JP6052608B2 - ホログラムの製造方法およびカラーホログラムの製造方法 - Google Patents

ホログラムの製造方法およびカラーホログラムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホログラムの製造方法に係り、とりわけ、所望の回折特性が精度良く付与されたホログラムを製造することができる製造方法に関する。また、本発明は、カラーホログラムの製造方法に係り、とりわけ、照明角度の変化にともなった色変化が抑制され且つ優れた色再現性を有したカラーホログラムを製造することができる製造方法に関する。
従来、二光束の干渉により生じる明暗の縞、すなわち干渉縞をホログラム感光材料に記録してなる体積型ホログラムが、知られている。体積型ホログラムは、いわゆるブラッグ条件と呼ばれる波長および光路方向に関する条件を満たす光を、高い回折効率で回折する光学素子である。このホログラムは、その回折機能よって、高い意匠性および高い識別性を呈することから、種々の分野で使用されている。とりわけ、ホログラムは、優れた真贋判定指標を提供することができ、これにより、真正性を標示する真正性標示体としても用いられている。
体積型ホログラムは、干渉性を有した参照光および物体光を感光材料に照射することにより、製造され得る。この製造方法では、参照光および物体光が干渉することにより干渉縞が生成され、感光性を有した感光材料は、この干渉縞をなす光の強弱パターンに対応して反応する。結果として、干渉縞が、何らかの縞状パターン、例えば屈折率の変化、透過率の変化、あるいは、凹凸パターンのような形状変化として、ホログラム感光層に記録される。そして、ブラッグ条件を満たす光は、感光材料に形成された縞状パターンによって、高い回折効率で回折されるようになる。
このような体積型ホログラムの製造方法において、予め作製されたホログラム原版からの再生光を物体光として用いることがある。また、カラーホログラムを製造する方法として、例えば特許文献1に開示されているように、互いに異なる波長域の光に対して同様の回折特性を発現する複数のホログラムを積層した積層原版を用いる方法も知られている。積層原版を用いたカラーホログラムの製造方法では、複数の波長域の合成光が所定の方向から積層原版に照射され、積層原版を示す各ホログラム原版は、他のホログラム原版による他の波長域の回折方向と同一となる方向に、所定の波長域の光を回折する。このようにして作製されたカラーホログラムは、同一の方向から入射する複数の波長域の光を互いに同一な方向へ回折することを期待される。この結果、カラーホログラムは、加法混色により様々な色味を再現することが可能である。
特開2000−276036号公報
ただし、物体光および参照光を感光材料に露光することによって作製された反射型体積ホログラムでは、予定した縞状パターンを感光材料に精度良く形成することができず、得られた反射型体積ホログラムが所望の回折特性を発揮できないといった不具合が生じている。この不具合は、感光材料の感光時における変形を主たる原因の一つとしており、不可避的な問題と考えられている。そしてこのような不具合が、カラーホログラムを作製するためのホログラム原版に生じてしまうと、作製されたカラーホログラムの色再現性は著しく劣化し、且つ、カラーホログラムの照明角度の変化にともなって再生像の色味が著しく変化してしまう。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、所望の回折特性が精度良く付与されたホログラムを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、照明角度の変化にともなった色変化が抑制され且つ優れた色再現性を有したカラーホログラムを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明によるホログラムの製造方法は、
第1波長域の参照光および物体光によって中間感光材料を互いに異なる側から露光し、中間ホログラムを作製する工程と、
前記中間ホログラムと積層された感光材料に入射する前記第1波長域の参照光と、前記感光材料を透過した後に前記中間ホログラムにおいて回折される前記第1波長域の前記参照光からなる物体光と、によって、前記感光材料を露光する工程と、を備え、
前記中間感光材料への前記参照光の入射角度、前記中間感光材料への前記物体光の入射角度、および、前記感光材料への前記参照光の入射角度は、前記第1波長域の参照光および物体光によって調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により調査用ホログラムを作製し、作製された調査用ホログラムの回折特性を調査し、前記調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、前記調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、前記調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定される。
本発明によるホログラムの製造方法において、前記中間感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θir、前記中間感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値θio及び前記感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θは、前記調査用感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θsr、前記調査用感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値θso、前記調査用ホログラムへの前記再生照明光の入射角度の値θsa及び前記調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度の値θsbを用いた次の式(1a)〜(1c)を満たすように決定されてもよい。
θir=3×θsr+2×θso−2×θsa−2×θsb ・・・(1a)
θio=θso ・・・(1b)
θ=2×θsr−θsa ・・・(1c)
本発明によるホログラムの製造方法が、前記第1波長域の参照光および被写体からの物体光によって原版用感光材料を同一の側から露光してホログラム原版を作製する工程を、さらに備え、前記中間感光材料を露光する工程における前記物体光は、前記ホログラム原版からの再生光であり、前記原版用感光材料を露光する工程における前記物体光の入射角度の値は、前記中間感光材料を露光する工程における前記物体光の入射角度の値と180°異なっていてもよい。
本発明によるホログラムの製造方法において、前記調査用ホログラムを作製する際の前記調査用感光材料を露光する工程の前に、前記第1波長域の参照光および調査用被写体からの物体光によって調査原版用感光材料を同一の側から露光して調査用ホログラム原版を作製する工程が実施され、前記調査用感光材料を露光する工程における前記物体光は、前記調査用ホログラム原版からの再生光であってもよい。本発明によるホログラムの製造方法において、前記調査用被写体は、拡散物体であってもよい。本発明によるホログラムの製造方法において、前記調査原版用感光材料を露光する際における前記調査原版用感光材料への前記物体光の入射角度の値は、前記調査用感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値と180°異なっていてもよい。
本発明によるカラーホログラムの製造方法は、
第1〜第3の各波長域の参照光および物体光によって第1中間感光材料を互いに異なる側からそれぞれ露光して第1〜第3中間ホログラムを作製し、次に、各中間ホログラムと積層された第1〜第3感光材料に入射する各波長域の参照光と、各感光材料を透過した後に各第1中間ホログラムにおいて回折される各波長域の参照光からなる物体光と、によって各感光材料をそれぞれ露光して第1〜第3ホログラムを作製する工程と、
前記第1〜第3波長域の光を含みカラー用感光材料に入射する参照光と、前記カラー用感光材料を透過した後に第1〜3ホログラムのうちの対応するホログラムにおいて回折された前記第1〜3波長域の前記光を含む物体光と、によって前記カラー用感光材料を露光する工程と、を備え、
各波長域の前記参照光の各中間感光材料への入射角度、各波長域の前記物体光の各中間感光材料への入射角度、および、各波長域の前記参照光の各感光材料への入射角度は、各波長域の参照光および物体光によって各調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により第1〜第3調査用ホログラムを作製し、作製された各調査用ホログラムの回折特性を調査し、各調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、各調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、各調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定される。
本発明によるカラーホログラムの製造方法において、各中間感光材料を露光する際における各波長域の前記参照光の入射角度の値θirn、各中間感光材料を露光する際における各波長域の前記物体光の入射角度の値θion及び各感光材料を露光する際における各波長域の前記参照光の入射角度の値θrnは、各調査用感光材料を露光する際における各波長域の前記参照光の入射角度の値θsrn、各調査用感光材料を露光する際における各波長域の前記物体光の入射角度の値θson、各調査用ホログラムへの各波長域の前記再生照明光の入射角度の値θsan1及び各調査用ホログラムでの各波長域の前記再生照明光の回折角度の値θsbnを用いた次の式(2a)〜(2c)を満たすように決定されてもよい。
θirn=3×θsrn+2×θson−2×θsan−2×θsbn ・・・(2a)
θion=θson ・・・(2b)
θrn=2×θsrn−θsan ・・・(2c)
本発明によるカラーホログラムの製造方法において、各調査用ホログラムを作製する工程における各調査用感光材料への前記参照光の入射角度の値と、前記カラー用感光材料を露光する工程における前記カラー用感光材料への前記第1〜第3波長域の光を含む前記参照光の入射角度の値とが、互いに同一であってもよい。
本発明によるカラーホログラムの製造方法において、各調査用ホログラムを作製する工程における各調査用感光材料への前記物体光の入射角度の値が互いに同一であってもよい。
本発明によるカラーホログラムの製造方法において、各中間ホログラムを作製する工程における各中間感光材料への前記物体光の入射角度の値が互いに同一であってもよい。
本発明によれば、所望の回折特性が精度良く付与されたホログラムを製造することができる。また、本発明によれば、照明角度の変化にともなった色変化が抑制され且つ優れた色再現性を有したカラーホログラムを製造することができる。
図1は、本発明の一実施の形態におけるホログラムおよびカラーホログラムの製造方法を説明するための図であって、ホログラム原版の作製方法を説明するための図である。 図2は、中間ホログラムの作製方法を説明するための図である。 図3は、中間ホログラムの回折特性を説明するための図である。 図4は、ホログラムの作製方法を説明するための図である。 図5は、ホログラムの回折特性を説明するための図である。 図6は、カラーホログラムの作製方法を説明するための図である。 図7は、カラーホログラムの回折特性を説明するための図である。 図8は、カラーホログラムの第1波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図9は、カラーホログラムの第2波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図10は、カラーホログラムの第3波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図11は、調査用ホログラム原版の作製方法を説明するための図である。 図12は、調査用ホログラムの作製方法を説明するための図である。 図13は、調査用ホログラムの回折特性を説明するための図である。 図14は、調査用ホログラムを用いたカラーホログラムの作製方法を説明するための図である。 図15は、調査用ホログラムを用いて作製されたカラーホログラムの回折特性を説明するための図である。 図16は、調査用ホログラムを用いて作製されたカラーホログラムの第1波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図17は、調査用ホログラムを用いて作製されたカラーホログラムの第2波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図18は、調査用ホログラムを用いて作製されたカラーホログラムの第3波長域の光に対する回折特性を説明するための図である。 図19は、色変化の測定結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図19においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「対称」等の用語や角度の値等については、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差範囲を含めて解釈することとする。
以下に説明する製造方法は、反射型の体積ホログラムであるホログラム30を製造する方法、並びに、互いに異なる波長域の光を回折することを意図された複数のホログラム30を用いて反射体積型のカラーホログラム40を製造する方法である。反射型の体積ホログラムは、縞状パターンを形成されており、この縞状パターンの間隔、入射光の波長および入射角度に関するブラッグの反射条件が満たされた場合、当該入射光を高い回折効率で回折するようになる。反射型体積ホログラムは、このような入射光に対する波長選択性および角度選択性によって、反射型体積ホログラム自体または反射型体積ホログラムが貼付された物品の意匠性を向上させることや、物品の真正性を標示することが可能であり、物品、とりわけ、包装材料、カード、証明書、有価証券、商品券等に貼付されて使用され得る。
以下に説明する製造方法では、特定波長域の参照光Lirおよび物体光Lioによって中間感光材料22を互いに異なる側から露光し、中間ホログラム20を作製する工程と、次に、中間ホログラム20と積層された感光材料32に入射する特定波長域の参照光Lと、感光材料32を透過した後に中間ホログラム20において回折される特定波長域の参照光Lからなる物体光Loと、によって感光材料32を露光する工程と、を経て、ホログラム30を作製する。したがって、ホログラム30を作製するための感光材料32の露光に用いられる物体光Lは、中間ホログラム20からの再生光を用いている。中間ホログラム20を用いて感光材料32を露光するので、容易かつ高い自由度でホログラム30を量産することができる。とりわけ以下で説明する製造方法では、所望の回折特性をホログラム30に付与し得るよう、後述する方法によって、ホログラム30を作製するための感光材料32の変形等を考慮した上で、中間感光材料22への参照光Lirの入射角度の値θir、中間感光材料22への物体光Lioの入射角度の値θio、及び、感光材料32への参照光Lの入射角度の値θが決定され、また、感光材料32への参照光Lの入射角度の値θにともなって感光材料への物体光Lの入射角度の値θが決定される。
さらにここで例示する製造方法では、前記特定波長の参照光Lmrおよび被写体6からの物体光Lmoによって原版用感光材料12を同一の側から露光してホログラム原版10を作製する工程が実施される。そして、中間ホログラム20を作製するための中間感光材料22の露光に用いられる物体光Lioは、ホログラム原版12からの再生光を用いている。ホログラム原版10を用いて中間感光材料22を露光するので、容易かつ高い自由度で中間ホログラム20を作製することができる。
また、以下に説明する製造方法では、第1波長域の参照光および物体光を用いて作製された第1ホログラム30R、第1波長域とは異なる第2波長域の参照光および物体光を用いて作製された第2ホログラム30G並びに第1波長域および第2波長域の両方と異なる第3波長域の参照光および物体光を用いて作製された第3ホログラム30Bを含む積層原版としての積層体38を用いて、デニシューク法とも呼ばれる一光束露光によってカラー用感光材料42を露光することにより、カラーホログラム40を作製している。
以下、まず、ホログラム30の製造方法について説明し、次に、ホログラム30を利用したカラーホログラム40の製造方法について説明する。なお、ホログラム30の製造方法については、第1波長域の光を回折すること意図されたホログラム30を第1波長域の光を用いて作製する例について説明する。
上述したように、ホログラム30の製造方法は、ホログラム原版10を作製する工程と、ホログラム原版10からの再生光を利用して中間ホログラム20を作製する工程と、中間ホログラム20からの再生光を利用してホログラム30を作製する工程と、を含んでいる。また、中間ホログラム20を作製する工程における中間感光材料22への参照光Lirの入射角度θir及び中間感光材料22への物体光Lioの入射角度θio、並びに、ホログラム30を作製する工程における感光材料32への参照光Lの入射角度θ及び感光材料32への物体光Lの入射角度θを決定する工程が、少なくとも中間ホログラム20を作製する工程の前に実施される。以下、各工程について順に説明する。
まず、ホログラム原版10を作製する工程について図1を参照して説明する。ホログラム原版10は、原版用感光材料12を露光し、次に、露光された原版用感光材料12に対して後処理を施すことによって、作製される。原版用感光材料12は、例えば、フォトポリマー、銀塩乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト等の感光性を有した材料により形成される。感光性を有した原版用感光材料12を、干渉性を有する関係にある参照光Lmr及び物体光Lmoによって露光することにより、原版用感光材料12に縞状パターン15が形成される。
図1には、原版用感光材料12の露光方法の一例が示されている。図1に示された例において、ホログラム原版10は、透過型のホログラムとして、被写体6を記録する。具体的には、ホログラム原版10をなすようになる原版用感光材料12と被写体6とが、間隔を空けて対向するように配置され、原版用感光材料12の第1面12aに対向する第2面12bが、被写体6の側を向いている。この状態で、第1波長域の波長を有するコヒーレントな光、典型的にはレーザ光源から発振されたレーザ光を分割して、参照光Lmr及び物体光Lmoとして、原版用感光材料12に入射させる。このうち参照光Lmrは、平行光束として、原版用感光材料12に対して入射角度θmrをなす方向から、原版用感光材料12の第2面12b側に入射する。一方、物体光Lmoは、被写体6からの反射光として、原版用感光材料12に第2面12bの側から入射する。この際、物体光Lmoは、原版用感光材料12に対して入射角度θmoをなす方向を包含する角度域に広がる発散光として、原版用感光材料12に入射する。
なお、本明細書において、シート状、フィルム状、板状またはパネル状の対象物への光、例えば参照光、物体光、再生照明光の入射角度とは、最高強度を示す入射光の対象物へ接近する向きが、当該対象物への法線方向に対してなす角度のことを指す。また、後述するシート状物、フィルム状物、板状物またはパネル状の対象物で回折された光の回折角度とは、最高強度を示すようになる回折光の進行方向に沿って対象物へ接近する向きが、当該対象物への法線方向に対してなす角度のことを指す。そして、これらの入射角度および回折角度の値は、対象物への法線方向ndに沿って参照光または再生照明光と同一の面の側から当該対象物へ接近する向きを基準方向として、この基準方向sdに対して参照光または再生照明光が対象物へ接近する向きがなす角度が0°以上90°以下となる回転方向になす角度の値とする。また、対象物への法線方向とは、シート状、フィルム状、板状またはパネル状の対象物を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状物、フィルム状物、板状物またはパネル状物によって画成される平面に対して直交する方向とする。
以上のようにして、参照光Lmr及び物体光Lmoが原版用感光材料12に入射する。参照光Lmr及び物体光Lmoは同一のレーザ光源から発振されたレーザ光であることから、互いにコヒーレントな関係にある。この結果、原版用感光材料12が参照光Lmr及び物体光Lmoによって露光されると、参照光Lmr及び物体光Lmoが干渉してなる干渉縞14が原版用感光材料12上に生成される。そして、この光の干渉縞14が、何らかのパターン、一例として屈折率変調パターンや凹凸パターンとして、原版用感光材料12に記録される。その後、原版用感光材料12をなす材料の種類に対応した適切な後処理が施される。以上の手順により、原版用感光材料12からホログラム原版10が得られる。
次に、中間ホログラム20を作製する工程について図2を参照して説明する。中間ホログラム20は、中間感光材料22を露光し、次に、露光された中間感光材料22に対して後処理を施すことによって、作製される。中間感光材料22の材料は、上述した原版用感光材料12と同様に選択され得る。感光性を有した中間感光材料22を、干渉性を有する関係にある参照光Lir及び物体光Lioによって露光することにより、中間感光材料22に縞状パターン25が形成される。
図2には、中間感光材料22の露光方法の一例が示されている。図2に示された例において、中間ホログラム20は、反射型のホログラムとして、ホログラム原版10からの再生像16を記録する。具体的には、中間ホログラム20をなすようになる中間感光材料22とホログラム原版10とが、間隔を空けて対向するように配置され、ホログラム原版10の第2面10bと中間感光材料22の第1面22aとが向かい合っている。この状態で、第1波長域の参照光Lirが、平行光束として、中間感光材料22に対して入射角度θirをなす方向から、中間感光材料22の第2面22b側に入射する。同時に、第1波長域の再生照明光Lmaが、平行光束として、ホログラム原版10に対して入射角度θmaをなす方向から、ホログラム原版10の第1面10aの側に入射する。再生照明光Lmaの進行方向は、原版用感光材料12の露光時における参照光Lmrの進行方向と共役な方向となっている。したがって、再生照明光Lmaは、ホログラム原版10の縞状パターン15で回折され、再生像16を再生する再生光をなす。この再生光が、物体光Lioとして、中間感光材料22に対して入射角度θioをなす方向を包含する集束光のプロファイルを呈しながら、中間感光材料22の第1面22aへ入射する。
なお、ホログラム原版10に形成された縞状パターン15は、透過型のホログラムを構成する。透過型のホログラムを構成する縞状パターン15は、ホログラム原版10の面方向に沿って配列されたパターンをなしている。このような縞状パターン15は、原版用感光材料12が仮に収縮したとしても、そのピッチや向きは変形し難い。したがって、原版用感光材料12の露光時における参照光Lmrと共役な方向に進み且つこの参照光Lmrと同一波長域の再生照明光Lmaは、ホログラム原版10の縞状パターン15で回折されると、原版用感光材料12の露光時における物体光Lmoと同一経路を逆向きに進行する。
以上のようにして、参照光Lir及び物体光Lioが中間感光材料22に入射する。参照光Lirは、ホログラム原版10へ照射される再生照明光Lmaと同一のレーザ光源で発振されたレーザ光とすることができ、この場合、中間感光材料22に入射する参照光Lir及び物体光Lioは互いに干渉性を有する。この結果、中間感光材料22が参照光Lir及び物体光Lioによって露光されると、参照光Lir及び物体光Lioが干渉してなる干渉縞24が中間感光材料22上に生成される。そして、この光の干渉縞24が、縞状パターン25として、中間感光材料22に記録される。その後、適切な後処理が施され、中間感光材料22から中間ホログラム20が得られる。
図3には、図2の露光工程を経て得られた中間ホログラム20の回折作用、言い換えると像26の再生作用が示されている。図3に示されているように、第1波長域の再生照明光Liaは、入射角度の値がθiaとなる方向から中間ホログラム20に入射する。当該再生照明光Liaを中間ホログラム20で回折してなる再生光Libは、中間ホログラム20の法線方向ndに対して角度θibをなす方向に、回折される。すなわち、再生照明光Liaは、回折角度の値がθibとなるように回折される。なお、再生照明光Liaの入射方向および再生光Libの回折方向、すなわち再生方向は、次のようにして特定する。まず、対象となる波長域を含む広帯域の試験光、ここでは第1波長域を含む広帯域の試験光を種々の方向から中間ホログラム20に照射し、分光光度計、例えば島津製作所製の「UV-2450」を用いて分光透過率を調査する。そして、特定波長域、例えば第1波長域の光がピーク強度となっている分光透過率が測定された条件における試験光の入射方向を、再生照明光Liaの入射方向として特定し、これにより、再生照明光Liaの入射角度の値θiaが定まる。次に、特定波長域、例えば第1波長域の再生照明光Liaで中間ホログラム30を照明した際に、最も強度が高くなる方向を、再生照明光Liaの回折方向、言い換えると、再生光Libの出射方向として特定する。再生光Libの出射方向が定まることにより、回折角度の値θibを特定することができる。
次に、ホログラム30を作製する工程について図4を参照して説明する。ホログラム30は、感光材料32を露光し、次に、露光された感光材料32に対して後処理を施すことによって、作製される。感光材料32の材料は、上述した原版用感光材料12及び中間感光材料22と同様に選択され得る。感光性を有した感光材料32を、干渉性を有する関係にある参照光L及び物体光Lによって露光することにより、感光材料32に縞状パターン35が形成される。
図4には、感光材料32の露光方法の一例が示されている。図4に示された例において、ホログラム30は、反射型のホログラムとして、中間ホログラム20からの再生像26を記録する。具体的には、まず、中間ホログラム20の第1面20aと感光材料32の第2面32bが対面するようにして、中間ホログラム20と感光材料32とが積層される。また、中間ホログラム20の第2面20b上に遮光層29が積層される。遮光層29の積層により、迷光の発生を防止することが図られている。この状態で、特定波長域、ここでは、第1波長域のコヒーレント光からなる参照光Lが、感光材料32の第1面20a側から照射される。参照光Lは、感光材料32を透過して中間ホログラム20に入射し、中間ホログラム20の縞状パターン25によって所定の方向に回折される。この結果、参照光Lを構成する光が、中間ホログラム20の縞状パターン25で回折されて再生像26を再生する。再生像26をなす光は、物体光Lとして、感光材料32の第2面32bへ入射する。
以上のようにして、参照光L及び物体光Lが感光材料32に入射する。参照光L及び物体光Lは、同一のレーザ光源で発振されたレーザ光とすることができ、この場合、感光材料32に入射する参照光L及び物体光Lは互いに干渉性を有する。この結果、感光材料32が参照光L及び物体光Lによって露光されると、参照光L及び物体光Lが干渉してなる干渉縞34が感光材料32上に生成される。そして、この光の干渉縞34が、縞状パターン35として、感光材料32に記録される。その後、適切な後処理が施され、感光材料32からホログラム30が得られる。
図5には、図4の露光工程を経て得られたホログラム30の回折作用、言い換えると像36の再生作用が示されている。図5に示されているように、第1波長域の再生照明光Lは、入射角度の値がθとなる方向からホログラム30に入射する。当該再生照明光Lをホログラム30で回折してなる再生光Lは、ホログラム30の法線方向ndに対して角度θをなす方向に、回折される。すなわち、再生照明光Lは、回折角度の値がθとなるように回折される。なお、再生照明光Lの入射方向および再生光Lの回折方向、すなわち再生方向は、上述した中間ホログラム20についての再生照明光Liaの入射方向および再生光Libの回折方向と同様にして特定する。
ところで、図2及び図3、並びに、図4及び図5から理解され得るように、反射型体積ホログラムとして感光材料22,32から作製されたホログラム20,30では、通常、再生照明光Lia,Lの入射角度の値θia,θは、感光材料22,32への参照光Lir,Lの入射角度の値θir,θと異なり、再生光Lib,Lの回折角度の値θib,θは、感光材料22,32への物体光Lio,Lの入射角度の値θio,θと異なる。このような相違が生じることから、ここで説明する製造方法では、ホログラム30に対して所望の回折特性を付与し得るよう、言い換えると、製造されたホログラム30への再生照明光Lの入射角度が所望の値θとなり且つ製造されたホログラム30での再生光Lの回折角度が所望の値θとなるよう、次のようにして、中間感光材料22への参照光Lir及び物体光Lioの入射角度の値θir,θio、並びに、感光材料32への参照光L及び物体光Lの入射角度の値θ,θを設定している。
以下の方法では、中間ホログラム20並びにホログラム30の製造に先立ち、調査用感光材料62を露光して調査用ホログラム60を作製する。そして、調査用感光材料62の露光条件および得られた調査用ホログラム60の回折特性を考慮して、さらに具体的には、調査用感光材料62への参照光Lsr及び物体光Lsoの入射角度の値θsr,θsoと、調査用ホログラム60への再生照明光Lsaの入射角度の値θsaと、調査用ホログラム60での再生光Lsbの回折角度の値θsbと、を考慮して、中間感光材料22及び感光材料32の露光条件が決定される。以下、図11〜図13を主に参照して調査用ホログラム60の製造方法を説明し、その後、所望の回折特性をホログラム30に付与するための中間感光材料22及び感光材料32の露光条件の決定方法について順に説明する。
ここで説明する例では、中間ホログラム20の製造と同様に、調査用ホログラム60の作製前に調査用ホログラム原版50が作製され、調査用感光材料62の露光に用いられる物体光Lsoは、調査原版用感光材料52からの再生光を利用している。このような方法によれば、調査用ホログラム原版50を用いて調査用感光材料62を露光するので、容易かつ高い自由度で調査用ホログラム60を作製することができる。
調査用ホログラム60の製造方法における調査用ホログラム原版50を作製する工程は、上述したホログラム原版10を作製する工程と、略同様にして実施される。調査用ホログラム原版50は、調査原版用感光材料52を露光し、次に、露光された調査原版用感光材料52に対して後処理を施すことによって、作製される。調査原版用感光材料52は、原版用感光材料12と同一材料または同様の特性を有した材料から形成され、調査原版用感光材料52を、干渉性を有する関係にある参照光Lsmr及び物体光Lsmoによって露光することにより、調査原版用感光材料52に縞状パターン55が形成される。
図11には、調査原版用感光材料52の露光方法の一例が示されている。図11に示された例において、調査用ホログラム原版50は、透過型のホログラムとして、調査用被写体7を記録する。調査原版用感光材料52と調査用被写体7とが、間隔を空けて対向するように配置され、調査原版用感光材料52の第2面52bが、調査用被写体7の側を向いている。この状態で、ホログラム原版10の製造に用いられた特定波長域、より具体的には第1波長域の波長を有し且つ互いに対して干渉性を有する参照光Lsmr及び物体光Lsmoが、調査原版用感光材料52に照射される。調査原版用感光材料52が参照光Lsmr及び物体光Lsmoによって露光されると、参照光Lsmr及び物体光Lsmoが干渉してなる干渉縞54が調査原版用感光材料52上に生成される。そして、この光の干渉縞54が、縞状パターン55として、調査原版用感光材料52に記録される。その後、調査原版用感光材料52をなす材料の種類に対応した適切な後処理が施される。以上の手順により、調査原版用感光材料52から調査用ホログラム原版50が得られる。
なお、調査原版用感光材料52の露光時における物体光Lsmoの入射角度の値θsmoは、ホログラム30に付与したい所望の回折特性に基づいて決定されることが好ましい。具体的には、物体光Lsmoの入射角度の値θsmoは、製造対象となるホログラム30での再生光Lの回折角度の目標値θpbと180°ずれた値、または、その近傍の値となっていること好ましい。この場合、ホログラム30での再生光Lの回折角度の値θが、感光材料32の露光時における物体光Lの入射角度の値θからどの程度ずれるのかを、調査用ホログラム60の製造およびその回折特性の評価を通して精度良く推測することができる。すなわち、所望の回折特性をホログラム30に精度良く付与することが可能となる。
ここで、本明細書における角度の値は、小数第1位の値を四捨五入することによって整数として取り扱い、同一か否かを判断する。
また、調査用ホログラム原版50に記録される調査用被写体7は、被写体6と同一とすることができる。他の例として、図11〜図18に示すように、最終的に製造される調査用ホログラム60の回折特性を精度良く評価する観点から、等方拡散能を有した散乱板を調査用被写体7として使用することができる。
次に、調査用ホログラム原版50を用いた調査用ホログラム60の作製方法について説明する。調査用ホログラム60を作製する工程は、上述したホログラム原版10を用いて中間ホログラム20を作製する工程と、略同様にして実施される。調査用ホログラム60は、調査用感光材料62を露光し、次に、露光された調査用感光材料62に対して後処理を施すことによって、作製される。調査用感光材料62は、中間感光材料22及び感光材料32と同一材料または同様の特性を有した材料から形成される。干渉性を有する関係にある参照光Lsr及び物体光Lsoによって調査用感光材料62を露光することにより、調査用感光材料62に縞状パターン65が形成される。
図12には、調査用感光材料62の露光方法の一例が示されている。図12に示された例において、調査用ホログラム60は、反射型のホログラムとして、調査用ホログラム原版50からの再生像57を記録する。具体的には、調査用ホログラム60をなすようになる調査用感光材料62と調査用ホログラム原版50とが、間隔を空けて対向するように配置され、調査用ホログラム原版50の第2面50bと調査用感光材料62の第1面62aとが向かい合っている。この状態で、ホログラム30の製造に用いられた特定波長域、より具体的には第1波長域の波長を有し且つ互いに対して干渉性を有する参照光Lsr及び再生照明光Lsmaが、例えば平行光束として、それぞれ、調査用感光材料62及び調査用ホログラム原版50に照射される。このとき、再生照明光Lsmaの進行方向は、調査原版用感光材料52の露光時における参照光Lsmrの進行方向と共役な方向となっている。したがって、調査用ホログラム原版50への再生照明光Lsmaの入射角度θsmaは、調査原版用感光材料52へ参照光Lsmrの入射角度θsmrと同一である。このため、再生照明光Lsmaは、透過型ホログラムとして作製された調査用ホログラム原版50の縞状パターン55で回折され、再生像57を再生する再生光をなす。
以上のようにして、調査用感光材料62が参照光Lsr及び物体光Lsoによって露光されると、参照光Lsr及び物体光Lsoが干渉してなる干渉縞64が調査用感光材料62上に生成される。そして、この光の干渉縞64が、縞状パターン65として、調査用感光材料62に記録される。その後、調査原版用感光材料52をなす材料の種類に対応した適切な後処理が施される。以上の手順により、調査用感光材料62から調査用ホログラム60が得られる。
なお、調査用感光材料62の露光時における物体光Lsoの入射角度の値θsoは、ホログラム30に付与したい所望の回折特性に基づいて決定されることが好ましい。具体的には、物体光Lsoの入射角度の値θsoは、製造されるべきホログラム30での再生光Lの回折角度の値θ、すなわち、目標とする回折角度の値θpb、または、その近傍の値となっていること好ましい。この場合、ホログラム60での再生光Lの回折角度の値θが、感光材料32の露光時における物体光Lの入射角度の値θからどの程度ずれるのかを、調査用ホログラム60の製造およびその回折特性の評価を通して精度良く推測することができる。すなわち、所望の回折特性をホログラム30に精度良く付与することが可能となる。
上述したように、調査原版用感光材料52の露光時における物体光Lsmoの入射角度の値θsmoが、製造されるべきホログラム30での再生光Lの回折角度の値θすなわち、目標とする回折角度の値θpbから180°ずれた値、または、その近傍の値となっている場合には、調査用ホログラム原版50及び調査用感光材料62とを平行に配置することによって、物体光Lsoの入射角度の値θsoは、製造されるべきホログラム30での再生光Lの回折角度の値θ、または、その近傍の値とすることができる。この場合、調査用感光材料62の露光時における調査用ホログラム原版50及び調査用感光材料62の位置決めを容易に行うことができる。この点は、ホログラム原版10及び中間ホログラム20についても当てはまる。
同様に、調査用感光材料62の露光時における参照光Lsrの入射角度の値θsrは、ホログラム30に付与したい所望の回折特性に基づいて決定されることが好ましい。具体的には、参照光Lsrの入射角度の値θsrは、製造対象となるホログラム30での再生照明光Lの入射角度の値θすなわち、目標とする再生照明光Lの入射角度の値θpa、または、その近傍の値となっていること好ましい。この場合にも、ホログラム30への再生照明光Lの入射角度の値θが、感光材料32の露光時における参照光Lの入射角度の値θからどの程度ずれるのかを、調査用ホログラム60の製造およびその回折特性の評価を通して精度良く推測することができる。すなわち、所望の回折特性をホログラム30に精度良く付与することが可能となる。
次に、以上のようにして作製された反射型体積型の調査用ホログラム60の回折特性を調査する。具体的には、中間ホログラム20及びホログラム30の場合と同様にして、調査用ホログラム60への再生照明光Lの入射角度の値θ及び調査用ホログラム60での再生光Lの回折角度の値θを調査する。図13に示されているように、第1波長域の再生照明光Lsaは、入射角度の値がθsaとなる方向から調査用ホログラム60に入射する。当該再生照明光Lsaを調査用ホログラム60で回折してなる再生光Lsbは、調査用ホログラム60の法線方向ndに対して角度θsbをなす方向に、回折される。すなわち、再生照明光Lsaは、回折角度の値θsbがとなるように回折される。
図12および図13から理解され得るように、反射型体積ホログラムとして調査用感光材料62から作製された調査用ホログラム60では、通常、再生照明光Lsaの入射角度の値θsaは、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsrと異なり、再生光Lsbの回折角度の値θsbは、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoと異なっている。このような相違は、感光材料の感光時における変形を主たる原因の一つとしており、反射型体積ホログラムにおける不可避的な問題と考えられている。この感光材料の変形は、干渉縞を記録してなる縞状パターンの向きや配列方向に応じて、変化する。
このため、ここで説明する方法では、予め調査用ホログラム60を作製することによって、感光材料への参照光の入射角度と得られたホログラムへの再生照明光の入射角度とのずれ、並びに、感光材料への物体光の入射角度と得られたホログラムでの再生光の回折角度とのずれの傾向を調査する。そして、実際にホログラムを作製する際には、これらのずれを予め見込んで、感光材料32への参照光Lの入射角度θを、作製対象となるホログラム30への再生照明光Lの所望の入射角度θpaからずらしておき、同様に、感光材料32への物体光Lの入射角度θを、作製対象となるホログラム30での再生光Lの所望の回折角度θpbからずらしておく。また、これを実現するため、中間感光材料22の露光条件を調整して、ホログラム30に適切な回折特性を付与する。
具体的には、ホログラム30への再生照明光Lの入射角度の値をθpaに設定したい場合には、参照光Lの感光材料32への入射角度の値θは、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsr及び調査用ホログラム60への再生照明光Lsaの入射角度の値θsaと、式(a)を満たすように決定され得る。
θ=θpa−(θsa−θsr) ・・・(a)
この場合、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsrと得られた調査用ホログラム原版50への再生照明光Lsaの入射角度の値θsaとのずれ量分だけ、参照光Lの感光材料32への入射角度の値θを、目標とする入射角度の値θpaから予めずらしておくことになる。とりわけ上述したように、ホログラム30に所望の回折特性を付与する観点からは、ホログラム30に実際に形成されるべき縞状パターン35と同様の向き及びピッチで調査用ホログラム60へ縞状パターン65を形成しておくことが好ましい。この場合、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsrを目標とする入射角度の値θpaに設定しておくことが好ましく、したがって次の式(ax)が満たされるように、参照光Lの感光材料32への入射角度の値θを設定することができる。
θ=2×θsr−θsa ・・・(ax)
式(ax)が満たされる場合、作製されたホログラム60において、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsrと同一または略同一の入射角度で当該ホログラム30に入射する光が、当該ホログラムにてブラッグ条件を満たし高回折効率で回折されるようになる。
同様に、ホログラム30での再生光Lの回折角度の値をθpbに設定したい場合には、物体光Lの感光材料32への入射角度の値θは、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θso及び調査用ホログラム60での再生光Lsbの回折角度の値θsbと、式(b)を満たすように決定され得る。
θ=θpb−(θsb−θso) ・・・(b)
この場合、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoと得られた調査用ホログラム原版50での再生光Lsbの入射角度の値θsbとのずれ量分だけ、物体光Lの感光材料32への入射角度の値θを、目標とする回折角度の値θpbから予めずらしておくことになる。とりわけ上述したように、ホログラム30に所望の回折特性を付与する観点からは、ホログラム30に実際に形成されるべき縞状パターン35と同様の向き及びピッチで調査用ホログラム60へ縞状パターン65を形成しておくことが好ましい。この場合、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoを目標とする回折角度の値θpbに設定しておくことが好ましく、したがって次の式(bx)が満たされるように、物体光Lroの感光材料32への入射角度の値θを設定することができる。
θ=2×θso−θsb ・・・(bx)
式(bx)が満たされる場合、作製されたホログラム30のブラッグ条件を満たし高回折効率で回折される特定波長域の再生照明光Lは、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoと同一または略同一の値となる回折角度で回折されるようになる。
以上のようにして、ホログラム30を作製する際における感光材料32の露光条件が決定される。ここで説明するホログラムの製造方法では、中間ホログラム20を原版として用いたデニシューク法ともよばれる一光束露光により、感光材料32を作製する。したがって、上述した式(a)及び(b)を満たす露光、より好ましくは、上述した式(ax)及び(bx)を満たす露光を実現し得る回折特性を中間ホログラム20に付与するよう、中間ホログラム20を作製するための中間感光材料22の露光条件を決定する。
まず、中間ホログラム20の製造の安定性や、調査用ホログラム60を用いて調査した露光条件と回折条件とのズレを中間ホログラム20及びホログラム30の製造に効果的に反映する観点からすれば、中間感光材料22への物体光Lioの入射角度の値θioは、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoと同一であることが好ましく、また、作製対象となるホログラム30についての目標となる回折角度の値θpbと同一であることも好ましい。すなわち、次の式(c)が満たされることが好ましい。
θio=θso ・・・(c)
一方、理想的には、中間ホログラム20への再生照明光Liaの入射角度の値θiaが、感光材料32を露光する際における感光材料32への参照光Lの入射角度の値θと一致し、中間ホログラム20での再生光Libの回折角度の値θibが、感光材料32を露光する際における感光材料32への物体光Lの入射角度の値θと一致していることが好ましい。しかしながら、上記(c)が満たされる場合、この理想的な条件を実現することができないこともあり、上記(c)を無視したとしても、調査用ホログラム60の作製を通した調査だけではこの理想的な条件を実現し得ないこともある。そこで少なくとも、作製された中間ホログラム20の縞状パターン25の向きにより、上述した感光材料32の露光条件が実現され得るよう、次の式(d)が満たされるよう、中間ホログラム20の回折特性を設定する。式(d)が満たされる場合、中間ホログラム20を調査原版用感光材料52に平行に積層してデニシューク法により当該調査原版用感光材料52を露光した際に、上述した式(a)及び(b)の両方が、より好ましくは式(ax)及び(bx)の両方が同時に満たされるようになる。
(θia+θib)/2=(θ+θ)/2 ・・・(d)
そして、ホログラム30と同様に、反射型体積ホログラムである中間ホログラム20の製造においても、参照光Lirの入射角度θirと再生照明光Liaの入射角度θiaとの間にずれが生じ、物体光Lioの入射角度θioと再生光Libの入射角度θibとの間にずれが生じる。そして、このずれは、調査用ホログラム60の作製を通した調査結果から、次の式(e)及び(f)で表されることが見込まれる。
θia=θir+(θsa−θsr) ・・・(e)
θib=θio+(θsb−θso) ・・・(f)
以上の式(c)〜(f)を考慮して、ホログラム30への再生照明光Lの入射角度の値をθpaに設定したい場合、
感光材料32への参照光Lの入射角度の値θおよび感光材料32への物体光Lの入射角度の値θが、上述した式(a)及び(b)を満たすように決定されるとともに、中間感光材料22への参照光Lirの入射角度の値θirおよび中間感光材料22への物体光Lioの入射角度の値θioが、次の式(g)及び(h)を満たすように決定される。
θir=θpa−2×(θsa−θsr)−2×(θsb−θso
・・・(g)
θio=θso=θpb ・・・(h)
また、ホログラム30に所望の回折特性を付与する観点からは、ホログラム30に実際に形成されるべき縞状パターン35と同様の向き及びピッチで調査用ホログラム60へ縞状パターン65を形成しておくことが好ましい。この場合、調査用感光材料62への参照光Lsrの入射角度の値θsrを目標とする再生照明光の入射角度の値θpaに設定し、且つ、調査用感光材料62への物体光Lsoの入射角度の値θsoを目標とする回折角度の値θpbに設定しておくことが好ましい。この観点からは、式(g)に代えて次の式(gx)が満たされることがより好ましい。
θir=3×θsr+2×θso−2×θsa−2×θsb ・・・(gx)
以上のようにして決定された露光条件にて中間ホログラム20を作製した場合、得られた中間ホログラム20の回折特性として、再生照明光Liaの入射角度θiaおよび再生光Libの回折角度θibは次のようになる(式(i)及び(j))。
θia=θpa−(θsa−θsr)−2×(θsb−θso) ・・・(i)
θib=θpb+(θsb−θso) ・・・(j)
そして、得られた中間ホログラム20は原版として感光材料32に積層された状態で、上述した式(a)及び(b)、或いは、式(ax)及び(bx)で表された露光条件を満足するようになる。
次に、以上のようにして作製されたホログラム30を用いて、カラーホログラムを作製する方法について説明する。
まず、以上に説明した反射型体積ホログラムの製造方法にしたがって、第1原色成分である第1波長域のコヒーレント光を用いて、第1波長域の光を回折することを意図された第1ホログラム30Rを製造する。次に、反射型体積ホログラムの製造に用いるコヒーレント光を、第2原色成分である第2波長域のコヒーレント光に変更して、第2波長域の光を回折することを意図された第2ホログラム30Gを同様の製造方法で製造する。さらに、反射型体積ホログラムの製造に用いるコヒーレント光を、第3原色成分である第3波長域のコヒーレント光に変更して、第3波長域の光を回折することを意図された第3ホログラム30Bを同様の製造方法で製造作製する。この際、第1〜第3のホログラム30R,30G,30Bの回折特性が、同一となるようにする。すなわち、ホログラムへ再生照明光の入射角度の目標値θpa及びホログラムでの再生光の回折角度の目標値θpbを、それぞれ、第1〜第3のホログラムで互いに同一に設定し、上述した条件を満たすようにして、第1〜第3のホログラム30R,30G,30Bを作製する。
次に、第1〜第3のホログラム30R,30G,30Bをホログラム原版として用いて、カラーホログラム40を作製する。第1〜第3のホログラム30R,30G,30Bは、互いに異なる第1〜第3波長域の光を同一の回折特性にて回折する。したがって、第1〜第3のホログラム30R,30G,30Bを積層して積層原版としての積層体38を作製し、この積層体38に第1〜第3波長域の合成光を一方向から照射することにより、積層体38において第1〜第3波長域の再生光を互いに同一の方向へ回折して、カラーホログラム40を作製するためのカラー用感光材料42を露光することができる。カラー用感光材料42は、第1〜第3波長域の光のすべてに対して感光性を有する単層として形成してもよいし、第1〜第3波長域の光のいずれか一以上に対して感光性を有する層を複数積層して形成してもよい。カラー用感光材料42の材料は、上述した原版用感光材料12と同様に選択され得る。
なお、積層体38の背面側には、遮光層39が設けられ、迷光の発生を防止することが図られている。
図6には、カラー用感光材料42の露光方法の一例が示されている。図6に示された例において、カラーホログラム40は、反射型のホログラムとして、再生像36を記録する。具体的には、第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bを積層してなる積層体38がカラー用感光材料42と積層される。この状態で、第1〜第3波長域のコヒーレント光の合成光からなる参照光Lcrが、カラー用感光材料42の側から積層体38に照射される。参照光Lcrは、カラー用感光材料42を透過して、第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bへの再生照明光Lの入射角度の値θと同一の入射角度で、積層体38へ入射する。この結果、参照光Lcrを構成する第1〜第3波長域の光が、それぞれ、対応する第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bで、互いに同一の値θとなる回折角度で回折され、同一の再生像36を再生する。
以上のようにして、カラー用感光材料42は、互いに同一の方向から入射する第1〜第3波長域の参照光Lcrと、互いに同一の方向から入射する第1〜第3波長域の物体光Lro,Lgo,Lboと、によって露光される。この結果、カラー用感光材料42上に、第1波長域の参照光および物体光の干渉と、第2波長域の参照光および物体光の干渉と、第3波長域の参照光および物体光の干渉と、に起因した干渉縞44が生成され、この干渉縞44が縞状パターン45として記録される。その後、カラー用感光材料42をなす材料の種類に対応した適切な後処理が施される。以上の手順により、カラー用感光材料42からカラーホログラム40が得られる。
以上のカラーホログラム40の製造方法では、反射型体積ホログラムの製造中における変形等を見込んで、ホログラム30に付与すべき再生照明光Lの入射角度の目標値θpa及びホログラム30に付与すべき再生光Lの回折角度の目標値θpbから、参照光Lおよび物体光Lの入射角度θ,θをずらして露光した複数のホログラム30を原版として用いている。この結果、互いに異なる波長域の光を用いて作製された複数のホログラム30が、同様の回折特性を有するようになる。したがって、図7に示すように、製造されたカラーホログラム40は、第1〜第3波長域の合成光からなる再生照明光Lcaを概ね同一の方向に回折し、第1〜第3波長域の各光によって概ね同一の位置に再生像46を再生する。したがって、得られたカラーホログラム40は、優れた色再現性を呈するようになる。また、カラーホログラム40の照明方向や観察方向の変化にともなって再生像46の色味が著しく変化してしまうことを効果的に防止することができる。
なお、本件発明者は、上述の製造方法により、互いに異なる第1〜第3波長域の光を用いて第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bを実際に製造し、且つ、製造された第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bを用いてカラーホログラム40を実際に製造した。第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bは、再生照明光Lの入射角度の目標値θを42°且つ再生光Lbの回折角度の目標値θbを180°とし、上述の式(ax)、式(bx)、式(gx)及び式(h)を満たすように中間感光材料22及び感光材料32の露光条件を設定して作製した。第1〜第3ホログラム30R,30G,30Bを製造する際における、調査用ホログラム原版50及び調査用ホログラム60の露光条件および回折特性、並びに、ホログラム原版10、中間ホログラム20及びホログラム30の露光条件および回折特性を、表1に示す。
表1に示すように、透過型体積ホログラムであるホログラム原版10及び調査用ホログラム原版50については、露光条件における参照光の入射角度と回折特性における再生照明光の入射角度とが同一となり、露光条件における物体光の入射角度と回折特性における再生光の回折角度とが同一となった。一方、反射型体積ホログラムである中間ホログラム20、ホログラム30及び調査用ホログラム60については、露光条件における参照光の入射角度と回折特性における再生照明光の入射角度とがずれており、しかも、ずれ量は、第1〜第3ホログラムの間で異なっていた。同様に、中間ホログラム20、ホログラム30及び調査用ホログラム60について、露光条件における物体光の入射角度と回折特性における再生光の回折角度とがずれており、しかも、ずれ量は、第1〜第3ホログラムの間で異なっていた。このため、調査用ホログラム30の回折特性は、第1〜第3ホログラムの間で大きく異なっていた。一方、上述の式(ax)、式(bx)、式(gx)及び式(h)を満たすようにして製造された第1〜第3ホログラムの回折特性については、すべて、再生照明光Lの入射角度の値θが目標とする42°となり、且つ再生光Lの回折角度の値θが目標とする180°となった。
互いに同一の回折特性を有する第1〜第3ホログラムを用いてカラーホログラム40を製造した際の露光条件および回折特性を図6〜図10に示す。なお、カラー用感光材料42を露光する際、第1〜第3ホログラムからなる積層体38に対する入射角度が42°となる方向から、第1〜第3波長域の光の合成光Lcrを照射した場合、図6に示すように、第1〜第3波長域の再生光Lro,Lgo,Lboは回折角度180°で回折された。図7に示すように、このようにして製造されたカラーホログラム40に対して、入射角度が45°になるようにして、第1〜第3波長域の合成光をカラーホログラム40に照射したところ、第1〜第3波長域の光がそれぞれピーク強度を示す方向は4°の角度範囲内に入っていた。また、図8〜図10に示すように、第1〜第3波長域の光Lrca,Lgca,Lbcaをそれぞれカラーホログラム40に照明した場合、第1〜第3波長域の光Lrca,Lgca,Lbcaの入射角度は、それぞれ、37°、44°、41°となり、第1〜3波長域の再生光Lrcb,Lgcb,Lbcbの回折角度は、それぞれ、186°、178°、185°となった。
さらに、本件発明者は、上述したカラーホログラム40の回折特性との比較のため、第1〜第3ホログラムの製造時にそれぞれ製造された第1〜第3の調査用ホログラム60を積層した積層体68をホログラム原版として用いて調査用カラー用感光材料72を露光し、調査用カラーホログラム70を作製した。調査用カラー用感光材料72は、カラー用感光材料42と同一にした。また、図14に示すように、調査用カラー用感光材料72の露光条件は、カラーホログラム40を製造する際のカラー用感光材料42の露光条件と同様にした。すなわち、図14に示すように、第1〜第3波長域の合成光からなる参照光Lscrは、42°の入射角度で、調査用カラー用感光材料72及び積層体に入射した。一方、第1〜第3の調査用ホログラム60で回折されてなる第1〜第3波長域の物体光Lscro,Lscgo,Lscboは、それぞれ、181°、180°、184°の入射角度で調査用カラー用感光材料72に入射した。
なお、積層体68の背面側には、遮光層69が設けられ、迷光の発生に防止が図られている。
図15に示すように、このようにして製造された調査用カラーホログラム70に対して、入射角度が45°になるようにして、第1〜第3波長域の合成光を調査用カラーホログラム70に照射したところ、第1〜第3波長域の光がそれぞれピーク強度を示す方向は8°の角度範囲に広がった。また、図16〜図18に示すように、第1〜第3波長域の光Lsrca,Lsgca,Lsbcaをそれぞれ調査用カラーホログラム70に照明した場合、第1〜第3波長域の光Lrca,Lgca,Lbcaの入射角度は、それぞれ、37°、44°、41°となり、第1〜3波長域の再生光Lsrcb,Lsgcb,Lsbcbは、それぞれ、回折角度の値が187°、178°、189°となる方向にピーク強度を示した。
さらに、このようにして実際に作製されたカラーホログラム40及び調査用カラーホログラム70に対して、各ホログラムへの法線方向に対して所定角度だけ傾斜した複数の方向から白色光を試験照明し、トプコン社製の色彩輝度計「BM-7」を用いて、各照明方向から照明した際における各ホログラムの法線方向でのピーク強度を呈した色を調査した。試験照明は、サンプルの法線方向に対して40°傾斜した方向から50°傾斜した方向まで1°ずつ変化させて、計11の方向から行った。結果を図19に示す。図19において、カラーホログラム40についての測定結果を□で示し、調査用カラーホログラム70についての測定結果を○で示している。
以上のように本実施の形態によれば、所望の回折特性が精度良く付与されたホログラムを製造することができる。また、本実施の形態によれば、照明角度の変化にともなった色変化が抑制され且つ優れた色再現性を有したカラーホログラムを製造することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
上述した実施の形態において、中間感光材料22及び調査用感光材料62の露光工程において、同一固体から発振されたレーザ光を分割し、レーザ光の一部が参照光として中間感光材料22又は調査用感光材料62に入射し、且つ、レーザ光の他の一部が原版として機能するホログラム原版10又は調査用ホログラム原版50で回折された後に、物体光として中間感光材料22又は調査用感光材料62に入射する、すなわち所謂H1H2法により中間感光材料22及び調査用感光材料62を露光する例を示した。しかしながら、例示した形態に限られることなく、所謂デニシューク法として一光束にて露光を行うようにしてもよい。また、上述した実施の形態において、感光材料32及びカラー用感光材料42の露光工程において、所謂デニシューク法として一光束にて露光を行うようにした例を示したが、これに限られず、所謂H1H2法により露光を行うようにしてもよい。
10 ホログラム原版、第1ホログラム原版、第2ホログラム原版、第3ホログラム原版
12 原版用感光材料、第1原版用感光材料、第2原版用感光材料、第3原版用感光材料
20 中間ホログラム、第1中間ホログラム、第2中間ホログラム、第3中間ホログラム
22 中間感光材料、第1中間感光材料、第2中間感光材料、第3中間感光材料
30 ホログラム
30R 第1ホログラム
30G 第2ホログラム
30B 第3ホログラム
32 感光材料、第1感光材料、第2感光材料、第3感光材料
40 カラーホログラム
42 カラー用感光材料
50 調査用ホログラム原版、第1調査用ホログラム原版、第2調査用ホログラム原版、第3調査用ホログラム原版
52 調査原版用感光材料、第1調査原版用感光材料、第2調査原版用感光材料、第3調査原版用感光材料
60 調査用ホログラム
60R 第1調査用ホログラム
60G 第2調査用ホログラム
60B 第3調査用ホログラム
62 調査用感光材料、第1調査用感光材料、第2調査用感光材料、第3調査用感光材料
70 カラーホログラム
72 カラー用感光材料

Claims (9)

  1. 第1波長の参照光および物体光によって中間感光材料を互いに異なる側から露光し、中間ホログラムを作製する工程と、
    前記中間ホログラムと積層された感光材料に入射する前記第1波長の参照光と、前記感光材料を透過した後に前記中間ホログラムにおいて回折される前記第1波長の前記参照光からなる物体光と、によって、前記感光材料を露光する工程と、を備え、
    前記中間感光材料への前記参照光の入射角度、前記中間感光材料への前記物体光の入射角度、および、前記感光材料への前記参照光の入射角度は、前記第1波長の参照光および物体光によって調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により調査用ホログラムを作製し、作製された調査用ホログラムの回折特性を調査し、前記調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、前記調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、前記調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定され
    前記中間感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θ ir 、前記中間感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値θ io 及び前記感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θ は、前記調査用感光材料を露光する際における前記参照光の入射角度の値θ sr 、前記調査用感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値θ so 、前記調査用ホログラムへの前記再生照明光の入射角度の値θ sa 及び前記調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度の値θ sb を用いた次の式(1a)〜(1c)を満たすように決定される、ホログラムの製造方法。
    θ ir =3×θ sr +2×θ so −2×θ sa −2×θ sb ・・・(1a)
    θ io =θ so ・・・(1b)
    θ =2×θ sr −θ sa ・・・(1c)
  2. 前記第1波長の参照光および被写体からの物体光によって原版用感光材料を同一の側から露光してホログラム原版を作製する工程を、さらに備え、
    前記中間感光材料を露光する工程における前記物体光は、前記ホログラム原版からの再生光であり、
    前記原版用感光材料を露光する工程における前記物体光の入射角度の値は、前記中間感光材料を露光する工程における前記物体光の入射角度の値と180°異なっている、請求項に記載のホログラムの製造方法。
  3. 前記調査用ホログラムを作製する際の前記調査用感光材料を露光する工程の前に、前記第1波長の参照光および調査用被写体からの物体光によって調査原版用感光材料を同一の側から露光して調査用ホログラム原版を作製する工程が実施され、
    前記調査用感光材料を露光する工程における前記物体光は、前記調査用ホログラム原版からの再生光である、請求項1又は2に記載のホログラムの製造方法。
  4. 前記調査用被写体は、拡散物体である、請求項に記載のホログラムの製造方法。
  5. 前記調査原版用感光材料を露光する際における前記調査原版用感光材料への前記物体光の入射角度の値は、前記調査用感光材料を露光する際における前記物体光の入射角度の値と180°異なっている、請求項3または4に記載のホログラムの製造方法。
  6. 第1波長の参照光および物体光によって第1中間感光材料を互いに異なる側から露光して第1中間ホログラムを作製し、次に、前記第1中間ホログラムと積層された第1感光材料に入射する前記第1波長の参照光と、前記第1感光材料を透過した後に前記第1中間ホログラムにおいて回折される前記第1波長の前記参照光からなる物体光と、によって前記第1感光材料を露光して第1ホログラムを作製する工程と、
    前記第1波長とは異なる第2波長の参照光および物体光によって第2中間感光材料を互いに異なる側から露光して第2中間ホログラムを作製し、次に、前記第2中間ホログラムと積層された第2感光材料に入射する前記第2波長の参照光と、前記第2感光材料を透過した後に前記第2中間ホログラムにおいて回折される前記第2波長の前記参照光からなる物体光と、によって前記第2感光材料を露光して第2ホログラムを作製する工程と、
    前記第1波長および前記第2波長の両方と異なる第3波長の参照光および物体光によって第3中間感光材料を互いに異なる側から露光して第3中間ホログラムを作製し、次に、前記第3中間ホログラムと積層された第3感光材料に入射する前記第3波長の参照光と、前記第3感光材料を透過した後に前記第3中間ホログラムにおいて回折される前記第3波長の前記参照光からなる物体光と、によって前記第3感光材料を露光して第3ホログラムを作製する工程と、
    前記第1〜第3波長の光を含みカラー用感光材料に入射する参照光と、前記カラー用感光材料を透過した後に第1〜3ホログラムのうちの対応するホログラムにおいて回折された前記第1〜3波長の前記光を含む物体光と、によって前記カラー用感光材料を露光する工程と、を備え、
    前記第1波長の前記参照光の前記第1中間感光材料への入射角度、前記第1波長の前記物体光の前記第1中間感光材料への入射角度、および、前記第1波長の前記参照光の前記第1感光材料への入射角度は、前記第1波長の参照光および物体光によって第1調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により第1調査用ホログラムを作製し、作製された第1調査用ホログラムの回折特性を調査し、前記第1調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、前記第1調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、前記第1調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定され、
    前記第2波長の前記参照光の前記第2中間感光材料への入射角度、前記第2波長の前記物体光の前記第2中間感光材料への入射角度、および、前記第2波長の前記参照光の前記第2感光材料への入射角度は、前記第2波長の参照光および物体光によって第2調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により第2調査用ホログラムを作製し、作製された第2調査用ホログラムの回折特性を調査し、前記第2調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、前記第2調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、前記第2調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定され、
    前記第3波長の前記参照光の前記第3中間感光材料への入射角度、前記第3波長の前記物体光の前記第3中間感光材料への入射角度、および、前記第3波長の前記参照光の前記第3感光材料への入射角度は、前記第3波長の参照光および物体光によって第3調査用感光材料を互いに異なる側から露光する工程を含む製造方法により第3調査用ホログラムを作製し、作製された第3調査用ホログラムの回折特性を調査し、前記第3調査用感光材料への前記参照光および前記物体光の入射角度と、前記第3調査用ホログラムへの再生照明光の入射角度と、前記第3調査用ホログラムでの前記再生照明光の回折角度と、を考慮して、決定され
    前記第1中間感光材料を露光する際における前記第1波長の前記参照光の入射角度の値θ ir1 、前記第1中間感光材料を露光する際における前記第1波長の前記物体光の入射角度の値θ io1 及び前記第1感光材料を露光する際における前記第1波長の前記参照光の入射角度の値θ r1 は、前記第1調査用感光材料を露光する際における前記第1波長の前記参照光の入射角度の値θ sr1 、前記第1調査用感光材料を露光する際における前記第1波長の前記物体光の入射角度の値θ so1 、前記第1調査用ホログラムへの前記第1波長の前記再生照明光の入射角度の値θ sa1 及び前記第1調査用ホログラムでの前記第1波長の前記再生照明光の回折角度の値θ sb1 を用いた次の式(2a)〜(2c)を満たすように決定され、
    前記第2中間感光材料を露光する際における前記第2波長の前記参照光の入射角度の値θ ir2 、前記第2中間感光材料を露光する際における前記第2波長の前記物体光の入射角度の値θ io2 及び前記第2感光材料を露光する際における前記第2波長の前記参照光の入射角度の値θ r2 は、前記第2調査用感光材料を露光する際における前記第2波長の前記参照光の入射角度の値θ sr2 、前記第2調査用感光材料を露光する際における前記第2波長の前記物体光の入射角度の値θ so2 、前記第2調査用ホログラムへの前記第2波長の前記再生照明光の入射角度の値θ sa2 及び前記第2調査用ホログラムでの前記第2波長の前記再生照明光の回折角度の値θ sb2 を用いた次の式(3a)〜(3c)を満たすように決定され、
    前記第3中間感光材料を露光する際における前記第3波長の前記参照光の入射角度の値θ ir3 、前記第3中間感光材料を露光する際における前記第3波長の前記物体光の入射角度の値θ io3 及び前記第3感光材料を露光する際における前記第3波長の前記参照光の入射角度の値θ r3 は、前記第3調査用感光材料を露光する際における前記第3波長の前記参照光の入射角度の値θ sr3 、前記第3調査用感光材料を露光する際における前記第3波長の前記物体光の入射角度の値θ so3 、前記第3調査用ホログラムへの前記第3波長の前記再生照明光の入射角度の値θ sa3 及び前記第3調査用ホログラムでの前記第3波長の前記再生照明光の回折角度の値θ sb3 を用いた次の式(4a)〜(4c)を満たすように決定される、カラーホログラムの製造方法。
    θ ir1 =3×θ sr1 +2×θ so1 −2×θ sa1 −2×θ sb1 ・・・(2a)
    θ io1 =θ so1 ・・・(2b)
    θ r1 =2×θ sr1 −θ sa1 ・・・(2c)
    θ ir2 =3×θ sr2 +2×θ so2 −2×θ sa2 −2×θ sb2 ・・・(3a)
    θ io2 =θ so2 ・・・(3b)
    θ r2 =2×θ sr2 −θ sa2 ・・・(3c)
    θ ir3 =3×θ sr3 +2×θ so3 −2×θ sa3 −2×θ sb3 ・・・(4a)
    θ io3 =θ so3 ・・・(4b)
    θ r3 =2×θ sr3 −θ sa3 ・・・(4c)
  7. 前記第1調査用ホログラムを作製する工程における前記第1調査用感光材料への前記参照光の入射角度の値と、前記第2調査用ホログラムを作製する工程における前記第2調査用感光材料への前記参照光の入射角度の値と、前記第3調査用ホログラムを作製する工程における前記第3調査用感光材料への前記参照光の入射角度の値と、前記カラー用感光材料を露光する工程における前記カラー用感光材料への前記第1〜第3波長の光を含む前記参照光の入射角度の値とが、互いに同一である、請求項に記載のカラーホログラムの製造方法。
  8. 前記第1調査用ホログラムを作製する工程における前記第1調査用感光材料への前記物体光の入射角度の値と、前記第2調査用ホログラムを作製する工程における前記第2調査用感光材料への前記物体光の入射角度の値と、前記第3調査用ホログラムを作製する工程における前記第3調査用感光材料への前記物体光の入射角度の値と、が互いに同一である、請求項6又は7に記載のカラーホログラムの製造方法。
  9. 前記第1中間ホログラムを作製する工程における前記第1中間感光材料への前記物体光の入射角度の値と、前記第2中間ホログラムを作製する工程における前記第2中間感光材料への前記物体光の入射角度の値と、前記第3中間ホログラムを作製する工程における前記第3中間感光材料への前記物体光の入射角度の値と、が互いに同一である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のカラーホログラムの製造方法。
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