JP6053168B2 - 搬送経路計算システム - Google Patents
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Description
本発明は、コンピュータ及び情報処理の技術に関する。また本発明は、搬送物の搬送経路を計算する技術に関する。
ビルやプラント等の構造物の建設時、建物内で、資材等の搬送物は、クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送によって経由点間を搬送される。この搬送経路は、直線軌道及び円弧軌道を含む。円弧軌道は、クレーンのレールを円弧とした場合やクレーンの軸回転等の機構の動作に応じて生じる。この搬送経路の軌道上、搬送物は、クレーン等の機構に応じた所定の吊り姿勢、即ち所定の向きや角度の状態をとりながら搬送される。例えば所定の機構のクレーン装置及び搬送者を用いた吊り搬送の場合、搬送物は、フックに対してワイヤを介して吊り下げられ、重力等に応じた吊り姿勢をとる。
上記搬送経路の計算に関する先行技術例として、特開平6−73891号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1は、搬送システムに関して、複数の物品を目的位置まで短時間で効率良く搬送させるために、経路生成手段において、搬送部材の搬送経路を決定すること、が記載されている。
前述のクレーン等の搬送機器を用いた搬送経路に関して、建設の計画者や設計者は、なるべく効率的な搬送経路を計画することにより、建設の工期短縮やコスト削減を実現したい。そこで、そのための手段として、コンピュータを用いて上記搬送経路を自動的に生成し、計画者等のオペレータを支援する機能を持つシステムを提供することが挙げられる。
上記搬送経路は、条件として、適用対象の建物、搬送物、及び搬送機器等に応じた、実現可能な経路である必要がある。即ち、搬送経路は、搬送物の3次元形状と、建物やその内外の設置物等の3次元形状とにおいて、接触等の干渉が生じないことが必要である。それに加えて、上記搬送経路は、効率性や容易性の観点では、クレーン等の搬送機器の動作の変更やそれによる吊り姿勢の変更が少ない方が望ましい。それは、搬送機器及び搬送者の負担が少なく、時間短縮やコスト低減に寄与できるからである。
しかし従来の搬送経路の計画や生成に関するシステムは、クレーン等の搬送機器を用いた非干渉かつ効率的な搬送経路を計算することに関して改善余地がある。特に、従来のシステムは、非干渉かつ好適な吊り姿勢や円弧軌道を計算する機能を提供していない。
本発明の目的は、上記クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送における搬送経路を計算するシステムに関して、非干渉かつ好適な吊り姿勢や円弧軌道を含む搬送経路を計算することができ、これにより工期短縮やコスト削減を実現できる技術を提供することである。
本発明のうち代表的な実施の形態は、上記クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送における搬送経路を計算するシステムである搬送経路計算システムであって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
一実施の形態の搬送経路計算システムは、建物内の経由点間を搬送機器による円弧軌道を含む軌道及び吊り姿勢で搬送物を搬送する搬送経路を計算する処理を行う計算装置を備え、前記計算装置は、前記建物の3次元形状のデータ、前記搬送物の3次元形状のデータ、前記搬送機器の機構のパラメータ、及び経由点情報を格納する記憶部と、前記経由点情報を用いて、前記円弧軌道を含む軌道の候補を生成する軌道計算部と、前記搬送物の3次元形状のデータと前記搬送機器の機構のパラメータとを用いて、前記搬送物の吊り姿勢の候補を生成する姿勢計算部と、前記円弧軌道の候補及び吊り姿勢の候補を含む搬送経路の候補について、当該軌道上の搬送物の吊り姿勢と前記建物との干渉状態を判定する干渉計算部と、前記搬送物と建物とが干渉無しとなる前記円弧軌道及び吊り姿勢を含む搬送経路を決定する経路計算部と、前記決定された搬送経路を含む情報を表示する表示部と、を有する。
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、上記クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送における搬送経路を計算するシステムに関して、非干渉かつ好適な吊り姿勢や円弧軌道を含む搬送経路を計算することができ、これにより工期短縮やコスト削減を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<実施の形態1>
図1〜図19を用いて、本発明の実施の形態1の搬送経路計算システムについて説明する。本搬送経路計算システムは、建設する建物の内外でクレーン等の搬送機器を用いて搬送物を吊り下げた状態で搬送する吊り搬送等の状況における、搬送物の吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路を、生成または計画する計算及び情報処理を行うシステムである。本搬送経路計算システムは、建物と搬送物とが干渉無しとなる搬送経路、かつ搬送機器及び搬送者の負担が少ない好適な搬送経路を計算する機能を提供する。本搬送経路計算システムは、搬送機器に応じた吊り姿勢をとる搬送物と、周囲の建物とが干渉無しとなるように、円弧軌道を含む搬送経路を生成する。
図1〜図19を用いて、本発明の実施の形態1の搬送経路計算システムについて説明する。本搬送経路計算システムは、建設する建物の内外でクレーン等の搬送機器を用いて搬送物を吊り下げた状態で搬送する吊り搬送等の状況における、搬送物の吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路を、生成または計画する計算及び情報処理を行うシステムである。本搬送経路計算システムは、建物と搬送物とが干渉無しとなる搬送経路、かつ搬送機器及び搬送者の負担が少ない好適な搬送経路を計算する機能を提供する。本搬送経路計算システムは、搬送機器に応じた吊り姿勢をとる搬送物と、周囲の建物とが干渉無しとなるように、円弧軌道を含む搬送経路を生成する。
本搬送経路計算システムは、動力学解析を含む物理学及び数学の手法を用いて、吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路を計算する機能を含む。本搬送経路計算システムは、運動方程式等の物理法則に従う吊り姿勢を基本吊り姿勢として計算または設定する。これにより、高精度の搬送経路の計画が実現できる。
本実施の形態の搬送経路計算システムは、下記(1)や(2)の機能を含む。オペレータは、これらの機能から選択して使用することができる。
(1) 本システムは、干渉無し且つ円弧軌道の曲率が小さい搬送経路を生成する機能を含む。本システムは、上記搬送経路の計算の際、干渉を回避しながら、円弧軌道における曲率半径をなるべく大きくとることができる好適な搬送経路を生成する。これにより、クレーン等の搬送機器による旋回等の円弧状の動作を活かし、搬送を効率化する。
(2) 本システムは、干渉無し且つ吊り姿勢の変更が少ない搬送経路を生成する機能を含む。本システムは、上記搬送経路の計算の際、建物と干渉無しとなる範囲及び条件で、物理法則に従う吊り姿勢をなるべく維持してその変更を最小限に抑える好適な搬送経路を生成する。これにより、搬送経路の軌道上で、搬送物の吊り姿勢を、搬送機器の動作または搬送者の作業によって変更する負担を少なくする。
本システムは、上記(1)の好適な円弧軌道の観点で搬送経路を生成する機能のみを備える形態としてもよいし、上記(2)の好適な吊り姿勢の観点で搬送経路を生成する機能のみを備える形態としてもよい。
本システムは、上記(1)と(2)の機能を合わせた機能として、干渉無し、且つ円弧軌道の曲率が小さく、且つ吊り姿勢の変更が少ない搬送経路を生成する。本システムは、上記(1)の円弧軌道の観点を(2)の観点よりも優先した好適な搬送経路を生成する機能を備える形態としてもよい。また本システムは、上記(2)の吊り姿勢の観点を(1)の観点よりも優先した好適な搬送経路を生成する機能を備える形態としてもよい。
[計算装置]
図1は、実施の形態1の搬送経路計算システムを構成する計算装置1の構成を示す。計算装置1は、制御部101、記憶部102、操作入力部103、画面表示部104、及び通信部105を有する。計算装置1は、通信網を通じて、他の装置、例えば設計装置150に接続されてもよい。設計装置150は、設計DBに、建物、搬送物、及び搬送機器等のデータを格納する。
図1は、実施の形態1の搬送経路計算システムを構成する計算装置1の構成を示す。計算装置1は、制御部101、記憶部102、操作入力部103、画面表示部104、及び通信部105を有する。計算装置1は、通信網を通じて、他の装置、例えば設計装置150に接続されてもよい。設計装置150は、設計DBに、建物、搬送物、及び搬送機器等のデータを格納する。
制御部101は、CPU,ROM,RAM等を備え、プログラム処理により、各処理部を実現する。記憶部102は、一次記憶装置及び二次記憶装置等を含む。操作入力部103は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含み、計算装置1のオペレータによる操作に基づいて、計算の指示や各データまたは情報を入力する処理を行う。画面表示部104は、ディスプレイを含み、オペレータに対して画面で情報を表示する処理を行う。通信部105は、通信網に対する通信インタフェースを含み、設計装置150等との通信処理を行う。
制御部101は、データ入力部11、設定部12、経路情報入力部13、経路計算部20、干渉計算部14、経路評価部15、及びデータ出力部16を含む。経路計算部20は、基本吊り姿勢計算部21、軌道計算部22、及び姿勢計算部23を含む。
記憶部102は、搬送物データ51、建物データ52、搬送機器データ53、機構パラメータ54、設定情報55、経路情報56、搬送経路データ60、干渉計算データ57、経路評価データ58、及び画面表示データ59を格納する。搬送経路データ60は、基本吊り姿勢データ61、軌道データ62、及び姿勢データ63を含む。
搬送経路計算システムは、上記計算装置1の構成に限らず、他の装置との接続により構成されてもよいし、複数の計算装置の接続により構成されてもよい。例えば処理部ごとに別のサーバ等の計算装置で構成されてもよい。
[制御処理]
図2は、実施の形態の搬送経路計算システムの計算装置1による全体的な制御処理のフローを示す。S1等は処理ステップを示す。
図2は、実施の形態の搬送経路計算システムの計算装置1による全体的な制御処理のフローを示す。S1等は処理ステップを示す。
(S1:データ入力) ステップS1では、データ入力部11により、計算に必要な各データを入力する処理を行う。データ入力部11は、搬送物データ51、建物データ52、搬送機器データ53、及び機構パラメータ54等のデータを入力し、記憶部102に格納する。搬送物データ51、建物データ52、及び搬送機器データ53は、それぞれ3次元形状のモデルのデータを含む、例えばSTLファイルである。データ入力部11は、設計装置150の設計DBに管理されている各データのSTLファイルを取得してもよい。
機構パラメータ54は、クレーン等の搬送機器における軸回転や吊り等の機構に応じたパラメータを規定する情報である。このパラメータは、例えばクレーン装置の動作としてどのような軸や範囲で搬送物を回転移動させることができるか等を表し、適用対象の搬送機器ごとに特有である。なお機構パラメータ54の入力はS2でもよい。
(S2:設定) ステップS2では、設定部12により、オペレータの操作に基づいて設定情報55として、計算の条件や各種設定値の設定処理を行う。この際、画面表示部104は、設定用の画面を表示する。オペレータは、画面で、設定情報を入力及び確認する。
設定情報55は、後述するが、円弧軌道を規定する距離Lまたは曲率半径rの可変の範囲を規定する値(Lmin〜Lmax)や、吊り姿勢を規定する角度φの可変の範囲を規定する値(φmin〜φmax)などを含む。また設定情報55は、距離Lの初期値L0、及び角度φの初期値φ0等がある。
(S3:経路情報入力) ステップS3では、経路情報入力部13により、オペレータの操作に基づいて経路情報56の入力処理を行う。経路情報56は、搬送経路の計算のために、初期入力として与えられる経由点情報を含む。経由点情報は、少なくとも搬送経路の始点と終点との指定を含む。
経路情報入力部13は、経路情報56の入力処理の際、設定部12の処理と同様に、画面に経路情報の入力用の項目を表示してオペレータにより入力可能とする。また既存の経路生成機能により生成済みである直線軌道のみを含む経路情報がある場合、当該経路情報を用いることもできる。
(S4:基本吊り姿勢) ステップS4では、基本吊り姿勢計算部21により、基本吊り姿勢を計算または設定する処理を行い、その結果を基本吊り姿勢データ61に格納する。S4では、以下に示す手段及び方法により、基本吊り姿勢を計算または設定する。オペレータは、それらの手段から選択して利用可能である。計算装置1は、S5以下では、S4で得られた基本吊り姿勢を基本として必要に応じて変更を加えながら、軌道上の各点での吊り姿勢を含む搬送経路を計算する。
(a) 第1の手段として、基本吊り姿勢計算部21は、後述の運動方程式を含む計算モデルを用いて、クレーン等の搬送機器の機構パラメータ54と物理法則とに従う吊り姿勢を計算し、基本吊り姿勢として格納する。基本吊り姿勢計算部21は、記憶部102から読み出した機構パラメータ54の値を用いて、後述の図6のような計算モデルに基づいて、搬送機器による搬送物の吊りの状態に関する運動方程式を立てる。そして基本吊り姿勢計算部21は、当該運動方程式を解くことにより、物理法則に従う吊り姿勢を得る。(a)の手段を用いる場合、高精度な搬送経路の計算を実現できる。
(b) 第2の手段として、基本吊り姿勢計算部21は、画面でのオペレータの操作による手動調整により、基本吊り姿勢を設定する。基本吊り姿勢計算部21は、吊り姿勢を設定するための画面を表示する。当該画面は、例えば後述の図5のように、搬送物31等の吊り姿勢の形状を、3次元や2次元でグラフィカルに表示する。オペレータは、当該画面で、搬送機器に対する搬送物の位置や角度を所望の状態に手動調整する。この調整された吊り姿勢の状態に応じて、基本吊り姿勢計算部21は、基本吊り姿勢の値として設定する。
(c) 第3の手段として、基本吊り姿勢計算部21は、予め計算した複数の吊り姿勢のパターンを用意し、画面でのオペレータによる操作に基づいて、選択されたパターンを、基本吊り姿勢として設定する。計算装置1は、(a)の計算により得た吊り姿勢を、予めパターンとして設定してもよい。計算装置1は、(b)の手動調整による吊り姿勢を予めパターンとして設定してもよい。計算装置1は、各種の代表的な搬送機器の機構パラメータに応じた吊り姿勢のパターンを予め設定してもよい。計算装置1は、上記吊り姿勢のパターンの情報を、例えば設定情報55の一部として記憶部102に格納しておく。
計算装置1は、(a)で計算された基本吊り姿勢や、(c)で選択されるパターンに対して、更に(b)の手動調整を可能としてもよい。上記(b)や(c)の手段を用いる場合、簡易に短時間で搬送経路の計算が実現できる。
(S5:搬送経路計算) ステップS5では、経路計算部20により、後述の図3で示す搬送経路計算処理を行い、その結果を搬送経路データ60に格納する。経路計算部20は、経路情報56で指定された経由点間を結ぶ搬送経路を生成する。この搬送経路は、クレーン等の搬送機器による円弧軌道及び吊り姿勢を含む経路である。経路計算部20は、例えば3個の経由点を1つの単位として1つの搬送経路を計算する処理を行う。経路計算部20は、連続する4個以上の複数の経由点に関しては、上記単位の計算を同様に繰り返す。
経路計算部20は、軌道計算部22により、与えられた経由点の始点と終点との間を結ぶ軌道を生成する。この軌道は、直線軌道と円弧軌道との組合せによる軌道である。軌道計算部22は、機構パラメータ54及び経路情報56を用いて、上記円弧軌道を含む搬送経路を候補として生成し、軌道データ62に格納する。
軌道計算部22は、後述の図7等に示すように、連続する経由点において、円弧の参照点と中心点とを設定し、参照点と中心点との距離L、及び中心点からの円弧の半径である曲率半径rを生成する。軌道計算部22は、当初の経由点を通る直線の線分に対する円弧の接点を、円弧軌道の始点や終点となる経由点として生成する。円弧軌道は、上記距離Lまたは曲率半径rと、接点(始点や終点)またはそれに対応する中心点の回転軸周りの角度αとを用いて規定される。軌道計算部22は、距離L及び曲率半径rを調整する処理として、所定の刻み幅(ΔL,Δr)で増減することにより、円弧軌道の候補を生成する。
経路計算部20は、姿勢計算部23により、上記搬送経路上における搬送物の吊り姿勢を候補として生成し、姿勢データ63に格納する。姿勢計算部23は、機構パラメータ54及び基本吊り姿勢データ61による基本吊り姿勢に基づいて、吊り姿勢を規定する角度を調整する処理を行う。姿勢計算部23は、後述の図9等に示すように、吊り姿勢を規定する角度φ等を所定の刻み幅(Δφ)で増減することにより、吊り姿勢の候補を生成する。
経路計算部20は、上記候補として生成した円弧軌道及び吊り姿勢を含む搬送経路について、干渉計算部14を呼び出して干渉判定を行わせる。経路計算部20は、干渉判定の結果が干渉無しである場合、当該搬送経路を有効な候補としてデータを保存する。経路計算部20は、干渉判定の結果が干渉有りである場合、当該搬送経路を無効な候補として棄却し、当該候補における円弧軌道や吊り姿勢の変数を調整することにより、別の候補を生成する。
S5では、経路計算部20は、上記計算の結果、干渉無しとなる1つ以上の好適な搬送経路を決定し、その情報を搬送経路データ60に格納する。経路計算部20は、調整による各候補の搬送経路について、同様に干渉判定を行いながら、干渉無しの搬送経路が見つかるまで繰り返す。
S5の搬送経路計算処理の中には、干渉計算部14による干渉判定処理を含む。干渉計算部14は、以下のような干渉判定処理を行い、その途中及び結果のデータを干渉計算データ57に格納する。干渉計算部14は、候補の搬送経路の軌道上における搬送物の位置の点での吊り姿勢ごとに、当該搬送物31とその周囲の建物32との干渉の度合いの状態を計算し、干渉有無を判定及びチェックする。干渉計算データ57は、搬送経路の軌道上の搬送物の位置の点及び吊り姿勢ごとの干渉有無の情報を含む。この干渉計算は、公知のアルゴリズムを適用可能である。後述の図12は干渉判定処理例を示す。
干渉判定部17は、干渉計算の結果を干渉計算データ57に保存し、干渉有無を含む情報を経路計算部20に返す。経路計算部20は、干渉有無を含む情報を用いて、干渉無しとなる候補を好適な候補とし、干渉有りとなる候補については、棄却するか、円弧軌道や吊り姿勢の変更を検討する。
(S6:経路評価) ステップS6では、経路評価部15により、S5までで計算された複数の搬送経路がある場合、それらの搬送経路について、いずれが効率的であるか、所定の評価処理を行い、この結果により推奨する1つ以上の搬送経路を決定する。経路評価部15は、評価処理の結果を、経路評価データ58に格納する。評価の観点は、前述の効率性や容易性の観点がある。即ち、経路評価部15は、例えば1つまたは複数の搬送経路の全体において、円弧軌道の曲率半径rがなるべく大きくなるものを、高い評価値とする。経路評価部15は、例えば、1つまたは複数の搬送経路の全体において、吊り姿勢の変更がなるべく少ないものを、高い評価値とする。経路評価部15は、高い評価値の搬送経路から順に推奨する。
なおS6の評価処理を省略し、S5の結果をそのまま出力する形態が可能である。なおS6の評価処理とS5の干渉判定中の評価処理とは別である。後述の図18は評価処理例を示す。
(S7:データ保存) ステップS7では、搬送経路計算部20は、S5またはS6までの結果に基づいて、推奨する1つ以上の搬送経路の情報を搬送経路データ60にまとめ、記憶部102に保存する。
(S8:データ出力) ステップS8では、データ出力部16により、S7までで得られた搬送経路データ60を用いて、本システムが推奨する1つ以上の搬送経路、またはオペレータにより任意に選択された搬送経路の情報を出力する処理を行う。データ出力部16は、搬送経路データ60を読み出し、画面に、搬送経路の情報を、アニメーション動画等の形式で表示する処理を行う。データ出力部16は、搬送物データ51、建物データ52等を用いて、上記画面に表示するデータを画面表示データ59として作成する。
当該画面におけるアニメーション表示は、例えば、建物内の3次元の空間内において、搬送経路における軌道上の位置及び吊り姿勢に応じた搬送物の3次元形状のオブジェクトを表示する。当該アニメーション表示は、搬送経路上の搬送物の搬送の移動に伴い、搬送物の吊り姿勢の状態を変化させて表示する。当該表示は、搬送経路における始点から終点までの各位置での搬送物の吊り姿勢の状態及び周囲との干渉状態を表示する。
オペレータ及び搬送者は、当該アニメーションの動画や静止画を見ることにより、搬送経路上の搬送物の動き及び状態を確認できる。即ちオペレータや搬送者は、どのような軌道や吊り姿勢で搬送の作業をすればよいか、わかりやすく確認できる。搬送者は、自身の持つ端末装置の画面に、計算装置1のデータをダウンロードすることにより、オペレータと同様に当該表示を見ることができる。データ出力は、上記アニメーション表示に限らず、2次元マップ表示なども可能である。
[搬送経路計算処理]
図3は、図2のS5の経路計算部20による搬送経路計算処理の詳細例のフローを示す。なお図3では、3個の経由点を結ぶ1つの搬送経路を計算する処理を1つの単位(単位経路と称する)として、その単位経路の処理を同様に繰り返すフローを示す。また図3の処理例は、円弧軌道の距離Lと、吊り姿勢の角度φとの両方を調整しながら、干渉無しで効率的な搬送経路を求める例を示す。また図3の処理例は、距離Lの調整を角度φの調整よりも優先して行う処理例を示す。
図3は、図2のS5の経路計算部20による搬送経路計算処理の詳細例のフローを示す。なお図3では、3個の経由点を結ぶ1つの搬送経路を計算する処理を1つの単位(単位経路と称する)として、その単位経路の処理を同様に繰り返すフローを示す。また図3の処理例は、円弧軌道の距離Lと、吊り姿勢の角度φとの両方を調整しながら、干渉無しで効率的な搬送経路を求める例を示す。また図3の処理例は、距離Lの調整を角度φの調整よりも優先して行う処理例を示す。
なお図11は、図3の補足として、図3の処理例に対応した、干渉判定の対象となる複数の候補のとり方及び順序の例を示す。
(S11) ステップS11では、経路計算部20及び姿勢計算部23は、単位経路の計算にあたり、搬送物の吊り姿勢の角度に関する初期値を設定する。吊り姿勢を規定する第1の角度φの初期値をφ0とする。実施の形態1は、初期値φ0=φmin=0°に設定する。φminは、機構パラメータ54に基づく、角度φのとり得る範囲における最小値である。ここで、搬送経路の軌道上の進行方向、及び円弧軌道の接線と平行な方向を、相対的に、φmin=0°とする。なお角度φの初期値φ0は異なる値にも設定可能である。
(S12) ステップS12では、経路計算部20及び軌道計算部22は、単位経路の計算にあたり、搬送物の円弧軌道を規定する距離L及び曲率半径rに関する初期値を設定する。距離Lの初期値をL0とする。実施の形態1は、初期値L0=Lmaxに設定する。Lmaxは、機構パラメータ54に基づく、距離Lのとり得る範囲における最大値である。なお距離Lと曲率半径rとは簡単な換算により得られるので、距離Lに関する計算は、曲率半径rに関する計算と捉えても同じである。なお距離Lの初期値L0は異なる値にも設定可能である。
(S13) ステップS13では、経路計算部20は、軌道計算部22により、円弧軌道の候補を生成する。円弧軌道の候補は、円弧の参照点に対する中心点C、円弧の接点及び始点や終点である経由点Q(あるいは中心点Cを回転軸とする角度α)、円弧の参照点と中心点Cとの距離L(または曲率半径r)等により規定される。
(S14) ステップS14では、経路計算部20は、姿勢計算部23により、吊り姿勢の候補を生成する。吊り姿勢の候補は、経由点Pの位置における姿勢の角度(θ1,θ2,θ3)等により規定される。θ3はZ軸周りの角度φである。
(S15) ステップS15では、経路計算部20は、S13で得た円弧軌道の候補とS14で得た吊り姿勢の候補とを合わせた、搬送経路の候補について、干渉計算部17により、干渉状態の計算及び判定を行わせる。干渉計算部14は、候補の搬送経路の軌道上の各位置の点(補間点を含む)において、搬送物31の3次元形状と、周辺の建物32の3次元形状との干渉状態を計算する。干渉計算部17は、搬送経路の候補における干渉有無の結果を返す。
(S16) ステップS16では、経路計算部20は、S16の干渉判定の結果を参照し、干渉有りである場合(Y)はS17へ、干渉無しである場合(N)はS22へ進む。
(S17) ステップS17では、経路計算部20は、上記候補の搬送経路について、干渉有りであるため調整が必要と判断し、吊り姿勢の角度の調整に移る。経路計算部20は、当該軌道上の吊り姿勢の角度φが、所定の刻み幅Δφを考慮しつつ、変更できる範囲の最大値以下であるかどうか(φ+Δφ≧φmax)を確認する。φ+Δφ≧φmaxの場合(Y)はS18へ進み、そうでない場合(N)はS19へ進む。
(S18) ステップS18では、経路計算部20は、姿勢計算部23により、上記軌道上の吊り姿勢の現在の角度φを調整する。姿勢計算部23は、上記吊り姿勢の現在の角度φを、設定された刻み幅Δφの単位で増加させる(φ←φ+Δφ)。S18からS14に戻り、姿勢計算部23は、S18で増加させた角度φに対応した吊り姿勢の候補を同様に生成する。そしてS15では、変更された吊り姿勢の候補に関して同様に干渉判定が行われる。
(S19) ステップS19では、経路計算部20は、円弧軌道の距離Lが、所定の刻み幅ΔLを考慮しつつ、変更できる範囲の最小値以上であるかどうか(L−ΔL≧Lmin)を確認する。L−ΔL≧Lminの場合(Y)はS20へ進み、そうでない場合(N)はS21へ進む。
(S20) ステップS20では、経路計算部20は、軌道計算部22により、上記円弧軌道の距離Lを調整する。軌道計算部22は、上記円弧軌道の現在の距離Lを、刻み幅ΔL単位で減少させる(L←L−ΔL)。そしてS20からS13へ戻る。S13へ戻った場合、軌道計算部22は、S20で減少させた距離Lに対応した新しい円弧軌道の候補を同様に生成する。
(S21) ステップS21では、それ以上角度φ及び距離Lを変更できず、処理中の単位経路については、干渉無しとなる搬送経路が生成できないことを示すので、ここで生成不能として処理を終了する。
(S22) ステップS22では、S16で干渉無しとなる搬送経路の候補が見つかっているので、この1つの干渉無しの搬送経路の情報を搬送経路データ60に保存して終了する。この1つの干渉無しの搬送経路は、円弧軌道の距離Lを望ましい初期値L0から順に減少させ、吊り姿勢の角度φを望ましい初期値φ0から順に増加させることにより得られた経路である。なお上記処理例では1つの干渉無しの搬送経路を得た時点で終了しているが、すべての可能性を探索することで、複数の干渉無しの搬送経路を発見しても構わない。
計算装置1は、上記一連の処理により、干渉無しで、なるべく距離Lが初期値L0=Lmaxに近く曲率半径が大きい円弧軌道を含み、なるべく角度φが初期値φ0=0°のままで吊り姿勢の変更が少ないような、好適な搬送経路を探索する。
図11に示す補足において、(a)は、最初の円弧軌道の候補を示し、距離L=L0=Lmaxの場合を示す。(b)は、最後の円弧軌道の候補を示し、L=Lminである。(a)の候補と、(b)の候補との間で、距離Lを刻み幅ΔLで減少させた各々の候補が生成される。
(c)は、(a)の円弧軌道の候補に関して、更に、最初の吊り姿勢の候補を示す。即ち角度φ=φ0=φmin=0°の場合を示す。軌道上の相対的な姿勢の角度が維持される。(d)は、(a)の円弧軌道の候補に関して、最後の吊り姿勢の候補を示す。ここでは例として、角度φ=φmax=90°の場合を示す。(c)の候補と(d)の候補との間で、角度φを刻み幅Δφで増加させた各々の候補が生成される。
(c)及び(d)において、経路計算部20は、候補の軌道及び吊り姿勢に関して、直線及び円弧の軌道上、干渉判定の対象とする複数の点Pを補間点としてとる。例えば所定の設定された間隔ΔPで複数の点Pがとられる。これらの複数の各位置の点Pで吊り姿勢を持つ。例えば(c)の状態では、円弧の始点Q0aでの角度φ0=0°に基づいて、円弧軌道上の各点Pでの相対的な吊り姿勢の角度φが維持される。絶対座標系の中での角度φの絶対値で言えば、始点Q0aではφ=0°、終点Q0bではφ=90°となる。(d)の状態でも同様である。円弧の始点Q0aでの角度φ0=90°に基づいて、円弧軌道上の各点Pでの相対的な吊り姿勢の角度φが維持される。絶対座標系の中での角度φの絶対値で言えば、始点Q0aではφ=90°、終点Q0bではφ=180°となる。上記のような各補間点の吊り姿勢ごとに干渉判定が同様に行われる。
[搬送物、建物、及び搬送経路]
図4は、搬送物31、建物32、及び搬送経路等の例を示す。本システムの用途及び対象の例として、所定の設計された建物32の建設とし、建物32を構成するための資材等を搬送物31とし、搬送経路を計画する。(X,Y,Z)は絶対座標系を示し、X,Yは水平面を構成する方向、Zは鉛直方向とする。搬送物31は、円筒状の資材の例を示す。建物32は、XY断面の例として矩形の壁の内部にL字形状の壁がある例を示す。また図示しないが、クレーン等の搬送機器を有し、少なくとも円弧軌道上の搬送に使用される。
図4は、搬送物31、建物32、及び搬送経路等の例を示す。本システムの用途及び対象の例として、所定の設計された建物32の建設とし、建物32を構成するための資材等を搬送物31とし、搬送経路を計画する。(X,Y,Z)は絶対座標系を示し、X,Yは水平面を構成する方向、Zは鉛直方向とする。搬送物31は、円筒状の資材の例を示す。建物32は、XY断面の例として矩形の壁の内部にL字形状の壁がある例を示す。また図示しないが、クレーン等の搬送機器を有し、少なくとも円弧軌道上の搬送に使用される。
搬送経路K1は、始点P1から途中の点P2を経由して終点P3までを結ぶ搬送経路であり、複数の軌道である直線軌道k1、円弧軌道k2、及び直線軌道k3の接続により成る。直線軌道k1は、始点の経由点P1から経由点Q1までである。円弧軌道k2は、経由点Q1から経由点Q2までである。直線軌道k3は、経由点Q2から終点の経由点P3までである。経由点P2は、円弧軌道k2の生成の参照点であり、円弧軌道k2を通ることにより、直接の経由はされなくなる点である。c2は、円弧軌道k2の中心点である。各経由点は、搬送物の代表的な位置を示す点に対応する。なお点p(i)等は後述の説明に対応した点を併せて図示している。
1つの搬送経路の生成のために、経由点情報として、3個の点P1,P2,P3が指定される。あるいは、1つの搬送経路の生成のために、経由点情報として、2個の点P1,P3が指定され、点P2については本システムが自動的に設定するようにしてもよい。
説明上、搬送経路は、複数の経由点と、経由点間をつなぐ部分的な経路である軌道とを含み、軌道は、直線軌道と円弧軌道とを含む。軌道は、始点と終点とを含む。円弧軌道は、円弧の中心点、曲率半径、及び回転角度等で規定される。また搬送経路の情報は、軌道上での搬送物の吊り姿勢の情報を含む情報とするが、搬送経路と吊り姿勢の情報とが別個に関連付けて管理されてもよい。姿勢は、向きや角度により規定され、例えばデカルト座標系である(X,Y,Z)の3軸周りの回転の角度で規定される。
なお建物32は、建設の進捗に応じて形状が変化する。建物データ52は、建設の進捗に応じて変化する形状を含むデータとしてもよい。建物32は、建物の内外の設置物等を含めてもよい。搬送機器データ53は、搬送物と搬送機器との干渉状態の計算を行う場合に応じて使用される。
[機構パラメータ及び吊り姿勢の例]
図5は、搬送機器33が所定の方式のクレーン装置である場合の機構パラメータ54及び所定の吊り方による、搬送物の吊り姿勢の例を示す。搬送物31は、円筒状の資材の例を示す。301は、クレーンの上部ワイヤを示す。302は、クレーンの玉掛けワイヤを示す。303は、玉掛けワイヤ303の一方端を掛けるフックを示す。304は、実際の吊り点を示し、搬送物31の長手方向(h)の両端の付近における玉掛けワイヤ303の他方端が固定される点である。305は、計算上の仮想の吊り点を示し、搬送物の代表的な位置や重心を示す点Pにも対応する。501は、クレーン装置のアーム等の機構による増減可能な長さであり、円弧の距離Lや曲率半径rに影響する。502は、Z方向の移動に影響する上部ワイヤ301の長さを示す。αは、クレーン装置のEで示す軸周りの回転による角度を示し、円弧軌道を規定する角度に相当する。φは、吊り姿勢を規定する1つの角度θ3として、Z軸周りの回転の角度を示す。
図5は、搬送機器33が所定の方式のクレーン装置である場合の機構パラメータ54及び所定の吊り方による、搬送物の吊り姿勢の例を示す。搬送物31は、円筒状の資材の例を示す。301は、クレーンの上部ワイヤを示す。302は、クレーンの玉掛けワイヤを示す。303は、玉掛けワイヤ303の一方端を掛けるフックを示す。304は、実際の吊り点を示し、搬送物31の長手方向(h)の両端の付近における玉掛けワイヤ303の他方端が固定される点である。305は、計算上の仮想の吊り点を示し、搬送物の代表的な位置や重心を示す点Pにも対応する。501は、クレーン装置のアーム等の機構による増減可能な長さであり、円弧の距離Lや曲率半径rに影響する。502は、Z方向の移動に影響する上部ワイヤ301の長さを示す。αは、クレーン装置のEで示す軸周りの回転による角度を示し、円弧軌道を規定する角度に相当する。φは、吊り姿勢を規定する1つの角度θ3として、Z軸周りの回転の角度を示す。
図5の吊り姿勢は一例であって、搬送物の形状、搬送機器の機構、吊り点の位置等が異なることによって、異なる吊り姿勢をとる。基本吊り姿勢計算部21は、このような吊り姿勢を計算する。搬送機器は、本実施の形態では所定の方式のクレーン装置を想定するが、これに限らず、円弧軌道及び吊り姿勢を実現する装置であれば適用可能である。
[機構パラメータ及び吊り姿勢の計算モデル]
図6は、図5と対応して、搬送機器が所定の方式のクレーン装置である場合の機構パラメータ54に対応した、運動方程式を用いた搬送物の吊り姿勢の計算用のモデルについて示す。311は搬送物の概略イメージ、312は搬送物311の重心を示す。上部ワイヤ301の上端において、位置座標及びベクトルとして(X0,Y0,Z0)を示し、機構パラメータ54として、X0軸周りの回転の角度θ1と、Y0軸周りの回転の角度θ2とを有する。フック303の箇所においては、Z0軸周りの回転の角度θ3を有し、これは前述の角度φに相当する。下部ワイヤ302の下端において、位置座標及びベクトルとして(X5,Y5,Z5)を示し、機構パラメータ54として、X5軸周りの回転の角度θ4と、Y5軸周りの回転の角度θ5とを有する。θi(i=1〜5)は、クレーン装置の関節角度に相当する。
図6は、図5と対応して、搬送機器が所定の方式のクレーン装置である場合の機構パラメータ54に対応した、運動方程式を用いた搬送物の吊り姿勢の計算用のモデルについて示す。311は搬送物の概略イメージ、312は搬送物311の重心を示す。上部ワイヤ301の上端において、位置座標及びベクトルとして(X0,Y0,Z0)を示し、機構パラメータ54として、X0軸周りの回転の角度θ1と、Y0軸周りの回転の角度θ2とを有する。フック303の箇所においては、Z0軸周りの回転の角度θ3を有し、これは前述の角度φに相当する。下部ワイヤ302の下端において、位置座標及びベクトルとして(X5,Y5,Z5)を示し、機構パラメータ54として、X5軸周りの回転の角度θ4と、Y5軸周りの回転の角度θ5とを有する。θi(i=1〜5)は、クレーン装置の関節角度に相当する。
下部ワイヤ302を介して吊り下げられた搬送物311において、mは搬送物311の質量、fは搬送物311に働く力、gは重力加速度を示す。基本吊り姿勢計算部21は、図5のような機構パラメータ54や吊り方、及び図6の計算モデルに基づいて、運動方程式を立てて解くことにより、基本吊り姿勢を算出する。
[円弧軌道の生成及び変更]
図7は、経由点情報に基づく円弧軌道の生成のイメージを示す。図7の(a)は、XY平面での例を示す。経由点として、始点P1,参照点P2,終点P3が与えられたとする。始点P1をp(i)、参照点P2をp(i+1)、終点P3をp(i+2)とする。軌道計算部22は、参照点P2から狭角側に線を引き、距離Lの位置に、円弧の中心点Cとしてc(i+1)をとる。rは、円弧の半径であり、曲率半径である。点q(i)及びq(i+1)は、円弧軌道700の始点と終点に相当する経由点である。点P1と点P2との線分に対して円弧が接するように円弧軌道が設定される。mは、ここでは質量ではなく、点P2と点q(i)との長さ、及び点P2と点q(i+1)との長さを示す。点P2から出ているdは、ここではベクトルを示す。円弧軌道700をとることで、点P1と点q(i)との間は直線軌道701となり、点P3と点q(i+1)との間は直線軌道702となる。
図7は、経由点情報に基づく円弧軌道の生成のイメージを示す。図7の(a)は、XY平面での例を示す。経由点として、始点P1,参照点P2,終点P3が与えられたとする。始点P1をp(i)、参照点P2をp(i+1)、終点P3をp(i+2)とする。軌道計算部22は、参照点P2から狭角側に線を引き、距離Lの位置に、円弧の中心点Cとしてc(i+1)をとる。rは、円弧の半径であり、曲率半径である。点q(i)及びq(i+1)は、円弧軌道700の始点と終点に相当する経由点である。点P1と点P2との線分に対して円弧が接するように円弧軌道が設定される。mは、ここでは質量ではなく、点P2と点q(i)との長さ、及び点P2と点q(i+1)との長さを示す。点P2から出ているdは、ここではベクトルを示す。円弧軌道700をとることで、点P1と点q(i)との間は直線軌道701となり、点P3と点q(i+1)との間は直線軌道702となる。
図7の(b)は、図7の(a)に対応して、円弧の中心点C=c(i+1)に対応する回転軸Eとしてe(i+1)等を示す。α(i+1)は、中心点Cの回転軸E=e(i+1)の周りの回転の角度として、円弧の始点q(i)から終点q(i+1)までの角度である。曲率半径rは、中心点cと点q(i)または点q(i+1)との距離に対応する。曲率は、rの逆数、即ち1/rである。
図8は、図7のような円弧軌道における距離L及び曲率半径rの変更について示す。図8では、経由点P1,P2,P3に対する円弧軌道として、単純化して、点P1とP2との長さと、点P3とP2との長さとを同じとする。中心点Cとして、{c0,c1,……,ci,……,cn}を示す。これに対応する距離Lとして、{L0,L1,……,Li,……,Ln}とする。これに対応する曲率半径rとして、{r0,r1,……,ri,……,rn}とする。各中心点Cに対応する円弧軌道を{k0,k1,……,ki,……,kn}で示す。
点P1は、中心点c0に対応する最大の円弧軌道の始点、点P3は終点とする。中心点c0において、最大の距離L0=Lmax、最大の曲率半径r0である。前述のように、L0を初期値として、刻み幅ΔLずつ減少することで、各円弧軌道の候補が生成される。例えば中心点c1での円弧軌道は、距離L=L0−ΔLであり、円弧の接点である経由点Qとして、点q1a及びq1bである。中心点cnにおいて、最小の距離Lmin、最小の曲率半径rminである。
前述の機構パラメータ54またはオペレータによる設定により、上記距離Lのとり得る範囲を示す最小値Lminと最大値Lmaxとの値を設定可能である。同様に、上記曲率半径rのとり得る範囲を示す最小値rminと最大値rmaxとを設定可能である。また各刻み幅であるΔL及びΔrについても同様に設定可能である。
経路計算部20は、S15の干渉判定の結果で干渉有りの場合、図8等のように、点P2であるp(i+1)から中心点Cまでの距離Lを、初期値L0=Lmaxから、刻み幅ΔLずつ減少させるように調整する。この繰り返しにより、経路計算部20は、干渉無しとなるなるべく最大の距離L及び曲率半径rを求める。なるべく曲率半径rが大きい即ち曲率が小さい円弧軌道により、クレーン等の動作をより効率的にすることができる。
[吊り姿勢の角度]
図9は、吊り姿勢を規定する第1の角度φについて示す。実施の形態1では、吊り姿勢を規定する角度(θ1〜θ5)のうち、機構パラメータ54に応じて、Z軸周りの角度θ3=φのみを変更する例を説明する。なお機構パラメータ54が異なる場合、当該異なる角度を変更する処理が同様に可能である。
図9は、吊り姿勢を規定する第1の角度φについて示す。実施の形態1では、吊り姿勢を規定する角度(θ1〜θ5)のうち、機構パラメータ54に応じて、Z軸周りの角度θ3=φのみを変更する例を説明する。なお機構パラメータ54が異なる場合、当該異なる角度を変更する処理が同様に可能である。
図9では、図7と同様の円弧軌道700がある場合に、その円弧の始点q(i)における搬送物の吊り姿勢の例を示す。吊り姿勢に応じて、搬送物の長手方向であるhと円弧接線方向であるtとが成す角度がφである。角度φは、円弧の接線に平行な方向を基準の0°とする。Z軸周りの角度φの初期値φ0は、搬送物の長手方向を、円弧軌道の接線に平行な方向であるtに合わせるように設定される。図9ではX方向がそのtの方向である。この場合の角度φを、最小値φmin=0°とする。そして例えばZ軸右周り方向に角度φを増加させる。角度φの最大値φmax=360°とする。
前述の機構パラメータ54または設定により、上記角度φのとり得る範囲を示す最小値φmin及び最大値φmaxの値を設定可能である。例えば他の設定例では、φmin=−90°、φmax=+90°とすることも可能である。また刻み幅であるΔφについても同様に設定可能である。オペレータは、高速に計算したい場合、刻み幅Δφをより大きい値に設定し、高精度に計算したい場合、刻み幅Δφをより小さい値に設定すればよい。
[吊り姿勢の生成]
図10及び図11は、吊り姿勢の初期値の設定について示す。図10の(a)は、図5と同様の搬送物31の吊り姿勢の角度φを調整することで初期値を設定する例を示す。dは、調整前の搬送物31の長手方向ないし長軸方向を示す。hは、調整後の搬送物31の長手方向ないし長軸方向を示す。tは、経路接線に平行な方向を示す。fは、回転軸の方向であり鉛直方向を示す。
図10及び図11は、吊り姿勢の初期値の設定について示す。図10の(a)は、図5と同様の搬送物31の吊り姿勢の角度φを調整することで初期値を設定する例を示す。dは、調整前の搬送物31の長手方向ないし長軸方向を示す。hは、調整後の搬送物31の長手方向ないし長軸方向を示す。tは、経路接線に平行な方向を示す。fは、回転軸の方向であり鉛直方向を示す。
経路計算部20は、吊り姿勢の設定の際、搬送物の長手方向であるdを、経路接線に平行な方向であるtに合わせるように、Z軸周りの角度φ(ファイ)を、角度ψ(プサイ)の分、回転させる。これにより、経路計算部20は、角度φの初期値φ0を、このtに対応する角度であるφ0=0°に設定する。
図10の(b)は、円弧軌道1001における、中心点C、回転角度α、曲率半径r、経由点q等を示す。点qは、円弧軌道上の補間点を示す。点qにおける接線方向を[R,q]で示す。Rは点qでの姿勢を表す。各記号の添え字i,jは後述の計算で使用される。
[干渉計算]
図12は、S15の干渉計算部14による搬送経路上の候補の干渉計算及び判定の処理例について示す。建物32の形状、及び搬送経路の候補として、図4と概略同様のものがあるとする。この搬送経路上の経由点として、点p1〜p5があり、点p2から点p4までが円弧軌道である。点p1〜p2での搬送物31の吊り姿勢の例として、長手方向がY方向向きであり角度φ=90°(相対値及び絶対値)である。当該軌道上の吊り姿勢の角度φが相対的に維持される。円弧軌道上の点p3では角度φ=135°(絶対値)であり、点p4〜p5では角度φ=180°(絶対値)である。
図12は、S15の干渉計算部14による搬送経路上の候補の干渉計算及び判定の処理例について示す。建物32の形状、及び搬送経路の候補として、図4と概略同様のものがあるとする。この搬送経路上の経由点として、点p1〜p5があり、点p2から点p4までが円弧軌道である。点p1〜p2での搬送物31の吊り姿勢の例として、長手方向がY方向向きであり角度φ=90°(相対値及び絶対値)である。当該軌道上の吊り姿勢の角度φが相対的に維持される。円弧軌道上の点p3では角度φ=135°(絶対値)であり、点p4〜p5では角度φ=180°(絶対値)である。
干渉計算部14は、搬送物データ51から、搬送物31の3次元形状のオブジェクトのデータを構成する。干渉計算部14は、建物データ52から、建物32の3次元形状のオブジェクトを展開した空間データを構成する。干渉計算部14は、その他、干渉計算の対象となる物のデータがある場合は当該データのオブジェクトを同様に構成する。干渉計算部14は、上記建物32の空間データの中に、上記搬送部31のオブジェクトを配置する。干渉計算部17は、経路計算部20により生成された吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路の候補について、当該軌道上の点の位置に上記搬送物31のオブジェクトを、吊り姿勢の角度の状態で仮にセットする。
干渉計算部14は、候補の搬送経路の軌道上の所定の離散化及び補間された各点の位置、例えば一定の間隔ΔPの補間点ごとに、干渉判定を行う。経路計算部20は、搬送経路上、図11と同様に間隔ΔPを用いて、干渉判定の対象となる複数の点である補間点をとる。なお間隔ΔPを小さくすれば、より高精度の判定が可能であり、大きくすれば、より高速の判定が可能である。
干渉計算部14は、軌道上の各点及び各吊り姿勢について、建物31の表面と搬送物32の表面との距離を用いて、干渉有無を判定する。干渉計算部14は、搬送物31の3次元のオブジェクトの表面と建物32の3次元のオブジェクトの表面との距離を計算する。この距離が、設定された所定の閾値以内である場合、干渉無しと判定し、閾値を超える場合、干渉有りと判定する。干渉計算部14は、1つの位置の点でも干渉有りとなった場合は、当該候補の単位での判定結果を干渉有りとし、全部の位置の点で干渉無しとなった場合は、当該候補の単位での判定結果を干渉無しとする。
例えば点p1の位置で、Wは、搬送物31の表面と建物32の表面とのY方向における距離を示す。W0は、干渉判定用の閾値の例を示す。この閾値W0は、搬送物31と建物32との間に余裕として確保すべき距離に対応する。干渉計算部14は、搬送物データ51及び建物データ52を用いて上記距離Wを計算し、距離Wと閾値W0とを比較する。干渉計算部14は、距離Wが閾値W0以上である場合(W≧W0)は干渉無しと判定し、そうでない場合(W<W0)は干渉有りと判定する。
例えば点p1の候補は、W>W0であり、干渉無しである。また点p3の候補は、円弧軌道の内側の建物32の表面に対して、W<W0であり、干渉有りである。これにより、この点p1から点p5までの所定の吊り姿勢を含む搬送経路の候補は、点p3での干渉有りと判定される。
なお干渉判定の対象は、建物32の内外に設置される物、例えば一時的に設置される資材や搬送機器等を含めることができる。建設の進捗に伴い、建物32の状態が変化する場合、それに対応する3次元形状のデータを用いることで、同様に干渉判定を含む搬送経路の計算を行うことができる。干渉計算部14は、搬送物と搬送機器との干渉状態の計算及び判定についても上記同様に行うことができる。
また干渉計算部14は、搬送物31や建物32の3次元形状を、単純な形状に簡略化してから干渉計算を行ってもよい。また計算装置1は、並列演算器を用いて、複数の候補に関する干渉判定の計算を並列に実行することで高速化してもよい。また干渉計算部14は、上記干渉状態の判定として干渉有無の2値を判定する形態とするが、これに限らず、多値の状態を判定する形態としてもよい。
[円弧軌道]
図13は、図8等に対応する補足として、円弧軌道の距離L及び曲率半径rを変更する方式における搬送経路の例について示す。経由点Qとして、q0a等は、各距離Lの円弧軌道に応じた始点を示し、q0b等は、対応する終点を示す。またd0等は、ここでは、各距離Lに応じた円弧軌道上の点を示す。例えば距離L=L0=Lmax、曲率半径r=r0=rmaxの場合における円弧軌道は、中心点がc0、始点がq0a、終点がq0bであり、円弧軌道上の点d0を有する。
図13は、図8等に対応する補足として、円弧軌道の距離L及び曲率半径rを変更する方式における搬送経路の例について示す。経由点Qとして、q0a等は、各距離Lの円弧軌道に応じた始点を示し、q0b等は、対応する終点を示す。またd0等は、ここでは、各距離Lに応じた円弧軌道上の点を示す。例えば距離L=L0=Lmax、曲率半径r=r0=rmaxの場合における円弧軌道は、中心点がc0、始点がq0a、終点がq0bであり、円弧軌道上の点d0を有する。
[基本吊り姿勢計算]
図2のS4の基本吊り姿勢計算部21による基本吊り姿勢の計算の処理例について説明する。基本吊り姿勢計算部21は、図6の運動方程式の計算モデル及び機構パラメータ54を用いて、下記の式に基づいて、基本吊り姿勢を計算する。
図2のS4の基本吊り姿勢計算部21による基本吊り姿勢の計算の処理例について説明する。基本吊り姿勢計算部21は、図6の運動方程式の計算モデル及び機構パラメータ54を用いて、下記の式に基づいて、基本吊り姿勢を計算する。
基本吊り姿勢計算部21は、搬送物データ51のSTLファイルに基づいて、搬送物31の3次元形状を、3次元の微細直方体の有限要素に細分化する。基本吊り姿勢計算部21は、当該微細直方体の体積から、図6の搬送物311の慣性テンソルBgを算出する。
図6の計算モデルにおいて、搬送物311の重心312(g)について、下記の式1の運動方程式で表す。
式1で、Fgは、搬送物311にかかる外力とトルクである。Bgは、慣性テンソルである。Vgは、搬送物311の角速度と並進速度である。Agは、搬送物311の角加速度と並進加速度である。基本吊り姿勢計算部21は、式1の運動方程式を解くことにより、Vgを求める。
次に、基本吊り姿勢計算部21は、下記の式2に示すように、クレーン装置の機構に関するヤコビ行列をJとして、クレーン装置の関節角速度であるθ’i(i=1,……,5)を求める。基本吊り姿勢計算部21は、この関節角速度θ’iを数値積分することにより、クレーン装置の関節角度であるθi(i=1,……,5)を導く。当該θiは、吊り姿勢を示す。
[円弧軌道の生成]
図3のS13の円弧軌道の候補の生成の処理例について説明する。ここでは経由点群をP=[p(1),p(2),……,p(n)]とする。経路情報56において、経由点群のうち連続する3個の経由点であるp(i),p(i+1),p(i+2)が指定されている。点p(i)が始点P1、点p(i+2)が終点P3である。点P2であるp(i+1)は、始点P1から終点P3への途中に経由する点である。言い換えると、点p(i)から点p(i+1)への第1の直線軌道と、点p(i+1)から点p(i+2)への第2の直線軌道とが与えられている。
図3のS13の円弧軌道の候補の生成の処理例について説明する。ここでは経由点群をP=[p(1),p(2),……,p(n)]とする。経路情報56において、経由点群のうち連続する3個の経由点であるp(i),p(i+1),p(i+2)が指定されている。点p(i)が始点P1、点p(i+2)が終点P3である。点P2であるp(i+1)は、始点P1から終点P3への途中に経由する点である。言い換えると、点p(i)から点p(i+1)への第1の直線軌道と、点p(i+1)から点p(i+2)への第2の直線軌道とが与えられている。
図7等のように、軌道計算部22は、指定された経由点の間を結ぶ円弧軌道を含む搬送経路を生成する。軌道計算部22は、同様に、他の3個の経由点をそれぞれ単位として、円弧軌道を含む搬送経路を生成する。
軌道計算部22は、上記直線軌道の折れ曲がりによる搬送経路に基づいて、途中の経由点P2である点p(i+1)を通らずに円弧軌道を通るような搬送経路を生成する。軌道計算部22は、点P2を円弧軌道の生成の参照点とし、参照点P2から、2つの直線軌道の線分の間の狭角側へ線を引き、円弧軌道の中心点Cをとる。
円弧軌道の円弧の中心点Cをc(i+1)とする。距離Lは、参照点P2であるp(i+1)と中心点c(i+1)との直線の線分の距離である。図7の(b)のように、円弧軌道の中心点c(i+1)に対応した回転軸がe(i+1)である。円弧の始点と終点がq(i),q(i+1)である。円弧の始点q(i)は、元の点P1とP2との間の直線軌道に対する円弧の接点である。円弧の終点q(i+1)は、元の点P2とP3との間の直線軌道に対する円弧の接点である。即ち、点P1〜P3間の元の2つの直線軌道は、始点P1である点p(i)から点q(i)への第1の直線軌道701と、点q(i)から点q(i+1)への円弧軌道700と、点q(i+1)から終点P2である点p(i+2)への直線軌道702との3つの軌道になる。
上記円弧軌道700は、点p(i+1)から距離Lで離れた円弧の中心点c(i+1)、回転軸e(i+1)、回転角度α(i+1)、始点q(i)及び終点q(i+1)として規定される。円弧の半径である曲率半径rは、中心点c(i+1)と始点q(i)及び終点q(i+1)との距離である。
上記円弧軌道における各変数の算出式を、下記の式3から式6に示す。式3は、円弧の中心点C=c(i+1)を求める式を示す。式4は、曲率半径rを求める式を示す。式5は、円弧の始点q(i+1)及び終点q(i+2)を求める式を示す。式6は、回転軸e(i+1)及び回転角度α(i+1)を求める式を示す。
計算装置1は、前述のように、搬送経路の計算にあたり、上記点P2であるp(i+1)から円弧の中心点c(i+1)までの距離Lについての初期値L0として、機構パラメータ54での最大値Lmaxを設定する。このL0=Lmaxの設定は、なるべく大きい曲率半径rの円弧、即ちなるべく小さい曲率の円弧を生成する考え方に対応する。図8の例では、最大の円弧k0において、始点P1、終点P3、中心点c0、最大の距離L0=Lmax、最大の曲率半径r0である。
前述の図9等で、円弧軌道上の搬送部31の吊り姿勢の角度φを示している。円弧の始点q(i)と終点q(i+1)との間の円弧軌道700における姿勢は、経路進行方向に対する姿勢の傾きの角度が、点p(i)と点q(i)との間の直線軌道の姿勢の傾きの角度と同じになるように設定される。即ち前述の図10等のように、点p(i)と点q(i)との間の軌道に対して、搬送物31の長軸方向であるhが経路接線に平行な方向であるtに沿うように角度φが設定される。点q(i)と点q(i+1)との間の円弧軌道を分割及び近似した各線分及び点においても、搬送物31の長軸方向であるhが円弧の接線方向であるtを向くように設定される。
前述の図7で、軌道計算部22は、点P2であるp(i+1)から距離Lの円弧の中心点c(i+1)を、式3により求める。式3において、点p(i+1)から点p(i)への方向の単位ベクトルをdaとし、点p(i+1)から点p(i+2)への方向の単位ベクトルをdbとする。daとdbを加算したベクトル(da+db)を単位化したベクトルをdとする。軌道計算部22は、ベクトルdの方向に、点p(i+1)から距離Lの長さだけ平行移動した点を、円弧の中心点c(i+1)として定める。
軌道計算部22は、距離Lを用いて、円弧の半径である曲率半径rを、式4により求める。mは、図6の計算モデル中の搬送物311の質量である。点p(i+1)から中心点c(i+1)に向かう線分と、点p(i+1)から点p(i)への線分とで直角三角形がつくられる。残りの一辺が、中心点c(i+1)から点p(i)への線分である円弧の半径rに対応する。
軌道計算部22は、円弧と直線軌道との2つの接点である点q(i)及び点q(i+1)を、式5により求める。点q(i)及び点q(i+1)は、上記点p(i+1)、m、単位ベクトルda,dbを用いて求めることができる。
軌道計算部22は、円弧軌道の回転軸e(i+1)及び回転角度α(i+1)を、式6により求める。回転軸e(i+1)は、先に求めた単位ベクトルdaと単位ベクトルdbとの外積ベクトルであるd=(da+db)の符号を反転した単位ベクトルである。回転角度α(i+1)は、式4で導いた値による直角三角形の正接を2倍することにより求めることができる。
[吊り姿勢の初期値]
吊り姿勢における初期姿勢及び補間姿勢について説明する。実施の形態1では、前述のように、円弧軌道における搬送物31の吊り姿勢は、初期値として、円弧接線方向に対する角度φ(相対値)が、円弧軌道上を進む前後の各位置で変化しないように設定される。即ち、搬送経路の始点において設定された所定の初期姿勢の角度φは、搬送経路上を移動する各補間点での補間姿勢においても相対的に維持される。絶対座標系での角度の絶対値は搬送経路の曲がり具合に応じて変化する。
吊り姿勢における初期姿勢及び補間姿勢について説明する。実施の形態1では、前述のように、円弧軌道における搬送物31の吊り姿勢は、初期値として、円弧接線方向に対する角度φ(相対値)が、円弧軌道上を進む前後の各位置で変化しないように設定される。即ち、搬送経路の始点において設定された所定の初期姿勢の角度φは、搬送経路上を移動する各補間点での補間姿勢においても相対的に維持される。絶対座標系での角度の絶対値は搬送経路の曲がり具合に応じて変化する。
経路計算部20は、基本吊り姿勢及び設定情報55に基づいて、上記搬送経路の始点での搬送物の吊り姿勢の角度φの初期値φ0を、前述の図9等のように、搬送物の長手方向を円弧接線方向に合わせるように設定する。即ち、円弧の回転角度α及び始点q(i)における円弧接線方向を基準の0°として、角度φ=φ0=0°として設定される。そして経路計算部20は、この吊り姿勢の候補に関して前述の干渉判定の結果が干渉有りになる場合は、当該角度φの値を範囲内で増減するように調整する。
オペレータは、上記吊り姿勢の角度の初期値をφ0=0°として予め設定することができる。またオペレータは、機構パラメータ54を考慮して角度φ0の値を別の値、例えばφ0=90°等に設定することもできる。
また初期入力として与えられる経路情報56として、経由点と共に、吊り姿勢の角度の情報が指定されてもよい。例えば、始点P1での吊り姿勢の角度φがオペレータにより指定される。その場合、経路計算部20は、指定された吊り姿勢の角度をそのまま使用する。また複数の搬送経路の接続において、第1の搬送経路の終点での吊り姿勢の角度が決まっている場合に、次の第2の搬送経路の始点でその角度を引き継ぐようにしてもよい。
図10の(b)に示すように、円弧軌道上の補間点を、q(i)(j)で表す。補間点q(i)(j)における姿勢をR(j)とする。姿勢R(j)は、始点q(i)(0)での姿勢R(0)を、補間点q(i)(j)まで、回転軸e(i+1)周りに回転角度α(i+1)(j)だけ回転させることにより求められる。
[単一の搬送経路と複数の搬送経路]
本実施の形態の搬送経路計算システムは、以下に説明する方式からオペレータにより選択して使用できる。
本実施の形態の搬送経路計算システムは、以下に説明する方式からオペレータにより選択して使用できる。
(1) 計算装置1は、3個の経由点による搬送経路を単位経路として、単位経路ごとに独立で最適な吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路を計算する。この場合、単位経路間における吊り姿勢の角度等の変更を考えない。単位経路ごとに角度φの初期値を前述のφ0として計算する。
(2) 計算装置1は、複数の単位経路の連続による搬送経路において総合的に最適な吊り姿勢及び円弧軌道を含む搬送経路を計算する。この場合、計算装置1は、単位経路間における吊り姿勢の角度等の変更を考える。そのため、計算装置1は、単位経路間で吊り姿勢を引き継ぐことを考える。計算装置1は、この変更が最小のものを好適な搬送経路として推奨する。経路評価部15は、複数の搬送経路間で吊り姿勢を維持するか変更するかという観点での評価処理を行う。
[経路評価処理]
図18は、上記に係わる搬送経路及び評価処理の例を示す。これは吊り姿勢の角度φを変更する方式での例を示す。評価の観点として、複数の経由点に基づいて連続する複数の搬送経路を計算する際、各搬送経路での円弧軌道及び吊り姿勢をどのようにすれば、搬送経路間でのつながりを含めて全体的に好適になるかを考慮する。
図18は、上記に係わる搬送経路及び評価処理の例を示す。これは吊り姿勢の角度φを変更する方式での例を示す。評価の観点として、複数の経由点に基づいて連続する複数の搬送経路を計算する際、各搬送経路での円弧軌道及び吊り姿勢をどのようにすれば、搬送経路間でのつながりを含めて全体的に好適になるかを考慮する。
連続する搬送経路として、第1の搬送経路K1、第2の搬送経路K2を示す。第1の搬送経路K1は、始点A1から終点A3までの単位経路であり、円弧軌道kAを含む。第2の搬送経路K2は、始点B1から終点B3までの単位経路であり、円弧軌道kBを含む。第1の搬送経路K1の終点A3と、第2の搬送経路K2の始点B1とは直線軌道でつながっているか、もしくは、同じ点(A3=B1)であるとする。
搬送経路の生成の結果、第1の搬送経路K1の終点での吊り姿勢の角度φ=90°であり、第2の搬送経路K2の始点での吊り姿勢の角度φ=0°であるとする。この場合、終点A3と始点B1との間で、吊り姿勢の角度φを90°から0°へ変更する必要がある。この変更の分、搬送機器の動作または搬送者の負担が生じる。効率性の観点では、このような吊り姿勢の角度の変更を最小にすることが望ましい。
そこで、実施の形態1の搬送経路計算システムは、複数の単位経路の連続による搬送経路において、吊り姿勢の角度の変更が最小となるものを、好適な搬送経路として推奨する。経路評価部15は、S5で得られる複数の単位経路の吊り姿勢及び軌道の情報を用いて、それらの連続による搬送経路における吊り姿勢の角度φの変更の合計の量を計算する。経路評価部15は、この吊り姿勢の角度φの合計の変更量が最小となるものを、高評価とし、総合的に好適な搬送経路として推奨する。また経路評価部15は、複数の搬送経路の候補に関して、上記合計の変更量が小さい順に並べて出力してもよい。
同様に、第1の搬送経路K1または第2の搬送経路K2のように、1つの単位経路の中においても、軌道上の各点での吊り姿勢の角度はなるべく同じに維持される方が望ましい。経路評価部15は、1つの単位経路の中での吊り姿勢の角度の変更の量が最小のものを高評価とし、好適な搬送経路として推奨する。
前述のように、1つの単位経路でみた場合には、吊り姿勢の角度φの初期値として経路接線方向に平行な角度φ0=0°とすると最適になる場合が多いと考えられる。しかし、上記のように複数の単位経路の連続でみた場合には、吊り姿勢の角度φの初期値として角度φ0=0°以外の別の角度にした方がよい場合が考えられる。即ち、例えば第1の搬送経路KAの終点の吊り姿勢の角度を、そのまま第2の搬送経路KBの始点の吊り姿勢の角度として引き継いだ方がよい場合がある。
そこで、実施の形態1の搬送経路計算システムは、上記のように連続する複数の単位経路による搬送経路の計算の場合、始点から終点まで、各々の単位経路の吊り姿勢の角度(軌道上の相対値)がなるべく同じままで済む好適な搬送経路を算出して推奨する。
単位経路間で吊り姿勢の角度を引き継いで計算する方式を採用する場合、計算装置1は、例えば第2の搬送経路KBの計算にあたり、始点B1の吊り姿勢の角度φの初期値を、第1の搬送経路KAの終点A3の吊り姿勢の角度φと同じに設定して計算を開始する。
[画面]
図19は、実施の形態1の搬送経路計算システムの計算装置1における画面の例を示す。本画面において、191は、メニューの項目を示し、オペレータが選択して実行可能な項目を示す。例えば経路生成、経路確認、及び設定等の項目を含む。例えば経路生成または経路確認の項目が選択されると、192以下の情報が表示される。
図19は、実施の形態1の搬送経路計算システムの計算装置1における画面の例を示す。本画面において、191は、メニューの項目を示し、オペレータが選択して実行可能な項目を示す。例えば経路生成、経路確認、及び設定等の項目を含む。例えば経路生成または経路確認の項目が選択されると、192以下の情報が表示される。
192以下の項目は、搬送経路計算システムにより計算した搬送経路の情報を表示する。192は、搬送経路をオペレータにより選択可能とする項目を示し、搬送経路の識別情報や名前を表示し、選択可能とする。193は、192で選択された搬送経路の内容を表示する項目を示す。193は、搬送経路の内容の情報として、識別情報や名前、経由点、軌道などの情報を表示する。193は、前述のように、円弧軌道及び吊り姿勢を含む搬送経路上の搬送物の搬送の様子を、3次元や2次元で、アニメーションの動画や静止画などの形式でグラフィカルに表示する。193で示す例では、前述の図4と同様の情報を2次元で表示している。193では、オペレータによるボタンやバー等の操作により、所望の位置及び時点での吊り姿勢等の状態を確認することもできる。
194は、搬送経路の情報のうち、円弧軌道の情報を表示する項目を示す。194は、192の搬送経路を構成する全円弧軌道、あるいはオペレータにより選択された円弧軌道についての情報を表示する。表示する情報は、識別情報、円弧軌道を構成する中心点、始点、終点、及び曲率半径等である。
195は、搬送経路の情報のうち、吊り姿勢の情報を表示する項目を示す。195は、例えば192の搬送経路上の各経由点の位置での吊り姿勢を規定する角度の情報を表示する。例えば点p1の位置における吊り姿勢の角度(θ1,θ2,θ3=φ)が表示される。
[円弧軌道及び干渉判定の例]
図14及び図15は、円弧軌道及び干渉判定の補足として、円弧軌道の距離L及び曲率半径rの調整により搬送経路の候補を生成する場合の例を示す。図14は干渉有りとなる例、図15は干渉無しとなる例を示す。
図14及び図15は、円弧軌道及び干渉判定の補足として、円弧軌道の距離L及び曲率半径rの調整により搬送経路の候補を生成する場合の例を示す。図14は干渉有りとなる例、図15は干渉無しとなる例を示す。
図14の例では、距離Lを大きめの距離L1とした円弧軌道の候補を示す。当該円弧軌道上の点p12では、吊り姿勢の角度φが相対値で90°である。この点p11での干渉判定の結果が干渉有りである。
図15の例では、図14の例よりも距離Lを減少させ、相対的に小さい距離L2とした円弧軌道の候補を示す。当該円弧軌道上の点p22では、吊り姿勢の角度φは図14の例と同じであり、干渉判定の結果が干渉無しである。
[吊り姿勢及び干渉判定の例]
図16及び図17は、吊り姿勢及び干渉判定の補足として、吊り姿勢の角度φの調整により搬送経路の候補を生成する場合の例を示す。図16は、搬送経路の始点での角度φの初期値φ0=0°に設定した例、図17は搬送経路の始点での角度φの初期値φ0=90°に設定した例を示す。図16及び図17の円弧軌道の距離Lは同じである。
図16及び図17は、吊り姿勢及び干渉判定の補足として、吊り姿勢の角度φの調整により搬送経路の候補を生成する場合の例を示す。図16は、搬送経路の始点での角度φの初期値φ0=0°に設定した例、図17は搬送経路の始点での角度φの初期値φ0=90°に設定した例を示す。図16及び図17の円弧軌道の距離Lは同じである。
図16の角度φ0=0°は、前述のように、搬送物の長手方向を円弧接線に平行な方向に合わせる角度であり、搬送経路の軌道上で当該角度が相対的に維持される。図16の例では、搬送経路上の各点で干渉無しである。図17の例では、図16の例よりも搬送物31と建物32との距離Wが小さくなり、前述の閾値W0しだいでは干渉有りとなる。
<実施の形態2>
図20を用いて、本発明の実施の形態2の搬送経路計算システムについて説明する。実施の形態1では、前述のように、搬送物の基本吊り姿勢を、図6のような計算モデルに基づいて運動方程式から導出した。実施の形態2では、S4の基本吊り姿勢の計算または設定に関する処理について、運動方程式から導くのではなく、搬送物の3次元形状に基づいて自動的に、軌道の接線と長手方向が平行となるように設定する。
図20を用いて、本発明の実施の形態2の搬送経路計算システムについて説明する。実施の形態1では、前述のように、搬送物の基本吊り姿勢を、図6のような計算モデルに基づいて運動方程式から導出した。実施の形態2では、S4の基本吊り姿勢の計算または設定に関する処理について、運動方程式から導くのではなく、搬送物の3次元形状に基づいて自動的に、軌道の接線と長手方向が平行となるように設定する。
図20は、実施の形態2の搬送経路計算システムの計算装置1における、搬送物の3次元形状に基づいて、吊り姿勢の初期値を設定する処理に関して示す。基本吊り姿勢計算部21は、搬送物データ51による搬送物31の3次元形状のモデルを用いて、吊り姿勢の角度φの初期値φ0を自動的に計算し設定する。
図20の(a)で、1101は、搬送物データ51のSTLファイルによる、搬送物31の3次元形状のポリゴンのモデルの例として円筒形状を示す。1102は、1101の3次元形状を内包する、最小外包直方体を示す。計算装置1は、最小外包直方体1102のような3次元形状から、搬送物31の長手方向であるhを算出する。tは、前述の円弧軌道の接線のベクトルである。
図20の(b)で、計算装置1は、1101のような形状のモデルを、角度φに関して角度ψのように回転させることで、搬送物31の長軸及び長手方向であるhを、経路接線に平行な方向であるtに合わせる。これにより、図11の(c)のような吊り姿勢の角度の状態となる。fは、前述の回転軸方向であり、搬送物31の長軸及び長手方向であるhを、接線ベクトルtに合わせるように回転する回転軸である。ψはその回転の際の角度である。
実施の形態2の基本吊り姿勢計算部21は、上記回転軸fと回転角度ψについて、下記の式7により求める。
前述の図10で、dは、搬送物の長手方向hを、円弧軌道がある平面に射影した単位ベクトルに対応する。基本吊り姿勢計算部21は、単位ベクトルdと接線ベクトルtとが平行ではない場合、単位ベクトルdを接線ベクトルtまで回転させる場合の単位ベクトルdが接線ベクトルtと成す角度ψを、以下の方法で導く。即ち、基本吊り姿勢計算部21は、回転軸fを、dとtの外積ベクトル(d×t)により導く。式7のように、回転角度ψは、dとtの外積ベクトル(d×t)と、dをtに射影した2辺とから成る直角三角形の正接として導かれる。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1及び実施の形態2の搬送経路計算システムによれば、クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送における搬送経路の計算に関して、非干渉かつ好適な吊り姿勢や円弧軌道を含む搬送経路を計算することができる。これにより工期短縮やコスト削減を実現できる。
以上説明したように、実施の形態1及び実施の形態2の搬送経路計算システムによれば、クレーン等の搬送機器を用いた吊り搬送における搬送経路の計算に関して、非干渉かつ好適な吊り姿勢や円弧軌道を含む搬送経路を計算することができる。これにより工期短縮やコスト削減を実現できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
1…計算装置、11…データ入力部、12…設定部、13…経路情報入力部、14…干渉計算部、15…経路評価部、16…データ出力部、20…経路計算部、21…基本吊り姿勢計算部、22…軌道計算部、23…姿勢計算部、31…搬送物、32…建物、33…搬送機器、51…搬送物データ、52…建物データ、53…搬送機器データ、54…搬送機器パラメータ、55…設定情報、56…経路情報、57…干渉計算データ、58…経路評価データ、59…画面表示データ、60…搬送経路データ、61…基本吊り姿勢データ、62…軌道データ、63…姿勢データ、101…制御部、102…記憶部、103…操作入力部、104…画面表示部、105…通信部、150…設計装置。
Claims (12)
- 建物内の経由点間を搬送機器による円弧軌道を含む軌道及び吊り姿勢で搬送物を搬送する搬送経路を計算する処理を行う計算装置を備え、
前記計算装置は、
前記建物の3次元形状のデータ、前記搬送物の3次元形状のデータ、前記搬送機器の機構のパラメータ、及び経由点情報を格納する記憶部と、
前記経由点情報を用いて、前記円弧軌道を含む軌道の候補を生成する軌道計算部と、
前記搬送物の3次元形状のデータと前記搬送機器の機構のパラメータとを用いて、前記搬送物の吊り姿勢の候補を生成する姿勢計算部と、
前記円弧軌道の候補及び吊り姿勢の候補を含む搬送経路の候補について、当該軌道上の搬送物の吊り姿勢と前記建物との干渉状態を判定する干渉計算部と、
前記搬送物と建物とが干渉無しとなる前記円弧軌道及び吊り姿勢を含む搬送経路を決定する経路計算部と、
前記決定された搬送経路を含む情報を表示する表示部と、
を有する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記軌道計算部は、前記判定の結果が干渉有りの場合、前記搬送機器の機構のパラメータに応じて、前記円弧軌道の曲率半径を変更した候補を生成し、
前記経路計算部は、前記円弧軌道の曲率半径の初期値からの変更の量が少ない搬送経路に決定する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記姿勢計算部は、前記判定の結果が干渉有りの場合、前記搬送機器の機構のパラメータに応じて、前記吊り姿勢の角度を変更した候補を生成し、
前記経路計算部は、前記吊り姿勢の角度の初期値からの変更の量が少ない搬送経路に決定する、搬送経路計算システム。 - 請求項2記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記軌道計算部は、前記円弧軌道の曲率半径の初期値を、前記搬送機器の機構のパラメータに応じた最大値に設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項2記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記軌道計算部は、前記経由点情報における第1、第2、及び第3の点において、第1と第2の点を結ぶ第1の線分と、第2と第3の点を結ぶ第2の線分とに接する円弧における第1の線分との接点を始点、第2の線分との接点を終点として、前記円弧軌道を生成し、
前記軌道計算部は、前記円弧軌道を規定する、前記第2の点と円弧の中心点との距離及び当該円弧の曲率半径を、所定の単位で増減させることにより、前記円弧軌道の候補を生成する、搬送経路計算システム。 - 請求項3記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記姿勢計算部は、前記吊り姿勢の角度の初期値を、前記搬送物の長軸方向が前記円弧軌道の接線と平行な方向に相対的に維持される角度に設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項3記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記姿勢計算部は、前記吊り姿勢を規定する第1の角度を所定の単位で増減させることにより、前記吊り姿勢の候補を生成する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
基本吊り姿勢計算部を有し、
前記基本吊り姿勢計算部は、前記搬送機器の機構のパラメータに応じた運動方程式に基づいて、前記搬送機器による搬送物の吊り姿勢を計算し、前記吊り姿勢の候補の生成のための基本吊り姿勢として設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
基本吊り姿勢計算部を有し、
前記基本吊り姿勢計算部は、前記搬送物データの3次元形状のモデルから搬送物の長軸方向を算出し、当該長軸方向を前記搬送経路の接線の方向に合わせるように当該モデルを回転することにより、前記搬送物の吊り姿勢を計算し、前記吊り姿勢の候補の生成のための基本吊り姿勢として設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
基本吊り姿勢計算部を有し、
前記基本吊り姿勢計算部は、前記搬送物データを用いて画面に搬送物の3次元形状を表示し、当該画面でのオペレータの操作に基づいて当該搬送物を移動及び回転させ、これにより調整された前記搬送機器による搬送物の吊り姿勢を、前記吊り姿勢の候補の生成のための基本吊り姿勢として設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
基本吊り姿勢計算部を有し、
前記基本吊り姿勢計算部は、予め設定された複数の吊り姿勢のパターンの中からオペレータの操作に基づいて選択された吊り姿勢を、前記吊り姿勢の候補の生成のための基本吊り姿勢として設定する、搬送経路計算システム。 - 請求項1記載の搬送経路計算システムにおいて、
前記記憶部は、前記搬送機器の3次元形状のデータを格納し、
前記干渉計算部は、前記搬送機器の3次元形状のデータを用いて、前記搬送経路の候補について、当該軌道上の搬送物の吊り姿勢と前記搬送機器との干渉状態を判定し、
前記経路計算部は、前記搬送物と搬送機器とが干渉無しとなる搬送経路を決定する、搬送経路計算システム。
Priority Applications (3)
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