特許文献1に開示されているフローリング用の畳800は、図13からも明らかなように、畳縁(畳べり)を有しており、見た目は、一般的な畳と殆ど同じである。このため、当該畳800を洋間に敷設した場合、洋間の造りのなかに、一般的な畳と見た目には同様の畳が敷設されていることとなり、部屋全体の調和が失われるおそれがある。また、特許文献1に開示されているフローリング用の畳800は、部屋の一部を畳敷きとする場合についての工夫は特になされていない。すなわち、部屋の一部(例えば、部屋の中央部)を畳敷きとする場合には、個々の畳が動かないようにするための工夫などが必要であるが、特許文献1に開示されているフローリング用の畳800においては、このような工夫については言及していない。
一方、特許文献2に開示されている畳の囲い枠900は、複数枚の畳を枠体910で囲うことができるため、枠体910で囲まれている畳を固定することは可能であるが、枠体910の存在が邪魔となる場合もある。
また、枠体910はセルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、それを溶融して形成されているものであるため、畳とは全く異なった質感となり、見た目に違和感を与える場合もある。また、このように形成されている枠体910は、畳よりも硬い材質であるため、枠体910に足のつま先をぶつけた場合には、つま先に相当の痛みを与えることとなる。
このように、従来の技術においては、いずれの場合も、畳を一般的な木製フローリング材と同様の雰囲気を醸し出すのは困難であり、結局は、「洋間を畳敷きにしただけ」又は「洋間の一部を畳敷きとしただけ」といった程度にとどまってしまうのが実情である。
洋間の一部又は全部に畳を敷く場合には、洋間の雰囲気を損なわないようにすることが多くの人が望むところである。このため、特許文献1に開示されているフローリング用の畳800及び特許文献2に開示されている畳の囲い枠900ではその要望を満たすことはできない。
ところで、特許文献1に開示されているフローリング用の畳800及び特許文献2に開示されている畳の囲い枠900おいては、畳のサイズについてはそれぞれの発明の要旨とするところではない。ここで、従来の一般的な畳のサイズは、江戸間サイズ、京間サイズ、団地サイズなど種々のサイズが存在するが、基本的には、幅が3尺(約900mm)、長さが6尺(約1800mm)というのが一般的である。勿論、このようなサイズ以外にも、例えば、900mm×900mmといった正方形のものなども存在するが、これらの畳を製造するには、畳表の原料となる「イ草」は、少なくとも、1000mm程度の長さが必要である。
しかしながら、イ草は天然素材であるため、刈り取った「イ草」のすべてが、1000mm以上の長さを有しているとは限らず、上記した寸法の畳を製造する際には、数十%のイ草が長さ不足となってしまうのが実情である。
そこで本発明は、洋間の雰囲気を損なうことなく畳の感触を味わうことができ、かつ、刈り取った「イ草」を有効利用することができる畳フローリング材を提供することを目的とする。
[1]本発明の畳フローリング材は、畳床としての芯材に畳表が貼り付けられている畳フローリング材であって、前記畳フローリング材及び前記芯材の横方向の辺及び縦方向の辺のうち、前記畳表に用いられているイ草の丈の方向に沿った辺を横方向の辺としたとき、前記畳フローリング材は、当該畳フローリング材の横方向の辺の長さ及び縦方向の辺の長さのうち、少なくとも前記横方向の辺の長さが800mm〜200mmの範囲内であり、厚みが30mm〜10mmの範囲内であって、前記畳表は、前記芯材の上面と、前記芯材の横方向の辺に沿う横方向端面と、前記芯材の縦方向の辺に沿う縦方向端面と、前記芯材の下面の周縁部に形成される帯状の畳表接着しろとを覆うように前記芯材に貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の畳フローリング材によれば、畳表によって芯材の上面を覆うとともに端面から下面の周縁部までを覆った状態とするため、畳表の切断面が人目につくところに現れることがない。これにより、一般的な畳に設けられている畳縁(畳べり)を特に設ける必要がないため、洋間の雰囲気を損なわないようにすることができる。また、畳フローリング材の横方向の長さを800mm〜200mmとしているため、一般的な畳においては不適合となった長さのイ草をも使用可能となり、刈り取った「イ草」を有効利用することができる。
また、畳フローリング材の厚みを30mm〜10mmとしている。畳フローリング材の厚みをこのような厚みとすることにより、一般的な木製のフローリング材とほぼ同様に扱うことができる。なお、畳フローリング材の厚みは、20mm以下とすることが、より好ましい。畳フローリング材の厚みを20mm以下とすることにより、本発明の畳フローリング材を部屋の一部の所定範囲に複数枚敷き詰めるようにして用いる場合においては、元々の床材との段差を小さくすることができる。
[2]本発明の畳フローリング材においては、前記芯材の横方向の辺の長さをαとし、前記芯材の縦方向の辺の長さをβとし、前記芯材の厚みをγとし、前記畳表接着しろにおいて接着される前記畳表の接着幅をδとしたとき、前記畳表を展開した状態の当該畳表の横方向の長さは、ほぼα+2γ+2δの長さを有し、前記畳表を展開した状態の当該畳表の縦方向の長さは、ほぼβ+2γ+2δの長さを有し、前記畳表の横方向の長さのうち、芯材の厚みγに前記畳表の接着幅δを加えた長さに対応する部分を、前記横方向において相反する2方向に延出するそれぞれの横方向延出部とし、前記畳表の縦方向の長さのうち、芯材の厚みγに前記畳表の接着幅δを加えた長さに対応する部分を、前記縦方向において相反する2方向に延出するそれぞれの縦方向延出部としたとき、当該畳表の横方向延出部と畳表の縦方向延出部との共通部分の少なくとも一部を含む所定範囲が切除されていることが好ましい。
畳表の寸法(横方向及び縦方向の長さ)を上記のような寸法とすることにより、畳表が芯材の上面を覆うとともに端面から下面の周縁部までを覆った状態とすることができる。また、畳表の横方向延出部と縦方向延出部との共通部分の少なくとも一部が切除されていることにより、横方向延出部及び縦方向延出部を芯材の角部において折り重ねるような「角部の折り曲げ処理」を容易に行うことができる。
なお、「ほぼα+2γ+2δの長さ」というのは、α+2γ+2δの長さに対して、±20mmの範囲を許容することを意味している。同様に、「ほぼβ+2γ+2δの長さ」というのは、β+2γ+2δの長さに対して、±20mmの範囲を許容することを意味している。。
[3]本発明の畳フローリング材においては、前記芯材は、当該芯材の四隅の各角部に、前記畳表2枚分の厚みに相当する面取り部がそれぞれ形成されていることが好ましい。
このような面取り部が形成されていることにより、当該面取り部において、畳表を折り重ねるような「角部の折り曲げ処理」を行った場合に、畳表を折り重ねることによる畳表の膨らみを吸収することができる。すなわち、面取り部において、畳表が部分的に例えば3枚分重なった場合、そのうちの2枚分の厚みが余分な厚みとなるが、畳表2枚分程度の厚みに相当する面取りが形成されていることにより、当該面取り部によって折り重ねにより生じる畳表2枚分程度の厚みを吸収することができる。それによって、畳フローリング材における上面側の各辺は、それぞれの辺における端部から端部までがほぼ一直線となるため、敷設工程が終了した状態においては、隣接する各畳フローリング材は、外観上、隙間なく敷き詰めることができる。なお、「畳表2枚分の厚みに相当」というのは、畳表の厚みを、1.5mm〜2mmとした場合には、3mm〜4mmの範囲内となる。
[4]本発明の畳フローリング材においては、前記畳フローリング材の平面形状は、短冊状であることが好ましい。
畳フローリング材の平面形状が短冊状であることにより、当該畳フローリング材は一般的な木製フローリング材と似た形状となるため、一般的な木製フローリング材と同様に扱うことができる。
[5]本発明の畳フローリング材においては、前記畳フローリング材における横方向の辺の長さは約600mm、前記縦方向の辺の長さは約150mmであることが好ましい。
短冊状の畳フローリング材をこのようなサイズとすることにより、一般的な木製フローリング材と同様に扱うことができ、敷設工事も一般的な木製フローリング材とほぼ同様に行うことができる。また、畳フローリング材をこのようなサイズを有する短冊状とすることにより、本発明の畳フローリング材を例えば洋間に敷設した場合においても、洋間の雰囲気を損なわないようにすることができる。
なお、横方向の辺の長さを「約600mm」、縦方向の辺の長さを「約150mm」としたのは、京間サイズ、中京間サイズ、江戸間サイズ、団地サイズなどに対応可能とするためである。ここで、「約600mm」というは、550mm〜650mmの範囲内であり、「約150mm」というは、140mm〜160mmの範囲内である。
[6]本発明の畳フローリング材においては、前記畳フローリング材の平面形状は、正方形状であることもまた好ましい。
このように畳フローリング材は正方形であってもよく、このような形状であっても一般的な木製フローリングと同様に扱うことができる。
[7]本発明の畳フローリング材においては、前記畳フローリング材における横方向の辺の長さ及び縦方向の辺の長さはそれぞれ約450mm又は約300mmであることが好ましい。
正方形状の畳フローリング材をこのようなサイズとすることにより、木製の一般的な木製フローリング材と同様に扱うことができ、敷設工事も一般的な木製フローリング材とほぼ同様に行うことができる。また、畳フローリング材をこのようなサイズを有する正方形とすることにより、本発明の畳フローリング材を例えば洋間に敷設した場合においても、洋間の雰囲気を損なわないようにすることができる。
なお、この場合、正方形の畳フローリング材のサイズ(一辺のサイズ)を「約450mm」又は「約300mm」としたのは、京間サイズ、中京間サイズ、江戸間サイズ、団地サイズなどに対応可能とするためである。ここで、「約450mm」というは、420mm〜480mmの範囲内であり、「約300mm」というは、280mm〜320mmの範囲内である。
[8]本発明の畳フローリング材においては、前記芯材は、前記横方向端面及び縦方向端面が上面から下面に向かって内側に傾斜する傾斜面となっていることが好ましい。
このような構成とすることにより、敷設工事が終了した状態においては、隣接する各畳フローリング材は、外観上、隙間なく敷き詰められた状態となる。すなわち、芯材の横方向端面及び縦方向端面(各端面ともいう。))が芯材の上面から下面に向かって内側に傾斜する傾斜面となっていることにより、畳フローリング材においても当該畳フローリング材の各端面が内側に傾斜する傾斜面となる。このため、隣接する畳フローリング材同士は、端面同士の「面接触」ではなく、上面側の辺同士の「線接触」によって接触することとなる。
これにより、隣接する各畳フローリング材に隙間が目立ちにくくなる。これは、隣接する畳フローリング材同士が各端面において面接触で接触していると、畳フローリング材の各端面に存在する畳表のわずかな膨らみなどの影響を受けて隙間が生じ易くなるが、隣接する畳フローリング材の上面側の辺と辺とによる線接触で接触している場合には、そのような影響を受けにくいからである。
[9]本発明の畳フローリング材においては、前記芯材の上面と前記畳表との間にはクッション材が介在されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、畳フローリング材を敷設した後において、歩いたり座ったりしたときの感触を心地よいものとすることができる。
[10]本発明の畳フローリング材においては、前記畳表接着しろから外れる前記芯材の下面の所定範囲には、前記畳表の厚みとほぼ同じか前記畳表の厚みよりもわずかに厚い凸状台座部が形成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、畳フローリング材の下面(床材との接触面)をほぼ平坦とすることができ、畳フローリング材を床材に接着する際に、畳フローリング材を確実に接着することができる。また、畳フローリング材を床材に接着せずに、単に敷くだけの場合においても、畳フローリング材を平坦に敷き詰めることができる。
[11]本発明の畳フローリング材においては、前記凸状台座部は、前記芯材に接着されている添え板であることが好ましい。
このように添え板を貼り付けることによって台座を形成することにより、畳フローリング材の製造工程の順序に融通性を持たせることができる。例えば、添え板が貼り付けられていない状態の方が作業し易い工程が存在する場合には、当該工程を行ったのちに添え板の貼り付けを行うといったことが可能となる。
[12]本発明の畳フローリング材においては、前記凸状台座部は、前記芯材と一体形成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、台座部を形成するための部材を別に用意する必要がなかなり、また、台座部を形成するための工程をなくすことができる。
[13]本発明の畳フローリング材においては、前記芯材の下面には、滑り止め部材が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、部屋の一部の所定範囲に本発明の畳フローリング材を複数枚敷設する場合であっても、枠体などを設けることなく敷設することができる。このため、専門業者などに施工してもらう必要がなく、容易に好みのスペースに畳フローリング材を敷設することができる。
[14]本発明の畳フローリング材においては、前記滑り止め部材は、滑り止めの効果を有するシート状部材であって、当該シート状部材の平面形状は、前記畳フローリング材の形状と対応した形状をなし、横方向の長さ及び縦方向の長さが前記畳フローリング材の横方向の長さ及び縦方向の長さ以下であって、前記畳フローリング材の前記横方向の辺及び縦方向の辺からそれぞれ所定の長さだけ突出するように当該畳フローリング材の下面に貼り付けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、本発明の畳フローリング材を各畳フローリング同士が隣接するように敷設した場合、隣接する畳フローリング材におけるそれぞれの滑り止めシートの突出部分(横方向の辺及び縦方向の辺から突出している部分)同士が重なり合ってしまうといったことをなくすことができる。それによって、本発明の畳フローリング材を部屋の一部の所定範囲に敷き詰めるように敷設した場合、滑り止めシートの重なり合いによる段差が生じることなく、敷設範囲全体を平坦とすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る畳フローリング材100の外観を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係る畳フローリング材100を各方向から見た図である。なお、図2(a)は図1に示す畳フローリング材100の上面101aをz軸に沿って見た場合の平面図であり、図2(b)は図1に示す畳フローリング材100のy−y線矢視断面図であり、図2(c)は図1に示す畳フローリング材100のx−x線矢視断面図であり、図2(d)は図1に示す畳フローリング材100の下面101b(裏面101bともいう。)をz軸に沿って見た場合の平面図である。
畳フローリング材100は、図1及び図2に示すように、畳床としての芯材110と、芯材110の上面111a(図3参照。)に貼り付けられているクッション材120と、芯材110の下面111b(図4(d)参照。)に貼り付けられている台座としての添え板130と、畳表140とを有している。
なお、畳フローリング材100をz軸に沿って畳フローリング材100の上面101aを見たときのx軸に沿った方向の辺を畳フローリング材100の横方向の辺102a,102bとし、畳フローリング材100をz軸に沿って畳フローリング材100の上面101aを見たときのy軸の沿った方向の辺を畳フローリング材100の縦方向の辺102c,102dとする。ただし、実施形態1に係る畳フローリング材100は、横方向に長い短冊状であるため、横方向の辺102a,102bを「長辺102a、102b」、縦方向の辺102c,102dを「短辺102c,102d」と表記する場合もある。
また、横方向の辺102a,102b(長辺102a,102b)及び縦方向の辺102c,102d(短辺102c,102d)は、畳フローリング材100の上面101a側の辺であるとする。
畳表140は、藺草(以下、「イ草」と表記する。)によって製造されており、イ草の丈の方向が長辺(x軸に沿った辺)に沿った方向となるように芯材110に貼り付けられている。また、畳表140は、図2(a)〜(d)に示すように、芯材110の上面111a(図3及び図4参照。)、芯材110の各端面112a〜112d(図3及び図4参照。)を覆った状態で芯材110の下面111b(図3及び図4参照。)の周縁部全周に貼り付けられている。
このように構成されている畳フローリング材100の寸法は、長辺の長さL1が600mm、短辺の長さ(幅ともいう)L2が150mm、厚みT1が17mmであるとする。ここで、長辺の長さL1が600mm、短辺の長さL2が150mmというサイズは、日本における住宅などの間取りの基準となるサイズ(例えば、1800mmの1/n(ただし、nは自然数)のサイズであるために、施工のし易さなど種々の面で好都合なものとなる。
芯材110は、木材を細かく砕いて粉粒状としたものを圧縮して成型したものを用いることができるが、芯材110の材質は特に限定されるものではない。ただし、切断などの加工が容易かつ軽量で、腐食しにくく、反りや捻じれなどが生じにくいものが好ましい。
図3は、芯材110の斜視図である。
図4は、芯材110を各方向から見た場合を示す図である。なお、図4(a)は図3に示す芯材110の上面111aをz軸に沿って見た場合の平面図であり、図4(b)は図3に示す芯材110の端面112aをy軸に沿って見た場合の側面図であり、図4(c)は図3に示す芯材110の端面112cをx軸に沿って見た場合の側面図であり、図4(d)は図3に示す芯材110の下面111bをz軸に沿って見た場合の平面図である。また、芯材110においても、当該芯材110の横方向の辺116a,116bを「長辺」と表記し、芯材110の縦方向の辺116c,116dを「短辺」と表記する場合もある。なお、芯材110の横方向の辺(長辺)116a,116b及び縦方向の辺(短辺)116c,116dはそれぞれ芯材110の上面側の辺であるとする。
芯材110の長辺116a,116bの長さα及び短辺116c,116dの長さβは、畳フローリング材100の寸法(長辺102a,102bの長さ600mm及び短辺102c,102dの長さ150mm)に対して、畳表140の厚み(約1.5mm〜2mm)分だけ小さくなっている。
具体的には、畳表140の厚みを仮に2mmとすれば、芯材の長辺116a,116bの長さαは約596mmであり、芯材の短辺116c,116dの長さβは約146mmである。また、芯材110の厚みγは、畳フローリング材100の厚み(17mm)に対して、畳表140の厚みとクッション材120の厚み(2mm程度)と、添え板130の厚みT2(2mm程度)の分だけ小さくなっている。すなわち、畳表140の厚みを2mm、クッション材120の厚みを2mm、添え板の厚みを3mmとすれば、芯材110の厚みγは約10mmである。
また、芯材110は、当該芯材の各端面112a〜112dをy軸及びx軸に沿って見たときの形状が逆台形をなしている(図2(b),(c)及び図4(b),(c)参照。)。すなわち、芯材110は、上面111aの面積よりも下面111bの面積が小さくなっており、芯材110の各端面112a〜112dは、それぞれが上面から下面に向かうほど内側に傾斜するような傾斜面となっている。
これにより、芯材110の上面111aと各端面112a〜112dとのなす角度θ1(図2(b),(c)及び図4(b),(c)参照。)は鋭角となる。θ1は80度程度が好ましい。なお、芯材110の4つの端面112a〜112dのうち、端面112a,112bを「横方向端面112a,112b」と呼び、端面112c,112dを「縦方向端面112c,112d」と呼ぶ場合もある。
芯材110の各端面112a〜112dが上記したような傾斜面となっていることにより、畳フローリング材100の端面103a,103b及び端面103c,103dも芯材110の各端面112a〜112dと同様の傾斜面となる。なお、畳フローリング材100においても、当該畳フローリング材100の端面103a,103bを「横方向端面103a,103b」と呼び、端面103c,103dを「縦方向端面103c,103d」と呼ぶ場合もある。
また、芯材110は、図4に示すように、芯材110の四隅の各角部(横方向端面112a,112bのそれぞれの両端部)には、畳表140のほぼ2枚分の厚みに相当する面取り部113がそれぞれ形成されている。
この面取り部113は、横方向端面112a,112bの各端部から30mm〜40mm程度の位置を起点に芯材110の縦方向端面112c、112dに向かって5度程度の角度で斜めに切り欠くことによって形成される。それによって、芯材110の長辺116a,116bのそれぞれの両端が縦方向(y軸に沿った方向)にc1だけそれぞれ切り欠かれた状態となる。このため、芯材110の短辺116c,116dの幅は、その分だけ狭くなっている。なお、c1は3mm〜4mmとし、この3mm〜4mmというのはというのは、畳表140の2枚分の厚みに相当する。
なお、このような面取り部113を設けるのは、次のような理由によるものである。すなわち、畳表140を芯材110に貼り付ける際には、芯材110の四隅の各角部において畳表140を折り重ねるような「角部の折り曲げ処理」を行うが、このような「角部の折り曲げ処理」を行ったときに、畳表140の厚みによる膨らみ生じてしまい、畳フローリング材100の縁(へり)の直線性が失われるのを防ぐためである。なお、芯材110の角部において行う「角部の折り曲げ処理」については後に説明する。
また、芯材110の下面111bには、図4(b)〜図4(d)に示すように、台座としての添え板130が貼り付けられている。添え板130は、芯材110の下面111bの周縁部に全周に渡って帯状の余白部115を残すようにして芯材110の下面111bに貼り付けられる。これにより、芯材110の下面111bにおける余白部115と添え板130との間には、当該添え板130の厚みT2(図4(b),(c)参照。)に相当する段差が形成される。なお、余白部115は、畳表140を接着するための「畳表接着しろ」として用いられ、当該「畳表接着しろ」における畳表140の接着幅δ(図2(d)参照。)は30mm程度としている。
また、添え板130の厚みT2は、畳表140の厚みと同じかわずかに厚くする。これにより、畳表140を余白部115に接着したときに畳フローリング材100の下面側全体をほぼ同一平面か、添え板130の表面(床板との接触面)がわずかに出っ張る状態となるため、畳フローリング材100を床板(図示せず。)に接着材により接着する際に、添え板130と床板とを確実に接触させた状態で接着することができる。
図5及び図6は、畳フローリング材100の製造工程を説明するために示す図である。
まず、芯材110、クッション材120及び畳表140を準備する。なお、畳表140は、上記したように、「イ草」の丈の方向が畳フローリング材100の長辺に沿う方向(x軸に沿った方向)となるように芯材110に張り付けられる。
なお、この場合、畳フローリング材100の横方向の長さを600mmとしているため、畳表140を製造するために使用する「イ草」の長さは、畳表140の折り曲げ部分を含めて700mm程度あれば十分である。ちなみに、一般的な畳は、幅が約900mmであるため、イ草の長さは、少なくとも1000mm程度必要であり、それよりも短いイ草は、一般的な畳を製造する上では、不適合品とされてしまい、廃棄されてしまう場合もある。
これに対して、畳フローリング材100においては、このような不適合品とされたイ草であっても、700mm程度の長さがあれば十分使用可能となる。このため、畳フローリング材100においてはイ草を有効活用することができる。
以下、図5及び図6により畳フローリング材100の製造工程について説明する。
準備した芯材110の上面111aに接着剤(図示せず。)を塗布し、接着剤を塗布した芯材110にクッション材120を貼り付ける(図5(a)参照。)。なお、図5(a)は芯材110の端面112aをy軸に沿って見た側面図である。
次に、クッション材120が貼り付けられた芯材110のクッション材120側を畳表140の裏面に接触させるように畳表140上で位置決めする(図5(b)参照。)。なお、図5(b)及び以下に説明する図5(c)は畳表140を芯材110の上側に配置した状態を示す平面図である。このとき、畳表140は所定の寸法となるように予め切断しておいてもよく、また、芯材110を貼り付けた状態とした後に、所定の寸法となるように切断するようにしてもよい。いずれの場合も、畳表140は、芯材110の上面111aの長辺116a,116b及び短辺116c,116dからそれぞれ40mm程度の延出部を形成することができる大きさとする。
具体的には、芯材110の長辺116a,116bの長さをαとし、芯材110の短辺116c,116dの長さをβとし、芯材110の厚みをγとし、畳表接着しろ(余白部115)において接着される畳表の接着幅をδとしたとき、畳表140を展開した状態の当該畳表140の横方向の長さL3は、ほぼα+2γ+2δの長さとし、当該畳表140の縦方向の長さL4は、ほぼβ+2γ+2δの長さとする。
なお、「ほぼα+2γ+2δの長さ」というのは、α+2γ+2δの長さに対して、±20mmの範囲を許容することを意味している。同様に、「ほぼβ+2γ+2δの長さ」というのは、β+2γ+2δの長さに対して、±20mmの範囲を許容することを意味している。
畳表140をこのような寸法に設定することにより、畳表140は、畳表140を展開したときの畳表140の縦方向の長さL4のうち、芯材110の厚みγに畳表140の接着幅δを加えた長さ(γ+δ)だけ、芯材110の2つの長辺116a,116bから縦方向(y軸に沿った方向)において相反する2方向にそれぞれ延出する。また、畳表140は、畳表140を展開したときの畳表140の横方向の長さL3のうち、芯材110の厚みγに畳表140の接着幅δを加えた長さ(γ+δ)だけ、芯材110の2つの短辺116c,116dから横方向(x軸に沿った方向)において相反する2方向にそれぞれ延出する。
ここで、縦方向(y軸に沿った方向)にそれぞれ延出する延出部を縦方向延出部141a,141bとし、横方向(x軸に沿った方向)にそれぞれ延出する延出部を横方向延出部141c,141dとする。なお、図5(b)において、灰色で示されている部分は、縦方向延出部141a,141bと横方向延出部141c,141dとの共通部分142を示している。なお、共通部分142は展開した状態の畳表140の四隅にそれぞれ存在する。
次に、図5(b)の状態において、展開した状態の畳表140の四隅の所定範囲(共通部分142の少なくとも一部を含む所定範囲)を不要部分として切除する(図5(c)参照。)。実施形態1に係る畳フローリング材100においては、長辺に沿う方向(x軸に沿う方向)及び短辺に沿う方向(y軸に沿う方向)にそれぞれ切り込みを入れることによって不要部分を切除する。このとき、長辺に沿う方向においては、x軸に平行となるような切断線H1に沿って切り込み、短辺方向(y軸方向)においては、切断線H1に対して所定角度θ2(θ2は110度程度とする。)をなすような切断線H2に沿って切り込む。なお、このような不要部分の切除はプレス加工などによって行うことも可能である。
また、このとき、切断線H1と切断線H2との各交点P11,P112,P13,P14のうち、交点P11と交点P12との間隔及び交点P13と交点P14との間隔(それぞれL5とする。)は芯材110の長辺116a,116bの長さαとほぼ同等とし、交点P11と交点P13との間隔及び交点P12と交点P14との間隔(それぞれL6とする。)は芯材110の短辺116c,116dの長さβに芯材110の厚みγを加えた長さとすることが好ましい。なお、図5(b),(c)においては、芯材110の厚みγに畳表140の接着幅δを加えた長さ(γ+δ)は、長辺116a,116b及び短辺116c,116dの長さに対してやや誇張して描かれている。
次に、畳表140の縦方向延出部141a、141b及び横方向延出部141c、141dを芯材110の各端面112a〜112dに沿うように折り曲げて、芯材110の下面(裏面)111b側に巻き込ませるための折り曲げ工程を行う。この折り曲げ工程を図6により説明する。なお、図6は折り曲げ工程を行う際の芯材110の四隅の各角部のうちのある1つの角部(端面112aと端面112cとの角部とする。)における折り曲げ工程について説明するための図である。
まずは、畳表140と芯材110との各接着部分に接着剤を塗布したのち、図6(a)示すように、畳表140の横方向延出部141cを芯材110の縦方向端面112cにおける短辺116cを折り目として折り曲げる。
そして、横方向延出部141cを芯材110の端面112cに沿わせたのち、図6(b)に示すように、芯材110の縦方向端面112cにおける下面側の短辺117cを折り目として折り曲げて、横方向延出部141cを芯材110の下面(裏面)112bにおける「畳表接着しろ」としての余白部115(図4(d)参照。)に沿わせて圧接する。このとき、畳表140と芯材110との各接着部分には接着剤が塗布されているため、畳表140の横方向延出部141cは図6(b)の状態で芯材110に接着された状態となる。
なお、図6(b)の状態においては、畳表140は芯材110の縦方向端面112cの端部に出っ張り部K(図6(b)参照。)が形成される。ところで、畳表140を折り曲げる際には、畳表140にスチームを吹き付けて折り曲げる。スチームを吹き付けるのは畳表140を柔らかくして折り曲げやすくするためである。
次に、図6(c)に示すように、畳表140の縦方向延出部141aを、畳表140の横方向延出部141cの場合と同様に、芯材110の端面112aにおける長辺116a及び下面側の長辺117aを折り目として折り曲げる。このとき、畳表140には出っ張り部Kが形成されているため、この出っ張り部Kを内部に折り込むように当該出っ張り部Kの部分の畳表を折り重ねながら折り曲げる「角部の折り曲げ処理」を行うとともに、畳表140の縦方向延出部141aで芯材110の端面112aに沿わせたのちに、芯材110の下面111bにおける「畳表接着しろ」としての余白部115に沿わせて圧接する。このとき、畳表140と芯材110との各接着部分には接着剤が塗布されているため、畳表140の縦方向延出部141aは図6(c)の状態で芯材110に接着された状態となる。
図6(a)〜(c)に示すような一連の折り曲げ工程を行うことにより、端面112cと端面112aとの角部においては、図6(c)のように、畳表140が折り重なった状態となる。なお、図6(c)においては分かりにくいが、端面112cと端面112aとの角部においては、畳表140は部分的に畳表が3枚重なった状態(三重に折り重なった状態)となる。
このように、畳表が三重に折り重なった状態となると、当該三重に折り重なった状態となっている箇所は、他の箇所(畳表が1枚の箇所)に比べて畳表2枚分だけ厚くなる。この畳表2枚分の厚みが畳フローリング材100の長辺102aの膨らみとなって現れ、畳フローリング材100の長辺の直線性が失われることとなる。
しかし、実施形態1に係る畳フローリング材100においては、長辺102aの直線性を維持することができる。これは、図3及び図4において説明したように、芯材110の角部(端面112aの端部)に畳表2枚分の厚みに相当する面取り部113が存在するからであり、当該面取り部113が畳表140を折り重ねることにより生じる厚み分を吸収するからである。
なお、図6(a)〜図6(c)は、芯材110の4箇所の角部のうちの一箇所の角部についての説明であったが、他の角部においても同様に実施することができる。
ところで、上記したような畳表140を折り曲げる工程は、図5及び図6に示す各工程のすべてを人手によって行うことも可能であるが、これら各工程のすべて又は一部を専用の機械(図示せず。)を用いて行うことも可能である。
図7は、畳フローリング材100を部屋300に敷設する際の施工例について説明するために示す図である。図7(a)は施工途中の状態を示す図であり、図7(b)は施工が終了した状態を示す図である。なお、図7は部屋300を平面的に示す図であり、当該部屋300は全体的には洋間風の造りであるとし、その広さは畳の広さに置き換えた場合、4畳半程度の広さであるとする。
また、図7の場合は、例えば、住宅の建設当初から畳フローリング材100を敷設するものとして説明する。このため、畳フローリング材100は床の下地材(合板など)の上に敷設するものとする。なお、図7においては、部屋の出入り口などは図示を省略している。
ここで用いる畳フローリング材100のサイズは、上記したように長辺が600mmであり、短辺が150mmであるとする。このような畳フローリング材100を部屋300に敷設するには、部屋300の隅(例えば、図7における左上の角部とする。)から一般的な木製フローリン材と同様に、畳フローリング材100の短辺102cを壁面310aに当接させるとともに長辺102bを壁面310bに当接させた状態でx軸に沿って敷設して行く。
このとき、1列の最後尾の畳フローリング材100の長さが余った場合には、余った長さの部分(1/2の長さ(300mm)とする。)を切断し、当該切断された300mmの畳フローリング材を今度は、次の列(2列)の先頭となるように順次敷設して行く(図7(a)参照。)。このような工程を繰り返し行うことによって、部屋300全体に畳フローリング材100を敷設することができる(図7(b)参照。)。なお、畳フローリング材100は、畳表140と木材を原料とする芯材110とによって構成されているため、一般的な木製フローリング材と同様に容易に切断可能である。
上記のようにして畳フローリング材を順次敷設した場合、最終の列(16列)において、壁面310dとの間に畳フローリング材の短辺の長さ(150mm)よりも小さいスペース(例えば、70mmとする。)しか残らない場合もあるが、このような場合には、畳フローリング材100の幅が70mmとなるように切断加工して敷設する。畳フローリング材100の幅を狭くするための切断加工は、畳フローリング材100を長辺に沿って切断すればよい。
また、畳フローリング材100と各壁面310a〜310dとが当接する箇所において、切断した畳フローリング材の切断面を隠すために、図示は省略するが、仕上げ材(化粧材)としての幅木を各壁面310a〜310dと畳フローリング材100との接触部分に一周(出入り口などは除く)に渡って取り付けることが好ましい。
このように、畳フローリング材100は、一般的な木製フローリング材とほぼ同様の施工の仕方で敷設することができる。また、図7のように、それぞれの列において隣接する畳フローリング材100が長辺方向において所定長さだけ「ずれ」が生じるような配列とすることにより、敷設が終了した状態においては、部屋全体が一般的な木製フローリングと同様に互い違いのモザイク模様とすることができる(図7(b)参照。)。
なお、ある列(例えば1列)において畳フローリング材が余ることなく、丁度の長さであった場合には、次の列(2列)の先頭においては、畳フローリング材を例えば、1/2などに切断したものを貼るというように、隣接する列における先頭の畳フローリング材100の長さを「通常の長さ」と「1/2の長さ」を交互に繰り返すことによって、上記したように、互い違いのモザイク模様とすることができる。
また、図7(b)の施工例では、それぞれの列において隣接する畳フローリング材100が長辺方向において1/2の長さだけ「ずれ」が生じるような配列としたが、ずれの大きさは1/2に限られるものではなく、「ずれ」の大きさは任意に設定可能であるである。このようにすることにより、一般的な木製フローリングにより近い雰囲気を持たせることができる。
図8は、敷設の仕方の変形例を説明するために示す図である。すなわち、上記した図7の施工例においては、それぞれの列において隣接する畳フローリング材100が長辺方向において所定長さ(1/2の長さ)だけ「ずれ」が生じた状態での配列としたが、このような配列とすることなく、図8に示すように、各畳フローリング材100の各短辺(102c,102d)がy軸に沿った同一直線上となるような配列となるように施工することも可能である。この場合、畳フローリング材100をx軸に沿った方向に並べて敷設したときに、各列の最後段の畳フローリング材の長さに余りが生じる場合は、各列ごとに余った部分を切断すればよい。
以上説明したように、実施形態1に係る畳フローリング材100は、畳表140によって芯材110の上面111aを覆うとともに芯材110の各端面112a〜112dから下面111bの周縁部(余白部115)までを覆うように芯材110に貼り付けられているため、個々の畳フローリング材100において畳表140の切断面が人目につくところに現れることがない。このため、畳縁(畳べり)を設ける必要がなく、洋間の雰囲気を損なわない畳フローリング材100とすることができる。
また、畳フローリング材100の横方向の辺の長さを600mmとしているため、一般的な畳においては不適合となった長さのイ草をも使用可能となり、刈り取った「イ草」を有効利用することができる。
また、畳フローリング材100は、短辺102c,102dが直線であることは勿論のこと、長辺102a,102bも当該長辺102a,102bの一方の端部から他方の端部までがほぼ一直線となり、かつ、長辺102a,102bと短辺102c,102dとのなす角度が直角であるため、敷設が終了した状態においては、隣接する各畳フローリング材は、短辺同士は勿論のこと長辺同士も隙間なく敷き詰められた状態となる。
このように、長辺102a,102bの一方の端部から他方の端部までが直線となり、かつ、長辺102a,102bと短辺102c,102dとのなす角度が直角となるのは、上記したように、芯材110の四隅の各角部に形成されている面取り部113によって、畳表を折り重ねることにより生じる畳表の膨らみを吸収することができるからである。
また、隣接する各畳フローリング材に隙間が生じることなく畳フローリング材を敷設することができるのは、上記した理由の他に、芯材110の各端面112a〜112dが上面111aから下面111bに向かって内側に傾斜する傾斜面となっているためである。
このように、芯材110の各端面112a〜112dが上面111aから下面111bに向かって内側に傾斜する傾斜面となっていることにより、隣接する畳フローリング材100同士が「面接触」ではなく、辺と辺とによる「線接触」となるため、隣接する各畳フローリング材に隙間が生じることなく畳フローリング材100を敷設することができる。すなわち、隣接する畳フローリング材同士が各端面において面接触で接触していると、畳フローリング材の各端面に存在する畳表のわずかな膨らみなどの影響を受けて隙間が生じ易くなるが、隣接する畳フローリング材の辺と辺とによる線接触で接触している場合には、そのような影響を受けにくいからである。
また、畳フローリング材100は、各端面に本実(ほんざね)加工と呼ばれる凹凸加工が施されている一般的な木製フローリング材と異なり、隣接する畳フローリング材同士は、凹凸によって嵌め合わされた状態で敷設されるものではないため、敷設後において、仮に、ある特定箇所の畳フローリング材のみを交換するような場合、交換対象となる畳フローリング材のみを取り外して、新たな畳フローリング材を敷設するといった補修工事も容易に行える。
[実施形態2]
上記した実施形態1においては、部屋全体に畳フローリング材を敷き詰める場合について説明したが、実施形態2においては、部屋の一部(例えば、部屋の中央部の所定範囲)に畳フローリング材を敷設する場合について説明する。
図9は、実施形態2に係る畳フローリング材200を説明するために示す図である。なお、図9(a)は畳フローリング材200をz軸に沿って上面101aを見た場合の平面図であり、図9(b)は畳フローリング材200をz軸に沿って下面101bを見た場合の平面図であり、図9(c)は畳フローリング材200をy軸に沿って端面103aを見た場合の側面図である。
畳フローリング材200は、畳フローリング材本体210の裏面側に滑り止め部材として滑り止めシート220を貼り付けた構成となっている。なお、畳フローリング材本体210は、実施形態1において説明した畳フローリング材100と同じ構成となっている。このため、畳フローリング材100と同一部分には同一符号が付されている。
畳フローリング材200は、図9に示すように、畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)の裏面側に滑り止めシート220が貼り付けられている。なお、滑り止めシート220としては、例えば、滑り止め加工を施したシート状のフェルト材などを使用することができる。このようなフェルト材は市販のものを使用することができる。
滑り止めシート220は、畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)に対応する形状をなし、実施形態2に係る畳フローリング材200においては、畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)と相似形状をなしている。なお、畳フローリング材200においては、滑り止めシート220の横方向の長さL7及び縦方向の長さL8が畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)の横方向の長さ(約600mm)及び縦方向の長さ(約150mm)と同じであるとしている。また、滑り止めシート220の厚みT3は、畳フローリング材200の厚みに大きな影響を与えなければ特に限定されるものではないが、3mm以下のものが好ましい。
このような寸法を有する滑り止めシート220を畳フローリング材本体210の下面(畳フローリング材100の下面101b)に貼り付けることにより、畳フローリング材200とすることができる。なお、滑り止めシート220は、畳フローリング材本体210の上面101aの4辺(長辺102a,102b及び短辺102c、102d)のうち、直交する2辺(例えば、長辺102aと短辺102d)からそれぞれ所定長さΔL(ΔL=15mm〜30mm程度)だけ外方に突出するように畳フローリング材200の下面101bに貼り付けられている。
このため、畳フローリング材200の下面においては、滑り止めシート220が貼り付けられていない領域が存在することとなる。なお、畳フローリング材200の裏面において、滑り止めシート220が貼り付けられていない領域を「滑り止めシート非貼着領域230」と呼ぶことにする。
図10は、畳フローリング材200の敷設の仕方を説明するために示す図である。図10(a)は2つの畳フローリング材(図10に限っては畳フローリング材200A、畳フローリング材200Bとする。)をx軸に沿って敷設する場合を示す図であり、図10(b)は2つの畳フローリング材200A,200Bをy軸に沿って敷設する場合を示す図である。
図10(a)に示すように、畳フローリング材200A,200Bをx軸方向に沿って敷設する場合、畳フローリング材200Aにおける滑り止めシート(滑り止めシート220Aとする。)における短辺側突出部と、畳フローリング材200Bにおける滑り止めシート非貼着領域(滑り止めシート非貼着領域230Bとする。)とが対向した状態となるため、畳フローリング材200Aの滑り止めシート220Aと畳フローリング材200Bの滑り止めシート(滑り止めシート220Bとする。)とが重なり合うことがない。
同様に、畳フローリング材200A,200Bをy軸方向において隣接するように敷設する場合も、畳フローリング材200Aにおける滑り止めシート220Aの長辺側突出部と、畳フローリング材200Bにおける滑り止めシート非貼着領域230Bとが、互いに対向した状態となるため、畳フローリング材200Aの滑り止めシート220Aと畳フローリング材200Bの滑り止めシート220Bとが重なり合うことがない。
これにより、畳フローリング材200を部屋の一部の所定範囲に敷き詰めるように敷設した場合、滑り止めシート220の重なり合いによる段差が生じることなく、敷設範囲全体を平坦とすることができる。
図11は、部屋300の一部の所定範囲に複数枚の畳フローリング材200を敷設した状態を示す図である。なお、図11においては、畳フローリング材200の長辺102a,102bをx軸に沿った方向とし、短辺102c,102dをy軸に沿った方向として、x軸に沿った方向においては3枚、y軸に沿った方向においては12枚敷設した場合を示している。
実施形態2に係る畳フローリング材200を用いることにより、従来用いられていた囲い枠(例えば、図14における枠体910)が不要となる。これは、畳フローリング材200は、裏面に滑り止めシート220が設けられているためである。
なお、図11に示すように畳フローリング材200を敷設する場合、x軸方向及びy軸方向においてそれぞれ最後尾に位置する畳フローリング材においては、長辺102a及び短辺102dから突出している滑り止めシート220の突出部が露出したままとなるため、当該滑り止めシートの突出部を切断することが美観上好ましい。
図11に示すように敷設された畳フローリング材200は、畳フローリング材200に特別な外力を与えない限り、敷設された畳フローリング材200が動いてしまうということは殆どない。
なお、図11おいては、各畳フローリング材200の短辺102c,102dがそれぞれy軸に沿った方向において同一線上となるような配置の仕方で敷設したが、図7と同様の配置となるように敷設すれば、互い違いのモザイク模様とすることができる。
また、畳フローリング材200の長辺方向の長さを、標準サイズ(600mmとする。)と、当該標準サイズの例えば1/2サイズ(300mm)、2/3サイズ(400mm)、3/4サイズ(450mm)などを用意し、これらのサイズの畳フローリング材を例えば長辺に沿った方向(x軸に沿った方向)の途中に介在させるというようにすれば、畳フローリング材を切断することなく、畳フローリング材の長辺に沿った方向の敷設範囲をある程度任意に設定することができる。また、このようなサイズの異なる畳フローリング材を用意しておくことにより、図7(b)に示すような配列での敷設を容易に実現できる。
以上説明したように、実施形態2に係る畳フローリング材200によれば、各畳フローリング材200ごとに裏面に滑り止めシートが設けられているため、実施形態1に係る畳フローリング材100で得られる効果に加えて、部屋の一部の所定範囲に当該畳フローリング材を複数枚敷設する場合であっても、囲い枠などを設けることなく敷設することができるといった効果が得られる。このため、実施形態2に係る畳フローリング材200を用いることにより、専門業者などに施工してもらう必要がなく、容易に好みのスペースに畳フローリング材200を敷設することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記各実施形態においては、畳フローリング材100,200の寸法を、長辺を600mm、短辺を150mmとし、厚みを約17mmとした場合を例示したが、これに限られるものではない。ただし、通常の畳(幅が約900mm)を製造する際に、不適合とされたイ草を有効利用できるようにすることを考えると、長辺の長さ(イ草の丈に沿った方向の長さ)は800mm以下に抑えることが好ましい。また、長辺の長さが短すぎると、敷設しにくいといった課題もあるため、畳フローリング材としては、長辺の長さが800mm〜200mmの範囲内とすることが好ましい。
なお、長辺と短辺は、800mm〜200mmの範囲で種々設定可能である。上記各実施形態においては、畳フローリング材100,200の寸法を、長辺を600mm、短辺を150mmとしたが、京間サイズ、中京間サイズ、江戸間サイズ、団地サイズなどに対応可能とするためには、長辺を「600mm」、短辺を「150mm」というように決めずに、長辺は「約600mm」、短辺は「約150mm」というように、600mm及び150mmに対して許容範囲を持たせることも可能である。ここで、「約600mm」というのは、「550mm〜650mm」の範囲内であり、「約150mm」というのは、「140mm〜160mm」の範囲内である。
また、畳フローリング材100,200の厚みは、通常の畳よりも十分に薄いことが好ましく、30mm〜10mm程度の範囲となるようにすることが好ましい。
(2)上記各実施形態においては、畳フローリング材100,200は短冊状(細長い長方形状)としたが、正方形であってもよい。畳フローリング材100,200を正方形とする場合には、例えば、一辺が300mm又は450mm程度の大きさとすることが、敷設のし易さ及び外観上などの面で好ましい。このように、450mm及び300mmというサイズは、上記600mm及び150mmと同様、日本における住宅などの間取りの基準となるサイズの1/n(ただし、nは自然数)のサイズであるために、施工のし易さなど種々の面で好都合なものとなる。
なお、この場合も、京間サイズ、中京間サイズ、江戸間サイズ、団地サイズなどに対応可能とするためには、「450mm」又は「300mm」というように決めずに、「約450mm」又は「約300mm」というように、450mm及び300mmに対して許容範囲を持たせることも可能である。ここで、「約450mm」というのは、420mm〜480mmの範囲内であり、「約300mm」というは、280mm〜320mmの範囲内である。
(3)上記各実施形態においては、芯材110の面取り部113は、芯材110の端面112a、112b両端部を斜めに切断することによって形成するようにしたが、これに限られるものではない。
図12は、芯材110に形成される面取り部113の変形例を説明するために示す図である。芯材110に形成される面取り部113は、図12に示すように、芯材110の四隅の各角部がL字型に切除されているものであってもよい。この場合、切除する部分の長辺に沿った方向の長さL10は30mm〜40mm程度、短辺に沿った方向の長さL11は畳表2枚分の厚み(例えば3mm〜4mm)程度とすることが好ましい。
(4)上記各実施形態においては、添え板130を芯材110の下面に貼り付けることによって、芯材110の下面側に台座を形成するようにしたが、台座は芯材と一体成型されたものであってもよい。このように、台座を芯材に一体成型されたものとすることにより、添え板130を別部品として用意する必要がなくなる。
(5)上記各実施形態においては、芯材110は、木材を細かく砕いて粉粒状としたものを圧縮して成型したものを用いたが、これに限られるものではなく、合板によって作られたものであってもよい。
また、芯材は必ずしも木材を素材として製造されている必要はなく、例えば、合成樹脂によって製造されたものであってもよい。また、木製の芯材(例えば実施形態において用いた芯材110)の少なくとも上面に合成樹脂をモールドしたものであってもよい。なお、合成樹脂を適度な弾力を有するものとすれば、畳表140と芯材110との間にはクッション材120を介在させなくても済む場合もある。また、芯材110の全体を合成樹脂とすることにより、添え板130と同等の台座を一体成形により容易に形成することができる。
(6)上記実施形態2においては、滑り止めシート220は畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)と相似形状とし、かつ、滑り止めシート220の横方向の辺の長さ及び縦方向の辺の長さを畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)と同じとしたが、滑り止めの効果を損なわない範囲で、当該滑り止めシート220の横方向の辺の長さ及び縦方向の辺の長さの一方又は両方を、畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)よりも小さくしてもよい。また、滑り止め効果が得られ、かつ、隣接する畳フローリング材同士において、互いに滑り止めシートが重なり合わないようにできれば、必ずしも、畳フローリング材本体210(畳フローリング材100)と相似形である必要はない。