以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、画像読取部(画像読取装置)を有するデジタル複合機として本発明を具体化する。
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120(画像読取装置)及び画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面にはコンタクトガラス等の透明板からなる原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。なお、複合機100の前面には、ユーザが複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる操作パネル171が設けられている。
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。ここでは、走査光学系121は、密着光学系(いわゆる、CIS(Contact Image Sensor)方式)として構成されている。読取対象原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。
走査光学系121は、キャリッジ122とガイド123とを備える。キャリッジ122は、線状の光源131、イメージセンサ132及び等倍光学系レンズ133を備える。ここでは、LEDアレイ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ラインイメージセンサ、屈折率分布型レンズを、それぞれ光源131、イメージセンサ132、等倍光学系レンズ133として使用している。光源131は原稿を照明する。等倍光学系レンズ133は、原稿からの反射光(光像)をイメージセンサ132の受光面に結像する。
ガイド123は、本体101の中央部に、原稿台103と平行に配置されている。キャリッジ122は、当該ガイド123に沿って往復動可能に設けられている。キャリッジ122の移動は、図示しない駆動手段による駆動により実現される。本実施形態では、駆動手段であるステッピングモータがキャリッジ122を駆動する。
ガイド123は、少なくとも原稿台103の原稿載置可能領域(原稿読取可能領域)の一端から他端にわたってキャリッジ122に搭載されたイメージセンサ132を移動できるように設けられる。すなわち、この走査光学系121では、キャリッジ122をガイド123に沿って移動することで、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ132で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、キャリッジ122を、原稿台103のガイド123に沿う方向(副走査方向)隣接して配置されたスリットガラス104に対応する画像読取位置に合わせて一時的に静止させ、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ132で読み取る。イメージセンサ132は、受光面に入射した光像から、原稿の画像データを生成する。なお、本実施形態では、後述するシェーディング板105は、スリットガラス104の副走査方向に隣接して配置されている。
生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、生成された画像データは、ネットワークインタフェイス161等を介して、ネットワーク162を通じて他の機器(図示せず)へ送信することもできる。
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、クリーニングユニット145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141の表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光ビームを照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。クリーニングユニット145は、転写後も感光体ドラム141表面に残留した廃トナーを感光体ドラム141から除去して感光体ドラム141表面をクリーニングする。感光体ドラム141が回転することによりこれらのプロセスが一連で行われる。
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153等から、感光体ドラム141と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153には、様々なサイズの用紙を載置又は収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153から給紙する。給紙された用紙は搬送ローラ155やレジストローラ156により所定のタイミングで転写部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ157及び加圧ローラ158を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
図2は、本実施形態の画像読取部120の構成を示す概略構成図である。図2(a)は原稿台103と垂直な方向から見た概略構成図(平面図)であり、図2(b)はキャリッジ122の移動方向に沿う方向から見た概略構成図(側面図)である。なお、図2(a)では、プラテンカバー102の図示を省略するとともに、原稿台103、スリットガラス104及びシェーディング板105を点線で示している。また、図2(b)では、キャリッジ122及びガイド123のみを示している。
図2(a)に示すように、ガイド123は、画像読取部120の互いに対向する側面の一端から他端まで、原稿台103と平行に配置されている。図2(a)及び図2(b)に示すように、ガイド123は、断面U字状のレールにより構成されており、キャリッジ122の幅方向(移動方向に垂直な方向:いわゆる、主走査方向)の中央部に設けられた、ガイド123に嵌合する支持部211を支持する。キャリッジ122の移動は、図示しない駆動手段による駆動により実現される。
なお、図2(a)に示すように、画像読取部120では、原稿台103は平面視においてオフセットして配置されており、原稿台103の一方端と当該一方端と対向する画像読取部120の側面との間にスリットガラス104及びシェーディング板105が配置されている。
シェーディング板105は、表面が均一な白色からなる白基準部201と、表面が均一な黒色である黒色部202を備える。図2(a)に示すように、黒色部202は、白基準部201の副走査方向の両側に配置されている。特に限定されないが、本実施形態では、白基準部201の副走査方向の幅は、イメージセンサ132の副走査方向の幅の3倍程度になっている。また、黒色部202の副走査方向の幅は、イメージセンサ132の副走査方向の幅と同程度になっている。なお、シェーディング板105は、図2(a)に示すように、イメージセンサ132の主走査方向全体にわたって設けられている。
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークインタフェイス161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
内部バス306には、操作パネル171やネットワークインタフェイス161、各種のセンサ307も接続されている。操作パネル171は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。操作パネル171は、CPU301からの制御信号にしたがって自身が備えるディスプレイ(タッチパネル)に操作画面を表示する。センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙又は原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。
CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100は、シェーディング補正部401及び位置調整部402を備える。
シェーディング補正部401は、シェーディング板105の読取結果に基づいてシェーディング補正用データを作成する。シェーディング板105を読み取る場合、キャリッジ122は、イメージセンサ132がシェーディング板105の白基準部201と対向する位置に移動される。このような位置は、例えば、工場出荷時にシェーディング補正位置として登録される。
キャリッジ122の移動が完了すると、光源131がシェーディング板105を照明し、イメージセンサ132がその反射光を読み取る。イメージセンサ132がシェーディング板105の白基準部201と対向している場合、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子に白基準部201の白色による反射光が入射する。この場合の各受光素子の出力値が予め指定された白を示す値に一致するように、シェーディング補正部401はそれぞれの受光素子に対応するシェーディング補正用データを作成する。
しかしながら、上述のような、主走査方向の中央部に1本のガイド123を採用した構成では、外部からの衝撃等が加わった場合、キャリッジ122がガイド123との接続箇所を中心として回転し、キャリッジ122が斜め状態になる状況が発生し得る。この場合、本実施形態のシェーディング板105では、斜め状態の程度によっては、シェーディング板105の読取結果にシェーディング板105の黒色部202に対応する読取結果が含まれる状態になる。例えば、主走査方向の幅が320mm、副走査方向の幅が3mm程度のイメージセンサ132が、副走査方向の幅が9mmの白基準部201の副走査方向の中央部に配置されているとする。この場合、イメージセンサ132の主走査方向の中央部を中心として1.5°回転するとイメージセンサ132の端部は160mm×COS(88.5°)=4.19mm副走査方向に移動する。したがって、イメージセンサ132の端部は、黒色部202と対向する可能性がある。
位置調整部402は、シェーディング板105の読取結果にシェーディング板105の黒色部202に対応する読取結果が含まれている場合、シェーディング板105の読取結果に基づいてシェーディング板105に対する読取位置を調整する。例えば、位置調整部402は、キャリッジ122の回転角度に基づいてシェーディング板105に対する読取位置を調整することができる。なお、イメージセンサ132の一部の受光素子がシェーディング板105の黒色部202からの反射光を読み取った場合、黒色部202を読み取ったイメージセンサ132の領域(長さ)を特定することで、幾何学的な計算によりキャリッジ122の回転角度を算出することは可能である。また、白基準部201による反射光と黒色部202による反射光とは、その光強度が著しく異なるため、識別は容易である。
上述のシェーディング補正位置が白基準部201の副走査方向の中央部であり、主走査方向の中央部に1本のガイド123が配置されている場合、キャリッジ122が上述のように回転すると、イメージセンサ132の両端部分がシェーディング板105の黒色部202からの反射光を読み取ることになる。この場合、位置調整部402は、シェーディング板105の読み取りを複数回繰り返すことで、イメージセンサ132を構成する全受光素子が白基準部201の反射光を受光するようにキャリッジ122を移動させる。
例えば、位置調整部402は、まず、イメージセンサ132の一方端が白基準部201と対向する位置にキャリッジ122を移動させる。このとき、イメージセンサ132の他方端は黒色部202と対向することになる。当該状態において、イメージセンサ132によるシェーディング板105の読み取りが完了すると、位置調整部402は、イメージセンサ132の他方端が白基準部201と対向する位置にキャリッジ122を移動させ、イメージセンサ132にシェーディング板105を読み取らせる。このとき、イメージセンサ132の一方端は黒色部202と対向することになる。そして、シェーディング補正部401は、位置調整部402による一連の調整動作中に取得された黒色部202を含むシェーディング板105の読取結果(すなわち、上述の2つのキャリッジ位置において読み取ったシェーディング板105のデータと、上述のシェーディング補正位置において読み取ったシェーディング板105のデータ)から白基準部201に対応する読取結果を抽出してシェーディング補正用データを作成する。
また、例えば、上述のシェーディング補正位置が白基準部201において副走査方向の一方に偏っている場合には、キャリッジ122が上述のように回転すると、イメージセンサ132の一端部がシェーディング板105の黒色部202からの反射光を読み取ることが考えられる。この場合、位置調整部402によりシェーディング板105に対する読取位置を調整した結果、シェーディング板105の読取結果にシェーディング板105の黒色部202に対応する読取結果が含まれていない状況も発生し得る。本実施形態では、この場合、シェーディング補正部401は、当該読取位置を以降のシェーディング補正位置として保持する構成になっている。これにより、次回のシェーディング補正実行時に速やかにシェーディング補正を開始することが可能になる。
また、複合機100は、傾き量算出部403及び傾き補正部404も備えている。傾き量算出部403は、シェーディング板105の読取結果からキャリッジ122の傾き量を算出する。傾き量には、例えば、上述の回転角度等のキャリッジ122の斜め状態の程度を定量化する任意のパラメータを使用することができる。特に限定されないが、本実施形態では、傾き量算出部403はシェーディング補正部401に設けられている。
傾き補正部404は、傾き量算出部403が算出したキャリッジ122の傾き量に基づいてイメージセンサ132が読み取る原稿画像の傾きを補正する。このような補正には、公知の任意の手法を使用することができる。本実施形態では、シェーディング補正部401により作成されたシェーディング補正用データによる補正及び傾き補正部404による傾き補正が適用された画像データは画像データ保持部411に保持される。そして、必要に応じて、画像形成部140において用紙上に印刷することができる。なお、画像データ保持部411は、例えば、HDD304により構成することができる。
図5は、本実施形態の複合機が実行するシェーディング補正手順の一例を示す図である。本実施形態では、例えば、複合機100の主電源が投入されたことをトリガとして本手順が開始する。
本手順が開始すると、シェーディング補正部401は、キャリッジ122が予め指定された上述のシェーディング補正位置、すなわち、イメージセンサ132が白基準部201と対向する位置へ移動するまで待機する(ステップS501No)。例えば、シェーディング補正位置の取得位置は、図6(a)に示すように、白基準部201の副走査方向の中央部にイメージセンサ132が位置する状態として設定することができる。
キャリッジ122の移動が完了すると、シェーディング補正部401は、イメージセンサ132にシェーディング板105を読み取らせる(ステップS501Yes、S502)。シェーディング補正部401は、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれているか否かを判定する(ステップS503)。シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれておらず、白基準部201に対応する読取結果のみが含まれている場合、シェーディング補正部401は、当該読取結果に基づいてシェーディング補正用データを作成する(ステップS503No、S510)。
一方、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれている場合、シェーディング補正部401は、位置調整部402にキャリッジ位置の変更を指示する(ステップS503Yes)。このとき、シェーディング補正部401の傾き量算出部403は、シェーディング板105の読取結果に基づいてキャリッジ122の傾き量を算出し、算出した傾き量を位置調整部402に入力する。また、シェーディング補正部401は、黒色部202からの反射光を受光したイメージセンサ132の受光素子の位置情報を位置調整部402に入力する。
位置調整部402は、入力された情報に基づいてキャリッジ122の移動量を算出し、当該移動量に基づいてキャリッジ122を移動させる。このとき、シェーディング補正部401はキャリッジ122の移動が完了するまで待機する(ステップS504No)。
例えば、キャリッジ122をシェーディング補正位置に移動させたときに、キャリッジ122の回転により、図6(b)に示すように、イメージセンサ132の一方端(図中では上方の端部)が黒色部202と対向する状態にあるとする。この場合、傾き量算出部403は、黒色部202からの反射光を受光したイメージセンサ132の受光素子を特定する。そして、当該特定結果に基づく幾何学的な演算によりキャリッジ122(イメージセンサ132)の傾き量を算出して位置調整部402に入力する。位置調整部402は、入力された情報(傾き量及び反射光を受光したイメージセンサ132の受光素子の位置情報)に基づいて、図6(c)に示すように、黒色部202と対向する受光素子が白基準部201と対向する状態となるキャリッジ122の移動量を幾何学的な演算により算出する。
また、キャリッジ122をシェーディング補正位置に移動させたときに、キャリッジ122の回転により、図6(d)に示すように、イメージセンサ132の両端が黒色部202と対向する状態にあるとする。この場合、傾き量算出部403は、黒色部202からの反射光を受光したイメージセンサ132の受光素子を特定する。そして、当該特定結果に基づく幾何学的な演算によりキャリッジ122(イメージセンサ132)の傾き量を算出して位置調整部402に入力する。この場合、位置調整部402は、上述のように、シェーディング板105の読み取りを複数回繰り返すことで、イメージセンサ132を構成する全受光素子が白基準部201の反射光を受光するようにキャリッジ122を移動させる。すなわち、位置調整部402は、入力された情報(傾き量及び反射光を受光したイメージセンサ132の受光素子の位置情報)に基づいて、図6(e)に示すように、イメージセンサ132の一方端(図中では上方の端部)において黒色部202と対向する受光素子が白基準部201と対向する状態となるキャリッジ122の移動量を幾何学的な演算により算出する。また、位置調整部402は、入力された情報に基づいて、図6(f)に示すように、イメージセンサ132の他方端(図中では下方の端部)において黒色部202と対向する受光素子が白基準部201と対向する状態となるキャリッジ122の移動量を幾何学的な演算により算出する。
キャリッジ122の移動が完了すると、シェーディング補正部401は、イメージセンサ132にシェーディング板105を読み取らせる(ステップS504Yes、S505)。シェーディング補正部401は、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれているか否かを判定する(ステップS506)。シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれておらず、白基準部201に対応する読取結果のみが含まれている場合(例えば、図6(b)、図6(c)の場合)、シェーディング補正部401は、傾き量算出部403が算出したキャリッジ122の傾き量を傾き補正部404に入力する(ステップS506No、S509)。この場合、傾き補正部404は、入力された傾き量に基づいて、イメージセンサ132が読み取る原稿画像の傾きを補正する。また、シェーディング補正部401は、当該読取結果に基づいてシェーディング補正用データを作成する(ステップS510)。
シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれているか否かを判定するステップS506において、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれている場合、シェーディング補正部401は、一連の調整動作中に取得されたシェーディング板105の読取結果において、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光したか否かを判定する(ステップS506Yes、S507)。例えば、キャリッジ122が、図6(d)に示す状態、図6(e)に示す状態に順に移動した場合、シェーディング補正部401は、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光していないと判定する。
イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光していない場合、シェーディング補正部401は、その旨を位置調整部402に入力する。このとき、位置調整部402は当該通知に応じてキャリッジ122を移動させる(ステップS507No、S504)。このとき、シェーディング補正部401はキャリッジ122の移動が完了するまで待機する(ステップS504No)。
上述のように、図6(d)に示す事例では、位置調整部402は、図6(e)に示す状態となるキャリッジ122の移動量と、図6(f)に示す状態となるキャリッジ122の移動量とを既に算出している。そのため、位置調整部402は、シェーディング補正部401からの通知に応じて、既算出の移動先の中で未だ移動させていない位置(図6(f)の状態)へキャリッジ122を移動させる。
キャリッジ122の移動が完了すると、シェーディング補正部401は、イメージセンサ132にシェーディング板105を読み取らせる(ステップS504Yes、S505)。シェーディング補正部401は、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれているか否かを判定する(ステップS506)。図6(f)に示す状態では、シェーディング板105の読取結果に黒色部202に対応する読取結果が含まれている。この場合、シェーディング補正部401は、一連の調整動作中に取得されたシェーディング板105の読取結果において、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光したか否かを確認する(ステップS506Yes、S507)。キャリッジ122が、図6(d)に示す状態、図6(e)に示す状態、図6(f)に示す状態に順に移動した場合、シェーディング補正部401は、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光していると判定する。なお、図6(d)、図6(e)、図6(f)では、白基準部201からの反射光を受光する受光素子の範囲を太線で示している。
イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201からの反射光を受光している場合、シェーディング補正部401は、一連の調整動作中に取得されたシェーディング板105の読取結果から白基準部201に対応する読取結果を全受光素子について抽出する(ステップS507Yes、S508)。そして、シェーディング補正部401は、傾き量算出部403が算出したキャリッジ122の傾き量を傾き補正部404に入力する(ステップS509)。この場合、傾き補正部404は、入力された傾き量に基づいて、イメージセンサ132が読み取る原稿画像の傾きを補正する。また、シェーディング補正部401は、当該読取結果に基づいてシェーディング補正用データを作成する(ステップS510)。
なお、上記実施形態において、シェーディング板105は、キャリッジ122の移動可能範囲内に配置されていればよく、その配置位置は特に限定されない。また、黒色部202も完全に黒色である必要はなく、白基準部201からの反射光と黒色部202からの反射光とを確実に区別可能であれば、その濃度は限定されない。
以上説明したように、この複合機100では、シェーディング板105の読取結果にシェーディング板105の黒色部202に対応する読取結果が含まれているか否かによりキャリッジ122が斜め状態にあるか否かを容易に判別することができる。そして、シェーディング板105の読取結果にシェーディング板105の黒色部202に対応する読取結果が含まれている場合、シェーディング板105の読取結果に基づいてシェーディング板105に対する読取位置を調整するため、キャリッジ122が斜め状態になっている場合でもシェーディング補正を適切に実施することができる。また、この複合機100は、傾き補正部404を備えるため、キャリッジ122が傾いている場合であっても適正な画像データを取得することができる。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、傾き補正部404を備える構成を説明したが、当該要素は本発明に必須の要素ではない。例えば、当該要素を備えない構成であっても、斜め状態にあるキャリッジ122に対してシェーディング補正を適切に実施することができる。
また、図5に示したフロー図は、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、図5では、イメージセンサ132を構成する受光素子が黒色部202と対向する状態にあるときに、傾き量算出部403が傾き量を算出する構成とした。しかしながら、イメージセンサ132を構成する全ての受光素子が白基準部201と対向する状態にある場合でも、キャリッジ122を副走査方向に移動させて受光素子が黒色部202と対向する状態とし、当該状態でのイメージセンサ132の読取結果に基づいて傾き量算出部403が傾き量を算出する構成であってもよい。
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、これらの装置に限らず、プリンタ、ファクシミリ、複写機、複合機等のキャリッジの移動に伴って、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る任意の画像読取装置や画像形成装置に本発明を適用することも可能である。