JP6051164B2 - 心肺バイパス用プライミング液 - Google Patents

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Description

本発明は、心肺バイパス手術中に使用されるプライミング液に関する。
初めて成功した心肺バイパス手術は、1953年にフィラデルフィアにあるトーマス・ジェファーソン大学病院(Thomas Jefferson University Hospital)でジョン・ギボン(John Gibbon)によって行われた。今日では、毎年何十万もの手術が世界中で行われている。
体外循環(ECC)としても知られる心肺バイパス(CPB)用のプライミング液は、チューブ、ポンプおよびリザ−バーなどのバイパス回路の区域を充てんするのに使用される。溶液の主な目的は、システムから空気を除去することであり、空気を除去しないと回路を患者につないだ際に空気塞栓が生じ得る。
CPBの初期の頃は、ドナー血液を、回路をプライミングするのに使用し、患者自身の血液がかん流に最良の溶液であった。しかし、コスト、血液の不足、感染症の伝播および免疫抑制のリスクなどのドナー血液の輸血に関連する副作用のために、今日ではこれを実行することは大部分が廃止されている。
使用にあたって、患者を回路につなぎ、プライミング液を患者の血液と混合する。これにより、血液が非常に希釈され、患者に害を及ぼしうる。したがって、血液希釈およびプライミング液の有害な影響を減じることが重要である。血液量は患者の体の大きさに関係し、体の小さい患者は血液の量が少なく、体の大きい患者は血液の量が多い。しかし、プライミング液の量は主として使用する回路に依存する。一般に、患者の体の大きさにかかわらず、1.5〜2リットルのプライミング液がシステムを充てんするのに使用される。
ヒトにおける体液の分布は、細胞外液(ECF)と細胞内液(ICF)とに分けられる。さらに、ECFは、総ECF量の約25%を含有する脈管性間隙と、総ECF量の約75%を含有する間質腔とに分布する(Griffel et al., 1992)。乳酸リンゲル液などの等張液は、血漿に似た浸透圧を有し、したがって循環への添加は水ポテンシャル勾配を形成しない。このことは、等張晶質液で血液を希釈した後、75%の溶液が間質に残り、25%が血管系に残ることになることを意味する(Griffel et al., 1992)。所与の溶液がより晶質性であればあるほど、より多くの間質浮腫を形成する。
該治療には長い歴史があり、一般的に使用されているにもかかわらず、晶質または膠質のいずれのプライミング液を使用すべきかについてまだ一致した意見はない(Boldt et al., 2009, Gu et al., 2005)。CPBに使用される晶質液は、一般には、生理食塩水および乳酸リンゲル液などの平衡塩類溶液または、デキストロース/マンニトール溶液である。それらは、しばしば塩および/または糖の混合物を含有する。高張性の生理食塩水が、CPBに使用されてきた(McDaniel et al., 1994)。そのような高張性の晶質液は、水ポテンシャル勾配を作り出すので、それがもたらす高い浸透圧によって水が間質コンパートメントから血管系に移動する原因となる。しかし、電解質が間質に移動するので、その影響はすぐに失われる。
膠質液は、一般には、平衡塩類溶液と大きな分子の混合物であり、容易に間質に入ることができず、それ故に血管系により長く残留するので、膠質浸透圧をもたらす。長年にわたって膠質プライミング液に使用されてきた大きな分子としては、アルブミン、ゼラチン
、ヒドロキシエチルデンプン(HES)および、ある程度、デキストランが挙げられる。これらの分子は、膠質の浸透圧(colloidal osmotic pressure)または膠質の膠質浸透圧(colloidal oncotic pressure)をもたらす。「膠質の浸透圧」および「膠質の膠質浸透圧」という用語は、本願中では互換可能に使用される。実際には、これは、血管系に投与された高膠質液が水を間質コンパートメントから血管系に引き出すことを意味する。これは、ECF間の分布を変え、間質コンパートメント内に存在する液体が少なくなる。したがって、高膠質溶液は、血管系における総容積を所与の総容積より多い量まで増加する。例えば、25%アルブミン溶液は、血管系の容積を所与の容積のほぼ5倍に増加する(Griffel et al., 1992)。血漿における正常なヒト膠質浸透圧は約28mmHgであり、高膠質溶液は、これより高い膠質浸透圧を提供しなければならない。膠質浸透圧が高ければ高いほど、より多くの水が間質から血管系に移る。
したがって、浮腫は高膠質溶液とともに減少し、結果として、血管抵抗が減少し、微小循環の向上および低かん流のリスクの減少をもたらす。脳は、この変化から最も利益を得る領域の1つである。心臓切開手術のための心肺バイパス後の認識機能障害は、70%にも上ると報告されている(Iriz et al., 2005)。晶質溶液と比較して、膠質溶液(HES)を使用した場合、認識機能の改善が示された(Iriz et al., 2005)。
乳酸リンゲル液または酢酸リンゲル液のような単純平衡塩類溶液が時として使用される。これらの単純溶液は、循環する血液に低い膠質浸透圧を与え、間質腔および組織への水漏出を導き、それによって浮腫を形成する。これは、高浸透圧の溶液を使用することによって避けることができる。しかし、安定な膠質浸透圧を維持するには、膠質の溶液が必要である。
非常に少ないプライミング容積で動作する、新しい心肺バイパス装置が上市されている。これらの小型化されたシステムは高価であり、容積の減少により人工心肺担当臨床工学技士は少ない予備容量で操作し、それによって空気が血管系に入り込むリスクが増加しうるので、新しい装置の使用によって危険が増加しうる。したがって、それらのシステムはほとんどの状況で適用されない。
内在性のアルブミンが、血漿の主要なタンパク質であり、健常人における膠質浸透圧の約80%を提供する。当然のことながら、内在性のアルブミンは、内在性であり、身体機能が正常な間は使用するのに最適な分子である。しかし、非内在性アルブミンを使用する場合、それは高価であり、感染症を伝播するリスクを完全に排除することはできない。または、血液由来の製品は免疫抑制を引き起こし(Spiess, 2001)、ヒトアルブミンの投与は、アナフィラキシー反応のリスクが確かに少しある。
ゼラチンは、改変コラーゲン誘導体である。コラーゲンは、一般にはウシ材料から得られる。使用されるゼラチンは、尿素架橋しているか、またはそうでなければ異種のペプチドポリマーを結合している。感染症を伝播する明らかなリスクは別として、改変ゼラチンはアナフィラキシー反応を引き起こすことが知られている。その反応は、ヒスタミンの放出のためか、抗体を介したものである場合かのいずれかである。
ヒドロキシエチルデンプン(HES)は、アミロペクチンに由来する分子である。アミロペクチンは、高度に分岐したグルコースポリマーであり、ヒドロキシエチル置換を通してHESに改変される。その置換により、アミラーゼ分解の影響を受けにくくなり、その結果、血液中でより安定になる。HESは、異なる大きさおよび置換度をもつ粒子の異種混合物である。小さな分子は迅速に尿に排出され、大きな分子は組織に取り込まれ、何週間、何ヶ月間、何年もの間でさえ、体内に残ることができる。異ったバージョンのHES
が市場で入手可能であり、それらは分子の大きさの分布、側鎖および置換の度合いがさまざまである。投与には、アナフィラキシー反応、ならびに補体系および凝固系における障害のリスクが確かにある。低く見積もった副作用は、持続性の掻痒であり、最も大きい分子の体内での蓄積に関連すると考えられている。掻痒の発症は遅発性であることが多く、それ故に必ずしもHESの使用と関係するとは限らない。
デキストランは、異成分から成る、細菌によって精製されたグルコースポリマーであり、数千ダルトンから数百万ダルトンの範囲の分子量をもつ。しかし、商業的に作られたデキストランは、一般には小さい画分に加水分解されている。市販のデキストランは、多くの場合、1kDa、40kDa、60kDaまたは70kDaの平均分子量を有する。各市販の試料における個々のデキストラン分子の実際の重量はさまざまであってもよい。例えば、デキストラン40試料は、重量に幅がある分子を含むが、その平均分子量は40kDaであろう。デキストラン1は、その平均の分子サイズが小さいので膠質の溶液中で膠質浸透圧を生じさせるのに使用されない。デキストランは、HES分子と比べて分岐が少なく、それ故により球状であるHESまたはアルブミンと比べて伸長性もある。また、タンパク質と違って、デキストラン分子は荷電していない。デキストランはさまざまな方法で改変され、それらの性質を変えることができる。そのような改変デキストランは、開示された溶液での使用が想定されている。
デキストランは薬理学的不活性であると考えられているにもかかわらず、それらは免疫系および凝固系にさまざまな影響をもたらす。関与する厳密な機序は知られていないが、立体効果によるものと考えられている。例えば、デキストランは血栓形成を減少することが知られており、この目的のために抗凝固剤であるヘパリンに代えてまたはヘパリンと組み合わせて使用されてきた。多くの凝固因子相互作用が仮定されているが、最も十分に立証されているものは血小板と第VIII因子との相互作用である(Grocott et al., 2002)。
デキストランの特性により、膠質プライミング液での使用が非常に好ましくなる。デキストランは、アルブミンと比較して安価であり、HESと比べて適用性に優れる。また、虚血性の再かん流傷害を減じることが示されており、容易に体内から抜き出される。
デキストランは、確かにアナフィラキシー反応のリスクを有する。しかし、デキストラン1などの低分子量をもつデキストランの前投与を通してこのリスクを減らすことができる。この前投与は、他の大きな分子に対するアナフィラキシー反応と比較した場合に、デキストランではそのリスクが小さいことを意味する。小さなデキストラン分子は反応にかかわる免疫グロブリンと結合し、それにより免疫グロブリンの凝集およびアナフィラキシー反応を防ぐと考えられている(米国特許第4,201,772号)。デキストラン1の低分子量のために、グラムにして少ない投与量は、膠質の製剤からの大きな分子を数で上回る、それにより効果的な予防が作られる。
デキストランは毛細管流動を増加することが知られている。これは部分的には血液の粘性および膠質作用を減じ、それにより毛細血管が膨れたり開いたりすることを減らすことを通して達成される。一部には白血球が微小血管系に付着を防ぐからであり、白血球の付着を防止しなければ血管のさらなる狭窄を引き起こすことになる。
しかし、デキストランが広範にわたってCPBプライミング液に使用されない主な理由は、その投与における投与量依存的な出血リスクである。機能的な膠質浸透圧を得るのに十分な濃度で使用した場合の出血リスクを増加する凝固系へのデキストランの影響でありうる。当然のことながら、出血は心臓切開手術および心肺バイパス中における大きな懸念事項である。したがって、過度の出血のリスクの増加は、膠質の溶液が提供しうる好まし
い効果を上回りうる。
Tigchelaarら(2010年)は、HESと比較してデキストランでは凝血障害が増加することを記載しており、そこには「ヒドロキシエチルデンプンはデキストランのように抗血栓剤として分類できない」と述べられている。Petroianuら(2000年)は、「出血が患者にとって潜在的に深刻な結果である場合は、デキストラン(特に、10%デキストラン40)およびHES製剤を慎重に使用すべきであることを我々は提案する」と述べている。これら論文の著者は、HESについて異なる見解をもっており、それは恐らく使用した製剤の違いによって説明されうるが、デキストランに伴うリスクという点では一致している。
デキストランは、それらの有益な性質のために時として外傷患者のための蘇生液に使用される。出血のリスク故に、体重1kg当たり24時間で1.5gのデキストランの制限が設定されている。この制限は、CPB用の膠質プライミング液でのデキストランの使用に対しては明記されていない。しかし、ヘパリン化および手術そのもののためによって患者がすでに出血合併症のリスクがある時は、出血はCPBに関連するより一層の懸念材料である。したがって、デキストランの推奨投与量制限はCPBの間、体重1kg当たり24時間で1〜1.5g未満であろうという議論がある(Gu et al., 2006)。
CPBは患者の体重を考慮しない標準化された手術であるので、投与量依存性は懸念材料である。50kgの患者は、100kgの患者と同量のプライミング液を受け、結果として50kgの患者には2倍の投与量となる。さらなるポイントは、CPBプライミング中の全投与量の投与は、瞬時であり、24時間かけてゆっくりと進まない。
液体分布ならびに膠質および晶質の効果に関連して言及する研究の多くは、CPBの分野ではなく蘇生の分野からきているが、これら2つの分野の間の違いを念頭に置かなければならない。主な違いは、蘇生では、血管系の容積を増加させ、それによって血圧を回復することを目的として、失血容積を注入液体で置換する。CPBでは、プライミング液は失われた容積を置き換えるのに使用されるのではなく、プライミング液はむしろ、血管系だけでなく体外回路も液体で充てんできるように循環容積を増大する。別の違いは、CPBそれ自体が、一部にはバイパス回路表面との接触を通じて炎症および凝固経路に変化を引き起こす。また、ヘパリンがCPBとともに使用され、凝固経路にさらに影響を及ぼす。
以下で論じるように、機能的な高膠質浸透圧を提供しない低濃度デキストラン溶液がCPB回路のプライミングに使用されてきた。
Lanconら(1975年)は、1.5リットルの3.5%デキストラン40および0.5リットルのリンゲル液の混合物からなるプライミング液を使用した。その溶液は、アルブミン含有溶液と同じように機能する。使用されたデキストラン液は、比較的低いデキストラン40濃度を含み、機能的な高膠質浸透圧を提供しない可能性がある。低分子量デキストランを加えることについては何も記載されていない。
Mellbyeら(1988年)は、CPB用の総容積2.4リットル溶液のプライミング液中での1.5リットルのMacrodex(10%デキストラン70)の使用について記載している。その研究は、プライマーとして血漿またはデキストランを用いて補体系への影響を調べることを目的とした。その論文は、デキストランが補体の第2経路を活性化することが知られていると述べている。出血については論じられず、低分子量デキストランを加えることについては何も記載されていない。
Leeら(1975年)は、3つの異なるプライミング液を用いた結果を比較した臨床試験である。溶液1は晶質の溶液、溶液2は1%デキストラン40の入った乳酸リンゲル液、および溶液3はHES溶液である。使用されたデキストラン液は比較的低いデキストラン40濃度を含有し、低分子量デキストランを加えることについては何も記載されていない。
本願の目的では、非膠質デキストランは、5kDa未満の平均分子量をもつデキストランとして定義される。膠質デキストランは、20kDaを超える平均分子量をもつデキストランとしてとして定義される。平衡塩類溶液は、血液中のイオン濃度に類似した濃度でそのイオンを含有するものである。好ましくは、その塩類溶液は等張またはほぼ等張であり、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、通常の生理食塩水、リン酸緩衝食塩水または細胞培養培地によって例示されることができる。
本願の目的のためには、機能的な高膠質浸透圧は、機能的な高膠質浸透圧をもつ溶液が患者の血液と混合されたとき、血液の膠質浸透圧が通常の患者の値に維持されるような膠質浸透圧である。この定義を使用する理由は、患者の血液と混合したデキストラン液により提供された効果的な膠質浸透圧は、ファントホッフの法則を使用して単純に計算することができないからである。10kDaカットオフ膜に対してデキストラン40液中で膠質浸透圧を測定した場合、35g/Lが約37mmHgまたは血漿の膠質浸透圧の1.3倍に相当し、45g/Lが約48mmHgまたは血漿の膠質浸透圧の約1.7倍に相当し、55g/Lが約63mmHgまたは血漿の膠質浸透圧の約2.1倍に相当する。しかし、正確な数は測定方法の間で異なるであろう。また、生体内の状況により機能的膠質浸透圧はたちまち変化する。
本発明の1つの態様によれば、平衡塩類溶液ならびに膠質および非膠質デキストラン分子の組み合わせを含む心肺バイパスプライミング液が提供される。
開示された溶液を心肺バイパス用プライミング液として使用したとき、投与量依存的な出血を引き起こさないことが予想外にも見出された。好ましくは、膠質デキストランはデキストラン40であり、非膠質デキストランはデキストラン1である。機能的な高膠質浸透圧は、CPB手術中の患者において膠質浸透圧を維持するのに十分であるべきであり、好ましくは35〜55g/L デキストラン40によってもたらされる高膠質浸透圧と同じものである。前述のように、デキストラン40の試料は、一定幅の分子量をもつが平均分子量が40kDaであるデキストラン分子を含む。
市販のデキストラン60などのデキストランの他の分子画分は、デキストラン40と同様の効果をもつと思われ、代替物として使用されうる。その濃度については、新しい平均分子量デキストランに対して最適化する必要があろう。これは上記濃度のデキストラン40溶液を用いた膠質浸透圧の比較を通して容易に達成され、プライミング液中で本質的に同じ膠質浸透圧を得る。この手法を使用して、平均値分子サイズ分布が20〜80kDa、好ましくは20〜60kDa、より好ましくは30〜55kDa、または一層好ましくは35〜45kDaであるデキストランが、代替溶液のために最適化される。平均分子量が高ければ高いほど、同じ膠質浸透圧を得るのに、グラムにしてより多くのデキストランが必要とされることになる。
好ましくは、膠質デキストランの濃度は、35〜55g/Lのデキストラン40に相当し、非膠質デキストラン濃度は、1〜10g/Lのデキストラン1、好ましくは1〜5g/Lのデキストラン1に相当するであろう。非膠質デキストランがデキストラン1である場合、デキストラン1の濃度は1〜10g/L、好ましくは1〜5g/Lのデキストラン
1でありうる。この濃度は、投与量に依存的な出血のリスクの増加を誘発しないはずである。
デキストランが過度の出血を引き起こす機序の1つは、凝固因子の複合体を形成することを通してであり、それにより循環からその因子を除去する(Petroianu et al., 2000)。小さい非膠質デキストラン分子は、競合的結合を通してこれを妨げるかもしれない。
動物モデルにおける晶質溶液と比較して、開示された溶液での血中赤血球容積は有意に低く、膠質プライミング液によって供給された液体は血管系内にとどまることを意味し、有意に低い全身血管抵抗(SVR)および平均動脈圧(MAP)を生じた。また、晶質溶液で膠質浸透圧は有意に下がった一方で、開示された溶液で変化なくとどまったか、またはわずかに増加さえした。
開示された溶液でのさらなる改良を、バイパス術中の静脈リザ−バーの液体レベルを追跡することによって明瞭に観察することができる。開示された溶液を用いると、そのレベルはすべての場合において増加し、追加の液体の必要性がない。しかし、晶質溶液を用いると、そのレベルはすべての場合において減少し、静脈リザ−バー中の液体レベルを安全性の理由から設定された最小レベルより上に保ち、かん流が流れ続けることができるように液体を加える必要があった。開示された溶液では心拍出量およびMAPはECCの2時間後で有意に高く、そのことは血液容積が多いことを反映していた。開示された溶液によるプライミング液を与えられた動物において過度の出血の兆候はなかった。したがって、開示された溶液は、術中術後いずれも過度の出血を誘発することなく意図された機能的な高膠質浸透圧をもたらす。
ヒト臨床試験では、出血の量は、開示された溶液を使用したとき患者の体重と相関しないことが見出された。また、CPB中に開示された溶液を使用したとき、膠質浸透圧は維持されて安定していることが示された。
結論として、膠質および非膠質デキストラン分子を含有する平衡塩類およびデキストラン溶液は、投与量に依存的な出血を引き起こすことなく、CPB中に患者の血液における膠質浸透圧を維持するのに十分な膠質浸透圧を提供することが見出された。これを達成するには、膠質デキストラン分子の濃度は、35〜55g/Lのデキストラン40に相当すべきであり、非膠質デキストランの濃度は、1〜10g/Lのデキストラン1に相当すべきである。好ましくは、膠質デキストラン分子の濃度は、40〜50g/Lのデキストラン40に相当すべきであり、非膠質デキストランの濃度は、1〜5g/Lのデキストラン1に相当すべきである。
本発明の別の態様によれば、開示された心肺バイパスプライミング液の心肺バイパス法における使用が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、患者を開示されたプライミング液と接触させることを含む、心肺バイパス手術中に患者における膠質浸透圧を維持する方法が提供される。好ましくは、患者はヒトである。
本発明のさらなる態様によれば、開示された心肺バイパスプライミング液と心肺バイパス装置との組み合わせが提供される。
単なる例示として添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方について、手術中の注入をmLの単位で示すグラフである。 図2は、開示された溶液および酢酸リンゲル液について手術終了時に体外回路のリザ−バーに残った液体の量を示すグラフである。 図3は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方を用いた手術中に生じた尿の容積を示すグラフである。 図4は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方を用いた特定の領域における容積を示すグラフである。 図5は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方を用いた手術中の膠質浸透圧を示すグラフである。 図6は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方を用いた手術中における活性凝固時間がどの程度異なるかを示すグラフである。 図7は、開示された溶液および酢酸リンゲル液の両方を用いた手術中における出血がどの程度異なるかを示すグラフである。 図8は、手術中の出血量と患者の重量との相関関係を示すグラフである。 図9は、手術の出血量と患者の重量との相関関係を示すグラフである。
本発明による溶液および対照の動物での前臨床試験
動物および動物の飼育
本実験には、平均体重が63kg(60〜72kgに分布)である16頭のスウェーデンの飼育ブタを使用した。動物はすべて、実験動物の管理と使用に関する指針(NIH Publication 85-23 revised 1985)に従って飼育をされた。実験前、すべての動物を一晩絶食させ、水は自由に取らせた。実験後、塩化カリウムの静注で心室細動を誘発することによって、すべての動物を安楽死させた。
動物の準備
すべての動物を、体重1kgあたり10mgのケタミンおよび体重1kgあたり0.2mgのキシラジンを筋肉投与で前投薬した。麻酔導入には、体重1kgあたり5mgのチオペンタールナトリウムおよび体重1kgあたり0.02mgのアトロピンを静注で使用した。気管切開および気管チューブの導入前に、パンクロニウムを静注で与えた。実験中、8gのケタミンおよび300mgの臭化パンクロニウムを5%グルコースに溶かし500mLにした混合物を1時間あたり35mLの連続注入で使用して麻酔を維持した。従量式換気を使用して、正常静脈状態(分時拍出量150〜200mL/kg、20呼吸/分、PEEP=5cm H2O、吸入酸素画分=0.5)を維持した。
実験プロトコール
ブタを無作為に、晶質群(1500mLの酢酸リンゲル液、n=8)または膠質群(1500mLの開示された溶液によるプライムECC(PrimeECC)液、その組成を下に示す)のいずれかに割り当てた。同一のメモの入った16の封筒を使用した。メモには晶質または膠質いずれか印付けられていた。動物を準備した後、30分間の安定化時間を開始し、その間の最後の15分をベースラインとして記録した。ECC(体外循環)を確立し、60分間維持した。次に、ECCを切り、動物をさらに120分間モニターした。
Figure 0006051164
手術およびかん流
各実験を静動脈バイパスとして行い、1時間維持した。全手術は無菌状態の下で行った。胸骨正中切開を行った後、胸腺および心膜の前部を注意深く摘出し、心臓および大動脈を露出させた。全身ヘパリン化(300IU/kg)の後、右心房および大動脈弓にカニューレを挿入した。活性凝固時間(ACT)をヘパリンの間欠注射によって350秒より上に保った。すべてのかん流は正常体温(37℃)で行った。
酸素供給器および動脈フィルター付きのハードシェル静脈/心臓切開術リザ−バーをすべてのかん流に使用した。製造業者の取扱説明書に従って、かん流回路を組み立て、プライミングした。かん流用動脈ポンプとして遠心力ポンプを選択した。かん流の前に血小板の数を減じるろ過を行わなかった。60分かん流時間の間、ポンプ流を65mL/kg/分に設定し、ポンプ流/気体比率を1:1.2に保ち、FiO2を0.5に設定した。ECC中常時換気を切った。
モニタリングおよび測定
血液サンプリング、薬物投与および圧力モニタリングのために、2つの中心静脈および2つの動脈ラインを頸部血管を通して設置した。胸骨正中切開を実施した後、肺動脈ラインを肺動脈の直接穿刺によって設置した。2つの静脈および動脈ラインを有した理由は、他のラインでの圧力モニタリングの妨害を最小限にして血液サンプリングを可能にするためであった。挿入前に、3つの圧力モニタリングカテーテルを右心房、内胸大動脈および肺動脈における気圧にそれぞれ調節した。血圧、MAP(平均動脈圧)、CVP(中心静脈圧)、PAP(肺動脈圧)、心拍数、ポンプ流、ポンプrpm、ポンプ圧および体温を、X線透視装置を用いて連続的に測定およびモニタリングした。尿排出量の測定のために、すべての動物で膀胱切開を行った。中心体温を鼻咽頭で測定した。また、2つの超音波血流プローブを右頸動脈および肺動脈のまわりに設置した。
目盛り付きの変換器を、気管チューブと人工呼吸器との間に組み込んで、呼気終末二酸化炭素を測定した。
ECCのベース、30分および60分、ならびにECC後30分、60分、90分および120分に、血液試料を、血液ガス、乳酸、グルコース、膠質浸透圧、ACTおよび浸透圧モル濃度のために採取した。
血液試料を右心房頸動脈および肺動脈から採取し、血液ガスならびに酸素飽和度、ヘモグロビンおよび血中赤血球容積について分析した。
データ分析
結果はすべて、平均値±標準誤差(S.E.M.)として表される。単一時点(ベースライン)をスチューデントのt検定で対応のないデータについて解析し、データの全体的な解釈は濃度曲線下面積によって行った。
結果
ベースラインにおいて、2群は測定した変数のいずれでも有意に異ならなかった。
ECCの間、小さな違いが統計的に有意であったとしても、ポンプ流は数値的にほぼ同じであった。ECCの間、膠質群には注入が必要なかった一方で、晶質群には1.3リットルを与えなければならなかった(p<0.001)。また、ECC後にも、有意に多量の(p<0.05)注入を晶質群に与えなければならなかった(図1)。
膠質群からは、有意に多量(p<0.001)の液体が体外回路およびそのリザ−バー(「ドギーバッグ」)に残り、尿産生は晶質群と比較して約400mL(p<0.001)多かった(図2および3)。
総液体バランスは、膠質群では−18mLであったのに対して、晶質群では+1.8リットルであった(p<0.001)(図4)。
膠質浸透圧は、ECC中およびECC後、晶質群では13mmHgであったのに対して、膠質群で有意に高く(p<0.001)、平均19mmHgであった。浸透圧モル濃度には、2群で有意差はなかった。血中赤血球容積は、ECC中およびECC後、膠質群で有意に低かった(p<0.001)(図5)。
ECC中は、MAPは、晶質群(約85mmHg)と比較して膠質群(約65mmHg)で有意に低い(p<0.05)一方で、ECC後はその反対が示現した。ベースにおいて、心拍出量は両群で約4L/分であり、ECC後、晶質群では同様であった。しかし、ECCの30分後、膠質群では有意に高く(約6L/分)(p<0.001)、次いで減少し、横ばい状態になり、観測時間の終わりに約5L/分であった。全身血管抵抗(SVR)および肺血管抵抗(PVR)は、ECC中およびECC後、膠質群で低かったが、SVRについてのみ、差が有意であった。
動脈血酸素および炭酸ガス分圧は、観察期間中、2群の間で有意に異ならなかった。
群間ではACTまたは出血における有意差はなかった(図6および7)。
解説
本試験は、ECC中および後に生理的限界内に膠質浸透圧を保つという血流力学の結果を示している。血中赤血球容積は膠質群で有意に低く、膠質プライミング液によって供給された液体が血管系内にとどまったことを示し、その群ではSVRおよびMAPは有意に低かった。膠質浸透圧は晶質群では7mmHg大きく低下した一方で、膠質群では変化なくとどまるか、またはわずかに増加した。この違いは、バイパス中の静脈リザ−バーの液
体レベルを追跡することによって最も明瞭に観察することができた。膠質群では、そのレベルはすべての場合において増加し、追加の液体の必要性がなかった。しかし、晶質群では、そのレベルはすべての場合において減少し、静脈リザ−バー中の液体レベルを安全性の理由から設定された最小レベルより上に保ち、かん流が65mL/kg/分で流れ続けることができるように液体を加える必要があった。液体バランスは、2群で顕著に異なり、晶質群では+1900mLおよび膠質群では−18mLであった。膠質群では心拍出量およびMAPはECCの2時間後で有意に高く、その群での多量の血液容積を反映していた。上記のように、開示されたプライミング液を与えられた動物において過度の出血の兆候はなかった。従って、開示された溶液が、手術中または手術後のいずれも過度の出血を誘発することなく膠質浸透圧に関して意図したように機能することを本試験は示した。
本発明による溶液および対照のヒトでの臨床試験
材料および方法:
本試験は、1964年、フィンランド、ヘルシンキでの第18回世界医師会議で採択されたヒトを対象とする生物医学的研究に携わる医師に対する勧告に従って行われた。本試験について倫理委員会からの承認を得た。本試験に参加する患者は全員、書面での同意をした。本試験は、対照群およびプライムECC(商標)(試験)群の2群での、互いに平行に実施される前向きのランダム化ユーザー盲検としてデザインされ、実施された。ルンド(Lund)大学病院の臨床研究能力センター(Competence Centre
for Clinical Research)からの生物統計学者が、ランダム化を準備した。ランダム化リストは、試験溶液を包装した病院の薬局で保管した。盲検を維持するために、現地の薬局が試験溶液および対照溶液の両方を同一のバッグに作製した。手術日に、そのバッグをその薬局から人工心肺担当臨床工学技士に届けた。試験製品の日誌が薬局によって作成され、試験治療はランダム化番号が病院の記録でも確認された。各群に20名の患者が含まれ、合計40名の患者であった。晶質群(対照)の患者は、プライミング液としてマンニトール溶液および酢酸リンゲル液を与えられ、膠質(試験)群(プライムECC(商標))は、開示されたデキストランベースの高膠質溶液を与えられた。
ランダム化後、試験を終了する前に、3名の患者が試験から除外された。1名の患者はCPB後の有害事象のために、2名の患者は手術の朝の検査結果が異常だったためであった。これらのケースについて、ルンド(Lund)大学病院における臨床研究能力センター(Competence Centre for Clinical Research)は、その状況に対処する手順を準備していた。治験責任医師は、臨床研究センターの生物統計学者に連絡をとるよう指示を受け、試験終了時に各群20名の患者の2群で、合計40名であるように、所定の方法に従って追加の試験参加患者を調整してランダム化した。
試験対象患者基準
・選択的な、初めての冠動脈バイパス手術を受ける予定の患者
・本試験に参加する旨を書面により同意した患者
試験除外基準
・駆出率<30%
・S‐クレアチニン>200μmol/L
・既知のデキストラン過感受性
試験製品(プライムECC(商標)群)
セッションあたり1500mL
組成は次の通り。
Figure 0006051164
参照製品(対照群)
参照製品は、薬局の販売在庫から入手した。
酢酸リンゲル液 フレゼニウスカービ社(Fresenius Kabi)
セッションあたり1250mL
組成は次の通り。
Figure 0006051164
マンニトール フレゼニウスカービ社(Fresenius Kabi)
セッションあたり250mL
組成は次の通り。
Figure 0006051164
試験機器
使用したHLMは、HL20(Jostra AG、ヘッヒンゲン(Hechingen)、ドイツ)であった。酸素供給器(Quadrox+VKD 4201、Jostra AG、ヘッヒンゲン(Hechingen)、ドイツ)および動脈フィルター(Quart、Jostra AG、ヘッヒンゲン(Hechingen)、ドイツ)付きのハードシェル静脈/心臓切開術リザ−バーを、すべてのかん流に使用し、チューブ類も同社からのものであった。製造業者の取扱説明書に従って、かん流回路を組み立て、プライミングした。30000ダルトンの大きさをもつ半透過性の膜を使用する膠質浸透圧計(Wescor Inc、Logan、ユタ州、アメリカ合衆国)で測定した膠質浸透圧を除いて、血液パラメーターはラジオメーター(Radiometer)ABL725計測器で測定した。
試験データ
・液体バランス測定を、麻酔調製中、CPBの開始前にベースラインとして記録し、次いでCPBを開始して30分、60分および120分後、およびCPB終了後の術後1日目に記録した。
・膠質浸透圧(COP)および血中赤血球容積の値を、麻酔調製中、CPBの開始前にベースラインとして記録し、次いでCPBを開始して30分、60分および120分後、およびCPB終了後の術後1日目に記録した。
統計
2群間の比較のために、反復測定に対してボンフェローニの補正をしたスチューデントt検定を使用した。全データは平均値±標準偏差(SD)として提示した。
結果
患者背景データについて群間で有意な差はなかった(表1)。
Figure 0006051164
CPB時間、遮断時間、ポンプ流、最低温度またはプライミング容積は、2群間で有意に異ならなかった(表2)。
Figure 0006051164
膠質浸透圧(COP)
COPに関するベースライン値で2群間に統計学的な差はなかった。値は、プライムECC(商標)群で22mmHg±1であったのに対して、対照群で23mmHg±2であった。CPB30分および60分において、群間でCOPに有意差があり、CPBの30分においてプライムECC(商標)群では21mmHg±1に対して、対照群では14mmHg±1であり(p<0.0001)、CPBの60分においてCOPは、対照群では14mmHg±1およびプライムECC(商標)群では20mmHg±1であった(p0.0001)。CPBの120分後、統計学的な差は依然として見られ、プライムECC(商標)群では19mmHg±1であったのに対して対照群では16mmHg±1であっ
た(p<0.001)。術後1日目では、2群間でCOPに有意差はなかった(表3)。
Figure 0006051164
血中赤血球容積
予想された通り、血中赤血球容積は、CPBの間、膠質試験群で低かった。その差は、PBの120分後ではもはや大きくなく、CPB後1日目では差は全くなかった(表4)。
Figure 0006051164
液体バランス
手術中に尿排出量または所与の晶質、膠質、SAGまたは血漿の量に関して2群間で有意差はなかった。しかし、対照群と比較してプライムECC(商標)群ではCPBバランスが有意に低く、プライムECC(商標)群では1817mL±167に対して対照群では2737mL±270であった(p<0.0001)。手術中の総液体バランスは、プライムECC(商標)群と比較して対照群で有意に高く、プライムECC(商標)群では3190mL±362に対して対照群では4067mL±294であった(p<0.01)。平均値を比較したとき、試験群において手術中の出血がより多いという有意ではない傾向があった。しかし、これは個々の患者データのためであった。出血を患者の体重と関連付けたとき、相関関係はなく、したがって投与量に依存的な出血はなかった(図8および表5)。
Figure 0006051164
手術後の尿排出量または所与の晶質、膠質、血漿もしくはSAGの量に関して2群間で差はなかった。しかし、対照群は、プライムECC(商標)群と比較して有意に多くの膠質を与えられ、プライムECC(商標)群では174mL(±84)であったのに対して対照群では425mL(±167)であった。ICUに入った時点で、すべての患者は標準的な手術に従って処置され、データは患者各々が液体を必要とすることを必ずしも示しているとは限らないことを意味する。
平均値を比較したとき、試験群において出血がより多いという有意ではない傾向があった。しかし、これは個々の患者データのためであった。患者の体重と相関はなく、したがって投与量に相関関係はなかった(図9および表6)。
Figure 0006051164
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Claims (3)

  1. 平衡塩類溶液ならびに膠質および非膠質デキストラン分子の組み合わせを含む、心肺バイパス手術中の患者において膠質浸透圧を維持するための心肺バイパスプライミング液であって
    記膠質デキストランが、35〜55g/Lの濃度のデキストラン40であり、
    前記非膠質デキストランが、1〜10g/Lの濃度のデキストラン1である、
    プライミング液。
  2. 前記デキストラン1の濃度が、1〜5g/Lである、請求項1に記載のプライミング液。
  3. 請求項1又は2に記載の心肺バイパスプライミング液を充てんした心肺バイパス装置。
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