以下、本発明の電池監視装置、及び、電池ユニットを適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の電池監視装置及び電池ユニットを示す図である。
実施の形態の電池ユニット100は、主な構成要素として、ECU(Electric Control Unit:電子制御装置)110と、スタック120及び130とを含む。スタック120及び130は、それぞれ、複数のセル150とIC(Integrated Circuit:集積回路)チップ160を含む。実施の形態の電池監視装置は、ECU110と、スタック120及び130に含まれるICチップ160とによって構成される。
なお、図1には、電池ユニット100の平面視での配置の一例を概略的に示す。ECU110とスタック120及び130との配置は、図1に示すパターンに限られず、他のパターンによる配置であってもよい。
電池ユニット100は、例えば、電気自動車の駆動装置を駆動するための電力を出力する電源として用いられる装置である。ここで、電気自動車の駆動装置とは、電池ユニット100の電力を用いて走行用モータを駆動することにより車両を駆動させる装置である。
なお、電気自動車は、電力を用いて走行用モータを駆動して走行するものであれば、その方式や構成の詳細は任意である。電気自動車は、典型的には、動力源がエンジンと走行用モータであるハイブリッド自動車(HV(Hybrid Vehicle))、動力源が走行用モータのみである電気自動車(EV(Electric Vehicle))を含む。
ECU110は、電池ユニット100のスタック120及び130の電圧制御処理を実行する制御装置であり、第1制御部の一例である。ECU110は、電圧制御部110A、及びメモリ110Bを含む。メモリ110Bはデータの書き込み及び読み出しが可能な不揮発性メモリである。なお、ECU110は、スタック120及び130の認証処理を行う認証部をさらに有していてもよい。
また、ECU110による電圧制御処理については後述することとし、ここでは、図1を用いて、ECU110とスタック120、130の物理的な構成について主に説明する。
スタック120と130は、同様の構成を有し、ケーブル140で直列に接続されている。このため、ここでは、スタック120の構成について詳しく説明する。
スタック120は、複数のセル150とICチップ160を含む。図1には、スタック120に含まれる複数のセル150のうち、両端に位置する8つのセル150H1、150H2、150H3、150H4、150L1、150L2、150L3、150L4を示す。
なお、以下では、セル150H1、150H2、150H3、150H4、150L1、150L2、150L3、150L4と、セル150L4及びセル150H1との間に位置するセル150(図示を省略)とを特に区別しない場合には、単にセル150と称す。
各セル150には+と−の符号で正極性端子と負極性端子の位置を示す。スタック120に含まれる複数のセル150は、接続部151によって直列に接続されている。
セル150H1、150H2、150H3、150H4は、接続部151H1、151H2、151H3によって直列に接続されている。また、セル150H4の正極性端子(+)は、接続部151H4を介してケーブル140の一端140Aに接続されており、セル150H1の負極性端子(−)は接続部151Aに接続されている。
同様に、セル150L1、150L2、150L3、150L4は、接続部151L1、151L2、151L3によって直列に接続されている。また、セル150L4の正極性端子(+)は、接続部151L4を介して図示しないセル150の負極性端子(−)に接続されており、セル150L1の負極性端子(−)は接続部151Bに接続されている。
なお、接続部151A、151H1、151H2、151H3、151H4、接続部151B、151L1、151L2、151L3、151L4を特に区別しない場合には、単に接続部151と称す。
また、セル150L4とセル150H1との間に位置する複数のセル150(図示を省略)は、図示しない接続部151によって直列に接続されている。これにより、スタック120に含まれる複数のセル150は、接続部151によって直列に接続されている。
従って、スタック120に含まれる複数のセル150のうち、最も電位が高いのはセル150H4であり、最も電位が低いのはセル150L1である。
各セル150は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池である。ここでは、リチウムイオン二次電池のことをリチウムイオン電池と称する。リチウムイオン電池は、過充電や過放電に弱いことから、保護回路を設け、過充電保護、過放電保護、及び過電流保護を行う。過充電保護、過放電保護、及び過電流保護は、ECU110とICチップ160とが協働することによって行われる。
ICチップ160は、スタック120に含まれるセル150を4つずつ管理するように構成されている。図1には、セル150H1、150H2、150H3、150H4に接続されるICチップ160Hと、セル150L1、150L2、150L3、150L4に接続されるICチップ160Lを示す。
図示を省略するが、セル150L4とセル150H1との間に位置する複数のセル150については、4つのセル150に対して、1つのICチップ160が接続されている。すなわち、スタック120には、4の倍数個のセル150が含まれており、4つのセル150に対して、1つのICチップ160が接続されている。
ここで、1つのICチップ160に接続される4つのセル150をブロック150Bと称する。すなわち、セル150H1、150H2、150H3、150H4は、ブロック150BHを構成し、セル150L1、150L2、150L3、150L4は、ブロック150BLを構成する。
また、スタック120に含まれる複数のICチップ160(ICチップ160H、160Lを含む)を特に区別しない場合には、単にICチップ160と称す。各ICチップ160は、第2制御部の一例である。
ICチップ160Hは、5本のケーブル161を介して、接続部151A、151H1、151H2、151H3、151H4に接続されている。ICチップ160Hは、5本のケーブル161を介して、セル150H1、150H2、150H3、150H4の各々の両端間電圧を検出する。
同様に、ICチップ160Lは、5本のケーブル161を介して、接続部151B、151L1、151L2、151L3、151L4に接続されている。ICチップ160Lは、5本のケーブル161を介して、セル150L1、150L2、150L3、150L4の各々の両端間電圧を検出する。
また、各ICチップ160は、信号線170を介して、ECU110とループ状に接続されている。ECU110は、信号線170を介して、電圧制御処理に際してデータ等の伝送を行う。
図1に示す信号線170は、ECU110と各ICチップ160との間をループ状に接続している。信号線170は、ICチップ160Hで折り返しており、デイジーチェーンを構築している。ECU110からICチップ160に伝送されるデータは、各ICチップ160を順番に伝送されて、ECU110に戻るように信号線170が接続されている。
すなわち、例えば、ECU110からICチップ160に送信され、ICチップ160からECU110に送信されるデータは、2本の信号線のうちの一方(例えば右側の信号線)を介して、ECU110からICチップ160Lを経て順番にICチップ160Hまで伝送される。また、ECU110からICチップ160に送信されるデータは、2本の信号線170のうちの他方(例えば左側の信号線)を介して、ICチップ160Hから順番にICチップ160Lを経てECU110に伝送される。このように信号線170は、ECU110と各ICチップ160との間をループ状に接続してデイジーチェーンを構築している。
また、以上ではスタック120について説明したが、スタック130はスタック120と同様の構成を有する。図1では、スタック130については、見易さを優先して一部の符号のみを示す。
スタック130の接続部151Bは、ケーブル140の他端140Bに接続されている。従って、スタック120に含まれる複数のセル150と、スタック130に含まれる複数のセル150とは、すべて直列に接続されている。
これらのセル150のうちで、最も電位が高いのはスタック130のセル150H4であり、最も電位が低いのはスタック120のセル150L1である。
なお、図1には、2つのスタック120、130が直列に接続される形態を示すが、さらに多くのスタックが直列に接続されていてもよく、また、スタックは1つのみ(例えば、スタック120のみ)であってもよい。なお、ここではスタック120、130が直列に接続されている形態を示すが、スタック120、130は並列に接続されていてもよい。
このような電池ユニット100において、各ICチップ160は、4つのセル150の両端間電圧を検出する。検出された4つのセル150の両端間電圧の平均値を表すデータは、ECU110に伝送される。
ECU110は、各ICチップ160から伝送される両端間電圧を表すデータに基づき、スタック120及び130に含まれるセル150のうち、出力電圧が所定電圧以上のセル150を放電させることにより、スタック120及び130に含まれるセル150の出力電圧を調整する。
出力電圧の調整は、例えば、ICチップ160が外部に放電用抵抗器を有し、出力電圧が所定電圧以上になったセル150の両端子をICチップ160の外部の放電用抵抗器に接続し、セル150の出力電流を放電用抵抗器に通流させることによって行えばよい。
なお、セル150の出力電圧とは、セル150の両端間電圧又は充電電圧と同義である。
実施の形態の電池ユニット100では、スタック120及び130に含まれるセル150の出力電圧を調整するために、ECU110は、電池ユニット100のスタック120及び130の電圧制御処理を行う。電圧制御処理は、電圧制御部110Aが行う。
次に、図2を用いて、実施の形態の電池監視装置100Aについて説明する。
図2は、実施の形態の電池監視装置100Aを示す図であり、(A)は電池監視装置100Aを模式的に示す図、(B)はICチップ160の構成を示す図である。
図2(A)には、電池監視装置100の構成要素として、ECU110とIC1〜IC4を示す。IC1〜IC4は、それぞれ、図1に示すICチップ160に相当する。また、図2(A)では、ECU110の構成要素として、マイコン111とアイソレータ112を示す。電圧制御部110Aとメモリ110Bは、マイコン111に内蔵されている。
IC1〜IC4とECU110は、信号線170によってデイジーチェーン方式で接続されている。各信号線170には、矢印で示す方向に信号が転送される。
ここで、ECU110から最も遠いIC4が最上位のICチップ160(図1参照)であり、ECU110に最も近いIC1が最下位のICチップ(160)であるとする。
IC1〜IC4はすべて同様の構成を有しており、4つの入力端子と4つの出力端子を有する。図2(A)ではIC1〜IC4の入力端子と出力端子を丸印(○)で示す。
IC1〜IC4の各々において、左下側の端子と、右上側の端子は、信号線170の矢印が入力する方向を示すため、入力端子である。また、IC1〜IC4の各々において、右下側の端子と、左上側の端子は、信号線170の矢印が出力する方向を示すため、出力端子である。
最下位のIC1の左下側の入力端子と、右下側の出力端子は、信号線170によってECU110に接続されている。IC1は、例えば、図示しない端子が電源VCCにプルアップされることにより、自己が最下位のICチップ160であることを認識できるようになっている。
また、最上位のIC4の左上側の出力端子と、右上側の入力端子とは、信号線170でループ状に接続されており、自己が最上位のICチップ160であることを認識できるようになっている。
以上のように、IC1はECU110と信号線170によって接続されており、IC1〜IC4は、信号線170によって接続されている。
信号線170は、デイジーチェーン方式でIC1〜IC4とECU110を接続している。
IC1〜IC4は、それぞれ、対応するブロック150Bに含まれる4つのセル150の出力電圧を検出し、4つの出力電圧の平均値を求める。また、IC1〜IC4は、それぞれ、4つの出力電圧の平均値を表す電圧データを信号線170を介してECU110に送信する。
また、ICチップ160は、図2(B)に示すように、例えば、データ処理部160Aと電圧検出部160Bを有する構成であればよい。データ処理部160Aは、電圧検出指令が入力されると、電圧検出部160Bにブロック150Bに含まれる4つのセル150の出力電圧の平均値を求めさせ、出力電圧の平均値に基づいて、電圧データを生成する。また、データ処理部160Aは、ECU110から送信される電圧検出指令と、他のICから送信される電圧データの転送を行う。
次に、図3及び図4を用いて、ECU110とIC1〜IC4との間におけるデータの流れと、ECU110及びIC1〜IC4における処理について説明する。
図3は、実施の形態の電池監視装置100AにおけるECU110とIC1〜IC4との間におけるデータの流れを示す図である。図4は、ECU110とIC1〜IC4がデータの送受信及び転送を行うための処理を示す図である。なお、図3において横軸は時間軸を表す。
実施の形態1の電池監視装置100Aでは、ECU110からIC1〜IC4のそれぞれに順番に電圧検出指令が送信され、その後に、IC4、IC3、IC2、IC1がそれぞれ自己に対応する4つのセル150の平均電圧値を表す電圧データをECU110に送信する。
図3では、縦方向において上から下に向かって電圧検出指令と電圧データの流れを示すために、ECU、IC1、IC2、IC3、IC4、IC4、IC3、IC2、IC1、ECUのブロックを示す。また、各ブロックの右側には、各ブロックで受信される電圧検出指令と、各ブロックから出力される電圧データとを示す。
なお、電圧検出指令と電圧データが上から下に来るほど右側にずれているのは、時間の経過を表したものである。
図3に示すように、電圧検出指令は、矢印Aで示すように、ECU110からIC1〜IC4に順番に転送される。IC1〜IC4は、それぞれ、順番に電圧検出指令を受信する。
また、電圧検出指令は、IC4まで到達した後は、信号線170(図1、図2参照)によって再びIC4、IC3、IC2、IC1、ECU110の順に転送され、ECU110に戻される。なお、矢印Aの起点において、ECU110が信号線170(図1、図2参照)に出力した段階の電圧検出指令を太枠で示す。
ECU110は、4つのセル150の出力電圧の平均値を表す電圧データをECU110に送信させるための電圧検出指令を、IC1〜IC4に対して順番に送信する。
ここで、ECU110が電圧検出指令をIC1〜IC4に対して順番に送信するとは、次のような意味である。
すなわち、ECU110は、デイジーチェーンを構築する信号線170に電圧検出指令を出力する、電圧検出指令は、IC1〜IC4に順番に回覧される。IC1〜IC4の各々は、図3に示すように、順番に電圧データをECU110に送信する。
このようなECU110による電圧検出指令の送受信の処理と、IC1〜IC4から電圧データを受信する処理は、図4(A)に示す通りである。
ECU110は、処理をスタートする(スタート)。処理のスタートは、例えば、電池監視装置100A及び電池ユニット100を搭載する車両のイグニッションがオンにされたときに行うようにすればよい。なお、車両のイグニッションがオフのときであっても、この処理を実行するようにしてもよい。
ECU110は、電圧検出指令をIC1〜4に送信する(ステップS1)。ステップS1の処理は、ECU110がIC1〜IC4に対して、電圧検出指令を送信する処理である。
また、ここでは、IC1〜IC4は、識別子によって区別されており、ECU110は、IC1〜IC4の識別子を保持しているものとする。
次に、ECU110は、各IC(1〜4のいずれか)から電圧データを受信したか否かを判定する(ステップS2)。ECU110は、IC(1〜4のいずれか)から電圧データを受信していないと判定した場合(S2:NO)は、ステップS2の処理を繰り返し実行する。
ECU110は、IC(1〜4のいずれか)から電圧データを受信したと判定した場合は、フローをステップS3に進行させ、すべてのIC1〜IC4から電圧データを受信したか否かを判定する(ステップS3)。
ECU110がすべてのIC1〜IC4から電圧データを受信するまで、電圧検出指令をICに送信し、ICから電圧データを受信する処理を繰り返し実行するために、ステップS3の処理は設けられている。
ECU110は、ステップS3において、IC1〜IC4のすべてから電圧データを受信したと判定した場合は、一連の処理を終了する(エンド)。
一方、ECU110は、ステップS3において、IC1〜IC4のすべてから電圧データを受信していないと判定した場合は、ステップS3の処理を繰り返し実行する。
以上のようにして、ECU110は、IC1〜IC4に対して、電圧検出指令を送信する。
また、ECU110から電圧検出指令が送信されると、IC1〜IC4は、それぞれ図4(B)に示す処理を実行する。図4(B)に示す処理は、IC1〜IC4で共通の処理であるため、ここでは処理の主体を「IC」として説明する。なお、図4(B)に示す処理は、ICチップ160のデータ処理部160A(図2(B)参照)によって実行される。
ICは、処理をスタートする(スタート)。ICは、ECU110から電圧検出指令を受信することによって、処理をスタートさせるようにしてもよい。また、ICは、例えば、電池監視装置100A及び電池ユニット100を搭載する車両のイグニッションがオンにされたときに行うようにしてもよい。なお、車両のイグニッションがオフのときであっても、この処理を実行するようにしてもよい。
ICは、データ又は指令を受信したか否かを判定する(ステップS11)。ここで、データとは電圧データであり、指令とは電圧検出指令である。すなわち、ステップS11において、ICは、電圧データ又は電圧検出指令を受信したか否かを判定する。
なお、ICは、ステップS11において、データ又は指令を受信していないと判定した場合は、ステップS11の処理を繰り返し実行する。
ICは、ステップS11において、データ又は指令を受信したと判定した場合(S11:YES)は、電圧検出指令を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
ICは、ステップS12において、電圧検出指令を受信したと判定した場合(S12:YES)は、フローをステップS13に進行させる。
一方、ICは、ステップS12において、電圧検出指令を受信していないと判定した場合(S12:NO)は、フローをステップS15に進行させる。この場合は、ICが電圧データを受信している場合であるからである。
ICは、ステップS13において、自己が電圧データを生成してECU110に送信する順番であるか否かを判定する(ステップS13)。
電圧検出指令は、最下位のIC1から最上位のIC4に向けて図3に示すように順番にECU100から送信される。
最下位のIC1は、自己より下位のICが存在しないため、自己が電圧データを未送信である場合に、自己の順番であると判定すればよい。
また、IC2〜IC4は、自己より一段手前(一段下位の)ICの電圧データを転送したか否かに基づいて、自己の順番であるか否かを判定すればよい。IC2〜IC4は、それぞれ、ECU110から電圧検出指令を受信したときに、自己の順番であると判定すればよい。
また、このような判定の代わりに、IC1は、例えば、図示しない端子が電源VCCにプルアップされることにより、自己が最下位のICチップ160であることを認識できるようにされていてもよく、ECU110から電圧検出指令を受信したときに、最下位のIC1は、自己の順番であると判定するようにしてもよい。
また、IC2〜IC4は、自己より一段手前(一段下位の)ICの電圧データを転送したか否かに基づいて、自己の順番であるか否かを判定すればよい。IC2〜IC4は、それぞれ、ECU110から電圧検出指令を受信したときに、自己の順番であると判定すればよい。
ICは、ステップS13において、自己の順番であると判定した場合(S13:YES)は、自己に対応する4つのセル150の平均電圧を表す電圧データを生成し、ECU110に送信する(ステップS14)。このとき、IC1〜IC3は、自己よりも上位側のICに向けて電圧データを送信する。また、IC4は、IC3に向けて電圧データを送信する。
ICは、ステップS14の処理を終了すると一連の処理を終了する(エンド)。
また、ステップS12において、電圧検出指令を受信していない(S12:NO)と判定した場合は、ICは、電圧データを次段のICに転送するとともに、電圧データがIC4で折り返された後に、IC4からECU110に向けて転送されている場合は、自己以外のICの電圧データを取得する(ステップ15)。
ステップS12で電圧検出指令を受信していない(S12:NO)と判定した場合は、ICが自己以外のICの電圧データを受信した場合である。
また、ICに自己以外のICから電圧データが転送されるのは、電圧データがIC1からIC4に向かって(すなわち、下位側から上位側に向かって)いる場合と、電圧データがIC4からIC1を経てECU110に向かって(すなわち、上位側から下位側に向かって)いる場合とがある。
電圧データがIC1からIC4に向かって(すなわち、下位側から上位側に向かって)いる場合は、電圧データは、信号線170によって構成されるデイジーチェーンのうち、下位側から上位側に向かう線路を転送される。
また、電圧データがIC4からIC1を経てECU110に向かって(すなわち、上位側から下位側に向かって)いる場合は、電圧データは、信号線170によって構成されるデイジーチェーンのうち、上位側から下位側に向かう線路を転送される。
従って、ステップS15では、ICは、電圧データを次段のICに転送するとともに、信号線170によって構成されるデイジーチェーンのうち、上位側から下位側に向かう線路を電圧データが転送されている場合は、自己の電圧データ以外の電圧データを取得する。
具体的には、IC4は、IC3から電圧データが転送され、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC1〜IC3の電圧データを取得する。また、IC3は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC4から電圧データが転送されると、IC1、IC2、IC4の電圧データを取得する。
また、IC2は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC3から電圧データが転送されると、IC1、IC3、IC4の電圧データを取得する。また、IC1は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC2から電圧データが転送されると、IC2、IC3、IC4の電圧データを取得する。
なお、IC2は、IC4でデイジーチェーンを折り返される前に、IC1の電圧データを取得してもよい。また、IC3は、IC4でデイジーチェーンを折り返される前に、IC1、IC2の電圧データを取得してもよい。また、IC4は、IC4でデイジーチェーンを折り返される前に、IC1、IC2、IC3の電圧データを取得してもよい。
また、ステップS13において、自己の順番ではないと判定した場合は、ICは、電圧検出指令を次段のICに転送する(ステップS16)。
ステップS15又はS16の処理が終了すると、ICは、ステップS14の処理を終了すると一連の処理を終了する(エンド)。
ここで、ステップS15とS16における電圧データ又は電圧検出指令が転送される経路について説明する。
実施の形態では、IC1〜IC4の間では、データ又は指令は、信号線170によって構成されるデイジーチェーンによって、IC1からIC2、IC3、IC4に向けて上位側に転送され、IC4で折り返して、IC4からIC3、IC2、IC1に向けて下位側に転送される。
従って、IC1は、ECU110から電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をIC2に送信する。また、IC2は、IC1から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をIC3に送信する。また、IC3は、IC2から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をIC4に送信する。
また、IC4は、IC3から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令を折り返してIC3に送信する。また、IC3は、IC4から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をIC2に送信する。また、IC2は、IC3から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をIC1に送信する。また、IC1は、IC2から電圧データ又は電圧検出指令を受信した場合には、電圧データ又は電圧検出指令をECU110に送信する。
以上より、ECU110がIC1に対して電圧検出指令を送信した場合は、IC1は対応する4つのセル150の出力電圧の平均値を表す電圧データを作成し、自己より上位側のIC2に送信する。
また、ECU110がIC2に対して電圧検出指令を送信した場合は、IC2は対応する4つのセル150の出力電圧の平均値を表す電圧データを作成し、自己より上位側のIC3に送信する。
また、ECU110がIC2に対して電圧検出指令を送信した場合は、IC2は対応する4つのセル150の出力電圧の平均値を表す電圧データを作成し、自己より上位側のIC3に送信する。
また、ECU110がIC4に対して電圧検出指令を送信した場合は、IC4は対応する4つのセル150の出力電圧の平均値を表す電圧データを作成し、IC3に送信する。
図3には、IC4、IC3、IC2、IC1が信号線170(図1、図2参照)に出力した段階の電圧データを太枠で示す。
IC1、IC2、IC3、IC4は、電圧検出指令を受信すると、図3に示すように、IC1から順に上位側のIC2、IC3、IC4に向けて信号線170を介して電圧データを送信する。
すなわち、まず、最も下位側のIC1が、自己に対応する4つのセル150の電圧データを、矢印B1で示すように、上位側のIC2、IC3、IC4に向けて信号線170を介して送信する。電圧データは、IC4から再び信号線170を介してIC3、IC3、IC2、IC1を経て、ECU110に到達する。
次に、IC1よりも1つ上位側のIC2が、自己に対応する4つのセル150の電圧データを、矢印B2で示すように、上位側のIC3、IC4に向けて信号線170を介して送信する。電圧データは、IC4から再び信号線170を介してIC3、IC3、IC2、IC1を経て、ECU110に到達する。
次に、IC2よりも1つ上位側のIC3が、自己に対応する4つのセル150の電圧データを、矢印B3で示すように、上位側のIC4に向けて信号線170を介して送信する。電圧データは、IC4から再び信号線170を介してIC3、IC3、IC2、IC1を経て、ECU110に到達する。
最後に、最も上位側のIC4が、自己に対応する4つのセル150の電圧データを、矢印B4で示すように、IC3に向けて信号線170を介して送信する。電圧データは、IC3、IC2、IC1を経て、ECU110に到達する。
また、IC1〜IC4は、信号線170によって構成されるデイジーチェーンを転送される電圧データがIC4で折り返された後は、自己以外のICの電圧データを取得する。
具体的には、IC4は、図3にグレーで示すIC1〜IC3の電圧データを取得する。すなわち、IC4は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC1〜IC3の電圧データを取得する。
また、IC3は、図3にグレーで示すIC1、IC2、IC4の電圧データを取得する。すなわち、IC3は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC1、IC2、IC4の電圧データを取得する。
また、IC2は、図3にグレーで示すIC1、IC3、IC4の電圧データを取得する。すなわち、IC2は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC1、IC3、IC4の電圧データを取得する。
また、IC1は、図3にグレーで示すIC2、IC3、IC4の電圧データを取得する。すなわち、IC1は、IC4でデイジーチェーンを折り返された後に、IC2、IC3、IC4の電圧データを取得する。
以上のように、実施の形態の電池監視装置100Aによれば、上位側のICは、下位側のICの電圧データを入手することができる。これは、上述のように、最も下位側のIC1から順番に、自己に対応する4つのセル150の電圧データを、信号線170を介して、上位側に送信するからである。
すなわち、IC1、IC2、IC3が信号線170を介して電圧データを上位側に出力することにより、信号線170を伝送される電圧データがIC4で折り返した後は、IC1〜IC4は、それぞれ、IC1〜IC4のすべての電圧データを入手することができる。
このため、すべてのIC1〜IC4は、すべてのIC1〜IC4の電圧データを用いて、電圧値の平均化等の処理を行うことができる。
従って、実施の形態によれば、効率的に電圧制御を行うことができる電池監視装置100A、及び、電池ユニット100を提供することができる。
ここで、図5を用いて、比較用の電池監視装置による電圧データの送信経路について説明する。
図5は、比較用の電池監視装置における電圧データの送信経路を示す図である。比較用の電池監視装置は、実施の形態の電池監視装置100Aと同様に、IC1からIC4とECU110が信号線170によってデイジーチェーン形式で接続されている。この接続関係は、図2に示す接続関係と同様である。
このため、図5には、IC1〜IC4とECU110との間における電圧データの流れを図3と同様の表記形式で示す。図5において横軸は時間軸を表す。
ECU110からIC1〜IC4のそれぞれに順番に電圧検出指令が送信され、その後に、IC4、IC3、IC2、IC1がそれぞれセル150の電圧を表す電圧データをECU110に送信する。
図5に示すように、電圧検出指令は、矢印Cで示すように、ECUからIC1〜IC4に順番に転送される。IC1〜IC4は、それぞれ、順番に電圧検出指令を受信する。
また、電圧検出指令は、IC4まで到達した後は、信号線170(図1、図2参照)によって再びIC4、IC3、IC2、IC1、ECU110の順に転送される。
また、電圧検出指令を受信したIC4、IC3、IC2、IC1は、それぞれが監視するセル150の出力電圧を表す電圧データをECU110に向かって送信する。図5には、IC4、IC3、IC2、IC1が信号線170(図1、図2参照)に出力した段階の電圧データを太枠で示す。
この結果、IC4から出力される電圧データは、矢印D1で示すように、IC3、IC2、IC1を経てECU110に到達する。また、IC3から出力される電圧データは、矢印D2で示すように、IC2、IC1を経てECU110に到達する。
また、また、IC2から出力される電圧データは、矢印D3で示すように、IC1を経てECU110に到達する。また、IC1から出力される電圧データは、矢印D4で示すようにECU110に到達する。
すなわち、IC3は、IC4の電圧データを入手することができ、IC2は、IC4とIC3の電圧データを入手することができ、IC1は、IC4、IC3、IC2の電圧データを入手することができる。
しかしながら、IC4は、IC1〜IC3の電圧データを入手できず、IC3は、IC1とIC2の電圧データを入手できず、IC2はIC1の電圧データを入手できない。
このため、IC4は、IC1〜IC3の電圧データを用いて電圧制御を行うことができず、IC3は、IC1とIC2の電圧データを用いて電圧制御を行うことができず、IC2はIC1の電圧データを用いて電圧制御を行うことができない。
このように、比較用の電池監視装置では、効率的に電圧制御を行うことができない。特に、比較用の電池監視装置では、IC2〜IC4は、自己よりも下位側のICの電圧データを取得できないため、自己の電圧データと、自己より上位側の電圧データとを用いて、電圧データが表す電圧値の平均値を取得する等の電圧制御を行うことになるため、自己より上位側の電圧データを反映した電圧制御を行うことができない。
従って、比較用の電池監視装置では、効率的に電圧制御を行うことができない。
また、比較用の電池監視装置において自己より上位側の電圧データを反映させるには、自己より上位側のICの電圧データをECU110から取得することが必要である。
このように自己より上位側のICの電圧データをECU110から取得するには、ECU110でIC1〜IC4の電圧データを集中管理するとともに、信号線170を用いて電圧制御のためだけにECU110から電圧データをICに送信する必要が生じるため、比較用の電池監視装置では、効率的に電圧制御を行うことができない。
これに対して、実施の形態の電池監視装置100Aによれば、IC1〜IC4のすべてにおいて、自己以外のICの電圧データを入手することができる。
このため、IC1〜IC4の各々では、4つのIC1〜IC4で生成された電圧データを用いて、4つのIC1〜IC4に対応するセル150の電圧値を、例えば、IC1〜IC4で生成された4つの電圧データが表す電圧値の平均値に設定するような電圧制御を容易に行うことができる。
また、実施の形態の電池監視装置100Aによれば、IC1〜IC4の各々において、自己よりも上位側のICから取得した電圧データに加えて、自己よりも下位側のICから取得した電圧データを用いて電圧制御を行うことができるので、IC1〜IC4の各々で分散的にセル150の電圧制御を行うことができる。すなわち、実施の形態では、IC1〜IC4の各々において、電圧の分散制御が可能になる。
これは、比較例の電池監視装置のように、ECU110にデータを集めて集中的に電圧制御を行う場合に比べて、非常に効率的である。
また、実施の形態の電池監視装置100Aによれば、IC1〜IC4の各々がIC1〜IC4に対応するセル150の電圧データを取得することができるので、ECU110から電圧制御用の指令を受けることなく、IC1〜IC4の各々が自立的にセル150の電圧制御を行うことができる。
従って、実施の形態によれば、効率的に電圧制御を行うことができる電池監視装置100A及び電池ユニット100を提供することができる。
なお、以上では、スタック120、130がそれぞれ4つのICチップ160(IC1〜IC4)を含む形態について説明したが、1つのスタック(120、130)に含まれるICチップ160の数はさらに多くてもよい。また、1つのスタック(120、130)に含まれるICチップ160の数は3つ以下であってもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の電池監視装置、及び、電池ユニットについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。