以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1(a)は、本実施形態に係るスピードコントローラ1の例を示す平面断面図(概略図)であり、図1(b)は、正面断面図(概略図)である。図2は、図1に示すスピードコントローラ1(ここでは、二つのスピードコントローラ1A、1B)と外部のシリンダ2とを備えて構成した場合の回路図である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本実施形態に係るスピードコントローラ1は、例えば、自動設備ライン等を構成する外部の復動形シリンダ(以下、単に「シリンダ」という)2に対して圧力流体(例えば、圧縮空気)を通流させる流路に組み込まれて(接続されて)、当該シリンダ2の動作速度を段階的に(例えば、高速と低速との二段階に)制御するものである。
図1、2に示すように、スピードコントローラ1は、本体部10において圧力流体を通流させる複数の流路を備えている(詳細は後述)。また、本体部10の内部には、ピストン30を往復移動可能に保持するシリンダ室20が設けられている。
なお、スピードコントローラ1の構成材料としては、後述の弁体28aやOリング38等のゴム材料が用いられる部分を除いて、使用条件に応じて樹脂材料(例えば、POM、PBT等)や、金属材料(例えば、ステンレス、黄銅等)が適宜用いられる。
ここで、シリンダ室20は、一端側にシリンダ室20の内部と外部(ここでは、本体部10の内部であって、第1流路16および第2流路18となる部分)とを気密を保持しつつ仕切っているハウジング36が設けられている。また、他端側にシリンダ室20の内部と外部(ここで、本体部10の外部となる部分)とを気密を保持しつつ仕切っているキャップ40が設けられている。すなわち、シリンダ室20は本体部10、ハウジング36、およびキャップ40によって、内部の空間が形成される構成である。
一方、本体部10に設けられる上記の複数の流路について、より具体的には、第1ポート12と第2ポート14とを連通して圧力流体を通流させる第1流路16(図2中の矢印Aで例示する流路)が設けられている。また、当該第1流路16の他に、第1ポート12と第2ポート14とを連通して圧力流体を通流させる第2流路18(図2中の矢印Bで例示する流路)が設けられている。また、第1ポート12と本体部10の内部に形成されているシリンダ室20とを連通して圧力流体を通流させる第3流路22(図2中の矢印Cで例示する流路)が設けられている。さらに、シリンダ室20と本体部10に設けられた排気口24とを連通して圧力流体を通流させる第4流路26(図2中の矢印Dで例示する流路)が設けられている。
先ず、第1流路16には、第1ポート12から第2ポート14へ向かう通流のみを許容する第1チェック弁28が設けられている。当該第1チェック弁28は、弁体28aと弁座28bとを備えて構成されており、図2中の矢印Aで例示する向きのみに圧力流体を通過させる作用をなす。すなわち、第1ポート12側から第1流路16内へ圧力流体を通流させた場合に、圧力流体の圧力によって弁体28aが弁座28bから離隔して流路が開通する。一方、第2ポート14側から第1流路16内へ圧力流体を通流させた場合に、圧力流体の圧力によって弁体28aが弁座28bに密着して流路が閉鎖する。一例として、弁体28aは、ゴムを用いて形成され、弁座28bは、本体部10と一体に樹脂材料を用いて形成されている。
ここで、第1チェック弁28には、径方向中央位置に開口する開口孔28dが設けられている。本実施形態においては、リング状の弁体28aが外周に固定された状態で、本体部10の内側に突出する突出部10aに嵌め込まれて固定される弁体押さえ28cが設けられている。当該弁体押さえ28cの径方向中央位置に開口孔28dが形成されている。一例として、弁体押さえ28cは、突出部10aに対してスナップフィット係合構造によって嵌め込み・固定がなされる構成としており、より簡易な組み立てが可能となっている(図1、2参照)。
次に、第2流路18は、第1チェック弁28の径方向中央位置に開口する開口孔28dが流路の一部をなすように構成されている。
また、第2流路18には、通流する圧力流体の流量を調整する第1ニードル弁32が設けられている。より具体的には、第1ニードル弁32は、ニードル軸34の先端部34aを、第1チェック弁28の開口孔28dに近接もしくは進入させて当該開口孔28dの開口面積を変化させることにより流量の調整を行う構成となっている。
本実施形態において、ニードル軸34は、シリンダ室20内に往復動可能に配設されるピストン30に固定されて、当該ピストン30と共に軸方向に往復動可能となっている。なお、一例として、ニードル軸34とピストン30とが一体に形成された構造としているが、別体に形成された構造としてもよい。
また、ニードル軸34は、シリンダ室20の一端側のハウジング36を挿通して当該シリンダ室20外へ先端部34aを突出させた構成となっている。なお、ニードル軸34が挿通するハウジング36には摺動位置にゴム製のOリング38が設けられており、ニードル軸34はハウジング36に対して気密を保持したまま、軸方向に移動可能となっている。
上記の通り、本実施形態に係る第1チェック弁28はチェック弁としての機能に加えて、弁体押さえ28cの開口孔28dを、ニードル軸34の先端部34aと組み合わせて用いることにより、ニードル弁としても機能させることができる。これによれば、チェック弁およびニードル弁をそれぞれ別個に設ける構成と比較して、構造の簡素化と、部品点数の削減を図ることが可能となり、ひいては組み立てコスト、部品コストの低減を図ることが可能となる。
また、シリンダ室20内の容積を減少させる方向で、且つ、ニードル軸34の先端部34aを開口孔28dに近接もしくは進入させる方向(もしくは、当該方向および逆方向の両方向)に、ピストン30およびニードル軸34を移動させる移動部材が設けられている。
移動部材としては、付勢部材(例えば、付勢部材の付勢力により移動させる機構)、あるいはモータ(例えば、制御部により駆動されるステッピングモータ等と、ラックアンドピニオンもしくはボールねじ等とを用いて移動させる機構)を用いる構成等が採用される。
一例として、本実施形態においては、移動部材として付勢部材を用いている。当該付勢部材について、より具体的には、シリンダ室20内には一端がピストン30に当接し、他端がキャップ40に当接するように配設された第1付勢部材(例えば、コイルスプリング、その他のバネ部材)42が設けられている。当該第1付勢部材42は、シリンダ室20内の容積を減少させる方向で、且つ、ニードル軸34の先端部34aを開口孔28dに近接もしくは進入させる方向に、ピストン30およびニードル軸34を移動させる付勢力を発生させる。なお、第1付勢部材の変形例として、ピストン30の他端30b側に圧縮流体(圧縮空気等)の圧力が印加されるように構成し、上記同様の付勢力を発生させる構成としてもよい(不図示)。
また、前記の移動部材によってピストン30およびニードル軸34を上記方向に移動させる際に、ニードル軸34の先端部34aが開口孔28dに対して所定位置を超えて近接もしくは進入しないように当該ピストン30の停止位置(すなわちニードル軸34の先端部34aの停止位置)を規定すると共に当該停止位置の調整が可能な調整部材が設けられている。
本実施形態においては、移動部材(付勢部材)として第1付勢部材42が設けられ、調整部材として、調整式ストッパ44が設けられている。
当該調整式ストッパ44は、ピストン30のニードル軸34固定側と反対側に固定され、キャップ40を挿通して設けられたストロークロッド44aと、ストロークロッド44aの端部に設けられたネジ部44bに羅合された調整ネジ44cとを備えて構成されている。これによれば、シリンダ室20内の容積を減少させる方向にピストン30を移動させたとき、調整ネジ44cの端部(キャップ40と対向する側の端部)がキャップ40と当接することによってピストン30の移動が停止される。すなわち、ピストン30(およびニードル軸34)の停止位置が規定される。また、調整ネジ44cを回転させることによって、キャップ40と調整ネジ44cの上記端部との距離Lを調整することが可能となるため、ピストン30(およびニードル軸34)の停止位置を調整することが可能となる。なお、図中の符号44dは、調整ネジ44cが意図しない回転を行わないように調整ネジ44cを固定するためのナットである。
なお、移動部材としてモータ(例えば、ステッピングモータ)を用いる場合においては、制御部によるモータの制御によって、ピストン30(およびニードル軸34)の停止位置の調整が行われるため、制御部およびモータが調整部材を構成する。
次に、第3流路22には、第1ポート12からシリンダ室20の内部へ向かう通流のみを許容する第2チェック弁46が設けられている。当該第2チェック弁46は、第3流路22の流路途中に設けられた弁箱46e内を往復動可能に構成された弁体46a、弁座46b、弁体46aに固定されて弁体46aと弁座46bとの間で気密を保持するOリング46c、弁体46a(ここでは、Oリング46c)を弁座46bに密着させる方向に付勢する第2付勢部材(一例として、コイルスプリング)46d、弁体46aに固定されて弁体46aと弁箱46eとの間で気密を保持するXリング46fを備えて構成されており、図2中の矢印Cで例示する向きのみに圧力流体を通過させる作用をなす。
すなわち、第1ポート12側から第3流路22内へ圧力流体を通流させた場合に、圧力流体の圧力によって第2付勢部材46dの付勢力に抗して弁体46aが弁座46bから離隔して流路が開通する。一方、第1ポート12側から第3流路22内への圧力流体の通流を停止させた場合には、第2付勢部材46dの付勢力によって弁体46a(ここでは、Oリング46c)が弁座46bに密着して流路が閉鎖する。一例として、弁体46aは、樹脂材料を用いて形成され、弁座46bは、本体部10と一体に樹脂材料を用いて形成され、Oリング46cおよびXリング46fは、ゴム材料を用いて形成されている。なお、Oリング46cは、弁座46bに固定される構成としてもよい。また、Xリング46fは、Oリングにより代用してもよい(不図示)。
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、第3流路22は、流路の途中部分が第2チェック弁46の弁体46aの内部を通過するように形成されている(図中、符号22aで示す)。さらに、この弁体46aには、内部に形成された第3流路22の途中部分22aにおいて第1ポート12からシリンダ室20の内部へ向かう通流のみを許容する第3チェック弁47が設けられている。
当該第3チェック弁47は、第3流路22の途中部分22aにおいて移動可能に構成された弁体47a、弁座47b、弁体47aを弁座47bに密着させる方向に付勢する第3付勢部材(一例として、コイルスプリング)47cを備えて構成されており、前述の第2チェック弁46と同様に図2中の矢印Cで例示する向きのみに圧力流体を通過させる作用をなす。
すなわち、第1ポート12側から第3流路22(ここでは22a)内へ圧力流体を通流させた場合に、圧力流体の圧力によって第3付勢部材47cの付勢力に抗して弁体47aが弁座47bから離隔して流路が開通する。一方、第1ポート12側から第3流路22(ここでは22a)内への圧力流体の通流を停止させた場合には、第3付勢部材47cの付勢力によって弁体47aが弁座47bに密着して流路が閉鎖する。一例として、弁体47aは、ステンレス鋼等からなる鋼球を用いて形成され、弁座47bは、第2チェック弁46の弁体46aと一体に樹脂材料を用いて形成されている。
上記のように、第3流路22には、第1ポート12からシリンダ室20の内部へ向かう通流のみを許容する第2チェック弁46および第3チェック弁47が設けられている。特に、第3チェック弁47は第2チェック弁46の弁体46aの内部に配設されている。
この構成によれば、弁箱46e内を往復動する弁体46aは、気密を保持するために弁箱46eとの間にXリング46fを介在させて摺動する動作を行う。したがって、この摺動抵抗に起因して、第1ポート12側から第3流路22内への圧力流体の通流を停止させた場合に、第2付勢部材46dの付勢力によって弁体46a(ここでは、Oリング46c)が弁座46bに密着して流路が閉鎖するまでの動作が瞬時に完了しないという問題が生じる。つまり、流体制御機器として用いる場合において次工程に速やかに移行できないという問題が生じることとなり、ひいては、サイクルタイムの増大という問題が生じ得る。
この問題に対して、本実施形態においては、第2チェック弁46の弁体46aの内部に、第3付勢部材(一例として、コイルスプリング)47cによって付勢されて瞬時に動作可能な鋼球を用いた弁体47aを備える第3チェック弁47を設けることによりその解決を可能としている。すなわち、第1ポート12側から第3流路22内への圧力流体の通流を停止させた場合には、第3チェック弁47によって瞬時に第3流路22が閉鎖される作用を得ることが可能となる。
さらに、所定の時間差で第2チェック弁46によっても第3流路22が閉鎖される作用が生じるため、二重の閉鎖構造によって圧力流体の漏れを確実に防止することも可能となる。
また、本実施形態のように、第2チェック弁46の弁体46aの内部に第3チェック弁47を設ける構成によって、装置全体の小型化、機構の簡素化を実現することができる。
なお、第2チェック弁46および第3チェック弁47は上記の構成に限定されるものではなく、他のチェック弁構造を採用してもよい(不図示)。
次に、第4流路26は、第2チェック弁46の弁体46aが往復動する空間部である弁箱46eにおいて、弁体46aに対して第2付勢部材46dが設けられている側の領域が流路の一部をなすように構成されている。また、第4流路26には、通流する圧力流体の流量を調整する第2ニードル弁48が設けられている。
すなわち、図2に示すように、第4流路26は、シリンダ室20内から、弁箱46eおよび第2ニードル弁48を経由して、排気口24へと連通して、本体部10の外部へ通じる流路となっている。なお、本実施形態においては、第3流路22における弁箱46eとシリンダ室20内とを結ぶ部分22bを、第4流路26との共用流路として用いている。ただし、この構成に限定されるものではなく、シリンダ室20内と弁箱46eとを結ぶ第4流路26の専用流路を設ける構成としてもよい(不図示)。
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、前述の第2チェック弁46は、第4流路26の開閉を行う開閉弁を兼ねる構造となっている。より具体的には、弁箱46eにおいて、弁体46aに対して第2付勢部材46dが設けられている側に、第4流路26の開閉を行うための弁座46gが設けられている。さらに、弁体46aに固定されて弁体46aと弁座46gとの間で気密を保持するOリング46hが設けられている。
したがって、第2チェック弁46の弁体46aが第3流路22を開通する方向に移動すると、弁体46a(ここでは、Oリング46h)が弁座46gに密着して第4流路26が閉鎖する。一方、第2チェック弁46の弁体46aが第3流路22を閉鎖する方向に移動すると、弁体46a(ここでは、Oリング46h)が弁座46gから離隔して第4流路26が開通する。このようにして、第4流路26の開閉が行われ、第4流路26の開通時には、図2中の矢印Dで例示する向きに圧力流体を通過させる作用をなす。
この構成によれば、例えば、本来シリンダ室20内から第4流路26を経由して排気口24へ通流すべき圧力流体が第3流路22へ通流してしまう等の問題を解決することができる。これは、第3流路22を閉鎖する際に第4流路26を開通し、また、第3流路22を開通する際に第4流路26を閉鎖する構成を実現しているためである。
なお、仮に、第4流路26へ通流すべき圧力流体が第3流路22へ通流してしまう現象が生じると、例えば、第2チェック弁46の弁体46aに第2付勢部材46dの付勢力が印加されても移動しづらくなる(つまり、第3流路22が閉鎖されづらくなる)等の問題も生じ得るが、本実施形態においては、前述の通り、瞬時に動作可能な第3チェック弁47を備える構成であることによっても当該問題の回避が可能となっている。
ただし、設計上、第3流路22の開閉と、第4流路26の開閉とは、多少のオーバーラップが設定される場合がある。
次に、第2ニードル弁48は、より具体的には、ニードル軸48aの先端部48bを、所定の開口を有するオリフィス48cに近接もしくは進入させて当該オリフィス48cの開口面積を変化させることにより流量の調整を行う構成となっている。ここで、ニードル軸48aの後端部に設けられたネジ部48dが本体部10に対して回転可能に螺合されており、調整つまみ48eを回転させることによってニードル軸48aを軸方向に移動させることができるため、オリフィス48cに対するニードル軸48aの先端部48bの位置、すなわちオリフィス48cの開口面積の調整を行うことができる。なお、第4流路26の流路途中に設けられるオリフィス48cの位置、形状については適宜に設定され、特に限定されるものではない。
続いて、図2の回路図を参照して、上記構成を備えるスピードコントローラ1の動作について説明する。代表的な例として、外部のシリンダ(ここでは復動形シリンダ)2を駆動するために二つのスピードコントローラ1(1A、1B)を備えた構成において、シリンダ2におけるピストン2bを、図2中の矢印X1方向に移動させる場合について説明する。
外部の圧力流体供給源3から圧力流体(一例として、圧縮空気)が供給され、流路60、電磁弁4、流路62を経てスピードコントローラ1(1A)の第1ポート12に供給される。なお、電磁弁4の作用については後述する。
先ず、このときのスピードコントローラ1(1A)の作用について説明する。
スピードコントローラ1(1A)の第1ポート12に供給された圧力流体は、矢印Aで示すように第1流路16内を、第1チェック弁28を経て第2ポート14へと通流する。さらに、流路64を経てシリンダ2のシリンダ室(ここでは、ピストン2bに対して一端2b1側のシリンダ室2a1)内に供給される。これによって、シリンダ室2a1内に供給された圧力流体の圧力がピストン2bの一端2b1側に作用するため、ピストン2bがX1方向に駆動される。
上記の作用と共に、スピードコントローラ1(1A)の第1ポート12に供給された圧力流体は、矢印Cで示すように第3流路22内を通流して本体部10のシリンダ室20内へと流入する(なお、第2チェック弁46および第3チェック弁47によって通流方向が制御される)。このとき、シリンダ室20内に供給された圧力流体の圧力がピストン30の一端30a側に作用するため、第1付勢部材42の付勢力に抗してピストン30がY1方向に駆動される。これと同時に、シリンダ室20内に圧力流体が貯留される。
また、上記の作用と共に、ピストン30がY1方向に駆動されることにより、ニードル軸34もY1方向に移動するため、第1ニードル弁32の開度が相対的に大きい状態(絞り作用が生じない状態)となる。したがって、第1ポート12から第2ポート14へ向かう圧力流体は第1流路および第2流路の二つの流路を最大限利用して通流可能となる。
次に、このときのスピードコントローラ1(1B)の作用について説明する。
上記の作用によってピストン2bがX1方向に駆動されるとき、シリンダ2から送出される圧力流体は、流路66を経てスピードコントローラ1(1B)の第2ポート14に供給される。ここで、スピードコントローラ1(1B)によって、流路66から第2ポート14に流入して、第1ポート12から流路68へ送出される圧力流体の流速(すなわち流量)を調整することによって、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)を調整(制御)することが可能となる。すなわち、スピードコントローラ1(1B)内(より具体的には、第2流路18内)を通過する圧力流体の流速が速い(すなわち単位時間当たりの流量が多い)場合には、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が高速となる。一方、当該圧力流体の流速が遅い(すなわち単位時間当たりの流量が少ない)場合には、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が低速となる。
スピードコントローラ1(1B)の第2ポート14に供給された圧力流体は、矢印Bで示すように第2流路18内を、第1ニードル弁32を経て第1ポート12へと通流する。なお、第1ポート12から送出された圧力流体は、流路68および電磁弁4を経て大気中へと送出される。
ここで、通常設定として、シリンダ2のピストン2bがX1方向に移動を開始する時点において、スピードコントローラ1(1B)のシリンダ室20内には、圧力流体が貯留されて、ピストン30がY1方向の所定位置まで移動した状態となるように設定されている。(貯留される作用は前述のスピードコントローラ1(1A)の場合と同様である。)
したがって、シリンダ2のピストン2bがX1方向に移動を開始する時点、すなわち、シリンダ2から送出された圧力流体が第2流路18内の通過を開始する時点においては、ピストン30がY1方向の所定位置まで移動しており、ニードル軸34もY1方向に移動していることによって、第1ニードル弁32は開度が相対的に大きい状態(絞り作用が生じない状態)となっている。このとき、第1ニードル弁32すなわち第2流路18内を通過する圧力流体の流速が相対的に速い(すなわち単位時間当たりの流量が多い)状態となる。つまり、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が高速となる。
上記の作用と共に、スピードコントローラ1(1B)のシリンダ室20内に貯留されていた圧力流体が、矢印Dで示すように第4流路26内を、シリンダ室20内から、弁箱46eおよび第2ニードル弁48を経て、排気口24へと通流し、本体部10の外部へ排気(送出)される。このとき、シリンダ室20内に貯留されていた圧力流体の減少、すなわちピストン30の一端30a側に作用する圧力の低下によって、当該圧力よりもピストン30の他端30b側に作用する第1付勢部材42の付勢力が上回り、当該付勢力によってピストン30がY2方向に移動を開始する。
ここで、シリンダ室20内から排気口24へ通流する圧力流体の流速(すなわち単位時間当たりの流量)を、第2ニードル弁48によって調整することによって、ピストン30およびこれに固定されるニードル軸34のY2方向への動作速度(軸方向移動速度)を調整(制御)することが可能となる。すなわち、第4流路26内(より具体的には、第2ニードル弁48)を通過する圧力流体の流速が速い(すなわち単位時間当たりの流量が多い)場合には、ピストン30およびニードル軸34の動作速度(軸方向移動速度)が高速となる。一方、当該圧力流体の流速が遅い(すなわち単位時間当たりの流量が少ない)場合には、ピストン30およびニードル軸34の動作速度(軸方向移動速度)が低速となる。
その後、ピストン30がY2方向の所定位置まで移動すると、ピストン30に固定されたニードル軸34の先端部34aが、開口孔28dに対して所定位置まで近接もしくは進入した状態となる。このとき、第1ニードル弁32としての調整作用すなわち通過流量の絞り作用が生じる。より具体的には、第1ニードル弁32は開度が相対的に小さい状態(絞り作用が生じる状態)となるため、第1ニードル弁32すなわち第2流路18内を通過する圧力流体の流速が相対的に遅い(すなわち単位時間当たりの流量が少ない)状態となる。つまり、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が低速となる(高速から低速に切り替わる)。このように、シリンダ2の動作速度を段階的に(ここでは、高速と低速との二段階に)調整(制御)することが可能となる。なお、ピストン30のY2方向における所定位置(停止位置)は、前述の通り、調整式ストッパ44によって規定および調整される。
以上のように、第2ニードル弁48における開口面積すなわち通過する圧力流体の流速(流量)を調整することによって、第4流路26内を通過する圧力流体の流速(流量)を調整することが可能となる。これにより、本体部10のピストン30のY2方向への動作速度(軸方向移動速度)を調整することが可能となる。したがって、第1ニードル弁32において通過流量の絞り作用が生じ始めるタイミングを調整することが可能となる。すなわち、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が高速移動から低速移動に切り替わるタイミングを早めたり遅くしたりする調整が可能となる。
一方、調整式ストッパ44によってピストン30のY2方向における所定位置(停止位置)を調整することによって、第1ニードル弁32における開口面積すなわち通過する圧力流体の流速(流量)を調整することが可能となる。つまり、第2流路18内を通過する圧力流体の流速(流量)を調整することが可能となる。したがって、シリンダ2のピストン2bの動作速度(軸方向移動速度)が高速移動から低速移動に切り替わった後の、当該低速側の移動速度を調整することが可能となる。すなわち、ピストン2bの停止直前の速度を所望の速度まで低速化する調整ができるため、停止時の衝撃を緩和することが可能となる。
続いて、シリンダ2のピストン2bを、図2中の矢印X1方向とは反対方向となる矢印X2方向に移動させる場合について簡単に説明する。
ピストン2bを矢印X2方向に移動させるためには、電磁弁4を動作させて回路を切り替えて、上記の例とは逆のスピードコントローラ1(1B)に、圧力流体を供給すればよい。より具体的には、外部の圧力流体供給源3から圧力流体(一例として、圧縮空気)を、流路60、電磁弁4、流路68を経てスピードコントローラ1(1B)の第1ポート12に供給すればよい。
スピードコントローラ1(1B)の第1ポート12に供給された圧力流体は、第1流路16内を通流し、第1チェック弁28を経て第2ポート14へと通流する。さらに、流路66を経てシリンダ2のシリンダ室(ここでは、ピストン2bに対して他端2b2側のシリンダ室2a2)内に供給される。これによって、シリンダ室2a2内に供給された圧力流体の圧力がピストン2bの他端2b2側に作用するため、ピストン2bがX2方向に駆動される。
なお、詳細な作用および効果は上記のスピードコントローラ1(1A)に圧力流体を供給した場合と同様となるため、繰り返しの説明を省略する。
このように、電磁弁4の回路切り替えによって、外部の圧力流体供給源3からスピードコントローラ1(1A)の第1ポート12に圧力流体を供給した場合に、シリンダ2のピストン2bを矢印X1方向に移動させることができ、外部の圧力流体供給源3からスピードコントローラ1(1B)の第1ポート12に圧力流体を供給した場合に、シリンダ2のピストン2bを矢印X2方向に移動させることができる。したがって、復動形のシリンダ2を往復駆動させることができる。
以上説明した通り、開示のスピードコントローラによれば、外部のシリンダ2の一行程における動作速度(移動速度)を段階的(二段階)に調整(制御)することが可能となる。すなわち、シリンダ2のピストン2bが移動を開始してから暫くの間は高速移動させることで、動作時間の短縮化を図ることができ、且つ、ピストン2bが停止する前に所望のタイミングでピストン2bの移動速度を高速から低速に切り替えることで、ショックアブソーバを用いることなくシリンダ2のピストン2b停止時の衝撃緩和を図ることができる。さらに、当該ピストン2bの移動速度を高速から低速に切り替えるタイミング、および当該低速側の速度は、いずれも調整を行うことが可能となる。
さらに、第1チェック弁と第1ニードル弁とを共通部品を用いて簡素な構造によって実現しており、部品コストおよび製造コストの両面において、コストの削減を達成することが可能となる。
また、第2チェック弁の弁体の内部に第3チェック弁を設ける構成によって、第1ポート側から第3流路内への圧力流体の通流を停止させた場合に、第2付勢部材の付勢力によって弁体が弁座に密着して流路が閉鎖するまでの動作が瞬時に完了しないという問題の解決が可能となる。したがって、流体制御における次工程に速やかに移行することが可能となるため、サイクルタイムの短縮を図ることが可能となる。さらに、装置全体の小型化、機構の簡素化も実現可能としている。
また、第3流路を閉鎖する際に第4流路を開通し、第3流路を開通する際に第4流路を閉鎖する構成が実現可能となる。したがって、例えば、本来シリンダ室内から第4流路を経由して排気口へ通流すべき圧力流体が第3流路へ通流してしまう等の問題を解決することが可能となる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。