図1〜図11に基づいて、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、説明の便宜のため、図1〜図11においては、電池の形状等を誇張して描いている。また、図11は、従来技術を示すものである。
また、本発明に係る電池を構成する各部材について、実際には、正極と負極との区別がある部材であっても、説明に際し特に正負を区別する必要がない場合には、正極側の部材と負極側の部材とを同じ部材番号で示し、特に正負を区別する必要がある場合にのみ、正側の部材には部材番号の後ろに「a」を付し、負側の部材には部材番号の後ろに「b」を付すものとする。
(本発明の概要)
各実施例の詳細を説明する前に、まず本発明の概要を説明しておくことにする。
本発明に係る電池は、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうち、少なくとも2つを備えた電池であって、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちのいずれか2つが、2種類以上の接続手段を組み合わせて電気的に接続されており、物理的強度および電気的低抵抗が実現されている。
つまり、外装体内において、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが、或る特定の1つの接続手段によって接続されているのではなく、2種類以上の接続手段を組み合わせて電気的に接続されている。
従って、本発明は、1つの接続手段のみによって接続される場合には不可能であった、物理的強度と電気的低抵抗との両立を実現して、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが電気的に接続されている。
ここで、特に高エネルギーを有する大型電池にあっては、発電素子である積層体も大型化、重量化する傾向があり、それに併せて、発電素子の集電部と電極リードと電極端子とについても、その厚みが2mm以上となる傾向がある。
詳細は後述するが、超音波溶接は、厚さ1〜2mmまでの薄板同士での実績に留まり、それ以上の厚みの溶接では信頼性が未知数であるのに対し、抵抗溶接は、厚さが2mmを超えるような金属板同士の溶接について実績があり、信頼性が高い。
従って、以下の各実施例にあっては、抵抗溶接を、上記十分な物理的強度を有し、かつ電気的に低抵抗な方法で接続するための2種類以上の接続手段の1つとして用いる。つまり、以下の実施例においては、積層体の集電部と電極リードと電極端子とのうちの2つが、抵抗溶接によって、電気的に接続されている。
つまり、本発明は、例えば、厚さが2mmを超えるような金属板同士の溶接について実績があり、信頼性のある抵抗溶接を用いて、積層体の集電部と電極リードと電極端子とのうちの2つが電気的に接続されている電池であって、当該抵抗溶接による接続の物理的強度を補強するために、抵抗溶接以外の接続手段によって、当該接続部分が補強された電池を提供するものである。
ただし、本発明は、接続手段として抵抗溶接を含むものに限定されない。
図1は、本発明の一実施例である、発電素子としての積層体10の集電部20と、電極端子60とが抵抗溶接と超音波溶接とによって接続されている電池1の平面図であり、210は抵抗溶接位置を、220は超音波溶接位置を示している。
また、図5は、本発明の別の実施例に係る、積層体10の集電部20と電極端子60との接続について、抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220とを工夫して配置している電池1’の平面図である。
図6は、本発明のさらに別の実施例に係る、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接とネジ230とによって接続されている電池2の平面図である。
さらに、図7は、本発明の他の実施例に係る、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と固定用部材240とによって接続されている電池3の平面図である。
なお、図1、図5、図6および図7において、210は抵抗溶接位置を示している。
各実施例において、発電素子としての積層体10の集電部20と電極リード40と電極端子60とのうちの2つが電気的に接続される部分であって、その厚みが合計で3mm以上である部分は、抵抗溶接を用いて、接続されている。溶接する薄板同士の厚みが合計で3mm以上の厚い部分の溶接としては、確実に導通がとれるのは抵抗溶接だからである。
しかし、詳細は後述するが、大型化、重量化した積層体を備えた、高エネルギーを有する電池にあっては、発電素子の集電部と電極リードと電極端子とのうちの2つが電気的に接続される部分を、抵抗溶接のみで接続するのは、物理的強度等の観点から言って、改良の余地が残る。
従って、各実施例においては、上記の、積層体10の集電部20と電極リード40と電極端子60とのうちの2つが電気的に接続される部分は、抵抗溶接だけではなく、さらに、抵抗溶接以外の方法によっても、接続されている。
以上を整理すれば、各実施例にあっては、積層体10の集電部20と電極リード40と電極端子60とのうちの2つが電気的に接続される部分であって、その厚みが合計で3mm以上である部分は、抵抗溶接と抵抗溶接以外の方法とによって、電気的に接続されている。厚さが2mmを超えるような金属板同士の溶接について実績があり、信頼性のある抵抗溶接と、抵抗溶接の物理的強度等を補強するための、抵抗溶接以外の接続手段とを組み合わせて用いることにより、外装体30内において、積層体10の集電部20と電極リード40と電極端子60とのうちの2つが、十分な物理的強度を有し、かつ電気的に低抵抗な方法で、電気的に接続している電池を実現することができる。
以下の各実施例においては、上記抵抗溶接以外の接続手段として、超音波溶接と、ネジ230と、固定用部材240とを説明する。なお、図1および図5において、210は抵抗溶接位置を、220は超音波溶接位置を示している。
なお、以下では、積層体10の集電部20と電極リード40と電極端子60とのうちの2つを電気的に接続する部分のうち、特に、積層体10の集電部20と電極端子60とが直接接続されている電池の、積層体10の集電部20と電極端子60との接続部分について、超音波溶接とネジ230と固定用部材240との少なくとも1つを用いて、抵抗溶接を補強している電池を実施例として説明を行う。
しかし、発電素子の集電部と電極端子とが直接接続されている電池のみではなく、発電素子の集電部と電極端子とが電極リードを介して接続されている電池も、本発明の範囲に含まれる。具体的には、発電素子の集電部―電極リード、および電極リード―電極端子の少なくとも一方が、超音波溶接と、ネジと、固定用部材との少なくとも1つと、抵抗溶接とによって接続されている電池であれば、本発明の範囲に含まれる。
つまり、外装体内で、発電素子の集電部と電極リードと電極端子とのうちの2つが、抵抗溶接と、抵抗溶接の物理的強度を補強するための抵抗溶接以外の接続手段とを組み合わせて、接続されている電池であれば、本発明の範囲に含まれる。
まず、抵抗溶接と、超音波溶接と、ネジと、固定用部材という、4つの接続手段の各々について、その概要を整理する。
(各接続手段の概要)
(抵抗溶接)
図1および図5は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と超音波溶接とによって接続されている、電池1および電池1’の平面図である。210は抵抗溶接位置を、220は超音波溶接位置を、示している。
抵抗溶接は、溶接したい母体に電流を流しジュール熱を発生させ、その母体を溶解させ、それと同時に加圧することによって接続する溶接方法であり、この方法を応用した溶接法として、スポット溶接等を挙げることができる。
抵抗溶接は、厚さが2mmを超えるような金属板同士の溶接について実績があり、信頼性が高い。また、合計の厚みが3mm以上の厚い部分の溶接としては、確実に導通が取れるのは抵抗溶接になるので、当該厚い部分の接続には、抵抗溶接を少なくとも1ヶ所は行う。
以下のいずれの実施例においても、発電素子としての積層体10の集電部20と電極端子60とを電気的に接続する部分の厚みは合計で3mm以上であり、従って、抵抗溶接を用いて接続されている。
しかし、抵抗溶接には以下のような短所があるため、それらの短所を補うために、抵抗溶接以外の接続手段を、抵抗溶接と組み合わせて用いる。
抵抗溶接の短所として、まず、抵抗溶接は、特に、1点溶接の場合、溶接面に平行な回転方向の力に弱い。ただし、回転方向の力がなければ、同じ溶接面積について、後述する超音波溶接に比べて、抵抗溶接の方が物理的強度の点では優れている。
また、抵抗溶接は、基本的には、狭い間隔での溶接には向いておらず、具体的には、狭い面積に2カ所以上の溶接を行う場合、10mm程度間隔をあけないと、電流が分散して好く溶接できない。また、狭い間隔で2カ所以上に抵抗溶接を行う場合には、電流が溶接ポイントに集中するよう、0.3mm程度の溶接補強板を乗せ、その溶接補強板に窪みを付けるといった工夫が必要となる。
その他、抵抗溶接を行う場合には、スパッタが飛ぶが、このスパッタが積層体10内に飛び込むと、異物となって電池の特性に影響を与える可能性がある。
各実施例において、抵抗溶接位置210の面積は、いずれの実施例においても、1cm2程度を想定している。
(超音波溶接)
図1および図5は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と超音波溶接とによって接続されている、電池1および電池1’の平面図である。210は抵抗溶接位置を、220は超音波溶接位置を、示している。
超音波溶接は、溶接部に超音波で振動する工具を押し当てて、母材が互いに摩擦することにより接合を行なうものであり、アルミ箔や銅箔などの薄い金属箔の接合に適する。しかし、基本的には、厚さ1〜2mm程度の薄板同士の溶接においてしか実績がない。
超音波溶接において、接合は面接合になり、抵抗溶接の一種であるスポット接合より大きな面になる傾向がある。なお、抵抗溶接と超音波溶接とで、溶接面積を同じにした場合には、抵抗溶接の方が物理的強度は高い。
超音波溶接は、狭い間隔で2カ所以上を溶接する場合であっても、抵抗溶接が必要とするような特別な工夫を必要としない。
その他、超音波溶接においては、溶接前の金属表面に酸化皮膜および汚れ等が付着していても、初期の振動によりそれらを破壊、飛散させて、清浄な面同士を接触させ、さらに振動を継続させることによって原子拡散を惹起するので、特別な表面処理が不要である。
つまり、超音波溶接においては、積層体10の集電部20と電極端子60との溶接しようとする面の状況によらずに、溶接することが可能である。
ただし、超音波溶接に際しては、超音波のパワーが過度に強いと、電極板12の塗工部、つまり電極活物質122を塗布している部分の剥がれを発生させるおそれがあるため、注意が必要である。
超音波溶接位置220の面積は、1cm2程度を想定している。
(ネジ)
図6は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接とネジ230とによって接続されている電池2の平面図である。210は、抵抗溶接位置を示している。
ネジ230を用いて、抵抗溶接位置210の物理的強度を補強することができる。ネジ230は、固定用部材240ほどではないが、超音波溶接よりもさらに、高い物理的強度を有する接続手段である。
ネジ230は、固定用部材240に比べれば取り付けは容易だが、抵抗溶接と超音波溶接との組合せに比べると実施するのに手間がかかり、つまり抵抗溶接と超音波溶接との組み合わせに比べて、電池製造コストの増加につながりやすい。
また、本願発明者らは、電極リード40と電極端子60との接続をネジ230のみによって実施した電池を作成してみたところ、電気的抵抗が大きく、電圧効果も大きいことを確認している。
(固定用部材)
図7は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と固定用部材240とによって接続されている電池3の平面図である。210は、抵抗溶接位置を示している。
集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210を、例えば、図8および図9に示すようなコの字型またはロの字型の固定用部材240によって覆い、当該抵抗溶接位置210の物理的強度を補強する方法である。
集電部20と電極端子60との抵抗溶接による接続を、固定用部材240を用いて補強する方法は、抵抗溶接を超音波溶接によって補強する方法、および、抵抗溶接をネジ230によって補強する方法に比べて、物理的強度が強い。
また、固定用部材240は、ネジ230よりもさらに取り付けに際し時間を要する上、固定用部材240自体の製造費用の分も含め、これまでに説明してきた接続手段の中では、実施するのにコストが最もかかる。
なお、固定用部材240の材質、サイズ、および形状について、詳細は後述する。
固定用部材240の材質としては、積層体10の集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210を、接続が外れないよう、ピッタリと固定し補強することができるものであって、電解液50によって腐食することのないものである必要がある。また、充放電特性への影響が懸念されるため、金属等の伝導性の部材は、固定用部材としては不適である。
本実施例において固定用部材240の材料としてはポリプロピレンを用いたが、これに限られるものではなく、電気的絶縁性があり、硬く、ある程度の耐電解液性もある材料であればよい。例えば、積層体10の集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210をカプトンテープで固定したり、粘着剤で固定したりする場合も、本発明に係る固定用部材を用いた接続の範囲に含まれる。
(接続手段の整理)
物理的強度について整理すると、最も物理的強度が高いのは、固定用部材を用いて抵抗溶接位置210を補強する方法であり、以下、ネジ230によって補強を行う方法、超音波溶接によって補強を行う方法の順である。
(実施例1.抵抗溶接と超音波溶接との基本的配置位置)
図1は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と超音波溶接とによって接続されている電池1の平面図であって、抵抗溶接位置210と、超音波溶接位置220とが、基本的な位置関係になるよう配置されている電池1を示している。電池1においては、抵抗溶接位置210と、超音波溶接位置220と、積層体10とが、1直線状に並ばずに配置されている。
電池1においては、図1に示すように、超音波溶接位置220が2カ所あり、当該2カ所の超音波溶接位置220は、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向(y方向)に並んで配置されている。
上記2カ所の超音波溶接位置220からほぼ等距離に、抵抗溶接位置210が配置されている。
抵抗溶接位置210は、積層体10からできるだけ離れた位置に配置されることが好ましい。集電部20の、積層体10からできるだけ離れた位置に抵抗溶接位置210を配置することにより、抵抗溶接を行う際に積層体10内にスパッタが飛んで異物となり、電池1の電池特性に与える影響を防止あるいは抑制することができる。
また、上記2カ所の超音波溶接位置220は、集電部20の幅一杯に、つまりy方向一杯に離して、配置されることが好ましい。抵抗溶接は、特に1点溶接の場合、溶接する金属板に平行な面における、つまりx−y平面における回転方向の力に対する物理的強度が十分ではないため、抵抗溶接位置210の物理的強度の補強という観点から言えば、超音波溶接位置220は、抵抗溶接位置210に、x−y平面上の回転方向の力がかからないよう、配置されていることが好ましいからである。
なお、集電部20と電極端子60との接続について、集電部20の幅方向の、つまりy方向の端の一方を超音波溶接によって接続し、他方の端を抵抗溶接によって接続する配置によっても、ほぼ同様の効果を得ることができる。
この場合にも、抵抗溶接位置210について、その物理的強度を超音波溶接位置220によって補強することができ、特に、抵抗溶接位置210の、溶接する金属板に平行な面における、つまりx−y平面における回転方向の力に対する物理的強度を、超音波溶接位置220によって補強することができるからである。
ただし、当然、集電部20の幅方向の、つまりy方向の端をそれぞれ抵抗溶接と超音波溶接とによって接続する方法よりも、集電部20の幅方向の両端に超音波溶接位置220を配置し、当該2カ所の超音波溶接位置からほぼ等距離に、抵抗溶接位置210を配置する方が、物理的強度の面からすれば優位である。
抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220との面積はそれぞれ、1cm2程度である。
(実施例2.抵抗溶接と超音波溶接との応用的配置位置)
図5は、積層体10の集電部20と電極端子60とが抵抗溶接と超音波溶接とによって接続されている電池1’の平面図であって、抵抗溶接位置210と、超音波溶接位置220とが、抵抗溶接の実施の際にスパッタが積層体10内に飛び込まないように、抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220との配置を工夫した電池1’を示している。電池1’においては、抵抗溶接位置210と、超音波溶接位置220と、積層体10とが、1直線状に並べて配置され、かつ、抵抗溶接位置210と積層体10との間に超音波溶接位置220が来るように、配置されている。
抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220との配置位置以外の点では、電池1と電池1’とは同じものであり、説明の便宜上、電池1と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
電池1’においては、図5に示すように、超音波溶接位置220が2カ所あり、当該2カ所の超音波溶接位置220は、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向(y方向)に並んで配置されている。
抵抗溶接位置210は、抵抗溶接位置210と集電部20とが、上記2カ所の超音波溶接位置220の一方を挟んで一直線上に並ぶように、配置されている。図5に即して言えば、抵抗溶接位置210と、積層体10とは、上記2カ所の超音波溶接位置220のうち図5で上側に位置する方の超音波溶接位置220を挟んで、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)の1直線上に並んで配置されている。
抵抗溶接位置210と積層体10との間に超音波溶接位置220が配置されるように、抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220とを配置することにより、抵抗溶接を行う際に積層体10内にスパッタが飛んで異物となり、電池1’の電池特性に与える影響を防止あるいは抑制することができる。
なお、上記2カ所の超音波溶接位置220は、集電部20の幅一杯に、つまりy方向一杯に離して、配置されることが好ましいことは、前述の通りである。
抵抗溶接位置210と超音波溶接位置220との面積はそれぞれ、1cm2程度である。
(実施例3.抵抗溶接とネジとの組み合わせ)
抵抗溶接の物理的強度を補強するのに、ネジ230を用いることができる。
図6は、積層体10の集電部20と電極端子60との電気的接続について、ネジ230によって、抵抗溶接位置210の物理的強度を補強している電池2を示す平面図である。
なお、説明の便宜上、これまでに説明した実施例と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。抵抗溶接位置210は、これまで説明してきた実施例における抵抗溶接位置210と違いはなく、面積は1cm2程度である。
集電部20と電極端子60とを接続するのに際し、集電部20の幅方向、つまりy方向の一方の端に抵抗溶接位置210を配置し、ネジ230を他方の端に配置する。
また、抵抗溶接位置210とネジ230を結ぶ、集電部20の溶接面上の直線は、y方向に一致し、集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に対し垂直となっている。
上記のように、抵抗溶接は、特に1点溶接の場合、溶接する金属板に平行な面における、つまりx−y平面における回転方向の力に対する物理的強度が十分ではない。従って、抵抗溶接位置210とネジ230とを、集電部20の幅方向、つまりy方向の両端に配置し、かつ、抵抗溶接位置210とネジ230を結ぶ、集電部20の溶接面上の直線が、集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に対し垂直となるように、抵抗溶接位置210とネジ230とを配置することによって、抵抗溶接位置210の物理的強度を、ネジ230によってより強く補強することができる。
(実施例4.抵抗溶接と固定用部材との組み合わせ)
抵抗溶接の物理的強度を補強するのに、固定用部材240を用いることができる。
図7は、積層体10の集電部20と電極端子60との電気的接続について、固定用部材240を用いて抵抗溶接位置210の物理的強度を補強している電池3を示す平面図である。
図8は、図7に示した固定用部材240のうち、ロの字型の断面形状を有する固定用部材240を用いて、積層体10の集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210の物理的強度を補強している電池を示す断面図である。
図9は、図7に示した固定用部材240のうち、コの字型の断面形状を有する固定用部材240を用いて、積層体10の集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210の物理的強度を補強している電池を示す断面図である。
なお、説明の便宜上、これまでに説明した実施例と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。抵抗溶接位置210は、これまで説明してきた実施例における抵抗溶接位置210と違いはなく、面積は1cm2程度である。
図7に示すように、固定用部材240は、抵抗溶接によって互いに接続されている、厚さ2mmの集電部20と、厚さ2mmの電極端子60とをピッタリと覆っている。固定用部材240のサイズは、厚み方向の高さが4mm程度、集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)の幅が32mm程度である。
上記において固定用部材240の高さは4mm程度であるとしたが、固定用部材240は集電部20と電極端子60とを、その抵抗溶接位置210の物理的強度を補強するよう、例えばピッタリと覆うことができればよいのであって、高さが4mmであることは必須ではない。
また、図8および図9では、抵抗溶接によって互いに接続されている集電部20と電極端子60とを覆うことによって、抵抗溶接位置210の物理的強度を補強するタイプの固定用部材240を示している。しかし、本発明に係る固定用部材は、抵抗溶接によって互いに接続されている集電部20と電極端子60とを覆っている必要はなく、抵抗溶接位置210の物理的強度を補強するものであればよい。例えば、積層体10の集電部20と電極端子60との抵抗溶接位置210をカプトンテープで固定したり、粘着剤で固定したりする場合も、本発明に係る固定用部材を用いた接続の範囲に含まれる。
つまり、本発明に係る固定用部材は、抵抗溶接位置210を圧力または接着(粘着)によって物理的に補強し固定するものであればよい。
(各実施例の利用環境)
上記4つの実施例は、状況に応じて使い分けることができる。
すなわち、電気的低抵抗をより重視する場合には、抵抗溶接と超音波溶接とを組み合わせた接続手段を、つまり上記の実施例1または実施例2を採用することができる。また、物理的強度をより重視する場合には、抵抗溶接とネジ230または固定用部材240とを組み合わせた接続手段を、つまり上記の実施例3または実施例4を採用することができる。
(各実施例と従来の電池との比較実験)
図10は、実施例1〜4、つまり電池1、1’、2、3と、従来の接続手段によって、つまり抵抗溶接のみによって、集電部920と電極端子960とが電気的に接続されている電池9とについて、振動実験等を行った結果を示す表である。
また、図11は、従来の接続手段によって、つまり抵抗溶接のみによって、集電部920と電極端子960とが電気的に接続されている電池9を示している。
また、図10で実施例1とは、図1に示す、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向(y方向)に並べて、集電部20の幅方向一杯に、2カ所の超音波溶接位置220を配置し、当該2カ所の超音波溶接位置220からほぼ等距離に、抵抗溶接位置210を配置して、積層体10の集電部20と電極端子60とを接続している電池1である。
図10で実施例2とは、図5に示す、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向(y方向)に並べて、集電部20の幅方向一杯に、2カ所の超音波溶接位置220を配置し、抵抗溶接位置210と積層体10との間に、当該2カ所の超音波溶接位置220の一方が配置されるように、抵抗溶接位置210を配置して、集電部20と電極端子60とを接続している電池1’である。
また、実施例3とは、図6に示す、抵抗溶接とネジ230による補強とを組み合わせて、集電部20と電極端子60とを接続している電池2を、実施例4とは、図7に示す、抵抗溶接と固定用部材240による補強とを組み合わせて、集電部20と電極端子60とを接続している電池3を指している。
なお、従来方法とは、あくまでも、「積層体と電極端子または電極リードとを抵抗溶接のみによって電気的に接続する」方法を指すものに過ぎない。上記従来方法は、大型化および高容量化が進む前の電池において、積層体と電極端子または電極リードを接続したり、電極リードと電極端子とを接続したりするのに用いられてきたに過ぎない。
電池1、1’、2、3と、従来方法、つまり抵抗溶接のみによって、集電部920と電極端子960とが電気的に接続されている電池9とについて、振動実験等の内容と、その実験結果とを、以下に説明する。
なお、電池1、1’、2、3は、集電部20と電極端子60との接続に用いている接続手段以外の点では、同じものであるが、電池1、1’、2、3と従来方法に係る電池9とも、集電部と電極端子との接続に用いている接続手段以外の点では、同じものである。つまり、電池9の積層体910、集電部920、外装体930、電極端子960と、電池1、1’、2、3の積層体10、集電部20、外装体30、電極端子60とは、同じものである。また、詳細は後述するが、積層体10および910の重量は500gであり、集電部20および920の厚さは2mm、電極端子60および960の厚さは2mmである。
実験としては、まず、充放電評価を実施し、仕様の電気容量が出ているかを確認した。具体的には、0.1Cのレートでの初期充放電評価を行い、その結果、全ての電池について、電気容量が仕様通り出ていることを確認した。
なお、1Cとは、公称容量値の電気容量を有する電池を定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値のことであり、例えば、2.2Ahの公称容量値のセルでは1C=2.2Aである。つまり、0.1Cは、公称容量値の電気容量を有するセルが10時間で放電終了となる電流値であり、例えば、上述の2.2Ahの公称容量値のセルでは0.22Aである。
次に、振動試験を行い、集電部20(または920)と電極端子60(または960)との接続部分の強度を確認した。具体的には、各電池に振動を加えた後、電池を分解した。その結果、従来の接続手段を用いている、つまり抵抗溶接のみによって、集電部920と電極端子960とを接続している5個の電池9のうち1個について、抵抗溶接位置210が破損し、集電部920と電極端子960との接続に問題が発生していることを確認した。その他の電池については全て、振動による影響がないことを、分解解析によって確認した。
つまり、重量が500gである積層体10または910の、厚さ2mmの集電部20または920と、厚さ2mmの電極端子60または960とを、十分な物理的強度を有し、かつ電気的に低抵抗な方法で、電気的に接続するには、従来の接続手段、つまり抵抗溶接のみでは不十分であることを確認した。
一方、実施例1〜4、つまり電池1、1’、2、3は、全て、電気的接続についても、物理的強度についても問題のないことを確認した。つまり、抵抗溶接と、抵抗溶接の欠点を補うための抵抗溶接以外の接続手段とを組み合わせて、集電部20と電極端子60とを電気的に接続することによって、集電部20と電極端子60とが、十分な物理的強度を有し、かつ電気的に低抵抗な方法で、電気的に接続している電池を実現できたことを確認した。
(電池1の各構成要素の構造)
次に、図3および図4を用いて、電池1を構成する各部材の各種形態について説明する。
図3は、電池1の全体構造を示す分解斜視図であり、図4は、電池1の詳細構造を示す断面図である。なお、上記のように、図5の電池1’、図6の電池2、図7の電池3は、集電部20と電極端子60との接続に用いている接続手段以外の点では、電池1と同じ構造である。また、図11に示した、従来方法に係る電池9も、集電部と電極端子との接続に用いている接続手段以外の点では、電池1と同じ構造である。すなわち、電池9の積層体910、集電部920、外装体930、電極端子960と、電池1、1’、2、3の積層体10、集電部20、外装体30、電極端子60とは、同じものである。
図3に示すように、電池1は、発電素子としての積層体10と電解液50(図示しない)とが外装体30内に封入されて成る。なお、封口体30bによって開口部が封口される前の外装体を外装体30aとし、開口部を封口体30bによって封口された後の外装体を外装体30とする。電池1は、封口前の外装体30a内に積層体10を格納し、電解液50を注液した後、封口前の外装体30aの開口部を封口体30bによって封口して成る。
外装体30内において、積層体10は、集電部20を介して、外装体30内に延びた電極端子60に電気的に接続している。なお、積層体10の集電部20が、電極リード(図示しない)をさらに介して、電極端子60と電気的に接続している構成であってもよい。
図4に示すように、積層体10は、セパレータ11を介して対向する正極板12aおよび負極板12bを含む。外装体30内で、積層体10の正極板12aと負極板12bとの間に電解液50が満たされ、さらにセパレータ11が正極板12aと負極板12bとの短絡を防いでいる。
正極板12aは、正極集電体121aに正極活物質122aを塗布したものであり、一方、負極板12bは、負極集電体121bに負極活物質122bを塗布したものである。
正極集電体121aの一方の端部には正極活物質122aが塗布されておらず、この正極活物質122aの塗布されていない、複数の正極集電体121aの端部を束ね、正極端子60aへと電気的に接続させるように、正極集電部20aが形成されている。
同様に、負極集電体121bの一方の端部には負極活物質122bが塗布されておらず、この負極活物質122bの塗布されていない、複数の負極集電体121bの端部を束ね、負極端子60bへと電気的に接続させるように、負極集電部20bが形成されている。
次に、電池1の各構成要素の材質等について説明する。
まず、電極板12について説明すれば、正極集電体121aは、例えば、アルミニウム箔であり、負極集電体121bは、例えば、銅箔である。
正極板12aの正極活物質122aとしては、リチウムが含有された酸化物(LiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiMnO2、LiMn2O4など)や、その酸化物の遷移金属の一部を他の金属元素で置換した化合物などが挙げられる。なかでも、通常の使用において、正極板12aが保有するリチウムの80%以上を電池反応に利用し得るものを正極活物質122aとして用いれば、過充電などの事故に対する安全性を高めることができる。
また、負極板12bの負極活物質122bとしては、リチウムが含有された物質やリチウムの挿入/離脱が可能な物質が用いられる。特に、高いエネルギー密度を持たせるためには、リチウムの挿入/離脱電位が金属リチウムの析出/溶解電位に近いものを用いるのが好ましい。その典型例は、粒子状(鱗片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状および粉砕粒子状など)の天然黒鉛もしくは人造黒鉛である。
なお、正極板12aの正極活物質122aに加えて、また、負極板12bの負極活物質122bに加えて、導電材、増粘材および結着材などが含有されていてもよい。導電材としては、正極板12aや負極板12bの電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、炭素繊維などの炭素質材料や導電性金属酸化物などを用いることができる。
増粘材としては、例えば、ポリエチレングリコール類、セルロース類、ポリアクリルアミド類、ポリN−ビニルアミド類、ポリN−ビニルピロリドン類などを用いることができる。結着材は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎとめる役割を果たすものであり、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピリジン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系ポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマーや、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。
また、セパレータ11としては、電解液50に侵されない微多孔性の高分子フィルムを用いることが好ましい。具体的には、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどのポリオレフィン高分子からなるフィルムが使用可能である。
また、電解液50としては、有機電解液を用いることが好ましい。具体的には、有機電解液の有機溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ―ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタンなどのエーテル類、さらに、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチルなどが使用可能である。なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
さらに、有機溶媒には電解質塩が含まれていてもよい。この電解質塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ホウフッ化リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸(LiCF3SO3)、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムおよび四塩化アルミン酸リチウムなどのリチウム塩が挙げられる。なお、これらの電解質塩は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
電解質塩の濃度は特に限定されないが、約0.5〜約2.5mol/Lであれば好ましく、約1.0〜2.2mol/Lであればより好ましい。なお、電解質塩の濃度が約0.5mol/L未満の場合には、電解液50中においてキャリア濃度が低くなり、電解液50の抵抗が高くなるおそれがある。一方、電解質塩の濃度が約2.5mol/Lよりも高い場合には、塩自体の解離度が低くなり、電解液50中のキャリア濃度が上がらないおそれがある。
外装体30の材質としては、例えば、鉄、ニッケルメッキされた鉄、ステンレススチール、およびアルミニウムなどを利用することができる。
(電池1の容量およびサイズ等)
次に、電池1の一例について、容量、サイズ、重量等について、以下に説明する。
(正極)
正極集電体121aは、圧延アルミニウム箔(厚さ:20μm)であり、当該正極集電体121aの両面に、ダイコーターを用いて正極活物質122aを塗布し、乾燥電極厚が290μmで、300mm(縦)×150mm(横)の正極板12aを得る。
上記のように、正極集電体121aの一方の端には正極活物質122aを塗布しない部分が残されるが、この未塗工部のサイズは、9mm(縦)×150mm(横)である。
複数の正極集電体121aの未塗工部を束ね、正極端子60aへと電気的に接続させるように、正極集電部20aが形成されている。
(負極)
負極集電体121bは、圧延銅箔(厚さ:10μm)であり、当該負極集電体121bの両面に、ダイコーターを用いて負極活物質122bを塗布し、乾燥電極厚が180μmで、304mm(縦)×154mm(横)の負極板12bを得る。
負極集電体121bの一方の端には負極活物質122bを塗布しない部分が残されるが、この未塗工部のサイズは、9mm(縦)×154mm(横)である。
複数の負極集電体121bの未塗工部を束ね、負極端子60bへと電気的に接続させるように、負極集電部20bが形成されている。
(セパレータ)
セパレータ11は、例えば、厚さ20μmのポリエチレン板である。
(積層体)
積層体10は、セパレータ11/負極板12b/セパレータ11/正極板12a/セパレータ11/負極板12b・・・/セパレータ11/負極板12b/セパレータ11の順で積層させたものである。
ここで、上記のように、正極板12aの乾燥電極厚は290μmであり、負極板12bの乾燥電極厚は180μmであり、セパレータ11の厚さは20μmである。つまり、セパレータ11を介して互いに対向する1組の、負極板12bと正極板12aとのセットの厚みは約500μmである。従って、負極板12bと正極板12aとのセットをn個積層する場合、つまり、集電体束数をnとすると、積層体10の厚みは、500μm×nとなる。電池1においては、例えばn=30とし、積層体10の厚みは15mmである。また積層体10の積層面のサイズは、335mm(縦)×154mm(横)である。
上記の構成によれば、積層体10の容量は50Ahであり、重量は500gである。
(集電部)
正極集電部20aおよび負極集電部20bについて、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向、つまりy方向の幅は、約20mmである。
(電極端子)
正極端子60aには厚み2mmのアルミニウム板を用い、負極端子60bには厚み2mmの銅板を用いた。正極端子60aおよび負極端子60bについて、積層体10の集電部20と電極端子60との接続方向(x方向)に垂直な方向、つまりy方向の幅は、約30mmである。
(電極リード)
電池1では電極リード40を用いなかったが、本発明に係る電池においては、積層体10の集電部20と電極端子60とが、電極リード40を介して電気的に接続していてもよい。その場合、正極タブには、アルミニウム箔(厚さ:100μm、幅:30mm)を、負極タブには、ニッケル箔(厚さ:100μm、幅:30mm)を用いてもよい。
(本発明に係る電池の変形例)
これまでの、電極端子60に接続されるのは1つの積層体10の集電部20であるとして説明を行ってきた。しかし、単一の発電素子(セル)が電極リード40または電極端子60に電気的に接続されている場合に限られず、いわゆる電池モジュール、つまり複数のセルが、電極リード40または電極端子60に、超音波溶接と、ネジ230と、固定用部材240との少なくとも1つを抵抗溶接と組み合わせて、電気的に接続されているものも本発明の技術的範囲に含まれる。
これまで、発電素子としての積層体10の集電部20と電極端子60とが直接接続されている電池を用いて説明を行ってきたが、集電部20と電極端子60とが、例えば電極リード40を介して接続されている電池も、本発明の範囲に含まれる。この場合、集電部20と電極リード40、および電極リード40と電極端子60の少なくとも一方が、抵抗溶接と、例えば、超音波溶接、ネジ、または固定治具といった、抵抗溶接の欠点を補う抵抗溶接以外の接続手段とによって、接続されている。
本発明は、大型化、高容量化の進む発電素子から電流を外部に取り出すための、各電池構成要素間の電気的接続部分について、物理的強度と電気的低抵抗とを実現する2種類以上の接続手段を組み合わせて接続させている電池に係るものである。本発明は、特に、超音波溶接と、ネジと、固定用部材との少なくとも1つを、抵抗溶接と組み合わせて、上記接続部分の接続に用いることにより、上記接続部分に物理的高強度と、電気的低抵抗とを与える電池を実現するものである。
(まとめ)
下記に、本発明を整理しておくこととする。
本発明の一態様に係る電池は、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうち、少なくとも2つを備えた電池であって、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちのいずれか2つが、2種類以上の接続手段を組み合わせて電気的に接続されており、物理的強度および電気的低抵抗が実現されている構成である。
上記の構成によれば、外装体内において、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが、或る特定の1つの接続手段によって接続されているのではなく、2種類以上の接続手段を組み合わせて電気的に接続されている。
従って、1つの接続手段のみによって接続される場合には不可能であった、物理的強度と電気的低抵抗との両立を実現して、発電素子の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを電気的に接続することができる。
さらに、本発明の一態様に係る電池1は、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうち、少なくとも2つを備えた電池であって、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちのいずれか2つが、2種類以上の接続手段を組み合わせて電気的に接続されており、当該2種類以上の接続手段の1つは、抵抗溶接(抵抗溶接位置210)であることが好ましい。
上記の構成によれば、さらに、抵抗溶接によって、発電素子(集電部10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが、電気的に接続されている。
ここで、抵抗溶接は、厚さ2mm以上の薄板同士の溶接について実績のある、信頼性の高い溶接方法である。
よって、外装体内において、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つは、たとえその各々の厚みが2mm以上である場合であっても、抵抗溶接によって、高い信頼性でもって、電気的に接続されている。
さらに、本発明の一態様に係る電池2は、上記2種類以上の接続手段の他の1つは、超音波溶接(超音波溶接位置220)であることが好ましい。
上記の構成によれば、さらに、溶接する薄板の面に平行な回転方向の力に弱い抵抗溶接の物理的強度を補強するための超音波溶接と、抵抗溶接とでもって、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを、接続することができる。
ここで、抵抗溶接は、特に一点溶接の場合、溶接面に平行な回転方向の力に対し、物理的強度が十分ではないなどの欠点がある。しかし、超音波溶接を、抵抗溶接と組み合わせて用いることにより、抵抗溶接の上記の欠点を補うことが可能となる。
つまり、外装体内において、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つは、その各々の厚みが2mm以上である場合であっても、抵抗溶接によって高い信頼性でもって電気的に接続されることができる。その上、超音波溶接によって、抵抗溶接のみによる場合に比べてさらに物理的に高強度に接続することができる。
さらに、本発明の一態様に係る電池3は、上記2種類以上の接続手段の他の1つは、ネジ止め(ネジ230)であることが好ましい。
上記の構成によれば、さらに、溶接する薄板の面に平行な回転方向の力に弱い抵抗溶接の物理的強度を補強するためのネジ230と、抵抗溶接とでもって、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを、接続することができる。
これにより、外装体内において、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つは、その各々の厚みが2mm以上である場合であっても、抵抗溶接によって高い信頼性でもって電気的に接続されることができる。その上、ネジ230によって、抵抗溶接のみによる場合に比べてさらに物理的に高強度に接続することができる。
さらに、本発明の一態様に係る電池4は、上記2種類以上の接続手段の他の1つは、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの上記抵抗溶接によって接続されている2つを挟み込むようにして固定する固定用部材240による接続であることが好ましい。
上記の構成によれば、さらに、溶接する薄板の面に平行な回転方向の力に弱い抵抗溶接の物理的強度を補強するための固定用部材240と、抵抗溶接とでもって、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを、接続することができる。
これにより、外装体内において、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つは、その各々の厚みが2mm以上である場合であっても、抵抗溶接によって高い信頼性でもって電気的に接続されることができる。その上、固定用部材240によって、抵抗溶接のみによる場合に比べてさらに物理的に高強度に接続することができる。
なお、他の固定用部材として、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの上記抵抗溶接によって接続されている2つの各々の接続面同士を接着するものを用いてもよい。
さらに、本発明の一態様に係る電池1、1’、2、3は、上記発電素子(積層体10)は、容量が50Ah以上である。
発電素子(積層体10)の容量が50Ah以上という高容量である場合、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを接続するには、物理的強度と電気的低抵抗とを実現する2種類以上の接続手段を組み合わせることが好適である。
上記の構成によれば、さらに、容量が50Ah以上という高容量な発電素子(積層体10)について、外装体内に安全に発電素子(積層体10)を収容しつつ、かつ電気的に低抵抗な経路によって、電流を電池の外に取り出すことが可能となる。
さらに、本発明の一態様に係る電池1、1’、2、3は、上記発電素子(積層体10)は、重量が500g以上である。
発電素子(積層体10)の重量が500g以上である場合、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを接続するには、物理的強度と電気的低抵抗とを実現する2種類以上の接続手段を組み合わせることが好適である。
上記の構成によれば、さらに、重量が500g以上の発電素子(積層体10)について、外装体内に安全に発電素子(積層体10)を収容しつつ、かつ電気的に低抵抗な経路によって、電流を電池の外に取り出すことが可能となる。
さらに、本発明の一態様に係る電池1、1’、2、3は、上記接続手段によって接続される部分の厚みが3mm以上である。
発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが接続される部分の厚みが3mm以上である場合、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つを接続するには、物理的強度と電気的低抵抗とを実現する2種類以上の接続手段を組み合わせることが好適である。
上記の構成によれば、さらに、上記接続される部分の厚みが3mm以上であることによって、接続される部分自体が、例えば千切れてしまったりして破損することのない、十分な物理的強度を有することになる。従って、発電素子(積層体10)を外装体内に安全に収容することができる。
さらに、発電素子(積層体10)の集電部と、電極リードと、電極端子とのうちの2つが接続される部分が、物理的強度と電気的低抵抗とを実現する2種類以上の接続手段を組み合わせて接続されていることにより、例えば接続が剥がれたりすることのない、物理的に安全な方法で外装体内に収容された発電素子(積層体10)から、電流を電池の外に電気的に低抵抗な方法で取り出すことが可能となる。
本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。