JP6051906B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減した空気入りタイヤに関する。
タイヤトレッドの電気抵抗値を低減する技術が知られている(例えば、特許文献1から3参照)。特許文献1から3に開示された技術は、いずれも、トレッド表面からベルト層に至るタイヤ径方向領域にアーストレッドゴムを形成して、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減した技術である。
特許第3287795号公報 特許第3763640号公報 特開2000−118212号公報
近年、各種車両用タイヤにおいては、乾燥路面での操縦安定性能と、ウェット路面での排水性能とを、ともに高いレベルで改善するために、キャップトレッドゴムのハイシリカ化が進んでいる。このハイシリカ化によれば、キャップトレッドゴムの体積抵抗率が上昇するため、タイヤトレッドの電気抵抗値が上昇し、ひいてはタイヤトレッドから外部に静電気を放出する効果が低減する。従って、キャップトレッドゴムをハイシリカ化した場合であっても、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減することのできる技術の開発が要請されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、キャップトレッドゴムをハイシリカ化した場合であっても、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減することのできる、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、カーカス層と、上記カーカス層のタイヤ径方向外側に形成されたベルト層と、上記ベルト層のタイヤ径方向外側に形成され、有機繊維コードを含むベルトカバー層と、上記ベルトカバー層のタイヤ径方向外側に形成されたトレッドゴム層とを備える。上記トレッドゴム層は、タイヤ径方向最外側に位置するとともに体積抵抗率が10[Ω・cm]以上であるキャップトレッドゴムと、上記キャップトレッドゴムのタイヤ径方向内側に位置するアンダートレッドゴムと、トレッド表面からタイヤ径方向内側に向かって少なくとも上記キャップトレッドゴムの一部を貫通するとともに、体積抵抗率が10[Ω・cm]以下である、アーストレッドゴムとを含む。上記ベルトカバー層は、タイヤ幅方向の一定範囲に、他の範囲に比べて有機繊維コードの平均配設密度が低い領域を有する。上記領域のタイヤ幅方向範囲は、少なくとも前記アーストレッドゴムが形成されているタイヤ幅方向範囲を含む。
本発明に係る空気入りタイヤでは、ベルトカバー層中での有機繊維コードの配設密度分布と、ベルトカバー層とアーストレッドゴムの位置関係とについて改良を加えている。その結果、本発明に係る空気入りタイヤは、キャップトレッドゴムをハイシリカ化した場合であっても、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部について、そのタイヤ赤道面付近の領域を示すタイヤ子午線断面図である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態(以下に示す、基本形態及び付加的形態1から3)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態は、本発明を限定するものではない。また、上記実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記実施の形態に含まれる各種形態は、当業者が自明の範囲内で任意に組み合わせることができる。
[基本形態]
以下に、本発明に係る空気入りタイヤについて、その基本形態を説明する。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。さらに、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CL(タイヤ赤道線)に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。なお、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤの回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面である。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド部について、そのタイヤ赤道面付近の領域を示すタイヤ子午線断面図である。同図に示す空気入りタイヤは、そのトレッド部10において、タイヤ径方向内側から外側に向かって順に、インナーライナー層12、カーカス層14、ベルト層16、ベルトカバー層18及びトレッドゴム層20を備える。
インナーライナー層12は、タイヤの空気を漏れにくくし、所定の空気圧を保つ部材である。カーカス層14は、タイヤの骨格をなすコードを有し、主にタイヤの強度を決定する部材である。ベルト層16は、2層のベルト16a、16bからなり、トレッド部10に所定の剛性を与え、空気入りタイヤに、駆動力、旋回力及び制動力を発生させるとともに、路面からの衝撃を吸収し、さらにタイヤが遠心力に耐える役割を担う部材である。ベルトカバー層18は、複数の有機繊維コード18aを含み、特にタイヤの高速耐久性能を確保するための部材である。これらのうち、インナーライナー層12、カーカス層14及びベルト層16(16a、16b)については、従来用いられている部材を使用することができる。
また、トレッド部10のタイヤ径方向最外側に位置するトレッドゴム層20は、タイヤ幅方向中央部で左右に二分されているキャップトレッドゴム20a、20aと、キャップトレッドゴム20a、20aのタイヤ径方向内側に位置するアンダートレッドゴム20bと、キャップトレッドゴム20a、20a間に位置してトレッド表面TSからアンダートレッドゴム20bに至るアーストレッドゴム20cとから構成されている。
キャップトレッドゴム20aは、補強材としてカーボンブラックよりもシリカをリッチに配合するとともに、例えば、ゴム成分100重量部に老化防止剤2〜4重量部を配合したゴム組成物とすることができる。キャップトレッドゴム20aの体積抵抗率は10 [Ω・cm]より大きくなっている。
アンダートレッドゴム20bは、カーボンブラックをリッチに配合するとともに、例えば、ゴム成分100重量部に老化防止剤1〜3重量部を配合したゴム組成物とすることができる。アンダートレッドゴム20bの体積抵抗率は10[Ω・cm]以下となっている。
アーストレッドゴム20cは、カーボンブラックをリッチに配合するとともに、キャップトレッドゴム20aよりも老化防止剤を多量に配合したゴム組成物、例えば、ゴム成分100重量部に老化防止剤4〜7重量部を配合したゴム組成物とすることができる。アーストレッドゴム20cの体積抵抗率は10[Ω・cm] 以下となっている。
アーストレッドゴム20cは、図1に示す柱状をタイヤ周方向に連続的に形成することが、静電気放出効果が高いため好ましいが、タイヤ周方向に断続的に形成してもよい。また、図1では、アーストレッドゴム20cは、そのタイヤ幅方向中心がタイヤ赤道面CLと一致するように形成されているが、車両走行時のタイヤ接地領域に含まれるタイヤ幅方向位置であれば、いかなる位置に形成してもよい。
さらに、アーストレッドゴム20cのタイヤ径方向最内側は、図1に示すように、アンダートレッドゴム20bに接するように設計することができる。しかしながら、当該タイヤ径方向最内側は、アンダートレッドゴム20cに完全に接触せずに離間していても、その距離が0.8mm以内であれば、アンダートレッドゴム20bとアーストレッドゴム20cとの間の導電性を維持することができる。
これに対し、図示しないが、アーストレッドゴム20cを、キャップトレッドゴム20aのみならず、アンダートレッドゴム20bも貫通させて、そのタイヤ径方向最内側をベルトカバー層18に接するように設計することが好ましい。タイヤ転動時には、特にカーカス層14がそのタイヤ径方向の隣接層と擦れることによって静電気が生じる。アーストレッドゴム20cのタイヤ径方向最内側をベルトカバー層18に隣接させた場合には、体積抵抗率の比較的低いアーストレッドゴム20cを、静電気発生領域として見込まれるカーカス層14に近づけることとなる。その結果、カーカス層14周辺からトレッド表面TSに至る、静電気の放出をより容易にすることができる。
以上のような前提の下、本実施の形態においては、図1に示すように、ベルトカバー層18が、タイヤ幅方向の一定範囲WBに、他の範囲に比べて有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rを有する。ここで、有機繊維コード18aの平均配設密度とは、タイヤ子午断面視でのベルトカバー層18のタイヤ幅方向の一定範囲における、ベルトコード層18の単位面積当たりの有機繊維コード18a配設本数により定義される値をいう。このため、例えば、領域R(タイヤ幅方向範囲WBの領域)における有機繊維コード18aの平均配設密度は、図1の領域Rにおける、単位面積当たりの有機繊維コード18a配設本数となる。
また、本実施の形態においては、領域Rのタイヤ幅方向範囲WBが、少なくともアーストレッドゴム20cが形成されているタイヤ幅方向範囲WCを含む。ここで、領域Rのタイヤ幅方向範囲WBがタイヤ幅方向範囲WCを含むとは、領域Rのタイヤ幅方向最小寸法が、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向最大寸法以上となっていることを意味する。図1に示す例においては、領域Rのタイヤ幅方向最小寸法が、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向最大寸法と等しくなっている。
(作用等)
上述のとおり、タイヤ転動時には、特にカーカス層14がそのタイヤ径方向の隣接層と擦れることによって静電気が生じる。この静電気がタイヤ内部に放置されると、無線受信機を含む車両においては静電気が電子回路の干渉源となるおそれがある。また、静電気によって火花が発生することで給油時の安全性が劣化するおそれもあり、さらには、車両乗降時に静電気が人体を通り、放電が起こるおそれもある。
これらの不所望な事態を想定して、タイヤ内部で発生した静電気を外部に放出し易くするため、本実施の形態においては、図1に示すように、ベルトカバー層18のタイヤ幅方向の一定範囲WBに、他の範囲に比べて有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rを設けている。これは、ゴム層に有機繊維コード18aを含ませた場合、有機繊維コード18aの配設密度が低いほど当該ゴム層の体積抵抗率は低くなる、との知見に基づく。従って、本実施の形態では、カーカス層14周辺からトレッド表面TSに至る静電気の放出経路において、ベルトカバー層18のタイヤ幅方向の一部に、体積抵抗率の低い領域が設けられていることになる。
また、本実施の形態においては、図1に示すように、領域Rのタイヤ幅方向範囲WBが、少なくともアーストレッドゴム20cが形成されているタイヤ幅方向範囲WCを含むようにしている。即ち、タイヤ子午断面視で、アーストレッドゴム20cの形成領域の直下の領域には、ベルトカバー層18の体積抵抗率の低い領域Rが必ず位置するようになっている。
このような、ベルトカバー層中での有機繊維コードの配設密度分布と、ベルトカバー層とアーストレッドゴムの位置関係とにより、カーカス層14、ベルト層16、ベルトカバー層18の領域R、アンダートレッドゴム20b及びアーストレッドゴム20cからなる、静電気をタイヤ外部に容易に放出する経路が形成される。換言すれば、本実施の形態の空気入りタイヤによれば、キャップトレッドゴムをハイシリカ化した場合であっても、タイヤトレッドの電気抵抗値を低減することができる。その結果、静電気がタイヤ内部に放置されることにより起こり得る、静電気による車両内部の電子回路への悪影響、給油時の安全性の劣化及び車両乗降時の人体への放電を抑制することができる。
加えて、図1に示す例においては、ベルトカバー層18の有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rについて、その他の領域との境界B(領域Rのタイヤ幅方向両外側)からタイヤ幅方向内側に向かってタイヤ赤道面CLまで、有機繊維コード18aの配設密度が徐々に小さくなっている。このような有機繊維コード18aのタイヤ幅方向における漸減配設態様によって、タイヤ幅方向においてベルトカバー層18の剛性が徐々に変化するため、操縦安定性能等を劣化させることを抑制することができる。
なお、以上に示す、本実施形態の空気入りタイヤは、図示しないが、従来の空気入りタイヤと同様の子午断面形状を有する。ここで、空気入りタイヤの子午断面形状とは、タイヤ赤道面CLと垂直な平面上に現れる空気入りタイヤの断面形状をいう。本実施の形態の空気入りタイヤは、タイヤ子午断面視で、タイヤ径方向内側から外側に向かって、ビード部、サイドウォール部及びトレッド部を有する。そして、この空気入りタイヤは、例えば、タイヤ子午断面視で、キャップトレッドゴムとアンダートレッドゴムとによるゴム積層体の両側にウィングチップゴムを備える。ウィングチップゴムは、上記アーストレッドゴムと同一のゴム組成物とすることができる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤは、通常の各製造工程、即ち、タイヤ材料の混合工程、タイヤ材料の加工工程、グリーンタイヤの成型工程、加硫工程及び加硫後の検査工程等を経て得られるものである。本実施の形態の空気入りタイヤを製造する場合には、特に、グリーンタイヤの成型工程において、ベルトカバー層を、タイヤ赤道面CL付近(領域R)では比較的疎に巻回する一方、その他の領域では比較的密に巻回して、ベルトカバー層中での有機繊維コードの配設密度分布を制御する。また、グリーンタイヤの成型工程において、アーストレッドゴムのタイヤ幅方向配設位置を、ベルトカバー層中での有機繊維コードの配設密度が低い領域のタイヤ幅方向位置内に収めて、ベルトカバー層とアーストレッドゴムの位置関係を制御する。
[付加的形態]
次に、本発明に係る空気入りタイヤの上記基本形態に対して、任意選択的に実施可能な、付加的形態1から3を説明する。
(付加的形態1)
基本形態においては、図1に示すアーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向寸法が0.3[mm]以上3.0[mm]以下であるとともに、ベルトカバー層18の有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rのタイヤ幅方向寸法が、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向寸法よりも大きいこと(付加的形態1)が好ましい。
アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向寸法を0.3[mm]以上とすることで、比較的体積抵抗率の低いアーストレッドゴム20cの配設領域を十分に確保して、タイヤトレッドの電気抵抗値をさらに低減することができる。また、アーストレッドゴム20cは、キャップトレッドゴム20aよりも低硬度であることから接地面において先に摩滅するところ、上記タイヤ幅方向寸法を3.0[mm]以下とすることで、接地面での局所的な摩滅箇所を過大とせずに、操縦安定性能の劣化を抑制することができる。
また、静電気を外部に放出する経路を効率的に形成するには、ベルトカバー層18の領域Rのタイヤ幅方向寸法と、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向寸法とを同一とし、かつ、領域Rとアーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向配設位置を完全に一致させることが好ましい。しかしながら、タイヤ幅方向寸法とタイヤ幅方向寸法とが同一である場合に、製品タイヤにおいて、領域Rのタイヤ幅方向配設位置とアーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向配設位置とを完全に一致させることは、グリーンタイヤの成型工程における諸々の作業に鑑みて、容易に成し得ることではない。
このため、付加的形態1では、グリーンタイヤの成型時に、製品タイヤの領域Rに対応するグリーンタイヤにおける領域に対して、製品タイヤのアーストレッドゴム20cに対応するグリーンタイヤにおける部材を、正確に位置決めできるだけの寸法関係を、これらの領域及び部材に与えることを意図している。そして、このような寸法関係を与えた結果として、付加的形態1では、製品タイヤにおいて、領域Rのタイヤ幅方向寸法が、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向寸法よりも大きくなっていることを規定している。これにより、アーストレッドゴム20cのタイヤ幅方向配設位置を、領域Rのタイヤ幅方向範囲WB内に確実に収めることができ、ベルトカバー層18とアーストレッドゴム20cの位置関係を確実に制御することができ、ひいては、静電気を外部に放出する経路を効率的に形成することができる。
(付加的形態2)
基本形態及び基本形態に付加的形態1を加えた形態においては、図1に示すベルトカバー層18の有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rのタイヤ幅方向寸法が1[mm]以上30[mm]以下であること(付加的形態2)が好ましい。
ベルトカバー層18の有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rのタイヤ幅方向寸法を1[mm]以上とすることで、ベルトカバー層18において体積抵抗率を低減した領域Rを十分に確保して、タイヤトレッドの電気抵抗値をさらに低減することができる。また、ゴム層に有機繊維コード18aを含ませた場合、有機繊維コード18aの配設密度が低い領域が広いほど当該ゴム層の剛性は低くなるところ、上記領域Rのタイヤ幅方向寸法を30[mm]以下とすることで、ベルトカバー層18の剛性の低減を抑制し、特に、操縦安定性能及び高速耐久性能の劣化を抑制することができる。
(付加的形態3)
基本形態及び基本形態に付加的形態1、2の少なくともいずれかを加えた形態においては、ベルトカバー層18の全領域における有機繊維コード18aの平均配設間隔Dtと、有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rにおける有機繊維コード18aの平均配設間隔Dlとが、3×Dt<Dlの関係を満たすこと(付加的形態3)が好ましい。ここで、有機繊維コード18aの配設間隔とは、有機繊維コード18aの延在方向に垂直な方法において測定した、隣接する有機繊維コード18a、18a間の距離をいう。
上記平均配設間隔Dtと、上記平均配設間隔Dlとが、3×Dt<Dlの関係を満たすことで、アーストレッドゴム20cのタイヤ径方向内側に位置する領域Rにおいて、有機繊維コード18aの平均配設密度を十分に低くすることができる。これにより、領域Rを体積抵抗率の十分に低い領域とし、タイヤトレッドの電気抵抗値をさらに低減することができる。その結果、カーカス層14、ベルト層16、ベルトカバー層18の領域R、アンダートレッドゴム20b及びアーストレッドゴム20cからなる、静電気をタイヤ外部にさらに容易に放出する経路が形成される。
タイヤサイズを225/65R17とし、図1に示す構造のトレッド部10を備え、特に、ベルトカバー層18が、タイヤ幅方向の一定範囲WBに、他の範囲に比べて有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域Rを有し、領域Rのタイヤ幅方向範囲WBが、少なくともアーストレッドゴム20cが形成されているタイヤ幅方向範囲WCを含む、実施例1から5の空気入りタイヤをそれぞれ作製した。また、ベルトカバー層18の有機繊維コード18aの配設密度がタイヤ幅方向全領域において均一であること以外は、各実施例と同様の構造を有する、従来例の空気入りタイヤを作成した。なお、実施例1から5及び従来例1の空気入りタイヤ(試験タイヤ)についての諸条件は、表1に示すとおりである。
このよう作製した、各試験タイヤについて、タイヤトレッドの電気抵抗値及び操縦安定性能を評価した。これらの結果を表1に併記する。
(電気抵抗値)
JATMAに準拠し、各試験タイヤに空気圧200kPaを付与するとともに、荷重6.67kNを負荷した状態で、ヒューレッドパッカード社製のモデルHP4339Aハイレジスタンスメータを用いて、測定電圧500Vを印加したときのタイヤトレッドの電気抵抗値を測定した。
(操縦安定性能)
各試験タイヤを17x7Jのリムに空気圧230kPaで組み付け、排気量2400CCのセダン型車両(フロントエンジン・フロントドライブ方式)に装着し、乾燥路面を最高時速240kmで走行した際の、パネラーによる官能性評価を実施した。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、指数が大きいほど、操縦安定性能が高いことを示す。
Figure 0006051906
表1中、ベルトカバー層18の全領域における有機繊維コード18aの平均配設間隔Dt、及び領域Rにおける有機繊維コード18aの平均配設間隔Dlについては、いずれも、従来例を基準(100)とした指数表記としている。
表1によれば、本発明の技術的範囲に属する(ベルトカバー層中での有機繊維コードの配設密度分布と、ベルトカバー層とアーストレッドゴムの位置関係とが所定の範囲内である)実施例1から実施例5の空気入りタイヤについては、いずれも、本発明の技術的範囲に属しない従来例の空気入りタイヤよりも、タイヤトレッドの電気抵抗値が低いことが判る。
また、表1によれば、実施例1から5の空気入りタイヤは、操縦安定性能について、従来例と同じレベルを保っていることが判る。一般に、ベルトカバー層中に、有機繊維コードの平均配設密度の低い領域(図1の領域R)を設けると、ベルトカバー層の剛性が低下して、操縦安定性能の劣化が懸念される。しかしながら、本発明によれば、領域Rを設けたとしても、その他のトレッド構造を適宜設計変更することで、操縦安定性能を劣化させることなく、優れた電気抵抗値を発揮することができることが判る。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)カーカス層と、上記カーカス層のタイヤ径方向外側に形成されたベルト層と、上記ベルト層のタイヤ径方向外側に形成され、有機繊維コードを含むベルトカバー層と、上記ベルトカバー層のタイヤ径方向外側に形成されたトレッドゴム層とを備え、上記トレッドゴム層が、タイヤ径方向最外側に位置するとともに体積抵抗率が10[Ω・cm]以上であるキャップトレッドゴムと、上記キャップトレッドゴムのタイヤ径方向内側に位置するアンダートレッドゴムと、トレッド表面からタイヤ径方向内側に向かって少なくとも上記キャップトレッドゴムの一部を貫通するとともに、体積抵抗率が10[Ω・cm]以下であるアーストレッドゴムとを含み、上記ベルトカバー層が、タイヤ幅方向の一定範囲に、他の範囲に比べて有機繊維コードの平均配設密度が低い領域を有し、上記領域のタイヤ幅方向範囲が、少なくとも上記アーストレッドゴムが形成されているタイヤ幅方向範囲を含む空気入りタイヤ。
(2)上記アーストレッドゴムのタイヤ幅方向寸法が0.3[mm]以上3.0[mm]以下であるとともに、上記ベルトカバー層の有機繊維コードの平均配設密度が低い領域のタイヤ幅方向寸法が、上記アーストレッドゴムのタイヤ幅方向寸法よりも大きい、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)上記ベルトカバー層の有機繊維コードの平均配設密度が低い領域のタイヤ幅方向寸法が1[mm]以上30[mm]以下である、上記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)上記ベルトカバー層の全領域における有機繊維コードの平均配設間隔Dtと、上記有機繊維コードの平均配設密度が低い領域における有機繊維コードの平均配設間隔Dlとが、3×Dt<Dlの関係を満たす、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
10 トレッド部
12 インナーライナー層
14 カーカス層
16 ベルト層
16a、16b ベルト
18 ベルトカバー層
18a 有機繊維コード
20 トレッドゴム層
20a キャップトレッドゴム
20b アンダートレッドゴム
20c アーストレッドゴム
B 領域Rとその他の領域との境界
CL タイヤ赤道面
R ベルトカバー層18の有機繊維コード18aの平均配設密度が低い領域
TS トレッド表面
WB ベルトカバー層18のタイヤ幅方向一定範囲
WC アーストレッドゴム20cが形成されているタイヤ幅方向範囲

Claims (4)

  1. カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に形成されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に形成され、有機繊維コードを含むベルトカバー層と、前記ベルトカバー層のタイヤ径方向外側に形成されたトレッドゴム層とを備え、
    前記トレッドゴム層が、タイヤ径方向最外側に位置するとともに体積抵抗率が10[Ω・cm]以上であるキャップトレッドゴムと、前記キャップトレッドゴムのタイヤ径方向内側に位置するアンダートレッドゴムと、トレッド表面からタイヤ径方向内側に向かって少なくとも前記キャップトレッドゴムの一部を貫通するとともに、体積抵抗率が10[Ω・cm]以下であるアーストレッドゴムとを含み、
    前記ベルトカバー層が、タイヤ幅方向の一定範囲に、他の範囲に比べて有機繊維コードの平均配設密度が低い領域を有し、
    前記領域のタイヤ幅方向範囲が、少なくとも前記アーストレッドゴムが形成されているタイヤ幅方向範囲を含む
    空気入りタイヤ。
  2. 前記アーストレッドゴムのタイヤ幅方向寸法が0.3[mm]以上3.0[mm]以下であるとともに、前記ベルトカバー層の有機繊維コードの平均配設密度が低い領域のタイヤ幅方向寸法が、前記アーストレッドゴムのタイヤ幅方向寸法よりも大きい、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルトカバー層の有機繊維コードの平均配設密度が低い領域のタイヤ幅方向寸法が1[mm]以上30[mm]以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルトカバー層の全領域における有機繊維コードの平均配設間隔Dtと、前記有機繊維コードの平均配設密度が低い領域における有機繊維コードの平均配設間隔Dlとが、3×Dt<Dlの関係を満たす、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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