JP6053704B2 - 車両システム - Google Patents
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Description
なお、エンジンが自動的に停止された状態で、仮に制限なしで電動モータを駆動するとバッテリの電圧(残容量)が急激に低下し、エンジンの再始動を適切に行えない可能性がある。
また、バッテリの状態に応じてフィードフォワード制御を実行することで、バッテリの電圧低下を抑制できる。したがって、エンジンの停止中もフィードバック制御を継続する場合と比較して、補助操舵トルクを発生可能な状態を長時間確保できる。その結果、エンジンの駆動に要する燃料の低減、排ガスの抑制、騒音の低減等の効果が得られる。
また、バッテリの電圧値が所定閾値未満である場合、ステア制御手段は、モータに対して、バッテリの電圧値に応じたフィードフォワード制御を実行する。このようにフィードフォワード制御を実行することでバッテリの電圧低下が抑制されるとともに、バッテリの劣化を抑制できる。また、バッテリの電圧に応じてモータを駆動することで、エンジンの駆動に要する燃料の低減、排ガスの抑制、騒音の低減等の効果が得られる。
<車両システムの構成>
図1は、本実施形態に係る車両システムが備える電動式パワーステアリング装置の説明図である。車両システム1(図2参照)は、図1に示す電動式パワーステアリング装置10と、センサ類(車速センサ24等)と、EPS制御装置30(Electric Power Steering)と、エンジン41(図2参照)と、ACG42(Alternating Current Generator:図2参照)と、バッテリ44(図2参照)と、エンジン制御装置50(図2参照)と、を備えている。
図1に示す電動式パワーステアリング装置10は、操向ハンドルH(操舵部材)に作用する操舵トルクと、モータ16の駆動による補助操舵トルクと、によって転舵輪Kを転舵する装置である。電動式パワーステアリング装置10は、メインステアリングシャフト11と、連結軸12と、ピニオン軸13と、ラック軸14と、タイロッド15と、モータ16と、インバータ17と、を備えている。
操舵トルクセンサ22は、操向ハンドルHに作用する操舵トルクを検出するセンサであり、ピニオン軸13に設置されている。操舵トルクセンサ22として、例えば、操向ハンドルHの転舵に応じて磁束密度が変化するように設置される一対のコイルを用いることができる。
モータ回転速度センサ23は、モータ16の回転速度を検出するセンサであり、モータ16に内蔵されている。モータ回転速度センサ23として、ホールセンサ、レゾルバ等を用いることができる。
図2は、車両システムが備える各構成の接続関係を示す説明図である。なお、図2では、前記したセンサ類の図示を省略した。前記したように、電動式パワーステアリング装置10が備えるモータ16と、インバータ17と、は電気的に接続されている。
EPS制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って各種機能を発揮する。なお、EPS制御装置30の構成については後記する。
また、エンジン制御装置50は、所定の始動条件が成立した場合にエンジン41を再始動させる機能も有している。ここで、「始動条件」とは、例えば、アクセルペダル(図示せず)が踏み込まれたという条件や、ブレーキペダル(図示せず)から足が離されたという条件である。
図3は、EPS制御装置及びエンジン制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、EPS制御装置30は、フィードバック制御部31と、フィードフォワード制御部32と、を備えている。
目標モータ電流算出部31aは、車速センサ24によって検出される車速vと、操舵トルクセンサ22によって検出される操舵トルクTsと、モータ回転速度センサ23によって検出される回転速度Nmと、に基づいて、補助操舵トルクを発生させるための目標モータ電流IMTを算出する。
PID制御部31cは、減算器31bから入力される偏差ΔIをゼロにして、実モータ電流Imを目標モータ電流IMTに一致させるように、PID制御に基づいて電流指令値IPIDを算出する。
PWM信号発生部31dは、PID制御部31cから入力される電流指令値IPIDに応じて、モータ16を駆動するためのPWM信号を発生させる。PWM信号発生部31dからのPWM信号がインバータ17に入力されることで、三相交流電圧が発生する。これによってモータ16が駆動し、転舵輪K(図1参照)が転舵される。
PWM信号発生部32bは、駆動電圧設定部32aから入力される電圧Vt,Vnに基づいてPWM信号を発生させ、このPWM信号をインバータ17に出力する。なお、このPWM信号発生部32bと、フィードバック制御部31のPWM信号発生部31dと、を一体として構成してもよい。
また、図4では説明を分かりやすくするため、ブリッジ接続された4個のスイッチング素子S1〜S4を有するインバータ17が、単相のモータ16が接続された構成を図示した。なお、図4に示す破線は、スイッチング素子S1,S4がオン、スイッチング素子S2,S3がオフの状態で流れる電流の向きを表している。
また、駆動電圧設定部32aは、モータ回転速度センサ23等の検出値に基づき、目標とする回転速度Nmを算出する。駆動電圧設定部32aは、この回転速度Nmを(数式10)に代入することで、回転速度成分の電圧Vnを算出する。
図3に示すように、エンジン制御装置50は、エンジン停止制御部51aと、エンジン始動制御部51bと、エンジン駆動制御部52と、を有している。
なお、エンジン駆動制御部52が実行する処理の詳細については説明を省略する。
フラグ設定部53は、この制御フラグFgをフィードバック制御部31及びフィードフォワード制御部32に出力する。
図5は、制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。なお、図5の「START」においてエンジン41は駆動し、電動式パワーステアリング装置10は運転者の操舵に応じた補助操舵トルクを発生させているものとする。
一方、エンジン41の停止条件が成立していない場合(S102→No)、制御装置の処理はステップS101に戻る。この場合、フラグ設定部53から入力される制御フラグFg(オン)に応じて、フィードバック制御部31の駆動が継続される。
ステップS104において制御装置は、フィードフォワード制御部32によって、バッテリ44の端子電圧Vbに応じたフィードフォワード制御を実行する。すなわち、制御装置は、バッテリ44の端子電圧Vbを、トルク成分の電圧Vtと、回転速度成分の電圧Vnと、に振り分ける。そして、この電圧Vt,Vnに基づくPWM信号をインバータ17に出力することでモータ16を駆動する。なお、エンジン41の停止中(制御フラグFg:オフ)、フィードバック制御部31は停止している。
一方、エンジン41の始動条件が成立していない場合(S105→No)、制御装置の処理はステップS103に戻る。この場合、フラグ設定部53から入力される制御フラグFg(オフ)に応じて、フィードフォワード制御部32の駆動が継続される。
ステップS106において制御装置は、エンジン駆動制御部52によってエンジン41を再始動した後、「START」に戻る(RETURN)。
本実施形態では、アイドリングストップを行っている間、制御装置はモータ16に対して、バッテリ44の端子電圧Vbに応じたフィードフォワード制御を行う。前記したように、モータ16の駆動電圧をバッテリ44の端子電圧Vb以下にすることで、バッテリ44の電圧低下(残容量の低下)を抑制できる。したがって、アイドリングストップ中、モータ16によって補助操舵トルクを発生可能な状態を長時間確保できる。すなわち、本実施系形態によれば、燃料の節約、排ガスの抑制、及び騒音の低減と、操舵トルクの軽減効果と、を両立させることができる。
第2実施形態では、EPS制御装置30Aが、バッテリ44の開放電圧VOの大きさに応じて制御フラグFgを切り替えるフラグ設定部33(図6参照)を有し、エンジン制御装置50Aはフラグ設定部を有していない点が第1実施形態とは異なる。また、バッテリ44の開放電圧VOを電圧Vt,Vnに振り分ける点が第1実施形態とは異なる。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
(数式15)に示すバッテリ44の内部抵抗Rbは、例えば、バッテリ電流Ib及び端子電圧Vbを連続的に測定し、バッテリ電流Ibの変化量ΔIbに対する端子電圧Vbの変化量ΔVbの割合を算出することで得られる(Rb=ΔVb/ΔIb)。前記した測定処理は、エンジン41の始動直後に行ってもよいし、モータ16の駆動中に行ってもよい。
なお、閾値V1は、制御装置がモータ16に対してフィードバック制御を行うか(フラグFg:オン)、フィードフォワード制御を行うか(フラグFg:オフ)、の判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
図8は、制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。なお、図8の「START」において開放電圧VOが閾値V1以上の状態であるものとする(制御フラグFg:オン)。
ステップS101において制御装置は、フィードバック制御部31によって、実モータ電流Imに基づくフィードバック制御を実行する。
ちなみに、図8では図示を省略したが、フィードバック制御の実行中にエンジン41の停止条件/始動条件が成立した場合、制御装置はフィードバック制御を継続しつつ、アイドリングストップ/再始動を行う。後記するステップS104のフィードフォワード制御中においても同様である。
一方、バッテリ44の開放電圧VOが閾値V1以上である場合(S201→No)、制御装置の処理はステップS101に戻る。
ステップS202において制御装置は、バッテリ44の開放電圧VOが閾値V1以上であるか否かを判定する。バッテリ44の開放電圧VOが閾値V1以上である場合(S202→Yes)、制御装置の処理は「START」に戻る(RETURN)。例えば、エンジン41の駆動によってバッテリ44が充電されると、開放電圧VO が上昇して閾値V1を超える。
一方、バッテリ44の開放電圧VOが閾値V1未満である場合(S202→No)、制御装置の処理はステップS104に戻る。
本実施形態では、バッテリ44の開放電圧VOが閾値V1未満である場合、制御装置は開放電圧VOに応じたフィードフォワード制御を行う。このようにバッテリ44の状態(電圧値)に応じて、モータ16に対するフィードバック制御とフィードフォワード制御とを切り替えるため、第1実施形態のようにアイドリングストップのタイミングに合わせて前記した切り替えを行う必要がない。したがって、バッテリ44の電圧低下が効果的に抑制され、バッテリ44から電力供給を受ける電装部品の稼働を継続できるとともに、バッテリ44の劣化を抑制できる。
以上、本発明に係る車両システム1について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では(数式8)〜(数式10)、第2実施形態では(数式14)〜(数式16)に基づいて、トルク成分の電圧Vtと回転速度成分の電圧Vnとを算出する場合について説明したが、これに限らない。
すなわち、以下の(数式17)に示すように、電圧Vtと電圧Vnとの乗算値が所定値αとなるようにしてもよい。また、(数式18)に示すように、電圧Vtを電圧Vnで除算した値が所定値βとなるようにしてもよい。なお、所定値α,βは、事前の実験に基づいて予め設定される。
また、第2実施形態で説明した(数式14)〜(数式16)に基づいて、バッテリ44の開放電圧VO(バッテリ44の電圧値)を電圧Vt,Vnに振り分け、第1実施形態で説明した処理(図5参照)を制御装置が行うようにしてもよい。
10 電動式パワーステアリング装置
16 モータ
17 インバータ
21 電流センサ
26 電圧センサ
29 電流センサ
30,30A EPS制御装置(ステア制御手段)
31 フィードバック制御部
32 フィードフォワード制御部
33,53 フラグ設定部
41 エンジン
42 ACG
43 コンバータ
44 バッテリ
50,50A エンジン制御装置(エンジン制御手段)
H 操向ハンドル(操舵部材)
K 転舵輪
Claims (3)
- 操舵部材に作用する操舵トルクに応じた補助操舵トルクを発生させるモータを有し、転舵輪を転舵させる電動式パワーステアリング装置と、
前記電動式パワーステアリング装置を制御するステア制御手段と、
所定条件が成立した場合にエンジンを停止させてアイドリングストップを行うエンジン制御手段と、を備える車両システムであって、
前記エンジンの駆動に伴う発電電力がバッテリに充電されるとともに、前記バッテリからの電力が前記モータに供給され、
前記ステア制御手段は、
前記エンジンの駆動中、前記モータに対して、当該モータの電流値に応じたフィードバック制御を実行し、
前記エンジンの停止中、前記モータに対して、前記バッテリの電圧値に応じたフィードフォワード制御を実行すること
を特徴とする車両システム。 - 操舵部材に作用する操舵トルクに応じた補助操舵トルクを発生させるモータを有し、転舵輪を転舵させる電動式パワーステアリング装置と、
前記電動式パワーステアリング装置を制御するステア制御手段と、
所定条件が成立した場合にエンジンを停止させてアイドリングストップを行うエンジン制御手段と、を備える車両システムであって、
前記エンジンの駆動に伴う発電電力がバッテリに充電されるとともに、前記バッテリからの電力が前記モータに供給され、
前記ステア制御手段は、
前記バッテリの電圧値が所定閾値以上である場合、前記モータに対して、当該モータの電流値に応じたフィードバック制御を実行し、
前記バッテリの電圧値が前記所定閾値未満である場合、前記モータに対して、前記バッテリの電圧値に応じたフィードフォワード制御を実行すること
を特徴とする車両システム。 - 前記ステア制御手段は、
前記モータの駆動電圧が、前記バッテリの電圧値以下となるように前記フィードフォワード制御を実行すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両システム。
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