JP6058026B2 - ピストンリングの光隙間密閉性測定方法及び装置 - Google Patents

Description

本発明は、合口を備え非円形に形成されたピストンリングの光隙間密閉性（ライトギャップタイトネス；光を透過させる程度）を測定する方法に関する。

東独国特許第１４８９８２号明細書には、光源及び受光器を利用して回転対称の複数の部材間の許容できない隙間を測定する、例えばピストンリングのシールギャップ検査用測定装置が公開されている。検査したいピストンリングをリングゲージ内に張設し、レンズ系を介してその光軸上で、ピストンリングとリングゲージとの間の隙間にパルス光源を向ける。この隙間に対向して、光軸上に検査用受光器が設けられている。この検査用受光器は、隙間の大きさに応じたアナログ電気信号を選択性増幅器に送出する。その際公知の電子回路を使用して、リングゲージの回転中に検出されたこれらのアナログ電気信号を、リング円周を基準として呼び出し、記憶し、表示することができる。

独国特許出願公開第１００３０３６８号明細書により、非円形に形成されたシリンダライナ内のピストンリングの形状充填性を測定する方法が公知である。この場合、形状安定的なテスト用ライナを用意し、形状測定器内に設置する。このテスト用ライナの内面には、ピストンリングの呼び径に相応する真円筒部分と、その軸方向に続いて、やや非円形に形成された部分とが設けられている。この非円形部分は、４個の弧形の、約２０μｍの湾入部を有している。内接可能な円とこれらの湾入部とに囲まれた横断面を、基準面として用いる。この従来の形状測定においては、上記非円形のテスト用ライナ区分にセットされたピストンリングの内面プロフィールを、非円形部分の円周全体にわたって測定する。

ピストンリングの製造の際には、光隙間密閉性を維持するために、高い製作要求が課せられなければならない。これには少なからぬコストを伴う。高い完成レベルで製造されるピストンリングであっても、製造工程においてどの程度許容できない公差が生じたかを上記のようにして確認するために、少なくとも時々は光隙間密閉性検査を行わなくてはならない。

本発明の目的は、ピストンリング製造の際に比較的大きな製造公差を認めた場合、ピストンリングがそれでも使用に適しているか、又は不良品とみなすかどうかを検査できる方法を提供することである。本発明はまた、当該方法に従って動作する、容易に製造可能な装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明は、開いたピストンリングを、隙間を十分に閉じながら補助手段上で円周方向に張設し、ピストンリングの少なくとも一方の合口端部の領域において、規定の力を補助手段の壁部に向かって加え、その際光学手段を使用して、前記力作用を及ぼすピストンリングの合口領域が、前記補助手段の壁部に光隙間密に、即ちライトギャップタイトに、当接しているか否かを判定する、合口を備え非円形に形成したピストンリングの光隙間密閉性測定方法として構成される。

本発明の方法のその他の有利な構成は、各従属請求項に記載の通りである。

本発明の方法に従って動作する装置は、前記補助手段が前記ピストンリングを取り囲むチェックリングであり、このチェックリング内に半径方向で、少なくともこのチェックリングに向けて当接可能なローラを位置決めするよう構成されている。

本発明の方法に従って動作する別のもう一つの装置は、前記補助手段が前記ピストンリングを取り囲むチェックリングであり、このチェックリング内で、前記合口端部に向けられた２個の押圧部材を含む剛性体が、前記合口端部に向けて半径方向に当接可能であるよう構成されている。

本発明の方法及び本発明に従って動作する択一的な各装置によって、比較的大きな公差で製造されたピストンリングであっても、エンジン内で使用できる程度に光隙間密に構成されているか否かを判定できるようになる。

各合口端部に対する前記力作用は、有利には半径方向内側に加えられる。

本発明のさらなる思想によれば、前記各合口部は０．５〜５０Ｎの力で、例えばチェックリングとして構成される前記補助手段の壁部に押圧される。

この加圧量はここではピストンリングの直径及び材料と、測定するピストンリングの半径方向の壁厚によって決まる。

本発明による方法は、必要に応じて、いずれにせよ後から実施されることがあるピストンの光隙間検査に、大きな労力を伴わずに取り入れることができる。

技術的には、下記の通り複数の光隙間密閉性検査の実施形態がある。
・必要に応じて回転可能であり、一方又は両方の合口端部に当接可能な一つ又は複数のローラ。
・両合口端部に対し当接可能な、押圧部材を備えた一つ又は複数の剛性体。

当業者は、適用事例に応じて、構造的に最も容易でかつ最も経済的な解決方法を採用する。

東独国特許第１４８９８２号明細書記載の従来例と同様に、本発明の方法においても、受光器と作用結合した光源を、張設したピストンリングに対し約９０度の角度で配置してもよい。

以下、本発明の対象の一実施例を、図面に基づいて説明する。

ピストンリングの光隙間密閉性測定装置の原理図である。 ピストンリングの光隙間密閉性測定装置の原理図である。 別のもう一つのピストンリングの光隙間密閉性測定装置を示す図である。

図１及び図２は、簡略化した原理図として、合口２を設けたピストンリング３の光隙間密閉性測定装置１を示す。この装置１は、円筒状の内周面４を有するピストンリングの形をした補助手段１’を有している。本発明の対象をより良好に図示するために、ピストンリング３の合口端部５を半径方向内側に折り曲げてある。本発明の対象を図示するために、ピストンリング３の他の合口端部６を同様にしてもよい。これに対し、ここではローラ７を使用する。このローラ７は必要に応じて回転可能でかつ周方向で可動であり、いかなる場合でも合口端部６に対し半径方向に当接可能である。規定の力（本例では２Ｎ）を加えることにより、このピストンリング３の合口端部６は、チェックリング１’の円筒状の内周面４に押圧される。この規定の力Ｆを加えることで、不密な合口端部５、６が再びチェックリング１’の内周面４に押圧され、これにより隙間密閉性が得られ、ピストンリング３は使用に適した状態になる。

図２は更に、生じ得る隙間８の方向に向けられた発光光源９と、例えば受光器等の受光素子１０とから成る光学的な測定装置を、一般化した形で示している。

図３は、図１の別のもう一つの実施形態を示している。図１記載のチェックリング１’は、ここには記載されていない。本例では、２個の押圧部材１２、１３を有する剛性体１１が、ピストンリング３の合口端部５、６に作用する。この合口端部５、６は、周囲のチェックリングの壁部に同時に押圧される。これらの押圧部材１２、１３は、この場合図１及び図２記載のローラ７の機能を引き受けるものであり、どちらの場合もその作用は同じである。

Claims (5)

1. 合口（２）を備え非円形に形成したピストンリング（３）の光隙間密閉性を測定する方法であって、
   開いたピストンリング（３）を、合口（２）を十分に閉じながら補助手段（１’）上で円周方向に張設し、
   ピストンリング（３）の少なくとも一方の合口端部（５、６）の領域において、規定の力（Ｆ）を補助手段（１’）の壁部（４）に向かって加え、前記力作用（Ｆ）を、少なくとも１つの合口端部（５、６）に向かって、半径方向内側から及ぼし、
   その際光学手段（９、１０）を使用して、前記力作用（Ｆ）を受けたピストンリング（３）の合口領域（５、６）が、前記補助手段（１’）の壁部（４）に光隙間密に当接しているか否かを判定することを特徴とする、ピストンリングの光隙間密閉性測定方法。
2. 前記各合口部（５、６）を０．５〜５０Ｎの力（Ｆ）で、チェックリングとして構成される前記補助手段（１’）の壁部（４）に押圧することを特徴とする、請求項１記載の方法。
3. 前記力（Ｆ）を、必要に応じて回転可能であり、前記各合口部（５、６）に対し半径方向に当接可能な少なくとも１つのローラ（７）によって加えることを特徴とする、請求項１又は２記載の方法。
4. それぞれ１つのローラ（７）が、所属する合口端部（５、６）に作用することを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項記載の方法。
5. 前記各合口端部（５、６）に作用する２個の押圧部材（１２、１３）を有する剛性体（１１）が、前記合口端部（５、６）に対し半径方向に当接可能であることを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項記載の方法。

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