JP6058521B2 - オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に関する。
耐熱性・耐食性に優れた継目無しステンレス鋼管は、鋳塊(ステンレス鋼)に熱間加工を施すことによってビレットを作製し、その後、熱間押出や圧延穿孔、抽伸加工、熱処理などを施すことによって作製することができる。ここで、鋳塊の熱間加工工程では、変形抵抗を低減させるために1000〜1200℃程度まで加熱する必要があり、また、鋳造で作製された鋳塊は凝固偏析を伴っている場合が多いため、均質化の目的で高温に保持しなければならない場合がある。
このような観点から、鋳塊(ステンレス鋼)の熱間加工工程の加熱温度は高い方が望ましい。
しかしながら、熱間加工工程の加熱温度の上昇は、熱間割れや表面傷等の欠陥発生の原因になる。また、ステンレス鋼はCr(クロム)、Ni(ニッケル)を多く含むとともに、高温強度を向上させたステンレス鋼はC(炭素)やN(窒素)が添加されているため、炭素鋼に比べて融点が低いという特徴がある。例えば、Niを20質量%、Crを25質量%程度含むステンレス鋼では融点が1350℃程度になるものもあり、高い加熱温度の熱間加工を適切に施すのが困難になる。
このように、熱間加工工程において、高い加熱温度の熱間加工を問題なく完了させることは極めて重要であることから、ステンレス鋼の熱間加工性に関する研究が進められている。
例えば、特許文献1には、鋼中のS(硫黄)の粒界偏析を抑制するために、Y(イットリウム)、Nb(ニオブ)、Ce(セリウム)などの元素を含有させる技術が開示されている。
また、特許文献2、3には、鋼中のSの粒界偏析の抑制に加えて、B(ホウ素)を含有させる技術が開示されている。
また、特許文献4には、低融点のCu化合物を抑制する技術が開示されている。
特許第3424599号公報 特許第3397092号公報 特許第3463617号公報 特開2007−302991号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示された技術は、幅広い温度域における熱間加工性に関する特性値の平均化した値に着目した技術や、800〜1200℃程度の比較的低温な温度域の熱間加工を想定した技術である。つまり、これらの技術は、熱間加工工程の中盤から終盤における温度の低下が比較的進んだ温度域の熱間加工性に相当する技術、言い換えると、比較的低温側の熱間加工性に対応する技術である。
したがって、特許文献1〜4に開示された技術では、熱間加工工程の上限温度付近(高温側)における熱間加工性について、十分に対応できるとは言えない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、熱間加工性(特に、高温側での熱間加工性)に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究開発した結果、オーステナイト系ステンレス鋼に所定の含有量のTaを含有させ、且つ、C、N、Ni、Co、Nb等の含有量を定めること、更にはS、Pb、Zn等の特定の不可避不純物を一定量以下に制限することによって、オーステナイト系ステンレス鋼の高温強度、および耐食性を維持しながら熱間加工性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、C+N:0.25〜0.36質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Mn:0.8〜2.5質量%、Ni+Co:18〜22質量%、Cr:22〜28質量%、Nb:0.15〜0.4質量%、Ta:0.2〜0.5質量%、Mo:0.01〜0.45質量%、B:0.0005〜0.005質量%、Ca:0.0002〜0.003質量%、Mg:0.0002〜0.003質量%、Cu:0.3質量%以下(0質量%も含む)、を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなるとともに、前記C、前記N、前記Niが、それぞれC:0.127質量%以下、N:0.213質量%以上、Ni:18.0質量%以上、であり、前記不可避不純物として含まれるS、P、Pb、Sn、Zn、As、Sbが、それぞれS:0.003質量%以下、P:0.05質量%以下、Pb:0.003質量%以下、Sn:0.005質量%以下、Zn:0.010質量%以下、As:0.010質量%以下、Sb:0.003質量%以下、に制限されることを特徴とする。
なお、C+Nとは、CとNとの合計の含有量を示し、Ni+Coとは、NiとCoとの合計の含有量を示す。
このオーステナイト系ステンレス鋼によれば、C、N、Ni、Co、Nb、Taの含有量を所定範囲に規定していることにより、粒界近傍の局部的な融点を上昇させるとともに、粒界密度を増加させることで、高温側における熱間加工性を優れたものとすることができる。
さらに、このオーステナイト系ステンレス鋼によれば、上記元素に加えて、Si、Mn等の含有量を所定範囲に規定していることにより、高温強度や耐食性等の諸性能を維持しつつ高温側における熱間加工性を優れたものとすることができる。
加えて、このオーステナイト系ステンレス鋼によれば、S、Pb、Zn等の特定の不可避不純物が一定量以下に制限されることにより、熱間加工性の向上という効果の発揮を確実なものとすることができる。
また、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、更に、希土類元素:0.1質量%以下、を含有してもよい。
このオーステナイト系ステンレス鋼によれば、希土類元素を所定量以下に規定していることにより、オーステナイト系ステンレス鋼の耐酸化性を向上させ、酸化スケールの生成を抑制することができる。
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、C、N、Ni、Co、Nb、Ta等の含有量を所定範囲に規定していることにより、熱間加工性(特に、高温側での熱間加工性)に優れる。その結果、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、熱間加工工程における割れや傷等の欠陥の発生を抑制することができ、さらに、偏析解消に必要な均質化処理時間を短縮できる。よって、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、歩留まり、生産性に優れた方法で製造することができるため、製品の価格の低減にも資することができる。
以下、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼を実施するための形態(実施形態)について説明する。
[本実施形態の概要]
本発明者らは、熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を実現すべく、様々な角度からステンレス鋼について検討した。その結果、S等の粒界偏析する元素・低融点元素の含有量の上限値を規定したうえで、C、N、Ni、Co、Nb、Ta等の含有量を所定の範囲に規定することにより、高温側における熱間加工性が改善されることを見出した。
詳細な原理については、全て解明されているわけではないものの、耐熱性ステンレス鋼において広く用いられているNbに加えて、Taを添加することで、粒界密度の増加による粒界偏析を改善する作用と、Taが添加されることによる粒界近傍の局部の融点上昇により、1280℃程度の高温側での熱間加工性が改善されるものと考える。
また、NiとCoとの含有量の和、およびCとNとの含有量の和を一定以下に抑えることにより、粒界近傍の局部溶融を効果的に抑制するものと推定され、更に、NiとCoとは、Nbと低融点の化合物を形成しうるものであり、Nbの含有量の範囲を規定することも併せて、効果の発揮に関係するものであると考える。
[オーステナイト系ステンレス鋼]
本発明の実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼(以下、適宜「ステンレス鋼」という)は、C+N、Si、Mn、Ni+Co、Cr、Nb、Ta、Mo、B、Ca、Mg、Cu、を所定量含有し、残部が鉄および不可避不純物からなるとともに、前記不可避不純物として含まれるS、P、Pb、Sn、Zn、As、Sbが、所定量以下に規制されることを特徴とする。また、本発明の実施形態に係るステンレス鋼は、更に、希土類元素を所定量以下含有してもよい。
次に、本発明の実施形態に係るステンレス鋼を構成する元素の中でも、本発明の効果の発揮に特に影響を与える元素(C、N、Ni、Co、Nb、Ta)、および、これらの元素の含有量の設定理由について説明する。
[C+N:0.25〜0.36質量%]
CとNとは粒界近傍の局部溶融に影響を与える元素である。粒界近傍の局部溶融の抑制という効果を確実なものとするためには、CとNとの合計の含有量は0.36質量%以下とする必要がある。しかし、高温強度の確保の観点から、CとNとの合計の含有量は0.25質量%以上とする必要がある。
なお、CとNとの合計の含有量は、好ましくは0.28〜0.33質量%であり、更に好ましくは0.29〜0.32質量%である。
ちなみに、CとNの各々の含有量については、Cの含有量は0.02〜0.15質量%が好ましく、Nの含有量は0.1〜0.3質量%が好ましい。
[Ni+Co:18〜22質量%]
NiとCoとは粒界近傍の局部溶融に影響を与える元素であるとともに、後記するNbと低融点の化合物を形成しうる元素でもある。粒界近傍の局部溶融の抑制という効果を確実なものとするためには、NiとCoとの合計の含有量は22質量%以下とする必要がある。しかし、ステンレス鋼としての耐食性を維持するためには、NiとCoとの合計の含有量は18質量%以上とする必要がある。
なお、NiとCoとの合計の含有量は、好ましくは19〜21質量%であり、更に好ましくは19.5〜20.5質量%である。
ちなみに、NiとCoの各々の含有量については、Niの含有量は16質量%以上22質量%未満が好ましく、Coの含有量は5.0質量%以下(0質量%を含まない)が好ましい。
[Nb:0.15〜0.4質量%、Ta:0.2〜0.5質量%]
NbとTaは粒界近傍の局部的な融点および粒界密度に影響を与える元素である。粒界近傍の局部的な融点の上昇および粒界密度の増加という効果を発揮させるためには、Nbの含有量は0.4質量%以下に抑える必要があるとともに、Taの含有量は0.2質量%以上とする必要がある。しかし、高温強度を確保するためには、Nbの含有量は0.15質量%以上とする必要がある。また、Taを過剰添加すると粗大介在物を形成して長期時効後の靭性を阻害するため、Taの含有量は0.5質量%以下とする必要がある。
なお、Nbの含有量は、好ましくは0.20〜0.35質量%であり、更に好ましくは0.25〜0.30質量%である。
また、Taの含有量は、好ましくは0.25〜0.45質量%であり、更に好ましくは0.25〜0.35質量%である。
本発明の実施形態に係るステンレス鋼は、NiとCrの含有量が25Cr−20Niオーステナイト系ステンレス鋼と同等の化学成分組成を有するものであるが、上記C、N、Ni、Co、Nb、Ta以外の元素(Si、Mn、Cr、Mo、B、Ca、Mg、Cu)の含有量も適切に調整する必要がある。
次に、Si、Mn、Cr、Mo、B、Ca、Mg、Cu、および、これらの元素の含有量の設定理由について説明する。
[Si:0.2〜1.0質量%]
Siは脱酸作用を示すとともに、鋼材に耐酸化性を付与するために必要な元素である。これらの効果を得るためには、Siの含有量は0.2質量%以上とする必要がある。しかし、Siの含有量が過剰になると、長期時効後の脆化を招くため、Siの含有量は1.0質量%以下とする必要がある。
なお、Siの含有量の好ましい下限は0.25質量%以上(より好ましくは0.3質量%以上)であり、好ましい上限は0.7質量%以下(より好ましくは0.5質量%以下)である。
[Mn:0.8〜2.5質量%]
Mnは溶鋼中での脱酸作用と脱硫作用を示す元素である。これらの効果を得るためにはMnの含有量は0.8質量%以上とする必要がある。しかし、Mnの含有量が過剰になると、耐酸化性を阻害することになるため、Mnの含有量は2.5質量%以下とする必要がある。
なお、Mnの含有量の好ましい上限は1.7質量%以下(より好ましくは1.5質量%以下)であり、好ましい下限は0.9質量%以上(より好ましくは1.0質量%以上)である。
[Cr:22〜28質量%]
Crは優れた耐酸化性を得るために必須の元素である。この効果を得るためには、Crの含有量は22質量%以上とする必要がある。しかし、Crの含有量が過剰になると、溶接時の高温割れを招いてしまう場合があるため、Crの含有量は28質量%以下とする必要がある。
なお、Crの含有量の好ましい下限は23質量%以上(より好ましくは24質量%以上)であり、好ましい上限は27質量%以下(より好ましくは26質量%以下)である。
[Mo:0.01〜0.45質量%]
Moは耐食性の向上に有効な元素である。この効果を得るためには、Moの含有量は0.01〜0.45質量%とする必要がある。
なお、Moの含有量の好ましい下限は0.1質量%以上(より好ましくは0.2質量%以上)であり、好ましい上限は0.4質量%以下(より好ましくは0.3質量%以下)である。
[B:0.0005〜0.005質量%]
Bは鋼中に固溶することで、主要な強化機構の一つであるM23型炭化物(Mは炭化物形成元素)の形成を促進させる作用を示す元素である。この効果を得るためには、Bの含有量は0.0005質量%以上とする必要がある。しかし、Bの含有量が過剰になると、溶接性の低下を招くため、Bの含有量は0.005質量%以下とする必要がある。
なお、Bの含有量の好ましい下限は0.001質量%以上(より好ましくは0.0015質量%以上)であり、好ましい上限は0.003質量%以下(より好ましくは0.0025質量%以下)である。
[Ca、Mg:0.0002〜0.003質量%]
Ca、Mgは、鋼中のSを固定し、およそ1200℃以下の低温側の熱間加工性を改善させることが知られている元素である。これらの効果を得るためには、Ca、Mgの含有量は各々0.0002質量%以上とする必要がある。しかし、Ca、Mgを過剰に添加すると白煙・粉塵の発生を伴い操業上の問題を引き起こすため、Ca、Mgの含有量は各々0.003質量%以下とする必要がある。
なお、Ca、Mgの含有量の好ましい下限は各々0.0003質量%以上(より好ましくは0.0005質量%以上)であり、好ましい上限は0.002質量%以下(より好ましくは0.0015質量%以下)である。
[Cu:0.3質量%以下(0質量%も含む)]
Cuは鋼材の高温強度を改善する作用があるものの、1200℃以下の低温側の熱間加工性を阻害するとされており、0.3質量%以下(0質量%も含む)とする必要がある。
なお、Cuの含有量は、好ましくは0.02%以下(より好ましくは0.001%以下)である。
[残部:鉄および不可避不純物]
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避不純物であるが、不可避不純物として含まれるS、P、Pb、Sn、Zn、As、Sbについては以下の通り、その含有量を制限する必要がある。
[S:0.003質量%以下]
Sは、不可避不純物であるが、およそ1200℃以下の低温側の熱間加工性に悪影響を及ぼす元素であり、0.003質量%以下に制限する必要がある。
なお、Sの含有量は、好ましくは0.002質量%以下(より好ましくは0.001質量%以下)に制限するのがよい。
[P:0.05質量%以下]
Pは、不可避不純物であるが、その含有量が増加すると溶接性を低下させるため、0.05質量%以下に制限する必要がある。
なお、Pの含有量は、好ましくは0.04質量%以下(より好ましくは0.03質量%以下)に制限するのがよい。
[Pb:0.003質量%以下、Sn:0.005質量%以下、Zn:0.010質量%以下、As:0.010質量%以下、Sb:0.003質量%以下]
Pb、Sn、Zn、As、Sbは不可避不純物であるが、その含有量が増加すると熱間加工性や溶接性を低下させるため、Pbの含有量は0.003質量%以下、Snの含有量は0.005質量%以下、Znの含有量は0.010質量%以下、Asの含有量は0.010質量%以下、Sbの含有量は0.003質量%以下に制限する必要がある。
なお、Pbの含有量は、好ましくは0.002質量%以下(より好ましくは0.001質量%以下)、Snの含有量は、好ましくは0.003質量%以下(より好ましくは0.002質量%以下)、Znの含有量は、好ましくは0.008質量%以下(より好ましくは0.005質量%以下)、Asの含有量は、好ましくは0.008質量%以下(より好ましくは0.005質量%以下)、Sbの含有量は、好ましくは0.002質量%以下(より好ましくは0.001質量%以下)に制限するのがよい。
なお、不可避不純物としては上記元素の他に、スクラップ原料に由来するAl、Ti、Zr等も含まれていることがあるが、これらは上記S等の元素ほど、厳密に制限をしなくても本発明の効果が損なわれてしまうことはない。ただし、Al、Ti、Zr等も粗大な窒化物を形成し易いため低濃度に制限(0.02質量%以下、好ましくは0.01質量%以下)するのが好ましい。
本実施形態に係るステンレス鋼は、更に希土類元素を含有していてもよく、含有する元素の種類に応じて鋼材の耐酸化性を調整することができる。
[希土類元素:0.1質量%以下]
希土類元素としては、Sc、Y、および、La、Ce、Ndに代表されるランタノイド元素を合わせた17種が挙げられる。
希土類元素はステンレス鋼の耐酸化性を向上させる作用があるため、酸化スケールの生成を抑制することができる。しかし、希土類元素を過剰に添加すると酸化介在物を形成して長期時効後の靭性を阻害するため、希土類元素の含有量は0.1質量%以下に規制するのが好ましい。希土類元素の含有量は、より好ましくは0.07質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
なお、上記のような効果を有効に発揮させるための好ましい下限は、0.01質量%以上であり、より好ましい下限は0.015質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上である。
ちなみに、希土類元素を複数種含有する場合は、合計の含有量が上記範囲となればよい。
以上、本実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼によれば、C、N、Ni、Co、Nb、Taの含有量を所定範囲に規定していることにより、粒界近傍の局部的な融点を上昇させるとともに、粒界密度を増加させることで、高温側における熱間加工性を優れたものとすることができる。また、本実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼によれば、上記元素に加えて、Si、Mn等の含有量を所定範囲に規定していることにより、高温強度や耐食性等の諸性能を維持しつつ高温側における熱間加工性を優れたものとすることができる。加えて、本実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼によれば、S、Pb、Zn等の特定の不可避不純物を一定量以下に制限していることにより、熱間加工性の向上という効果の発揮を確実なものとすることができる。
さらに、本実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼によれば、希土類元素を所定量以下に規定していることにより、オーステナイト系ステンレス鋼の耐酸化性を向上させ、酸化スケールの生成を抑制することができる。
次に、本実施形態に係るステンレス鋼の製造方法を簡潔に説明する。
[オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法]
前記した本実施形態に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、例えば、一次精錬において、それぞれ前記した化学成分組成となるように各元素を添加して溶解し、その後は常法に従って二次精錬等の製造プロセスを順次行うことにより、製造することができる。
次に、本発明の所望の効果を奏する実施例を示して本発明について具体的に説明する。
[鋼材の作製]
下記表1の試験No.1〜18に示す化学成分組成からなる各種鋼材を溶解し、真空溶解炉(VIF)にて溶製した20kgインゴットを幅130mm×厚さ20mmの寸法に熱間鍛造加工し、1250℃で熱処理を施した後、冷間圧延によって厚さ13mmまで加工した。その後、1220℃で5分の熱処理を再度実施して、これを母材とした。
なお、下記表1の試験No.1〜18に示す鋼材のうち、試験No.1〜11は本発明で規定する化学成分組成を満足する鋼材(本発明鋼)である。また、試験No.12〜18は本発明で規定する化学成分組成を外れる鋼材(比較鋼)である。
[試験方法]
これらの母材(鋼材)から機械加工によってφ8mmの引張試験片を作製し、熱間加工再現試験装置にて引張試験を行った。試験は1280℃に5分加熱した後、公称歪速度が5/secの条件で引張変形させており、破断後の試験片から絞りを測定して試験前後の断面減少率(={試験前の断面積−試験後の断面積}/試験前の断面積×100)を評価した。得られた断面減少率を下記表1に示す。
Figure 0006058521
[評価]
本発明で規定する化学成分組成を満足する鋼材(本発明鋼)は、断面減少率が53.0%以上となり、本発明で規定する化学成分組成から外れた鋼材(比較鋼)に比べて断面減少率が大きく、1280℃という高温側における熱間加工性に優れていることが確認された。
以上、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。

Claims (2)

  1. C+N:0.25〜0.36質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Mn:0.8〜2.5質量%、Ni+Co:18〜22質量%、Cr:22〜28質量%、Nb:0.15〜0.4質量%、Ta:0.2〜0.5質量%、Mo:0.01〜0.45質量%、B:0.0005〜0.005質量%、Ca:0.0002〜0.003質量%、Mg:0.0002〜0.003質量%、Cu:0.3質量%以下(0質量%も含む)、を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなるとともに、前記C、前記N、前記Niが、それぞれC:0.127質量%以下、N:0.213質量%以上、Ni:18.0質量%以上、であり、
    前記不可避不純物として含まれるS、P、Pb、Sn、Zn、As、Sbが、それぞれS:0.003質量%以下、P:0.05質量%以下、Pb:0.003質量%以下、Sn:0.005質量%以下、Zn:0.010質量%以下、As:0.010質量%以下、Sb:0.003質量%以下、に制限されることを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼。
  2. 更に、希土類元素:0.1質量%以下、を含有することを特徴とする請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼。
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