JP6057062B2 - 眼科測定プログラム - Google Patents

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    • A61B3/0025Operational features thereof characterised by electronic signal processing, e.g. eye models

Description

本発明は、眼内レンズ装用時における被検眼の網膜像のシミュレーションを行うための眼科測定プログラムに関する。
従来、白内障手術においては、水晶体の代わりとして眼内レンズが眼内に挿入される。眼内レンズの度数を決定する場合、被検眼の角膜曲率、眼軸長が予め測定される。次に、所定の眼内レンズ度数計算式に各測定結果が代入されることによって眼内レンズの度数が決定される。
ところで、所定の眼内レンズ度数計算式では、被検者に対して理想的な度数が算出されるが、算出された度数の眼内レンズは、実存しない場合がありうる。例えば、眼内レンズは、0.5Dのステップで用意されているが、算出された度数によっては、若干の屈折誤差が残存する場合がある。
また、被検眼の角膜波面収差を得ておき、眼内レンズが装用されたときの視標像の見え方をソフトウェアによりシミュレーションする装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−34451号公報
ところで、眼内レンズの詳しいレンズ設計値は、通常、製造メーカのみが知りうる。他の者がレンズ設計値を正確に得るためには、レンズ形状、結像状態等を極めて厳密に求める必要があり、現実的とはいえない。このような状況下において、好適なシミュレーションが望まれる。
本発明は、上記従来技術を鑑み、眼内レンズの装用に関して良好なシミュレーションを行うことができる眼科測定プログラムを提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
角膜形状測定装置によって測定された被検眼角膜の角膜波面収差データを取得する収差データ取得ステップと、
被検眼の角膜形状、被検眼の眼軸長、及び被検眼に移植予定の眼内レンズに関連するパラメータを所定の眼内レンズ計算式に代入することによって被検眼の予想術後屈折力を算出する予想術後屈折力算出ステップと、
予想術後屈折力算出ステップにて算出された被検眼の予想術後屈折力に術後の眼全体の屈折力が対応する条件での予想術後前房深度を求め、求められた予想術後前房深度を用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する術後演算ステップと、
術後演算ステップにて演算された術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度と、収差データ取得ステップによって取得された角膜波面収差の高次収差と、を含む被検眼全体の波面収差データを近似する多項式の係数を演算し、演算された前記多項式の係数を用いて波面収差データを逆算し、逆算された波面収差データに基づいてシミュレーション画像を作成する画像作成ステップと、
作成されたシミュレーション画像をモニタに表示する表示ステップと、
をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、眼内レンズの装用に関して良好なシミュレーションを行うことができる。
本発明に係るプログラムをコンピュータに実行させるための実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11は本実施形態の実施例に係る図である。
<概要>
眼科測定プログラムは、収差データ取得ステップと、術後演算ステップと、画像作成ステップと、表示ステップと、の少なくともいずれかのステップをコンピュータに実行させるための眼科測定プログラムである。
収差データ取得ステップは、角膜形状測定装置10によって測定された被検眼角膜の角膜波面収差データを取得する。本ステップは、例えば、角膜形状測定装置10の演算処理によって角膜波面収差データが演算された後にコンピュータに転送された角膜波面収差データを取得するようにしてもよい。また、本ステップは、角膜形状測定装置10での測定結果に基づいてコンピュータに角膜波面収差データを演算させることにより角膜波面収差データを取得するようにしてもよい。
術後演算ステップは、術後屈折力(ERROR)を求める所定の眼内レンズ計算式によって算出された被検眼の予想術後屈折力に基づいて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。予想術後屈折力としては、例えば、予想術後等価球面屈折力、予想術後球面屈折力が考えられる。表示ステップは、演算された眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を、術後屈折誤差としてモニタ上に表示するようにしてもよい。予想術後屈折力は、例えば、ディオプター形式で算出される。より好ましくは、眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を算出するための所定の演算式が用いられる。所定の演算式は、例えば、被検眼の角膜屈折力、移植予定の眼内レンズの屈折力との合成屈折力、被検眼の眼軸長に基づいて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を算出する式である。術後演算ステップとしては、例えば、以下のような手法が考えられる。
例えば、術後演算ステップは、眼内レンズがトーリック眼内レンズの場合、トーリック眼内レンズが角膜乱視を打ち消すように配置されたことを想定して眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。
例えば、術後演算ステップは、被検眼の角膜屈折力と、角膜から眼内へ予想術後前房深度ACD分離れた眼内レンズの屈折力とを合成し、被検眼の眼軸長に対応する位置にある網膜に対する眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。
例えば、術後演算ステップは、所定の演算式に含まれている予想術後前房深度ACDを変化させる。そして、術後演算ステップは、所定の眼内レンズ計算式によって算出された予想術後屈折力と眼全体の術後球面度数とが一致するような予想術後前房深度pACDを求める。そして、術後演算ステップは、求められた予想術後前房深度pACDと所定の演算式を用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。表示ステップは、例えば、予想術後屈折力と眼全体の術後球面度数とが一致するような予想術後前房深度pACDをモニタに表示するようにしてもよい。
例えば、術後演算ステップは、所定の演算式に含まれている予想術後前房深度ACDを変化させる。そして、術後演算ステップは、所定の眼内レンズ計算式によって算出された予想術後等価球面屈折力と眼全体の術後等価球面度数とが一致するような予想術後前房深度pACDを求める。そして、術後演算ステップは、想術後前房深度pACDを用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。表示ステップは、例えば、予想術後等価球面屈折力と眼全体の術後等価球面屈折度数とが一致するような予想術後前房深度ACDをモニタに表示するようにしてもよい。
例えば、術後演算ステップは、所定の演算式に含まれている予想術後前房深度ACDを変化させる。そして、術後演算ステップは、所定の眼内レンズ計算式によって算出された予想術後等価球面屈折力と眼全体の術後等価球面度数とが一致するような予想術後前房深度pACDを求める。そして、術後演算ステップは、想術後前房深度pACDを用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。表示ステップは、例えば、予想術後等価球面屈折力と眼全体の術後等価球面屈折度数とが一致するような予想術後前房深度ACDをモニタに表示するようにしてもよい。
例えば、術後演算ステップにおいて、術後の眼全体の屈折力を、被検眼の角膜屈折力、移植予定の眼内レンズの屈折力との合成屈折力、被検眼の眼軸長に基づいて算出する。そして、術後演算ステップは、算出された術後の眼全体の屈折力が、所定の眼内レンズ計算式によって算出された被検眼の予想術後屈折力に対応する条件での眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する。
なお上記では、予想術後前房深度を求める際の眼全体の等価球面度数について、眼内レンズ屈折力を球面度数、乱視度数、軸角度に基づき決定している。これ以外にも、眼内レンズ屈折力を球面度数のみによって決定しても良い。つまり、乱視度数と軸角度をゼロとみなす。このようにすると、より眼内レンズ計算式に則した予想術後前房深度の算出が可能となる。
上記所定の眼内レンズ計算式としては、例えば、SRK式、SRK2式、BINKHORST式、HOFFER−Q式、HOLLADAY式、HAIGIS式のいずれかが挙げられる。
画像作成ステップは、術後演算ステップにて演算された術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度と、収差データ取得ステップによって取得された角膜波面収差の高次収差と、を含む多項式の係数を演算する。多項式は、被検眼全体の波面収差データを近似する式である。画像作成ステップは、演算された多項式の係数を用いて波面収差データを逆算し、逆算された波面収差データに基づいてシミュレーション画像を作成する。画像作成ステップは、さらに、眼内レンズが持つ球面収差量を含む被検眼全体の波面収差データを近似する多項式の係数を演算するようにしてもよい。
なお、上記プログラムにおいて、さらに、被検眼の角膜形状、被検眼の眼軸長、及び被検眼に移植予定の眼内レンズに関連するパラメータを所定の眼内レンズ計算式に代入することによって被検眼の予想術後屈折力を算出するステップを有するようにしてもよい。被検眼の角膜形状に関連するパラメータとしては、例えば、角膜屈折力、角膜曲率半径、角膜厚のいずれかの挙げられる。また、角膜表面形状に関連するデータに加えて、角膜裏面に関連するデータが用いられてもよい。眼内レンズに関連するパラメータとしては、例えば、移植予定の眼内レンズの屈折力、A定数、Surgeon Factorのいずれかが挙げられる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る眼科測定プログラムを備えるシミュレーション装置(眼科測定装置)の全体構成について説明するブロック図である。図2は、本実施例に係るシミュレーションの流れの一例を示すフローチャートである。
シミュレーション装置1は、主に、眼内レンズ装用時における被検眼(患者眼)の網膜像をシミュレーションするために用いられる。シミュレーション装置1は、CPU(演算処理部)30、メモリ35、操作入力部(以下、入力部)40、プリンタ43、モニタ50、画像処理部31等、から構成されており、各部はバス等を介して接続されている。
CPU30は、網膜像シミュレーションプログラムや各種制御プログラムに基づいて各部の動作を制御する。入力部40は、検者によって操作される入力装置である。入力部40としては、スイッチ、キーボード、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイスなどが用いられる。画像処理部31は、各種データやシミュレーション画像等を表示するモニタ50の表示画面を制御する。メモリ35は、記憶部であり、CPU30で実行される各種プログラム(例えば、装置動作のための各種制御プログラム、網膜像シミュレーションプログラム)、各種眼内レンズ(IOL)情報、術者情報、測定者情報、各種IOLパワー計算式(SRK−T、SRK、HOLLADAY等)、等を記憶する。メモリ35は、記憶装置として用いられ、例えば、半導体メモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などが用いられる。モニタ50は、出力装置として用いられ、CPU30によって制御される。本実施例のモニタ50は、検者による入力操作が可能なタッチパネルであり、入力部40の少なくとも一部を兼用する。プリンタ43は、シミュレーションの結果を印刷する。
なお、CPU30、入力部40、メモリ35、モニタ50、画像処理部31として、市販のPC(パーソナルコンピュータ)を用い、網膜像シミュレーションプログラムをインストールするようにしてもよい。
なお、シミュレーション装置1には、眼内レンズの選択に利用される被検眼の測定データを取得するための装置として、角膜形状測定装置10及び眼軸長測定装置20が接続されている。シミュレーション装置1は、角膜形状測定装置10、眼軸長測定装置20と別筐体であってもよい。また、角膜形状測定装置10、眼軸長測定装置20の少なくともいずれかと一体化された構成であってもよい。
角膜形状測定装置10は、被検眼角膜に測定光を照射しその反射光を受光することにより被検眼の角膜形状を測定する装置である。角膜形状測定装置10によって測定された角膜形状データの解析によって、被検眼の角膜屈折力、角膜波面収差等の眼内レンズの装用シミュレーションに必要なデータが得られる。なお、角膜屈折力、角膜波面収差は、角膜形状測定装置10に設けられた演算制御部によって取得されてもよいし、シミュレーション装置に設けられた演算処理部によって取得されてもよい。
角膜形状測定装置10としては、例えば、被検眼角膜にプラチド指標を投影しその反射光を受光することにより被検眼の角膜形状を測定する装置、光干渉の原理を用いて被検眼の角膜形状を測定する装置(前眼部光コヒーレンストモグラフィー)等が挙げられる。
本実施例の角膜形状測定装置10は、プラチド板11、照明光源12、前眼部撮像光学系15、制御部16、を有する。プラチド板11には、多数のプラチドリングが形成されている。照明光源12は、プラチド板11のリングパターンをほぼ均一に照明する。前眼部撮像光学系15は、撮影レンズ13、二次元撮像素子14を有し、被検眼角膜に投影されたリングパターン像を撮影する。前眼部撮影光学系15は、プラチド画像を撮影する。また、前眼部撮影光学系15は、被検眼瞳孔部とを含む前眼部画像の撮影を兼用してもよい。さらに、前眼部撮影光学系15は、図示無き所定の投影光学系によって被検眼角膜上に形成された角膜頂点輝点の検出を兼用してもよい。
本実施例の角膜形状測定装置10は、被検眼の眼底に測定光束を投影しその反射光を受光することにより被検眼が持つ眼屈折力分布又は波面収差を測定する測定光学系(例えば、特開平10−108837に開示された位相差方式やシャックハルトマンセンサを用いた眼収差計など)を備える(図示を略す)。なお、シミュレーション装置1と角膜形状測定装置10とは、LAN等で接続されており、角膜形状測定装置10で得られた各種データ(例えば、被検眼角膜の波面収差データ)は、データベースとしての記憶部35に転送される。
また、眼軸長測定装置20としては、例えば、超音波式眼軸長測定装置、光干渉式眼軸長測定装置、等が挙げられる。超音波式眼軸長測定装置は、超音波プローブを用いて被検眼からの反射エコーを受信することにより眼軸長を測定する。光干渉式眼軸長測定装置は、光干渉の原理を用いて被検眼の眼軸長を光学的に測定する。
また、記憶部35に記憶されるIOL情報は、各メーカから提供される眼内レンズの各種モデルに関する情報(眼内レンズモデルデータ)であって、例えば、各モデル毎に、モデル名、メーカー名、A定数、術後ACD:予想前房深度(mm)、を含む。なお、本実施例における眼内レンズが持つ球面収差SA(矯正球面収差)とは、所定の眼内レンズを眼内に挿入したときに矯正される球面収差を表すものであり、被検眼角膜が持つ球面収差と共に、術後の被検眼の球面収差を予想値として算出するために利用される。
なお、各メーカがこのような眼内レンズが持つ球面収差SAを求める場合、設計条件が既知である所定の模型眼における角膜形状に基づいて角膜球面収差(例えば、+0.30μm)を求めておくと共に、眼内レンズが挿入されたときの模型眼全体の波面収差に基づいて模型眼全体の球面収差(例えば、+0.10μm)を求めておき、模型眼全体の球面収差から角膜球面収差を差し引くことで矯正された球面収差を求めることにより球面収差SA(+0.10−(+0.30)=−0.20)を求める。なお、上記演算処理は、所定の模型眼に対して所定の光学特性を持つ眼内レンズを配置した場合の波面収差をシミュレーションできる光学シミュレーションソフトにより可能である。また、上記説明においては、各メーカから球面収差SAが提供されるものとしたが、メーカからの提供もしくは各種計測機器の使用によって眼内レンズの光学特性(レンズ曲率半径、屈折率、レンズの厚み、コーニック定数、非球面定数など)を得た上で、所定の模型眼に挿入したときの波面収差をシミュレーションすることによって算出することも可能である。
記憶部35に記憶される術者情報は、眼内レンズ挿入手術を行う術者の情報であって、例えば、術者名、術者が用いる眼内レンズのIOL情報、術者が所望する被検眼の目標術後残余球面収差、等を含む。ここでは、術者毎に登録されるIOL情報について、A定数、術後ACD(mm)、SF:SURGERY FACTOR、をそれぞれ術者毎に変更することも可能である。
記憶部35に記憶される測定者情報は、超音波診断装置を用いて被検眼の眼軸長を測定する測定者に関する情報であって、測定者名と、これに対応する補正値、を含む。なお、上記IOL情報、術者情報、測定者情報は、それぞれ所定の設定登録画面にて新たな情報を追加登録したり、登録内容の変更を行うことができる。
図2は本実施例に係る眼内レンズ選択装置の動作について説明するフローチャートである。フローチャートにあるように、眼内レンズの選択を行うために用意されたモード(ナビモード)として、CT・REF測定モード、スクリーニングモード、眼軸長測定モード、データ入力モード、IOL選択モード、見え方比較モード、印刷モード、が設けられている。その他、各種設定モード、再印刷モード、詳細確認モード、が設けられている。なお、モニタ50に表示される各モードの表示画面における左側には、図3〜図8に示すように、各モードが順に示されたモードリストと現在設定されたモードとを表示する領域70が設けられている。なお、現在設定されているモードに関しては、他のモード表示によりも薄い色で塗りつぶしがなされる。
また、モード変更は、図3〜図8に示すようにモニタ50上に設けられた、次のモードへ移行するためのモード移行ボタン74と、前のモードへ移行するためのモード移行ボタン75が用いられる。
プログラムが起動されて、ナビモードが選択されると、CPU30は、図3に示すような、CT・REF測定画面80に移行する。CT・REF測定画面80には、患者情報を表示する領域81、測定の手順を説明する領域82、測定データ取込ボタン83、患者選択ボタン84、等が設けられている。なお、測定データ取込ボタン83は、角膜形状測定装置10と選択装置1とがLAN接続されていないような場合、USBメモリ等を介してデータを取得するためのボタンである。
ここで、マウス41によって患者選択ボタン84がクリックされると、予め入力された患者リストがモニタ50上に表示される(図示を省略する)ので、この中から該当する患者を選択することにより、患者情報(ID番号、名前、年齢、測定眼、性別、検査日、等)を得る。この場合、キーボード42及びマウス41を用いて患者情報を直接入力するようにしてもよい。
次に、検者は、領域82に表示された説明に従い、角膜形状測定装置10を用いて、被検眼の眼屈折力分布又は波面収差を測定する(REF測定)。次に、検者は、角膜形状測定装置10を用いて被検眼のプラチド画像及び前眼部画像を撮影する(CT測定)。ここで、角膜形状測定装置10の制御部16は、取得されたプラチド画像に基づいて、角膜曲率分布、被検眼角膜表面の3次元形状(測定光軸L1方向における被検眼角膜高さ分布)、角膜屈折力分布、等の被検眼角膜に関する詳細情報(測定データ)を得る。また、制御部16は、得られた被検眼角膜高さ分布と、収差が0と仮定された角膜高さ分布と、を比較して、その差分情報に基づいて所定の解析径における被検眼角膜の波面収差を求める。なお、被検眼のまぶた等によってプラチド画像の一部が遮られた場合、解析径が小さくなる場合がある。また、制御部16は、撮影された前眼部画像(角膜頂点輝点と瞳孔部を含む画像)に基づいて、被検眼の角膜頂点位置と瞳孔中心位置を抽出し、そのずれ量とずれ方向を演算処理により求める。
以上のようにして制御部16による演算処理が完了すると、得られた測定データが記憶部35へ自動的に転送される。この場合、記憶部35に記憶された測定データをモニタ50で確認できるようにしてもよい。なお、上記説明においては、角膜形状測定装置10の制御部16を用いて測定データの演算を行うような構成としたが、CPU30側で演算処理を行うようにしてもよい。
上記のようにして、CT・REF測定が完了し、マウス41を操作する検者によってモード移行ボタン74がクリックされると、CPU30は、図4に示すようなスクリーニング画面100に移行する。
スクリーニング画面100には、角膜形状測定装置10から送られた測定データに基づいた被検眼の前眼部に関する情報を表示する領域101が設けられている。また、IOLのパワー計算を行うために入力される情報を表示する領域102、及びCT・REF測定モードにて得られた測定結果(眼屈折力値SCA、VD、角膜屈折力K1、K2、等)を表示する領域103(図5〜図8も同様)が設けられている。
領域101には、スクリーニング結果、診断コメント、MDist、角膜球面収差、角膜高次収差、角膜球面収差解析径、が表示される。ここで、スクリーニング結果は、前述のように取得された被検眼の角膜曲率分布に基づいて、CPU30が被検眼の角膜異常の有無を解析した結果であり、正常眼(乱視量0.5D以内)、0.5Dを超える乱視眼、円錐角膜の疑い、円錐角膜、角膜変性症、角膜移植眼、近視眼矯正手術眼、遠視眼矯正手術眼、その他、の中から結果が推測される。診断コメントは、スクリーニング結果に基づいてCPU30がコメントを表示したものである。なお、図4においては、正常眼(NRM)である確率が99%、その他(OTHER)の確率が1%であることを示している。なお、このような角膜解析の詳しい手法については、特開2005−288176号公報を参考にされたい。
また、MDistは、前述のように取得された被検眼の角膜頂点と瞳孔中心とのずれ量(偏心距離)と方向を示すものであり、解析結果として、ずれ量がmm単位で表示されると共に、ずれ方向が度単位で表示される。また、CPU30は、取得されたずれ量(mm)に応じて正常(NORMAL)、疑いあり(SUSPECT)、異常(ABNORMAL)のうち、被検眼がどれに該当するかの判定を行う。本実施例では、予め取得された偏心距離MDistが、0mm以上〜0.3mm未満であれば、正常と判定し、0.3mm以上〜0.5mm未満であれば、異常疑いと判定し、0.5mm以上であれば、異常と判定する。そして、正常と判定されれば、ずれ量が示された領域に対して、緑色の塗りつぶしを行い、異常疑いと判定されれば、黄色の塗りつぶしを行い、異常と判定されれば、赤色の塗りつぶしを行う。
また、角膜球面収差は、被検眼角膜が持つ高次収差成分の一つである球面収差を示すものであり、μm単位で収差量が表示されるとともに、その解析径が表示される。この場合、CPU30は、前述のように取得される被検眼角膜の波面収差成分に基づいて、ゼルニケの多項式を用いて被検眼の球面収差成分を取り出すことにより被検眼の角膜球面収差を算出する。
また、角膜高次収差は、被検眼角膜が持つ高次収差(ゼルニケ多項式の3次以上の成分)の総計を示すを示すものであり、μm単位で収差量が表示されるとともに、その解析径が表示される。この場合、CPU30は、前述のように取得される被検眼角膜の波面収差成分に基づいて、ゼルニケの多項式を用いて被検眼の高次収差成分(ゼルニケ多項式の3次以上の成分の合計)を取り出すことにより被検眼の角膜高次収差を算出する。
また、角膜球面収差解析径は、角膜形状測定装置10の制御部16が被検眼の波面収差を算出した際の角膜領域を示すものである。なお、解析径について、直径6mm領域での解析を基準としているのは、眼内レンズの一般的な光学部の直径が6mmとしているためである。
ここで、CPU30は、解析に用いられた解析径に対して正常か異常かの判定を行う。ここで、解析された解析径が6mmであれば正常と判定し、解析系が5.0mm〜6.0mm未満であれば、異常疑いと判定し、5.0mm以下であれば異常と判定する。そして、正常と判定されれば、角膜径を示す領域に対して、緑色の塗りつぶしを行い、異常疑いと判定されれば、黄色の塗りつぶしを行い、異常と判定されれば、赤色の塗りつぶしを行う。
以下に、領域102に関する説明を行う。領域102には、選択されるIOLパワー計算式、角膜の術歴、術者名、IOL移植経験の有無、VD:角膜頂点間距離、使用する角膜曲率値、が表示されている。ここで、IOLパワー計算式の名前が表示された領域に設けられたプルダウンボタンがマウス41を介してクリックされると、記憶部35に記憶された計算式が一覧表示され、所望する計算式をクリックすることによって、計算式の選択が可能である。また、前回選択した計算式はデフォルメ(保存)されるようになっており、次の選択においても前回選択した計算式が継続して利用できるようになっている。なお、上記IOL計算式としては、Camellin-Calossi、SRK、SRK-2、SRK-T、BINKHORST,HOFFER-Q等が挙げられる。
また、角膜の術歴を示す領域に設けられたプルダウンボタンがマウス41を介してクリックされると、術歴の一覧が表示され、該当する術歴をクリックすることによって、術歴の選択が可能である。なお、本実施例では、なし(デフォルト)、切開系(RK、AK、CK)、レーザ切除系(PRK、LASIK)、移植又はPTK、から術歴を選択することが可能である。また、術歴選択において、切開系、レーザ切除系、移植又はPTK、の何れかが選択された場合、その矯正値がディオプター表示されるようになっており、矯正値は角膜の術歴がある場合における眼内レンズのパワー計算に利用される。
また、術者名を示す領域に設けられたプルダウンボタンがマウス41を介してクリックされると、術者の一覧が表示され、該当する術者をクリックすることによって、術者の選択が可能である。
また、IOL移植の有無を示す領域に設けられたプルダウンボタンがマウス41を介してクリックされると、はじめてと2回目以降の2つの選択肢が表示され、該当する選択肢をクリックすることによって、選択が可能である。この情報は、計算式Camellin-Calossiの変数として用いられる。
また、VDを示す領域に設けられたプルダウンボタンがマウス41を介してクリックされると、選択可能なVDの一覧が表示され、該当するVDをクリックすることによって、VDの選択が可能である。なお、本実施例では、10.50mm、12.00mm、13.75mm、15.00mm、16.50mm、の何れからVDを選択することが可能である。この情報は、計算式Camellin-Calissiの変数として用いられる。
また、眼内レンズのパワー計算に使用する角膜曲率を特定するために設けられた3つの選択可能領域(ラジオボタン)の内のいずれかをマウス41を用いてクリック(選択)すると、パワー計算に使用する角膜曲率として、「瞳孔内平均パワー」、「K1及びK2の平均値」、「K2の値」、の何れかが選択されることとなる。また、CPU30は、記憶部35に記憶された被検眼の角膜曲率から算出される角膜屈折力に基づいて推奨する角膜曲率値がどの値であるかを判定する。また、CPU30は、前述のように算出される被検眼の角膜頂点位置と瞳孔中心とのずれ量に基づいて、角膜中央部(角膜頂点)を基準とした直径約3mmにおける角膜曲率半径値を推奨するか瞳孔領域内における角膜曲率値を推奨するかを判定する(選択する)。なお、本実施例では、これらの判定を組み合せた上で、判定結果をモニタ50に表示する。
より具体的には、被検眼の所定領域における角膜曲率に対応する角膜屈折力K1及びK2において、乱視が0.50D以上であればK2を推奨する。また、乱視が0.50D未満で、角膜中心と瞳孔中心のずれ量が小さい場合は、K1とK2の平均値を使用する。
また、ずれ量が大きい場合は、前述のように取得される角膜曲率分布の瞳孔領域内における平均パワーを求めた瞳孔内平均パワーを推奨する。この場合、CPU30は、まず、前述のように得られる前眼部画像から画像処理により、瞳孔領域(虹彩と瞳孔との境界部分)を抽出すると共に、画像上に形成された角膜輝点を用いて角膜頂点位置を抽出し、角膜頂点位置を基準位置とした瞳孔縁の位置座標を求める。次に、CPU30は、前述のように得られたプラチド画像に形成された角膜頂点輝点から抽出される角膜頂点位置と前眼部画像から抽出された角膜頂点位置と一致させ、瞳孔縁を重合させることにより、プラチド画像における瞳孔縁の位置座標を算出する。そして、CPU30は、算出された瞳孔位置縁の位置情報に基づいて瞳孔内における角膜曲率分布(角膜屈折力分布)を求め、平均値を算出する。
さらに、CPU30は、瞳孔内平均パワー、K1(強主経線方向)及びK2(弱主経線方向)の平均値、K2の値、にマウス41のカーソルが当てられたときに、術者が角膜曲率を決定する上で参考となるコメントを表示する。例えば、K2の値に指定された場合、「トーリック眼内レンズで乱視成分を含めて矯正することを推奨します」等の表示を行う。
上記のようにして、スクリーニング画面においてすべての項目に関する入力が完了し、マウス41を操作する検者によってモード移行ボタン74がクリックされると、CPU30は、図5に示すような眼軸長測定画面110に移行する。
眼軸長測定画面110には、眼軸長測定に使用した装置に関する情報を表示する領域111、測定値取込ボタン112、得られた測定結果を表示する領域113、等が設けられている。
領域111には、使用された測定装置、測定者(超音波式が選択された場合)が表示されている。ここで、測定装置を示す領域に設けられたプルダウンボタンをマウス41を介してクリックすることにより、超音波を用いた接触式眼軸長装置、光干渉を用いた非接触式眼軸長測定装置等がプルダウン表示されるため、該当する装置をクリックすることによって、使用した測定装置を選択することが可能である。この場合、各メーカ毎に装置選択ができるようにしてもよい。
また、測定装置選択において、超音波式が選択された場合、測定者名を示す領域に設けられたプルダウンボタンをクリックすると、予め登録してある測定者の一覧が表示され、該当する測定者をクリックすることによって、測定者の選択をすることができる。なお、測定装置に非接触型が選択された場合には、使用できない。
また、眼軸長測定装置20と眼内レンズ選択装置1がLAN等で接続されデータの転送が可能となっている場合、マウス41を介して測定値取込ボタン112がクリックされると、CPU30は、自動的に測定データを取得し、記憶部35に記憶させると共に、画面上に測定結果を領域113に表示する。
また、領域113には、眼軸長、前房深度、水晶体厚、の順で各測定値がmm単位で表示される。ここで、各測定値を示す領域に設けられたスピンボタンがマウス41を介してクリックされると、測定値が所定ステップで変更されるようになっている。この場合、キーボード41を介して測定値を直接入力することも可能である。なお、前述のスクリーニングモードにて、眼軸長をパワー計算に使用し、前房深度、水晶体厚をパワー計算に用いない眼内レンズ計算式(本実施例では、Camellin-Calossiを除く計算式全て)が選択された場合、CPU30は、眼軸長の項目のみを入力可能とする。
また、領域113には、眼軸長の補正結果を示す値がmm単位で表示される。ここで、補正値を示す領域に設けられたスピンボタンがマウス41を介してクリックされると、測定値が所定ステップで変更されるようになっている。ここで、測定装置として超音波式が選択された場合、CPU30は、入力された眼軸長の測定値に対して測定者毎に設定された固有の補正値を加えることにより補正処理を行う。これは、測定者の違い(例えば、測定者によってプローブの当て方が異なる)による測定結果のずれを補正するためのものである。なお、選択した測定者の補正値が0の場合は、補正なしとみなす。また、測定装置として非接触式が選択された場合、接触式の測定値に対応できるように補正処理された補正結果が入力される。なお、非接触式を基準とすることも可能である。
なお、CPU30は、眼軸長、前房深度、水晶体厚、の各測定値に関して、妥当性の判定を行う。なお妥当性の判定は、例えば眼軸長に関して「22mm以上28mm未満を正常、20mm以上22mm未満/28mm以上30mm未満を異常疑い、20mm未満/30mm以上を異常」とし、前房深度に関して、「3.5mm以上4.5mm未満を正常、2.0mm以上3.5mm未満/4.5mm以上5.0mm未満を異常疑い、2.0mm未満/30mm以上を異常」とし、水晶体厚に関して、「2.5mm以上4.0mm未満を正常、2.0mm以上2.5mm未満/4.0mm以上5.0mm未満を異常疑い、2.0mm未満/5.0mm以上を異常」とする。
ここで、CPU30は、正常と判定されれば、各測定値(眼軸長、前房深度、水晶体厚)を示す領域に対してそれぞれ、緑色の塗りつぶしを行い、異常疑いと判定されれば、黄色の塗りつぶしを行い、異常と判定されれば、赤色の塗りつぶしを行う。
上記のようにして、眼軸長測定が完了し、マウス41を操作する検者によってモード移行ボタン74がクリックされると、CPU30は、図6に示すようなデータ入力画面120に移行する。
データ入力画面120には、眼内レンズの処方に使用される情報に関する領域121等が表示される。領域121には、被検眼の眼圧値、角膜中心厚、角膜内皮細胞数、裸眼視力、最高矯正視力、対象眼が優位眼であるか、前立線肥大の治療があるか(治療薬品名、投薬期間)、反対眼の情報(SCA値、VD値、白内障手術済みか否か)、等が表示される。この場合、表示された各項目毎に、測定値の入力、チェック、等が画面上から可能である。なお、CPU30は、眼圧、角膜中心厚、角膜内皮細胞数の測定値に関して、妥当性の判定を行い、緑色(正常)、黄色(異常疑いあり)、赤色(異常)、の何れかの塗りつぶしを測定値を示す領域に対して行うことにより、判定結果を表現する。
上記のようにして、データ入力が完了し、マウス41を操作する検者によってモード移行ボタン74がクリックされると、CPU30は、図7に示すようなIOL選択画面130に移行する。
IOL選択画面130は、領域131〜領域139から構成される。領域131は、予め記憶部35に登録されている各メーカから提供されている眼内レンズモデルのうち、推奨する眼内レンズに関する情報を表示するための領域である。領域132は、眼内レンズのパワー決定に関する情報を表示するための領域である。領域134は、IOL計算式に関する情報を表示するための領域である。領域136は、被検眼の測定結果に関する情報を表示するための領域である。領域137は、複数種のK値の中から眼内レンズのパワー計算に使用するK値を選択可能に表示する領域ための領域である。領域138は、角膜曲率分布を示すマップを表示するための領域である。領域139は、前眼部画像を表示するための領域である。
領域132には、目標術後残余屈折力(Target refractive power)目標術後残余球面収差(Target residual S.A)、眼軸長値(AL)が表示される。さらに、領域131には、選択された眼内レンズのIOL情報(メーカ名、モデル名、球面度数、乱視軸度数、乱視軸角度、等))予想術後残余球面収差(Post S.A)が各眼内レンズモデル毎に表示される。この場合、CPU30によって選択された複数の候補(本実施例では第1候補及び第2候補)の眼内レンズモデルに関するIOL情報が表示される。なお、目標術後残余球面収差TSは、検者が所望する被検眼の術後の球面収差を表すパラメータである。目標術後残余屈折力、目標術後残余球面収差は、入力部40を介して任意に設定可能である。なお、上記設定手法、予想術後残余球面収差の算出手法については、特開2009−34441号公報を参考にされたい。
以下に、一覧表DLについて説明する。CPU30は、選択された術後の目標屈折力値(D)及び被検眼の測定データ(例えば、角膜屈折力、眼軸長)及び眼内レンズモデルのIOL情報(例えば、A定数、予測術後ACD、SF、等)を所定のIOL計算式に代入して算出されたIOLパワーから眼内レンズとして用意されている(本実施例では、0.50ステップで眼内レンズが用意され、記憶部35に各度数情報が記録されている)もので算出された値に近い眼内レンズのパワーを特定する。
次に、CPU30は、特定された眼内レンズパワーで手術を行った場合の術後の屈折力値を予想値Rxとして求めるべく、所定のIOL計算式における目標屈折力(D)の部分をXとして、特定された眼内レンズパワーの値と被検眼の測定データ及び眼内レンズモデルのIOL情報を所定のIOL計算式に代入することにより、予想値Rx(X=Rx)を算出する。すなわち、各IOL計算式には、通常、IOLパワーを計算するための計算式と、予想残余屈折力(予想値Rx)を計算するための計算式が用意されている。なお、トーリック眼内レンズの場合、選定されたトーリック眼内レンズの等価球面度数が入力され、予想残余等価球面屈折力(予想残余等価球面屈折度数)が算出される。図9は、IOL計算式の一例としてのSRT式におけるIOL計算式である。上式は、IOLパワーを計算するための計算式であり、下式は、予想残余屈折力を計算するための計算式である。
これにより、前述のように選択された各眼内レンズモデル毎に、予め用意されている眼内レンズパワーの中から、目標屈折力に近い処方が可能な眼内レンズパワーが特定されると共に、特定された眼内レンズパワーによる術後の眼屈折力値が予想値Rxとして算出される。そして、CPU30は、得られた眼内レンズパワーと予想値を対応づけて出力する(一覧表DLにおける塗りつぶし部分参照)。
また、CPU30は、設定される目標屈折値を基準として所定範囲内(例えば、±2.00)における所定の度数ステップ(例えば、0.50D)毎に、予め用意されている眼内レンズパワーの中から、屈折度数に近い処方が可能な被検眼に処方すべき眼内レンズパワーを各屈折度数毎に特定し、特定された眼内レンズパワーによる術後の眼屈折力値を予想値Rxとしてそれぞれ算出する。そして、CPU30は、得られた眼内レンズパワーと予想値を対応づけてそれぞれ出力する(一覧表DLにおける塗りつぶしがない部分参照)。図7の一覧表DLの場合、上から順に、目標屈折力に対するずれ量が+2.00、+1.50、+1.00、+0.50、0、−0.50、−1.00、−1.50、−2.00に対応するように、上記眼内レンズパワーの特定、及び予想値の算出を行った結果を表している。
上記のようにして、眼内レンズ選択が完了し、マウス41を操作する検者によってモード移行ボタン150がクリックされると、CPU30は、図8に示すような見え方シミュレーション画面140に移行する。
見え方シミュレーション画面140には、選択された眼内レンズモデルに関する見え方シミュレーションの結果を表示する領域141、等が設けられている。
この場合、CPU30は、記憶部35に記憶された眼内レンズモデルの屈折力と被検眼角膜の角膜波面収差とに基づいて、眼内レンズモデルを眼内に挿入した場合の所定視標の見え方をシミュレーション画像として構築する画像処理を行い、少なくとも前述のよう特定された眼内レンズモデルを用いた場合のシミュレーション画像をモデル名とともにモニタ50に表示する。
より具体的には、CPU30は、前述のように取得された被検眼角膜の波面収差に対して選択された眼内レンズの処方値(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)と球面収差を加える演算処理を行ったときの被検眼の波面収差を算出し、算出された波面収差を利用して点像強度特性(point spread function;PSF)を求める。なお、トーリック眼内レンズの場合、トーリック眼内レンズが角膜乱視成分を打ち消すように挿入された場合のシミュレーションが行われる。
次に、CPU30は、得られたPSFと所定の指標(ETDRS全体、ETDRS全体、風景の各項目)とを画像処理(コンボリューション積分)することにより、選択された眼内レンズを挿入した際に所定の視標がどのように被検眼網膜面に形成されるかのシミュレーション画像を得る。ここで、CPU30は、選択されている2つの眼内レンズモデル(候補として挙げられている眼内レンズモデル)に関してシミュレーション画像を取得し、画像処理部31を介して取得された画像を表示する。すなわち、CPU30は、選択された複数の眼内レンズモデルをそれぞれ被検眼の眼内に挿入した際のシミュレーション画像をモニタ50に並列表示する。
なお、モニタ50に表示される眼内レンズモデルのモデル名は、記憶部35に記憶された他の眼内レンズモデル名に変更できるようになっており、モデル名が変更されると、CPU30は、変更された眼内レンズモデルのモデル名をモニタ50に表示すると共に、対応するシミュレーション画像を画像処理により変更し、モニタに表示する。
より具体的には、シミュレーション表示500、501には、各眼内レンズ毎に、IOLモデル名、IOLの屈折力(IOL Pwr/Cylinder)、予想残余屈折力Rx、予想術後前房深度pACD、眼全体の予想術後屈折力(Sph/Cyl/Axis/SE)、ストレール比、予想術後残余球面収差Residual S.A、シミュレーション画像が表示される。シミュレーション画像は、例えば、ETDRS全体のシミュレーション画像、ETDRS細部シミュレーション画像、風景シミュレーション画像からなる。
なお、IOLのモデル名部分をプルダウンすると、予想球面収差が目標球面収差に近い順に上から並べられた眼内レンズのモデル名が一覧表示される。これらの一覧表示から所望する眼内レンズモデルが選択されると、選択されたモデルに対応する見え方シミュレーション表示がなされる。このようにして、眼内レンズモデルを少なくとも2つ選択可能であって、それぞれのシミュレーション結果を表示させることにより、被験者の観点から眼内レンズ選択を行うことが可能である。なお、上記見え方シミュレーションにおいて、選択された眼内レンズモデルを眼内に挿入した場合の空間周波数特性MTFを表示(例えば、横軸を空間周波数、縦軸をコントラスト感度としたグラフ表示)するようにしてもよい。なお、MTFは、被検眼の波面収差から求められる点像強度特性PSFをフーリエ変換することによって求めることができる。これにより、より精密な見え方シミュレーションが可能となる。
上記のようにして、眼内レンズ選択が完了し、マウス41を操作する検者によって図示なき印刷ボタンがクリックされると、CPU30は、図示なき印刷画面に移行し、選択された眼内レンズに関する情報等をプリンタ43から印字出力する。
<眼内レンズ度数計算式によって求められた予想残余屈折力を用いたIOL術後シミュレーション>
図10は、本実施例に係る見え方シミュレーションの手法について説明するフローチャートである。本手法は、眼内レンズ度数計算式によって求められた予想残余屈折力を用いたIOL術後シミュレーションである。
<不正乱視判定>
CPU30は、角膜のRMS、ゼルニケ係数等の情報から不正乱視量を求める。CPU30は、算出された不正乱視量が許容範囲を超えるか否かによって、トーリック眼内レンズによる矯正効果が十分であるか否かを判定する。判定に用いる許容範囲は、実験などによって予め求められる。CPU30は、不正乱視量が許容範囲を超えている場合、トーリック眼内レンズによる矯正効果が十分でない旨を報知する(例えば、メッセージ表示、アイコン表示、等)。
<眼内レンズの処方値の算出>
トーリック眼内レンズのパワーを決定する場合、以下のような算出処理が行われる。上記のように、CPU30は、指定された眼内レンズ度数計算式を用いて眼内レンズの球面度数(パワー)を算出する。CPU30は、被検眼角膜の乱視度数(C)に対応する眼内レンズの乱視度数を求める。CPU30は、角膜乱視成分を打ち消すようにトーリック眼内レンズが挿入されるときの眼内レンズの軸角度を求める。一般的には、角膜の強主経線方向に眼内レンズの弱主経線方向が一致するように配置される。さらに、CPU30は、算出された眼内レンズの球面度数、乱視度数に基づいて眼内レンズの等価球面度数を求める。上記球面度数、乱視度数、等価球面度数は、目標屈折力を得るための理想的な度数であり、被検眼に移植可能な眼内レンズは、所定のステップで用意されている。なお、理想的な度数を矯正するためにカスタマイズされた眼内レンズが作成されれば、理想的な度数に対応できる。
CPU30は、眼内レンズの等価球面度数、乱視度数を基準として、所定のステップで予め用意されている眼内レンズパワーの中からこれらの2つの度数値に近い被検眼に移植可能なトーリック眼内レンズの等価球面度数、乱視度数を特定する。これにより、被検眼に対するトーリック眼内レンズの処方値(球面度数、乱視度数、軸角度)が決定される。
なお、通常、各メーカの各モデルのトーリック眼内レンズは、等価球面度数、乱視度数の2つのパラメータが少なくとも既知である。そして、各メーカの各モデルのトーリック眼内レンズは、等価球面度数、乱視度数が所定のステップ(例えば、0.75Dステップ)にて用意されている。記憶部35には、各メーカの各モデル毎に実際の存在するトーリック眼内レンズに関する情報が記憶されている。より好ましくは、CPU30は、眼内レンズの完全等価球面度数、完全乱視度数、球面収差を基準として、予め用意されている眼内レンズパワーの中からこれらの3つパラメータに最も近い眼内レンズの度数を選択する。なお、CPU30は、検者によって操作される入力部40からの操作信号に基づいて眼内レンズの度数を特定する。
CPU30は、予想残余屈折力を計算するためのIOL計算式を用いて、特定された眼内レンズを被検眼に処方したときの予想残余球面度数(SE)を求める。CPU30は、予想残余球面度数(SE)をモニタ50上に出力する。
<術後の角膜屈折力の算出>
手術による惹起乱視の発生を考慮し、CPU30は、術前の角膜乱視成分(SCA)と惹起乱視成分とを合成することにより術後の角膜屈折力を求めるようにしてもよい。惹起乱視は、例えば、術中での角膜切開によって発生する。惹起乱視成分は、予め実験等によって求められ、記憶部35に記憶される。惹起乱視成分は、角膜上の切開位置によって発生状態が異なるため、入力部40を介して入力された切開位置情報に応じて惹起乱視成分が求められる。
<屈折力マトリックスによるレンズの表現法>
Toricレンズのように屈折力が主経方向により異なるレンズの屈折力と主経方向は2×2の行列(屈折力マトリックス)により表現できる.屈折力マトリックスを使用することにより,複数Toricレンズを任意の主経の方向と軸位置(レンズ間距離)としたときの合成屈折力と主経方向を求めることができる.
屈折力マトリックスDは2×2の行列式で表される.
Figure 0006057062
SCA表示のToricレンズについて行列の各成分は次式で定義される.
Figure 0006057062
上式は,直交する2つの主経線のパワーをDS(S),DT(S+C)として,またDSの角度(Sの角度)をθとするとき次式と同じとなる.なお,C = DT - DS,S = DS(DS > DT)
Figure 0006057062
屈折力マトリックスDからSCA表示への変換は次式となる(Cはマイナス表示)。
Figure 0006057062
回転マトリックスR及び,その逆マトリックスR-1は回転角度をφとすると次の行列式となる。
Figure 0006057062
ある屈折力マトリックスDで表示されるToricレンズを,光軸中心にφだけ回転させたとき,回転後の屈折力マトリックスD' はR,R-1を用いて次式にて求められる。
Figure 0006057062
<Toricレンズの合成(密着)>
以降見やすくするため屈折力マトリックスDは[D]と表示する.角膜と術後惹起乱視のように、屈折力マトリックスが[D1]、[D2]という2枚の薄いToricレンズを密着して重ねたときの合成屈折力[D]は次式にて表すことができる.
Figure 0006057062
同様にレンズ枚数がn枚の場合は次式となる.
Figure 0006057062
<眼全体の屈折力の算出>
CPU30は、被検眼の術後の角膜屈折力(角膜屈折度数:球面度数、乱視度数、軸角度)、被検眼に処方するトーリック眼内レンズの屈折力(眼内レンズ屈折度数:球面度数、乱視度数、軸角度)、角膜と眼内レンズの距離(予想術後前房深度ACD)、眼軸長測定装置20によって得られた被検眼の眼軸長値L、を用いて眼全体の屈折力(屈折度数:球面度数sph、乱視度数cyl、乱視軸角度axis)を算出する。
例えば、CPU30は、角膜屈折力と、角膜から眼内へACD離れた眼内レンズの屈折力と、を合成し、眼軸長位置にある網膜を結像位置とした場合の眼全体の屈折力を算出する。例えば、ACDの初期値として、5mmが用いられる。
<Toricレンズの合成(組み合わせ)>
術後角膜とトーリック眼内レンズのように2枚の薄いトーリックレンズが離れているときの屈折力を考える場合,その合成屈折力である主点屈折力と像側レンズ射出時の屈折力である頂点屈折力がある.これらのマトリックスの逆行列をとればそれぞれ主点焦点距離,頂点焦点距離となる.これらは通常の幾何光学では,それぞれ合成焦点距離,バックフォーカス(BFL)にあたる.
2枚の薄いトーリックレンズが離れているときの頂点屈折力[U2' ]と頂点焦点距離 [Bf2' ]を求める.
[Un ] 入射光束のヴァージェンスマトリックス(vergence matrix)
[Un'] 射出光束のヴァージェンスマトリックス(vergence matrix ')
[Dn] レンズの屈折力マトリックス(power matrix)
dn 空気換算距離(例えばレンズ1とレンズ2の物理長がt1でその間の媒質の屈折率がn1の場合d1=t1/n1)
図11において以下の関係が成り立つ。
Figure 0006057062
もし平行光が入射する場合は,
Figure 0006057062
レンズ 1での結像式
Figure 0006057062
[U1']から[U2]への変換
Figure 0006057062
レンズ 2での結像式
Figure 0006057062
[U2'] についてまとめると,
Figure 0006057062
となり,[U2']が像側頂点屈折力マトリックスとなる。
また,像側頂点焦点距離マトリックス[Bf ' ]は,
Figure 0006057062
として,[U2']の逆行列とることにより求められる.
なお,マトリックス[Bf ' ]の各成分について式9、式10、式11にそのまま代入すると,それぞれ順番に,弱主と強主の頂点焦点距離の差分ΔBf '、弱主方向の頂点焦点距離 B f '(S+C)、弱主方向のaxis(言い換えるとS+Cまでの角度)が求まる.また,強主方向の頂点焦点距離は,
Figure 0006057062
とすれば良い.これらの値は屈折力が1の媒質中での値であり,メートル単位である.屈折率nの媒質中であれば,ΔBf 、B f (S+C)、B f (S)をn倍すればよい。なお、空気中の屈折率は1、房水の屈折率は1.336として設定される。
念のため下式にまとめておく.
Figure 0006057062
2枚以上のToricレンズにおいても上記{結像式,変換式}を繰り返すことにより頂点屈折力マトリックスが求まる,またその逆行列をとることにより頂点焦点距離マトリックスが求まる。
CPU30は、角膜から眼内へ眼軸長値分離れた位置にある網膜を結像位置として設定した場合の眼全体の屈折力を算出する。網膜の光軸方向のずれΔからsphを算出する場合は,弱主方向の頂点焦点距離位置を基準にして考える。眼球の眼軸長をL、術後予測前房深度をACDとした場合、網膜の光軸方向のずれΔ(物理長)は,以下のように示される。
Figure 0006057062
このΔをsphに換算するための式を導出する.sph算出式は,
Figure 0006057062
となるので,これをΔについて解けば,
Figure 0006057062
となる.
したがって,sphは,
Figure 0006057062
となる.
なお、乱視度数cyl、乱視軸角度axisは、式10、式11により求められる。
<予想残余屈折力と眼全体の屈折力の比較>
CPU30は、眼全体の屈折力における球面度数、乱視軸度数に対応する眼全体での等価球面度数を算出する。
CPU30は、予想残余球面度数SEと眼全体の等価球面度数を比較する。CPU30は、眼全体の屈折力を算出する算出式(式28参照)に含まれているACD値を変更させていき、予想残余等価球面度数SEと眼全体の等価球面度数とが一致するようなpACD値を求める。例えば、CPU30は、初期値から0.1mm単位で算出式におけるACD値を随時変更し、IOL計算式に基づいて求められた予想残余屈折力が得られるときの予想術後前房深度pACDをフィードバック計算によって算出する。CPU30は、前述のpACD値(予想術後前房深度)をモニタ50上に出力する。CPU30は、pACD値を用いて算出された眼全体の屈折力(屈折度数:球面度数sph、乱視度数cyl、乱視軸角度axis)を、IOL計算式で算出された予想残余屈折力を用いた術後の眼全体の屈折力として取得する。
IOL度数計算式は、術後の予想残余等価球面度数SEを算出できる式であるが、術後のシミュレーションを行うためには、球面度数、乱視度数、乱視軸角度が必要である。すなわち、IOL度数計算式は、眼内レンズの等価球面度数を代入することにより予想残余等価球面度数SEを算出できるが、等価球面値の内容(球面度数、乱視度数)は算出されない。
そこで、IOL度数計算式から算出される予想残余等価球面度数SEが術後の等価球面度数を示すことを前提に演算処理を行うことにより、IOL度数計算式での結果と一致する眼全体の残余屈折力(屈折度数:球面度数sph、乱視度数cyl、乱視軸角度axis)を求めることができる。
<眼全体の屈折力からの術後の矯正データの算出>
CPU30は、前述のように取得された術後の眼全体の眼屈折力をゼルニケ多項式の2次式におけるSCAに代入することによって、眼全体の眼屈折力に対応する2次式の係数を算出する。Zernike多項式により波面Wは下式のように表現される.
Figure 0006057062
術後予測される眼全体の低次収差sph,cyl,axisから低次Zernike係数を求める式は下式で表される.高次Zernike係数は角膜形状測定装置で得られる角膜前面の収差測定値を使用し,球面収差については予測値を改めて代入する。
Figure 0006057062
CPU30は、角膜波面収差の高次成分に対して,IOL挿入後に予測される,眼全体の球面度数sph,円柱度数cylと角度axisと、眼内レンズが持つ球面収差量を付加したときの波面収差を示すZernike多項式の係数を算出する。
<波面収差データの逆算>
CPU30は、術後の眼全体の眼屈折力に対応する2次のZernike係数と、被検眼角膜の高次収差に対応する3次以上のZernike係数と、眼内レンズが持つ球面収差量に対応する高次のZernike係数と、を用いて波面収差データを逆算する。眼全体の眼屈折力は、波面収差における低次収差成分に相当する。被検眼角膜の高次収差は、被検眼角膜の収差全体から角膜屈折力に相当する成分を除いた収差成分に相当する。
CPU30は、逆算により算出された波面収差データを利用して点像強度特性(point spread function;PSF)を求める。波面収差データを近似する多項式としては、ゼルニケ多項式が代表的である。もちろん、波面収差を近似する式であればよく、これに限定されない。
<シミュレーション画像の作成>
CPU30は、逆算により算出された波面収差データを利用して点像強度特性(point spread function;PSF)を求める。CPU30は、得られたPSFと所定の指標(例えば、ETDRS視標、解像度チャート、風景チャート)とを画像処理(コンボリューション積分)する。CPU30は、選定されたトーリック眼内レンズによって被検眼を処方した際に所定の視標がどのように被検眼網膜面に形成されるかについてのシミュレーション画像を得ることができる。
上記のように取得されたシミュレーション画像は、眼内レンズ計算式によって求められた予想残余等価球面度数屈折度数に合わせてシミュレーションされた画像であるから、理論的・経験的に導出された眼内レンズ計算式と矛盾しない。したがって、各社の眼内レンズの詳しいレンズ設計値が分からなくても、既知の眼内レンズデータ(等価球面度数、乱視度数)を用いて良好なシミュレーション画像を取得できる。
<変容例>
なお、以上の説明においては、眼内レンズ計算式によって求められた予想残余等価球面度数と一致するようにACDを変更することにより眼全体の屈折力を求めてシミュレーション画像を取得したが、これに限定されない。例えば、CPU30は、残余屈折力を求めるための眼内レンズ計算式を用いて、眼内レンズの強主経線方向に対応する残余屈折力と、眼内レンズの弱主経線方向に対応する残余屈折力を求めることにより、眼全体の球面度数と乱視度数を求める。また、CPU30は、例えば、角膜の乱視軸角度、角膜乱視を打ち消すような眼内レンズの位置により眼全体の乱視軸角度を算出する。そして、CPU30は、算出された眼全体の屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)を用いてシミュレーション画像を得る。
なお、上記説明では、トーリック眼内レンズを処方する場合を例にとって説明したが、眼内レンズ度数計算式によって得られる残余屈折力を用いたシミュレーションは、乱視矯正機能を持たない眼内レンズであっても、以下の手法の適用は可能である。この場合、CPU30は、眼内レンズの球面度数、及び眼内レンズ度数計算式によって得られる残余球面度数を用いてシミュレーション画像を得る。
本実施例に係る眼科測定プログラムを備えるシミュレーション装置(眼科測定装置)の全体構成について説明するブロック図である。 本実施例に係るシミュレーションの流れの一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作におけるCT・REF測定画面について説明する図である。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作におけるスクリーニング画面について説明する図である。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作における眼軸長測定画面について説明する図である。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作におけるデータ入力画面について説明する図である。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作におけるIOL選択画面について説明する図である。 本実施形態に係る眼内レンズ選択装置の動作における見え方シュミレーション画面について説明する図である。 IOL計算式の一例としてのSRT式におけるIOL計算式である。 本実施例に係る見え方シミュレーションの手法について説明するフローチャートである。 光学的な関係を示すための図である。
1 シミュレーション装置
10 角膜形状測定装置
20 眼軸長測定装置
30 CPU
35 記憶部
40 入力部
50 モニタ

Claims (4)

  1. 角膜形状測定装置によって測定された被検眼角膜の角膜波面収差データを取得する収差データ取得ステップと、
    被検眼の角膜形状、被検眼の眼軸長、及び被検眼に移植予定の眼内レンズに関連するパラメータを所定の眼内レンズ計算式に代入することによって被検眼の予想術後屈折力を算出する予想術後屈折力算出ステップと、
    予想術後屈折力算出ステップにて算出された被検眼の予想術後屈折力に術後の眼全体の屈折力が対応する条件での予想術後前房深度を求め、求められた予想術後前房深度を用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する術後演算ステップと、
    術後演算ステップにて演算された術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度と、収差データ取得ステップによって取得された角膜波面収差の高次収差と、を含む被検眼全体の波面収差データを近似する多項式の係数を演算し、演算された前記多項式の係数を用いて波面収差データを逆算し、逆算された波面収差データに基づいてシミュレーション画像を作成する画像作成ステップと、
    作成されたシミュレーション画像をモニタに表示する表示ステップと、
    をコンピュータに実行させるための眼科測定プログラム。
  2. 画像作成ステップは、さらに、眼内レンズが持つ球面収差量を含む被検眼全体の波面収差データを近似する多項式の係数を演算する請求項1の眼科測定プログラム。
  3. 術後演算ステップは、被検眼の角膜屈折力と、角膜から眼内へ予想術後前房深度ACD分離れた眼内レンズの屈折力とを合成し、被検眼の眼軸長位置にある網膜を結像位置とした場合の眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する請求項1又は2の眼科測定プログラム。
  4. 術後演算ステップは、眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を算出するための演算式に含まれている予想術後前房深度ACDを変化させていき、所定の眼内レンズ計算式によって算出された予想術後屈折力と眼全体の術後球面度数とが一致するような予想術後前房深度ACD,および,所定の眼内レンズ計算式によって算出された予想術後等価球面屈折力と眼全体の術後等価球面度数とが一致するような予想術後前房深度ACDのいずれかを用いて眼全体の術後球面度数、術後乱視度数、術後乱視軸角度を演算する請求項1〜3のいずれかの眼科測定プログラム。
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