本発明の遊技機の一実施形態であるスロットマシン10は、円筒状でありその周面に図柄が配列された回転可能な3個のリール40L、40C、40Rと、各リールの回転軸に連結するリール駆動手段としてのステッピングモータ41L、41C、41Rと、所定周期の割込み処理に応じてステッピングモータ41L、41C、41Rを駆動制御することによりリールの回転及び停止の動作をさせるリール制御手段113とを備える。また、スロットマシン10は、遊技に供される複数種類の役を備える。各役にはリール40L、40C、40Rにより表示可能な何れかの図柄の組み合わせ(図柄態様)が対応付けられ、スロットマシン10に備えられる役抽選手段112によって役の抽選処理が行われる。この抽選処理により当選(「内部当選」という。)した役に対応する図柄態様がリール40L、40C、40Rにより有効ライン上に表示されたときに当該役が成立し、そしてその成立した役の種類に応じて賭けたメダルが払い戻される等の遊技が提供される。
以下、図面を参照しながら、遊技機の実施形態であるスロットマシン10を説明する。
[スロットマシンの外観構造]
図1は、スロットマシン10の前面外観を示す正面図である。スロットマシン10は、略矩形状の箱体である筐体を備え、前扉20が筐体の開口を開閉可能とするように設けられる。通常は、図1に示されるように、前扉20が開口を閉塞する位置で筐体にロックされる。
前扉20は、遊技者に対し視覚的な演出効果を高めるような意匠が施されたパネル部材により構成される。前扉20のパネル部材は、リール40L、40C、40Rに付された図柄の表示等を行う遊技領域である中央パネル部30と、中央パネル部30の下方において主にリール40L、40C、40Rの回転及び停止等の遊技操作を行うためのスイッチ等が配置される操作パネル部50と、中央パネル部30の上方において主に遊技演出のためのランプやスピーカ等が配置される上部パネル部60と、操作パネル部50の下方においてスロットマシン10の遊技において登場するキャラクタなどの絵が描かれる下部パネル部70と、により概ね構成される。なお、前扉20は、それぞれユニット化された中央パネル部30、操作パネル部50、上部パネル部60及び下部パネル部70等により組み立てられる。また、これらパネル部が一体として構成される1つのパネル部材により前扉20を製造してもよい。
中央パネル部30には、硬質アクリル等の樹脂板からなる中パネル31が設けられる。その中パネル31の略中央には、3列の縦長矩形の透明部からなる表示窓32が形成される。スロットマシン10は、この表示窓32を通して、筐体内部のリール40L、40C、40Rのそれぞれ横3列×縦3コマの合計9コマの図柄が視認可能とされている。
表示窓32には、リール40L、40C、40Rを横切る合計5本のラインが設定される。これら5本のラインは、水平方向の3本のライン(水平中段のラインL1、水平上段のラインL2A、水平下段のラインL2B)と、斜め方向の2本のライン(斜め右下がりのラインL3A、斜め右上がりのラインL3B)とからなる。本実施形態のスロットマシン10では、賭けたメダルの枚数(以下「ベット数」という。)に関わらず、水平中段のラインL1のみが入賞判定の基準となるライン(以下「有効ライン」という。)として設定されるものとする。なお、当該遊技に賭けられるベット数に応じて複数の有効ラインが選択されてもよい。また、有効ライン5本又は4本に予め定めておき、ベット数に応じて役の当選確率を異なるようにしてもよい。
中央パネル部30の中パネル31には、上述した表示窓32の他に、遊技に関する各種情報を遊技者へ知らせるための各種ランプ及び表示器等が設けられている。
例えば、表示窓32に隣接して3つの操作指示ランプ33l、33c、33rが設けられる。これら操作指示ランプ33l、33c、33rは、それぞれストップボタン56L、56C、56R及びリール40L、40C、40Rに対応し、例えば、AT(アシストタイム)の遊技において操作指示ランプ33l、33c、33rが点灯することで、停止操作をアシストする遊技者への報知に用いられる。
また、中パネル31の下部には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35及び獲得枚数表示器36が設けられる。
ベット数表示ランプ34a、34b、34cは、当該遊技に賭けられたメダルの枚数を表示するランプである。すなわち、1枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34aのみが点灯し、2枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34a及び34bが点灯し、3枚のメダルが賭けられると全てのベット数表示ランプ34a、34b及び34cが点灯する。
クレジット数表示器35は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、スロットマシン10にクレジット(内部貯留)されているメダルの枚数を表示する。なお、遊技者はスロットマシン10にクレジットされたメダルを自由に使用することができ、そのクレジット数が後述するメイン制御基板100のRAM103で管理される。
獲得枚数表示器36は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、当該遊技において入賞系の役が成立することにより遊技者に払い出されるメダルの枚数を表示する。なお、入賞によりメダルを払い出す態様としては、スロットマシン10の内部にクレジットする場合と、下部パネル部70のメダル払出口71からメダルを排出する場合とがある。
中央パネル部30の下方に設けられる操作パネル部50は、その上面が若干遊技者側に傾斜する卓状面50aを有しており、その卓状面50aの右部に遊技者がスロットマシン10へメダルを投入するためのメダル投入口51が設けられる。このメダル投入口51の内部には、投入されたメダルを検出し、かつ、正規又は非正規のメダルを振り分けるメダルセレクタ28が設けられる。スロットマシン10のメイン制御基板100は、このメダルセレクタ28が出力するメダル検知信号の回数を計測することで、投入されたメダルの枚数を認識する。
操作パネル部50の卓状面50aの左部には、遊技者がクレジットからメダルを賭ける指示をするためのベットボタン52及びマックスベットボタン54が設けられる。ベットボタン52が操作されると、スロットマシン10にクレジットされているメダルのうち2枚が遊技に賭けられる。マックスベットボタン54が操作されると、クレジットされているメダルのうち3枚が遊技に賭けられる。ベットボタン52又はマックスベットボタン54の操作によりメダルが賭けられると、その賭けられたメダルの枚数がクレジット数から減算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も減算される。
なお、スロットマシン10にメダルが未だ賭けられていない状態で遊技者がメダル投入口51からメダルを投入すると、そのメダルが投入される毎にベット数表示ランプ34a、34b、34cが順次点灯し、それぞれの枚数に応じたメダルがスロットマシン10に賭けられる。そして、投入されたメダルの枚数が規定数最多の3枚になると、それ以降メダルが投入される毎にクレジット数が加算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も加算される。
操作パネル部50の正面左部には、傾倒操作が可能な操作ノブを有するスタートレバー55が設けられる。遊技者がスロットマシン10にメダルを賭けた後、スタートレバー55を操作すると、全てのリール40L、40C、40Rが一斉に回転を開始する。これにより、円筒状のリール40L、40C、40Rの各外周面に印刷された図柄が、表示窓32を通して上から下へと移動(スクロール)して表示される。
操作パネル部50の正面の中央部には、遊技者の押圧操作によってリール40L、40C、40Rの回転を停止させる操作(これを「停止操作」という。)をするための、3つのストップボタン56L、56C、56Rが設けられる。左端のストップボタン56Lは左端のリール(左リール)40Lに対応し、中央のストップボタン56Cは中央のリール(中リール)40Cに対応し、右端のストップボタン56Rは右端のリール(右リール)40Rに対応している。
すなわち、スロットマシン10は、スタートレバー55への傾倒操作を契機に回転したリール40L、40C、40Rに対し、ストップボタン56Lが操作されるとリール40Lが停止し、ストップボタン56Cが操作されるとリール40Cが停止し、ストップボタン56Rが操作されるとリール40Rが停止するように構成されている。
詳細は後述するが、スロットマシン10に備えられる停止図柄決定手段116は、役抽選手段112による抽選結果とストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作のタイミングとに基づいて、許容される最大の滑り制御コマ数(例えば5コマ)以内の図柄を停止図柄として決定する。そして、決定された停止図柄を有効ライン(例えばラインL1)上に停止させるべく、後述するリール制御手段113(停止制御手段115)による図柄の引き込み制御がされる。
なお、スタートレバー55への操作を契機にリール40L、40C、40Rの回転が開始してから定速回転(例えば、80回転/分)に達するまでは、ストップボタン56L、56C、56Rによるリール40L、40C、40Rへの停止操作は受け付けられず無効とされる。また、特定の状況下でリールを例えば正逆方向に変則的に動作させる等のリール演出(これを「リール変則動作演出」という。)が行われる場合もある。このリール変則動作演出についての詳細は後述する。
中央パネル部30の上方に位置する上部パネル部60には、その中央部に例えばカラー液晶ディスプレイからなる画像表示装置61が設けられる。画像表示装置61は、例えば遊技の進行に応じて展開するアニメーションを演出画像として表示する。なお、スロットマシンに設けられる表示装置としては、画像表示装置61でなくても、例えばドットマトリクス式の表示装置であってもよい。また、遊技履歴や内部抽選結果の情報を文字や記号等で直接的に表示するものでもよく、そのような情報をコード化して間接的又は暗示的に表示するものでもよい。すなわち、表示装置として、用途や目的に適合したあらゆる方式の表示手段を用いることができる。
また、上部パネル部60には、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rが設けられる。上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rは、例えばリール40L、40C、40Rが停止して何れかの役が成立した場合において、その役に応じたパターンで点灯及び点滅することで、役の成立を視覚的に演出する。
また、上部パネル部60には、ステレオのスピーカ64L、64Rが設けられる。例えば画像表示装置61が表示する動画の演出画像に伴って、演出効果音がスピーカ64L、64Rを介して出力される。
中央パネル部30の下方に位置する下部パネル部70には、メダル払出口71と受け皿72とが設けられる。メダル払出口71は、スロットマシン10の筐体内部に収容されるメダル払出装置83が放出するメダルを受け皿72に払い出す開口として形成される。
また、下部パネル部70の下方部左右にはスピーカ73L、73Rが設けられる。例えば、遊技において何らかの役が成立したとき、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等の演出ランプの点灯や点滅に連動した効果音がスピーカ73L、73Rを介して出力される。
[スロットマシンの内部構造]
図2は、前扉20を開いた状態でスロットマシン10の内部構造を示す図である。図2に示されるように、スロットマシン10は矩形箱状の筐体80を備えるが、遊技中には前扉20によって筐体80が閉塞され施錠される。
筐体80内の水平フレームには、3つのリール40L、40C、40Rを回転可能に支持するリール装置40が、前扉20の中央パネル部30に対向するように位置決めされて設けられる。リール装置40において、各リール40L、40C、40Rは、それらの回転軸が一つの水平直線に一致して設けられる。また、各リール40L、40C、40Rは、リール装置40のフレームに固定されるリール駆動手段としてのステッピングモータ41L、41C、41Rによって、それぞれ独立して回転駆動される。
図3は、リール装置40を構成する1つのリールユニット45を示す分解斜視図である。リールユニット45は、各リール40L、40C、40Rについて同一の構成であり、ここでは図3を参照して左リール40Lについてのリールユニットを代表して説明する。
円筒状のリール40Lを形成する骨格体は、比較的軽量のプラスチックによって一体的に形成される。この骨格体は、ステッピングモータ41Lの駆動軸が挿入される軸穴を有するボス部401と、ボス部401を中心に放射状に延びる複数本のアーム部402と、アーム部402の先端部分に接続されボス部401を中心とする同心円状の第一リング部403と、第一リング部403と同一径でこれと所定の間隔をおいて平行に位置する第二リング部404と、第一リング部403及び第二リング部404を複数カ所で連結する連結部405とを有している。また、1つのアーム部402には、リール40Lの内側に向けて延びる舌片状の遮光片406が形成される。この円筒状の骨格体の第一リング部403、第二リング部404及びこれらを連結する連結部405とからなる外周領域には、例えば図4に示されるような複数の図柄が印刷された帯状のリールテープ42Lが全周にわたり巻かれて装着される。
また、リールユニット45は、略板状の基枠体451を有し、この基枠体451の一面側にステッピングモータ41Lの基端部が図示しないボルト等により固定される。基枠体451の前方部にはバックランプユニット452が設けられ、停止表示される図柄の位置に対応して上下方向に3個の発光素子(バックランプ)452a、452b、452cが実装される。ステッピングモータ41Lの斜め下方には、このバックランプユニット452とともに、リール40Lの回転基準位置を検出するためのフォトセンサ43Lが設けられる。フォトセンサ43Lは、その発光部と受光部との間を遮光片406が通過することにより光が遮断され、それを検知して回転基準位置検出信号を出力する(遮光検知方式)。なお、フォトセンサ43Lは、反射した光を受光することで遮光片406を検知する方式(反射検知方式)でもよい。
ステッピングモータ41Lの駆動軸41Laに対して骨格体のボス部401の軸穴が嵌合して固定され、これにより、リール40Lがステッピングモータ41Lによって回転駆動可能に取り付けられる。詳細は後述するが、本実施形態では、リール40L、40C、40Rのリール駆動手段として、1回転が504ステップのステッピングモータ41L、41C、41Rが使用される。なお、本実施形態のスロットマシン10では、リール40L、40C、40Rの1つ当りに付される図柄数が20コマである(図4参照)。ステッピングモータが1回転するときのステップ数が504ステップであり、リールの外周を上述の1ステップの最小可動単位で刻むとするならば20コマのうちの16コマのそれぞれの図柄に25ステップずつ割り当てられ、残りの4コマのそれぞれの図柄に26ステップずつが割り当てられる。
図4に示される、左リール40L、中リール40C及び右リール40Rに付される図柄の配列には、リールが回転する方向に沿って1ずつ増加する「0」〜「19」の図柄番号が割り当てられる。また、図柄の種類毎に種別コードが割り当てられる。そして、各リール40L、40C、40Rについて図柄番号と種別コードとが対応付けられた図柄配列テーブルがメイン制御基板100のROM102に記憶される。
図4に例示されるように、リールに付される図柄としては、「ベル」、「スイカ」、数字の「7」及び「チェリー」などをモチーフとしたものが一般的に用いられる。しかし、これらの図柄のモチーフは伝統的に慣用されているものに過ぎない。スロットマシンの機種、テーマ、キャラクタ等に合わせて図柄を適宜選択したり、又は斬新なものに変更したりすることができる。
再び図2を参照し、筐体80内の底部には、スロットマシン10に搭載される種々の機器・装置に電源を供給する電源ユニット82と、複数枚のメダルを貯留可能なホッパーを備えるメダル払出装置83とが収容される。また、筐体80の背板上部に、メイン制御基板100が筐体80から脱着不能に固定される。メイン制御手段としてのメイン制御基板100は、スロットマシン10における主に遊技の進行を制御する。
前扉20の背面側には、その上段部にスピーカ21L、21Rを備える上パネルユニット22が設けられる。上パネルユニット22は、スピーカ21L、21Rの他に前面側の上述した画像表示装置61、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等を含めてユニット化されて構成される。また、上パネルユニット22の背面側には、サブ制御基板200が固定される。サブ制御手段としてのサブ制御基板200は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドに基づいて主に遊技の演出を制御する。
前扉20の背面側の中段部には、メダル投入口51から投入されたメダルの振り分け及び検出を行うセレクタ28が設けられる。セレクタ28の下方には、セレクタ28によって正規のものと判断されたメダルをメダル払出装置83のホッパーに導くシュート部24と、非正規のメダル又は異物と判断されたものを前面のメダル払出口71に導くメダル返却路25とが設けられる。また、前扉20の背面側の下段部には、上述したスピーカ26L、26Rがそれぞれ設けられる。
[スロットマシンのシステム構成]
次に、スロットマシン10の全体のシステム構成を説明する。図5は、スロットマシン10を制御するハードウエアシステム構成を示すブロック図である。メイン制御基板100は、主として遊技の進行を制御する制御回路基板であり、CPU(中央処理装置)101と、ROM(読み取り専用の不揮発メモリ)102と、RAM(読み書き可能な作業用メモリ)103とを備えている。メイン制御基板100のCPU101がROM102に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することで、スロットマシン10における遊技を進行させる遊技制御処理及び後述するインターバル割込み処理によるシステム制御が実行される。
メイン制御基板100の信号入力ポートには、図1に示したスタートレバー55、ストップボタン56L、56C、56R、ベットボタン52及びマックスベットボタン54などの遊技操作手段としてのスイッチ類が接続される。そして、これらスイッチ類からの回転開始信号や停止操作信号などの接点信号がメイン制御基板100に入力され、これにより遊技者が行った操作がCPU101に認識される。また、メイン制御基板100には、メダルセレクタ28が接続される。メダルセレクタ28は、メダル投入口51から投入されたメダルが正規であると判別したことを示すメダル検知信号をメイン制御基板100に対し出力する。
メイン制御基板100に備えられる乱数発生器108は、役抽選手段112の一部を構成し、役の抽選処理に用いられる例えば0〜65535の範囲で乱数値を発生させる。なお、役抽選手段112は、本実施形態のようにハードウエアの乱数発生器108に代わって、CPU101の演算処理による、いわゆるソフトウエア乱数処理により抽選処理を行ってもよい。
また、メイン制御基板100には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35及び獲得枚数表示器36等の表示器類が接続される。メイン制御基板100のCPU101は、ベットボタン52又はマックスベットボタン54等により賭けられたメダルのベット数に応じて、ベット数表示ランプ34a、34b、34cを点灯させる。また、CPU101は、RAM103に記憶されるクレジット数及び払い出されたメダルの枚数などの情報を随時、数字のセグメントコードに変換して、クレジット数表示器35及び獲得枚数表示器36に表示する。
メイン制御基板100には、また、リール40L、40C、40Rに連結するステッピングモータ41L、41C、41Rを回転駆動させるモータ駆動回路500が接続される。モータ駆動回路500は、メイン制御基板100に備えられるリール制御手段113からの駆動指令データ信号に基づいて、リール40L、40C、40Rの回転を加速及び定速制御するための駆動パルス信号、及び、リール40L、40C、40Rの回転を停止するための全相励磁停止信号をステッピングモータ41L、41C、41Rに対し出力する。また、リール40L、40C、40Rの回転基準位置を示す信号(回転基準位置検出信号)がメイン制御基板100に入力されるように、フォトセンサ43L、43C、43Rがメイン制御基板100に接続される。
また、メイン制御基板100には、払出制御基板300を介してメダル払出装置83が接続される。メダル払出装置83は、メダルを貯留可能なホッパー部と、ホッパー部に貯留したメダルを放出する払出機構部とを有している。メイン制御基板100は、入賞等によりメダルを遊技者に払い出すときに払出制御基板300に対し払出指令信号を出力し、払出制御基板300がメダル払出装置83を作動させてメダルを1枚ずつカウントしながら放出させる。なお、メダル払出装置83から放出されたメダルは、メダル払出口71から受け皿72へと排出される。
スロットマシン10の前扉20側に設けられるサブ制御基板200は、CPU201と、ROM202と、RAM203とを備えた制御回路基板である。CPU201は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドや遊技進行に関する情報を受信し、これら各種コマンド等に応じてROM202に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することにより、スロットマシン10の主に遊技の演出の制御を行う。
サブ制御基板200は、上述した画像表示装置61に接続した状態でその裏面側に設けられる。サブ制御基板200には、また、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類、及び、スピーカ64L、64R、73L、73Rなどが前扉20に配線されたワイヤーハーネスを介して接続される。
サブ制御基板200は、画像データメモリから随時選択される画像データを読み取り、同期信号、輝度信号及び色信号を複合した映像信号を生成して、この映像信号に基づく動画像を画像表示装置61に表示させる制御を行う。
また、サブ制御基板200は、ランプ類62、63R、63Lの点灯及び点滅の駆動を行うとともに、音声データメモリからアナウンスや楽音等の音声データを読み取って音信号に変換・増幅し、その生成した音信号に基づいてスピーカ64L、64R、73L、73Rを鳴動させる。
サブ制御基板200に備えられる乱数発生器208は、例えば0〜65535の範囲で乱数値を出力する。サブ制御基板200の演出抽選手段211は、取得した乱数値が演出抽選テーブルにおいて属する数値範囲に応じて、メイン制御基板100から送信されてくる役抽選結果などの情報に対応する遊技演出の演出パターンを選択する。サブ制御基板200で行われるこのような抽選を「演出抽選」という。なお、演出抽選手段211は、遊技の演出パターンを選択するだけでなく、特定の遊技演出をするかしないかの抽選や、メイン制御基板100の役抽選手段112による抽選結果に応じて決定される停止操作順(押し順)の結果を遊技者に報知するかしないかの抽選(AT抽選)なども行う。
また、サブ制御基板200の演出抽選手段211は、本実施形態のようにハードウエアの乱数発生器208に代わって、CPU201の演算処理による、いわゆるソフトウエア乱数処理により抽選処理を行ってもよい。
[スロットマシンの遊技に供される役]
図4には、左リール40L、中リール40C及び右リール40Rの外周部に付される図柄の配列が例示される。1つのリールに付される図柄数は20コマであり、リールが回転する方向に沿って「0」〜「19」の図柄番号がそれぞれの図柄に割り当てられる(ここで「コマ」とは図柄の個数を数えるときに慣用される数量詞である。)。また、図柄の種類毎に種別コードが割り当てられる。そして、各リール40L、40C、40Rについて図柄番号と種別コードとが対応付けられた図柄配列テーブルがメイン制御基板100のROM102に記憶される。
図6及び図7は、スロットマシン10の遊技に供される役と各役に対応する図柄の組み合せを例示する図である。このうち、図6(a)には、遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別役(ボーナス役)について示され、図6(b)には、メダルを投入しなくても次の遊技を行えるようにする再遊技役(リプレイ役)について示される。また、図7には、入賞により遊技者にメダルの払い出しがある小役について示される。
図6(a)の実施形態では、特別役である、BB(ビッグボーナス)特別遊技(以下、「BB遊技」という。)の状態に移行させる「BB役」と、RB(レギュラーボーナス)特別遊技(以下、「RB遊技」という。)の状態に移行させる「RB役」とが示される。BB遊技の状態は、一般遊技よりも小役が当選する確率が高い状態の高確率遊技が複数回継続し、所定の最大払出枚数(例えば419枚)のメダルの払い出しで終了する遊技状態をいう。RB遊技の状態は、同じく小役が当選する確率が高い状態の高確率遊技が継続し、所定遊技回数(例えば12遊技)消化するか、又は、所定回数(例えば8回)の小役の入賞により終了する遊技状態をいう。
これら特別役(BB役、RB役)は、役抽選手段112による当選状態を次の遊技に持ち越すことができる役物系の役である。つまり、特別役が当該遊技で成立しなくても、次以降の遊技で役が成立すれば、対応する特別遊技状態に移行することができる。また、特別役の当選状態が持ち越された一般遊技(BB役又はRB役の内部当選フラグがオンの状態)で役抽選が行われ、その結果、特別役の当選とともに小役や再遊技役などの入賞系の役が重複して当選するような場合も通常あり得る。そのような役物系と入賞系の役の内部当選フラグがオンの状態では、例えば再遊技役に係る図柄を優先的に引き込み制御するなど、成立する役に優先順位が設けられる。
なお、特別役のような遊技者に有利な役の内部当選フラグがオンした遊技の途中で一定時間遊技をフリーズさせて、後述する方法によりリール40L、40C、40Rを変則的に動作させるリール変則動作演出を行ってもよい。特別役が当選してから一定遊技回数消化しても特別遊技状態に移行しない場合には、遊技者が特別役の内部当選に気付いていないことが想定され、特別役の当選状態を遊技者に報知するためにこのようなフリーズ演出を利用してもよい。その反対に、特別役が内部当選しなくても、希に、いわゆるガセのフリーズ演出を行ってもよい。このようなフリーズ演出の期間中は、ベットボタン52、54、スタートレバー55及びストップボタン56L、56C、56Rなどの遊技操作手段への操作が原則無効とされる。但し、例えば入賞後のフリーズ演出の期間中に何れかの遊技操作手段に対し操作が行われた場合には、それを契機にフリーズ演出を解除(終了)して早期に遊技を再開させてもよい。
図6(b)には、複数種類の再遊技役(再遊技−A〜L)の図柄態様が例示される。このうち、再遊技−Aは、3個のリプレイ図柄(図4に示される種別コードR01)が中段の有効ラインL1に揃うことで成立する「通常リプレイ」である。各リール40L、40C、40Rにおいてリプレイ図柄は、リールテープ上に最大の滑り制御コマ数である5コマ間隔以内で配列されているので、これらリプレイ図柄を引き込み制御して再遊技−Aを確実に成立させることが可能な図柄配列となっている。
再遊技−B〜Fは、リプレイ図柄を左右に含む図柄態様が対応付けられた「チャンスリプレイ」である。このうち、再遊技−Bは、成立すると斜めのラインL3Aにベル図柄が揃うベルリプレイとも称される図柄態様が割り当てられている。これらチャンスリプレイ図柄が有効ラインに揃うと、遊技者に若干有利なRT2の状態に遊技が移行する(図8参照)。これら再遊技−B〜Fのチャンスリプレイの図柄のうち、左右のリール40L、40Rのリプレイ図柄は、上述したように任意の目押し(停止操作)のタイミングで引き込み制御可能な図柄である。また、中リール40Cについては、ベルが5コマ間隔以内で配列され、他の赤セブン、青セブン、黒バー、白バーの各図柄もそれらの何れかが5コマ間隔以内で配列されている。すなわち、再遊技−B〜Fが同時当選した遊技では遊技者がいかなるタイミングで停止操作しても、これらのうちの何れか1つの図柄を引き込み制御して確実にチャンスリプレイ(再遊技−B〜F)の何れかが成立する図柄配列となっている。
ここで、同時当選とは、複数種類の役が同時に当選する(した)状態のことであるが、役抽選結果としては一つで、表示可能な図柄組合せが複数種類あることとしてもよい。つまり、上記例で説明すると、再遊技−B〜Fが表示可能な抽選結果Aを備え、抽選結果Aが当選すると、停止操作により、再遊技−B〜Fのいずれかが表示可能となる。
「赤セブン揃い」の図柄態様が対応付けられた再遊技−Gは、所定のタイミングでの目押しを必要とする再遊技役である。赤セブン図柄は、図4に示されるように各リール40L、40C、40Rで1コマしか配置されていないからである。本実施形態の再遊技−Gは、再遊技役の確率が高くメダルを減らさずに特別役の当選を待つことができるRT3の状態への移行契機となる役でもある。
再遊技−H〜Lは、「赤セブン揃い」に一部が共通する図柄態様が対応付けられた再遊技役である。すなわち、一部のリールに対し赤セブン図柄の目押しが成功すると、赤セブン図柄が全て揃う再遊技−Gが成立することへの期待を遊技者に持たせることができる。また、再遊技−H〜Kの図柄態様は、リプレイ図柄を含んでいないが、これらの図柄が水平中段のラインL1に揃うと、同時に水平下段のラインL2Bに3個のリプレイ図柄が揃って表示される図柄配列となっている。このため、有効ラインにリプレイ図柄が揃わなくても、遊技者には再遊技役の成立を視覚的に認識させることができる。
本実施形態の再遊技−Lには、赤セブン、リプレイ、赤セブンの図柄態様が対応付けられている。例えば、停止順番が右、左、中のいわゆる逆挟み押しにより、左及び右のリール40L、40Rに対する赤セブン図柄表示の目押しが成功すると「赤セブン揃い」のリーチ目となる。この赤セブンの図柄で挟むリーチ目が有効ラインに表示されて成立し得る再遊技役としては、再遊技−G又は再遊技−Lの何れかである。この時点で遊技者に中リール40Cの赤セブンの図柄を狙わせることで、「赤セブン揃い」の再遊技−G役の成立の期待を高めることができる。
図7には、複数種類の小役(ベル−A〜W及びチェリー−A〜C)についての図柄態様が示される。ベルの小役(ベル役)は、ストップボタン56L、56C、56Rの停止操作の順序(「停止操作順」又は「押し順」ともいう。)が正解のときにベル図柄が有効ラインに揃うベル−Aと、押し順が不正解のときに図柄がバラけて表示されるベル−B〜Wとを有している。なお、このような押し順の正解/不正解の対応付けは、役抽選手段112による抽選結果に応じてなされる。また、通常、押し順が正解のときのベル−Aのほうが、押し順不正解のときのベル−B〜Wよりも、メダルの払い出し枚数が多く設定される。ベル図柄が揃うベル−A以外のこれらベル−B〜W役に対応する図柄態様は、「バラケベル」、「ベルこぼし目」などといわれている。
なお、押し順が不正解のときに図柄がバラけて表示されるベル−B〜Wを、一般遊技におけるRT状態の移行契機の役として用いてもよい。また、特定の図柄態様が対応付けられるベル−R〜Wは、役抽選手段112による抽選結果7〜12にそれぞれ対応している(図12参照)。つまり、逆にいえば、ベル−R〜Wに係る特定の図柄態様が有効ラインL1に表示されたときには、抽選結果がその特定の図柄態様に対応する結果(抽選結果7〜12)であることが遊技者に確定的に告知される。
チェリー−A〜Cは、同時当選してメダルが払い出される役であり(図12参照)、左リール40Lのみの特定の図柄表示で入賞と判断される場合(チェリー−A、B)と、左リール40L及び中リール40Cの特定の図柄表示で入賞と判断される場合(チェリー−C)とがある。
[スロットマシンに備えられる遊技状態]
図8には、本実施形態によるスロットマシン10のメイン制御基板100が制御する、遊技状態の移行フローが例示される。但し、図8の状態移行フローはあくまでも例示であるため、各遊技状態における抽選確率の変更、RT状態数の増減又は遊技状態間の移行条件の追加変更などを適宜行ってもよい。
スロットマシン10の遊技状態は、上述したように大まかには、「一般遊技状態」か、RB役やBB役などが成立した「特別遊技状態」かに分けられる。そして、再遊技役の当選確率の相違ということでみた場合、一般遊技状態においては、少なくとも更に5つのRT状態(非RT及びRT1〜4)が存在する。すなわち、一般遊技は、再遊技役の当選確率が比較的低い「非RT」及び「RT1」の状態、再遊技役の当選確率が比較的高い「RT3」の状態、非RT1からRT3に移行する途中の「RT2」の状態、又は、特別役が内部当選した「RT4」の状態の何れかのRT状態に属している。
図8を参照しながら、本実施形態のスロットマシン10に備えられる、一般遊技におけるRT状態に関して説明する。
まず、BB遊技又はRB遊技などの特別遊技状態が終了した直後の一般遊技は、再遊技役の内部当選確率が例えば1/7.3のRT1の状態となる。ここで、このRT1の状態の一般遊技が行われる中で、例えばベル−Aとベル−B〜Wの何れかを含むベル役が同時当選した場合には、その抽選結果に応じてストップボタン56L、56C、56Rの正解及び不正解の押し順が対応付けられる。上述したように、対応付された正解の押し順でストップボタン56L、56C、56Rが操作されたときには、ベル図柄が有効ラインに揃ってベル−Aの役が入賞する可能性が高い。その一方で、停止操作された押し順が不正解の場合には、「バラケベル」のベルこぼし目の図柄が有効ラインに表示され、対応するベル−B〜Wの何れかの役が成立する。
RT1の状態で、このような押し順不正解によるベルこぼし目が有効ラインに表示されると、遊技が非RTの状態に移行する。RT1から非RTの状態に移行する際のリプレイ当選確率に変更はないが、図8に示されるようにRT1よりも非RTの方が、遊技者に有利なRT3の状態に近づいた状態にある。
非RTの状態の一般遊技が行われる中で、例えば再遊技役の再遊技−A〜Fが同時当選し、そのうち再遊技−B〜F(チャンスリプレイ)に係る図柄が有効ラインに表示されたときには、遊技が非RTからRT2の状態に移行する。なお、遊技者による押し順に応じて、チャンスリプレイに係る図柄又は通常リプレイに係る図柄を有効ラインに表示するようにしてもよい。また、図8に示されるように、RT2の状態は、例えば「赤セブン揃い」の再遊技−Gが成立することにより遊技者に有利なRT3の状態に移行できるチャンス状態でもある。
しかしその一方で、RT2の状態でベル役が同時当選し、押し順不正解の停止操作によりベルこぼし目の図柄が有効ラインに表示された場合には、遊技がRT2から非RTの状態へ転落してしまう。
RT2の状態が維持され、「赤セブン揃い」の再遊技−Gの役が成立すると、遊技者に有利なRT3の状態に遊技が移行する。スタートレバー55への操作を契機にこのような有利な遊技状態に移行する役が内部当選した場合には、数秒間遊技をフリーズして、リールを変則的に動作させるリール変則動作演出を行ってもよい。例えば図12に示される抽選結果4のときに、右(リール40R)、中(リール40C)、左(リール40L)の順で各リールの回転開始のタイミングをずらすことで、遊技者に右(ストップボタン56R)、中(ストップボタン56C)、左(ストップボタン56L)の「逆押し」を促し、これにより「赤セブン揃い」の再遊技−Gの成立をアシストしてもよい。このとき、通常のリールの回転速度よりも速い例えば2倍速か又は通常よりも遅い1/2倍速というように、リールを通常よりも異なる速度で回転させてもよい。また、リールを通常の正方向(図柄が上から下へ移動する方向)ではなく、逆方向(図柄が下から上へ移動する方向)としたり、正逆方向に振動させたりしてもよい。
図6(b)に示されるように、再遊技H〜Lのチャンスリプレイの図柄態様の一部には「赤セブン」の図柄が含まれる。例えば、仮に再遊技H〜Lの同時当選を含むが「赤セブン揃い(再遊技−G)」の当選を含まない抽選結果(例えば図12に示される抽選結果6)の場合でも、フリーズでガセのリール演出を行ってもよい。この場合、再遊技−Gを当選していないので最終的には「赤セブン」のこぼし目となるが、リール回転開始時の変則動作演出により、再遊技−Gが当選している遊技と同じようにRT3状態への移行の期待を高めることができる。
図8に示されるRT状態の移行制御は、上述したようにメイン制御基板100により実行される。これと並行して、進行中の遊技におけるATなどの制御がサブ制御基板200によりなされる。AT遊技では、役抽選手段112による抽選結果に応じて対応付けされた例えば正解の押し順が、操作指示ランプ33l、33c、33rの点灯や画像表示装置61が表示する画像により遊技者に報知される。なお、ATでは必ずしも正解の押し順のみが報知されるのではなく、例えばRT1から非RTへの移行条件であるベル役の不正解の押し順を報知することで、RT3への最終的な移行をナビしてもよい。
ATによる押し順の報知は、例えば特別遊技であるBB遊技の終了後、所定回数の遊技において実行される。また、例えばサブ制御基板200の演出抽選手段211による抽選によりATを実行し、又は、所定の開始条件の成立によりATを実行してもよい。実行されたATは、所定回数の遊技の間継続する(例えば1セットが30遊技)。AT状態中に別のATが当選すれば、引続きもう1セット(例えば30遊技)のAT状態が継続する。そのようなAT実行の抽選結果(ATの実行権利)をストックしておくこともできる。
このように、基本的には演出抽選手段211による抽選でATの1つの実行権利が獲得されることにより、1セット(例えば30遊技)のATが実行される。AT状態中やAT終了時にも演出抽選手段211によるAT抽選を行ってもよい。なお、この1セットのAT状態が終了後に更に1セットのAT状態が継続する確率を「AT継続率」という。
[スロットマシンの制御手段]
次に、本実施形態によるスロットマシン10に備えられる制御手段の動作を説明する。スロットマシン10における全体の制御は、上述したメイン制御基板100とサブ制御基板200とに備えられる各制御手段の連携によりなされる。図9に示される各制御手段は、メイン制御基板100のCPU101及びサブ制御基板200のCPU201が演算処理を行うことにより実現されるが、これらの一部をハードウエアで構成することもできる。以下、フローチャート等を参照しながら各制御手段を説明する。
<遊技制御手段>
はじめに、メイン制御基板100に備えられる遊技制御手段110は、ROM102に記憶される様々なサブルーチンを呼び出すことで生成される、賭枚数設定手段111、役抽選手段112、リール制御手段113、入賞判定手段120、メダル払出制御手段121、更新処理手段122及びコマンド送信手段123などの各制御手段を統括して、スロットマシン10で行われる遊技の進行を制御する。
図10は、スロットマシン10で行われる単位遊技に対応させたフローチャートであり、遊技制御手段110が実行するメインの遊技制御処理の流れを示している。
<賭枚数設定手段>
遊技開始の待機状態では、賭枚数設定手段111が起動する(ステップS10)。ここで、遊技開始の待機状態とは、リール40L、40C、40Rが停止して入賞判定がされた後であって、次のベット操作待ちの状態をいう。前回の遊技終了後のフリーズ演出終了が遊技開始の待機状態となる場合もある。ここで、図11は、賭枚数設定手段111による賭枚数設定処理を示すフローチャートである。
図11を参照して賭枚数設定手段111の動作を説明する。賭枚数設定手段111は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグがオンされているか否か判断する(ステップS101)。再遊技役に係る成立役フラグは、前回の遊技で再遊技役が成立したときにオンにセットされる(図24のステップS166参照)。再遊技役に係る成立役フラグがオンに設定されている場合(ステップS101:YES)、この成立役フラグをオフにクリアして(ステップS102)、以降の遊技制御処理に進む。すなわち、再遊技役が成立すると、遊技者はメダルの投入(ベット操作)を行うことなく次の遊技を行える。
賭枚数設定手段111は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグが設定されておらず(ステップS101:NO)、ベットボタン52の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットがある場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数から「1」を減算する(ステップS105)。そして、RAM103のベット数変数に「1」を加算する(ステップS107)。
また、遊技開始の待機状態で、メダルセレクタ28が正規のメダルの投入を検知したときには(ステップS106:YES)、賭枚数設定手段111は、その投入されたメダルを検知する毎にベット数変数を加算する(ステップS107)。そして、メダルの賭け枚数が遊技者が望む規定数(最大で「3」)になるまで(ステップS108:YES)、ベット数変数を加算する(ステップS107)。
また、賭枚数設定手段111は、マックスベットボタン54の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットがある場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数から「3」を減算し(ステップS105)、ベット数変数を「3」に設定する(ステップS107)。
このような処理により、規定数1〜3枚のメダルが当該遊技に賭けられる。
再び図10を参照し、メダルの賭け枚数が規定数に達した状態で遊技者によりスタートレバー55が傾倒操作され、遊技制御手段110が回転開始信号を検知すると(ステップS11:YES)、役抽選手段112が起動する(ステップS12)。
<役抽選手段>
役抽選手段112は、乱数発生器108から取得した乱数値に基づく役のテーブル抽選を行う。
スロットマシン10では、役抽選手段112の抽選処理により、例えば図12に示される何れかの抽選結果が得られる。なお、図12には、一般遊技状態での役の内部当選(抽選結果1〜14)及び外れ(抽選結果0)を含む抽選結果が示される。各抽選結果0〜14には、乱数発生器108が出力可能な数値範囲0〜65535に含まれる数値範囲が順次割り当てられ(図示略)、その割り当てられる各数値範囲の幅が各抽選結果の当選確率に対応している。このような抽選結果と乱数値範囲との対応付けが、役抽選テーブルとしてメイン制御基板100のROM102に予め記憶される。なお、役の当選確率は各遊技状態で異なるため、ROM102においては複数の役抽選テーブルが遊技状態毎に管理される。
図12の実施形態によれば、スタートレバー55の操作を契機に乱数発生器108から取得された乱数値が抽選結果1の数値範囲に属する場合には、BB役が当選となる。乱数値が抽選結果2の数値範囲に属する場合にはRB役が当選となる。同様に、乱数値が抽選結果3の数値範囲の場合には通常リプレイの再遊技−Aの単独当選となり、抽選結果4の数値範囲の場合には再遊技−A及び再遊技−G〜Lが同時当選となる。以下、ベル役等の小役についても同様に、取得された乱数値に応じて、役抽選テーブルで参照される抽選結果となる。
また、同時当選する役が複数の場合には、その抽選結果に応じて役と停止操作順(押し順)とが対応付けされる。リプレイについては、例えば図12に示されるように、抽選結果4の場合に通常リプレイの「再遊技−A」と「順押し」とが対応付けされ、「再遊技−G〜L」と「逆押しその他の操作順(つまり順押し以外)」とが対応付けされる。なお、抽選結果5の場合のように、同時当選した複数のチャンスリプレイに押し順の対応付けがされない抽選結果が存在してもよい。
ベル役については、本実施形態ではベル−Aが最も払い出し枚数が多いことから、「ベル役−A」に対応付けされる停止操作順が「押し順正解」として扱われ、図柄がバラけて表示される「ベル役−B〜W」に対応付けされる停止操作順が「押し順不正解」として扱われる。例えば、抽選結果7の場合には、左中右の押し順がベル−Aが入賞し得る正解押し順として設定される。すなわち、抽選結果7の当選時に左中右の正解押し順で停止操作すれば、ベル図柄揃いのベル−Aが入賞する可能性が非常に高く、それ以外の操作順ではベル−B〜Rの何れかの図柄態様(ベルこぼし目)が有効ラインに表示される。
図13は、役抽選手段112による役抽選処理(図10の遊技制御処理におけるステップS12の詳細)を示すフローチャートである。図13に示される処理において、役抽選手段112は、例えばスタートレバー55のオンの信号の立下りのタイミングで乱数発生器108が示す乱数値を取得し(ステップS131)、取得した乱数値をRAM103の乱数値変数に記憶させる。ここで、乱数発生器108は、クロック動作する例えば16ビットのインクリメントカウンタからなり、「0」〜「65535」の何れかの数値を出力する。
そして、役抽選手段112は、ROM102に記憶された役抽選テーブルを参照して、取得した乱数値が属する当選数値範囲に対応する役を内部当選役として選択する。すなわち、取得した乱数値がベル役やチェリー役などの小役の当選数値範囲に属する場合は小役の当選を判定し(ステップS132:YES)、当選した小役に係る当選役フラグをオンに設定する(ステップS133)。
また、役抽選手段112は、取得した乱数値が再遊技役の当選数値範囲に属する場合は(ステップS135:YES)、当選した再遊技役に係る当選役フラグをオンに設定する(ステップS136)。
役抽選手段112は、取得した乱数値がBB役の当選数値範囲に属する場合はBB役の当選を判定し(ステップS138:YES)、当選したBB役に係る当選役フラグをオンに設定する(ステップS139)。同様に、RB役の当選を判定した場合は(ステップS140:YES)、RB役に係る当選役フラグをオンに設定する(ステップS141)。
なお、当選役フラグは、抽選結果1〜14に応じて内部当選中の役の種類を記憶するフラグであり、役抽選手段112による当選によりオンに設定され、当該役の成立(入賞)によりオフにクリアされる(図24のS173)。他の遊技に当選状態を持ち越しできない入賞系の役の場合には、入賞が成立しなかった単位遊技終了時にも当選役フラグがオフにクリアされる(図24のS174)。
このように役抽選手段112は、小役や再遊技役などの入賞系の役や特別役などの役物系の役の抽選とともに、複数役が同時当選する小役や再遊技役などに対応付けされた停止操作順なども決定もしくは抽選する。また、役抽選手段112は、所定の役が入賞した時などに遊技の進行を一旦停止して、画像表示装置61による画像演出やリール40L、40C、40Rの変則的な動作などによる演出期間を確保するためのフリーズ演出の有無、フリーズ演出時間、フリーズ演出の条件(例えば開始条件、終了条件)及びその内容(演出動作パターンなど)の抽選を行ってもよい。
図10で参照される遊技制御処理において、コマンド送信手段123は、役抽選手段112による役抽選の結果(当選役と決定もしくは抽選された停止操作順との関連付けを含む)を示す役抽選結果コマンドをサブ制御基板200に送信する(ステップS13)。そして、コマンド送信手段123は、回転開始コマンドをサブ制御基板200に送信する(ステップS14)。
<リール制御手段>
次に、リール制御手段113を説明する。遊技制御処理のステップS15(図10参照)において、リール制御手段113は、スタートレバー55からの回転開始信号及びストップボタン56L、56C、56Rからの停止操作信号に応じてリール40L、40C、40Rの回転及び停止の制御をする。図9に示されたように、リール制御手段113は、リールの40L、40C、40Rの回転加速制御及び定速制御をする回転制御手段114と、リールの40L、40C、40Rの停止制御をする停止制御手段115と、操作された当該ストップボタンに対応するリールが有効ラインに表示させるべき停止図柄を決定するための停止図柄決定手段116とを備える。また、リール制御手段113は、変則動作制御手段117及び起動時補正手段119を含む。後述するように変則動作制御手段117は、フリーズ演出時などにリール40L、40C、40Rの変則的な動作を制御する。また起動時補正手段119は、ステッピングモータ41L、41C、41Rの起動時の初期位相を適正化するために、その位相状態を管理する位相カウンタRC2の値を補正する処理を行う。
はじめに図14のフローチャート及び図15を参照して、フリーズ演出が実行されない通常時のリール回転制御処理について説明する。ここで、図15は、回転制御手段114からの駆動指令データ信号に基づく駆動パルス信号及び停止制御手段115からの停止指令データ信号に基づく全相励磁停止信号の波形と、リールの回転速度との関係を示す図である。メイン制御基板100から出力される駆動指令データ信号及び停止指令データ信号は、モータ駆動回路500により位相調整及び電流増幅された駆動パルス信号及び全相励磁停止信号に変換され、対応する各ステッピングモータ41L、41C、41Rに出力される。
当該遊技にメダルが賭けられた状態でスタートレバー55が操作されると、最初に回転制御手段114が起動される。回転制御手段114は、全てのリール40L、40C、40Rを一斉に回転させる駆動パルス信号を出力し、そのパルス幅が次第に又は段階的に短くなるように加速制御を行う(ステップS151)。そして、回転制御手段114は、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定の例えば80回転/分となったとき(ステップS152:YES)、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する(ステップS153)。
リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受け付けが可能となる(ステップS154)。そして、何れかのストップボタン56L、56C、56Rから停止操作信号が受け付けられると(ステップS155:YES)、停止図柄決定手段116が、役抽選手段112による抽選結果と回転中のリールに対するストップボタンへの停止操作のタイミングとに基づいて、当該リールが有効ラインに表示させるべき停止図柄を決定する(ステップS156)。
ここで、停止図柄決定手段116による停止図柄の決定処理を図16を参照して説明する。停止図柄決定手段116は、役抽選手段112による抽選結果に応じて、リール40L、40C、40R毎に図16に示されるような停止制御フラグをセットする。例えばベル役の同時当選(例えば抽選結果7)の場合には、押し順正解と不正解の停止操作順の対応付けがされるため、それらに場合分けされた停止制御フラグがセットされる。停止制御フラグは、図柄番号毎に停止制御時の滑りコマ数が対応付けられた構造を有している。
図16は、抽選結果7の内部当選状態において、中リール40Cについての停止制御フラグの例である。図12に示されたように抽選結果7では、押し順正解のときにベル図柄が有効ライン(ラインL1)に揃ってベル−Aが入賞する。
また図16の例では、押し順正解の場合の停止制御フラグには、各図柄番号と、当該図柄番号を起点として図柄が移動する方向(図柄番号が増える方向)において、ベル図柄までのコマ数がセットされる。ベル図柄が5コマ以内になければ、他のベル役に係る青セブン又は白バーまでのコマ数がセットされる。押し順不正解の場合の停止制御フラグには、各図柄番号と、当該図柄番号を起点として、同時当選した他のベル−B〜Qに係る赤セブン、青セブン、黒バー、白バーの図柄までのコマ数がセットされる。これらの滑りコマ数のデータは、予めROM102に記憶され、停止図柄決定手段116は、役抽選手段112による抽選処理の結果を受けて、直ちにRAM103の停止制御フラグを設定する。
そして、停止図柄決定手段116は、抽選結果7のときに設定される正解の押し順(左−中−右の順押し)で停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄が例えば図柄番号16のチェリー図柄の場合には、押し順正解時の停止制御フラグで参照される3コマ先の図柄(図柄番号19のベル図柄)を停止図柄として決定する(図16(a)参照)。
その一方で、停止図柄決定手段116は、抽選結果7のときに設定される不正解の押し順で停止操作を受け付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄が例えば同じく図柄番号16のチェリー図柄の場合には、押し順不正解時の停止制御フラグで参照される2コマ先の図柄(図柄番号18の白バー図柄)を停止図柄として決定する(図16(b)参照)。
図14のフローチャートに戻り、ストップボタン56L、56C、56Rからの停止操作信号が受け付けられ(ステップS155:YES)、停止図柄が決定されると(ステップS156)、コマンド送信手段123が回転停止コマンドをサブ制御基板200へ送信する(ステップS157)。そして、リール制御手段113の停止制御手段155は、停止操作がされた回転中のリールに対し、決定された停止図柄と有効ラインとがちょうど一致する位置に停止制御する。
(ステッピングモータ制御)
次に、リール制御手段113によるステッピングモータ41への制御について更に詳細に説明する。図17は、本実施形態のスロットマシン10が採用する、1−2相励磁方式によるステッピングモータの回転制御の原理を説明するための図である。
リールを回転駆動するステッピングモータ41は、4つの相φ0〜φ3を有している。回転制御手段114からの駆動指令データ信号に基づいて、各相φ0〜φ3の励磁コイル411〜414には、互いにπ/2(単位:ラジアン)だけ位相がずれた駆動パルス信号が所定周期の割込み処理により次々に供給される。また、駆動パルス信号は、デューティ比が3/8(1周期に対しては3/4π相当)のパルス幅を有している。このような1−2相励磁方式により、各相の励磁状態がφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3及びφ3・φ0の8つの励磁相のステップ順で推移しながら、これを1サイクルとして回転動作が繰り返される。
図18は、ステッピングモータ41の内部構造を模式的に示す図である。ステッピングモータ41の中心部には回転するロータ410を備え、そのロータ410の外周に例えばS極の回転磁極子M、M、・・・が等間隔で配置される。ロータ410の外側を囲むステータには、ロータ410の回転磁極子M、M、・・・に若干離間して対向する固定励磁子E0、E1、E2、E3、・・・が配置される。
ステッピングモータ41のステータには、ロータ410を中心として45°毎に角度を変えた位置に、φ0〜φ3の各相に対応する合計8個の励磁コイル411〜418が設けられる。そして、φ0相に係る励磁コイル411、415には、それぞれ所定個数の固定励磁子E0をN極に励磁するように磁気回路が構成されている。同様に、φ1相に係る励磁コイル412、416には、所定個数の固定励磁子E1をN極に励磁するように磁気回路が構成され、φ2相に係る励磁コイル413、417には、所定個数の固定励磁子E2をN極に励磁するように磁気回路が構成され、φ3相に係る励磁コイル414、418には、所定個数の固定励磁子E3をN極に励磁するように磁気回路が構成される。
固定励磁子E0〜E3のピッチは回転磁極子Mのそれと同じである。しかし、φ0相の固定励磁子E0を基準にしてみると、φ1相の固定励磁子E1は、その1/4ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置される。また、φ2相の固定励磁子E1は、更に1/2ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置され、φ3相の固定励磁子E1は、更に3/4ピッチに相当する位相分だけ固定励磁子E0に近い位置に配置される。
このように、固定励磁子E0〜E3の位置が1/4ピッチずつ変位して配置されることにより、例えばφ0相が励磁されたときは、回転磁極子MのS極と固定励磁子E0のN極とが引き付け合う位置にロータ410が回転し、次のステップでφ0相とφ1相とが励磁されたときは、回転磁極子MのS極と固定励磁子E0、E1の2つの相のN極とが釣り合って引き付け合う位置にロータ410が回転するというように、1ステップずつ、ステッピングモータ41のロータ410が一方向に回転駆動される。このような1−2相励磁方式によれば、リール40L、40C、40Rの回転トルクを十分確保しながら消費される電力を抑えることができる。
(リール制御フラグカウンタ)
メイン制御基板100のRAM103の変数記憶領域には、各リール40L、40C、40Rに対応して図19に示されるような構成のリール制御フラグカウンタが管理される。リール制御手段113は、所定周期の割込み処理に応じてステッピングモータ41を1ステップ駆動する毎にリール制御フラグカウンタを更新することにより、リールの正確な回転位置を逐一把握しながら制御を行う。ここで、図19に示されるリール制御フラグカウンタは、リール状態フラグRF1と、フォトセンサフラグRF2と、図柄ステップフラグRF3と、通過図柄フラグRF4と、停止図柄フラグRF5とを含むフラグ変数領域を有している。また、リール制御フラグカウンタは、ステップカウンタRC1と、位相カウンタRC2とを含むカウンタ変数領域を有している。また、図20は、任意の1つのリールに関しリール制御フラグカウンタが時間の経過とともに推移する例を示す図である。なお、これらの図において、英数字の後に付された「h」は、その英数字が16進数による数の表記であることを意味する。
リール状態フラグRF1は、リール40L、40C、40Rの回転又は停止等の状態を示すフラグであり、当該リールが停止中のときには「0」が設定され、加速中のときには「1」がされ、定速回転中のときには「2」が設定され、制動中のときには「3」が設定される。
フォトセンサフラグRF2は、リール40L、40C、40Rが回転基準位置を通過したことを示すフラグであり、各リールのフォトセンサ43L、43C、43Rがオンする間「FFh」が設定される。
図柄ステップフラグRF3は、水平中段のラインL1を通過中の図柄の当該ラインL1に対する相対的な位置(回転角)を、ステッピングモータ41の残りステップ数で示すフラグである。すなわち、ある図柄の端部がラインL1に差し掛かった時に、初期値として、その図柄に割り当てられるステップ数(「25」又は「26」)が図柄ステップフラグRF3に設定される。そして、ステッピングモータ41が1ステップずつ回転する毎に図柄ステップフラグRF3の値が1ずつ減算(デクリメント)される。
通過図柄フラグRF4は、水平中段のラインL1を通過中の図柄の図柄番号を示すフラグである。
停止図柄フラグRF5は、リールの停止操作を受け付けた時に停止図柄決定手段116により決定された停止図柄の図柄番号が設定されるフラグであり、すなわち中段のラインL1に停止させるべき図柄の図柄番号を示すフラグである。
ステップカウンタRC1は、リールの現在の回転位置を回転基準位置からのステップ数で示すフラグカウンタである。フォトセンサ43L、43C、43Rによりリール40L、40C、40Rの回転基準位置が検出された時に当該リールに係るステップカウンタフラグRF6が「1」にリセットされ、当該リールのステッピングモータ41に1ステップ分の駆動パルス信号が出力される毎に1ずつ加算(インクリメント)される。
位相カウンタRC2には、ステッピングモータ41の回転位置に対応する現在の位相状態がコード化されて設定される。ここで位相状態とは、ステッピングモータ41における固定励磁子E0、E1、E2、E3に対する回転磁極子Mの相対的な位置関係のことである。具体的に位相状態は、ステッピングモータ41の最小可動単位(最小ステップ)毎に変化する励磁相(φ0、φ0・1、φ1、φ1・2、φ2、φ2・3、φ3及びφ3・0)により表される。ステッピングモータ41が駆動パルス信号に基づいて正常に制御される間は、その位相状態と励磁状態とが一致している。したがって、位相カウンタRC2には、出力中の駆動パルス信号の位相に基づいて対応するコード値が設定される(図19参照)。
図19の下段の表に示されるように、ステッピングモータ41の励磁相がφ3・0のときには位相カウンタRC2に「0」が設定され、励磁相がφ0のときにはRC2に「1」が設定され、励磁相がφ0・1のときにはRC2に「2」が設定され、励磁相がφ1のときにはRC2に「3」が設定され、励磁相がφ1・2のときにはRC2に「4」が設定され、励磁相がφ2のときにはRC2に「5」が設定され、励磁相がφ2・3のときにはRC2に「6」が設定され、励磁相がφ3のときにはRC2に「7」が設定される。
図20を参照して、リール制御フラグカウンタの推移の一例を説明する。図20の例では、図柄番号5の図柄がラインL1を通過中(RF4の値が「5」)の時にストップボタンによる停止操作が受け付けられ、図柄番号8の図柄がラインL1に停止させる停止図柄として決定される(RF5の値が「8」)。また、図21には、リールが停止するときの回転速度の変化、及び、φ0〜φ3の各相における励磁停止信号の励磁パターン(全相励磁)のタイミングチャートが示される。
停止図柄決定手段116が上述した役抽選手段112による抽選結果と回転中のリールに対する停止操作のタイミングに基づいて、例えば図柄番号8の図柄を停止図柄として決定すると、リール制御手段113は、停止図柄フラグRF5に「8」を設定する。
ここで、図柄番号8の図柄(例えば赤セブン図柄)が占める、リールの回転方向における寸法幅は、ステッピングモータ41の回転角に換算すると25ステップに相当する。リール制御手段113の停止制御手段115は、決定された停止図柄(図柄番号8)がラインL1に差し掛かかる少し前、つまり停止図柄の1コマ前の図柄(図柄番号7)の残りステップ数を示すフラグRF3に「4」が設定された時に、当該リールのステッピングモータ41に対して全ての相φ0〜φ3の固定励磁子E0〜E3を励磁させる全相励磁停止信号を出力する。全相励磁停止信号により生じるステッピングモータ41の制動力と回転するリールの慣性力とが対抗し、結果的に16ステップ相当量だけロータが非制御状態で進むことで、停止図柄(図柄番号8)の中心がちょうどラインL1に一致する位置にリールが停止する。これにより、図柄番号8の例えば赤セブンの図柄がラインL1上に表示されることとなる。
なお、図20はあくまでも例示であり、実際の全相励磁のタイミングは、リールの慣性や、ステッピングモータのステップ数、トルク性能などに応じて変化する。このため、例えば制動時にリールが進む量を実機で確認してから全相励磁のタイミングなどの制御プログラムが決められる。
(ステッピングモータの起動時補正)
次に、リールの停止直後又はリールの回転を開始する直前に行われる、位相カウンタRC2の補正処理について説明する。本実施形態によるスロットマシン10では、停止前に回転していたリールの回転方向、停止中のリールの位相状態及び回転を開始させるリールの回転方向に応じて、ステッピングモータ41L、41C、41R(符番41で代表する。)に最初に与える駆動パルス信号の位相が決められる。本実施形態の起動時補正手段119は、ステッピングモータ41の位相状態を管理する位相カウンタRC2の値をリールの回転開始方向に応じて所定のルールで補正することで、このような起動時の位相状態(励磁相)を決める処理を行っている。
図22には、位相カウンタRC2の値とステッピングモータの励磁相との関係が示される。1−2相励磁方式でステッピングモータに出力される駆動パルス信号は、上述したようにφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3及びφ3・φ0の8つの励磁相のステップを経て位相が変化し、これを1サイクルとして繰り返される。図22に示されるように、位相カウンタRC2には、ステッピングモータが最小可動単位(1ステップ)だけ回転する毎に変化する励磁相に対応するコード(0〜7)が設定される。リールが回転駆動される間、励磁相が1ステップ変化する毎に位相カウンタRC2が更新される。
上述したように、励磁停止信号がステッピングモータ41に出力されると、リールが制動されながらも約16ステップ程度進むので、停止後のステッピングモータ41の実際の位相と、励磁停止信号が出力される直前の励磁相(これを「直前相」という。)を示す位相カウンタRC2の値と間に誤差が生じる。このため、保持された位相カウンタRC2の値が示す励磁相に基づいてステッピングモータを再起動してしまうと、モータの急加速や脱調などを引き起こすおそれがある。
このようなリール起動時の不都合を回避するために、本実施形態では、例えば図23に示される補正テーブルに基づいて、直近のリール制動の時に保持された位相カウンタRC2の値の補正を起動時補正手段119が行う。なお、図23に示される補正テーブルは、停止前のリールが正回転であったことを前提としている。
例えば通常の遊技などでリールを正回転方向に起動する場合であって、直近停止時の直前相が単相励磁(φ0、φ1、φ2、φ3)のときには位相カウンタRC2の値を「−1」して補正する。直前相が2相励磁(φ3・0、φ0・1、φ1・2、φ2・3)の場合には位相カウンタRC2の値をそのままにする。また、リールの変則動作演出を行う場合などでリールを逆方向に起動するときには、その直前相が単相励磁(φ0、φ1、φ2、φ3)の場合には位相カウンタRC2の値を「+1」して補正する。直前相が2相励磁(φ3・0、φ0・1、φ1・2、φ2・3)の場合には位相カウンタRC2の値を「+2」して補正する。
なお、以上説明した位相カウンタRC2の補正方法は、あくまでも一例であり、使用するステッピングモータの能力、種類、リールの慣性質量等に応じて位相カウンタRC2の補正量が適切な数値に適宜変えられる。
<入賞判定手段>
次に、図10に示した遊技制御処理のステップS16で起動される入賞判定手段120を説明する。入賞判定手段120は、全てのリール40L、40C、40Rが停止したときに起動される。図24は、入賞判定手段120による入賞判定処理を示すフローチャートである。
入賞判定手段120は、始めにRAM103で管理される全ての役についての成立役フラグをクリアしてイニシャライズする(ステップS161)。続いて入賞判定手段120は、各リール40L、40C、40RについてRAM103のリール制御フラグカウンタを参照して、有効ライン(ラインL1)に表示された図柄を認識する(ステップS162)。なお、入賞判定手段120は、リールの回転基準位置から送出した駆動パルス信号のステップ数に基づいて有効ライン上の図柄を認識してもよい。
また、入賞判定手段120は、ROM102の役図柄テーブルを参照して、有効ラインに表示されたリール40L、40C、40Rの図柄態様が何れかの役に対応する組み合せと一致するか否か調べる。入賞判定手段120は、有効ライン上の図柄の表示態様が何れかの役に対応する図柄の組み合せと一致する場合、当該対応する役が成立(入賞)したと判定する。
入賞判定手段120は、例えば小役が成立したと判定したとき(ステップS163:YES)、当該小役に係る成立役フラグをオンに設定する(ステップS164)。また、再遊技役が成立したと判定したとき(ステップS165:YES)、当該再遊技役に係る成立役フラグをオンに設定する(ステップS166)。
入賞判定手段120は、例えばBB役が成立したと判定したときには(ステップS167:YES)、BB役に係る成立役フラグをオンに設定するとともに(ステップS168)、BB状態フラグをオンに設定する(ステップS169)。同様に、RB役が成立したと判定したときには(ステップS170:YES)、RB役に係る成立役フラグをオンに設定するとともに(ステップS171)、RB状態フラグをオンに設定する(ステップS172)。
入賞判定手段120は、小役、再遊技役(リプレイ役)又は特別役(BB役、RB役)のうちの何れかの役が成立したと判断すると、成立した当該役の当選役フラグをクリアする(ステップS173)。その一方で、特別役以外の当選を持ち越しできない小役又は再遊技役などが内部当選していた遊技で、これらの役を取りこぼしたときには、その当選役フラグをクリアする(ステップS174)。更に、入賞判定手段120は、図8に示されたRT状態の所定の移行条件を満たすと判断したときに(ステップS175:YES)、RAM103のRT状態フラグをその移行先の状態を示す値に更新する(ステップS176)。
入賞判定手段120による入賞判定の結果の情報は、コマンド送信手段123により賞判定結果コマンドとしてサブ制御基板200に送信される(図10のステップS17)。
<メダル払出制御手段>
次に、図10に示した遊技制御処理のステップS18において、入賞判定手段120がメダルの払い出しがある例えば小役の入賞を判定したときにはメダル払出制御手段121が起動される。ここで、図25は、メダル払出制御手段121によるメダル払出制御処理を示すフローチャートである。
小役の入賞時に遊技者へ配当されるメダルの払い出し方法は、クレジットとして内部貯留する場合と、メダル払出口71からメダルを受け皿72に払い出す場合とがある。本実施形態によるスロットマシン10では、クレジットへの内部貯留が優先され、すなわち、通常は払い出される枚数のメダルがクレジットに加算されるが、加算されるクレジットが所定の上限(例えば50枚)を超えるときには、その超える枚数分のメダルがメダル払出口71から放出される。
メダル払出制御手段121は、ベルなどの小役が入賞したとき、その入賞した小役に対応する配当数に図柄が揃った有効ラインの数を乗算したメダルの払出枚数をRAM103の払出数カウンタ(以下「PCNT」)に設定する(ステップS181)。ステップS182においてPCNTがゼロ以上、すなわち払い出しがある場合(ステップS182:YES)、クレジット数変数が50枚の上限(満杯)か否か判断する(ステップS183)。
クレジット数変数が満杯のとき(ステップS183:YES)、メダル払出制御手段121はメダル払出装置83を作動して、メダルを1枚放出させる(ステップS184)。そして、PCNTを「1」だけ減算し(ステップS186)、ステップS182の処理に戻る。クレジット数変数が満杯でないとき(ステップS183:NO)、メダル払出制御手段121は、クレジット数変数を「1」加算し(ステップS185)、PCNTを「1」だけ減算して(ステップS186)、ステップS182の処理に戻る。メダル払出制御手段121は、このようにメダルを1枚ずつ払い出すステップS182〜S186までの処理をPCNTがゼロになるまで繰り返す。
<更新処理手段>
次に、更新処理手段122を説明する。更新処理手段122は、当該遊技制御処理におけるステップS19(図10参照)において、次の遊技への移行を含む更新処理を行う。ここで、図26は、更新処理手段122による処理を示すフローチャートである。
更新処理手段122は、BB遊技に係るBB状態フラグがオンのとき(ステップS191:YES)、当該遊技において入賞により払い出されたメダルの枚数を払出総数カウンタ(以下「DCNT」)に加算して積算する(ステップS192)。そして、DCNTが、BB遊技の終了条件である最大払出枚数に相当する例えば480枚を超える場合に(ステップS193:YES)、BB遊技に係るBB状態フラグをオフにし(ステップS194)、DCNTをクリアする(ステップS195)。
更新処理手段122は、RB遊技に係るRB状態フラグがオンのときには(ステップS196:YES)、遊技回数カウンタ(以下「GCNT」)に「1」を加算する(ステップS197)。また、当該遊技において小役が成立しその成立役フラグがオンのときには(ステップS198:YES)、小役入賞回数カウンタ(以下「WCNT」)に「1」を加算する(ステップS199)。
更新処理手段122は、RB遊技の回数に相当するGCNTが例えば12遊技を超える場合、又は、小役の成立回数に相当するWCNTが例えば8回を超える場合に(ステップS200:YES)、RB状態フラグをオフにし(ステップS201)、GCNT及びWCNTをクリアする(ステップS202)。
更新処理手段122は、遊技状態に係るフラグを参照して上述した非RT、RT1〜RT4又は一般遊技と特別遊技間で遊技状態が変更された場合には(ステップS203:YES)、その変更された遊技状態に応じた役抽選テーブルをROM102から読み出して、役抽選手段112に設定する(ステップS204)。
<演出制御手段>
次に、図9に示したサブ制御基板200に備えられる各種制御手段を説明する。サブ制御基板200の演出制御手段210は、以下説明する各制御手段とともに、スロットマシン10の遊技の進行に付随して行われる演出を主に制御する。
演出制御手段210は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドの内容及びそのタイミングに応じて、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類を用いた光による演出、スピーカ64L、64R、73L、73Rを用いた音による演出、及び、画像表示装置61を用いた画像や文字等による演出の制御を行う。
例えば、演出制御手段210は、スタートレバー55が傾倒操作され、メイン制御基板100から回転開始コマンド(図10のステップS14)を受信すると、所定の又は随時選択される演出画像を画像表示装置61に表示して、リールの回転動作に遊技者の関心を惹き込むような演出をする。また、演出制御手段210は、メイン制御基板100が実行する役抽選の結果や現在の遊技の進行状態に応じて画像表示装置61などで演出する演出パターンを選択する。なお、次に説明する演出抽選手段211の抽選処理により演出画像や演出パターンを選択してもよい。
例えば、演出制御手段210は、メイン制御基板100から「赤セブン揃い(再遊技−G)」の内部当選の役抽選結果コマンドを受けたとき、遊技者に赤セブン図柄を狙わせるような演出パターンや赤セブン図柄が揃う「逆押し」を促す演出パターンを選択して画像表示装置61等に表示してもよい。また、演出制御手段210は、メイン制御基板100からコマンドを受け、リールが変則動作するのに連動してそれを煽るような対応演出を行ってもよい。また、リールが変則動作しないときには、前述の対応演出を行わず通常の演出のみを行うようにしてもよい。
図6(b)に示されたように再遊技H〜Lの図柄態様の一部には赤セブンの図柄が含まれる。演出制御手段210は、仮に再遊技H〜Lの同時当選を含むが「赤セブン揃い(再遊技−G)」の当選を含まない抽選結果の役抽選結果コマンドを受けたときでも、対応する演出を行ってもよい。このようなガセの演出により、赤セブン図柄がリーチ目に近づく過程で再遊技役−Gが内部当選しているときと同じように「赤セブン揃い」の期待を高めることができる。
<演出抽選手段>
サブ制御基板200に備えられる演出抽選手段211は、メイン制御基板100からのコマンドを受信する毎に、又は、特定の例えば回転開始コマンドや役抽選結果コマンドを受信した時などに起動される。演出抽選手段211は、所定のタイミングで乱数発生器208が示す乱数値を取得し、ROM202に記憶された演出抽選テーブルを参照して、取得した乱数値が属する数値範囲に対応する演出内容を選択する。
なお、演出抽選手段211は、演出パターンを選択する抽選(演出抽選)の他にも、メイン制御基板100から送信されてくる役抽選結果の報知をするかしないかの抽選(役報知抽選)や、停止操作順など遊技者に操作をアシストするAT演出をするか否かの抽選(AT抽選)などを行うものでもよい。
<AT制御手段>
サブ制御基板200に備えられるAT制御手段212は、ATに係る複数の演出パターンの中から、役抽選結果コマンドが示す役と停止操作順との関連付けに対応する演出パターンを選択する。これらのATの実行に関連する演出パターンやAT演出画像を演出抽選手段211による抽選で選択してもよい。
ATの実行条件が整ったとき、AT制御手段212は、ストップボタン56L、56C、56Rが停止操作される毎にメイン制御基板100から送信される回転停止コマンドを受信して、次に停止させるべきリールを報知するATの演出画像を画像表示装置61に表示させる。
<変則動作制御手段>
次に、スロットマシン10が特定の状況下で遊技をフリーズさせ、その間、リール40L、40C、40Rを使って遊技演出を行う実施形態を説明する。リール40L、40C、40Rを例えば正逆方向に変則的に動作させるようなリール変則動作演出は、リール制御手段113の変則動作制御手段117及び起動時補正手段119が関与して実行される(図9参照)。
メイン制御基板100に備えられる変則動作制御手段117は、図9に示されるような選択されたシナリオパターンテーブル131及びそれにより参照されるシナリオテーブル132を1回又は複数回呼び出して演算処理を実行することで、当該シナリオパターンテーブル131で定められたシナリオパターン(変則動作パターン)でリール40L、40C、40Rの回転動作を制御する。なお、変則動作制御手段117は、図9に示される停止位置検出手段133、回転量算出手段134及びシナリオパターン選択手段135を含む。また、図27には、シナリオパターンテーブル131及びシナリオテーブル132の一つの実施例が示されており、同図を参照してこれら各テーブルのデータ構成及び機能を詳細に説明する。
(シナリオパターンテーブル)
シナリオパターンテーブル131は、シナリオテーブル132の組み合わせを基本構成としており、プログラムされるリール40L、40C、40Rの要素動作パターン(シナリオパターン)に応じて予め複数種類用意されている。より詳細にはシナリオパターンテーブル131は、各リール40L、40C、40Rの回転量、回転方向、回転速度などを指令するシナリオ実行指令データを1つ又は複数含んで構成される。
デフォルト値(初期設定値)を有する複数種類のシナリオパターンテーブル131がメイン制御基板100のROM102に予め記憶されている。そして、演出実行時に選択されたシナリオパターンテーブル131が、ROM102からRAM103の所定領域にロードされる。書き換え可能なRAM103にシナリオパターンテーブル131がロードされることにより、シナリオパターンテーブル131の次に説明する呼び出し回数データなどを含むシナリオ実行指令データが編集・再設定可能となり、リール動作パターンをより細かく変更できるようになっている。
図27の左側の表に詳細に示されるように、シナリオパターンテーブル131(例えばTBL_COMB1、TBL_COMB2、・・・)は、先頭の1バイトの起動補正データ(後述)と、それぞれ1ワード(2バイト)のシナリオ実行指令データと、テーブルの終端を示すターミネータ(値が「0000h」)とを備えたデータ構成を有している。図27に示されるシナリオパターンテーブルTBL_COMB1及びTBL_COMB2は、それぞれ2つのシナリオ実行指令データの組を有している。しかし、シナリオ実行指令データをどのように設定するか又はその組数をいくつに設定するかは任意に定めることができる。また、図示はしないが、リールの回転が反転するシナリオテーブルを呼び出すシナリオ実行指令データの直前に起動補正データを追加してもよい。
シナリオパターンテーブル131を構成するシナリオ実行指令データは、予め定めたシナリオテーブル132の参照アドレスを示すためのシナリオアドレスデータ(1バイト)と、このシナリオアドレスデータで参照されるシナリオテーブル132を呼び出す回数を指令する呼び出し回数データ(1バイト)のペア(合計2バイト)から構成される。
例えば、図27に示されるシナリオパターンテーブルTBL_COMB1は、後述するように全てのリール40L、40C、40Rを1/4倍速で正方向に回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT2を36回呼び出してリール動作の実行指令を行うシナリオ実行指令データ1と、その後、全てのリール40L、40C、40Rを待機させるシナリオテーブルTBL_SDAT1を255回呼び出してリール動作の実行指令を行うシナリオ実行指令データ2とから構成される。この例でシナリオ実行指令データ1の上位バイトには、変則動作制御手段117がシナリオテーブルTBL_SDAT2を呼び出して実行するその呼び出し回数データの値「36」が設定され、下位バイトには、シナリオテーブルTBL_SDAT2を呼び出す際に参照するためのアドレスが設定される。ここで、シナリオアドレスデータの「アドレス」とはメモリ上のアドレスを意味し、設定されるデータとしてはROM102に記憶されたシナリオテーブル132(例えばTBL_SDAT2)の絶対アドレスでもよく、RAM103にロードした後の相対アドレス(オフセットアドレス)の何れでもよい。
複数種類のシナリオパターンテーブル131は、それらのシナリオ実行指令データに含まれる呼び出し回数データなどのデフォルト値が予め設定されてROM102に記憶されている。但し、変則動作制御手段117は、ROM102のシナリオパターンテーブル131をRAM103にロードすることができ、RAM103上のシナリオパターンテーブル131のシナリオ実行指令データで参照されるシナリオテーブル132の呼び出し回数などの変数データを必要に応じて再設定することで、リール40L、40C、40Rの動作パターンを変えずにリールの回転量(回転時間)だけを任意に変更することもできる。
(シナリオテーブル)
シナリオテーブル132は、後述する所定周期のインターバル割込み毎の各リール40L、40C、40Rの回転量及びその回転方向を指令する駆動指令データを1つ又は複数含んで構成される。シナリオテーブル132は複数種類あり、そのうち、何れか1つのリールのみ単独で正逆回転させ他の2つを停止させておくような動作を指令する駆動指令データを含み構成されるものでもよい。また、シナリオテーブル132は、3つのリール40L、40C、40Rを個別に正逆回転させる駆動指令データや、2つのリールを個別に正逆回転させ、1つのリールを停止させておく駆動指令データを含み構成されるものでもよい。
すなわち、シナリオテーブル132は、各リール40L、40C、40Rを単独で正逆回転させるシナリオ動作(3×2=6通り)、左中リール、左右リール又は右中リールの2つのリールがそれぞれ独立して正逆回転させる場合のシナリオ動作(3×2×2=12通り)、全てのリール40L、40C、40Rがそれぞれ独立して正逆回転させる場合のシナリオ動作(2×2×2=8通り)の少なくとも合計26通りの基本シナリオが考えられる。更には、これらの基本シナリオを実現する駆動指令データを任意に組み合わせることができるので、シナリオテーブル132で表現されるシナリオの種類には理論上、上限がない。
メイン制御基板100のROM102には、デフォルト値を有する複数種類のシナリオテーブル132が予め記憶されている。参照元のシナリオパターンテーブル131がRAM103にロードされると、当該シナリオパターンテーブル131で参照されるシナリオテーブル132も同時にRAM103の所定領域にロードされる。これにより、シナリオテーブル132において定められる割込み処理回数やリール40L、40C、40Rの回転量などを指令する駆動指令データがRAMの変数領域で書き換え・再設定可能となり、リールの動作を更に細かく微調整できるようになっている。
詳細には図27の右側の表に示されるように、シナリオテーブル132(例えばTBL_SDAT1、TBL_SDAT2、TBL_SDAT3・・・)は、1つ又は複数の1ワード(2バイト)の駆動指令データと、テーブルの終端を示すターミネータ(バイト値が「00h」)とを備えるデータ構成を有している。図27では、1つ又は2つの駆動指令データを含む例が示されているが、上述したように駆動指令データの組み方には制限がなく、どのように又はいくつ設定するかは任意に定めることができる。
この駆動指令データは、所定周期のインターバル割込み処理でリール40L、40C、40Rを回転させる回転量を指令するための回転量データ(1バイト)と、当該回転量データが示す回転量だけ当該リールを回転させる割込み処理回数を指令するための処理回数データ(1バイト)のペア(合計2バイト)を有して構成される。
例えば、図27に示されるシナリオテーブルTBL_SDAT2は、所定周期の割込み信号を1回目に受けた割込み処理で左中右の全てのリール40L、40C、40Rをステッピングモータの最小可動単位(つまり1ステップ)だけ正方向に進める駆動指令データ1と、続く3回の割込み処理で全てのステッピングモータの位置を維持する駆動指令データ2とから構成される。この例で駆動指令データ1の上位バイトには、割込み処理の処理回数データとして「1」が設定され、その下位バイトには、回転量データ「172」が設定されている。また、駆動指令データ2の上位バイトには、割込み処理の処理回数データとして「3」が設定され、その下位バイトには、回転量データ「0」が設定されている。
ここで、回転量データは、所定進数である6進数で表される各桁と複数のリール40L、40C、40Rとが対応している。例えば、回転量データ「172」を6進数表記すると「444(=4×62+4×61+4×60)」であり、最上位の三桁目の値「4」が左リール40Lの指令回転量に対応し、二桁目の値「4」が中リール40Cの指令回転量に対応し、一桁目の値「4」が右リール40Rの指令回転量に対応している。
これらの各リール40L、40C、40Rについての指令回転量、つまり6進数で表記したときの各桁の値が、当該リールの最小可動単位の倍数に正逆の回転方向を示す情報を付加した値としてコード化されている。つまり、ここでの指令回転量は、ステッピングモータの最小可動単位であるステップ数で表され、かつ、その回転させる正(DW)又は逆(UP)方向の情報を含む形でコード化される。正(DW)/逆(UP)の回転方向を区別するため、個々の指令回転量が図28に示される変換表に基づいて変換される。
例えばシナリオテーブルTBL_SDAT2では、駆動指令データ1における各リール40L、40C、40Rについての指令回転量が値「4」としてコード化されている。図28の変換表によれば、コード値「4」は当該リールを正方向に1ステップ進めることを意味している。
また、シナリオテーブルTBL_SDAT2では、合計4回の割込み処理のうち1回の割込み処理で駆動指令データ1によりリール40L、40C、40Rが1ステップ正方向に進み、3回の割込み処理の間はリールが待機する。その結果として得られるリールの平均の速度は、通常のリールの回転速度に対し1/4倍速となる。
また、例えばシナリオテーブルTBL_SDAT3は、1回目の割込み処理で全てのリール40L、40C、40Rを1ステップだけ逆方向に進める駆動指令データ3と、続く2回目の割込み処理で全てのステッピングモータの位置を維持する駆動指令データ4とから構成される。この例で駆動指令データ3の処理回数データには「1」が設定され、回転量データには「86(=2×62+2×61+2×60)」が設定されている。また、駆動指令データ4の処理回数データには「1」が設定され、回転量データには「0」が設定されている。
回転量データは、上述したように6進数で表される各桁の値が各リール40L、40C、40Rの個々の指令回転量に対応してコード化されており、例えば駆動指令データ3の回転量データ「86(=2×62+2×61+2×60)」は、各リールを逆方向へ1ステップ進めることを意味している(図28を参照)。
これによりシナリオテーブルTBL_SDAT3では、合計2回の割込み処理のうち、1回目の割込み処理(駆動指令データ3)でリール40L、40C、40Rが1ステップ逆方向に進み、2回目の割込み処理(駆動指令データ4)でリールが待機する。その結果、通常のリールの回転速度に対し1/2倍速でリールが逆回転することとなる。
ここで、1回の割込み処理でステッピングモータが最小可動単位(1ステップ)進む速度をリールの「基準の回転速度」と定義する。本実施形態の説明で使用される「通常のリールの回転速度」とは、この基準の回転速度を意味している。また、リールの回転速度の単位「倍速」は、リールの基準の回転速度に対する速度比のことであり、ステッピングモータのステップ数/割込み処理回数で表される無次元量でもある。また、「基準の回転速度」と同じ速度を「1倍速」と呼ぶことがある。
シナリオテーブル132が実行されたときの各リールの40L、40C、40Rの回転速度は、呼び出された当該シナリオテーブル132が第1の回転量データ及び第1の処理回数データを有する第1の駆動指令データ、並びに、第2の回転量データ及び第2の処理回数データを有する第2の駆動指令データとを含み、第1及び第2の回転量データが示す指令回転量の構成比率及び第1及び第2の処理回数データが示す処理回数の構成比率に基づいて規定される。
図27に例示されるシナリオテーブルTBL_SDAT2の例で説明すると、「第1の駆動指令データ」とは駆動指令データ1のことであり、駆動指令データ1が「第1の回転量データ」の値「162(=4×62+4×61+4×60)」と「第1の処理回数データ」の値「1」を有している。また、「第2の駆動指令データ」とは駆動指令データ2のことであり、駆動指令データ2が「第2の回転量データ」の値「0(=0×62+0×61+0×60)」と「第2の処理回数データ」の値「3」を有している。
「第1及び第2の回転量データが示す指令回転量の構成比率」とは、このシナリオテーブルTBL_SDAT2で説明すると次のようになる。駆動指令データ1の任意の1つのリールについての第1の回転量データの値(6進数表記される任意の桁の値)が「4」であり、駆動指令データ2の任意の1つのリールについての第2の回転量データの値(6進数表記される任意の桁の値)が「0」である。図28を参照し、回転量データの値が「4」とは、1回の割込み処理でリールが正方向に1ステップ進むことを意味し、回転量データの値が「0」とは、当該割込み処理ではリールの位置が維持されることを意味する。したがって、シナリオテーブルTBL_SDAT2の「第1及び第2の回転量データが示す指令回転量の構成比率」は、具体的には第1の回転量:第2の回転量=1:0となる。
「第1及び第2の処理回数データが示す処理回数の構成比率」とは、同じくシナリオテーブルTBL_SDAT2で説明すると、第1の駆動指令データ1の第1の処理回数データが示す処理回数が「1」であり、第2の駆動指令データ2の第2の処理回数データが示す処理回数が「3」であるので、具体的には第1の処理回数:第2の処理回数=1:3となる。
各リールの40L、40C、40Rの回転速度が「第1及び第2の回転量データが示す指令回転量の構成比率及び第1及び第2の処理回数データが示す処理回数の構成比率に基づいて規定される」とは、これらの構成比率の値と、1回の割込み処理における平均の回転量、つまり基準の回転速度に対する倍速とが下記の式(1)を満たす関係にあることを意味する。
上述したように図27のシナリオテーブルTBL_SDAT2によるリールの回転速度は1/4倍速であるが、このことは第1の回転量:第2の回転量=1:0、第1の処理回数:第2の処理回数=1:3の各構成比率の値を式(1)に代入し演算することによっても容易に求めることができる。
複数種類のシナリオテーブル132は、それらの駆動指令データ(処理回数データ及び回転量データのペア)に予めデフォルト値が設定されてROM102に記憶されている。但し、変則動作制御手段117は、ROM102のシナリオテーブル132をRAM103にロードし、必要に応じて駆動指令データ(回転量データが示す指令回転量の構成比率及び処理回数データが示す処理回数の構成比率)を適宜変更することで、式(1)で求められる各リール40L、40C、40Rの回転速度に容易に変更することができる。
<起動時補正手段>
シナリオパターンテーブル131の最初の1バイトには、上述したように、リール制御手段113(変則動作制御手段117)が当該シナリオパターンテーブルに従って各ステッピングモータ41を起動するときの位相状態を補正するための起動補正データが設定される。起動補正データは、ステッピングモータ41の起動直後の位相状態が、リール40L、40C、40Rの直近の停止時における位相状態となるように、シナリオパターンテーブル131で規定されるリール40L、40C、40Rの回転開始の方向に応じて設定される。図27のシナリオパターンテーブル131に例示される起動補正データは、1バイトのうち上位側の3ビットを使い、最上位のビットが左リール40L、第二ビットが中リール40C、第三ビットが右リール40Rに対応している。呼び出されるシナリオテーブル132により左リール40Lの回転開始方向が正方向のときには、起動補正データの最上位ビットに「1(=@DW)」がセットされ、逆方向のときには「0(=@UP)」がセットされる。同様に、中リール40C、右リール40Rの回転開始方向に応じて、起動補正データの上位側第二ビット及び第三ビットに「1」又は「0」がセットされる。
起動時補正手段119は、変則動作制御手段117がシナリオパターンテーブル131に従ってリール40L、40C、40Rの回転動作の制御を開始する前に、当該シナリオパターンテーブル131に設定された起動補正データが示すリールの回転開始方向に応じて位相カウンタRC2を補正して初期化する(図23参照)。これにより、その初期化した位相カウンタRC2で参照される位相状態からステッピングモータ41が起動され、リール40L、40C、40Rの回転動作が円滑に開始される。
なお、リール40L、40C、40Rが停止した時点で、その停止したときのリールの回転方向に応じて位相カウンタRC2を一次的に補正し(この第一次補正では次にリールが正方向に起動されることを前提として位相カウンタが補正される)、リールの起動時に起動時補正手段119がリールの回転開始の方向に応じて位相カウンタRC2を再補正(第二次補正)する2段階の工程を有する構成であってもよい。第一次補正では、リールが正方向に起動されることを前提として位相カウンタが補正されているので、第二次補正ではリールが逆方向に起動されるときだけ位相カウンタが再補正されることになる。
このような起動時補正手段119を設けたことにより、リール40L、40C、40Rを正逆回転させて変則動作させるような演出を繰り返した場合であっても、位相カウンタRC2の値に誤差が積算されることはない。このため、ステッピングモータ41の位相状態を的確に管理することができ、また起動時の回転方向に応じて位相カウンタRC2を補正することで、リール40L、40C、40Rが起動する時の初期動作を円滑にすることができる。
[リール演出の例]
次に、リールの動作演出をいくつか具体例を挙げて説明する。ここで、図29は、スロットマシン10の遊技制御手段110が管理する動作のうち、遊技を一時的に中断(フリーズ)させてリール演出を行う工程に関連する部分を示すフローチャートである。この実施形態では、全てのリール40L、40C、40Rが停止し(ステップS301)、その直後に上述した補正手段が位相カウンタRC2を補正(第一次補正)する例が示される。このとき、リールが次に正方向に起動されることを前提として例えば図23に示される方法で位相カウンタRC2が補正される(ステップS302)。
その後、遊技制御手段110は、リール演出フラグがオンかオフか調べる(ステップS303)。リール演出フラグは、リール変則動作演出などのリール演出を伴うフリーズの作動条件を示すフラグである。すなわち当該フラグがオンであれば(ステップS303:YES)リール演出が行われ(ステップS304)、オフのときは(ステップS303:NO)リール演出を行わずにベットボタン52、54の操作又はスタートレバー55の操作待ちの状態(ステップS305)へ処理が移行する。
なお、リール演出フラグは、例えば再遊技役に係る図柄が有効ラインに表示され再遊技役が成立したときにオンされる。また、BB役やRB役である特別役のような遊技者に有利な役に内部当選したとき、又は特別役への入賞が確定した後若しくは特別役に当選したが一定遊技期間特別役への入賞が確定しなかった場合などにリール演出フラグをオンさせてもよい。更には特別役などの有利な役に当選しなかった場合でも希にリール演出フラグをオンさせ、ガセの演出を行うようにしてもよい。
リール演出フラグがオンであれば(ステップS303:YES)、変則動作制御手段117が上述した方法でリール停止後のリール演出(遊技間フリーズ演出)を行う(ステップS304)。このステップS304のリール演出の実施例については後述する。
リール演出を伴う遊技間のフリーズ処理(ステップS304)が所定時間行われると、ベットボタン52、54の操作又はスタートレバー55の操作待ちの状態に処理が移行する(ステップS305)。遊技制御手段110は、スタートレバー55からの回転開始信号を受け付けると(ステップS305:YES)、役抽選手段112による役抽選処理が行われる(ステップS306)。遊技制御手段110は、再びリール演出フラグの状態を調べ、オンであれば(ステップS307:YES)、リール回転開始前のリール演出(遊技中フリーズ演出)が行われる(ステップS308)。このステップS308の遊技中のフリーズ処理で実行されるリール演出の具体例についても、ステップS304で実行されるリール演出の実施例と併せて後述する。
ステップ305でスタートレバー55からの回転開始信号が受け付けられた後、又は、ステップ308のリール演出に続いて、リール制御手段113が上述した方法でリール40L、40C、40Rを通常回転させる(ステップS309)。
次に、上述したステップS304やステップS308のフリーズ期間において行われるリール演出の例をいくつか説明する。
<所定図柄表示演出>
図30は、スロットマシン10の変則動作制御手段117による所定図柄表示演出を行う際のフローチャートである。ここで、所定図柄表示演出とは、所定の図柄(例えば赤セブン図柄)を例えば水平中段ラインL1に一時的に揃える演出をいい、所定の図柄を揃えるまでにリール40L、40C、40Rを不規則に回転させたり、振動を加えたり、バウンドストップさせたりすることができる。
所定図柄表示演出の実行には、図9に示された停止位置検出手段133、回転量算出手段134及びシナリオパターン選択手段135が関与する。ここで、停止位置検出手段133は、リール40L、40C、40Rが停止したその停止位置を検出する。すなわち、停止位置検出手段133は、停止したリールについての通過図柄フラグRF4及び必要に応じて停止図柄フラグRF5を参照して、現在ラインL1に位置する図柄の図柄番号を取得する。取得した図柄番号に基づいてリールの回転基準位置に対する現在の停止位置が判る。
回転量算出手段134は、停止位置検出手段133が検出したリールの停止位置から当該リールの所定の図柄までの回転量を算出する。例えば、表示させようとする所定の図柄の図柄番号は既知なので、現在ラインL1に位置する図柄の図柄番号と所定の図柄の図柄番号との差分(距離)に基づいて所定の図柄までの回転量が何コマあるかが容易に判る。
シナリオパターン選択手段135は、一つのシナリオパターンテーブル131を選択し、停止した各リールが表示する図柄が所定の図柄となるように、回転量算出手段134が算出した各リールについての回転量に基づいて、当該シナリオパターンテーブル131を構成するシナリオテーブル132及びその呼び出し回数データを決定する。
(第1の演出例)
図31は、所定図柄表示演出の第1の演出例を示す図である。また、図34には第1〜第3の演出例を実行するときに選択されるシナリオパターンテーブル131及びシナリオテーブル132の実施例が示される。第1の演出例では、図34のシナリオパターンテーブルTBL_COMB11が用いられる。図30のフローチャートに従って、図34のシナリオパターンテーブルTBL_COMB11を参照しながら図31に示される第1の演出例を説明する。なお、以下の所定図柄表示演出の説明ではラインL1に一時的に停止させる所定の図柄を各リール40L、40C、40R共通の「赤セブン図柄(図柄番号「8」)」とする。
始めに、停止位置検出手段133がリール40L、40C、40Rの現在の停止位置を検出する(ステップS401)。次に回転量算出手段134が各リール40L、40C、40Rにつき所定図柄までの回転量としての図柄数(x,y,z)をそれぞれ算出する(ステップS402)。ここでは、左リール40Lにおける赤セブン図柄までの図柄数xが8コマ、中リール40Cにおける赤セブン図柄までの図柄数yが6コマ、右リール40Rにおける赤セブン図柄までの図柄数yが13コマであったとする。
シナリオパターン選択手段135は、1つのシナリオパターンテーブル131としてTBL_COMB11を選択する(ステップS403)。ここで選択されるシナリオパターンテーブル131は、予め定められるもの、一定の確率を有する抽選により選択されるもの又は当選した役の種類に応じて選択されるものなど何れでもよい。選択されたシナリオパターンテーブルTBL_COMB11は、参照するシナリオテーブルTBL_SDAT11、TBL_SDAT12、TBL_SDAT13とともにRAM103の所定記憶領域にロードされる。
シナリオパターン選択手段135は、所定図柄までの図柄数(x,y,z)に基づいて、シナリオパターンテーブルTBL_COMB11を構成するシナリオテーブルTBL_SDAT11、TBL_SDAT12、TBL_SDAT13のそれぞれの呼び出し回数を決定する(ステップS404)。
ここで、シナリオパターンテーブルTBL_COMB11を用いた所定図柄表示演出で呼び出されるシナリオテーブルTBL_SDAT11、TBL_SDAT12、TBL_SDAT13は、それぞれ、複数のリール40L、40C、40Rのうちの何れか1つのリールのみ回転動作させる駆動指令データで構成されている。例えば、シナリオテーブルTBL_SDAT11は、左リール40LのみをDW方向(ダウン方向、つまり正方向)に25ステップ(つまり1図柄)進ませるように駆動指令データが構成され、シナリオテーブルTBL_SDAT12は、中リール40CのみをDW方向に1図柄進ませるように駆動指令データが構成され、シナリオテーブルTBL_SDAT13は、右リール40RのみをDW方向に1図柄進ませるように駆動指令データが構成されている。
シナリオパターンテーブルTBL_COMB11を選択したシナリオパターン選択手段135は、左リール40Lを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT11の呼び出し回数をx(=8)に決定し、中リール40Cを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT12の呼び出し回数をy(=6)に決定し、右リール40Rを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT13の呼び出し回数をz(=13)に決定する。
また、RAM103には、各リール40L、40C、40Rに対応して、インターバル割込み処理で各リールを回転させる回転量のデータが記憶される記憶手段としての記憶領域RML、RMC、RMRが設けられる。ここで、図35は、記憶領域RML、RMC、RMRの内容が時間の経過に伴って更新される例を示す図である。
選択されたシナリオパターンテーブル131に従って、当該シナリオパターンテーブル131から参照されるシナリオテーブル132が呼び出される毎に駆動指令データが展開(デコード)され、展開された各リールの回転量のデータがステッピングモータのステップ数として各記憶領域RML、RMC、RMRに記憶される。変則動作制御手段117(リール制御手段113)は、所定周期の割込み処理で記憶領域RML、RMC、RMRの値を参照しそこに記憶されている回転量だけ各ステッピングモータを駆動する。
例えば図35に示される記憶領域RML、RMC、RMRの値「1」は、1回の割込み処理でステッピングモータを正方向(DW方向)に1ステップ進ませることを意味する。図示はしないが1回の割込み処理でステッピングモータを正方向(DW方向)に2ステップ進ませる場合には記憶領域RML、RMC、RMRに値「2」が記憶され、逆方向(UP方向)に1ステップ戻す場合には値「−1」が記憶され、逆方向(UP方向)に2ステップ戻す場合には値「−2」が記憶される。なお、1回の割込み処理でステッピングモータを2ステップ進ませるとは、具体的には、1−2相励磁方式でステッピングモータを駆動する場合、2つ先の励磁相を励磁することでなされ、ステッピングモータを2ステップ戻すとは、2つ前の励磁相を励磁することでなされる。このように1回の割込み処理でステッピングモータの励磁相を1つ飛ばして2ステップ回転させた場合には、そのリールの回転速度が2倍速となる。
シナリオテーブル132を構成する駆動指令データでは、複数のリール40L、40C、40Rの回転量データが6進数で表される各桁と各リールとが対応し、各リールについての指令回転量が当該回転量データの6進数で表される各桁の値にコード化されている。本実施形態によれば、駆動指令データの回転量データは当該シナリオテーブル132が呼び出されたときにデコードされ、そのデコードされた各リールについての駆動ステップ数が記憶領域RML、RMC、RMRにそれぞれ分けて記憶される。これにより、簡素なデータ構成のシナリオテーブルを用いながらも、リール40L、40C、40Rを別々に変則動作させるような複雑なリール演出を効率良く行うことができる。したがって、割込み処理でリール駆動処理に要する負荷が軽減し、割込み処理時間を短縮させることができる。
図30に戻り、シナリオテーブルTBL_SDAT11、TBL_SDAT12、TBL_SDAT13が決定された後、起動時補正手段119がリールの起動方向(DW/UP)に応じて位相カウンタRC2を補正する(ステップS405)。上述したように、シナリオパターンテーブルTBL_COMB11の最初のバイトには各リール40L、40C、40Rの起動方向に応じた起動補正データ(@DW×80h+@DW×40h+@DW×20h)が設定され、起動時補正手段119はこのデータを参照して図23に示した方法で位相カウンタRC2を補正する。なお、リール停止直後に第一次補正をした場合には、ここでの補正は二次補正に相当することとなる。
そして、変則動作制御手段117(リール制御手段113)は、シナリオパターンテーブルTBL_COMB11で参照されるシナリオテーブルTBL_SDAT11、TBL_SDAT12、TBL_SDAT13に従ってリール40L、40C、40Rを駆動制御する(ステップS406)。
変則動作制御手段117は、最初にシナリオテーブルTBL_SDAT11を8回呼び出し左リール40Lを回転させる(図31a)。シナリオテーブルTBL_SDAT11は、左リール40Lを1図柄だけ正方向に進めるので、8回呼び出され実行されると8図柄だけ左リール40Lが正方向に回転する。これにより停止した左リール40Lには所定の図柄である赤セブン図柄が中央に表示される(図31b)。
次に、変則動作制御手段117は、シナリオテーブルTBL_SDAT12を6回呼び出し中リール40Cを6図柄だけ回転させる。これにより中リール40Cにも所定の図柄である赤セブン図柄が中央に表示される(図31c)。最後にシナリオテーブルTBL_SDAT13を13回呼び出し右リール40Rを13図柄回転させる。これにより右リール40Rにも赤セブン図柄が中央に表示される(図31d)。
このように第1の演出例では、リール40L、40C、40Rがタイミングをずらして順に回転を開始し、その順番で所定の図柄が順次表示される演出がなされる。
(第2の演出例)
図32は、所定図柄表示演出の第2の演出例を示す図である。また、図34には、第2の演出例を実行するときに選択されるシナリオパターンテーブルTBL_COMB12が示される。シナリオパターンテーブルTBL_COMB12で呼び出されるシナリオテーブルTBL_SDAT17は、全てのリール40L、40C、40Rを1図柄、正方向に進めるテーブルである。シナリオテーブルTBL_SDAT15は、左及び右リール40L、40Rを1図柄、正方向に進めるテーブルであり、シナリオテーブルTBL_SDAT13は、右リール40Rを1図柄、正方向に進めるテーブルである。
シナリオパターンテーブルTBL_COMB12では、最初にシナリオテーブルTBL_SDAT17が3×20回呼び出される。1つのリールに印刷されている図柄数が20図柄なので、シナリオテーブルTBL_SDAT17が3×20回実行されると、全てのリール40L、40C、40Rが揃って正方向に3回転する(図32a)。続いて、シナリオテーブルTBL_SDAT17が6回呼び出され、更に全リール40L、40C、40Rが6図柄だけ回転する。この時点で停止した中リール40Cのみで所定の図柄である赤セブン図柄が中央に表示される(図32b)。
中リール40Cが停止後、引続きシナリオテーブルTBL_SDAT15が2回呼び出され、左リール40Lと右リール40Rが2図柄だけ回転する。これにより、左リール40Lが最初の位置から3回転+8図柄進んだことになり、停止した左リール40Lにより所定の赤セブン図柄が中央に表示される(図32c)。更にシナリオテーブルTBL_SDAT13が5回呼び出され、右リール40Rだけが5図柄だけ回転し停止する。これにより、右リール40Rが最初の位置から3回転+13図柄進んだことになり、この時点で停止した右リール40Rを含め全てのリールにおいて赤セブン図柄が揃って表示される(図32d)。
このように第2の演出例では、最初に全てのリール40L、40C、40Rが一斉に回転を開始し、タイミングをずらしてそれぞれ停止して所定の図柄が順次表示される演出がなされる。
(第3の演出例)
図33は、所定図柄表示演出の第3の演出例を示す図である。また、図34には、第3の演出例を実行するときに選択されるシナリオパターンテーブルTBL_COMB13が示される。
シナリオパターンテーブルTBL_COMB13では、最初にシナリオテーブルTBL_SDAT13が5回呼び出され、右リール40Rが5図柄回転する(図33a)。続いて、シナリオテーブルTBL_SDAT15が2回呼び出され、左リール40Lと右リール40Rが2図柄回転する(図33b)。更に続いて、シナリオテーブルTBL_SDAT17が6回呼び出され、全てのリール40L、40C、40Rが6図柄回転する(図33c)。この時点で、最初の位置から左リール40Lが8(=2+6)図柄進んだことになり、中リール40Cが6図柄進んだことになり、右リール40Rが13(=5+2+6)図柄進んだことになり、全てのリールで所定の赤セブン図柄が横並びに揃っている。
引続き更に、シナリオパターンテーブルTBL_COMB13では、シナリオテーブルTBL_SDAT17が5×20回呼び出される。1つのリールに印刷されている図柄数が20図柄なので、シナリオテーブルTBL_SDAT17が5×20回実行されると、全てのリール40L、40C、40Rが揃って更に5回転する。その後、停止したリール40L、40C、40Rにより赤セブン図柄が揃って中央に表示される(図33d)。
このように第3の演出例では、リール40L、40C、40Rがタイミングをずらして順に回転を開始し、所定時間後に全リールが同時に停止して所定の図柄が表示される演出がなされる。
(第4の演出例)
以上説明したような基本的なリール動作を行うシナリオテーブル132を様々に組み合わせてシナリオパターンテーブル131を構成すれば、より複雑で多様なリール演出が容易に実現できる。とりわけリール演出を行うプログラムを複雑化せずかつ多くのメモリ領域も必要としない。図36に示される第4の演出も、このようなシナリオパターンテーブル131及びシナリオテーブル132の組み合せにより実現される例である。
第4の演出では、最初に中リール40Cの回転が開始し(図36a)、次いで右リール40Rの回転が開始し(図36b)、そして全てのリール40L、40C、40Rが回転する(図36c)。所定時間回転後、初めに中リール40Cが停止して所定図柄である赤セブン図柄が表示され(図36d)、次いで左リール40Lが停止して赤セブン図柄が表示され(図36e)、最後に右リール40Rが停止して赤セブン図柄が揃って表示される(図36f)。
(第5の演出例)
また、図37に示される第5の演出では、最初に中リール40Cが逆回転し(図37a)、次いで左右のリール40L、リール40Rが正回転し(図37b)、所定時間回転後に、初めに中リール40Cが停止して赤セブン図柄を表示し(図37c)、次いで左リール40Lが停止して赤セブン図柄を表し(図37d)、最後に右リール40Rが停止して赤セブン図柄を表示する(図37e)。
<ランダム回転開始演出>
上述した所定図柄表示演出では、所定の図柄がラインL1に揃った状態でリール40L、40C、40Rが停止する。このように図柄の組み合わせが揃った状態からリールを回転させて遊技を開始した場合、7図柄(赤セブンや白セブン図柄)のような、他の図柄より大きくて目立つ図柄が揃った状態で回転しているので、7図柄の目押し操作が容易になってしまい、遊技者の公平感を阻害してしまうことがある。リールの回転周期を何らかの手段で検出し、その周期に合せて停止操作すれば当り役図柄の目押しが比較的容易となってしまうことがある。これを防ぐために、上述の所定図柄表示演出で表示した所定の図柄の組み合わせとは異なる図柄の組み合わせとなるように各リール40L、40C、40Rを制御するランダム回転開始演出を行ってから遊技を開始させるようにしてもよい。
より具体的には、シナリオパターン選択手段135は、上述した所定図柄表示演出を行う第1のシナリオパターンテーブル(例えば図34に示されるTBL_COMB11など)を任意に選択して、リール40L、40C、40Rが停止したときに所定の図柄(例えば赤セブン図柄)を表示するように、回転量算出手段134が算出した回転量に基づいて当該第1のシナリオパターンテーブルから参照されるシナリオテーブルの呼び出し回数を決定する。また、シナリオパターン選択手段135は、第2のシナリオパターンテーブル(例えば図40に示されるTBL_COMB25など)を選択し、複数のリール40L、40C、40Rについてそれぞれランダムに選択した回転量となるように当該第2のシナリオパターンテーブルから参照されるシナリオテーブルの呼び出し回数を決定する。
そして変則動作制御手段117(リール制御手段113)は、選択された第1のシナリオパターンテーブルに従ってリール40L、40C、40Rを制御することで所定の図柄(例えば赤セブン図柄)の組み合わせに揃える所定図柄表示演出を行い、続いて第2のシナリオパターンテーブルに従ってリール40L、40C、40Rを制御することで図柄の組み合わせが前記所定の図柄の組み合わせとは異なるランダム回転開始演出を行う。
なお、第2のシナリオパターンテーブルを用いたランダム回転開始演出においてもリール40L、40C、40Rを正逆に回転させたり、振動させたりするなどの変則動作を伴うことができる。
(第6の演出例)
図38は、変則動作制御手段117によるランダム回転開始演出を行う際のフローチャートである。図39は、第6の演出例によるランダム回転開始演出を示す図である。また、図40には第6の演出例を実行するときに選択される第2のシナリオパターンテーブルTBL_COMB25の実施例が示される。図38のフローチャートに従って、図40のシナリオパターンテーブルTBL_COMB25を参照しながら図39に示される第6の演出例を説明する。なお、以下のランダム回転開始演出の説明では、上述した所定図柄表示演出で揃えられる所定の図柄の組み合せを赤セブン−赤セブン−赤セブンとし、これらの図柄の組み合せが表示された位置からのリール動作演出を説明する。
始めに、回転量算出手段134は、図柄数に換算した各リール40L、40C、40Rの初期回転量(i,j,k)を乱数選択する(ステップS501)。ここでの乱数選択は、ソフトウエア若しくはハードウエア乱数器から0〜19の乱数を選択する方式、予め定めた呼び出し回数パターンに応じて、呼び出し回数を決定する方式、0〜19の範囲で高速動作するインクリメントカウンタからの値を取得する方式、又は、取得した乱数値に基づき0〜19の値をテーブル抽選して選択する方式の何れであってもよい。
なお、ステップS501で乱数選択された左リール40Lの初期回転量(図柄数)iが2コマ、中リール40Cの初期回転量(図柄数)jが12コマ、右リール40Rの初期回転量(図柄数)kが5コマであったとする。
シナリオパターン選択手段135は、一つのシナリオパターンテーブル131(第2のシナリオパターンテーブル)を選択する(ステップS502)。ここでのシナリオパターンテーブル131の選択は、予め定めたもの、抽選により選択されるもの又は当選した役の種類に応じて選択されるものなど何れでもよい。本実施形態は、図39に示される第6の演出例を行うためにTBL_COMB25が選択された例で説明される。選択されたシナリオパターンテーブルTBL_COMB25は、参照するシナリオテーブルTBL_SDAT13、TBL_SDAT15、TBL_SDAT17とともにRAM103の所定記憶領域にロードされる。
シナリオパターン選択手段135は、選択した初期回転量(i,j,k)に基づいて、シナリオパターンテーブルTBL_COMB25を構成するシナリオテーブルTBL_SDAT13、TBL_SDAT15、TBL_SDAT17のそれぞれの呼び出し回数を決定する(ステップS503)。
また、シナリオパターン選択手段135は、図40に示されるように、例えば右リール40Rを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT13の呼び出し回数を3に決定し、左及び右リール40L、40Rを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT15の呼び出し回数を9に決定し、全リール40L、40C、40Rを回転させるシナリオテーブルTBL_SDAT17の呼び出し回数を12に決定する。
なお、選択されたシナリオパターンテーブルTBL_COMB25から参照されるシナリオテーブルTBL_SDAT13、TBL_SDAT15、TBL_SDAT17が呼び出される毎に駆動指令データが展開(デコード)され、展開された各リールの回転量のデータがステッピングモータのステップ数として各記憶領域RML、RMC、RMRに分けて記憶される。
次に、起動時補正手段119がリールの起動方向(DW/UP)に応じ図23に示した方法で位相カウンタRC2を補正する(ステップS504)。そして、変則動作制御手段117(リール制御手段113)は、シナリオパターンテーブルTBL_COMB25で参照されるシナリオテーブルTBL_SDAT13、TBL_SDAT15、TBL_SDAT17に従ってリール40L、40C、40Rを駆動制御する(ステップS505)。リールを駆動するリール駆動処理は、所定周期の割込み処理で行われ、シナリオテーブル132の駆動指令データが展開された記憶領域RML、RMC、RMRを、変則動作制御手段117が割込み処理毎に参照し、そこに記憶されている回転量だけ各ステッピングモータを駆動する。
変則動作制御手段117は、シナリオパターンテーブルTBL_COMB25で参照されるシナリオテーブルTBL_SDAT13を3回呼び出し、赤セブン図柄がラインL1に揃った状態(図39a)から右リール40Rを3図柄だけ正方向に回転させる(図39b)。
次に、変則動作制御手段117は、シナリオテーブルTBL_SDAT15を9回呼び出し、左リール40Lを9図柄、右リール40Rを更に9図柄だけ正方向に回転させる(図39c)。そして、変則動作制御手段117は、シナリオテーブルTBL_SDAT17を12回呼び出し、全リール40L、40C、40Rを更に12図柄、正方向に回転させる(図39d)。
その結果、左リール40Lでは、最初の位置から9+12=21図柄、つまり1周して2コマ進んだことになり、ステップS501で選択された初期回転量i(2コマ)だけオフセットされたこととなる。同様に、中リール40Lが最初の位置から12コマ進み、右リール40Rが最初の位置から3+9+12=24図柄、つまり1周して5コマ進んだことになり、ステップS501で選択された初期回転量j、kだけオフセットされたこととなる。
そして、リール制御手段113はリール40L、40C、40Rを通常回転させる(ステップS506)。このようにしてリール40L、40C、40Rがその所定図柄の揃った状態からランダムな状態に戻され、その後に遊技が再開される。
(第7の演出例)
図41には、第7の演出例によるランダム回転開始演出が示される。この演出例では、所定図柄が揃った状態(図41a)から例えば左と右のリール40L、40Rが逆方向に回転し(図41b)、その後停止して図柄をランダムに表示する例である(図41c)。リール停止後のスタートレバー55の操作によりフリーズが解除されて、リール40L、40C、40Rが通常回転する(図41d)。
(第8の演出例)
図42には、第8の演出例によるランダム回転開始演出が示される。この演出例では、所定図柄が揃った状態(図42a)からスタートレバー55の操作によりリール40L、40C、40Rが上下に振動し(図42b)、その後停止してランダムな図柄が表示された後に(図42c)、リール40L、40C、40Rが通常回転する例である(図42d)。
以上のような複雑な動作をするリール演出がシナリオパターンテーブル131及びシナリオテーブル132の単純な組み合せにより実現できる。したがって、テーブルデータの記憶容量の増加やその大幅な書き換え等を行うことなく、リールの動作パターンの変更又は動作パターンの多様化等の要求に対し容易かつ柔軟に対応可能となる。また、所定図柄表示演出による図柄表示態様が、ランダム回転開始演出を行うことによって次の遊技に影響を与えないようにすることができる。またこれらを組み合わせた斬新なリール演出態様を提供することもできる。
なお、このようなリール演出を伴うフリーズを例えばベットボタン52、54の操作で強制終了するようにしてもよい。この場合において例えば小役の図柄が斜めのラインL3Aに揃う再遊技役(例えば図6に示される再遊技役B)が成立後のフリーズ演出に対しベットボタン52、54の操作がされ演出が終了したときには、クレジットからのメダルの投入がされずに遊技を開始させることができる。そうすることにより、ベットボタン52、54が本来持つ遊技開始の操作感覚を遊技者に与えることができる。フリーズ演出中は遊技操作手段への操作が原則無効とされるが、スタートレバー55等の他の遊技操作手段にこのような演出の強制終了機能を持たせてもよい。ただし、赤セブン図柄が揃った状態でキャンセルされると、赤セブン図柄が揃った状態で回転を行うので、赤セブン図柄が揃った状態では、キャンセルできないように構成してもよく、キャンセルされてから回転開始を行うときにランダム回転開始演出を行うように構成してもよい。
[インターバル割込み処理]
フリーズ期間中は遊技とは無関係のリール演出ができるので、リールを通常よりも速い速度で回転させる演出も可能である。本実施形態では、安定した制御性でリールを高速で回転させるために、次に説明する特殊なインターバル割込み処理がスロットマシン10に提供される。
本実施形態のスロットマシン10のメイン制御基板100には、図9に示されるように所定周期のインターバル割込み信号(ここでは単に「割込み信号」という。)を生成する割込み信号生成手段140と、割込み信号に基づいてCPU101が実行する割込み処理を管理する割込み管理手段160と、少なくとも遊技操作手段への操作状態を検出するシステム制御手段170とが備えられる。
割込み管理手段によって管理されるインターバル割込み処理には、上述したリール制御手段113(変則動作制御手段117を含む)によりステッピングモータ41を1ステップ(場合によっては2ステップ以上)駆動するリール駆動処理と、システム制御手段170によるシステム制御処理とがある。従来のスロットマシン10では、リール駆動処理とシステム制御処理とが1つの割込み処理の中でメイン制御基板100のCPU101により実行されていた。本実施形態のスロットマシン10では、リール駆動処理及びシステム制御処理を行う第一割込み処理と、リール駆動処理を行うがシステム制御処理を行なわない第二割込み処理とが設けられ、これらの2種類の割込み処理の振り分けが割込み管理手段160によって管理される。
図43は、割込み信号生成手段140の構成を簡略化して示すブロック図である。割込み信号生成手段140は、例えば基準クロック発生源141と分周回路142とを含む。基準クロック発生源141からの一定周期の基準クロック信号が分周回路142に入力され、分周回路142が基準クロック信号を可変分周比で分周した周期T2の割込み信号を出力する。割込み信号がCPU101に入力されると、CPU101の遊技制御処理が中断しプログラムカウンタ等のレジスタの内容がメモリのスタック領域に退避して、所定の割込み処理が優先的に実行される。
なお、図43の例で分周回路142に代わり図示しないプログラマブルカウンタを用いて周期T2を可変にしてもよい。また、割込み信号生成手段140及び次に説明する割込み管理手段160とをCPU101が実行するソフトウエアで構成して、第一及び第二割込み処理を内部タイマ割込み処理として行ってもよい。
図44は、割込み管理手段160が管理する第一割込み処理(1st)及び第二割込み処理(2nd)の実行タイミングを説明するための図である。図44において周期T1は、従来スロットマシン10のメイン制御基板100と外部の遊技操作手段やLEDランプ等との間で信号の入出力を行うシステムクロックに相当する周期であり、例えばT1=2.24m秒である。この周期T1の間隔でステッピングモータが1ステップ回転するリールの速度が、いわゆる基準の回転速度とされている。
本実施形態で割込み信号生成手段140は、周期T1と同じかそれよりも短い周期T2の割込み信号を生成する(図44では、リールの回転速度が2倍速となる、T2=1/2×T1及び4倍速となるT2=1/4×T1が示されている。)。図44に示されるように、例えば割込み周期がT2=1/2×T1に設定された場合には、割込み信号が2回生成される周期T1毎にリール駆動処理とシステム制御処理が行われ(第一割込み処理)、周期T2の割込み処理でリール駆動処理が行われる(第二割込み処理)。
また、割込み信号の周期がT2=1/4×T1に設定された場合には、割込み信号が4回生成される周期T1毎にリール駆動処理とシステム制御処理が行われ(第一割込み処理)、その間の3回の割込み処理でリール駆動処理が行われる(第二割込み処理)。
このように、入出力信号の監視等のシステムに関する制御処理が行われるのは、周期T2に対し正の整数n倍に設定される周期T1の割込み信号に基づいて第一割込み処理が行われるときである。ここで整数nは可変であり、割込み信号生成手段140に対しプログラマブル制御が可能なパラメータである。そして、割込み信号生成手段140が割込み信号の周期T2を変更することでリール40L、40C、40Rの回転速度が変更される。
つまり、リール制御手段113及び変則動作制御手段117は、ステッピングモータを1ステップ進ませるリール駆動処理を周期T2のインターバル割込み処理毎に行うので、この割込み信号周期T2を短くすることで容易にリールの回転速度を上げることができるのである。この方法によれば、1−2相励磁方式で2つ先の励磁相を励磁する方法に比較して脱調の危険性が少なく制御が安定的であること、そして、周期T2を段階的に短く変更することでリールをスムーズに加速することができる等の制御性もよいことが特徴としてある。
割込み信号生成手段140は、基準クロック発生源141からの基準クロック信号を選択して周期T2の割込み信号を生成してもよい。選択する基準クロック信号の間隔を変更することで周期T2が段階的に変更可能となる。例えば図44では、実線及び点線で記載した円により基準クロック信号の一定の発生タイミングが示されている。例えば基準クロック信号が4回発生するうちの1回を選択してそれを基準の割込み信号とすることができる(T2=T1)。この場合において、リールの回転速度を2倍速にするには(T2=1/2×T1)、基準クロック信号が2回発生するうちの1回を選択してそれを割込み信号とすればよく、リールの回転速度を4倍速にするには(T2=1/4×T1)、毎回の基準クロック信号をそのまま割込み信号とすればよい。
なお、割込み信号生成手段140は、図43に示したように分周回路142の分周比Nを変更することで割込み信号の周期T2を段階的に変更することもできる。例えば、分周比Nを4としたときの割込み信号を基準とすれば(T2=T1)、リールの回転速度を2倍速にするには分周比Nを2とすればよく(T2=1/2×T1)、リールの回転速度を4倍速にするには分周比Nを1とすればよい(T2=1/4×T1)。
上述したように第一割込み処理で入出力信号の監視等が行われるシステム制御処理は周期T1毎に実行され、その周期は割込み信号の周期T2に関わらず常に一定とされる。例えば、割込み信号生成手段140においてリールの回転速度が2倍速になるように割込み信号の周期T2を設定したときは周期T1の周期T2に対する倍数nを2とし(T1=2×T2)、またリールの回転速度を4倍速に設定したときは当該倍数nを4とする(T1=4×T2)。このようにして周期T2が常に一定に保持される。
図45は、第一割込み処理の処理内容を例示するフローチャートである。周期T1毎に起動する第一割込み処理におけるシステム制御処理には、電源断検知処理(ステップS601)、タイマ計測処理(ステップS602)、入力ポートデータ生成(信号入力処理)(ステップS603)、LED表示(信号出力処理)(ステップS604)、役抽選手段112の乱数更新処理(ステップS605)が含まれる。なお、図45に示したシステム制御処理は例示であり、他の処理を含んでもよい。また、これらの一部の処理ステップを第二割込み処理で行ってもよい。
この第一割込み処理では、リール駆動処理も併せて行われる。リール駆動処理では、シナリオテーブル132の駆動データが示す回転量(通常は1ステップ)だけ各ステッピングモータが駆動される(ステップS606)。これにより、第一割込み処理のトータルの処理時間は例えば約0.7m秒とされる。
図46は、第二割込み処理の処理内容を例示するフローチャートである。周期T2毎に起動される第二割込み処理ではリール駆動処理のみが行われ、シナリオテーブル132の駆動データが示す回転量(通常は1ステップ)だけ各ステッピングモータが駆動される(ステップS701)。第二割込み処理のトータルの処理時間は例えば約0.1m秒とされる。なお、上述したシステム制御処理の一部を第二割込み処理が含んでもよく、また図45では図示されていないシステム制御処理の一部を第二割込み処理が含んでもよい。
リールを高速かつ安定して駆動制御するために割込み処理の間隔を単純に短くした構成では、メイン制御基板100が実行する遊技制御処理がその頻繁に行われる割込み処理によって浸食されその影響が無視できなくなる。例えば2.24m秒周期のクロック割込みを有するシステムで0.7m秒の処理時間の割込み処理を発生させると、クロック間当りの遊技制御処理時間が1.54m秒であり、CPU101による遊技制御処理の時間比率(負荷割合)が約68%となる。一方、同じシステムで2倍速のリール速度を得ようとして単純にクロック周期を1/2倍(1.12m秒)にしてしまうと、クロック間当りの遊技制御処理時間が0.42m秒に減り、遊技制御処理の時間比率が約37%と割込み処理に逆転される。
これに対し、本実施形態では、リール駆動処理のみを行うようにした処理負荷が少ない第二割込み処理を新たに設け、システム制御処理を行う周期T1の第一割込み処理の間に周期T2の第二割込み処理を複数回行うようにした。ここで、図47には、本実施形態のスロットマシン10でリールの回転速度を4倍速(n=4)に設定した場合を例に挙げ、そのときにCPU101で実行される遊技制御処理と第一及び第二割込み処理が太い実線で示される。図47に示されるように、遊技制御処理、第一割込み処理及び第二割込み処理が割込み管理手段160により時系列的に振り分けられる。
図47に示される4倍速の実施形態で周期T1が2.24m秒、周期T2が0.56m秒、第一割込み処理の処理時間が0.7m秒、第二割込み処理の処理時間が0.1m秒であるとした場合、計算される遊技制御処理の時間比率は約55%となる。CPU101が負担するこの遊技制御処理の負荷割合は、リールが1倍速(基準の速度)のときの約68%に対しても僅かの減少でしかない。
このように本実施形態のスロットマシン10によれば、リール駆動処理を行う第二割込み処理の周期を短くしてリールの高速回転を実現するとともに、第二割込み処理の負荷を軽減したことで、第二割込み処理が頻繁に行われても遊技制御処理への浸食を抑制することができる。