JP6052625B2 - 生体物質の測定方法およびその測定装置 - Google Patents

生体物質の測定方法およびその測定装置 Download PDF

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Description

本発明の技術分野は、生体物質(例えば抗原、抗体)を電気化学的に分析、測定する方法、およびデバイス、装置に関する。
生体物質を選択的に検出する方法として、抗原抗体反応もしくは免疫反応が利用され、例えば、標識物質を用いないABO血液判定や、標識物質として、ラジオアイソトープや蛍光材料、酵素による酸化還元電流など、多くの検出手段が開発されてきた。
しかしながら、これらの方法は、選択された生体物質1分子に対し、アイソトープ1原子や、酸化還元に寄与する数電子レベルを検出する方法であり、非常に検出が難しい。
一方、生体内の物質検出の典型的な例として、神経シナプスにおける、アセチルコリンレセプターによる、神経伝達物質アセチルコリンの認識・応答が、知られている。アセチルコリンレセプターは、脂質二重層を貫通し、アセチルコリン認識部位を外側に向けて存在する。アセチルコリンレセプターのアセチルコリンの認識・結合は特異的で精度・感度が高い。アセチルコリンを認識・結合したアセチルコリンレセプターは、コンフォメーション変化により脂質二重層を貫通した、イオンチャネルを形成する。通常、脂質二重層の内外は、イオンの偏りによって電気的に分極した状態にあるが、イオンチャネルを介してのイオンの移動・混合により脱分極がおこる。この脱分極状態がパルスとして神経細胞中を移動して、生体内の離れた部位に情報を伝達する(神経伝達)。この例のように、生体内の物質検出は、精度・感度が高く、かつ、1ステップの簡便迅速なプロセスで認識情報が電気信号に変換されて以降の情報処理がなされるという点で、極めて合理性の高い検出法である。
この免疫反応の汎用性と生体のレセプターのセンシングに見られる、感度、精度、簡便性、迅速性を併せ持ち、免疫反応を電気応答として取り出す免疫電極法が報告されている(特許文献1及び2)。
特開2002−174612号公報 特開2002−333419号公報
電極上に生体膜に見られるような脂質膜を形成した場合、膜厚が厚すぎる、または分子がランダム積層したりすることにより、イオンチャネルが電極上まで到達しない可能性がある。また、脂質膜であると、加水分解等を受け、センシング部分の経年劣化が起こり得る。
そこで、さらなる開発を行った結果、脂質膜に代え、炭化水素基を含む薄膜、好ましくは単分子膜を採用することにより、電気応答性、信頼性が良好な免疫電極法に関する発明を完成した。
本明細書において、電気応答性、信頼性が良好な免疫電極法、それを利用した装置等が提供される。
本発明は、第一の側面において、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはチップであって、
固相化抗体、イオン伝導性化合物で標識された物質であって前記固相化抗体に結合した物質、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する、装置またはチップを提供する。
本発明は、第二の側面において、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはチップであって、
固相化物質、イオン伝導性化合物で標識された抗体であって固相化物質に結合した抗体、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する、装置またはチップを提供する。
これらの本発明の側面は、システム、方法およびその任意の組み合わせにより実現してもよい。
薄膜に炭化水素基を採用することにより、使用による劣化に対する耐久性が改善され、それにより、電気応答性、信頼性が向上した生体物質の測定法、測定用チップ、測定装置が提供され得る。
生体物質の検出メカニズムの概念図を示す。 抗原の検出メカニズムの概念図を示す。 標識抗原の合成スキームを示す。 固相化抗体の合成スキームを示す。 モノクローナル抗体の合成スキームを示す。 抗体の検出メカニズムの概念図を示す。 固相化抗原の合成スキームを示す。 標識抗体の合成スキームを示す。 抗原の測定チップおよび装置を示す。 抗体の測定チップおよび装置を示す。 エストラジオール抗原の濃度に対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原の濃度に対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。 エストラジオール抗原の温度に対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原の温度に対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。 エストラジオール抗原の脂質二重膜に対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原の脂質二重膜に対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。 エストラジオール抗原のフルオロアルキル膜に対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原のフルオロアルキル膜に対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。 エストラジオール抗原のアルキル鎖の長さに対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原のアルキル鎖の長さに対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。 エストラジオール抗原のアルキルシロキサン膜に対する電気伝導応答を示す。 エストラジオール抗原のアルキルシロキサン膜に対する電気伝導応答(軸変換後)を示す。
A.固相化抗体及びイオン伝導性化合物で標識された物質を用いた液体中の生体物質量の測定用チップ及び測定装置
本発明は、第一の側面において、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはチップであって、
固相化抗体、イオン伝導性化合物で標識された物質であって前記固相化抗体に結合した物質、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する装置またはチップを提供する。
上記本発明の第一の側面において提供される装置またはチップは、さらに、被測定液の温度の測定部を含んでもよい。本発明の第一の側面で提供されるチップは、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはシステムに組み込まれていてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化抗体と接触し、固相化抗体に結合したイオン伝達性化合物で標識された物質を固相化抗体から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された物質は、固相化抗体が認識して結合する部位を含む。この場合、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された物質と競合して固相化抗体と結合する。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された物質における固相化抗体の認識部位は、固相化抗体の作製の際に使用することができる抗原におけるエピトープと全く同じであっても、固相化抗体が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された物質の固相化抗体に認識される部位のアミノ酸配列は、同一であっても、固相化抗体が交差反応性を示す限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された物質のうちの少なくとも1つは固相化抗体の抗原であってもよい。また、イオン伝導性化合物で標識された物質は、もしイオン伝導性化合物で標識されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化抗体に結合したイオン伝導性化合物で標識された物質と接触し、イオン伝達性化合物で標識された物質を固相化抗体から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された物質を認識する抗体であり得る。これにより、生体物質が、固相化抗体と競合してイオン伝導性化合物で標識された物質と結合する。
この実施態様において、生体物質が認識するイオン伝達性化合物で標識された物質の部位は、固相化抗体が認識するイオン伝達性化合物で標識された認識部位と全く同じであっても、イオン伝達性化合物で標識された物質が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質が認識するイオン伝達性化合物で標識された物質の部位と固相化抗体が認識するイオン伝達性化合物で標識された認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、両抗体が結合する限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された物質は、固相化抗体及び生体物質のうちの少なくとも1つの抗原であってもよい。また、固相化抗体は、もし固相化されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
本明細書において、生体物質とは生体由来の物質であり、生理活性物質であり得、例えば、動物(例えば、ヒト)由来の低分子物質(例えば、エストラジオール)、タンパク質(例えば、ヘモグロビン、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、抗体)が挙げられる。また、生体物質の他の例としては、癌抗原(例えば、AFP(α-フェトプロテイン、alpha-fetoprotein)、BCA225、BFP(塩基性フェトプロテイン、basic fetoprotein)、CEA(癌胎児性抗原、carcinoembryonic antigen)、CA15-3(carbohydrate antigen15-3)、CA125(carbohydrate antigen125)、CA54/61(CA546、carbohydrate antigen54/61)、CA19-9(carbohydrate antigen19-9)、CA72-4(carbohydrate antigen72-4)、DUPAN-2(膵癌関連糖蛋白坑原、pancreatic cancer associated antigen)、エラスターゼ1(elastase1)、フェリチン(ferritin)、IAP(免疫抑制酸性蛋白、immunosuppressive acidic protein)、KM01、NSE(神経特異エノラーゼ、neuron-specific enolase)、NCC-ST-439、尿中ポリアミン(polyamine)、PIVKA-II(異常プロトロンビン、protein induced by vitamin K absence-2)、PA(前立腺特異抗原、prostate specific antigen)、PAP(前立腺性酸性ホスファターゼ、prostatic acid phosphatase)、SCC(扁平上皮癌関連抗原、squamous cell carucinoma-related antigen)、シアリルSSEA-1抗原(sialyl SSEA-1 antigen)、TPA(組織ポリペプチド抗原、tissue polypeptide antigen)、γ-Sm(γ-セミノプロテイン、gamma-seminoprotein))が挙げられる。抗原−抗体反応を用いて検出できる物質として既知のものは、本発明により測定される生体物質となり得る。
本明細書において、生体物質は、被測定液中に含まれ得る。本明細書において、被測定液とは、測定対象である物質が含まれている液体であり、例えば、緩衝液、生理食塩水、体液(例えば、血液、尿等)、生体より調製された液体(例えば、血清、血漿等)である。
本明細書において、チップとは、特に限定はされないが、小型のパッケージ化された構成単位、機能単位または装置であり得る。例えば、チップは、イオン(例えば、ナトリウムイオン)等の化学物質による電気的変化を検出する電気化学センサーまたは電極センサーであり得る。
本明細書において、固相化抗体とは、基体に固定化された抗体であり得る。また、本明細書において、基体とは、固体の支持体であり得、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン等のポリマーであり得る。形状は特に限定されず、ビーズであっても、プレートであってもよい。抗体の基体への固定化は、通常当業者に用いられる方法を用いることができる。例えば、抗体をポリスチレンの基体に直接吸着させてもよく、リンカーを介して間接的に抗体を基体に固定化してもよい(特開平11−322799等参照)。このようなリンカーは、ピアス社等から購入でき、例えば、sulfo−SMCCを用いることができる。
本明細書において、抗体は特に限定はされず、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD等であり得る。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。また、抗体は、1価抗体であってもよい。使用可能な抗体の例としては、エストラジオールに特異的に結合するモノクローナル抗体、ヘモグロビンに特異的に結合するモノクローナル抗体、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)に特異的に結合するモノクローナル抗体、上記各種癌抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体が挙げられる。
一つの実施態様において、固相化抗体の作製に使用される抗体は、生体物質を抗原として認識する。つまり、一つの実施態様として生体物質は固相化抗体の作製に使用される抗体の抗原である。
一つの実施態様において、固相化抗体の作製に使用される抗体は、1価抗体である。
この実施態様では、生体物質もしくはイオン伝導性化合物で標識された物質と固相化抗体が、1対1のみの反応に限定されるため定量性が優れる。
一つの実施態様において、固相化抗体の作製に使用される抗体は、モノクローナル抗体である。
この実施態様では、生体物質もしくはイオン伝導性化合物で標識された物質と固相化抗体とのアフィニティのばらつきがなくなるため、定量性が優れる。
本明細書において、イオン伝導性化合物で標識された物質とは、特に限定はされないが、イオン伝達性基を含む化合物を用いて標識された物質であり得る。本明細書において、イオン伝達性基は、特に限定はされないが、イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)チャンネルを形成する官能基であり得る。
一つの実施態様において、イオン伝導性基は環状構造を有し、その内向けの極性が大きく、外向けの極性が小さい配向構造をもつ基であり得る。このようなイオン伝導性基の例としては、クラウンエーテル基、ポルフィリンを有する基、フタロシアニンを有する基が挙げられる。本発明で使用されるクラウンエーテル基の例としては、(−CH2-CH2-O-)nにおいてnが5以上である構造を有するクラウンエーテル(例えば、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン−6)を有する基が挙げられる。
この実施態様では、環状構造であり、その内向けの極性が大きく、外向けの極性が小さい配向構造をもつイオン伝導性基で標識された生体物質が、電極(作用極)上に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着する。そして、疎水性の環状構造外向けの部分が疎水性の炭化水素基を疎水結合により引き寄せることによって、イオン伝導性基が炭化水素基を含む薄膜を貫通し、電極上までチャネルが形成されるとともに、環状構造内側の部分によって、チャネル部分にイオンが導入されやすくなる。その結果、前記薄膜の電気伝導度の変化をもってイオン伝導基で標識した生体物質を検出できる。
一つの実施態様において、イオン伝導性基の環状構造は、ナトリウムイオンの包接が可能である大きさ以上である。
この実施態様では、被測定液(例えば、生体由来の液体、緩衝液、生理食塩水)に含まれるナトリウムイオンが前記イオンチャネル内を容易に移動できるので、電気応答性が向上する。
イオン伝達性基を含む化合物(つまり、イオン伝導性化合物)の例としては、特に限定はされないが、以下の式を有する化合物が挙げられる。
また、イオン伝導性化合物の他の例としては、バリノマイシン、L−アラニン等が挙げられる。イオン伝導性化合物で標識される物質としては、特に限定はされないが、例えば、動物(例えば、ヒト)由来の低分子物質(例えば、エストラジオール)、タンパク質(例えば、ヘモグロビン、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、抗体)が挙げられる。また、イオン伝導性化合物で標識される物質の他の例としては、生体物質について記載したものと同じ例を含む癌抗原が挙げられる。
イオン伝達性化合物を用いた物質の標識は、当業者が適宜実施することができ、例えば、イオン伝達性化合物またはイオン伝達性基を直接またはリンカー等を利用して間接的に(アミド結合、エステル結合、エーテル結合を介して)物質に結合させてもよい。例えば、イオン伝達性化合物またはイオン伝達性基のアミノ基と物質のカルボキシル基を反応させて、アミドを形成することによりイオン伝導性化合物で標識された物質を作製してもよい。
本明細書において、電極は、一対の二つの極から構成され得、例えば、電気化学的反応が起こる極である作用極と電圧をかけるときの基準になる対極から構成され得る。電極は、金、白金、銀等の金属、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO、ZnO、TiO等の金属酸化物であり得る。作用極の金属または金属酸化物の表面は、炭化水素基を含む薄膜で覆われていてもよい。
本明細書において、炭化水素基を含む薄膜とは、構成する化学物質が炭化水素基を含む薄膜であり得る。
一つの実施態様として、炭化水素基を含む薄膜は、例えば、スルフィド、ジセレニド、セレニド、チオール、ニトリル、イソニトリル、ニトロ、セレノール、3価リン化合物、イソチオシアネート、キサンテート、チオカルバート、ホスフィン、チオ酸またはジチオ酸等の金属に対する結合性を示す基を末端に有する炭化水素基と金属との反応により、金属に結合され、作製される。
一つの実施態様において、炭化水素基は、直鎖アルキル基、直鎖フルオロアルキル基、シロキサンを含む直鎖アルキル基またはシロキサンを含む直鎖フルオロアルキル基であってもよい(ここで、アルキル基は、飽和アルキル基または不飽和アルキル基である)。これらの基の炭素数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり得、例えば、2、3または4である。これら基の例には、CH3(CH2)n- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CF3(CF2)n-2(CH2)2- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CH3(CH2)n-Si- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、及びCF3(CF2)n-2(CH2)2-Si- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)が挙げられる。
この実施態様では、イオン伝導性化合物で標識された物質が、電極(作用極)上に形成した直鎖状アルキル基を含む薄膜に吸着することで、イオン伝導性基から直鎖状アルキル基を含む薄膜を貫通して電極上までおよそ直線状にイオンチャネルが形成される。また、直鎖状アルキル基を含む薄膜の経年劣化が抑えられる。そのため、電気応答性、信頼性が格段に向上した物質の測定方法、測定用チップ及び測定装置を提供できる。これら効果はさらにフルオロアルキル基にすることで分子鎖が剛直性、安定性が増すので、さらに顕著となり得る。
一つの実施態様において、薄膜は単分子膜であってもよい。
この実施態様では、イオン伝導性化合物で標識された物質が、電極(作用極)上に形成した炭化水素基を含む単分子膜に吸着することで、分子がランダム積層していないので、イオン伝導性基から単分子膜を貫通して電極上までおよそ直線状にイオンチャネルが形成される。そのため、さらに電気応答性が格段に向上した物質の測定方法、測定用チップ及び測定装置を提供できる。
被測定液の温度の測定部は、被測定液の温度を測定する機能を有していれば、特に限定はされない。例えば、被測定液の温度の測定部は、温度センサーであってもよい。
被測定液の温度測定部は、被測定液の温度を測定することができれば装置またはチップのいずれの場所にでも設置できる。1つの実施態様として、被測定液の温度測定部は、炭化水素基を含む薄膜の表面での液温を測定するように設置されてもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する装置またはチップは、さらに、電気伝導度検出部および物質濃度算出部を備えてもよい。電気伝導度検出部は、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量を測定することができればよく、電気伝導度計であり得る。電気伝導度の変化は吸着したイオン伝導性化合物部分の量に相関するので、物質濃度算出部にて、被測定液中の生体物質の量が測定される。
一つの実施態様において、本発明が提供する装置またはチップは、被測定液を給液する液体の投入口から測定後の液体が排出される排出口まで一つの流路で構成されており、被測定液の投入口から順に、流路表面に、(1)イオン伝導性化合物で標識された物質が結合した固定化抗体、(2)炭化水素基を含む薄膜を表面に有する作用極を有する。
一つの実施態様において、被測定液の温度測定部は、(1)イオン伝導性化合物で標識された物質が結合した固定化抗体と(2)炭化水素基を含む薄膜を表面に有する作用極の間の流路に設置してもよい。また、1つの実施態様として、溶液温度を均一にするための攪拌する攪拌子が流路内に設置されてもよい。また、1つの実施態様として、被測定液は、投入口から排出口までの管腔において、均一な溶液流である。
また、一つの実施態様において、本発明が提供する装置またはチップは、固相化抗体が固定化された基体、電極およびそれ以外の部分がそれぞれ分離でき、取り代え可能なように設計されていてもよい。例えば、本発明が提供する装置またはチップの固相化抗体が固定化された基体部分は、異なる固相化抗体が固定化された基体と取り代えることができるように設計されてもよい。
一つの実施態様において、被測定液が接触する前にイオン伝達性化合物が標識された物質が固相化抗体に結合している。他の一つの実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された物質は、被測定液が接触する前に固相化抗体に結合していない。この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された物質は、被測定液と同時に、または被測定液と予め混合されて、固相化抗体に接触させる。
B.固相化物質及びイオン伝導性物質で標識された抗体を用いた液体中の生体物質量の測定用チップ及び測定装置
本発明は、第二の側面において、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはチップであって、
固相化物質、イオン伝導性化合物で標識された抗体であって固相化物質に結合した抗体、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する、装置またはチップを提供する。
上記本発明の第二の側面において提供される装置またはチップは、さらに、被測定液の温度の測定部を含んでもよい。本発明の第二の側面で提供されるチップは、被測定液中の生体物質の量を測定する装置またはシステムに組み込まれていてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化物質と接触し、固相化物質に結合したイオン伝達性化合物で標識された抗体を固相化物質から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された抗体のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は抗体であり得、生体物質である抗体及びイオン伝導性化合物で標識された抗体は、固相化物質を認識して結合する。この場合、生体物質である抗体は、イオン伝導性化合物で標識された抗体と競合して固相化物質と結合する。
この実施態様において、生体物質である抗体及びイオン伝導性化合物で標識された抗体が固相化物質を認識する部位は、全く同じであっても、固相化物質に結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質である抗体とイオン伝導性化合物で標識された抗体の固相化物質の認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、固相化物質に結合できる限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、固相化物質は生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された抗体のうちの少なくとも1つの抗原であってもよい。また、イオン伝導性化合物で標識された抗体は、もしイオン伝導性化合物で標識されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化物質に結合したイオン伝導性化合物で標識された抗体と接触し、イオン伝達性化合物で標識された抗体を固相化物質から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された抗体に結合する物質であり得、例えばイオン伝導性化合物で標識された抗体の抗原となり得る物質である。これにより、生体物質が、固相化物質と競合してイオン伝導性化合物で標識された抗体と結合する。
この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する生体物質の部位は、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する固相化物質に認識部位と全く同じであっても、イオン伝達性化合物で標識された抗体が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する生体物質の部位とイオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する固相化物質の認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、両抗体が結合する限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、固相化物質及び生体物質のうちの少なくとも1つは、イオン伝達性化合物で標識された抗体の抗原であってもよい。また、固相化物質は、もし固相化されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
本明細書において、固相化物質とは、基体に固定化された物質であり得る。このような物質は、特に限定はされないが、例えば、動物(例えば、ヒト)由来の低分子物質(例えば、エストラジオール)、タンパク質(例えば、ヘモグロビン、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、抗体)が挙げられる。また、基体に固相化され得る物質の他の例としては、上記Aで生体物質について記載したものと同じ例を含む癌抗原が挙げられる。抗原−抗体反応を用いて検出できる物質として既知のものは、固相化物質となり得る。
また、本明細書において、基体とは、固体の支持体であり得、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン等のポリマーであり得る。形状は特に限定されず、ビーズであっても、プレートであってもよい。物質の基体への固定化は、通常当業者に用いられる方法を用いることができる。例えば、抗体をポリスチレンの基体に直接吸着させてもよく、リンカーを介して間接的に抗体を基体に固定化してもよい(特開平11−322799等参照)。このようなリンカーは、ピアス社等から購入でき、例えば、sulfo−SMCCを用いることができる。一つの実施態様において、固相化物質は、下式に記載されているような、ジスクシニルジスルフィドをリンカーとして用いたポリスチレンと結合するエストラジオールであり得る。
イオン伝導性化合物で標識された抗体に用いられるイオン伝達性化合物及び抗体は、上記Aで記載したとおりである。また、イオン伝達性化合物の抗体への標識方法も、上記Aの記載を参考に、当業者は実施することができる。
その他の用語、例えば、作用極及び対極を含む電極、被測定液の温度の測定部、 電気伝導度検出部、物質濃度算出部、炭化水素基、薄膜、チップ等も、上記Aで記載したとおりであり、これらは、本発明の第一の側面で提供される装置またはチップに使用できるものを本発明の第二の側面で提供される装置またはチップに使用することができる。
一つの実施態様において、本発明が提供する装置またはチップは、被測定液を給液する被測定液の投入口から測定後の液体が排出される排出口まで一つの流路で構成されており、被測定液の投入口から順に、流路表面に、(1)イオン伝導性化合物で標識された抗体が結合した固定化物質、(2)炭化水素基を含む薄膜を表面に有する作用極を有する。
一つの実施態様において、被測定液の温度測定部は、(1)イオン伝導性化合物で標識された物質が結合した固定化抗体と(2)炭化水素基を含む薄膜を表面に有する作用極の間の流路に設置してもよい。また、1つの実施態様として、溶液温度を均一にするための攪拌する攪拌子が流路内に設置されてもよい。また、1つの実施態様として、被測定液は、投入口から排出口までの管腔において、均一な溶液流である。
また、一つの実施態様において、本発明が提供する装置またはチップは、固相化物質が固定化された基体、電極およびそれ以外の部分がそれぞれ分離でき、取り代え可能なように設計されていてもよい。例えば、本発明が提供する装置またはチップの固相化物質が固定化された基体部分は、異なる固相化物質が固定化された基体に取り代えることができるように設計されてもよい。
一つの実施態様において、被測定液が接触する前にイオン伝達性化合物が標識された抗体が固相化物質に結合している。他の一つの実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された抗体は、被測定液が接触する前に固相化物質に結合していない。この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体は、被測定液と同時に、または被測定液と予め混合されて、固相化物質に接触させる。
C.固相化抗体及びイオン伝導性物質で標識された物質を用いた液体中の生体物質量の測定方法
本発明は、第三の側面において、被測定液中の生体物質量の測定方法であって、イオン伝導性化合物で標識された物質を結合する固相化抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、固相化抗体より遊離するイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む方法を提供する。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化抗体と接触し、固相化抗体に結合したイオン伝達性化合物で標識された物質を固相化抗体から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された物質は、固相化抗体が認識して結合する部位を含む。この場合、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された物質と競合して固相化抗体と結合する。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された物質における固相化抗体の認識部位は、固相化抗体の作製の際に使用することができる抗原におけるエピトープと全く同じであっても、固相化抗体が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された物質の固相化抗体に認識される部位のアミノ酸配列は、同一であっても、固相化抗体が交差反応性を示す限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、生体物質及びイオン伝達性化合物で標識された物質のうちの少なくとも1つは固相化抗体の抗原であってもよい。また、イオン伝導性化合物で標識された物質は、もしイオン伝導性化合物で標識されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化抗体に結合したイオン伝導性化合物で標識された物質と接触し、イオン伝達性化合物で標識された物質を固相化抗体から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された物質を認識する抗体であり得る。これにより、生体物質が、固相化抗体と競合してイオン伝導性化合物で標識された物質と結合する。
この実施態様において、生体物質が認識するイオン伝達性化合物で標識された物質の部位は、固相化抗体が認識するイオン伝達性化合物で標識された認識部位と全く同じであっても、イオン伝達性化合物で標識された物質が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質が認識するイオン伝達性化合物で標識された物質の部位と固相化抗体が認識するイオン伝達性化合物で標識された認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、両抗体が結合する限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された物質は、固相化抗体及び生体物質のうちの少なくとも1つの抗原であってもよい。また、固相化抗体は、もし固相化されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、固相化抗体は、1価抗体である。
この実施態様では、生体物質もしくはイオン伝導性化合物で標識された物質と固相化抗体が、1対1のみの反応に限定されるため定量性が優れる。
一つの実施態様において、固相化抗体は、モノクローナル抗体である。
この実施態様では、生体物質もしくはイオン伝導性化合物で標識された物質と固相化抗体とのアフィニティのばらつきがなくなるため、定量性が優れる。
一つの実施態様において、電気伝導度の変化量の測定は、交流印加あるいは直流バイアスを加えた交流印加を用いて測定される。
直流印加のみ場合、電気分解による電流(バックグランド)を含むため、SN比はさほどよくならないが、この実施態様では、それを取り除くことができ、SN比を格段に向上できる。
一つの実施態様において、被測定液が接触する前にイオン伝達性化合物が標識された物質が固相化抗体に結合している。他の一つの実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された物質は、被測定液が接触する前に固相化抗体に結合していない。この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された物質は、被測定液と同時に、または被測定液と予め混合されて、固相化抗体に接触させる。
その他、本発明の第三の側面において提供する方法は、本発明の第一の側面が提供するチップ及び装置を参考にして実施できる。
D.固相化物質及びイオン伝導性物質で標識された抗体を用いた液体中の生体物質量の測定方法
本発明は、第四の側面において、被測定液中の生体物質量の測定方法であって、固相化物質に結合したイオン伝導性化合物で標識された抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、固相化物質より遊離するイオン伝導性化合物で標識された抗体のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む方法を提供する。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化物質と接触し、固相化物質に結合したイオン伝達性化合物で標識された抗体を固相化物質から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された抗体のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定されて、さらに、任意に被測定液の温度が測定され被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は抗体であり得、生体物質である抗体及びイオン伝導性化合物で標識された抗体は、固相化物質を認識して結合する。この場合、生体物質である抗体は、イオン伝導性化合物で標識された抗体と競合して固相化物質と結合する。
この実施態様において、生体物質である抗体及びイオン伝導性化合物で標識された抗体が固相化物質を認識する部位は、全く同じであっても、固相化物質に結合できる限り異なっていてもよい。例えば、生体物質である抗体とイオン伝導性化合物で標識された抗体の固相化物質の認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、固相化物質に結合できる限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、固相化物質は生体物質及びイオン伝導性化合物で標識された抗体のうちの少なくとも1つの抗原であってもよい。また、イオン伝導性化合物で標識された抗体は、もしイオン伝導性化合物で標識されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、被測定液中の生体物質は、固相化物質に結合したイオン伝導性化合物で標識された抗体と接触し、イオン伝達性化合物で標識された抗体を固相化物質から遊離させ、遊離したイオン伝達性化合物で標識された物質のイオン伝達性化合物部分が作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、さらに、任意に被測定液の温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される。
この実施態様において、生体物質は、イオン伝導性化合物で標識された抗体に結合する物質であり得、例えばイオン伝導性化合物で標識された抗体の抗原となり得る物質である。これにより、生体物質が、固相化物質と競合してイオン伝導性化合物で標識された抗体と結合する。
この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する生体物質の部位は、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する固相化物質に認識部位と全く同じであっても、イオン伝達性化合物で標識された抗体が結合できる限り異なっていてもよい。例えば、イオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する生体物質の部位とイオン伝達性化合物で標識された抗体が認識する固相化物質の認識部位のアミノ酸配列は、同一であっても、両抗体が結合する限り相違してもよい(例えば、相違は、1残基、2残基、3残基、4残基または5残基である)。
この実施態様において、固相化物質及び生体物質のうちの少なくとも1つは、イオン伝達性化合物で標識された抗体の抗原であってもよい。また、固相化物質は、もし固相化されなければ、生体物質と、物質として同一であっても、相違していてもよい。
一つの実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体は、1価抗体である。
この実施態様では、イオン伝達性化合物で標識された抗体と生体物質及び固相化物質が、1対1のみの反応に限定されるため定量性が優れる。
一つの実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体は、モノクローナル抗体である。
この実施態様では、イオン伝達性化合物で標識された抗体は、生体物質と固相化物質とのアフィニティのばらつきがなくなるため、定量性が優れる。
一つの実施態様において、電気伝導度の変化量の測定は、交流印加あるいは直流バイアスを加えた交流印加を用いて測定される。
直流印加のみ場合、電気分解による電流(バックグランド)を含むため、SN比はさほどよくならないが、この実施態様では、それを取り除くことができ、SN比を格段に向上できる。
一つの実施態様において、被測定液が接触する前にイオン伝達性化合物が標識された抗体が固相化物質に結合している。他の一つの実施態様において、イオン伝導性化合物で標識された抗体は、被測定液が接触する前に固相化物質に結合していない。この実施態様において、イオン伝達性化合物で標識された抗体は、被測定液と同時に、または被測定液と予め混合されて、固相化物質に接触させる。
その他、本発明の第四の側面において提供する方法は、本発明の第二の側面が提供するチップ及び装置を参考にして実施できる。
一つの実施態様として、上記本発明の第一及び第二の側面として提供されるチップ及び装置は、上記本発明の第三及び第四の側面として提供される方法を実施するために用いることができる。
E.炭化水素基を含む薄膜を表面に有する作用極を含む電極、およびイオン伝導性化合物を使用する物質の量の測定方法および測定用装置
本発明は、第五の側面において、被測定液中の物質の質量を測定するために前記物質に標識されるイオン伝導性化合物と、前記イオン伝導性化合物を吸着させる炭化水素基を含む薄膜を表面に形成する作用極を含む電極、前記イオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分が前記作用極に吸着することにより変化する前記薄膜の電気伝導度を検出する伝導度検出部および電気伝導度の変化より被測定液中の物質の質量を算出する物質濃度算出部を備える、物質の濃度の測定装置を提供する。
また、本発明は第六の側面において、被測定液中のイオン伝導性化合物で標識された物質質量の測定方法であって、このイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法を提供する。
これら第五および第六の側面において、電極は、電気化学的反応が起こる極である作用極と電圧をかけるときの基準になる対極から構成され得る。電極は、金、白金、銀等の金属、ITO(酸化インジウムスズ)、SnO、ZnO、TiO等の金属酸化物であり得る。作用極の金属または金属酸化物の表面は、炭化水素基を含む薄膜で覆われていてもよい。薄膜は単分子膜であってもよい。
炭化水素基を含む薄膜は、例えば、スルフィド、ジセレニド、セレニド、チオール、ニトリル、イソニトリル、ニトロ、セレノール、3価リン化合物、イソチオシアネート、キサンテート、チオカルバート、ホスフィン、チオ酸またはジチオ酸等の金属に対する結合性を示す基を末端に有する炭化水素基と金属との反応により、金属に結合され、作製される。
炭化水素基は、直鎖アルキル基、直鎖フルオロアルキル基、シロキサンを含む直鎖アルキル基またはシロキサンを含む直鎖フルオロアルキル基であってもよい(ここで、アルキル基は、飽和アルキル基または不飽和アルキル基である)。これらの基の炭素数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり得、例えば、2、3または4である。これら基の例には、CH3(CH2)n- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CF3(CF2)n-2(CH2)2- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CH3(CH2)n-Si- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、及びCF3(CF2)n-2(CH2)2-Si- (n=2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)が挙げられる。
一つに実施態様として、溶液中の質量を測定する対象である物質をイオン伝導性化合物で標識し、イオン伝導性化合物部分を電極(薄膜を表面に有する作用極)に吸着させてイオンチャンネルを形成させ、溶液中のイオン(例えば、ナトリウムイオン)により変化する薄膜の電気伝導度を検出することにより、物質の質量が測定される。イオン伝導性化合物の例としては、クラウンエーテル基を含む化合物が挙げられ、例えば、
であり得る。
本発明の第五および第六の側面において提供するシステムまたは方法は、本発明の第一〜四の側面を参考にして実施できる。
以下、本発明の例示的な実施態様を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の例示的な実施態様では、同一部材に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
(例示的な実施態様1)
本発明が提供する例示的な一つの生体物質の測定方法は、イオン伝導性化合物で標識された生体物質を、電極上に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させ、前記薄膜の電気伝導度の変化量をもって前記イオン伝導性化合物で標識された生体物質を検出する。この方法は、図1に示すようなメカニズムで実施できる。
電極上に形成した炭化水素基12を有する薄膜11は疎水性のため、イオン1に対し絶縁膜と作用する。しかしイオン伝導性基22で標識された生体物質21が、電極上に形成した炭化水素基12を有する薄膜11に吸着すると、薄膜の炭化水素基12(疎水基)はイオン伝導性基22(親水基)の親和性が異なるため、薄膜の炭化水素基12は、イオン伝導性基以外の方向に配向する。そのため、イオン伝導性基22から炭化水素基12を有する薄膜11を貫通して電極上までイオンチャネル13が形成される。その結果、薄膜11内でイオン1の移動が可能になり、薄膜11の電気伝導度が変化する。そしてその変化量が、薄膜11に吸着したイオン伝導性基22で標識された生体物質21の吸着量に対応するので、薄膜11に吸着したイオン伝導性基22で標識された生体物質21を検出できる。
このとき使用される、薄膜11の原料材料は、電極と結合するものであり得る。例えば電極が金属もしくは金属膜の場合には、S原子を介して炭化水素基12と金属原子結合させるR−SH系材料を用いることができ、電極が金属の自然酸化皮膜を含む酸化膜の場合には、Si原子を介して炭化水素基と結合させるR−SiX系材料を用いることができる。このような構成にすると、化学式1、2の反応により、本発明の性能を発揮する、表面に炭化水素基12が露出する単分子膜が形成される。
また、炭化水素基としては、直鎖状アルキル基もしくはフルオロアルキル基を使用することができる。特にフロオロアルキル基の場合、分子鎖がより剛直となり緻密な膜ができるので、電気伝導度の変化量のSN比がよくなる。
また炭化水素鎖の長さは短いと膜厚が薄くなるので、電気伝導度のブランク値が大きくなる一方、長すぎるとイオンチャンネルがイオン伝導基から電極表面まで貫通しなくなるため、電気伝導度の変化が小さくなり、いずれもSN比が悪くなる。そのため最適な炭化水素鎖の長さがあり、例えば直鎖アルキル基もしくはフルオロアルキル基の場合、C3〜C12であり得る。
また、炭化水素鎖は不飽和結合を持たないほうがよい。これは炭化水素鎖の膜がより緻密になり電気伝導度の変化量のSN比がよくなるためである。
以上のことから、薄膜11の原料材料の例には、電極が金属の場合、
CH3(CH2)n-SH (n=2〜11の整数) (化学式11)
CF3(CF2)n-2(CH22-SH (n=2〜11の整数) (化学式12)
電極が金属の自然酸化皮膜を含む酸化膜の場合には
CH3(CH2)n-SiX3 (n=2〜11の整数,Xはハロゲン原子) (化学式21)
CF3(CF2)n-2(CH22-SiX3 (n=2〜11の整数) (化学式22)
が挙げられる。
なお、電極が金属もしくは金属膜の場合、その金属材料として、金、白金、銀など自然酸化皮膜を形成しにくい材料を使用してもよい。金薄膜を使用すれば、性能とコストが両立される。
また、電極が酸化物もしくは酸化膜の場合、その酸化物材料として、ITOやドープされたSnO2、ZnO、TiO2など透明導電膜などがある。また自然酸化皮膜を有する金属でもよい。例えば、面抵抗が1kΩ/cm以下である自然酸化皮膜を有する金属を用いることができる。
つぎにイオン伝導性化合物としては、神経シプナスにおけるアセチルコリンレセプターのようにイオンチャンネルを形成するイオノファアを有するものを使用することができ、例えば天然物ではバリノマイシンやナイジェリシンなどがある。これらがイオン伝導性基として修飾可能であれば、利用可能である。また合成品であるイオン伝導性基としては、環状構造であり、その内向けの極性が大きく、外向けの極性が小さい配向構造をもつ基を用いることができる。疎水性の環状構造外向けの部分に疎水性の炭化水素基を疎水結合により引き寄せることによって炭化水素基を含む薄膜を貫通させ、電極上までチャネルが形成されるとともに、環状構造内側の部分によって、チャネル部分にイオンが導入されやすくなる。その結果、前記薄膜の電気伝導度の変化をもってイオン伝導基で標識した生体物質を検出できる。このような構造を持つものとして、図1の22に示したクラウンエーテル構造がある。クラウンエーテルの環外部で炭化水素鎖を引き寄せ、薄膜にイオンチャネルを形成する。そしてクラウンエーテル環内部から生体液に含まれるナトリウムイオン等をイオンチャネルに導入させ、電気伝導度の変化を起こさせることで、イオン伝導基で標識した生体物質を検出することができる。
したがってクラウンエーテルとしては、ナトリウムイオンを透過させることができるものであり、図1の22に示したアミノベンジル−15−クラウン−5残基もしくはこれ以上の大きさの環状構造がよい。また、−O−基のかわりに−NH−基や−S−基の含むクラウンエーテルでもかまわない。
(例示的な実施態様2)
本発明が提供する例示的な一つの生体物質(抗原)の測定方法は、固相化抗体と、この固相化抗体に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性化合物で標識した標識抗原とを有し、被測定液中の生体物質(抗原)との接触により、生体物質(抗原)と標識抗原の置換反応により遊離する標識抗原を、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させ、前記薄膜の電気伝導度の変化をもってイオン伝導化合物で標識した標識抗原を検出する。この方法は、図2に示すようなメカニズムで実施できる。
固相化抗体130上に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性基122で標識した標識抗原121(固相化抗体130に対し生体物質(抗原)120と同等の結合力を持つ抗原部123を有する)(標識抗原固相化抗体結合体131)に、生体物質(抗原)120を接触させると、分子量の大きなイオン伝導性基で標識した標識抗原121は生体物質(抗原)120と置換し、遊離する。この遊離したイオン伝導性基122で標識された抗原121が、電極上に形成した炭化水素基112を有する薄膜111に吸着すると、薄膜の炭化水素基112(疎水基)はイオン伝導性基122(親水基)の親和性が異なるため、薄膜の炭化水素基112は、イオン伝導性基以外の方向に配向する。そのため、イオン伝導性基122から炭化水素基112を有する薄膜111を貫通して電極上までイオンチャネル113が形成される。その結果、薄膜111内でイオン101の移動が可能になり、薄膜111の電気伝導度が変化する。そしてその変化量が、薄膜111に吸着したイオン伝導性基122で標識された抗原121の吸着量に対応するので、薄膜111に吸着したイオン伝導性基122で標識された抗原121を検出できる。すなわち置換された生体物質(抗原)120を検出できる。
このとき使用される薄膜11の原料材料、電極、イオン伝導性基ついては、例示的な実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、このとき使用される抗原120とは、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質である。その1つの例として卵巣ホルモンの1つエストラジオール120Aがあり、これに上記イオン伝導性基122の原料となる122Aを導入した標識抗原121Aを図3に示す。
また、このとき使用される固相化抗体131は図4に示すように、一例131Aとして次のように合成される。
一般的に抗体130は、2本の長いH鎖130Hと2本の短いL鎖130Lの4本のタンパク鎖がジスルフィド結合130Sでつながれた4量体である。図はその構造を模式化したものであり、H鎖130H、L鎖130Lがジスルファイド結合130Sで結合した平行鎖部分が、さらに立体構造をとって、例えば標識抗原121Aに対し抗原抗体反応の特異的認識結合を行う。従って、抗体は必然的に2価であり、2個の抗原と結合することができる。
次に固相基体132の一例として選んだポリスチレンビーズ132Aはハイドロカーボンの主鎖にフェニル基の側鎖が結合した分子構造を有する。このポリスチレンに臭素分子を作用させると、フェニル基の水素が臭素原子と置換した臭素化ポリスチレン132Bが得られる。そしてこの臭素化ポリスチレンは活性であって、抗体などのタンパクと反応してフェニル基を介した架橋結合ができることで、固相化抗体131Aが得られる。
なお例示の方法以外にも、固相化の方法は多種類あり、また、その形状もビーズ以外に多種類のものが知られる。固相化の方法は例示の方法に限定されない。
ところでこの2価抗体130は、その対称性から等価で、等しい抗原120との結合力を有するはずであるが、どちらか一方が抗原120と結合した場合、もう一方の結合部位は、すでに結合している抗原に邪魔されて(立体障害)結合しにくくなる。すなわち、一つ目の抗原と二つ目の抗原では結合する力が異なるのである。本実施形態では、固相化抗体上での標識抗原と、被測定物である抗原の置換反応について述べたが、2価抗体を使用する限り、一つ目と二つ目では置換確率が等しくならならない。そのため、濃度変化がリニアにならず、電気伝導度の変化に誤差を生じる。これは、1価抗体の使用により改善される。
なお、1価抗体135は、図5の例に示すように、2価抗体130にブタのペプシンなどのプロテアーゼを作用させて、抗原抗体反応に関与しないH鎖の一部分を切除し、さらに2−メルカプトエチルアミンなどの還元剤を作用させて、ジサルファイド結合を開列させて得ることができる。また、このようにしてできた1価抗体135は抗原抗体反応に関与しないチオール基が露出することになり、このチオール基を2価架橋剤で架橋して固相化抗体を得る方法は、ヒンジ法と呼ばれ、抗体の力価の減少の無い固相化方法として、本発明にも有用である。
また、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウシなどの実験動物に抗原を感作させることにより、抗原に対応する多種類の抗体が血漿中に生産される。実験動物の体内では、抗体を生産する免疫細胞は、1細胞1抗体であって、多数の免疫細胞が同一の抗原に対する、別の抗体を生産することにより抗体の多様性ができる。このような抗体はポリクローナル抗体と呼ばれる。これに対し、一つの免疫細胞のみを取り出し、骨髄腫細胞との細胞融合などで不死化(あるいは幼若化)した細胞は、ただ1種の抗体を作る。この抗体は、モノクローナル抗体と呼ばれる。
ポリクローナル抗体は、同一抗原内の、別個の認識位置を認識して結合する多数の抗体の混合物であり、そのために抗原と結合する力が抗体間で異なる。また、その組成は、製作の度に異なり一定ではない。抗体としてポリクローナル抗体を用いる場合、モノクローナル抗体を用いる場合に比較し、一般的に、被測定物の抗原濃度と測定結果(電気伝導度)の直線性が良好でなく、誤差を生じ得、再現性が良くない。これに対し、モノクローナル抗体を使用する場合、均一な抗体であるために、被測定物の抗原濃度と測定結果(電気伝導度)の直線性が良好で、誤差を生じにくく、再現性が良好である。
(例示的な実施態様3)
本発明が提供する例示的な一つの抗原の測定方法は、固相化抗原と、この固相化抗原に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性基で標識した標識抗体とを有し、被測定液中の抗体との接触により、抗原と標識抗原の置換反応により遊離する標識抗原を、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させ、前記薄膜の電気伝導度の変化をもってイオン伝導基で標識した標識抗体を検出する。この方法は、図6に示すようなメカニズムで実施できる。
固相化抗原220上に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性基232で標識した標識抗体231(固相化抗原220に対し抗体230と同等の結合力を持つ抗体部233を有する)(標識抗体固相化抗原結合体221)に、抗体230を接触させると、分子量の大きなイオン伝導性基で標識した標識抗体231は抗体230と置換し、遊離する。この遊離したイオン伝導性基232で標識された抗体231が、電極上に形成した炭化水素基212を有する薄膜211に吸着すると、薄膜の炭化水素基212(疎水基)はイオン伝導性基232(親水基)の親和性が異なるため、薄膜の炭化水素基212は、イオン伝導性基以外の方向に配向する。そのため、イオン伝導性基232から炭化水素基212を有する薄膜211を貫通して電極上までイオンチャネル213が形成される。その結果、薄膜211内でイオン201の移動が可能になり、薄膜211の電気伝導度が変化する。そしてその変化量が、薄膜211に吸着したイオン伝導性基232で標識された抗原231の吸着量に対応するので、薄膜211に吸着したイオン伝導性基232で標識された抗原231を検出できる。すなわち置換された抗原230を検出できる。
なお、このとき使用される薄膜11の原料材料、電極、イオン伝導性基ついては、例示的な実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、このとき使用される固相化抗原221は図7に示すように、一例221Aとして次のように合成される。
抗原220は、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質である。その1つの例として卵巣ホルモンの1つエストラジオール220Aがある。
次に基体222の一例として選んだポリスチレンビーズ222Aはハイドロカーボンの主鎖にフェニル基の側鎖が結合した分子構造を有する。このポリスチレンにアミノ基を導入して、アミノ化ポリスチレン221Bが得られる。
そしてこのアミノ化ポリスチレンを架橋剤を介して、エストラジオールと結合させて、固相化抗原221Aが得られる。
また、他の一つの固相化抗原の作成方法としては、ポリスチレンに臭素分子を作用させ、フェニル基の水素が臭素原子と置換した臭素化ポリスチレンを調製し、そしてこの臭素化ポリスチレンを、抗体などのタンパクと反応させて、フェニル基を介した架橋結合を形成させ、固相化抗原を得る方法がある。
なお例示の方法以外にも、固相化の方法は多種類あり、また、その形状もビーズ以外に多種類のものが知られる。固相化の方法は、例示の方法に限定されない。
一般的に抗体230は、2本の長いH鎖230Hと2本の短いL鎖230Lの4本のタンパク鎖がジスルフィド結合230Sでつながれた4量体である。図はその構造を模式化したものであり、H鎖230H、L鎖230Lがジスルフィド結合230Sで結合した平行鎖部分が、さらに立体構造をとって、例えば固相化抗原220Aに対し抗原抗体反応の特異的認識結合を行う。従って、抗体は必然的に2価であり、2個の抗原と結合することができる。そして、これに上記イオン伝導性基232の原料となる232Aを導入した標識抗体231Aを図8に示す。
なお、このとき使用される1価抗体、モノクローナル抗体ついては、例示的な実施の形態2で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(例示的な実施態様4)
本発明が提供する例示的な一つの抗原の測定装置は、固相化抗体と、この固相化抗体に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性物質で標識した標識抗原と、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜と、その対極と、被測定液の温度の測定部を有し、被測定液中の抗原との接触により、抗原と標識抗原の置換反応により遊離する標識抗原を、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させ、前記薄膜の電気伝導度の変化と被測定液の温度を測定する抗原の測定用チップと、測定用チップの電極と対極、さらに電極の温度の検知部と接続し、前記薄膜の電気伝導度の変化と温度補正をもってイオン伝導性標識抗原を検出し、抗原を測定する演算装置からなる。この装置は図9の構成で実施できる。この実施態様において、測定時に温度が一定の場合(例えば、25℃で一定の場合)には、温度補正を行わなくてもよく、図9の構成のうち、被測定液の温度の測定部359および電極の温度の検知部362は存在しなくてもよい。温度が一定の場合の例としては、測定液を生体から採取して十分に室温に戻してから、本実施態様の測定装置で測定する場合、および室温測定液を生体から採取してそのまま直ぐに使用し、測定液の温度が本実施態様の測定装置で測定中、約37℃で一定である場合が挙げられる。
測定用チップ350は、基板351上に、作用極352用電極膜を形成し、その上に管壁353形成して、給液部354と毛細管吸液部355を設ける。さらに作用極352用電極膜上に、炭化水素基を含む薄膜112を形成する。さらに配線部356を設けた後、毛細管給液部355まで充填するように標識抗原固相化抗体充填部357に標識抗原固相化抗体結合体131を充填し、こののち、毛細管給液部355に充填しないように対極358と、被測定液の温度を測定する場合は液温検出部359とを設置する。そして最後に、少なくとも毛細管吸液部355、作用極352、対極358、固相化抗体部357、被測定液の温度を測定する場合は液温検出部359を毛細管給液部355に充填しないように被覆するようにフィルムをラミネートする。このようにして測定用チップ350が作製される。
次に動作を説明する。測定チップ350の給液部354に抗原120を含む被測定液を供給すると、被測定液が毛細管現象により毛細管吸液部355に取り込まれ、固相化抗体充填部357に到達すると、被溶液中の抗原120は固相化抗体130上に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性基122で標識した標識抗原121と置換し、標識抗原121が遊離する。さらに被測定液が毛細管現象により毛細管吸液部355に取り込まれると、被測定液の温度を測定する場合は液温測定部359で被測定液の液温が測定され、演算装置内の温度検知部362で検知される。さらに作用極352上では、遊離した標識抗原121が電極上に形成した炭化水素基112を有する薄膜111に吸着すると、薄膜の炭化水素基112(疎水基)はイオン伝導性基122(親水基)の親和性が異なるため、薄膜の炭化水素基112は、イオン伝導性基以外の方向に配向する。そのため、イオン伝導性基122から炭化水素基112を有する薄膜111を貫通して電極上までイオンチャネル113が形成される。その結果、薄膜111内でイオン101の移動が可能になり、対極358に対する作用極352の電気伝導度の変化が起こり、演算装置内の伝導度検知部361で検知される。そしてこの電気伝導度変化量が、薄膜111に吸着したイオン伝導性基122で標識された抗体121の吸着量に対応するので、抗原濃度算出部363で、必要があれば温度検知部362のデータによる補正も行なって、抗原120を正確に検知できる。
(例示的な実施態様5)
本発明が提供する例示的な一つの抗体の測定装置は、固相化抗原と、この固相化抗原に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性物質で標識した標識抗体と、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜と、その対極と、前記電極の温度の検知部を有し、被測定液中の抗体との接触により、抗体と標識抗体の置換反応により遊離する標識抗体を、電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させ、前記薄膜の電気伝導度と温度を測定する抗体の測定用チップと、測定用チップの電極と対極、さらに電極の温度の検知部と接続し、前記薄膜の電気伝導度の変化と温度補正をもってイオン伝導性標識抗体を検出する。この装置は図10のメカニズムで実施できる。この実施態様において、測定時に温度が一定の場合(例えば、25℃で一定の場合)には、温度補正を行わなくてもよく、図10の構成のうち、被測定液の温度の測定部459および電極の温度の検知部462は存在しなくてもよい。温度が一定の場合の例としては、測定液を生体から採取して十分に室温に戻してから、本実施態様の測定装置で測定する場合、および室温測定液を生体から採取してそのまま直ぐに使用し、測定液の温度が本実施態様の測定装置で測定中、約37℃で一定である場合が挙げられる。
測定用チップ450は、基板451上に、作用極452用電極膜を形成し、その上に管壁453形成して、給液部454と毛細管吸液部455を設ける。さらに作用極452用電極膜上に、炭化水素基を含む薄膜212を形成する。さらに配線部456を設けた後、毛細管給液部455まで充填するように標識抗体固相化抗原結合体充填部457に標識抗体固相化抗原結合体221を充填し、こののち、毛細管給液部455に充填しないように対極458と、被測定液の温度を測定する場合は液温検出部459とを設置する。そして最後に、少なくとも毛細管吸液部455、作用極452、対極458、固相化抗原部457、被測定液の温度を測定する場合は液温検出部459を毛細管給液部455に充填しないように被覆するようにフィルムをラミネートする。このようにして測定用チップ450が作製される。
次に動作を説明する。測定チップ450の給液部454に抗体230を含む被測定液を供給すると、被測定液が毛細管現象により毛細管吸液部455に取り込まれ、固相化抗原充填部457に到達すると、被溶液中の抗体230は固相化抗原220上に抗原抗体反応により結合したイオン伝導性基232で標識した標識抗体231と置換し、標識抗体231が遊離する。さらに被測定液が毛細管現象により毛細管吸液部455に取り込まれると、、被測定液の温度を測定する場合は液温測定部459で被測定液の液温が測定され、演算装置内の温度検知部462で検知される。さらに作用極452上では、遊離した標識抗体231が電極上に形成した炭化水素基212を有する薄膜211に吸着すると、薄膜の炭化水素基212(疎水基)はイオン伝導性基232(親水基)の親和性が異なるため、薄膜の炭化水素基212は、イオン伝導性基以外の方向に配向する。そのため、イオン伝導性基232から炭化水素基212を有する薄膜211を貫通して電極上までイオンチャネル213が形成される。その結果、薄膜211内でイオン201の移動が可能になり、対極457に対する作用極452の電気伝導度の変化が起こり、演算装置内の伝導度検知部461で検知される。そしてこの電気伝導度変化量が、薄膜211に吸着したイオン伝導性基232で標識された抗体231の吸着量に対応するので、抗体濃度算出部463で、必要があれば温度検知部462のデータによる補正も行なって、抗体230を正確に検知できる。
本発明が提供する更なる非限定的な実施態様には以下(1)〜(18)が含まれる。
(1)被測定液中に存在する生体物質の量の測定用チップであって、
固相化抗体、及びイオン伝導性化合物で標識された物質であって前記固相化抗体に結合した物質、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する、チップ。
(2)被測定液中に存在する生体物質の量の測定用チップであって、
固相化物質、イオン伝導性化合物で標識された抗体であって固相化物質に結合した抗体、並びに、作用極及び対極を含む電極を含むチップを含み、
前記作用極が、炭化水素基を含む薄膜を表面に有する、チップ。
(3)さらに、被測定液の温度の測定部を含む、(1)または(2)に記載のチップ。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のチップを含む、被測定液中に存在する生体物質の量を測定する装置。
(5)被測定液中の生体物質量の測定方法であって、イオン伝導性化合物で標識された物質を結合する固相化抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された物質の置換反応により遊離するイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
(6)被測定液中の生体物質量の測定方法であって、固相化物質に結合したイオン伝導性化合物で標識された抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された抗体の置換反応により遊離するイオン伝導性化合物で標識された抗体のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
(7)被測定液中に存在する生体物質により、イオン伝導性化合物で標識された物質が固相化抗体から遊離し、
遊離したイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分が、作用極表面に形成された薄膜に吸着し、
イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、任意に温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される、(1)または(3)に記載のチップ、(4)に記載の装置、または(5)に記載の方法。
(8)被測定液中に存在する生体物質により、イオン伝導性化合物で標識された抗体が固相化物質から遊離し、
遊離したイオン伝導性化合物で標識された抗体のイオン伝導性化合物部分が、作用極表面に形成された薄膜に吸着し、
イオン伝導性物質部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定され、任意に温度が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される、(2)または(3)に記載のチップ、(4)に記載の装置、または(6)に記載の方法。
(9)固相化抗体またはイオン伝導性化合物で標識された抗体が1価抗体である、(1)〜(8)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(10)固相化抗体またはイオン伝導性化合物で標識された抗体がモノクローナル抗体である、(9)に記載のチップ、装置または方法。
(11)被測定液中の物質(例えば、生体物質)の質量を測定するために前記物質に標識されるイオン伝導性化合物と、前記イオン伝導性化合物を吸着させる炭化水素基を含む薄膜を表面に形成する作用極を含む電極、前記イオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分が前記作用極に吸着することにより変化する前記薄膜の電気伝導度を検出する伝導度検出部および電気伝導度の変化より被測定液中の物質の質量を算出する物質濃度算出部を備える、物質の濃度の測定装置。
(12)被測定液中のイオン伝導性化合物で標識された物質(例えば、生体物質)の質量の測定方法であって、このイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭化水素基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
(13)炭化水素基が、直鎖アルキル基、直鎖フルオロアルキル基、シロキサンを含む直鎖アルキル基またはシロキサンを含む直鎖フルオロアルキル基であり、好ましくは、これらの基の炭素数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である(例えば、CH3(CH2)n- (n=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CF3(CF2)n-2(CH2)2- (n=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、CH3(CH2)n-Si- (n=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11)、またはCF3(CF2)n-2(CH2)2-Si- (n=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11))である、(1)〜(12)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(14)炭素数が1〜8、好ましくは2、3または4、より好ましくは4である、(13)に記載のチップ、装置または方法。
(15)薄膜が単分子膜である、(1)〜(14)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(16)イオン伝導性化合物が、イオン伝導性基を含み、イオン伝導性基が環状構造であり、その内向けの極性が大きく、外向けの極性が小さい配向構造をもつ基(例えば、クラウンエーテル構造(例えば、(-CH2-CH2-O-)nで表される式においてnが5以上である構造)を有する基)である、(1)〜(15)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(17)イオン伝導性化合物が、イオン伝導性基を含み、前記イオン伝導性基の環状構造がナトリウムイオンの包接が可能である大きさ以上である、(1)〜(16)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(18)イオン伝導性化合物が、アミノベンジル−15−クラウン−5残基を含む化合物(例えば、15−クラウン−5残基を有するエストラジオールである(例えば、図3の標識抗原121Aの化合物である))である、(1)〜(17)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(19)電気伝導度の変化量が、交流印加あるいは直流バイアスを加えた交流印加により測定される、(1)〜(18)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(20)生体物質が、エストラジオールである、(1)〜(19)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
(21)固相化物質が、ポリスチレンを含む支持体に架橋剤を介して結合したエストラジオールである(例えば、図7のように、ジスクシニルジスルフィドを架橋剤として用いてポリスチレンビーズに固相化したエストラジオールである)、(2)〜(4)、(6)〜(10)および(13)〜(20)のいずれかに記載のチップ、装置または方法。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
本発明が提供する上記例示的な実施態様4における、図9に示す抗体の測定装置の測定用チップを以下の方法で製作した。
ガラス基板351上に、作用極352として金電極膜100nmを形成し、その上にエポキシ樹脂を印刷、硬化して管壁353を厚み50μm形成して、給液部354と断面が2mm×50μm、作用極352と液との接触長が10mmの毛細管吸液部355を設ける。さらに作用極351用電極膜上に、1vol%C4H9SH/CH3CH2OH液を塗布、乾燥することで、化学式1に示したように炭化水素基C4H9を有する薄膜112を形成する。さらに導電ペーストを印刷、乾燥することにより配線部356を設けた後、毛細管給液部355まで充填するように固相化抗体充填部357に標識エストラジオール抗体/ポリスチレンビーズ固相化抗体結合体131Aを充填し、こののち、毛細管給液部355に充填しないように対極358として作用極とほぼ同面積になるようグラファイトシートと液温検出部359として温度ICチップを設置する。そして最後に、少なくとも毛細管吸液部355、作用極352、対極358、固相化抗体部357、液温検出部359を毛細管給液部355に充填しないように被覆するようにエポキシ系紫外線樹脂を塗布し光硬化する。このようにして測定用チップ350が作製される。
このチップの作用極352と対極358が接続された配線部に電気伝導度計を、液温検出部359の温度ICチップが接続された配線部に温度ICチップ用温度表示回路を接続し、給液部354に、エストラジオール抗原濃度が40〜400000ng/mLの被測定液を供給し、60Hz−0.6Vの交流を印加し、電気伝導度を測定した。図11に結果を示す。また、この時の被測定液の温度は25℃だったので、温度ICチップ用温度表示回路の表示を25℃になるように補正した。
(濃度と電気伝導度の関係)
図11にエストラジオール抗原の濃度Cに対する電気伝導度の変化を示す。抗原抗体反応により、抗原が標識抗原に完全に置換するので、標識抗原の濃度はCとなる。このときの電気伝導度σは、吸着している標識抗原の被覆率θに比例すると考えられるので、
σ= K1・θ (式1)
K1:応答定数
この吸着が、Langmuir等温吸着型に従うとすると、脱離平衡時(脱離速度=吸着速度)では
kd ・θS= ka・(1-θ) S・C (式2)
θ:吸着標識抗原の被覆率、S:吸着面積,C:遊離標識抗原の濃度
kd:脱離速度定数,ka:吸着速度定数
したがって吸着標識抗原の被覆率θは
θ=1/(1+K2/C) (式3)
K2=Kd/Ka (式4)
K2:脱離平衡定数
したがって電気伝導度は式1と2から
σ= K1・θ=K1/(1+K2/C) (式5)
逆数をとると
1/σ=1/K1+(K2/K1)/C (式6)
そして1/σ と1/Cとして、図11を変換すると、図12のように直線関係になることがわかる。したがって、標識抗原は濃度に応じてLangmuir等温吸着し、それによりイオンチャンネルが形成され膜内にイオンの通過がおこり、電気伝導度の変化、つまり電気応答がおこることが実証できた。
(温度と電気伝導度の関係)
次にエストラジオール抗原濃度が800ng/mL温度を25〜45℃の被測定液で供給し、電気伝導度を測定した。図13に結果を示す。式5から
K2=(K1/σ−1)/C (式7)
一方K2は絶対温度Tとは
lnK2=−△G/RT (式8)
△G:脱離平衡反応の自由エネルギー変化
の関係があるので、式7と8より
ln(1/σ)=−△G/RT+K3 (式9)
K3=lnC−lnK1 (式10)
となる。
そして、ln(1/σ)と1/Tとして、図13を変換すると図14となり直線関係になることがわかる。
以上のことから、未知濃度、さまざまな温度のエストラジオール抗原被測定液を供給することで、エストラジオールの濃度を測定できる。
(比較例1)
次に実施例1の作用極351用電極膜上に、1vol%C4H9SH/CH3CH2OH液を塗布、乾燥することで、化学式1に示したように炭化水素基C4H9を有する薄膜112を形成する代わりに、フォスファチジルコリン/トルエン溶液を塗布、乾燥することで、リン皮質2重膜を形成し、実施例1と同様にストラジオール抗原濃度がmol/Lの被測定液を供給し、電気伝導度を測定した。図15に結果を示す。そして1/σ と1/Cとして、図15を変換すると、図16のように直線関係になることがわかる。したがって、標識抗原は濃度に応じてLangmuir等温吸着し、それによりイオンチャンネルが形成され膜内にイオンの通過がおこり、電気伝導度の変化、つまり電気応答がおこることが実証できた。しかしながら、
得られた直線関係の式と式6の比較において、実施例1の場合、応答定数K1は2.45E-05(S)に対し、比較例1の場合、応答定数K1は4.93E-08(S)と3桁も小さい。
また、式5を微分すると
dσ/dc=K1/K2 (式11)
となり、単位濃度あたりの電気導電度の変化、つまり濃度応答定数となり、式6の比較において実施例1の場合、濃度応答定数K1/K2は1.16E-7(SmL/mg)、比較例1の場合、濃度応答定数K1/K2は8.13E-11(SmL/mg)と3桁も小さい。
また、計測される電気伝導度の値が実施例1に比べ極めて小さいので安定した測定も困難で誤差が生じやすい。
これはリン皮質2重膜が膜厚が厚いため、標識抗原により電極付近まで十分なイオンチャネルが形成されないためと考えられる。
したがって、実施例1の方法が優れていることがわかる。
(実施例2)
次に実施例1の作用極351用電極膜上に、1vol%C4H9SH/CH3CH2OH液を塗布、乾燥することで、化学式1に示したように炭化水素基C4H9を有する薄膜112を形成する代わりにし、1vol%C6F13CH2CH2SH/CH3CH2OH液を塗布、乾燥することで、化学式1に示したように炭化水素基C2F5CH2CH2を有する薄膜を形成する実施例1と同様にストラジオール抗原濃度が800ng/mLの被測定液を供給し、電気伝導度を測定した。図17に結果を示す。そして1/σ と1/Cとして、図17を変換すると、図18のように直線関係になることがわかる。したがって、標識抗原は濃度に応じてLangmuir等温吸着し、それによりイオンチャンネルが形成され膜内にイオンの通過がおこり、電気伝導度の変化、つまり電気応答がおこることが実証できた。さらに
得られた直線関係の式と式6の比較において、実施例1の場合、応答定数K1は2.45E-05(S)に対し、実施例2の場合、応答定数K1は4.50E-05(S)と大きい。
また、式11と式6の比較において、実施例1の場合、濃度応答定数K1/K2は1.16E-7、(SmL/mg)、実施例2の場合は濃度応答定数K1/K2は1.98E-07(SmL/mg)と大きい。
これは薄膜表面にフルオロアルキル基が露出しているので、標識抗原に被覆されていない部分がより撥水性が大きいため、親水性のイオンチャネルにNaイオンが集まりやいためと考えられる。
したがって、実施例2の方法が優れていることがわかる。
(実施例3)
次に実施例1の作用極351用電極膜上に、1vol%CnH2n+1SH/CH3CH2OH(n=2,4,8,12,16)液を塗布、乾燥することで、化学式1に示したように炭化水素基CnHn2n+1を有する薄膜112を形成し、実施例1と同様にストラジオール抗原濃度が800ng/mLの被測定液を供給し、電気伝導度を測定した。図19に結果を示す。そして1/σ と1/Cとして、図19を変換すると、図20のように直線関係になることがわかる。したがって、標識抗原は濃度に応じてLangmuir等温吸着し、それによりイオンチャンネルが形成され膜内にイオンの通過がおこり、電気伝導度の変化、つまり電気応答がおこることが実証できた。
ここで、実施例1のn=4と比べ、n=2ではほぼ同じ挙動とるが、高濃度域では吸着量が多くなるため、薄膜のイオンチャネルが破壊され電気伝導度が大きくなると推定される。また、n=12を超えると電気伝導度が小さくなり、ほぼ応答がなくなる。これは比較例1のリン皮質2重膜と同じく、膜厚が厚くなるためと考えられる。したがって膜厚はC12以下であり得、例えばC4であり得る。
(実施例4)
次に実施例1の作用極をITO膜とし、作用極351用電極膜上に、1vol%C4H9SiCl3/C8H18液を塗布、乾燥し、化学式2に示したように炭化水素基C4H9を有する単分子膜112を形成し、実施例1と同様にエストラジオール抗原濃度が800ng/mLの被測定液を供給し、電気伝導度を測定した。図19に結果を示す。そして1/σ と1/Cとして、図17を変換すると、図18のように直線関係になることがわかる。したがって、標識抗原は濃度に応じてLangmuir等温吸着し、それによりイオンチャンネルが形成され膜内にイオンの通過がおこり、電気伝導度の変化、つまり電気応答がおこることが実証できた。さらに
得られた直線関係の式と式6の比較において、実施例1の場合、応答定数K1は2.45E-05(S)に対し、実施例4の場合、応答定数K1は1.14E-05(S)とやや小さい。
また、式11と式6の比較において、実施例1の場合、濃度応答定数K1/K2は1.16E-7(SmL/mg)、実施例4の場合、濃度応答定数K1/K2は7.35E-08(SmL/mg)とやや小さい。
一方被測定液に6時間浸漬した後、再度測定を行なうと、実施例1の場合、変動したに対し、実施例4の場合は変動が起きなかった。
これは薄膜と基板界面に共有結合性の絶縁性のシロキサン基があるためである、標識抗原に被覆されていない部分がより撥水性が大きいため、親水性のイオンチャネルにNaイオンが集まりやいためと考えられる。
したがって、実施例4の方法は耐久性、測定安定性に優れることがわかる。
本発明が提供する生体物質の測定方法およびその測定装置によれば、イオン伝導性化合物で標識された生体物質が、電極上に形成した炭化水素基を有する薄膜に吸着することで、イオン伝導性基から炭化水素基を有する薄膜を貫通して電極上までイオンチャネルが形成される。また、炭化水素基を有する薄膜の経年劣化が抑制される。そのため、さらに電気応答性、信頼性が格段に向上した生体物質の測定法、測定用チップ、測定装置を提供できる。
1 Naイオン
101 Naイオン
201 Naイオン
11 炭化水素基を有する薄膜
111 炭化水素基を有する薄膜
211 炭化水素基を有する薄膜
12 炭化水素基
112 炭化水素基
211 炭化水素基
13 イオンチャネル
113 イオンチャネル
213 イオンチャネル
21 イオン伝導性基を有する生体物質
22 イオン伝導性基
122 イオン伝導性基
232 イオン伝導性基
120 抗原
120A エストラジオール抗原
220A エストラジオール抗原
121 標識抗原
121A 標識抗原
122A イオン伝導性基の原料
232A イオン伝導性基の原料
123 抗原部
223 抗原部
130 固相化抗体
131 標識抗原固相化抗体結合体
132 基体
222 基体
132A ポリスチレンビーズ
223A ポリスチレンビーズ
132B 臭素化ポリスチレン
223B アミノ化ポリスチレン
133 抗体部
233 抗体部
130H H鎖
230H H鎖
130L L鎖
230L L鎖
130S ジスルフィド結合
230S ジスルフィド結合
135 抗体(1価)
220 固相化抗原
221 標識抗体固相化抗原結合体
221A 固相化抗原
230 抗体
231 標識抗体
231A 標識抗体
350 測定用チップ
450 測定用チップ
351 基板
451 基板
352 作用極
452 作用極
353 管壁
453 管壁
354 給液部
454 給液部
355 毛細管吸液部
455 毛細管吸液部
356 配線部
456 配線部
357 標識抗原固相化抗体結合体充填部
457 標識抗体固相化抗原結合体充填部
458 対極
360 演算装置
460 演算装置
361 伝導部検出部
461 伝導部検出部
362 温度検出部
462 温度検出部
363 抗原濃度算出部
463 抗体濃度検出部

Claims (20)

  1. 被測定液中に存在する生体物質の量の測定用チップであって、固相化抗体、及びイオン伝導性化合物で標識された物質であって前記固相化抗体に結合した物質、並びに、作用極及び対極を含む電極を含み、
    前記作用極が、炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜を表面に有する、チップ。
  2. 被測定液中に存在する生体物質の量の測定用チップであって、
    固相化物質、イオン伝導性化合物で標識された抗体であって固相化物質に結合した抗体、並びに、作用極及び対極を含む電極を含むチップを含み、
    前記作用極が、炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜を表面に有する、チップ。
  3. 作用極が、炭素数8以上12以下であるフルオロアルキル基を含む薄膜を表面に有する、請求項1または2に記載のチップ。
  4. 薄膜が、CF3(CF2)n-2(CH2)2-SiX3(式中、nは7〜11の整数であり、Xはハロゲン原子である)を電極に結合させて形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のチップ。
  5. 被測定液中に存在する生体物質により、イオン伝導性化合物で標識された物質が固相化抗体から遊離し、遊離したイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分が、作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性化合物部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される、請求項1に記載のチップ。
  6. 被測定液中に存在する生体物質により、イオン伝導性化合物で標識された抗体が固相化物質から遊離し、遊離したイオン伝導性化合物で標識された抗体のイオン伝導性化合物部分が、作用極表面に形成された薄膜に吸着し、イオン伝導性物質部分の吸着により惹起された薄膜の電気伝導度の変化の量が測定されて被測定液中の生体物質量が決定される、請求項2に記載のチップ。
  7. 電気伝導度の変化量が、交流印可あるいは直流バイアスを加えた交流印可により測定される、請求項5または6に記載のチップ。
  8. 固相化抗体またはイオン伝導性化合物で標識された抗体が1価抗体である、請求項1〜7のいずれかに記載のチップ。
  9. 固相化抗体またはイオン伝導性化合物で標識された抗体がモノクローナル抗体である、請求項8記載のチップ。
  10. 薄膜が単分子膜である、請求項1〜9のいずれかに記載のチップ。
  11. イオン伝導性化合物が、クラウンエーテル構造を有する化合物である、請求項1〜10のいずれかに記載のチップ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のチップを供えた被測定液体中の生体物質の量を測定する装置。
  13. 被測定液中の物質の質量を測定するために前記物質に標識されるイオン伝導性化合物と、前記イオン伝導性化合物を吸着させる炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜を表面に形成する作用極を含む電極、前記イオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分が前記作用極に吸着することにより変化する前記薄膜の電気伝導度を検出する伝導度検出部および電気伝導度の変化より被測定液中の物質の質量を算出する物質濃度算出部を備える、物質の濃度の測定装置。
  14. 被測定液中のイオン伝導性化合物で標識された物質質量の測定方法であって、このイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
  15. 被測定液中の生体物質量の測定方法であって、イオン伝導性化合物で標識された物質を結合する固相化抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された物質の置換反応により遊離するイオン伝導性化合物で標識された物質のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
  16. 被測定液中の生体物質量の測定方法であって、固相化物質に結合したイオン伝導性化合物で標識された抗体を被測定液中の生体物質と接触させること、生体物質とイオン伝導性化合物で標識された抗体の置換反応により遊離するイオン伝導性化合物で標識された抗体のイオン伝導性化合物部分を電極表面に形成した炭素数が3以上12以下のフルオロアルキル基を含む薄膜に吸着させること、及び前記薄膜の電気伝導度の変化を測定することを含む、方法。
  17. 薄膜が、CF3(CF2)n-2(CH2)2-SiX3(式中、nは2〜11の整数であり、Xはハロゲン原子である)を電極に結合させて形成される、請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 薄膜が、CF3(CF2)n-2(CH2)2-SiX3(式中、nは2〜11の整数であり、Xはハロゲン原子である)を電極に結合させて形成される、請求項13に記載の装置。
  19. 電極が、導電性酸化膜である、請求項12または18に記載の装置。
  20. 電極が、導電性酸化膜である、請求項17に記載の方法。
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