域及び第2の振動領域に各々電極を設けて第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子を構成し、水晶の温度特性を改善する(特許文献7)。前者の方法は、発振回路からなる発振部として第1の発振部1Aと第2の発振部1BのABの2つを用い、これら発振部1A、1Bからの発振周波数の差を取り出しその周波数差の周波数信号を出力する。例えばヘテロダイン検波器2が設けられる。第1の発振部1Aの共振周波数は、第2の発振部1Bの共振周波数とは異なり、かつその周波数温度特性は、第2の発振部1Bの周波数温度特性と揃っている。これにより他の影響を排除しつつ測定を進める。これらは成分の変動が少ない場合や残す成分と影響を削除する成分が明確である場合には有効であると考えられる。しかしながら、何れの方法も温度以外の外乱の影響、例えば湿度や圧力変動等の外乱の排除という観点はなかった。また、後者の方法では物理的に水晶片に追加工を施す必要があり、高コストであるという欠点があった。
個別の成分に応じて得られる結果に基づいて測定することは、特許文献8により知られている。この方法では、測定装置の大型化が避けられず、計算の手間も膨大なものとなる。単純な方法として、特許文献9の方法が知られている。
現状では、反応による検出層の質量変化量を周波数変化量として測定してモニタする方法(特許文献5等)を考慮しても、多成分を含む活性酸素について前記の方法を用いた場合の取り扱い、及び変化する温度、圧力及び成分の相違による外乱をどのようにして排除するかということが明らかではない。
長年にわたり水晶微小天秤を用いた気相検出方法の研究に取り組んできた本発明者らは、従来の水晶微小天秤を用いた気相検出方法では、気相の表面への作用量を正確に測定するということを重点に研究を進めてきた。この分野では、むしろ、その生成量を安定化させ、継続して安定した状態を保ちながら反応を継続することを目指す能動的なセンシングを行うことが現在必要とされていると考えられている。多くの実用化された活性酸素表面処理プロセスでは、例えば、投入電力や圧力、導入ガスの流量といった物理量の計測値を常時監視していても、処理結果にばらつきが多く、歩留まりが向上しないという課題を有していた。これは、上記の物理量計測だけでは補完できない因子の影響によって、活性酸素の生成・作用量が変動していることを示唆している。
多種の成分を含む活性酸素は、個々の成分による温度、湿度、圧力変動といった因子が外乱として大きく影響し、純粋な活性酸素作用量のみならず、これら外乱の影響によって、水晶振動子の共振周波数が変動し、活性酸素作用による共振周波数の変化量が過大又は過小評価される。その結果、検出誤差が大きくなることが問題となる。測定値を得られたからといって、この測定結果が直ちに活性酸素の状態をさすものではないことに注意しなければならない。
活性酸素による処理を検討する上では主要成分による活性酸素作用量のほかに、多種の成分を含む活性酸素は、活性酸素を利用する装置内の温度、湿度、圧力変動について、外乱として影響することが大きいとされている。その結果、見かけの活性酸素による作用量を含んだ状態で測定が行われる。この結果、実際に使用された活性酸素作用量のみを測定することが、活性酸素による表面処理を行う上で必要となる。その結果に基づいて安定した状態で処理を進めることが必要とされている。この問題を解決することが喫緊の課題となっている。
特開平8−332371号公報 特開平11−90370号公報 特開2000−246200号公報 特開2009−133710号公報 特開2009−098133号公報 特開2006−033195号公報 特開58−166808号公報 特開平6−241972号公報 特開2001−83154号公報 特開2006−20669号公報
本発明の第1の課題は、活性酸素による表面処理において、活性酸素表面作用量を正確に測定することにある。即ち、実際に必要とされる活性酸素による作用量を求め、その結果より活性酸素による表面処理を一定の条件下に行うことを可能にすることを課題の1つとする。ところで、活性酸素の表面処理に際しては実際に必要とされる活性酸素による作用量を求めること自体が未解決である。そこで、測定方法を開発するにあたっては、水晶振動子を利用した活性酸素との反応による検出層の質量変化量を周波数変化量として測定する方法(特許文献5)を用いることが、最も有効であると考え、この方法に更に新たな方法を採用して、新しい方法を確立し、その結果、活性酸素の表面処理に必要とされる活性酸素による作用量を求める装置及び方法を提供する。
本発明の第2の課題は、活性酸素の表面処理方法に、実際に必要とされる活性酸素の作用量を算出し、その結果、最も有効な処理条件下に活性酸素による表面処理を進めるとともに、得られた活性酸素量を使用する条件を活性酸素の表面処理の条件としてフィードバックして、良好な条件下に連続的に処理を進める装置及び方法を提供することである。
本発明の活性酸素量測定装置は、活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う活性酸素表面処理装置において使用される。活性酸素量測定装置は、被処理対象物の近傍に配置される第1の振動子を有し、活性酸素作用量に基づく第1の振動子における質量変化を第1の周波数変化量として出力する第1のセンサ、被処理対象物の近傍に配置される第2の振動子を有し、温度、湿度又は圧力の変化に起因する外乱に基づく第2の振動子における質量変化を第2の周波数変化量として出力する第2のセンサ、及び第1の周波数変化量と第2の周波数変化量の差分を演算し、差分を実際の活性酸素作用量による周波数変化量として特定するように構成された測定部を備える。
本発明の活性酸素量測定装置は、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種である活性酸素を、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマの何れかの処理又はこれらの複合処理によって生成させ、生成された活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う表面処理部、及び上記の活性酸素量測定装置を備える。
本発明の活性酸素量測定方法は、活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う活性酸素表面処理装置において使用される。活性酸素量測定方法は、被処理対象物の近傍に配置される第1の振動子によって、活性酸素作用量に基づく第1の振動子における質量変化を第1の周波数変化量として出力するステップ、被処理対象物の近傍に配置される第2の振動子によって、温度、湿度又は圧力の変化に起因する外乱に基づく第2の振動子における質量変化を第2の周波数変化量として出力するステップ、及び第1の周波数変化量と第2の周波数変化量の差分を演算し、差分を実際の活性酸素作用量による周波数変化量として特定するステップを備える。
本発明の活性酸素表面処理方法は、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種である活性酸素を、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマの何れかの処理又はこれらの複合処理によって生成させ、生成された活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行うステップ、及び上記の活性酸素量測定方法を備える。
上記において、第1の振動子は、活性酸素と反応する炭素化合物又は有機薄膜の層を含み、第2の振動子は、活性酸素に不活性な無機物質の層を含む。
上記において、第1及び第2の振動子は水晶振動子又は弾性表面波素子である。
また、特定された前記実際の活性酸素作用量による周波数変化量が、表面処理部に供給される酸素量又は活性酸素生成の処理のための供給電力にフィードバックされるようにしてもよい。
本発明によれば、活性酸素に関与する物質による質量変化を算出し、見かけ上の活性酸素に作用する作用量を算出し、次に、表面処理に伴う、温度、湿度および圧力変動をとなる外乱となるプロセス変動による活性酸素作用量を排除して、純粋な活性酸素表面作用量のみを算出できる。
また、その算出結果により得られる値を活性酸素生成装置側にフィードバックすることにより、活性酸素による表面処理操作を、常時安定した状態として活性酸素を供給する条件下に行うことができる。また、得られる製品は良好な処理を施されるので、歩留まりを向上できる。
本発明の活性酸素の測定手段を搭載した活性酸素表面処理装置の一例を示す図である。 本発明の表面処理に用いられる活性酸素作用量を、質量変化として測定して見かけの活性酸素量を測定するセンサである水晶振動子および活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化による外乱を測定するセンサである水晶振動子の一例を示す図である。 本発明の活性酸素表面処理装置による表面処理状況を図示したプロセスチャート図の一例である。 本発明の活性酸素処理装置における活性酸素によるフィードバック回路との接続状態の一例を示す図である。 本発明の活性酸素による測定結果である差分演算の結果を示した一例の図である。
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の活性酸素の測定手段を搭載した活性酸素表面処理装置(活性酸素殺菌装置)の一例を、図1を用いて説明する。なお、活性酸素は、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種であって、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマの何れかの処理、またはこれら複合処理で生成される。
活性酸素表面処理装置1(以下、「処理装置1」という)は、被処理対象物6を処理するための処理手段を有する。
処理装置1には、酸素を含んだガスを供給する酸素供給口2を経て酸素供給装置(不図示)が接続されている。酸素供給口2には、ガスの流量(注入速度)を制御するマスフローコントローラ3が設置されている。これにより一定量の酸素が供給される。
処理装置1内には、活性酸素生成用ランプ4(以下、「ランプ4」という)が設置されている。ランプ4により、酸素供給装置より供給される酸素に紫外線を照射することにより活性酸素が生成される。
処理装置1はさらに、ランプ4、処理装置1内にガスを循環させる送風ファン、処理装置1内を減圧する真空ポンプ(減圧手段)、オゾン分解触媒、処理装置1内を冷却する冷却装置(冷却手段)、冷却用配管、処理装置1内を加湿する加湿装置、被処理対象物6が載置される処理台、処理装置1内の温度と湿度を制御する制御部(制御手段)、処理装置1内の温度を検出する温度センサ(温度検出手段)、及び処理装置1内の湿度を検出する湿度センサ(湿度検出手段)を備える(いずれも図示せず)。処理装置1は、内部の気体を系外に排出する排出装置(排気ポンプ)5を有する。生成された活性酸素により、処理装置1内に置かれている被処理対象物6の活性酸素処理が行われる。
被処理対象物6に近接した場所に、表面処理に用いられる活性酸素作用量を、質量変化として測定することにより見かけの活性酸素量を測定するセンサIが設けられ、センサIは、第一の水晶振動子20を有する水晶微小天秤(Quartz Crystal Microbarance:QCM)7からなる。センサIに対して、外部条件の変動による質量変化を測定するセンサIIが並置される。センサIIは、第二の水晶振動子20を有する水晶微小天秤(QCM)8からなる。センサI及びセンサIIは活性酸素モニタを構成する。
(1)本発明で例示する処理装置1は、ランプ4からの紫外線を酸素に照射して、酸素を活性酸素に変化させて、活性酸素を被処理対象物6の表面に供給して、表面処理を行う構成、即ち、表面処理部を有する。
(2)装置1は、表面処理部の近傍に活性酸素の被処理対象物6に対する作用量を質量変化として測定するセンサI及びIIの水晶振動子20による測定結果を算出する手段(発振/周波数カウンタ回路42、差分演算回路43)を備える活性酸素量測定装置41を内蔵している。
(3)その結果、活性酸素による作用量が測定される。
本発明で例示する活性酸素による処理装置1は、外部の酸素供給装置から酸素を供給する酸素供給口2及び内部で発生するガスを含む空気を外部に排出する排出するガス排出口(排出装置5)、ランプ4からの紫外線を酸素に照射して、酸素を活性酸素に変化させて、活性酸素を被処理対象物6の表面に供給して表面処理を行う表面処理部、並びに表面処理部の近傍に配置され、処理対象物6に対する作用量を質量変化として測定するセンサI、IIの水晶振動子20、及び水晶振動子20に接続され、測定結果を算出する手段(発振/周波数カウンタ回路42、差分演算回路43)を備える活性酸素量測定装置41を組み合わせている。しかし、活性酸素生成源としてはこの限りでなく、例えば、減圧雰囲気又は大気圧雰囲気の放電プラズマによって活性酸素を被処理物表面に作用させる装置としてもよい。結果として、活性酸素処理に使用される活性酸素量を測定することができる。
表面処理部の近傍とは、平面だけではなくて、空間配置として近傍にあることを意味している。これは経験に基づいて定めることができる。
前述したように、ランプ4および処理装置1内には、送風を循環させるための送風ファン、処理装置1内を減圧する真空ポンプ(減圧手段)、オゾン分解触媒、処理装置1内を冷却する冷却装置(冷却手段)、冷却用配管、処理装置1内を加湿する加湿装置、被処理物を載置する処理台、チャンバー内の温度と湿度を制御する制御部(制御手段)、処理装置1内の温度を検出する温度センサ(温度検出手段)、処理装置1内の湿度を検出する湿度センサ(湿度検出手段)が取り付けられる。
本発明で例示した実際に用いる活性酸素の反応は以下のとおりである。
活性酸素を発生させる反応は以下の通り示される。活性酸素処理は活性酸素殺菌を示す。通常、ランプ4には、紫外線である波長184.9nmおよび253.7nmの水銀輝線を放射する低圧水銀ランプが用いられる。
紫外線処理を処理装置1内で行うことにより、紫外線が導入される酸素分子に吸収されて、オゾン(O)および、その解離生成物である励起一重項の原子状酸素(O(D))、分子状酸素(O(aΔg))がそれぞれ活性酸素として生成される。これらの活性酸素によって処理台に載置した被処理物6の表面に殺菌処理が施される。
反応は以下に示される。
図2に示すように、活性酸素量測定装置41は、水晶微小天秤7(センサI)及び水晶微小天秤8(センサII)を備える。
センサIは、活性酸素と接触して質量変化を生ずることによる質量変化を測定する見かけの活性酸素量を測定するセンサである。センサIは振動子20及び活性酸素検出層21を備え、活性酸素検出層21の表面が活性酸素暴露面30を形成する。ここで、振動子20は水晶振動子又は弾性表面波素子であればよい。本発明でいう弾性表面波素子には、市販のSAW(Surface Acoustic Wave)デバイスが好適に用いられ、水晶振動子と同等の効果を得ることができる。活性酸素検出層21は有機薄膜からなり、表面処理に用いられる活性酸素作用量を、質量変化として測定できる。活性酸素検出層21では、測定対象となる活性酸素(気体)の表面作用によって質量の変化が生じる。
図4に示すように、水晶微小天秤7(センサI)には、振動子20による質量変化を周波数変化量として算出する測定部42が接続されている。これは活性酸素による変化の他に処理条件である温度、湿度および圧力変化による外乱となる成分による質量変化を含む結果となっている。その意味では本発明で求める活性酸素による真値ではない。
センサIIは、処理条件である温度、湿度および圧力変化による外乱となる成分による質量変化を測定する手段である。センサIIは水晶振動子20及び不活性層22を備え、不活性層22の表面が活性酸素暴露面を形成する。不活性層22は、活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化による外乱となる成分を不活性な無機物質の層である。測定対象となる活性酸素(気体)を不活性層22に接触させると、活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化による外乱となる成分による質量変化を測定でき、センサIと同様に質量変化を周波数変化量として測定できることを本発明者らは見出した。
そこで、センサIで測定される周波数変化量からセンサIIで測定される周波数変化量を排除すれば実際に表面処理に用いられた活性酸素量を算出することができる。
活性酸素検出層21について、活性酸素との反応によって質量減少を生じさせる反応層として、炭素の同素体から構成される薄膜又は炭化水素を含む化合物薄膜が好適に用いられる。
(a)炭素の同素体とは、炭素の同一元素から成る。その原子の配列や結合が異なり、性質が異なる単体を意味する。具体的には、このような材質の薄膜層としては、カーボン、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブなどから選ばれる単一成分又はこれらの複合成分が挙げられる。
(b)薄膜層を用いる場合には、これら炭素の同素体を公知の真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマCVD法、スピンコート法の手段により形成する。特にカーボンナノチューブなどのナノ構造の炭素同素体の薄膜層を水晶振動子上の不活性な電極層上に安定して形成する場合には、まずニッケル(Ni)やコバルト(Co)などの金属触媒を形成させて、熱CVD法などでナノカーボン構造を形成する方法を用いる。これは公知の技術である。
活性酸素との反応によって質量変化、具体的には質量減少を生ずる反応層には以下の材料を用いる。炭化水素を含む化合物は、炭化水素を含む化合物をポリマー化して形成されるポリマー層による層を意味する。特にポリマーとして、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルジシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリ四フッ化炭素を挙げることができるがこの限りではない。形成方法の容易さや材料の入手し易さなどから考慮すると、より好ましくはポリイミド、ポリエチレン及びポリ四フッ化炭素を用いることが好ましい。これら材料から層を形成する場合には、例えばディップコート法、スピンコート法、蒸着重合法、スパッタリング法など公知の手段が採用される。
活性酸素検出層21について、活性酸素の反応によって質量増加を生じさせる反応層として、純銀(Ag)又は銀の合金、具体的には、銀(Ag)と白金(Pt)、銀(Ag)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)とロジウム(Rh)、銀(Ag)と銅(Cu)を用いることができる。これらの薄膜層においても、前記の公知の成膜手法を用いることができる。
以上の質量減少又は質量増加を生じさせる活性酸素検出層21は何れも振動子20上に形成されている金属電極上に形成される。
活性酸素とは反応しない不活性層22として、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)などが選択され、公知の成膜手法によって振動子上に形成される。
上記の材料を用いてセンサI及びIIを形成することができる。表面処理に用いられる活性酸素作用量を、質量変化として測定し、見かけの活性酸素量を測定するセンサIは、活性酸素と反応する炭素化合物又は有機薄膜の活性酸素検出層21を含む。活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化による外乱を測定し、外部条件の変動による質量変化を測定するセンサIIは、活性酸素に不活性な無機物質の不活性層22を含む。このように、センサI及びIIは2種類の層からなるセンサを構成する。
上記2種類の層からなるセンサを用いて活性酸素の質量変化は以下のようにして求められる。最初に、存在する活性酸素により質量変化を生じさせる存在気体による質量変化を測定する。本発明では活性酸素と反応する炭素化合物による膜又は有機薄膜が用いられる。
炭素化合物による膜及び有機薄膜は、活性酸素との反応によって揮発性有機物質として除去されるため、質量変化(質量減少)がもたらされるが、温度、湿度、圧力変化といった外乱も質量変化として合わせて検出されることになる。したがって、質量変化をもたらす活性酸素検出層21で測定を行うと、求める活性酸素の質量変化だけではなく、求める以外の外乱による質量変化の結果が含まれることとなる。必要な活性酸素量を測定する場合には、活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化といった外乱による活性酸素による質量変化をもたらす成分の測定値による結果を取り除くことが必要となる。本発明では、外部条件の変動による質量変化を測定するセンサIIの振動子20は、活性酸素に不活性な無機物質の不活性層22を含むことにより、活性酸素の処理条件である温度、湿度、圧力変化による外乱による活性酸素による質量変化を測定できる。したがって、センサIによって測定された質量変化から、センサIIによって測定された質量変化を差し引くことにより、測定すべき活性酸素のみによる質量変化を特定できる。
活性酸素量測定装置41は、図4に示すように、水晶微小天秤7(センサI)及び水晶微小天秤8(センサII)にそれぞれ接続された発振/周波数カウンタ回路42及び差分演算回路43を測定部として備える。発振/周波数カウンタ回路42は、センサI(水晶微小天秤7)で測定された周波数変化量、及びセンサII(水晶微小天秤8)で測定された周波数変化量を一定周期で計測する。差分演算回路43は発振/周波数カウンタ回路42で特定された2つの周波数変化量の差分を演算する。
活性酸素量測定装置41はさらにフィードバック回路44を備える。フィードバック回路44は、差分演算回路43からの周波数変化量の差分に基づいてフィードバックすべき物理量に変換する。ここで、フィードバックすべき物理量は、処理装置1内の酸素ガス量(すなわち酸素供給口2からの酸素供給量)、ランプ4の紫外線照射量(すなわちランプ4への入力電力)等である。従って、フィードバックすべき物理量が酸素ガス量である場合は、フィードバック回路44は、周波数変化量の差分に基づいて酸素供給装置(不図示)による酸素供給量を制御する。また、フィードバックすべき物理量がランプ4の入力電力である場合は、フィードバック回路44は、周波数変化量の差分に基づいてランプ4の電源(不図示)の出力電力を制御する。このフィードバック制御により、処理装置1内の活性酸素生成量が略一定に維持される。
上記の物理量が酸素ガス量である場合、物理量の変換に際しては以下の活性酸素の作用量と質量変換量の関係を用いることが有効である。本発明では、上記周波数測定値を用い、次式の演算から活性酸素作用量が定義される。
Iは、活性酸素の作用量である。
Δmは、測定値から換算した質量変化量であり、共振周波数6MHzの水晶振動子に使用した場合、1Hzは6.2ngの質量変化量に相当する。
Aは、アボガドロ定数(6.02×1023)である。
Mcは、検出層(有機薄膜)の質量数である。
Sは、検出層の面積(cm)である。
tは、測定時間(sec)である。
図5に、上記のフィードバック制御を用いた場合のセンサI及びセンサIIによって測定された周波数変化量(それぞれ線A及びB)並びに差分演算回路43によって演算された差分の絶対値(線C)を示す。
活性酸素は、原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種であって、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマ、電子線照射の何れかの処理又はこれら複合処理で生成されるものが用いられる。
本発明でいう活性酸素の生成源として、具体的には、光源として本発明で例示している紫外線(UV)ランプ、放電プラズマとして減圧雰囲気で生成したプラズマ(減圧誘導結合プラズマ、減圧容量結合プラズマ、減圧マイクロ波励起プラズマ)、もしくは大気圧近傍圧力で生成したプラズマ(大気圧誘導結合プラズマ、大気圧容量結合プラズマ、大気圧マイクロ波励起プラズマ、アーク放電)などが挙げられるがこの限りではない。
例示した処理装置1を用いて本発明の活性酸素表面処理を行う方法を、図3に示す例を参照して説明する。
活性酸素による処理に先立って工程S1〜S2が実行される。本実施例では、被処理物は片面が不織布の滅菌バックなどに封入されて処理が行われる。処理装置1による処理操作の前に、工程S1及びS2において、処理装置1内が大気圧(1×10Pa)雰囲気から1×10Pa程度の減圧に排気される。
処理装置1内の圧力を1×10Pa程度とし、工程S3において、ランプ4(低圧水銀ランプ)を点灯する。紫外線は、184.9及び253.7mmの波長の紫外線を用いる。次に、工程S4及びS5において、Oガスを導入する。その結果、処理装置1内の圧力は1×10Pa程度に上昇する。
発生する活性酸素が被処理物の表面に作用する結果、活性酸素による処理が開始される。
処理時間は予め定められている時間により、活性酸素による表面処理が進められる。工程S6において、処理装置1内部に残留したオゾンに対して紫外線(波長253.7nmのみ)が照射され、工程S7において、所定の時間、オゾン分解後に処理装置1内の排気が行われる。
工程S8において、処理装置1内を再び減圧して、残留オゾンを排除した後、外気(空気)を大気圧まで注入して、処理装置1内部の残留オゾン濃度が0.1ppm未満になって、一連の工程が終了となる。
上記工程S4における活性酸素による処理は以下のとおりである。
紫外線照射装置(ランプ4)よる紫外線を、導入される酸素に照射して活性酸素に変化させ、滅菌バック中へと拡散、浸透させて、内部に封入された被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う。滅菌バックの構成部材である不織布シートおよびフィルムは上記の紫外線を透過しないため、非処理対象物表面に作用する作用因子としては活性酸素のみとなる。上述したように、表面処理部の近傍に設けたセンサである振動子に、振動子による測定結果を算出する手段が接続され、活性酸素の被処理対象物に対する作用量が質量変化として測定される。
処理装置1内を一旦減圧排気した後に酸素ガスを導入しながら、ランプ4(低圧水銀ランプ)を点灯し、生成した前記の活性酸素を、不織布シートを介して滅菌バック中の被処理物表面に作用させるため、プロセスの圧力が減圧雰囲気から大気圧近傍圧力まで大きく変動することとなり、センサに対しては外乱として周波数変化量に影響することとなるが、後述に構成、測定例を示したとおり、2つのセンサ間の差分演算を行うことで、この外乱の影響を排除することができ、純粋な活性酸素の表面作用量をモニタすることが可能となる。
この際、後述のセンサおよび方法でモニタされる活性酸素による表面作用量に注目するとともに、反応の状態をマスフローコントローラ3により供給する酸素量(酸素導入速度)を制御することができる。
水晶振動子20をセンサI及びIIとして構成した場合について、具体的な一例を述べる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をターゲット材として、高周波スパッタリング法によって、水晶振動子(MAXTEK製、共振周波数6MHz、Au膜成膜品)上に有機薄膜を約250nm形成し、水冷式のセンサヘッドに組み込み、活性酸素測定用のセンサ(I)を構成した。水晶振動子(MAXTEK製、共振周波数6MHz、Au膜成膜品)をそのまま組み込み、特定成分を検出するための活性酸素測定用のセンサ(II)を構成した。本発明ではこれら2台のセンサI及びIIを並列に並べて、活性酸素モニタが構成される。実際に上記の活性酸素モニタを用いて活性酸素作用量をモニタした事例を示す。
活性酸素処理に先立って行われる処理条件は以下のとおりである。
まず、処理装置1のチャンバー(処理室)10の内部を圧力1×10Paまでスクロールポンプ(BUSCH製、F0075)(排気ポンプ)で排気する。圧力が到達圧力となった時点で酸素(O)ガスをマスフロー(KOFLOC製、MODEL8350MC−0−1−1)で30SLM一定流量となるようにコントロールしながら、処理室10内へ導入する。同時に4灯のランプ4(岩崎電気製、QGL200G−3)を点灯し、導入酸素から活性酸素を生成した。
内部に上記の活性酸素モニタ(センサ(I)および(II))を搭載した。
それぞれのセンサを個別に発振回路および周波数カウンタ回路42が内包された回路プローブに同軸ケーブルで接続し、各々の共振周波数変化量を差分演算器43(ここでは、ソフトウェア上の計算)で差分演算し、差分演算値(活性酸素作用量計測値)として出力した。
前述した図5は、上記例における出力結果を示すものである。図5に示すように、フィードバック回路44のフィードバック制御により、差分演算器43から出力される差分値が0付近の値で一定となっていることが分かる。
なお、実施例として示した処理装置1において、チャンバー(処理室)10の寸法は、幅30cm、高さ30cm、奥行50cmの箱状であり、チャンバー10のほぼ中心部に配置された処理台9に被処理物6を載置して表面処理が行われた。処理台9は100mm角、厚さ2mmの板状である。活性酸素量測定装置41のセンサ(I)(水晶微小天秤7)とセンサ(II)(水晶微小天秤8)は、処理台9の脇に、活性酸素曝露面30(図2参照)を上向きにして、並置した。センサ(I)(水晶微小天秤7)とセンサ(II)(水晶微小天秤8)はいずれも、25mm角、高さ10mmの概略板状で、処理台9の端とは5mmの間隔を空けて配置された。
このように、実施例では、各センサが、表面処理が行われる処理台上とは所定間隔空けた近傍に配置された例を説明したが、本例示の処理装置1では、これに限定されることはない。チャンバー10内部全体が活性酸素生成部(活性酸素による処理部)となっており、チャンバー10内部空間全域に活性酸素量測定装置41のセンサの配置箇所を適宜、目的に応じて任意に選定することができる。
一方、減圧プラズマ、大気圧プラズマのように、活性酸素生成箇所が空間的に限定される場合には、前記、活性酸素モニタ(各センサ)は、活性酸素が実際に作用する表面処理部の近傍、例えば、プラズマ生成源の直下など、実際の処理効果が得られる箇所に出来るだけ接近させて配置して、その作用量をモニタする。
要するに、本発明の活性酸素量測定装置41のセンサI及びIIの振動子20は、いずれの活性酸素の生成様式が採用されても、表面処理部の近傍に配置することで本来の目的を達成できる。
以上は活性酸素を表面に作用させて殺菌、滅菌を行う活性酸素表面処理装置、表面処理方法での一例を示した。
上記実施例では、活性酸素の生成に紫外線ランプを用いているが、本発明は、例えばプラズマ(減圧、大気圧)、電子線などの手段で生成した活性酸素のモニタに用いることもできる。
また、処理プロセスとしては殺菌、滅菌処理に限定されず、洗浄、改質等、表面処理全般に適用することができる。
この出願は2011年9月5日に出願された日本国特許出願第2011−192840号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
1 活性酸素表面処理装置
2 酸素供給口
3 マスフローコントローラ
4 活性酸素発生用ランプ
5 排出装置
6 被処理対象物
7 水晶微小天秤(センサ(I))
8 水晶微小天秤(センサ(II))
9 処理台
10 チャンバー(処理室)
20 水晶振動子
21 活性酸素検出層(有機薄膜)
22 不活性層
30 活性酸素暴露面
41 活性酸素量測定装置
42 発振/周波数カウンタ回路
43 差分演算回路
44 フィードバック回路


Claims (10)

  1. 活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う活性酸素表面処理装置において使用される活性酸素量測定装置であって、
    前記被処理対象物の近傍に配置される第1の振動子を有し、活性酸素作用量に基づく該第1の振動子における質量変化を第1の周波数変化量として出力する第1のセンサ、
    前記被処理対象物の近傍に配置される第2の振動子を有し、前記第2の振動子は、金、白金、パラジウム、ロジウム又はオスミウムを含む、活性酸素に不活性な層を有し、前記活性酸素を前記被処理対象物の表面に供給するための排気及び酸素ガス導入による温度、湿度又は圧力の変化に起因する外乱に基づく該第2の振動子における質量変化を第2の周波数変化量として出力する第2のセンサ、及び
    前記第1の周波数変化量と前記第2の周波数変化量の差分を演算し、該差分を実際の活性酸素作用量による周波数変化量として特定するように構成された測定部
    を備えた活性酸素量測定装置。
  2. 前記第1の振動子が、活性酸素と反応する炭素化合物又は有機薄膜の層を含むことを特徴とする請求項1記載の活性酸素量測定装置。
  3. 前記第1及び第2の振動子が水晶振動子又は弾性表面波素子であることを特徴とする請求項1又は2記載の活性酸素量測定装置。
  4. 原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種である活性酸素を、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマの何れかの処理又はこれらの複合処理によって生成させ、生成された活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う表面処理部、及び
    請求項1から3のいずれか一項に記載の活性酸素量測定装置
    を備えた活性酸素表面処理装置。
  5. 前記活性酸素量測定装置において特定された前記実際の活性酸素作用量による周波数変化量を、前記表面処理部に供給される酸素量又は活性酸素生成の処理のための供給電力にフィードバックするフィードバック回路を備えたことを特徴とする請求項4記載の活性酸素表面処理装置。
  6. 活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行う活性酸素表面処理装置において使用される活性酸素量測定方法であって、
    前記被処理対象物の近傍に配置される第1の振動子によって、活性酸素作用量に基づく該第1の振動子における質量変化を第1の周波数変化量として出力するステップ、
    前記被処理対象物の近傍に配置され、金、白金、パラジウム、ロジウム又はオスミウムを含む、活性酸素に不活性な層を有する第2の振動子によって、前記活性酸素を前記被処理対象物の表面に供給するための排気及び酸素ガス導入による温度、湿度又は圧力の変化に起因する外乱に基づく該第2の振動子における質量変化を第2の周波数変化量として出力するステップ、及び
    前記第1の周波数変化量と前記第2の周波数変化量の差分を演算し、該差分を実際の活性酸素作用量による周波数変化量として特定するステップ
    を備える活性酸素量測定方法。
  7. 前記第1の振動子が、活性酸素と反応する炭素化合物又は有機薄膜の層を含むことを特徴とする請求項6記載の活性酸素量測定方法。
  8. 前記第1及び第2の振動子が水晶振動子又は弾性表面波素子であることを特徴とする請求項6又は7記載の活性酸素量測定方法。
  9. 原子、分子、イオン及びラジカルの形態の群から選ばれる酸化性の活性化学種である活性酸素を、光源、線源からの光放射、熱源からの熱輻射、放電プラズマの何れかの処理又はこれらの複合処理によって生成させ、生成された活性酸素を被処理対象物の表面に供給して表面処理を行うステップ、及び
    請求項6から8のいずれか一項に記載の活性酸素量測定方法の各ステップ
    を備える活性酸素表面処理方法。
  10. 前記活性酸素量測定方法において特定された前記実際の活性酸素作用量による周波数変化量を、前記表面処理を行うステップにおいて供給される酸素量又は活性酸素生成の処理のための供給電力にフィードバックするステップをさらに備える請求項9記載の活性酸素表面処理方法。
JP2013532438A 2011-09-05 2012-09-04 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法 Active JP6059148B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011192840 2011-09-05
JP2011192840 2011-09-05
PCT/JP2012/005594 WO2013035304A1 (ja) 2011-09-05 2012-09-04 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013035304A1 JPWO2013035304A1 (ja) 2015-03-23
JP6059148B2 true JP6059148B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=47831776

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013532438A Active JP6059148B2 (ja) 2011-09-05 2012-09-04 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6059148B2 (ja)
WO (1) WO2013035304A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019034385A1 (en) * 2017-08-15 2019-02-21 Carl Zeiss Smt Gmbh METHOD FOR OPERATING AN OPTICAL APPARATUS, AND OPTICAL APPARATUS
KR101966158B1 (ko) * 2017-11-24 2019-08-13 주식회사 선영비앤씨 육류의 워터에이징 장치

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6125969B2 (ja) * 2013-10-07 2017-05-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 殺菌パウチ、殺菌システム、殺菌方法および活性酸素種インジケータ
JP6501486B2 (ja) * 2014-10-27 2019-04-17 学校法人東海大学 滅菌装置
EP3106868A1 (en) * 2015-06-15 2016-12-21 Honeywell International Inc. Acoustic wave based sensors
CN110441203B (zh) * 2019-09-11 2024-04-05 生态环境部华南环境科学研究所 一种用于活性氧在线监测捕获装置及监测装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08332371A (ja) * 1995-06-06 1996-12-17 Advanced Display:Kk 紫外線処理方法およびそれに用いる装置
JP3470786B2 (ja) * 1996-10-29 2003-11-25 株式会社リコー 液相表面処理装置およびこれを用いた被処理体の質量変化計測方法
JP2000246200A (ja) * 1999-02-26 2000-09-12 Iwasaki Electric Co Ltd 表面処理装置
JP5231914B2 (ja) * 2007-09-27 2013-07-10 独立行政法人産業技術総合研究所 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置
WO2010044394A1 (ja) * 2008-10-15 2010-04-22 株式会社シームス アルコール濃度検知素子、アルコール濃度検知装置及びアルコール濃度検知方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019034385A1 (en) * 2017-08-15 2019-02-21 Carl Zeiss Smt Gmbh METHOD FOR OPERATING AN OPTICAL APPARATUS, AND OPTICAL APPARATUS
US11307505B2 (en) 2017-08-15 2022-04-19 Carl Zeiss Smt Gmbh Method for operating an optical apparatus, and optical apparatus
KR101966158B1 (ko) * 2017-11-24 2019-08-13 주식회사 선영비앤씨 육류의 워터에이징 장치

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013035304A1 (ja) 2013-03-14
JPWO2013035304A1 (ja) 2015-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6059148B2 (ja) 活性酸素量測定装置、活性酸素表面処理装置、活性酸素量測定方法および活性酸素表面処理方法
JP4433451B2 (ja) 化学反応装置におけるアクティブ・パルスのモニターリング
WO2006007585A1 (en) Methods, systems, and polymer substances relating to consideration of h2o levels present within an atmospheric-pressure nitrogen dielectric-barrier discharge
US7232545B2 (en) Sensor for determining concentration of fluid sterilant
KR101412829B1 (ko) 세정 장치, 측정 방법 및 교정 방법
JP2010038867A (ja) プラズマ装置の供給ガス分解率測定装置及び測定方法
Dickert et al. Supramolecular detection of solvent vapours with calixarenes: mass-sensitive sensors, molecular mechanics and BET studies
CN101871904B (zh) 气体检测装置、气体检测系统及气体检测装置的制作方法
Alev et al. WS2 thin film based quartz crystal microbalance gas sensor for dimethyl methylphosphonate detection at room temperature
JP5231914B2 (ja) 酸化性活性化学種センサ、酸化性活性化学種存在量の測定方法及び酸化性活性化学種存在量の測定装置
JP2014049684A (ja) クリーニング終点検知方法
Yoshino et al. Investigation of a sterilization system using active oxygen species generated by ultraviolet irradiation
JP2019015675A (ja) ガスセンサ、ガスセンサシステム、及びガス検出方法
JP6125969B2 (ja) 殺菌パウチ、殺菌システム、殺菌方法および活性酸素種インジケータ
JP2004267524A (ja) プラズマ滅菌処理方法
JP5935706B2 (ja) 環境測定装置及び環境測定方法
JP2009098084A (ja) 雰囲気分析装置及び雰囲気分析方法
Sitanov et al. Kinetics of atomic recombination on silicon samples in chlorine plasma
JP3319055B2 (ja) 水晶振動子式ラジカルビームモニタ
JP4253914B2 (ja) ガス溶解洗浄水の評価装置
Reisert et al. Development of a handheld sensor system system for the online measurement of hydrogen peroxide in aseptic filling systems
JP5229891B2 (ja) 活性種量測定装置及び方法
Kabir et al. Determining the optimum exposure and recovery periods for efficient operation of a QCM based elemental mercury vapor sensor
US20060105466A1 (en) Sensor for determining concentration of ozone
Kruglenko et al. Thin-Film Coatings of Dibenzotetraazaannulenes for Quantitative Determination of Hydrochloric Acid Vapor by Quartz Crystal Microbalance Method

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150903

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6059148

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350